2013/04/26 ※サイトで読む 配信中止はこちらから
金融経済まぐ
 平成25年4月26日号 毎週金曜日配信 
金融経済まぐ .
5月より『金融経済まぐ』は『金融経済まぐジャーナル』にリニューアルとなり、火曜日配信に変更となります。
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[This week TOPICS]
◇colum1 山崎和邦『G20で日本の金融政策は理解を得ることができた』

◇イエスノー世論 『円の適正な値は120円くらいが妥当?』

◇colum2 高城剛『これから世界経済の中心となる東アジア』

◇colum3 大前研一『サッチャー元英首相が行った改革』
 
 周到な事前工作をしたであろうと、現政権党の政治営為を信用していたから、2月のG20会議の時のような緊張感を筆者は持たなかった。

 案の定、G20会議の事前に麻生さんは米財務長官と会談し、日本の金融政策は為替政策ではないと合意してもらっている。

 議長国の財務長官が味方してくれるし、イングランド銀行もIMFも味方してくれるのだから、途上国やドイツは悔しくも黙っていたのであろう。ともかく無事に済んだ。テレビで見る限りでは、インタビューに答える麻生さんの自信に満ちた表情は面白かった。

 もし、G20会議が日本の急激な円安誘導策を非難すれば、1ドル最低5円は下がり、確実に日経平均1,000円以上は下がる。

 このくらいの下げは過熱冷ましには結構なことだが、外圧によって下がることは、市場の自律作用としての整理相場ではない。故に、同じ下降現象でも健康体の生理としての一服と怪我で転んだとの違いである。

 しかし、2月のモスクアでのG20会議で採択された「為替レートを目的としない。通貨の競争的な切り下げを回避する」という文言は再び明記されたから、いつかは文句が来るはずだ。筆者は多少甘いかもしれないが、それは120円くらいの水準ではないかと思っている。

1) 第1次安倍内閣の時に120円中心、あの時は、米はサブプライム問題という住宅バブル破裂寸前で、日本よりも健康体でなかったが。

2) 榊原氏が図に乗って、米財務長官サマーズを怒らせてしまったのは、その手続きと事前工作の失敗だったろうが、その時の為替水準も120円がらみだった。

3) また、「日本が2%のインフレターゲットを実現させるには、1ドル120円くらいでなければ無理だろう」と米財界の論調もあるやに聞いている(週刊東洋経済誌)。

4) この諸悪のスタート点は、85年の「プラザ合意」だと筆者は思っているが、その時の半分の値が120円だ。120円というと75円から来たから大きく円安になった感じがするが、実はプラザ合意の時は240円だったのだ。その半分に届いたに過ぎない。

 というような訳であって、120円までIMF、米英から文句は出まい、というのは何も根拠はない。言わば、筆者の当てずっぽうだとして聞きながされたい。
著者
 山崎 和邦
慶應義塾大学経済学部卒。野村證券、三井ホームエンジニアリング社長を経て武蔵野学院大学名誉教授に就任。投資歴51年に及び野村証券時代の投資家の資金を運用から自己資金で金融資産までこなす。
 
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今週のイエスノー世論
円の適正な値は120円くらいが妥当?
円安が進み輸出型企業の業績回復が期待されています。ただ、過度の円安は原材料の高騰につながり業績が悪化する企業も出てきます。
そこで、みなさんが考える適正な為替はいくらでしょうか。
 
【あなたの意見はどっち?】
Yes!  1ドル115〜125円くらいまでが適正
No!  1ドル115円以下が適正、その他
投票結果はこちらから
 
前回の投票結果
日本経済、参院選後の景気は上昇するか?
日本経済、参院選までは好調を維持する意見が多いですが、参院選後の日本経済はどうなるとお考えでしょうか。
引き続き、良くなり続けるだろう
Yes!61%(554票)
いや、減速するだろう
No!39%(355票)
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 日本ではほとんどニュースになっておりませんが、先週中国海南省で「ボアオ・アジアフォーラム」が開催されました。これは、スイスのダボス会議のアジア版を目指して毎年開催されているフォーラムですが、実質は、中国とそこに連なる東南アジア、東アジア諸国の、中国への「朝貢会議」だと思われます。あたらしく国家主席になった習近平が唱えている国家を超えた「中華民族の復興」フォーラムそのものなのは間違いありません。今回、その習近平が行った基調講演では「今後5年間で中国の輸入額は10兆ドル(約969兆円)に達し、対外投資規模は5000億ドルに達する。海外旅行者は延べ4億人を超える見通しだ。中国が発展すればするほど、アジアと世界に発展のチャンスがもたらされる」と「(中国を中心とした)アジアの時代」を声高々に述べています。

