「才能を潰す上司」から自分を守るたった1つの方法

2013.04.25 21:00
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こんにちは。メンタルトレーナーの森川陽太郎です。

以前、「天才パワーで結果を出す!」の記事でも書きましたが、日本人は才能に対してコンプレックスを持っています。才能が欲しいのに、「才能を持っていると思うこと」に罪悪感を覚えるような自己矛盾を起こしているのです。

そして、自分の才能を活かせていない人ほど「他人の才能」を認めることができません。その存在が身近であればあるほど、受け入れることは困難になります。逆に、その人に自分の概念を押し付けて、その才能を潰してしまうことさえあります。

私は海外のサッカーチームで選手としてプレーした経験もありますが、日本人には「自分の才能」を見つけ出す能力、さらには「人の才能」を最大限発揮させる能力が欠落しているように感じます。その原因は「自己満足」にあるのです。

今回は、大手企業で営業職としてトップ5に入る成績を残し、ヘッドハンティングされ転職した結果、成績を大きく落としてしまった営業マンの事例について書きます。なぜ、それだけ優秀にも関わらず、新天地で結果を残せなかったのでしょう? 彼は、上司の「才能を潰す自己満足な行動」に巻き込まれていたのです。その代表的な傾向と解決策を合わせて紹介します。


常に部下よりも優れていようとする上司

彼が巻き込まれていたのは、チームで仕事をしている時に、部下よりも自分の方が優れていることを証明しようとする上司でした。仕事を成功させるよりも、自分のやり方の正しさを証明することに意識が向いてしまい、部下が自分と異なるやり方で結果を出してもそれを認めません。さらに、自分のやり方を押し付けもします。

こういったタイプの人に共通する心理的傾向は、承認欲求が強いことが挙げられます。集団の中で尊敬、地位、名声、権利、注目などを得ることで、自身の欲求を満たすことを無意識に優先してしまいます。

日本ではポジティブ思考や、道徳的な考えが優先され、自分自身の欲求と向き合うことをやめてしまっていることがよく見受けられます。自分の欲求と向き合うことは、自分の汚い部分を見なくてはならず、多くの人が「きれいごと」で欲求をおざなりにしてしまうのです。

その結果、評価基準が常に「他者」にある状態になります。不安定な自信に支配され、他者よりも優れていることを証明しようとし、自分のやり方に従わせることで無意識に承認欲求を満たしているのです。こうした傾向にある上司は、今まで結果で満足感を得た経験に乏しい場合が多く、目先の得やすい欲求ばかり満たそうとするクセが付いてしまっています。


才能を潰す上司に見られる傾向


  • 「社会人として...」「人として...」など、常識を主語にして話す人
  • 「でも...」など、相手を否定する会話からはじまる人
  • 質問されることに喜びを感じている、相手から依存されることに無意識のうちに自分の存在価値を感じている人
  • 自分のやり方に従わず成功したことに不満を感じる人
  • 結果で満足感を得るのではなく、過程で満足感を得ようとする傾向のある人


これらの傾向は全て自己満足につながります。

さて、営業マンの彼は、そんな上司の自己満足に巻き込まれ、成績を落としていたのです。では、どのように再び成績を上げられるようになったのか、その方法を紹介します。


過程ではなく結果を輝かせるための「シゴト時短」思考法

彼は、転職前までは「結果」で満足感を得ていました。しかし、転職し、新しい環境に慣れ、円満な人間関係を構築しようとするあまりに、「結果」よりも「過程」に意識を向けるようになってしまったのです。この場合の「過程」を具体的に言うと、上司を喜ばせる対応です。

才能を潰す上司と出会うと、常に上司の顔色ばかり伺いながら仕事をするようになります。それでは上司に気に入られることが結果になり、仕事を成功させることに意識を向けられなくなってしまうのです。

そんな上司のもとでも成績を残す方法は「自分自身が自己満足に陥らないこと」です。具体的な方法としては、拙著『ネガティブシンキングだからうまくいく35の法則』でも紹介している「10時間かけてしていた仕事を3時間でやめる」が有効です。

もちろん、職種によっては「無理だよ!」という声もあると思います。しかし、大切なことは上司を満足させるために時間をかけてしている仕事をやめ、結果を出すために必要な仕事だけをすることです。

仕事の時間を短くするということは、それだけ本人にかかる責任も大きくなります。時間をかけていることで、結果が出なくても許されてしまっていたこともあるはずです。しかし、責任を負うことから逃げていては、いつまでも自分の才能を生かせません。いきなり減らせない場合は、1時間ずつでも仕事の時間を減らしていくと有効です。「最大限の努力で結果を出すクセ」から抜け出し、「最小限の努力で結果を出すクセ」をつけることが、上司に才能を潰されず、自分の才能を発揮するためには重要なのです。

このようにアドバイスをした営業マンの彼は、自己満足に陥っていた自分自信に気づき、結果に意識を向けて仕事に取り組み出したことで、再び営業成績を上げられるようになりました。


(森川陽太郎)
Photo by Thinkstock/Getty Images.


森川陽太郎ブログTwitter):元サッカー選手として欧州でプレー。引退後、心理学やメンタルトレーニングを学び、2008年株式会社リコレクト設立。著書に『いつもの自分トレーニング』『ネガティブシンキングだからうまくいく35の法則

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