安倍晋三さま。先日の記者会見で、成長戦略の柱の一つに「女性の活用」をあげられたことに感銘を受けました。5年後の「保育所・待機児童ゼロ」を目指すとのこと。「保活」の心配が[記事全文]
宮城県が国に申請していた「水産業復興特区」が認められた。石巻市桃浦地区の漁師と県内の水産卸会社がつくる会社が、今秋から漁業権を直接持ち、カキ養殖を本格化させる。沿岸部で[記事全文]
安倍晋三さま。先日の記者会見で、成長戦略の柱の一つに「女性の活用」をあげられたことに感銘を受けました。
5年後の「保育所・待機児童ゼロ」を目指すとのこと。「保活」の心配がなくなれば、若い世代も安心して働きながら子どもを産み育てられるでしょう。
自民党が、ついに「男は外で仕事、女は家で子育てすべし」という考え方と決別したと理解していいでしょうか。
驚いたのは、「3年育休」です。3年休めるうえ、仕事に本格復帰する前に大学や専門学校などで「学び直し」ができるよう支援すると。
1年未満で契約を更新し、いつ雇い止めになるか不安な有期雇用の非正規社員も多いなか、「どこの国のことか」とも思いましたが、恵まれた正社員でなくても育休3年を可能にする秘策があると見ました。
共働きで何とか生活を成り立たせている家庭が少なくないなか、一人が休んでいる間の金銭的な保障も、確固たる財源の裏付けとともにいずれ打ち出されることを期待します。
ただ、心配もあります。「育休推進」が、まさか「休んで子育てするのは女性」という前提ではないですよね。
首相自ら「3歳になるまでは男女が共に子育てに専念」とおっしゃる通り、男性を子育てに巻き込まないと、本当の女性活用にはならないし、経済の活性化もおぼつかないでしょう。
そこで提案があります。男性の育休取得をもっと強力に推進するのです。
女性の育休取得率は、すでに9割に迫ります。一方、男性の方は、ようやく2・6%。そのうち6割強は「2週間未満」しか休みません。
育児休業は子どもが少なくとも1歳になるまで取れますが、父母ともに取得する場合、1歳2カ月までの延長を雇用主に義務づける「パパ・ママ育休プラス」が実施されています。
ここを大きく進めて、スウェーデンのように、男性しかとれない育休期間を60日設ける「パパ・クオータ制」の導入も検討してはいかがでしょうか。
女性が2人目の子どもを産むかどうかは、夫の姿勢がカギを握ります。厚生労働省の調査によれば、第2子以降が生まれる割合は、夫が休日にまったく家事・育児に参加しない家庭で約1割ですが、6時間以上だと7割近くになります。
男女ともに能力を最大限に活用しながら「抱っこし放題」の時間も持てる。そんな社会を目指すなら大歓迎です。
宮城県が国に申請していた「水産業復興特区」が認められた。石巻市桃浦地区の漁師と県内の水産卸会社がつくる会社が、今秋から漁業権を直接持ち、カキ養殖を本格化させる。
沿岸部での養殖にかかわる漁業権は、漁業法で県が漁協に最優先で与える仕組みだ。
東日本大震災を受けて成立した復興特区法は被災地に限ってこのしばりをなくし、桃浦地区では地元漁師らによる法人も漁業権を持てるようになった。
桃浦地区の漁師は、津波で船や養殖施設、自宅を失い、漁協の組合員として自力で漁を再開するのが不可能になった。このうちの十数人が卸会社に資金や経営ノウハウを提供してもらい、養殖業の再建をめざす。
後継者不足、不安定で少ない収益など、震災前から課題は山積していた。
会社の社員となって給料を受け取る形に改め、収入を安定させる。若い担い手を呼び込む。漁協頼みの販売からスーパーなどに直接売り込んで、加工や流通までにらんだ6次産業化や産地のブランド化を進め、利益を確保する――。
こうした新たな取り組みには、会社が漁業権を持ち、安定した基盤を築くことが欠かせない。被災地の漁師の挑戦に期待したい。
残念なのは、宮城県漁業協同組合や全国漁業協同組合連合会が、この特区に反対し続けていることだ。
漁業権を漁協と会社がそれぞれ持つと、漁場でのトラブルにつながりかねない。漁師らの会社自体が今は漁協の組合員になっており、このままで十分ではないか。こんな主張である。
会社が目指す6次化やブランド化は、本来、漁協こそが取り組むべき課題だろう。
宮城県漁協は今後、漁協による共同販売事業のあり方を見直していくという。これまでの努力が十分だったか、共販制度がもたらす手数料頼みに陥っていないか、よく検討して改革案をまとめてほしい。
消費者の魚離れと漁師の高齢化が同時に進む苦境は、被災地に限らず全国に共通する。
漁業権のあり方は、政府の規制改革論議でもたびたびテーマとなってきた。漁業権が既得権益化し、それが漁業の変革を妨げていないか、改めて検証が必要だろう。
水産業特区の試みを、被災地での例外的なケースにとどめてはなるまい。
漁業を取り巻く課題を見つめ直す機会ととらえ、改革への起爆剤としたい。