 一方、この「ボアオ・アジアフォーラム」で、著名な経済専門家の胡祖六が「次の債務危機の発火点は、わが祖国の中国ではないかと懸念している」と爆弾発言しました。債務危機が発生する理由として、「国内総生産(GDP)に占める財政の規模は、隠れている地方政府出資の傘下企業などの債務を含めれば、35-37%に達し、これから社会保障、医療、環境などの分野への財政支出が増えていくのは間違いないので、そうなると50%に達する可能性も出てくる」と現状の中国の問題を指摘し、どこかで大きな曲がり角がくることに警鐘を鳴らしています。

 また、朝鮮半島の緊張が続くこのタイミングで、国際通貨基金(IMF)は、韓国の今年の経済成長率を前年比2.8%とし、1月時点(3.2%)から0.4ポイント引き下げ下方修正したことを発表しました。北朝鮮の財政状況が悪いのは言うまでもありませんが、実は韓国も想像以上に良くない状況下にあります。特に絶好調と言われていた建設業界の海外プラントが次々と頓挫し、優良と呼ばれていた建設大手は、あわせるように赤字を発表。グローバリゼーションの反動が表立って目につき始めました。

 そこで、出てきているのが朝鮮半島南北統一後の市場規模予測です。もし、現在の緊迫している朝鮮半島の状況が、今後一時的に悪化するにしても、近い将来南北統一すれば、どれくらいの経済規模になるのだろうか、と東西ドイツ統一後の復興に習い、算出するメディアが出はじめました。

 ウォールストリートジャーナルによれば、まず朝鮮半島南北統一に要する費用について約2兆ドル-3兆ドル(日本円にして約200兆円-300兆円)と試算しており、これは韓国のGDPの約3倍にも相当します。また現在、韓国と北朝鮮との経済格差はおおよそ15:1で、統一が実現した場合には国力に勝る韓国がその大部分を負担し、また、北朝鮮へのインフラ整備や食糧支援を初めとした総合的な援助を長期的に行う必要があるとしています。東西ドイツ統一の場合、経済格差は西ドイツ3:東ドイツ1でしたが統一にかなり苦労しましたので、この15:1の格差がある南北統一には、非現実的だ、という声が大きくあります。

 しかし、中国が言うように、「アジアの時代」であるとするなら、また、現在も危機に瀕している両国が不可能を可能とすれば、この地域の軍事緊張を低下させ、長期的には東アジアの民主化の進行し、世界中から投資が集まり南北統一したならば、中国だけでなく、周辺国家である日本も多大な恩恵を受けることが予測されています。すなわち、統一後の朝鮮半島は世界中から投資が集まる東アジア一の巨大な新興国になる可能性を秘めていると予測されているのです。

 そんな中、今年5月にソウルで開催予定だった日中韓首脳会談が見送られることが今週発表されました。表向きは、尖閣諸島問題で日本との距離感を取っているように見える中国ですが、実際は、米国との距離感を計りかねている状況だと思われます。中国にしてみれば、危機を起こさないが危機を持つ北朝鮮をいまは温存したいのでしょうし、その北朝鮮を裏で操りながら、米国との距離感をうまく掴みたいものだと思われます。一方、米国は国内の問題でそれどころではありませんが、東アジアの緊張を保ちたい点では、思惑が裏で中国と一致しています。

 今後世界経済の100年の鍵を握る東アジアには、いま緊張が続いています。その鍵は、中国と、日本と韓国を通じた米国との関係にあります。あたらしい枠組みを東アジアで作り、本当のアジアの時代を作れることができるのか? その鍵は米中が握っているのです。
著者
 高城 剛
日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオ・ビエンナーレ」でグランプリを受賞。総務省情報通信審議会専門委員などの要職を歴任。メルマガ「高城未来研究所」では実際に海外を飛び回って入手した世界情勢や経済情報など豊富な内容で配信。
 
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『高城未来研究所『Future Report』』04/19号より抜粋

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2013年創刊のまぐスペインタビューをまとめて公開!

