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福祉のひとに聞く【プロフェッショナルに聞く】

喜びと幸せにあふれた“笑う介護士” 有限会社笑う介護士 代表取締役 袖山卓也

  • 2000年4月 「民間のデイサービスセンター」施設長
  • 2004年4月 「有限会社笑う介護士」設立
  • 2006年6月 「有料老人ホーム セントレアライフ常滑」プロデュース
  • 2007年4月 「有料老人ホーム セントレアライフ武豊」プロデュース

"ワル"としてならしていた高校時代、友人をバイク事故で亡くす。当初はそれすら「カッコいい」と感じていたが、友人のお通夜で友人の母親が泣き叫んでいるのを目にし、急に「死」が心に切迫してくる。「彼が死ぬのは自由かもしれないけれど、そのことで残された人たちの人生が台無しなるのは許されない。それならどうしたら「死」を遠ざけることができるのか。そんな思いから医療の道を選び、臨床検査技師として病院に就職する。ところが実際に医療の現場に入ってみると、そこにあるのは「病」との闘いだけ。自分がやりたいのは「病」ではなく「人」に寄り添うことだ--そんな思いから、迷わず福祉の世界へ飛び込む。

career キャリアステップ

“笑う介護士”設立と運営

私は20代半ばで「施設長」という肩書きを得て、最高のサービスを提供する介護施設をつくりあげました。その職員はほとんどが無資格・未経験でしたから、「介護は誰にでもできる」という自分の信念を証明することもできました。国内はもとより、海外からも見学者が頻繁に訪れるため、施設内には絶えず新鮮な風が吹く理想的な環境だったと思います。私は20代半ばにして地位も名誉も手に入れたといえるかもしれません。
けれど、施設長という立場には様々な役割や責任が伴うため、自分で自由にできることには限界があります。もっと自由に全国を飛び回り、福祉に対する理念を伝えるためには、身軽になることが必要だ――そんな思いから4年間勤めた施設長の職を辞して独立。31歳で「笑う介護士」という会社を設立しました。
これまでの介護の前線で見つけた介護に必要なもの、それは「最愛を込めた『笑いのチカラ』」でした。日常の介護のなかにどのように笑いをちりばめ、介護を受ける高齢者や、介護者の生きる力に変えていくか。そこに注目し、「笑う介護士」と自らを謳いました。

「笑う介護士」の基本業務は、介護サービスの運営支援や各種講演などです。福祉施設の開設支援はもちろん、介護の質が低下している事業所の立て直しなども請け負っています。 会社設立から1年後には、特別養護老人ホームをプロデュース。その後は2006年、2007年に2件の有料老人ホーム、2008年に特別養護老人ホームを続けてリリースしました。
新規開設時に全国から集まったスタッフは、ほぼ全員が介護については無資格・未経験。それでも彼らが介護士となり福祉の仕事に幸せを見いだし、成長してくれました。それができたのは、そもそも福祉の仕事とは「人と接すること」だから。 つまり、これまで生きてきた中で誰もが経験し、知っていることばかりなんです。私が教えるのは技術ではなく"共に生きていく"という価値観だけ。必要なのは資格や技術だけではなく、ご利用者に対して「あなたが好きだから」という思いで接し、寄り添うことです。ある意味、福祉の仕事は、人間性そのものが問われる仕事です。

vision 人の人生に寄り添うからこそ、たくさんの幸せが感じられる

福祉とは、人の人生に寄り添う仕事

福祉とは、生まれてから死ぬまで続くその人の人生に寄り添う仕事です。一般に「食事」「排泄」「入浴」の3つの介助を「三大介護」と称するようですが、福祉の目的はこの3つをやり遂げることではありません。それは生きていくために必要な要素というだけで、人が生きる目的は別にあるはずです。例えば、おじいさんのお墓参りに行くことを楽しみにしているおばあさんがいらっしゃいました。彼女が腕の筋力を使い食事をするということは、ただ栄養を摂取するためだけではなく、おじいさんのお墓参りに行って花を添え、水をかけるという行為につながっているのです。それが今のおばあさんの生きることの目的となっているというように一連のつながりを大切にしています。寝たきりになってお墓参りに行けなくなってしまったら、ただ食べ、排泄し、入浴するだけの生活を「生きている」とは言えません。一つひとつの介護の中にその方の人生を見いだし、人が生きていくことを支える--それこそが福祉の仕事なのです。

SODEYAMA式介護理念

初めて介護の現場に飛び込んだ時は、目に映るものすべてが新鮮で、とても刺激的でした。ただ、ご利用者の心からの笑顔を見ることがないことが気になりました。そこで、自分が理想とする福祉について考え分析し、その実現に向けて動き出しました。様々な試行錯誤、そして私が接してきた高齢者の方々との心の受け渡しから、見えてきたものをお話ししましょう。
まず、ご利用者に対して、常に笑顔があふれるような場所を提供すること。そのためには、常にご利用者の人権を尊重することが大切です。私が関わってきた施設では、介護士が常に人としてご利用者に接し、小さな変化をも見落とさないよう、敏感な介護を徹底しています。こうした理想を実践するための心構えとして掲げているのが「笑う介護士」です。人の幸せのために活動するためには、まず自らが幸せ感を謳い伝えていくことが必要なのです。

介護は技術ではなく「愛」

福祉に資格は必要ない--これが私の理念です。私が福祉の世界に飛び込んだ時はまったくの素人だったし、私がプロデュースしている老人ホームに全国から集まってくるスタッフも、無資格・未経験の人が多いです。介護に必要なのは、技術ではなく「愛」です。「私は楽しくて仕方がない」という思いを、体中からあふれさせてください。優しさは、精神的なゆとりの中から生まれてくるものですから、自分自身が心身共に健やかであることも大切ですね。ご利用者に歩み寄り、共に感じ合い、共に生きていく。そうするだけで、感謝・感動・感激などは無尽蔵にわいてきます。様々な事情を抱え、生きる目的を見失っていたご利用者が、私たちと過ごすことで「もう一度生きたい」と思ってくださる。そんな心の動きを肌で感じられるなんて、何より素晴らしい毎日だと思いませんか。

袖山 卓也(そでやま たくや)

愛知県名古屋市生まれ。
有限会社笑う介護士代表取締役 高校時代まではいわゆるヤンキーであったが、友人の死をきっかけに人のいのちを考えるようになり、介護業界に入るきっかけとなる。 民間のデイサービスセンターを開設し、施設長を勤める。ほとんど無資格、未経験の職員を集めたが、その運営方針が各方面から賞賛を受け、マスコミ等で報じられるようになる。「有限会社 笑う介護士」を設立し、多数の講演活動を精力的に勤めながら、複数の福祉施設をプロデュースする。社会福祉士、介護福祉士、愛知県介護支援専門員、臨床検査技師。主な著書に『家族介護の鉄則』エクスナレッジ 2006年3月 、『笑う介護士の極意』中央法規出版 2006年6月、『笑う介護士の秘伝 “SODEYAMA式介護”実践の奥義45』中央法規 2008年2月などがある。
ホームページはこちら http://www.geocities.jp/waraukaigosi/top.html

PROFILE


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