あらゆる原発関連施設の誘致活動を行う権限を与えるという、委任状を紹介。書面には鹿児島・南大隅町の森田俊彦町長の署名と公印もある。南大隅町は、政府から最終処分場の有力候補地として検討していた場所で、取材に対し町長は「政府から何とか考えてくれ」と打診があったことを認めた。 委任状を書いた森田俊彦町長は水面下で、様々な大物政治家との接触を繰り返していた。さらに、委任を受けた人物は東京電力へ頻繁に出入りする民間人だった。この人物は東京電力社員ではないが、勝俣恒久前会長ともつながりがある。 今月9日、鹿児島・南大隅町で町長選挙がはじまった。現職の森田町長の対抗陣営には、脱原発活動で知られる山本太郎さんが応援に駆けつけていた。焦点としたのは、最終処分場に関してで、小さな町の町長選挙で、日本全国が注目する大きな問題が争われている。去年8月、番組では南大隅町が最終処分場の有力候補地に浮上していると伝えている。民主党政権では、福島県内に中間貯蔵施設を作り、30年以内に県外で最終処分をするとしていた。しかし、具体的な場所が示されず、除染作業は計画より大幅に遅れている。番組の放送後、森田町長は最終処分場受け入れに反対で政府からの打診も一切ないと否定していた。 去年6月29日、東京都内のホテルに現れた森田町長。その直前に姿を表したのは民主党の仙谷由人元官房長官。政府関係者も加わり、会合が行われていた。さらに、同じ日の夕方、官邸周辺で原発再稼働反対のデモが行われるなか、森田町長は議員会館へ向かった。その4分後に姿を表したのは当時の細野豪志環境相だった。ある関係者によると、細野氏が南大隅町議会に調査の申し入れをすることなどを話し合ったと明かしている。また、環境省では、細野氏が実際に南大隅町を訪れる日程が検討された。しかし、訪問は直前で中止となったという。 今月14日、森田町長は再選を果たした。選挙戦を通じて森田町長は「原発関連施設は受け入れない」と争点化を避け、幅広い支持を集めていた。水面下の交渉について、当選が決まった翌日森田町長へたずねると「敢行開発の陳情だった」と主張した。 番組は、あらゆる原発関連施設の誘致活動を行う権限を与えるという委任状を入手。末尾には森田町長の署名と、公印があった。町の代理人として、誘致活動を行う権限を、ある特定の人物に与えることを示す文書で、日付は4年前だが委任期間は切られていない。野村修也弁護士は「町民や町にとって、とても重要な権限を代理人に与えていると言える」と話す。専門家による鑑定を行ったところ、文書は森田町長が書いたもので間違いないという。この委任状を森田町長へ見せると様子は一変。「覚えていない」と繰り返す。さらに、これまでの水面下での交渉の画像を見せ、改めて委任状について尋ねると「書いたのでしょう」と委任状を書いたことを認めた。 委任状を書いたのは、4年前の初当選直後で「前の町長も書いたと言われた。こういうものがあると動きやすいという話だった」と話す。背景には町が置かれる厳しい状況もあり「高齢化、過疎化が進んでいる街の状況から考えれば天の恵みみたいに見えた。」と話した。現在も有効か?と聞くと「残念ながら、期限を切っていなかったのはまずいと思う。今、現時点では一切こういうものを受け入れるつもりもないし、委任するつもりもない」と語った。さらに、最終処分場に関する政府側からの打診について「何とか考えてくれという話しはあった」と初めて認めた。なお、細野氏と仙谷氏の事務所は「この件についてコメントすることはない」としている。森田町長が委任状を出した人物は政治家との会合にも同席しており、東京電力との関係も見え隠れしている。
2013年4月24日放送 23:02 - 23:16 TBS
|
|
TVでた蔵 関連記事…
”最終処分場”交渉の裏側 (NEWS23 2013/4/24 22:54)