■中堅財閥の破綻が増加
特に苦悩しているのは中堅の財閥だ。2011年に企業再生手続き(民事再生手続きに相当)を申請した企業の数は5年前の5倍となり、その後さらに悪化している。
今回、最初に衝撃が走ったのは12年9月に企業再生手続きを申請した熊津(ウンジン)グループの破綻だ。同社は財閥上位35社に名を連ね、建設や造船、貯蓄銀行、太陽光発電などの不振産業で広く事業を手掛けていた。
ウンジン破綻を機に、資本市場の流動性が低下し、資金繰りの苦しい他の財閥への圧力も強まった。とりわけ、再生手続き中の多くの企業が破綻直前の数週間に市場から借り入れをしていたという事実に、資本市場は動揺した。それが地方の信用機関に対する信用危機にもつながった。
銀行システムの健全性に対する懸念も広がっている。多くの貯蓄銀行がすでに破綻し、規制当局は最近数カ月で20数行に営業停止命令を出した。ここに来て、大手銀行にも圧力が及び始めている。調達した資金を融資などに回して得る利益を映す「純金利マージン」が低下する一方、不良債権が徐々に積み上がって収益を圧迫し、今後の数四半期は2桁の減益になるとみられている。
■借り入れに頼らないモデル構築を
韓国は過去に何度も逆境を乗り越えてきた。しかし、世界各国で経済成長が減速し、通貨を巡る競争圧力が強まり、(限られたパイを奪い合う)ゼロサム的な考え方が顕著になっている現在でさえ、韓国も日本も輸出を成長の主たる原動力とするモデルを追求し続けているようにみえる。
ただ、不振の韓国にもチャンスはある。アジア系投資ファンドのMBKパートナーズは昨年、ウンジン・グループ傘下で浄水器などを手掛けるウンジン・コーウェイを買収することで、破綻企業から利益率の高い事業を手に入れた。韓国にとって真のチャンスは借り入れ、特に表に出ない隠れ借り入れに依存しない新たなビジネスモデルを構築するところにあるだろう。
By Henry Sender
(c) The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.
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