知られざる封印アニメの悲劇!! 闇に葬られたもう1人のドラえもん
2013.01.23(水)
▲主人公憧れのあの娘が魚屋に行くなど時代背景が偲べる(諸般の事情でイメージ)
テレビ朝日制作のアニメ『ドラえもん』が放送される6年前に存在した日本テレビ版。今となってはフィルムも処分されたといわれており、テレビで放送されることは二度とない…。そこで、長寿アニメの代表格『ドラえもん』と『サザエさん』にまつわる様々な噂の検証とともに、アニメ製作現場の裏で起こった様々な出来事を振り返ってみると、意外な事実が見えてきた。それは――!?
まったくの別物!?2つのアニメ版『ドラえもん』
昭和48年に始まった日本テレビ版『ドラえもん』。半年間で52話が放送された、この初代アニメは、現在のテレビ朝日版と様々な点で違いがある。例えば、主役であるドラえもんの声優は当初、バカボンのパパ役などで知られる富田耕生氏が務め、後にドラゴンボールの孫悟空などで有名な野沢雅子氏に変更された。また、テレ朝版でスネ夫役の肝付兼太氏がジャイアンを演じ、のび太役の小原乃梨子氏がのび太のママを演じている点も興味深いところだろう。さらに、「タラララッタラー」の効果音でお馴染みの、四次元ポケットから「ひみつ道具」を取り出すシーンでは、ドラえもんが「あらよっと!」という掛け声をかけるという。
さて、漫画作品でも触れたように(編注:この文章の初出はルポ漫画本)日テレ版『ドラえもん』が終了した理由は、社長の失踪からアニメ制作会社が倒産したことによるが、封印された理由は、藤子・F・不二雄氏の意向が大きいと言われている。ところが実は、その主題歌は原作者本人が作詞しているのだ。日テレ版を「原作とはまったくの別物」と明言し、その存在を認めようとしなかった藤子・F・不二雄氏も、放送開始時はアニメ化に協力的だったことが窺えるのではないだろうか。ちなみに、主題歌はインターネットなどで聞くことができるので、興味のある方は探してみるといいだろう。
都市伝説として広まったドラえもん最終話の出来
ところで、1990年代に巻き起こった“ドラえもんの最終話”騒動だが、1ファンが書いたとされる“のび太開発者説”には、こんなエピソードが残されている。バッテリー切れで動かなくなってしまったドラえもん、だが、バッテリーを交換すれば、のび太との思い出とともに今までの記憶はすべて消えてしまう。そこで、のび太は死に物狂いで猛勉強し、ロボット工学の権威となり、見事にドラえもんを復活させたという説だが、その内容に感動した、ある小学校教諭から「道徳の授業で使わせてもらえないか?」と発行元の小学館に連絡が入ったというのだ。原作と様々な部分で矛盾が生じているとされる“のび太開発者説”とはいえ、それほど完成度の高い内容だったということなのだろう。一説には、これが裁判にまで発展した騒動のきっかけだったという話もあるのだが…。
都市伝説といえば、テレ朝版『ドラえもん』にも不思議な噂がある。“タレント”という謎の話が放送されたというものだ。「のび太の服の色がピンク」「知らない登場人物がいる」など目撃情報は多く語られているが、放送記録にはないという。同様に、藤子・F・不二雄氏が亡くなった日の深夜、「行かなきゃ…」と言い残したのび太が歩いていく後ろ姿が10分ほど放送されたという噂も流れた。ここまで来ると、都市伝説というよりも子供たちの他愛のないおしゃべりレベルと言わざるをえない気もするが…。
また、アニメだけでなく、原作漫画にも都市伝説は存在する。例えば“ばらばらボタン”という、他人の優れている部分を自分のパーツと交換できる道具を使ったのび太が、フランケンシュタインのような体になってしまった自分を見て後悔するという話には、アイデアに悩んでいた藤子・F・不二雄が、ブラックな作風を得意とした藤子不二雄Aのアドバイスを受けて描いたと、まことしやかなエピソードまで付いていた。
100話以上もの未収録作品が存在している事実
1996年9月、藤子・F・不二雄氏の逝去により、漫画のドラえもんは連載が終了した。単行本は45巻で止まったままである…。実は、この単行本、藤子・F・不二雄氏がセレクトしたものを収録して刊行しており、100話以上にも及ぶ未収録作品が存在するという。この状況が、このような様々な都市伝説を生み出す一因となっているのかもしれない。
しかしながら、アニメや映画は今も制作され続けている。しかも、2008年7月には舞台版『ドラえもん』が上演された。ドラえもん以外は生身の俳優が演じたものだ。1972年頃、実写版を企画したフジテレビスタッフにとっては複雑な気持ちだったかもしれない…。
サザエさんのエンディングが変更された訳とは!?
