アースデイ奈良:「脱原発」活動制限 会場の奈良公園を管理する県「施策と合致しない」
毎日新聞 2013年04月20日 大阪夕刊
奈良市で21日に開かれる「アースデイ奈良2013」で、会場の奈良公園を管理する奈良県が主催の実行委員会に対し、反原発や脱原発を強調する行進や署名活動をしないよう指示していることが分かった。公園使用・占用の許可基準に「県の施策に合致する」という項目があり、県が原発政策への態度を明確にしていないためという。実行委は公園を会場に使うことを優先し、基準に沿うよう出展者に要請したが、脱原発グループからは不満の声も上がっている。【宮本翔平】
世界各地で地球環境を考える「アースデー」(4月22日)に連動した企画で、奈良公園は07年から会場になっている。昨年はステージで福島第1原発事故被害の訴えや原発反対の主張も展開された。
奈良県は、世界遺産の東大寺や春日大社などに隣接する奈良公園の訪問者に不快感を与えないよう、園内での政治・宗教活動を禁止。昨年5月に公園使用の許可基準を改定し、「県の施策に合致する」など7項目の「特別基準」を追加した。
アースデイを共催する県は今年2月、実行委に公園使用を許可。反原発・脱原発を鮮明にした行動などを取らないよう指示し、実行委は「奈良公園で例年通り開催したい」と受け入れ、約80の出展団体に説明した。
出展団体の脱原発グループのメンバーは「予定していた署名活動は取りやめ、展示スペースで資料を配布する程度にするが、どこまでの主張なら許されるのか。奈良公園ではメーデーが開かれ、アースデイでも宗教者の講演があるのに……」と「線引き」を疑問視。
アースデイは市民が多様な意見を出し合う場として発展した経緯があり、地球温暖化問題に取り組むNGO「気候ネットワーク」(京都市)の田浦健朗事務局長は「地球環境に密接に関わる原発の議論を制限するのは社会にとって損失だ」と指摘する。