2009-04-28 大型連休頂きます
仕事はカレンダー通りなのですが、ブログの方は申し訳ありませんが、大型連休にさせて頂きます。ブログを書くと言うか、ブログを管理するのに少々疲れました。負のストレスになってはブログを楽しめませんから、思い切って休みます。感覚的に放電状態ですから、しっかり充電しなおして再スタートにできたらと思っています。
ブログ主 Yosyan
2009-04-27 地方政治課題としての銚子
銚子の騒ぎはあのクラスの地方自治体経営病院の存廃問題が、地方政治にどう影響するかと言う点で注目しています。ごく簡単に病院問題を中心に今回の騒動の経緯をまとめてみると、
- どうやら前々市長時代から病院問題はあったらしい
- 前市長(リコールされた市長)は病院存続を掲げて前々市長を破った
- 前市長も結局のところ病院廃止の方向に転換し、議会で決定された
- リコール運動がおこり前市長は失職
- 出直し市長選が始まる
この前市長が当選した時の記事が2006.7.24付千葉日報ウェブに残されています。
岡野氏が初当選/銚子市長選 投票率57・13%
任期満了に伴う銚子市長選は二十三日投開票が行われ、前中学校長の岡野俊昭氏(60)が現職の野平匡邦氏(58)、前市議の石上允康氏(61)=いずれも無所属=を破り、初当選した。投票率は57・13%で前回の64・01%を下回った。
長塚町の選挙事務所には開票作業の始まった夜九時すぎから続々と支援者が参集。当選確実が伝えられると緊張したムードは一気に和み、拍手と歓声が沸き起こった。
岡野氏は三十八年間に及ぶ教員生活で送り出した教え子などの後押しを受け、「人と人との心を大事にしながら信頼の回復、透明な市政を実現したい」と真っ先に出馬表明。市内全域でミニ集会を開くなど他候補に先んじて浸透を図った。
選挙戦では『信頼と絆による名門銚子の復活』を掲げ、郷土への愛情育成、医療・福祉の充実などを訴えた。連合の推薦、元教員の強みに加え、マラソンの小出義雄氏を二度に渡って招きトークセッションを行うなど、知名度アップに努め、激戦に終止符を打った。
野平氏は公約の大学設置は果たしたが、利子含みの補助金八十四億円はすべて市民負担となり、調整手当廃止では専決処分という手法に議会、職員労組が反発。その後も強引ともいえる市政運営で亀裂を深め、知る会便り、市立病院問題で生じた不信感はぬぐい切れなかった。
石上氏は前回市長選で野平氏を応援。しかし合併破たんを契機に不信感を深め出馬を決意。同じく離反した市民グループや市職員OBなど批判勢力を結集。財政、市立病院、福祉の危機のストップ、広域行政による市政の立て直しなどを訴えたが、及ばなかった。
前々市長が敗れた原因は、
野平氏は公約の大学設置は果たしたが、利子含みの補助金八十四億円はすべて市民負担となり、調整手当廃止では専決処分という手法に議会、職員労組が反発。その後も強引ともいえる市政運営で亀裂を深め、知る会便り、市立病院問題で生じた不信感はぬぐい切れなかった。
まとめると、
- 公約の大学誘致のために84億円が市民負担となった
- おそらく財政再建のための調整手当廃止を巡って議会と、職員労組と紛糾
- 市立病院問題でなんらかの問題を起こしていた
ネット医師には肝心の病院問題の中身が分からないのが残念ですが、存廃に関る問題であっただろう事は前市長の公約から推測されます。それと気になるのは大学誘致のための84億円が銚子市程度の自治体の財政にどんな影響を及ぼしているかです。H.18.11.1付「銚子市の財政状況と今後の対応について」と言うのが銚子市のHPにあります。そこにわかりやすいグラフが掲載されています。
これを見ると平成17年までは健全財政だったようにも感じますが、これにも説明があり、
これまでの銚子市の財政は、国からの交付金で成り立ってきたといえます。しかし、国の三位一体改革などの制度改正により、国からの交付金の大幅な減少が見込まれています。
さらに近年の借入金の増大に伴う返済金の増加などにより、市の財政状況は、今後、急速に悪化することが予測されています。
平成19年度以降は、市の支出(歳出)が収入(歳入)を上回る、いわゆる赤字が見込まれているのです(次の表で示されている市の収入と支出のうち、平成14年度から18年度まで、収入が支出を上回っているのは、主に市の貯金で収入の不足分を補っていたことによるものです)。
どうやら財政調整基金を取り崩しながら支えていたようですが、これも
