(2013年4月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
日本の経済界はここ数年、日本の景気低迷は国内事情ではなく韓国ウォン安のせいだと信じてきた。円安が進めば、すべてが順調にいくとでも言うかのように。
日本で言う「順調」とは、世界中の消費者が韓国サムスン電子の製品を買うのをやめ、日本製品に代えることを意味する。その主張が今まさに試されようとしている。
サムスンはこの脅威に耐えそうだが、世界の総需要が減退する中で、円安は多くの韓国企業に立ちはだかる大きな課題となりつつある。
■借入金の比率が高水準
日本ではアベノミクスの効果で流動性が拡大し、企業の業績不振が持ち直しつつある。海外ヘッジファンドはつい最近まで、造船や鉄鋼など苦境に陥った業種で信用保証料率が上昇すると見ていた。しかし実際には保証料率は低下し、当面、それは続くとみられている。
一方、韓国企業の業績は悪化の兆しが顕著になり始めた。韓国は2008年の世界金融危機を乗り切ったものの、5年後の今はうまく事を運べていない。
世界のほとんどの国では、企業も家計も債務負担の圧縮を続けてきた。しかし韓国では、借入金の比率がまだ高水準にある。韓国財閥グループ上位30社の負債は1000兆ウォン(8930億ドル)に上るという調査報告もある。昨年下半期には大手12財閥のうち4財閥で利払い金額が営業利益を上回った。
グループ傘下の部門ごとにのしかかる負担はまちまちだ。例えば、ある大手財閥の取締役によると、自動車部品など好調な部門のキャッシュフロー(純現金収支)が建設などの不採算部門を支えているという。国家財政を助けるため多くの主婦が保有する金を売り払った1997年~98年のアジア金融危機ほど深刻ではないが、今回も心配な事態には違いない。韓国開発研究院(KDI)によると、運輸、造船、建設、不動産は著しい業績不振に見舞われ、厳しい信用収縮に直面している。
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日本の経済界はここ数年、日本の景気低迷は国内事情ではなく韓国ウォン安のせいだと信じてきた。では、円安が進んだ今なら、すべてが順調にいくというのだろうか。サムスンはこの脅威に耐えそうだが、世界の総需要が減退する中で、円安は多くの韓国企業に立ちはだかる大きな課題となる。…続き (4/24)
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