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ミス桜 本業は津軽塗職人の卵
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師匠の木村さん(左)の指導を受けながら、名刺入れに漆で模様を描く小笠原さん |
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弘前さくらまつりの開会式で、園児たちとテープを引くミス桜グランプリの小笠原さん |
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弘前市の弘前公園で23日に行われた弘前さくらまつりの開会式で、本年度のミス桜グランプリ小笠原梓さん(23)=青森市=が初仕事をこなし、会場に花を添えた。華やかな役を務めた小笠原さんだが、本業は津軽塗職人の“卵”。伝統を受け継ぐ職人の厳しい世界に飛び込み、修業に励む日々を送っている。
開会式では園児たちと一緒にテープを引いて風船を放ち、開幕を祝った小笠原さん。下乗橋では、観光客との写真撮影で引っ張りだこに。「慣れないので恥ずかしいけれど、いろんな方と交流できてうれしい。ミスとしての立ち居振る舞いをもっと勉強しないと」とはにかんだ。
子どもの時から絵が好きで、物心つく頃には美術の道に進むことを決めていた。津軽塗との出合いは、大学受験を控えた高校3年の秋。青森市の県立美術館で津軽塗のワークショップがあるのを知り、学校の模試を休んで参加した。
「津軽塗は色の組み合わせ、模様の打ち方で無限の可能性がある。先生の作品を見てかっこいいと思った」。津軽塗のデザイナーになって、若い人に受け入れてもらえる作品を作りたい−。一気に夢が膨らんだ。
弘前大学教育学部で美術を専攻し、デザインを学ぶ一方、津軽塗をもっと知ろうと、2年前からワークショップで指導を受けた弘前市の津軽塗職人・木村正人さん(47)の工房に通い始めた。
制作の現場を知るうちに「デザインより、自分で作ることの方が楽しくなってしまった。例えれば“1級建築士”より、汗水流す“大工さん”になりたくなった」という。打刃物やガラス工芸も体験したが、「やっぱり津軽塗が一番自分に合っている。夢中になれる」と、大学を卒業した今春、本格的に木村さんに弟子入りした。
市が数年に1回募集する後継者育成事業で学ぶ人はいるが、20代で工房に直接弟子入りする人は珍しい−と木村さん。「漆にはかぶれのリスクもあり、やりたいという強い意志がなければできない仕事。入ったからには男女は関係なく、基礎をしっかり教える」。ミス桜については「いつ応募していたんだ」と笑いつつ「津軽塗の大使としても頑張ってほしい」とエールを送る。
22日に工房を訪ねると、オーバーオール姿の小笠原さんが七々子塗の名刺入れを取り出した。ミス桜の活動で使えるようにと、23歳の誕生日の19日に木村さんからプレゼントされたものだ。
小笠原さんは師匠の作品に「蒔絵(まきえ)」と呼ばれる技法を加え、七々子塗の上に漆で模様を描く作業の真っ最中。銀粉をまくと、赤地の表面にひとひらの白い桜の花びらが浮き上がった。
「名刺入れが完成したら常に持ち歩いて、津軽塗や弘前の魅力を伝えたい」。これから待っているたくさんの出会いに思いをはせた。
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