財政緊縮策めぐる議論再燃、米国が欧州に異論唱える
4月22日(ブルームバーグ):財政緊縮策の妥当性をめぐって世界各国の政策当局者やエコノミストの間で再び議論が巻き起こっている。世界経済がまた減速しているためだ。
歳出や公的債務の削減が景気回復の処方箋になるのか、あるいはリセッション(景気後退)の要因になるのかをめぐって、米国と国際通貨基金(IMF)はユーロ圏や英国に異論を唱えた。学界ではケネス・ロゴフ教授とポール・クルーグマン教授が相変わらず異なる見解を主張している。
週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では新たな債務目標の設定について批判や意見対立が見られた。米国や欧州の経済統計が予想を下回る中で議論が再燃している。ロゴフ教授が共同で執筆した報告書は削減の妥当性を示すために利用されてきたが、厳しい目にさらされている。
ドイツのショイブレ財務相はIMF加盟国に対し、「必要な調整の先送りは継続的かつ根本的に健全な世界景気回復の見通しに関するリスクをさらに悪化させるだろう」と指摘。一方、IMFのラガルド専務理事はブルームバーグテレビジョンに「一部の国は大規模で負担の重い財政再建を急ぐ必要はない」と語った。
G20会議は「弱い」世界経済をてこ入れするためには「さらに多くのことが必要だ」ということで合意したものの、財政をめぐる考え方の違いが解消されていないことを示した。債務目標に関する議論は新たな定め方を再考するとの約束で締めくくられた。
米財務省当局者は会議後に記者団に対し、米国は厳しい目標設定を避けたかったと指摘。財政目標を定めるのではなく一部欧州諸国の失業問題などへの対応に力を入れ続けるよう参加国を説得したと説明した。
原題:Austerity on Trial With U.S. Versus Europe Amid NewEvidence(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Simon Kennedy skennedy4@bloomberg.net;ブリュッセル Rebecca Christie rchristie4@bloomberg.net;フランクフルト Stefan Riecher sriecher@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2013/04/22 13:18 JST