[伝書鳩]今日のニュース
落書き 善意で塗りつぶし
[2008/10/28掲載]


網走・元オホーツク水族館

 落書きにより周辺の景観を損ねていた、網走市二ツ岩の元オホーツク水族館跡地に残された施設がきれいになった。以前は窓ガラスや壁に大きな文字などが書かれていたが、黒く塗り直されるなどしてある。地域住民によると、施設を所有する会社から管理を任されている人の善意らしい。

管理委託の市民が?

 落書きは今年5月、通りかかった市民が発見した。水族館跡地に建っている、閉館まで使用されていた売店施設にカラースプレーとみられる塗料で文字などが描かれていた。さらに6月、2階の窓ガラスにも落書きされた。

 10月に入り、地域住民は売店施設の壁に落書きされた文字などが黒く塗りつぶされているのに気付いた。窓ガラスもきれいになっており、喜んだ。

 当初、「網走市が落書きをきれいにしたのでは」との推測もあった。確認したところ、市ではないことが判明。地域住民の話から、「所有する企業から草刈りなどの管理を任されている市民らしい」ことがわかった。

 落書きは完全に消されたわけではないが、卑わいな文字などが書かれていた以前と比べると、格段に見栄えがよくなった(写真)。

 同水族館は閉館後の平成14年11月、奈良県に本社がある企業に売却された。企業は当初、水族館跡地を利用して事業を展開する方針だった。売却後、水族館の建物や屋外水槽などは取り壊され、遊具も撤去されたが、売店施設だけはそのままの状態で残された。

 元水族館の目前にはオホーツク海が広がり、そばには観光ホテルもある。季節を問わず観光客が足を運ぶ場所でもあり、売店施設の落書きは網走自慢の景観を台無しにしていた。

 また、長年にわたり親しまれた元水族館には市民の思い出がつまっており、落書きに心痛めた女性市民は以前、「売店施設が無残な姿になり、なんとも言えない気持ちです」と声を落としていた。

 時折、散歩を兼ねて孫と一緒に元水族館周辺を訪れる男性市民は「以前の落書きはひどかった。塗り直され、子どもと一緒でも安心して足を運べるようになりました」と話していた。      (大)



[網走市/政治・社会]

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