小括

市民球場の解体が決定しました。
まずはAFHに始まった、この一連の流れにおいて、当サイトにて告知したイベントに署名など様々な活動で協力をいただいた方々に、こころより感謝を申し上げたいと思います。

1 これまで
AFHが立ち上がった時から「うお!ついに具体的に動き出した人達が出てきた!!」と感動し、私も可能な限りで協力させて頂きました。
広島に常にいられた訳ではないので、中途半端な協力の仕方ではありました。それだけに、これまで広島でこつこつと動かれた方々には敬意を払いたいと思います。
また、ここ数ヶ月は市議(特に解体賛成諸会派)への説明を行う機会を頂いたりして、多くの事を学びました。この様な機会を与えていただいた事も感謝したいと思います。

2 これから
議会での可決をうけ、執行権が市長以下広島市に移り解体へと着実に話は進んでいくと思います。これに対し、法的手段を考えている人がいたり、新しい企画を考える人がいたりとすると思います。
各組織の中で話し合いがもたれ、組織ごとの方針が決まっていくと思います。
私個人としてはまた、しばらくあちこち点々とする予定になっていますので、地道に広域公園の実態を調べたりして、議論の元となるデータを集めまとめる事に集中したいと思います。球場改修に限らず、専用スタジアムには「じゃあビッグアーチはどうするの?」という質問がついてまわります。ここの分析をもっとしっかりしたいと思います。
あとはこれからの跡地利用がどうなるのかも見ていきたいです。

3 得たもの
ここに至るまでの2年、様々な経験と反省をえました。まずはこれをしっかりと「知識のストック」として共有できる様にしたいです。
「誰の為に?」
それは、これから先、再びサッカー専用スタジアムを求める動きがあった時の「広島の人間」の為でもありますし、また「他府県の専用スタジアムを求める人間」の為にも共有できたらいいな、と思っています。
「あーあの時こうしておけば…」「今思えばあれをあの時にこうしておけば…」その繰り返しでした。それを一から始めるのと、ある程度聞いている、では全然違うというのを、これでもか、と思い知らされた瞬間の連続でした。

4 「サッカー場はハコもの」
やはりこれが強敵でした。球場の改修が魅力的だったのが、3万近い既存のスタンドがあった事で、初期投資がかなり抑えられるという魅力があった事です。これからいかなる形であれ、専用スタジアムの話が出た時には「建設費」「維持費」の両者が我々に襲いかかってきます。
改修であれば20億程度に抑えられる。これであれば建設費と維持費の両方をなんとかサッカーで負担できるのではないか?この蓋然性を感じられる部分が魅力であり、「うり」だったのですが、うまく伝えられなかったとのか、と反省しています。

次にあるとすれば、第一球技場であれば「改修」、その他の地域であれば「新設」となりますが、その時に「建設費」「維持費」にどのような理屈を用意できるのか…やらねばならねども「100億」という数字には、やはりクラクラするものを感じます。

5 「そもそもサッカーが嫌い」
これはソースも裏もない、私個人の感覚の話です。私の中の疑念ですが、一般庶民には知り得ない、広島のセレブ界の中の「市長&市議の一部」対「市議の一部&経済界の一部」的な派閥争いの余波が、今回の跡地利用のすったもんだの根底にある気がしました。気がつかないうちに、「あんたは結局どっちの人間なの?」的な見方をされることも何度か。ま、別にこれは陰謀とかでもなんでもなく、人間関係の話であるわけですから、当然だと思います。

しかし、市議は「先にそっちの話」が先に知識としてあった(ように見える)わけで、どれだけ市民からの声があっても「どこの派閥が仕掛けた話なのか?」的な色眼鏡で見られる、という残念な状況になっていた気がなんとなくします。
それだけに、ここ数ヶ月の市民の動きに「なにが起きてるんだ?」「うわ…やっちまったかも…」的な表情をしている議員が多かったように思えます。

じゃあ、なにもかも「おまかせ」で「どこでもいいから専用スタジアムをお願いします!」という態度になるのがいいかと言えば、それもまずい。一部の場で決まった話は、とんでも無い場所に、とんでもない理屈で、とんでもないスタジアムができてしまうのは、もう広島の人間は経験済みです。

