【社説】東アジア最大の懸念材料となった安倍政権の日本

 日本の安倍晋三首相は23日の国会答弁で、1995年に村山富市首相(当時)が日本による過去の植民地支配や侵略を謝罪した「村山談話」について「侵略についての定義は、学界でも、国際的にも定まっていないと思う。国家と国家の関係で、どの観点から捉えるかによって違ってくるものだ」と述べた。安倍首相は22日の国会答弁でも「村山談話をそのまま継承しない」とした上で「戦後70年となる2015年にアジアに向けた新たな談話を発表したい」との意向を明らかにした。村山談話は1995年3月15日、第2次世界大戦の終戦から50年を控え、当時の村山首相が談話として発表したもの。その内容は「(日本による)植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」「疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からお詫びの気持ちを表明いたします」などとなっている。

 旧日本軍が韓国、中国、フィリピン、インドネシアなどアジアの女性を性奴隷として動員した事実を認めた1993年の「河野談話」と、植民地支配と侵略の歴史を反省した1995年の村山談話について、安倍首相は就任前からこれらを否定する考えを何度も表明してきた。日本による侵略と植民地支配が行われた時期、韓国国民は日本軍に直接虐殺、あるいは戦争の最前線で弾よけとされ、また地下数百メートルの炭鉱で強制労働に苦しみ多数の人々が命を失った。このような苦しみを体験した韓国国民としては、両談話は決して満足できるものではない。それでも韓国や中国などアジア諸国は過去の傷を乗り越え、日本と共に未来を築く最低限の条件あるいはきっかけとしてこの二つの談話を受け入れた。ところが安倍首相はこの二つの談話を否定することにより、過去の反省と平和への誓いを持って再出発した自分たちの歴史を否定し、さらに韓国、中国をはじめとするアジア諸国とは「平和」と「相互尊重」の未来を築く意思がないことを宣言する形となった。安倍首相は23日夜には独島(日本名:竹島)と尖閣諸島(中国名、釣魚島)関連の専門家会議を開き「日本の立場を国際社会に正確に伝えることが重要だ」と指示。歴史の否定と共に領土への野心も露骨に口にし始めた。

 安倍首相が語る「侵略」が、日本帝国主義によるさまざまな侵略戦争の中の何を指しているのかは明確ではない。日本は1894-95年の日清戦争により台湾を奪い、1910年には朝鮮を強制的に併合した。さらに日本は1931年に満州事変を起こし、37年には中国との全面戦争に突入。41年12月8日にハワイの真珠湾を奇襲攻撃して第2次世界大戦へと突き進んだ。

 もし安倍首相の発言が韓日強制併合(日韓併合)を念頭に置いたものであれば、安倍首相は「韓日関係に未来はない」と宣言したことになる。日本による植民地支配はわが民族を絶滅の危機に追いやり、韓半島(朝鮮半島)分断など今なおわが民族が味わう苦痛の原因となっている。日本による韓半島侵略と植民地支配という厳然たる歴史的事実を「見方によって異なる」と強弁するのは、日本による植民地支配の私生児ともいえる北朝鮮が、北東アジア全体を核の恐怖に陥れるのを正当化する論理とよく似ている。

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