これ以上話し合うテーマがあるのか!? TPP事前協議で米国の保護主義的条項を容認した安倍首相の大失敗

2013年04月16日(火) 町田 徹
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 気掛かりなのは、今回の合意の他の自由貿易協定への影響だ。今月初めに、日豪EPA交渉の合意案がスクープされて、その中で「農産品に対する関税を日本が残す代わりに、豪側は日本車への関税率(5%)を存続する」となっていた点を、経済産業省が「誤報だ」と釈明して回っていたが、これも一気に現実味を増してくるだろう。

 また、自動車に10%という高関税をかけているEUとも、EPA提携交渉が本格化するが、この引き下げ問題も実現が困難になりかねない。

 日米事前協議で譲歩するのなら、コメ、牛肉など日本側の自由化の例外とする聖域を見直して、関税の撤廃・引き下げを打ち出すような譲歩をすべきだった。そうすれば、米国に対して、米国内の保護主義勢力と向き合い、一段の貿易自由化に踏み込むように迫れたはずである。

 

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