ところが、銚子市の場合は、ここ数年の大幅な収入不足により、この積立金が底をつきかけており、このまま推移すると、平成19年度末には無くなることが見込まれています。
今後、赤字が見込まれても収入の不足分を補えない状況にあります。
詳しい事はわかりませんが、もともと財政が苦しくなっているところに大学誘致をかなり無理して行なったため、貯金(財政調整基金)がスッカラカンになっただけではなく、借入金の返済のために完全な赤字財政に陥っていると解釈しても良さそうです。あくまでも外野から見ると、大学誘致のための投資のために病院を維持する余裕が銚子市になくなったと見ることも出来そうです。
別に大学誘致と病院維持を天秤にかけて出費を行なったわけではないでしょうが、結果として大学誘致の投資のために市民病院維持が厳しい状態に陥ったと見ることも可能です。舞台裏はそんな単純じゃないでしょうが、銚子市の財政規模・財政事情からすると84億円は大きな影を引いているように思えます。でもって銚子市の財政状況は、
上下水道や病院などを含んだすべての市の借入金の累積残高が、平成17年度末で約553億円に上っており、この借入金に対する返済金(公債費)が、今後増大することになります。
千葉科学大学への補助金交付のための借入金(約70億円)と、保健福祉センターの整備のための借入金(約23億円)の全額について元金の返済が開始される平成20年度をピークに、多年にわたり多額の返済金が必要となります。
自治体会計には詳しくないのですが、200億円少々の歳入規模の自治体に553億円の負債は大きいと思います。銚子市のリポートの負債額と記事の負債額に差がありますが、
- 千葉科学大学:借入元金69億5,630万円と利子を合わせた返済予定額 84億8,301万7,722円を平成17年度から37年度までの21年間で返済予定
- 保健福祉センター:借入元金22億7,580万円と利子を合わせた返済予定額 24億6,956万7,357円を平成16年度から32年度までの17年間で返済予定
この負債が銚子市については早急の事になるようで、あわせて109億5,258万5,079円になり、当面の返済額は、
-
○平成19年度 4億5,078万2,298円
○平成20年度 7億6,223万 615円
○平成21年度 7億5,220万3,536円
○平成22年度 7億4,217万6,457円
○平成23年度 7億3,214万9,378円
こういう感じだそうですが、もちろんこれ以外にも借入金400億円以上はあるわけで、財政的に苦しい事だけはわかります。それとあくまでも私の気のせいだと思うのですが、病院会計への財政援助もこれぐらいの金額だったと思うのですが、自治体の予算を読んでもどうなっているかよく分からないので、あくまでも「そんな気がする」にしておきます。
そういう財政状況なのですが、病院問題で火を吹いたリコール運動により市長は失職しました。こういう苦しい財政の建て直しも焦点になるはずですが、リコール運動の流れからの出直し市長選ですから、病院問題が一番の焦点になるかと考えます。候補者はなんと6人も出たようで、4/21付読売新聞に
銚子市長選に6氏、リコール派も3分裂で市民は困惑
千葉県銚子市立総合病院の休止に端を発した出直し市長選(5月10日告示、17日投開票)は、21日に6人目が出馬表明を予定し、顔ぶれがほぼ固まる。
解職請求(リコール)による住民投票で失職した前市長らのほか、リコール派は分裂し3人が名乗り。病院再生を全員が訴えるが、手法に違いが見えにくく、市民らに困惑も広がっている。
立候補表明しているのは、前市長・岡野俊昭氏(63)、元市長で弁護士・野平匡邦氏(61)と、リコール派から市民団体代表・茂木薫氏(58)、市議・石上允康氏(63)、元市立病院医師で千葉科学大准教授・松井稔氏(45)の3人。学習塾経営・高瀬博史氏(59)は21日に出馬会見する予定。リコール派の3人は、「考え方に違いがある」などとし、一本化の動きはない。
各人が主張する病院の運営方法もさまざまだ。
岡野氏は、自治体が設置し、民間の指定管理者が運営する「公設民営」を主張。野平氏は「全国規模で病院を運営する医療団体」を念頭に置く。茂木氏と石上氏が自治体主導の「公設公営」を掲げ、松井氏は「独立行政法人」を唱える。だが、市民からは「どの方法がベストなのかよく分からない」との声も。5月1日には公開討論会も予定され、今後、議論が熱を帯びそうだ。
リコール運動を支援した無職女性(67)は「リコール派の分裂に戸惑っている。圧倒的な支持を得た新市長に、街の危機を救ってほしい」と話している。
