阿部、通算３００号も…　偉業祝えず延長１１回サヨナラ負け

　広島が今季２度目のサヨナラ勝ち。１−４の７回に梵と代打の前田智の適時打で同点とし、４−４の延長１１回１死満塁から代打の松山が二塁内野安打を放って試合を決めた。ミコライオが今季初勝利。巨人は西村が踏ん張れなかった。

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　節目の一発は、巨人・阿部らしさ全開の弾丸ライナーだった。２点リードの７回１死一塁。左腕中村の低めスライダーをジャストミート。通算３００号となる５号２ランが、右翼席最前列に飛び込んだ。

　巨人では王貞治、長嶋茂雄、原辰徳、松井秀喜、高橋由に次ぎ６人目の快挙。プロ１３年目、１５１５試合目での達成に、阿部は「３００号を目標にやってきたわけではないけど、達成できたのは素直にうれしい。通過点だと思って今後も１本１本積み重ねていきたい。両親の前で打てたのもうれしい」とコメント。

　延長サヨナラ負けに終わった試合後は「ホームラン？　もう忘れたよ」と疲れた表情だったが、捕手としては野村克也、田淵幸一に続く史上３人目の偉業は色あせない。

　昨季は自身初の打撃タイトルとなる首位打者、打点王の２冠を獲得。アジア王者に上り詰めたチームのキャプテンとして、リーグＭＶＰ、正力賞にも輝いた。３連覇を目指したＷＢＣでも主将を任された。

　「自分の野球人生でもう、こういうことはないんじゃないか」

　達成感に襲われた日もあったが、今季は球団としてＶ９以来の日本一連覇がかかるシーズン。開幕前のミーティングではナインの手を握り「またこのメンバーで良い思いをしましょう」と気勢を上げた。頼もしい仲間と誓ったＶ２に向け、今季もアーチをかけ続ける。　（臼杵秀之）