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5つ星のうち 5.0
死を考えることは生を考えること…教養としてもお薦めの本。, 2012/4/10
タイトルを見たとき"スウェーデンボルグの霊界日記"のように"死んだらこうなる!"といった内容?…と思いましたが、全くの勘違いでした。
本書は"死後の世界"について真剣に研究されています。
各宗教での死後についての世界観の比較、臨死体験者の体験内容の比較、国民と文化による死後観の比較などが分析されて掲載されておりとても興味深い内容です。
本書には主だった宗教が軒並み登場します。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、仏教、大乗仏教、小乗仏教、日蓮宗〜創価学会、神道、幸福の科学や江原さん等のスピリチュアリズム(その他)など、それぞれが死をどのように考えているのか? なぜそのような考え方を持つのか?が分かりやすく理解することができます。
ユダヤ教と神道の死後観が非常に似ていることや、日頃触れることがないイスラム教などの考えが分かって面白いです。
(イスラム教では入信していない日本人は即刻全員地獄行きだそうです…)
筆者はプロテスタント系キリスト教徒なので、本書の内容は若干、キリスト教に傾いてます。聖書の記述や信徒達の証言は"真実"との観点にあるので、旧約聖書に"霊界との交信"の記述があれば、"霊界とは交信できます"と言った断言口調になりがちです。
ただ全体的には平等に書かれており、キリスト教に大袈裟に偏ったものではないので、あまり気にせずに読むことができます。
ほとんどの部分は比較研究ですが、文体は読みやすく、興味深い内容だけに一気に読むことが出来ます。
本書がとても好意的に感じれるのは、最後に"日本人"について書かれている点です。
このパートには"日本がなぜ戦争に踏み切ったのか?"など、死後の世界とは関係がないことも書かれていますが、とても共感ができる内容です。
読者へ伝えたい筆者の気持ちを感じ取れると共に、筆者の冷静で客観的な歴史観には敬服します。
ただ、サブタイトルの"あの世の実在証明"はピンときません。
本書の中でも検証はしていても、証明はしていないのですから。