「合意を急ぎ、多くの分野で譲歩」し、「高い入場料を払わされることになった」---。
先週末(12日)に決着した、我が国の環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を巡る日米の事前協議について、週末の新聞各紙が一斉に集中砲火を浴びせた。日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が「残念である」と異例のコメントを出したように、産業界には失望の声が溢れている。
しかし、残念なのは、譲歩したこと、高い入場料を払う結果になったことではない。歴代の政権が決断の先送りを繰り返して交渉参加が遅れた以上、後発組として大きなツケを払わされるのは初めから予測されたことだ。
本当の問題は、米側の自動車関税の引き下げの目一杯の先送りを容認するなど、保護主義を容認する譲歩をしたことにある。こんな譲歩をしたのでは何のための自由貿易交渉かわからなくなる。日EU経済連携協定など、他の貿易交渉の悪しき先例にならないように、安倍首相に猛省を望みたい。
事前協議の早期決着を焦った日本
まるで風向きが変わったようだ。TPP参加を巡る日米事前協議の合意を伝えた13日の各紙朝刊紙面は、株高とアベノミクスへの期待から生まれていた「安倍首相との蜜月」が早くも終わりを告げたかのような印象を与えるものだった。
例えば、こういった具合だ。
「急いだ合意、目立つ譲歩 農業保護の代償に」 (日本経済新聞)
「TTP 車は大幅譲歩」 (朝日新聞)
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