国や自治体ぐるみの喫煙者排除は、前回紹介したアメリカ(http://nikkan-spa.jp/412874)だけではなく、ほかの国々を見ても枚挙に暇がない。若者の喫煙率低下を狙ったものでは、オーストラリアのタスマニア州で急進的な条例が誕生しつつある。同州では、’00年以降に生まれた人にタバコを販売することを禁止する条例案が審議中なのだ。成立すれば、’00年以降生まれの世代は、将来成人したとしても一切、タバコの購入ができないことになる。喫煙の年齢制限ではなく世代制限は、世界でも類を見ないものだ。
一方、カナダでは昨年6月、ケベック州政府がタバコ会社10社を相手取り、600億カナダドル(約5兆5000億円)の支払いを求める訴訟に踏み切った。
「タバコの有害性を認識した上で販売していた」というのが訴訟理由だが、ケベック州は、このところ財政難に直面しており、「財源確保のための苦肉の策」とみる向きもある。同州のモントリオール市では、市民らによる同様の訴訟も複数件、行われているという。
財源確保名目では、日本でもタバコ増税がたびたび行われてきた。しかし、財政破綻の危機に直面しているギリシャで導入された税制は、さらに“露骨”だ。
’10年、同国は飲食店や風俗店を全面禁煙にしたが、翌年から、1m2当たり年間200ユーロ(約2万5000円)を支払えば、店舗の半分で喫煙が許されるという、“免罪符”の販売を実施しているのである。
行政や政治家のご都合主義に満ち満ちた禁煙政策は、もはや世界の趨勢だ。ジャーナリストの斎藤貴男氏はこう警告する。
「共通の敵をつくり上げるというのは、為政者による大衆支配の常套手段のひとつ。世界的に広がる喫煙者排除の動きもこれと同じです。特に欧米では、喫煙者の多くは社会の下流層に位置しており、“社会の敵”に仕立て上げるのも簡単。こうした風潮を野放しにしておくと、本当の悪が見えなくなってしまう。タバコより、まず世界で今も起こる戦争をやめるのが先決でしょう」
理念なき禁煙政策の波は、いずれ日本もやってくるか。
◆近年の世界における「タバコ規制」の事例
【オーストラリア】前代未聞!世代でタバコを禁止
タスマニア州では、現在’00年以降に生まれた人に、今後一切タバコを販売することを禁止する法案が審議されている。「世代差別だ」との批判もある。喫煙の年齢制限ではなく世代制限は、世界でも類を見ないもので、成立すれば世界中で議論を呼びそうだ