【東野真和】国の復興交付金を受け、東日本大震災で被災した自治体の予算が膨らんでいる。だが、復興事業を進めたくても人手が足りない。インフラ整備を進めても独自財源が乏しいため、将来の維持管理費をまかなえるかも分からない。不安を抱える岩手県大槌町の例を見た。
■震災前の12倍に急増
「震災前と1桁違った」。大槌町教委の佐々木健生涯学習課長は、今年度の学術調査にあてる予算が1千万円認められたことに驚いている。
新たな町をつくるための大きな特色である湧水(ゆうすい)や、イトヨという希少魚の生態について震災後の変化を調べる。「必要な事業だが、これまで、こんなに認められたことはなかった」
ただ、年明けの町長室での査定で、碇川豊町長は「財源については、よく考えて」と注文をつけた。この事業は、国の復興交付金の一部で、復興に効果があるとして交付が認められる「効果促進事業」と位置づける方針だ。
震災後、町の予算は急増している。震災前の2010年度当初予算は56億円だったが、今年度は12倍近い645億円になった。市街地がほぼ壊滅状態になったなかで、集団移転や区画整理に伴う費用が約300億円、がれきなどの災害廃棄物の処理費用が約250億円盛り込まれた。
これだけの予算をつぎ込めるのは、復興交付金などによる財源が豊富にあるからだ。集団移転や災害公営住宅建設などの基幹事業40事業のほか、それに関連する効果促進事業はすべて国費でまかなわれる。
効果促進事業だけをみても、町には民主党政権時に37億円が交付され、安倍政権になってから、さらに30億円が交付された。
「これまでの町の独自事業は学校のPTA予算並みくらいだった。今は、思い切ったことができる」と碇川町長は言う。
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