IAEA調査団 汚染水対応が最大の課題4月22日 19時10分
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業の検証を進めてきたIAEA=国際原子力機関の調査団が22日、すべての日程を終えて会見し、「汚染水への対応が直近では最大の課題だ」として、東京電力と政府は汚染水による敷地外への影響をさらに調べ説明すべきだと指摘しました。
IAEAの調査団は22日までの8日間の日程で、国や東京電力から聞き取りを行ったほか、福島第一原発を訪れ廃炉に向けた作業や汚染水の問題などを調べてきました。
調査団長のIAEAのレンティッホ部長が会見し、汚染水が漏れるトラブルが相次いでいることについて「福島第一原発では汚染水への対応が直近では最大の課題だ」と述べたうえで、汚染水の管理の信頼性をより高めるとともに、東京電力と政府は汚染水による敷地外への影響をさらに調べ説明すべきだと指摘しました。
また、ネズミが原因で22日も使用済み燃料プールの冷却が一時止まったことについて、「仮の設備を恒久的なものに換えていくことが重要だが、それでもトラブルは起こるので、起きたときに迅速に対応する能力が重要だ」と話しました。
さらに、40年かかるとされている廃炉については「何年かかるということを計画で定めても、膨大で複雑な工程なので確約は非常に難しい。安全側に立って注意深く当たらねばならない」と話し、廃炉の難しさを強調しました。
そのうえで、レンティッホ部長は「廃炉作業には社会からの信頼が欠かせない」と話し、東京電力はトラブルに関する情報提供を見直すなど追加的な対策が必要だと指摘しました。
調査団は報告書の案を日本政府と東京電力に提出していて、正式な報告書を1か月以内に公表することにしています。
IAEA調査団の調査
IAEAの調査団にはIAEA本部や加盟国の廃炉や放射線などの専門家13人が参加し、団長は核燃料サイクル・廃棄物技術部長で、スペイン人のファン・カルロス・レンティッホ氏が務めています。
一行は日本政府からの要請を受けて今月15日に来日し、22日までの8日間の日程で、福島第一原発の廃炉に向けた工程を始め、原子炉の冷却状況、増え続ける汚染水への対応、それに核燃料の取り出し前の準備などを調べてきました。
調査団はまず、東京電力の幹部や国の資源エネルギー庁の担当者から聞き取りを行いました。
また、今月17日には福島第一原発を訪れて丸1日かけて調査を行い、廃炉作業の拠点の「免震重要棟」を訪れ、高橋毅所長などから話を聞きました。
さらに、水漏れが相次いで見つかった貯水槽のほか、地上にあるタンク、それに試運転が続く多くの種類の放射性物質を取り除く処理装置など、汚染水対策の設備を視察しました。
このほか、ことし11月から使用済み燃料の取り出しが始まる4号機では、最上階に上って使用済み燃料プールに保管されている核燃料の状況などを確認しました。
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