新刊ビジネス書「100のスキルよりたった1つの考え方で仕事が変わる」より、たいへん印象的なエピソードだったのでご紹介。コンパクトな本ですが、中身は詰まっています。
佐藤可士和が3秒で提案し、柳井社長が即決した
ユニクロの柳内社長からアートディレクターの佐藤可士和さんに「今度、新宿のビックカメラの巨大フロアに出店するんだけど、佐藤さん、店名を考えて」と振られた3秒後に、佐藤可士和さんの口から「じゃあ、ビックロでしょ」ということばが飛び出しました。
この「ビックロ」の4文字に柳内社長は膝を打ち即決したそうです。3秒の決断で大型プロジェクトが動き出しました。
あの印象的な名前は、こんなスピード感で決まったんですね。
著者は「年収1億円稼ぐ人の時間の使い方の特徴」について、このような事例で見られる「初日にフォーカスする」という点を挙げています。「はじめの瞬間」の質を大切にするということですね。
たしかに、ぼくの知っている範囲でも、仕事ができる人は良い意味で「見切り発車」ができます。それによって、優れた場の空気をつくり出します。「よし、やるぞ!」という具合の。
こうした良質な即断即決の裏には、膨大な経験や知識にもとづく「直感」と、相手への「信頼」があるのでしょう。
ビックロの事例においても、柳井社長が佐藤可士和氏を全面的に「信頼」していることが伺い知れます。言わずもがな、「ビックロ」という名前をスパッと出してしまうあたりの「直感力」は、何万時間もの経験によって養われた特殊能力です。
裏を返すと、信頼がなければ即断即決はできませんし、また、経験の浅い人の「直感」は信頼に足らない可能性もあります。即断即決というのは、膨大な時間とエネルギーを費やしてきた人にこそ許される「離れ業」です。
かくいうぼくも、そろそろブログ運営も1万時間を突破しそうな頃合いでして、直感力が付いてきた感じがします。「このタイトルはいける!」という具合のひらめきが、ごくたまに舞い降りてくれます。
もっともっと経験を積み、血肉化していけば、「脳みそを動かさないでもことばが出てくる」状態にまで持っていけそうだと考えています。「ビックロ」の即断即決は、まさにそんな境地のできごとといえるでしょう。
というわけで、色々な仕事のヒントをいただける良質なビジネス書です。特に若手のビジネスパーソンにおすすめしたい一冊。