政府は23日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を首相官邸で開き、成長戦略の主要項目を議論した。農地を集約して競争力を強化する一方、正社員の解雇規制の緩和は見送られる方向となった。6月の成長戦略策定に向けて法制化の手続きや工程表の作成など詰めの作業に入る。
環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に備えた農業強化策としては、小規模農地集約の受け皿となる「農地中間管理機構」(仮称)を都道府県単位で新設する。農地の貸借を容易にするため補助金などの国費を投入し、市町村や農協(JA)、民間企業の協力を得て農地の大規模化を加速し、農業経営を効率化する。
また、「和牛」や「日本酒」など品目ごとに輸出戦略を検討する。ロシア・中東・トルコ歴訪を控える安倍首相は会議で「日本の農産品を持って行き、積極的な売り込みを図りたい」と強調した。
正社員の解雇規制の緩和は提案していた民間議員が取り下げた。成長戦略の雇用政策としては、余剰人員の再就職を支援した中小企業に支給している「労働移動支援助成金」を大企業にも支給することを盛り込む。衰退産業から成長産業への「失業なき労働力移動」を促進し、中小企業などの最低賃金の引き上げを可能とする環境整備も明示する。