放射性セシウム:福島・伊達の高校プール、汚泥に10万ベクレル超 −−NPO測定 /福島
毎日新聞 2013年04月23日 地方版
福島市のNPO「CRMS市民放射能測定所福島」は22日、同市と伊達市の県立高校2校のプール底部にたまった汚泥から、中間貯蔵施設への持ち込み対象になる1キロ当たり10万ベクレルを超える放射性セシウムを測定したと発表した。プールには原発事故以降、水が張られたままになっていた。県庁で記者会見した岩田渉理事は「今回の事例は氷山の一角。(消火活動などで使われる)防火水槽でも同じような状況が考えられ、調査が必要だ」と指摘している。
CRMSが今月中旬、学校関係者らが採取した県立高校3校のプール汚泥を測ったところ、伊達市で同11万9461ベクレル、福島市で同10万4100ベクレル、南相馬市で同8468ベクレルを検出したという。CRMSは昨年3月、福島市の同じ高校から持ち込まれた汚泥を測定し、同6万5900ベクレルを検出。濃度が高くなっているという。プールの水自体はいずれも同100ベクレル以下だった。
県教委によると、プールがある県立学校70校のうち7校は、排水により汚染が広がることに不安を持つ近隣住民や農家の反対などから事故以降、水を張ったままだった。高濃度の放射性物質が検出された3校以外の4校は避難指示区域にあり、生徒はいないという。
県教委が今月中旬、3校のプールサイドで空間線量を測ったところ、高さ1メートルで毎時0・15〜0・42マイクロシーベルト程度と周囲と比べ大きな変化はなく、生徒を避難させる必要はないという。県教委健康教育課の大和田範雄主幹は「水で放射線が遮られているのかもしれない。処理については関係機関と協議しながら、安全な対策を取りたい」と話した。
原発事故で放出された放射性セシウムが1キロ当たり8000ベクレルを超えた汚泥などは「指定廃棄物」として申請すれば、国が処理する。10万ベクレルを超えたものは中間貯蔵施設に搬入することになっているが、建設のめどは立っていない。環境省指定廃棄物対策チームは「搬出できる体制が整うまでは保管してもらうしかない」としている。【蓬田正志】