東京の水道:臭い100%除去 金町「おいしい水」供給

毎日新聞 2013年04月24日 23時24分(最終更新 04月25日 00時12分)

金町浄水場の高度浄水施設の完成を祝し、テープカットに臨む猪瀬直樹知事(右から2番目)ら=東京都葛飾区で2013年4月24日、和田浩幸撮影
金町浄水場の高度浄水施設の完成を祝し、テープカットに臨む猪瀬直樹知事(右から2番目)ら=東京都葛飾区で2013年4月24日、和田浩幸撮影

 金町浄水場(東京都葛飾区)で24日、臭いの原因物質を100%除去する「高度浄水施設」が全面完成し、23区東部約250万人への給水が始まった。利根川水系から取水する5浄水場のうち、三園(板橋区)と東村山(東村山市)は施設を建設済み。10月からは残る三郷(埼玉県三郷市)と朝霞(同県朝霞市)でも導入され、都内のほぼ全域に「おいしい水道水」が供給される。【和田浩幸】

 「東京水道の使命感が高度浄水を完成させた。都民の皆さんにはペットボトルの水ではなく、蛇口から出る水道水を飲んでもらいたい」。現地で24日にあった完成式に出席した猪瀬直樹知事は、誇らしげに語った。1日150万立方メートルを処理できる同浄水場は都水道局の持つ全11浄水場の中で2番目の規模で、給水量は全体の約22%を占める。

 都内の水道水は、利根川▽多摩川▽相模川−−から99%以上を取水している。このうち利根川水系が約8割を占めるが、従来の「急速ろ過方式」ではカルキ臭の元となるアンモニア態窒素などを除去しきれず「東京の水はまずい」というイメージが根付いていた。

 ◇汚れオゾンで分解

 そこで都が1992年の金町を皮切りに、利根川水系の5浄水場で導入を進めてきたのが、自然界の浄化作用を参考にした高度浄水処理。従来の方式が川から引いた水に凝集剤を入れて汚れを沈殿させ、上澄み水に塩素消毒やろ過を施す仕組みなのに対し、上澄み水に残る汚れをオゾンで分解し、さらに生物活性炭に繁殖する微生物の働きで汚濁物質を除去する工程が加わった。

 旧方式と高度浄水を混ぜて給水することで、都内の水道水の味は徐々に改善。水道局が昨年、約1万4000人の都民を対象に市販のミネラルウオーターと水道水を目隠しで飲み比べてもらったところ、45%が「水道水のほうがおいしい」と答えた。10月に100%の高度浄水化が達成することで、水道局は「1リットル当たり0.2円で、市販の水と全く遜色ない水が蛇口から飲める」とPRする。

 金町浄水場では27日、午前10時▽同11時半▽午後1時半−−の3回に分け、一般を対象にした無料の施設見学会を開く。「高度浄水の取り組みをいろいろな方法で周知し、都民の満足度を高めていきたい」と担当者。問い合わせは水道局管理課(03・5320・6429)へ。

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