
産業能率大学客員教授 西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は産業能率大学の客員教授として教鞭をとるとともに、新聞・雑誌などで執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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トヨタがレクサスを米国で作る理由
「トヨタ自動車の豊田章男社長は19日午前(日本時間同日夜)、ニューヨークで記者会見し、高級車ブランド「レクサス」の米国生産を2015年に開始すると正式に発表した。レクサスを米国で生産するのは初めてで、海外生産はカナダに次いで2か国目となる。トヨタの米国内の主力工場であるケンタッキー工場を周辺投資も含めて5億ドル(約490億円)かけて拡張し、中型セダン「ES」を年間5万台生産する計画。ESは現在、トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)で生産しているが、一部を移管し、為替水準に業績が左右されにくい生産体制の構築を目指す。」
敢えて、この文章をそのまま引用したのには理由がある。この文章を見ると、より安定供給が可能となり、トヨタの収益が上がるように聞こえる。しかし、第一に、記者会見はニューヨークで行われている。第二に福岡に生産ラインがあるのに移行する。第三に生産体制とは生産ラインのことか? 第四に部品はどこから調達するのか? といった、何かおかしいと思うことがある。
確かに、利益を上げることはできるかもしれない。では、なぜ今まで現地生産ではなく「輸出」という選択をしてきたのだろうか? 素直に為替の影響を考えると、これから円安になるのであれば、むしろ輸出をした方が、同じ価格で米国で売ったとしても儲かるのではないだろうか? そういう意味では、「為替水準に業績が左右されにくい」という表現をわざわざしているのかもしれない。
一体何が起きているのか? 最新号のメルマガでは、なぜ米国で生産するのかについて分析している。
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