元教授の3論文撤回 府立医大 臨床研究結果全てに
京都府立医科大の松原弘明元教授(56)の論文不正問題で、元教授が責任者を務めた血圧降下剤の臨床研究の論文3本が新たに撤回されたことが22日、大学への取材で分かった。この研究結果を報告した全論文が撤回されたことになる。元教授の研究室は血圧降下剤を販売する製薬会社ノバルティスファーマ(東京都)から多額の寄付金を受け取っており、研究管理体制があらためて問われる事態となった。
新たに撤回されたのは2004~09年実施の臨床研究「キョウト・ハート・スタディー」における血圧降下剤バルサルタンの脳卒中抑制効果などを解析した3本の論文で、12年に米国と英国の心臓病専門誌に発表された。府立医大が論文著者を通じて専門誌編集者に撤回を確認した。
同スタディーではすでに3本の論文が「データ解析に重大な誤りがある」として日本循環器学会などから撤回されており、府立医大は同研究の調査委員会を立ち上げている。
府立医大が開示した資料によると、元教授の研究室には研究への支援として08年から13年にかけて1億440万円がノバルティスファーマから寄付されている。
【 2013年04月22日 15時00分 】