奈良・吉野山:霊場がアニメ聖地に 地元実行委がファン向けイベント
2013年04月19日
ユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一つで桜の名所・吉野山(奈良県)が、アニメファンの間で“聖地”とされ注目を集めている。女子高生が主人公の異色のマージャン漫画で、吉野山が舞台として描かれた影響。観光資源としての可能性に着目した地元は13日、実行委員会(委員長、北岡篤・吉野町長)主催のファン向けイベントを開いた。
小林立さん原作の漫画「咲−Saki−阿知賀編」で、12年にはアニメ化もされ人気を集めた。作中で、吉野山はヒロインたちの出身地。吉野山の桜や金峯山寺(きんぷせんじ)の仁王門などが風景に描かれている。実行委によると、昨春ごろからファンが作品の関係地を巡る「聖地巡礼」が盛んになったという。
北岡町長や旅館、飲食店経営者ら10人で昨年7月、ファンをもてなすための実行委を発足させた。当初は「オタク」の来訪に戸惑う声もあったが、「年間観光客の6〜8割を占める桜の咲く時期以外も、吉野山がにぎわうようにしたい」(実行委)と考えた。作中で主人公が全国大会準決勝に出場することに関連して、漫画の舞台でもある吉水神社(吉野町吉野山)で「必勝祈願」を開催すると、各地からファン約20人が集まった。
13日のイベントは、作中で主人公たちが決勝進出を果たしたことを祝って、ファン約30人が吉水神社を参拝した。佐藤一彦宮司が取り仕切るなか、「決勝進出おめでとう」というメッセージや、好みのキャラクターの似顔絵などを描いた絵馬を奉納した。作中で背景に描かれる参道や広場を巡り、写真撮影するなどして楽しんだ。
東京都杉並区の会社員、藤森寛孝さん(24)は、登場人物に似たセーラー服姿でイベントに参加し、観光客の視線を集めた。「注目されるのは恥ずかしいけれど、好きな作品にちなんだ格好を、その舞台でできるのはうれしい」と話していた。【宮本翔平】