6人の候補をちょっと色分けすると、
氏名 | グループ分け | 病院再建手法 |
茂木薫氏 | リコール派 | 公設公営 |
石上允康氏 | リコール派 | 公設公営 |
松井稔氏 | リコール派 | 独立行政法人 |
岡野俊昭氏 | 前市長 | 公設民営 |
野平匡邦氏 | 前々市長 | 全国規模で病院を運営する医療団体 |
高瀬博史氏 | 無所属 | 記事になし |
「公設公営」とは銚子市が従来のように直営で病院を維持する形態かと考えられます。「公設民営」とは指定管理者制度を念頭に置いてのものじゃないかと推測します。「独立行政法人化」は病院が自立して経営する方針と思います。「全国規模で病院を運営する医療団体」はどこかの医療法人に譲渡する手法を念頭に置いている様に解釈します。記事が簡略なので誤認があるかもしれませんが、そういう解釈の前提にします。
とりあえずですが、病院が再建されても従来の形態では黒字経営になるとは思われません。黒字になるぐらいなら廃院にしたりはしないはずです。現在の医療経済からしてほぼ確実に赤字になります。何故かは長くなるので今日は流します。そういう点から考えると、公設公営にしろ公設民営にしろ銚子市の財政負担は余り変わらないかと思います。独法化も似たり寄ったりでしょう。
そうなると譲渡が財政的には現実的になりますが、譲渡された方は黒字経営を当然目指しますから、従来の銚子市民病院とはかなり診療内容が変わることになります。それより何より、買い取ろうとする医療法人があるかが問題なのですが、その辺の腹積もりは記事では不明です。それと記事からはわかりませんが、病院の規模は廃院前と同じものを主張していると思われます。夕張のように縮小を主張すれば選挙には勝てません。下手するとさらなる拡張充実を訴えていても不思議ありません。それもひっくるめて、もし譲渡先に展望があるのなら前々市長の主張が一番現実的なります。
病院経営と財政負担と言う側面から考えると、
-
病院譲渡再建 vs 市の負担による再建
こういう色分けも考えられます。譲渡再建が現実的としましたが、あくまでも外野から見ればですが、せっかく廃院まで持ち込めたのですから、他の選択枝として「このまま廃院」ないし「縮小して旭のサテライトとして再建」みたいな主張が市民に提示されても良いとは思います。もっともリコール運動の熱気が残る中でそんな主張をしても支持は集まらないでしょうから、市長選に勝つ気なら口が裂けても主張はしないでしょうが。
ここで病院にのみ焦点を絞ればこういう展開になるのですが、違った面もありそうな気がします。前回の市長選は、
-
岡野俊昭氏:13235
野平匡邦氏:12756
石上允康氏:9041
今回も出馬しているこの3人の構図ですが、岡野氏と野平氏は直接の遺恨です。石上氏は野平氏が前々回の市長選で勝った時の後援会幹部であり、この選挙では対立候補になっています。岡野氏と野平氏の得票差は500票ほどですから、石上氏が裏切らなかったら野平氏の再選も十分可能性があったと考えられ遺恨含みです。岡野氏と石上氏は、石上氏がリコール派ですから遺恨テンコモリです。
どうもなんですが、石上氏の行動に興味を惹かれます。前回選挙の結果を考えると、石上氏が野平氏を支持すれば勝った可能性は十分あります。また岡野氏が立候補しなければ石上氏が勝った可能性もあります。そして今回は反岡野としてもよいリコール派です。政治姿勢の変遷は、
-
野平氏後援会 → 野平氏の対立候補 → 岡野氏へのリコール派
これは事情がわからないだけで、きっと一貫した政治信念の下かと考えております。
実はと言うほどのことは無く常識なんですが、地方選挙で二分、三分の激戦をやらかせば、その地方に深刻な後遺症が残ります。これは地方になるほど地縁血縁の選挙になり、地方ほどとくに強くなるので、選挙後にわだかまりが残ります。これは感情的な面だけでなく、実際の利権と結びついて怨恨を深めます。これの根が深くなれば、勝ったほうは利権死守、負けたほうが利権奪回の構図になり、泥仕合が繰り返される構図です。
ですから前回市長選を争った三氏とリコール派の残り二氏とその他一氏の構図とも見ることは出来ます。ただなんですが、誰が勝ってもあの財政状況ですから、本当に病院が再建されるかどうかは少々疑問です。財政もそうですし、ネット医師なら根本的な疑問である、医師や看護師が集められるのかも不安が一杯です。そこも再建にあたり肝心の点ですが、こういう展開になるとバラ色の公約合戦になるでしょうから、火種を残したまますべては選挙後になるのでしょうね。
