議員らに見解を述べる近鉄の福嶌部長(前列(右))ら=四日市市役所で
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存続問題に揺れる四日市市の近鉄内部・八王子線をめぐり、市議会の総合交通政策調査特別委員会が十八日、市役所であった。近鉄幹部三人が参考人として初めて出席。鉄道を存続させる唯一の手段として公有民営方式を示した。一方で、バス高速輸送システム(BRT)への切り替えを「最善策」とあらためて主張した。
公有民営方式は、市が土地や車両などを買い取り、近鉄が運営に当たる。方式を説明した近鉄の福嶌博営業企画部長は「黒字運営はまず見込めないので、一定額の補助をかなりの年月にわたって約束してほしい」と付け加えた。市によると、この方式は赤字に苦しむ地方鉄道の救済策として近年増えている手法だ。
近鉄の試算では、仮に採用すると、買い取る費用以外に、市は車両更新など十年間で予想されるハード整備費用として約二十億円を負担し、運営費の補助は年間一億数千万円に上る。
これを踏まえ、福嶌部長はBRTへの転換を「運営費が安く済み最善」と断言。初期費用の二十五億〜三十億円を市が負担してくれれば、運営後の赤字補助は求めないとした。
近鉄は、老朽化が進む車両更新の時期をにらみ、今夏までに回答を出すよう市に求めてきた。
田中俊行市長は今月八日の定例会見で「夏までに結論を出すのは厳しい」と述べた。この発言に対し、福嶌部長は「八月末までにこちらが納得できる条件を提示してもらえないと、廃線は避けられない」と強調した。
(佐野周平)
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