今回決まった改革の第1弾、広域系統運用機関(送電の公正を確保する組織)の設立は、'15年目途。それまでは、電力会社が様々な嫌がらせで他企業の参入を邪魔することができる。これでは、有力企業による大規模参入は望めない。「成長戦略の柱」という触れ込みも結局は画に描いた餅となる。
こんないい加減な改革案が出てくるのは、今でも電力会社に天下りを受け入れてもらっている経産省が改革案を作っているからだが、肝心の電力事業の規制権限については、「独立性と高度な専門性を有する新たな規制組織へと移行」と書いただけ。経産省の出向者で固めた新組織ができることになる。
経産省と自民党がやる限り、電力改革はいつも形だけ。国民はまたしても騙されることになるのか。無力感だけが残る閣議決定であった。
『週刊現代』2013年4月20日号より
こが・しげあき/1955年生まれ。元経産省職員。改革派官僚として活躍したのち、'11年9月に退官。著書に『日本中枢の崩壊』(講談社)、『官僚の責任』(PHP新書)など。「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」も好評配信中
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