卵の名無し
■ネット上で判決批判 加古川市民病院、医療過誤敗訴
兵庫県内の弁護士でつくる兵庫医療問題研究会は二十四日、二〇〇七年四月にあった
医療過誤訴訟の神戸地裁判決をめぐり、「インターネットのブログ上に、医師を名乗る
匿名の利用者らから誤った書き込みが相次いでいる」として、公正な議論を求める声明
を出した。
同研究会によると、この訴訟は、加古川市民病院(加古川市)が、心筋梗塞(こうそく)
の救急患者に適切な対応をせずに死亡させたとして、遺族が損害賠償を求め、病院側の
転送義務が争点になった。
判決は医師の過失を認め、「早期に転送すれば救命可能性があった」とし、病院側が敗訴
した。ところがその後、複数のブログでこの判決に対する批判が噴出。「転送要請をほかの
病院に断られているうちに、容体が悪化した」など裁判所の認定と違う内容や、原告を中傷
する書き込みが相次いだという。
声明では「裏付けもせず、非難中傷を発信することは、患者家族の名誉を侵害する」と
指摘。同会代表の泉公一弁護士は「医療側と患者側の対立は、医療の安全に向けての議論
を妨げる」と、冷静な対応を呼びかけた。
▽神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001856456.shtml
元はこのブログだと思うのでお気をつけて
Bugsy
どうやら医療関係者ならば医療費削減による公立病院の赤字という点に目をうばわれがちです。しかし同時にその赤字に地方自治体の財政的体力が追い付かなくなっている背景の方がが大きいと思います。
地方に自治権限を譲ると称して あれだけ悪名高かった地方への財政援助を ここ数年日本政府は削減してきています。以前は公立病院をはじめとした公共事業が少々赤字でも へっちゃらだった地方自治体も多かったのです。地方自治体が単独で税収を当てに出来るのは 住民税とガソリン、タバコくらいじゃないですか。銚子というのは、漁業関連が大半の小さな町です。漁業だと一人当りの平均年収がたしか200万円あるかないかです。港湾工事だの、漁港整備だの国は手厚く保護していますが、見方をかえれば産業構造はきわめて脆弱です。当然地方税も人口の割には見込めません。
国からの交付金が減れば公共事業の赤字も辛いところでしょう。上下水道、ゴミ処理のほうを公立病院よりも優先させたのも まずは妥当だと思います。水道を民間業者に移行と言うのは、値段設定が医療と違って決められてないので ある意味で危険です。明らかに受益者も遥かに多い。
さらに大学を誘致するのも穏当なところです。競艇や刑務所、果ては米軍基地なぞを誘致している地方都市もありますが、若い学生が来れば 間違いなく金を地元に落とします。同時に商店街も明るくなる。他所者を警戒するのは地域住民の常ですが 彼等は4年ごとにいなくなる(笑)。都合がいい。
今まで地方への交付金が潤沢なうちは 日本津々浦々、均質で高度な医療が公立病院で受ける事が可能でした。これからはそれが不可能で、医療レベルも地方都市の財政如何という現実に直面せざるをえない時代になったという意味だとオイラは理解しました。
y
銚子の病院存続問題では、元市長が公約で掲げた病院存続に違反したから、リコールが成立したと、単純に考えると。
今度当選した人が、公約と違う内容で、病院にかかわると、再度公約違反でリコールするのでしょうか。
また、市民病院自体を、公立公営で存続させるべきという市民の要求が入れられなかったから、リコールが成立したと、単純に考えると。
リコール派の有権者のほうが多いわけですから、リコール派が当選するとおもいますが、実際市民病院が再開されないと、再度リコールするのでしょうか。
信仰告白
>Bugsy先生
ガソリンは、地方自治体の収入ではありません。道路特定財源として交付金としてまわってきますけれど。。。
>all
Yosyan先生ご引用の銚子市の財政説明の引用元を読むと、
一般に、標準財政規模(地方税+地方交付税)の市町村だと2.5倍くらいの借金は普通ですので、だいたい140億円ありましたので、350億円程度は「標準」です。そこに、大学誘致と保健センター100億円がのっかったのが、そもそもの「間違い」と言うことができそうです(これは市民もふくめた市の責任)。