やはり、サッカー専用スタジアムを望む人間、特に大きな会社や特定政党とは比較的距離のある一般市民ののスタジアム好きが、こつこつとデータをあつめ実効性のある提言をまとめて、議会全会派や行政にコンスタントにアピールしている、そんな下地があると強いのではないか、と思いました。

そもそも議会は、政務調査費をもらってるくせに、あまりにも杜撰な認識、そして勉強不足の議員が多い。説明に上がる人間が市役所の人間だけで、それを修正する人間がいないわけです。そんな議会に一任しているわけですから、積極的に議会にロビーイングをして、「強制的にでも知ってもらう」事をしないといけないのを痛感しました。

継続して、責任感のある意見を、こつこつと積み重ねる。
巨大なムーブメント的追い風は確かに必要ですが、それはそれを担える人にまかせ、わたしはこつこつコースの方向でいきたいと思います。

6 それでも希望をもっていこう!
私個人の話ですが、このサイトを開いてから、考えられなかった異業種の人に出会い、また多くの尊敬できる大人と出会えました。また、「うへぇ」と思えるような話もいっぱい見たり聞いたりしました。それを「色々あったねー」と思い出で終わらせずに、次につないで行きたいと思います。 

ネットというものの可能性を感じながら、やはり最後は「人と人とのつながり」なんだと、お決まりの台詞ではありますが、痛感しています。

「だから、直接顔を合わせないと意味が無い」
そんな事を言っているのではありません。

「我々の想像力が、ネットに追いついていない」
と逆に主張してみたいです。

ネットでの同じ思いを共有できる人との盛り上がり。これを最後にどうやって「現実(例えば議会、行政)」にコネクトさせるか。
そこのイマジネーションが課題であると思います。

思うに政治家とはインターネットも電話も無い時代に「コミュニケーションのコストを下げる」為に作り出されたものだと思います。
直接民主制で物事を決めていては、とても現実的ではなかったからです。

それが現在、技術が向上し、興味をもった人間が一気に無関心層から感心層に切り替われる時代において、「旧システム(代議制)と実際の民意」に「ギャップ」が生まれて、最後までそれを修正できなかったのが、問題の構造ではないでしょうか?

今回なんども「なんで今更?」というアホな質問を市議や新聞記者から受けました。
アホ極まりない質問ですが、それが旧態然とした政治村から見た「市民世論」だったのでしょう。
実際は何年も市民個々人は興味を持っていたわけですが…

それと同時に、それでも無関心な市民の方が多いのも事実です。それはこの問題の当事者とも言える本通りも、最後まで中振連の幹部を問いつめる事無く、この日を迎えている現状からわかります。

これは、「動かない彼らが悪い」と言っているのではありません。

それは、「広島市の案を指示する」という人間は5人であれ、はっきり行動している分、広島市からは「見える有権者」と移る訳ですが、「その以外」の層は「市の案には反対だが、サッカー場にも反対」「別に支持する案は無いが、市の案には反対」等々多種多様であり、細分化すれば「不満は市には来ていない」と見なせる構造にあるとも思います。

「本来、それは市の役目でしょ」
と自分も思いますが、行政が動かなかった場合に、市民側から「おいこら、聞けや」と場を作らせる行動がないと、みごとに逃げ来れる、という事だと思います。

さあ
これから専用スタジアムを望む人間に、どのような行動が求められているのか。
「いつか専用スタジアムを、どなた様が作ってくれるだろう」
そんな受け身の意識で一生が終わらないように、有効なパンチはどう打つべきなのか
考えだすと、今日も眠れそうにありません。

1 Response to “小括”


  1. おばはん

    メール拝見しております。年齢は存じ上げませんが、文章の構成力、語彙も多く、しかもわかりやすく、とても大事な自治政治の事もしっかりお勉強なさっており、感心しています。私の愛読ブログの方々は皆さんこのブログの事に何度か触れられています。まさに「引力有り」です。今の広島の自治政治。議員を選んだのは私達でもあります。若い人はしっかり考えて、その議員、のこともよく調べて、時には会合に出席して選挙に参加するべきです。そうしないと選挙の好きな人達の都合のいい議員が選ばれてしまう。専スタ、欲しいよね。柏スタなんて、もう、選手の汗まで飛んできそうよね!