今年4月に30周年を迎えたテレ朝版『ドラえもん』。国民的アニメともいえる存在だが、さらに上を行く長寿アニメが存在する。それは『サザエさん』だ。実は意外にも、日曜夕方のお茶の間をほのぼのとした空気で包む、この『サザエさん』にも封印作品があるというのだ。
「来週もまた観てくださいね」と言った後、サザエさんがまんじゅうを口に放り込み、「んぐっ…くく」とのどを詰まらせるお馴染みのエンディングが、1991年よりジャンケンシーンに変更された。これは、「子供が真似すると、器官を詰まらせる危険がある」と複数の医師からの指摘があり、実際に、真似をした小学生の男児が死亡するという事件が起きたからだといわれている。他にも、1969年10月に放送された第1回放送の“75点の天才!”では、カツオが放送禁止用語を連発していたり、2000年12月に放送された“サンタとお約束”では、作中でサンタクロースが父親(マスオ)であることがわかる表現があり、視聴者から「子供の夢を壊すな」と抗議が殺到したという。
また、三谷幸喜が脚本を書いた1985年8月放送の“タラちゃん成長期”では、タラちゃんがプロテインを摂取して筋肉質な体になるというシーンが、サザエさんの作風に合わないとして、当時のプロデューサーの逆鱗に触れ、三谷が降板したというエピソードもあったようだ。さらに、カツオが耳を引っ張られるシーンや、タラちゃんが真っ裸で走り回るシーンなどにも視聴者からクレームがついたという。
しかしながら、これらは本当の封印作品とは言えないかも知れない。なぜなら、サザエさんは現在、一切のソフト化がされていないからである。また、1975年4月から『まんが名作劇場サザエさん』として再放送されたが、1997年11月に終了。現在、再放送の予定もないという…。ソフト化されない理由として「40年間も放送してきているものをDVDにしたら何百枚にもなってしまうため」とか「同じ話を何度も作り直しているからDVDにしたら、すぐにわかってしまう」とか「著作権料が非常に高額」とか様々な憶測が飛び交っている。確かにそれらも理由の1つなのかもしれない。
アニメも実写もソフト化されてない理由とは…!?
では、実写版サザエさんがソフト化されないのはなぜなのだろうか? これまで、江利チエミ、浅野温子など様々な役者がテレビや映画で、サザエさんを演じているが、こちらもDVD化の予定はないようである。
原作者の長谷川町子氏は生前、アニメについて「テレビでやっているサザエさんは、私のサザエさんとは別のもの。私はテレビのサザエさんとはなんの関係もありません」と語っており、元々、漫画以外での表現に対しては懐疑的だったという。また、観光バスの車体に無断でキャラクターを描いたバス会社に対して長谷川氏が起こした裁判以降、サザエさんの版権管理が一層厳しくなっていったとも言われている。
『ドラえもん』も『サザエさん』も親子二代、三代と長きに渡って、日本国民を楽しませてきた『名作』である。理由が説明されないまま、その歴史が、闇に葬られ、封印されるのは、ファンへの裏切りであり、作品に対する冒涜ではないだろうか…。
(文・編集部)