だたでさえ人口が減っていて、人口が減ると地方交付税も減るので数億円は折込まなければならないですが、それ以外に10億円単位で地方交付税が減った(さいきん地方税が増えたのは税源移譲のため)のがそもそもの「間違い」でもあります(これは、診療報酬と同様国の責任)。このため、病院にも市民生活にもお金を手当てできなくなりました。
Bugsy
>信仰告白様
そうでした。ガソリンの価格に含まれている道路特定財源でしたね。間違いました。
最近 道路特定財源を一般財源に組み込もうとして 全国の都道府県の知事が一斉に反対していたのが、記憶に新しかったものですから。
この銚子市の財政規模だと 向こうから来るのならともかく市のほうから誘致したからこそ莫大な費用がかかったのでしょう。やはり財政規模の身の丈に合わない予算だったと思います。
銚子市に限らず、税金や地元にお金を落としてくれる企業や学校の誘致に懸命な自治体は多いのですが、どうも決め手に欠きますね。工業団地、IT団地と名づけて土地を整備しても 野原のままといった状態をたまにドライブすると見かけます。同じ千葉県の木更津あたりでも、群馬県でも空地は住宅用に整備した土地が目立ちます。
おぼげながら八王子市が学園都市になる前を記憶していますが、あのときは複数の大学側が広大な敷地を求めて郊外に移転し、現在の若者が闊歩する街になりましたが、少子化が叫ばれ、定員割れの大学も見かけている現在、新しいキャンパスを建設しようという動機は学校側にはおきないかもしれません。だから誘致する側が低姿勢になり いきおい莫大な予算を投入せざるをえなかったのだと考えます。
Yosyan
大学誘致の経緯は日程でしかわかりませんが、微妙ですね。前々回市長選が行なわれたのがおそらく2002年で、その当時に大学誘致による市の活性化は政策として必ずしも悪くないと思います。それと前回市長選の記事を読む限り、84億円は当初の説明では市の負担にならない予定だったようです。84億円すべてかどうかわかりませんが、少なくとも全部ではなかったかと考えられます。
ところが最終的には市の負担になった事が政治問題になっているようです。大学の開校が2004年ですから、大学誘致計画自体は非常にスムーズかと思われます。いや、余りにもスムーズすぎるような気さえしないでもありません。2002年の8月には市長になったと言う事はその年の予算審議で大学誘致予算どころか、建設費も組み込む必要があります。そうしないと2004年4月開校に向かって建設費用が出ません。
つまり
2002年:8月市長就任
2002年:2003年度予算で大学誘致決定、誘致予算を組む
2003年:大学校舎建設
2004年:4月に開校
ちょっとスムーズすぎるように思います。もっともさらに先代市長がレールを既に敷いていたのかもしれません。そう考えないと、前々市長が大学誘致を就任時からスタートしたにしては、早すぎるんじゃないかと感じています。
rijin
> 元はこのブログだと思うのでお気をつけて
身の危険をひしひしと感じますね。
ya98
Bugsy様の意見ですが、
>どうやら医療関係者ならば医療費削減による公立病院の赤字という点に目をうばわれがちです。しかし同時にその赤字に地方自治体の財政的体力が追い付かなくなっている背景の方がが大きいと思います。
私も同じ意見です。三位一体のカイカクだったかな、中央集権をやめるとかいって、竹中が自治大臣のときにかなり仕込んだ。地方財政を均衡させる仕組みを作り無制限に借金を増やせなくなった。その時限爆弾が次々爆発しているかんじですかね。県レベルでも夕張のような事例が出てくるでしょう。その上に、今年は少なくともGDPが5から10%はトータルでマイナスでしょうから、法人税に頼っていたところは壊滅的な税収になりかねないです。こうなるとさらに公的病院に影響が出てくるかと。
公的病院が成り立たないような低い診療報酬が問題なのですが、そういうところに論議はいかないですかね。
risyu
首長になろうとする候補者は状況を理解した上で公約を掲げているとは限りません。
ウチの病院があるとこの市長は新人で当選しましたが、病院問題を議論した際「私は政治家ですから願望というか決意表明をした訳です。実際に出来る出来ないを言った訳ではありません。選挙に通らなければ、単なる候補者ですから実際の業務に関する事や、関係する人から直接情報を仕入れる事が出来ない訳で、詳細は分かりません。出来るか出来ないかはやってみないと分からないのです。しかしながら、選挙に通らなければ、『こうしたい』という事も実現する手段が無い訳ですから通る必要があり、『こうしたい』という事をアピールしなければならないのです。」と、言ってました。
