バランスボールの上で腹筋する阪神・能見=甲子園球場(撮影・鳥越瑞絵)【拡大】
分厚い扉を突き破り、打球音が室内練習場の外にも響いた。先週15日の休日とまったく同じように、打ち込みを行った新井が引き揚げる際、額をつたう大粒の汗は、おなじみのものだ。ただ一つ違ったのは、確かな手応えを取り戻した、その表情だった。
「疲れ? 特にない。『やらんといかん』と思うけん、やっとるだけ」
前日21日のヤクルト戦(甲子園)では先制アーチを含む4打数3安打3打点。藤浪に2勝目をプレゼントし、就任2年目の和田監督に初の4連勝をささげた。手のひらに残った好感触を、そのままナゴヤまで-。移動を夕方に控えたこの日も、体は打撃を欲していた。
2本のバットを手に、扉の向こうへ消えたのが午後0時52分。それから同1時25分まで、間断なく乾いた音を響かせた。鬼の形相で取り組む新井に、扉を開きかけた若手選手も時間をズラすことを決意したほどだ。
弟・新井良の負傷離脱に伴い、今季初先発を果たしたのが7日の広島戦(マツダ)。そこから早出特打や休日返上を繰り返し、徐々に状態を上げている。前日、藤浪とともに立ったお立ち台でも「自分としては上がってきている。結果として出て嬉しい」と白い歯がこぼれた。最近10試合の打率は・306(36打数11安打)、4打点と、完全にらしさを取り戻している。コンラッドが不振で2軍降格した今、頼れるのは背番号25だ。