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第一部
これまでのお話


 黒い霧の中から出てきた何本もの『腕』に引っ張りこまれた所は異世界でした。
 異世界の名は『ガイアの箱庭』。



 ああ、先に自己紹介しておくね。

 神崎かんざき 美鈴みすず。女子大生。
 就職先も無事決まり、卒業式を間近にひかえたすこしオタク気質の女の子。
 小説はジャンル問わず好きで、ゲームも大好き。ファンタジー小説大好き、RPG大好き。異世界トリップもの小説なんかもよく読んでた。

 そんな私が異世界トリップだ。
 だからね。
 ゲームや小説の知識を使ってなんとかこちらで生活しつつ、帰還の方法を探そう。というのが私の命題。


 トリップした時の状況を考えても、これはきっと異世界召喚だよね。
 誰が、なんの目的で私をこの世界に呼び寄せたのか、それが判らないから出来るだけ目立たないようにしなくちゃいけない。
 召喚者に見つからないように、ね。


 まず、異世界人だってのはもちろん内緒。
 アイテムボックスと、他者やアイテムのステイタスを見ることが出来ることも内緒。

 それから真名を知られたら危険だから名前も変えました。
 神崎 美鈴あらため リィーン・カンザック。

 だからこれからはリィーンと呼んでほしい。




 この世界で一番最初に会ったのがヴァンさんとシアンさん。

 ヴァンさん達はここファンテスマ王国の正騎士団「青騎士団」の人達でこれから魔獣討伐にいくところだった。
 そして。
 成り行きで見せた『防御膜』の強固さを見込まれ、大型魔獣の討伐に同行してほしいと頼まれたのだ。

 もちろん私が闘うんじゃないよ。
 ヴァンさんたち青騎士が闘うから、その時に彼らに『防御膜』をかけて欲しいっていうことね。

 ほんとはそんな怖い所にはいきたくない。でも私の『防御膜』がないせいで彼らが怪我をしたり、もしかしたら死んでしまったりするかもって思うと断れなかったのだ。

 それに私は『ヒール』が出来るからね、もし怪我人がいても治療も手伝えるし。
 この世界では回復魔法が使える人のことを『癒し手』というんだけど、どうやらすごく数が少なくて貴重なのだそうだ。だから手伝えるならいいかなって思ってね。

 そう考えていた私だったけど、ヴァンさんたちと向かったカミヤズルで、癒し手という仕事の難しさと、厳しい現実を知ることになったのだ……。




 そして。

 第二王子レオン殿下の庇護のもと、コルテアで癒し手として働き、冒険者としても活動しながら日本に帰る方法を探す日々が始まった。

 私は『黒の癒し手』という称号を手にいれ、ガイアの娘として次第にこの世界にとけ込んでいった。






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