これに大慌てなのが、韓国なのだった。
〈攻撃的な「金爆弾」政策に市場は衝撃を受けた〉
〈為替戦争の飛び火は突拍子もなく隣国に飛ぶ。韓国は代表的な被害国だ。昨年末から今年第1四半期まで続いた1次円安の余波でKOSPI(韓国総合株価・編集部注)指数は2000から1910まで急落した〉(中央日報日本語版・4月9日配信)
焦るのも当然だ。韓国は日本が円高で苦しむ"隙間"をぬって、ここ数年、世界市場で稼いできた。それがアベノミクスと日銀黒田砲により、完全に様相が一変した。信州大学経済学部の真壁昭夫教授はこう語る。
「韓国経済は輸出依存度が高く、対GDP比の貿易依存度が100%近くになっています。そのため、世界経済と為替の影響を非常に受けやすい。しかも、国内資本が小さいので、外資に頼らざるを得ません。
ところが最近は、北朝鮮の問題もあって、外国資本が韓国から逃げ始めています。韓国企業にも影響が出始めていて、サムスン以外の大手企業の業績が悪化している。今後も円安が続くため、韓国企業には厳しい状況となります」
韓国経済の急減速は、数字にも現れ始めている。日韓の主要電機メーカーの株式時価総額を比較すると、昨年11月のアベノミクス前の頃には、サムスン(1800億侊)、LG電子(122億侊)に対し、パナソニック(120億侊)、ソニー(108億侊)と日本サイドは完敗状態だった。
ところがそのわずか3ヵ月後の今年2月には、パナソニック(183億侊)、とソニー(159億侊)の株価が急上昇。LG電子(106億侊)を抜き去り、日本企業としては復活の狼煙が上がった。それ以降、日本株はさらに上昇しているので、LGとの差はさらに広がっている。
嘉悦大学教授の高橋洋一氏もこう語る。
「韓国や中国の製品が売れてきたのは、ウォン安、人民元安によって輸出価格を安くできたから。韓国・中国は日本との価格差で売ってきたのであって、製品の品質が良かったからでは決してありません。韓国製品に押されていた日本のパソコンやスマホも、価格差がなくなれば復活するのは当然のこと。今後、韓国や中国は国際競争力を失い苦戦するでしょう」
こうしたことから、いま世界市場では、「セル・コリア」(韓国売り)と呼ばれる現象が広がっている。以前は日本株などを売り浴びせていた海外の投資家が、見切りをつけて、ここぞとばかりに韓国株を売りまくっているのだ。
「3月には韓国株が、昨年5月のギリシャ危機以来の規模で売られまくり、アジア市場の中でも『外国人がもっとも売り浴びせた市場』になりました。かつてのセル・ジャパンとまったく逆の状況です。韓国国内では危機感が広がっており、『日本製品の不買運動をしろ』とか『政府は諸外国に働きかけて日本政府に圧力をかけろ』などという主張が盛んに行われています」(全国紙経済部デスク)
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