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▼ 30代の若手を集めた、影のキャビネットによる小さな政府の実現

 鉄の女と言われ、1979年から11年間イギリス首相を務めたマーガレット・サッチャー氏が8日、脳卒中のため死去しました。

 強い指導力で国営企業の民営化や規制緩和を進め、小さな政府を目指し経済の自由化を実現する手腕は、他の先進国の経済改革に大きな影響を与えました。日経新聞に連載されたサッチャー元首相の“私の履歴書”は、素晴らしいものだったと思います。実際、彼女の記憶力、信念は素晴らしいものがありました。

 サッチャーさんは首相になった後、影のキャビネットを作りました。通常は野党が作るものですが、彼女はロンドン大学教授をリーダーにすえ、そこに私のマッキンゼー時代の同僚や、ロイヤル・ダッチ・シェル、バンク・オブ・イングランドなどのイギリスの一流企業に在籍する30才から35才までの若手を7,8人集め、毎週水曜日の午後に必ず自分自身の時間をとっていました。そこでは、自分が出したポリシーがイギリス各地にどのように受け入れられ、どうしたら上手くいくか。またポリシーとしてどういうものを出したらいいかを、全てこのメンバーに調べさせ、議論させました。

 私も一度、日英関係をテーマに参加しましたが、非常にユニークだと感じました。日本の安部首相だと、年齢の高いアドバイザーを招集したり、臨時の会議や委員会を作って議論させたりします。

 彼女は、常設の優秀な若手7名プラス先生を集め、自分の部屋で一週間議論させ、自分のポリシーの言い方が難しくないかなど、全部若手の言いたいように言わせ、まとめていくのです。この仕組は猛烈な効果を発揮し、サッチャー改革を支えた施策だと思います。また、彼女は根っからの小さな政府論者で、10年以上経済戦略研究所の副所長でした。そして、イギリス病の根治に相当な信念をもって取り組みました。

 世論や朝日新聞の反応を気にする日本の政治家とはだいぶ違います。そのため潰れた産業や街もあり、恨みも買いましたが、絶対にぶれませんでした。あまりにも急な改革に反発し、彼女の人気が急落した時期もありましたが、その直前にアルゼンチンがフォークランドに攻め込みました。彼女は強硬な姿勢を貫きました。

 アンドリュー王子もヘリコプターのパイロットとして従軍したことでも知られています。結果的に彼女は罷免されませんでした。その後、ゴルバチョフとレーガンの間をとりもち、冷戦終了まで持ち込みました。その意味で、彼女は信念に基づく傑出したイマジネーションを持っていたと思います。

▼ 現在のイギリスを形作った、サッチャー改革7つのポイント

 小泉元首相も小さな政府を提唱はしていましたが、郵政改革は選挙終了とともに中途半端なまま、再官営化に向かってしまいました。改革を続けることは非常に難しいものです。BBCのサッチャー元首相追悼番組では、労働党の人が口汚く罵っていました。どうしても恨みを買ってしまうものです。

 サッチャー改革のポイントは、民営化、財政、税制、規制緩和、金融政策、社会保障、労働組合でした。特に、税制では所得税率を83%から40%下げたのは素晴らしい。金融政策では、シティを世界金融の中心にするということもしました。ウィンブルドン化を伴う施策でしたが、この一連の改革がなければ、今のイギリスはトップクラスの国から脱落していたかもしれません。彼女がいなければ、あのまま衰退が続き、活力も全くなく、金融業も発展しなかっただろうと思います。ちなみに、現在、英景気の3番底が懸念されています。

 カナダ中銀のカーニー総裁をイングランド銀行の総裁へするという抜擢人事も発表しています。成長率も右肩下がりで失業率もサッチャー時代の20%弱より低いですが、8%台と上昇し、景気はあまり良くありません。ですが、EU諸国と異なり共通通貨を使っていないので、通貨調整できるので楽な面はあると思います。

 私は、イギリス人だけではなく、世界は彼女のような政治家の英知に感謝するべきだと思っています。特に、レーガンとサッチャーは非常に相性が良く、小さな政府を掲げ、お互いに徹底的な規制撤廃を行っていきました。

 日本はサッチャー革命の入り口にもきておらず、サッチャー革命の前のイギリスと同じ状況です。大きな政府へとひたすら向かっています。おそらく、サッチャー改革のなんたるかを、日本の政治家でわかっている人はいないと思います。日本の政治家がサッチャーのことを理解するのはまず無理だと思います。少なくとも、10年勉強しないと駄目だと思います。

『大前研一 ニュースの視点』04/19号より抜粋

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著者
 大前 研一
経営コンサルタント、経済評論家、社会起業家。世界的な経営コンサルタントとして知られ、平成維新の会後の特定非営利法人「一新塾」創立者。
 
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成果を出すためには、情報収集や分析だけではなく、解決策を実現していく強い意志を磨かなければいけません。ギリスのために、反発を受けても自らの信念を貫いたサッチャー元首相には──
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【金融経済まぐ】 2013/04/26 号(毎週金曜日発行)
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責任編集 :堀江大輔
スタッフ :本村彰英
 
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