つるやオープンの第1ラウンドで9アンダーの62をマークし、史上初のエージシュートを達成して単独首位に立った尾崎将司選手=25日、兵庫県川西市の山の原GC
|
 |
◇つるやオープン<第1日>
▽25日、兵庫県、山の原GC山の原C(6793ヤード、パー71)▽晴れ、気温20度、風速3メートル▽賞金総額1億2000万円、優勝2400万円▽144選手(うちアマ1人)▽観衆2162人
ジャンボが大爆発した。尾崎将司(66)=マックス・インターナショナル=が62をマークし、国内レギュラーツアー史上初めて年齢以内の打数で回るエージシュートを達成した。1イーグル、9バーディー、2ボギーの9アンダー、圧巻の内容だった。腰痛のため途中棄権や予選落ちが続き、昨年は1度も予選を突破できなかったが、ため込んでいたマグマを一気に噴火させた。04年マンダムルシードよみうりオープン第1ラウンド以来、3234日ぶりにトップに立ち、目標とするツアー最年長優勝記録更新も見えてきた。
ホールが進むにつれ、ギャラリーの中から「ジャンボのスコア、すごいよ」という驚きの声が増えていった。尾崎将が、全盛時のような多くのギャラリーを引き連れて歩く。バーディーパットを決めるたびにガッツポーズ。アウトは5バーディー、ノーボギーの30。インに入ってもバーディーラッシュは続き、「ひょっとしたら…」という異様な雰囲気に包まれた。
17番510ヤードのパー5。第1打は302ヤードのビッグドライブでフェアウエーへ。第2打をピン右奥7メートルに乗せ、1パットで沈めてイーグル。万歳、そして刀を鞘(さや)に収めるポーズ。さらに、右手首を曲げてコブラがかま首をもたげているようなコブラポーズまで飛び出した。
2002年日本シリーズ第1ラウンド以来の62。大喝采を浴びてご機嫌のジャンボは「今年は話題を提供するって言ったじゃない」と、群がる報道陣を前に、まずは有言実行をアピール。不調だったアイアンのシャフトを替えた。さらに前日、今季新たに契約したアダムスゴルフを国内展開するテーラーメイド社のワークショップカーで、手に馴染みそうなピン型のパターを発見。投入した新兵器が当たって、笑いは止まらない。
エージシュートはシニアツアーでは青木功らが達成しているが、レギュラーツアーでは国内初。大変な偉業だが、本人は「エージシュートは目指していない。でも、66(以下)というスコアは出したいと思っている、6〜7アンダー出てくれないとレギュラーツアーでは戦っていけない。その意味ではうれしい。目標はトーナメントで勝つこと」と、大騒ぎする周囲をよそに、「あくまで通過点」を装った。
66歳で今なおレギュラーツアーにこだわるとはいえ、条件は年々悪くなる。年齢、腰痛…。強がってはいるが、「ひそかにベッドの中で泣いている」と笑わせた。もう一度、脚光を浴びたい。だから、日々の努力を怠らない。昨年は加圧トレーニングを試した。今はゴムチューブなどを使って肩関節を軟らかくするトレーニングを行っている。
道具への工夫も。ドライバーのシャフトを、前年より1インチ長くした。「手打ちが少なくなる。ほかのショットにもいい影響が出る」という。
プロ通算113勝(海外1勝を含む)の記録を、さらに伸ばすチャンス到来。「明日は(会見でなく)立ち取材にならないようにしないとな」。久々のジャンボ節。その言葉に、してやったりの顔がのぞいた。 (櫛谷和夫)
この記事を印刷する