福島のニュース

二本松に移転の浪江高津島校 仮校舎入学は地元から1人

移転先のサテライト校であった浪江高津島校の入学式。新入生のうち双葉郡の生徒は1人だけだ=9日、二本松市

 福島県浪江高津島校(浪江町)の本年度の新入生15人のうち、地元双葉郡の生徒が1人にとどまった。同校は福島第1原発事故で浪江町津島の本校舎が使えず、福島県二本松市の仮校舎(サテライト校)に移転中。残り14人は二本松市周辺の生徒で、避難先で双葉郡の高校生の受け皿となるサテライト校の趣旨が希薄になっている。

 双葉郡の1人は葛尾村の生徒。14人は二本松市のほか、福島市などの生徒だ。前年度も新入生15人中、双葉郡出身者はゼロで、全員が二本松市周辺の生徒だった。
 同校によると、原発事故前の2010年度の双葉郡の新入生は14人で全体22人の6割を超す。事故前は例年、双葉郡出身者の比率が6割以上で推移していた。
 双葉郡では同校のほか、4校がサテライト校を開設しているが、入学者の大半を避難先の生徒が占めるのは同校だけだ。同校は浪江高の分校で、学区が全県1区で県内のどこからでも受験でき、双葉郡以外の生徒の流入を招いた。
 サテライト校は原発事故で避難区域に指定された双葉郡の高校生の教育環境を整える目的で、住民の多くが避難した市町村に設けられた。双葉郡の新入生が極端に少ない同校の現状はサテライト校の趣旨と裏腹になっている。
 古川直樹分校長は「移転先の二本松市周辺の子からすれば『県北に学校がもう一つできた』という感じなのだろう。学校の歴史を考えれば双葉郡の子が入ることが望ましいが、来た子どもたちを公平に受け入れるしかない」と話す。
 県高校教育課は「どこの学校を受験するかは生徒の意思。避難区域以外の生徒が増えている状況は把握しているが、制度を変えることは考えていない」と述べている。


2013年04月22日月曜日


Ads by Google

△先頭に戻る

新着情報
»一覧
特集
»一覧
  • 47NEWS