’13都議選:投開票まで2カ月 首都決戦、230人出馬へ 参院選の前哨戦 9党乱立 第三極、地盤築けるか /東京
2013年04月23日
過去の都議選結果
都議選(6月14日告示、同23日投開票)まであと2カ月。毎日新聞の集計(22日午後7時現在)では、42選挙区計127の議席を巡って既に前回の09年(221人)を上回る230人の立候補が固まり、地域政党を含め9党が公認候補を擁立する構えだ。前回大敗した自民党が第1党に返り咲くのか、日本維新の会などの「第三極」が首都に地盤を築けるか−−。各党は7月の参院選の前哨戦と位置づけて首都決戦に臨む。【佐々木洋、竹内良和、和田浩幸】
都議選と参院選は12年に1回、同じ年に行われ、今年も重なる。浮動票が多い都議選の結果は、直後の国政選挙にもそのまま反映されるケースが多い。参院選と連動した89年、01年の都議選も同様の結果だっただけに、各党は「都議選に勝つことなくして参院選の勝利はあり得ない」として、党首クラスの大がかりな応援を予定している。
今回のもう一つの特徴は、昨年末に猪瀬直樹知事が就任してから初の都議選という点だ。知事選では自民、公明、維新が猪瀬氏を支援し、民主は自主投票、共産は対立候補の支持に回った。今年の都議会第1回定例会では、最大会派の民主も知事提出議案に全て賛成。就任4カ月で「オール与党化」が進んだように見える中、都議選は各党の猪瀬都政へのスタンスが改めて問われる機会になる。
参院選もにらんだ各党の政策も固まりつつある。補選を除けば初の都議選になる維新とみんなは、定数3以下の選挙区での共闘を決め、3月1日に都議会定数削減や上下水道を含めた全公営企業の民営化など18項目の共通政策を公表した。公明は今月8日、液状化対策の強化や若年層の就労支援など21項目の重点政策を発表。自民や民主なども今後、訴えをまとめる予定だ。
石原都政下での新銀行東京や築地市場の移転問題のようなはっきりした対立軸は見えにくいが、首都直下地震への備えや、急速に進む少子高齢化、待機児童対策など、首都の課題は山積している。各党にはより具体的な政策の提示、有権者にはその実効性を見極める目が求められている。
◆民主
◇逆風が吹く中、公認13人も減
前回54議席を獲得して第1党に躍り出たが、離党者の続出で11議席も減らし、自民との差は3議席にまで迫っている。政権も失い逆風が吹く中、公認を4年前に比べ13人少ない45人に絞った。5選挙区に立候補者がおらず、2人を擁立したのも8選挙区しかない。新人は前回の24人から4人へと大幅に減り、現職も41人中18人が当選1回のため、知名度や地盤に不安を抱える。現職で未公認の大津浩子氏は、去就に関する詳細を明らかにしていない。
◆自民
◇即戦力をそろえ第1党再奪取を
前回の惨敗で、現職不在の空白区は9選挙区に上る。今回は全区に前回(58人)並みの計57人を公認。元職6人を擁立したほか、新人17人も多くは当選を重ねた区議、市議で「しっかりした支持基盤がある即戦力をそろえた」(ベテラン都議)。安倍晋三内閣の高支持率を追い風に、第1党の座を奪い返すのが目標。自身も返り咲きを狙う内田茂・都連幹事長は「安定した都政運営のため、公明と合わせて過半数確保を目指す」と意気込む。
◆公明
◇第三極に危機感、現職必勝で臨む
新人は1人も擁立せず、20選挙区で現職23人を全員公認した。維新などの第三極の登場には強い危機感を持っており、中嶋義雄幹事長は「かつてないほど厳しい選挙戦になると覚悟している。このため候補者を絞り込み、現職の全員必勝を目指す」と気を引き締める。自民と合わせて引き続き過半数の議席を確保し、都政与党の座を維持するのが目標。候補を立てない残り22選挙区については、自民候補の支援なども含めて対応を検討する。
◆共産
◇議案提出権得る11議席以上目標
97年の26議席をピークに、01年は15、05年は13と徐々に党勢が縮小し、前回は8議席にとどまった。今回は議案提出権を得られる11以上の議席回復が目標だ。前回は擁立が39選挙区にとどまったが、今回は全42選挙区に候補者を出す構えで、36人が決まっている。板橋、世田谷両区で実績豊富な4期目の現職が引退し、議席を死守しながら世代交代を進められるかどうかもポイント。前回は次点に泣いた元職5人も全員が雪辱を期す。
◆維新
◇衆院落選組など経歴はさまざま
みんなの党と合わせて全選挙区での候補者擁立を見据え、22日現在で31選挙区に35人を立てた。1月末からの公募で選んだ新人候補の経歴は、衆院選の落選組や現役の地方議員、元首長、マスコミ関係などさまざま。現職と元職も民主、自民からの転身だ。3月に発表したみんなとの共通政策は行政改革などが柱で、都総支部は「自公との対立軸になる勢力を目指す」。都議選初挑戦ながら「みんなと合わせて第1党」という高い目標を掲げる。
◆生活者ネット
◇候補者全員女性、反原発票も狙う
都内の区市議会には51人の議員がいるが、都議選での獲得議席は最多の6人(01年)から前回は2人にまで減った。代表質問ができる5議席の確保を視野に、前回と同数の女性5人を公認し、会派所属の現職1人の推薦を決定。議席奪還を目指す杉並、練馬区の両選挙区で実績のある区議らを擁立したほか、大田区でも初議席を狙う。「原発0(ゼロ)」や若者・女性の社会進出を掲げ、従来の支持層に加えて「反原発票」の取り込みも図る。
◆みんな
◇維新協力の一方、独自政策発表も
「定数4に1人」を原則に、17選挙区に新人19人を擁立し、今後数人を追加する予定。定数1~2の選挙区に出馬する5人は、維新が選挙協力する。維新との共通政策に加え、党独自の政策も発表する構えで、東京ブロック長の松田公太参院議員は「都側と是々非々の議論をしたい」。唯一の現職の野上幸絵氏は選挙区を調整中。
◆社民
◇12年ぶりの議席、世田谷区で挑戦
12年ぶりの議席を目指し、世田谷区で都議補選(昨年12月)でも擁立した元区議を再挑戦させる。2年前に当選した保坂展人区長が社民党の看板国会議員だっただけに、都政に再び地歩を築く出発点にしたいところだ。
◆みどりの風
◇脱原発など訴え首都進出足場に
参院選を「党の存亡をかけた戦い」(谷岡郁子代表)と位置付け、首都進出の足掛かりとする意味も含めて、目黒区に民主を離党した区議を擁立した。電力の最大消費地である東京から「脱原発」などを訴えていく。
◆諸派・無所属
◇世田谷から元職、葛飾では元区議
01~09年に議席を持っていた「行革110番」の代表が世田谷区から、葛飾区では元区議の新人が、それぞれの政治団体の公認で出馬する。無所属ではネット推薦の現職と民主を離党した現職のほか、新人4人が挑む。
〔都内版〕