都議選:猪瀬人気に便乗「オール与党化」
毎日新聞 2013年04月23日 00時14分(最終更新 04月23日 17時16分)
全国最大の地方選挙である東京都議選(定数127、6月14日告示、同23日投開票)まで23日で2カ月と迫った。現在のところ、過去の築地市場移転や新銀行東京問題のような争点は浮上していない。むしろ都議会は史上最多の434万票で当選した猪瀬直樹知事との協調関係をアピールする「オール与党化」が進み、有権者が選択に悩む選挙になりそうな雲行きだ。
3月末。猪瀬知事は都議会各会派の都議とツーショット写真を撮影する時間を設けた。都議選のポスターやチラシに活用してもらう狙いで、石原慎太郎前知事の時代にはあり得なかったこと。「どこにでもいい顔をしている」「野党にもエールを送るのは理解できない」。昨年末の知事選から猪瀬氏を支援してきた自民や公明など与党の一部から不満も漏れた。しかし結局、与党都議のほか、民主党からも約30人が撮影を希望した。
民主党は4年前、54議席を得て初の第1党に躍り出たが、当時掲げた「築地市場移転反対」はその後「移転賛成」に転換。今年3月の定例会では13年度予算案を含め、知事提出の全議案に賛成した。「政権を取っても公約が実現できずに終わり、現場で『民主はうそつき』と言われる。あれもこれもやります、とは言えない」と同党都連幹部。今月21日に都内の商店街で行われた街頭演説では細野豪志幹事長が安倍政権を批判した後、傍らの都議が安倍政権と関係が良好な猪瀬知事について「考え方は評価できる」と持ち上げる場面も見られた。
補選以外では初の都議選に臨む日本維新の会とみんなの党も攻め手を欠く。3月に行政改革を柱とした共通政策を発表したが、維新は14日の兵庫県宝塚市、伊丹両市長選で公認候補が敗れるなど失速気味だ。知事選で猪瀬氏を支援した維新に対し、みんなは都政に是々非々で臨むとするスタンスの違いもあり、みんな幹部は「両党の主張の中心は国政変革で、都議選は争点が見えづらい」とこぼす。
また、共産党や地域政党の生活者ネットワークは都知事選に続き脱原発を唱える方針だが、都政課題の実績を強調する自民や公明との間で議論はかみ合いそうもない。
毎日新聞の集計(22日午後7時現在)では、都議選は前回09年に立候補した221人を上回る230人が出馬を予定し、今後さらに増えそうだ。【竹内良和、和田浩幸、佐々木洋】