私には、「こうしたいという希望を各候補者が掲げるので、実際に出来るか出来ないかは選挙民が判断して投票しないのが悪い。」と聞こえました。そんな無茶な。
どれくらい昔かは性格に記憶しませんが、政治家の公約はそもそも守られないもの、という暗黙の了解が選挙民にはあったように思います。
それがいつ頃からか公約違反は避難されるべきという雰囲気となり、その是非は置いておくとして、実際にできるかどうかなんて本人とその周囲のブレインと呼ばれる取り巻きがどれだけ問題の実情をどれだけ知っているかによるものでしょう。
銚子のようなところでは、実情を知る人は大風呂敷の公約など掲げられないでしょう。実情を半端にしか理解しない知識や支援者しか持たない候補者は、なんとでも言えます。
けど、それで公約違反になったなら、永遠にリコールを続けるのでしょうか?→銚子の皆様。
自治体立病院問題の本質は誰が市長になっても解決できない国策によるものだ、と理解が広まってほしいものです。
予定調和
さすが聖地奈良。救急隊も崩壊でしょうか。
救急搬送拒否、義務違反1億3千万円賠償命令 奈良地裁
ttp://www.asahi.com/national/update/0427/OSK200904270070.html
Hekichin
予定調和様
>救急隊も崩壊でしょうか。
いやいや周辺の救急告示病院が崩壊するだけでしょう。
救急隊から保護した酔っ払いを押し付けられる→救急外来で酔っ払い暴れる+暴力行為→看護職員退職続出→医者も逃亡→病院分解物
tadano-ry
予定調和さま
記事などまとめてエントリにしました。
http://d.hatena.ne.jp/tadano-ry/20090429
勤務医
最近の日本は(いろんな場面で)権利ばかり主張して義務を果たす事を放棄しているように思います。
銚子の件に関しても、納税者と利用者共に市民なわけですから、自分たちの財布で実現可能な医療体制を具体的に模索することが必要であって、病院ありき、財政・納税放棄なんて無責任すぎます。
公設公営 独立行政法人 公設民営など示されていますが、その場合に見込まれる税負担、病院の政策医療維持の程度を明らかにして、市民に直接投票してもらえばリコールなんて必要ないと思うのですが。
Bugsy
銚子市は Yosyan様がおっしゃったように、学園都市とまでは言えないまでも大学を誘致したそうですね。
もうそういう方向に行政の方向を舵取りした以上 簡単に後戻りできないでしょう。大学のお引き取りも今更できませんよ。同時に公立病院も止めてしまいました。これまた再開するには莫大な予算が必要です。
病院が地方の雇用を確保する良いきっかけであるという思いは強いのですが、いわゆる医療特区が認められていません。銚子市が学校を誘致して 学生が地方税を払わぬまでも地元に金を落とすことで 徐々に地元の商業がは活気づくことを期待するしかないでしょう。学生が部屋を借りたり、飲み食いするのは まず地元ですからね。
まずは学園都市のいうのはイメージアップという観点からは 繰り返すようですが、自分もいい戦略だと思います。銚子も行けば面白い街ですが、観光ったって、平日はがらがらです。若い学生が平日でもブラブラしてくれれば ずいぶんお金を落とすでしょう。雰囲気も様変わりでしょう。
ただ財政的に回復するには時間がかかります。拙速に病院を再開することはさらなる財政危機を誘因しかねません。無論一気に数10人の医師を招聘は簡単じゃありません。
今までの行政方針を変えていくのは現時点では不可能だと感じます。病院存続を公約にして当選、だけど結局出来なかったのでリコール、と繰り返せば、病院を維持しようと公約にして選挙にうってでる政治家はいなくなると思います。近い将来、別の争点を前面に打ち出してくるでしょう。「濡れ煎餅に頼らぬ銚子電鉄の再建」なんて言い出したら、全国レベルで有名になれます。
結果的には病院は無くなったまんまでしょうね。もうそういった方針の舵取りを とっくに済ませた後なんです。
市長選に立候補した連中も内心は皆わかってると思うな。
元外科医
病院経営は民営化して、自治体が補助金を出した方が安上がりだと思うけどね
勤務医
それが公的病院の再生方法であったりして。
しかし、本当は補助金なんて要らなくて、自由な経営の方が民間は良いわけで、企画倒れになりかねない。
公的病院のファンドもそんな方向で動いたりして。
混合診療と公的補助でがちがちに制限をつけた病院を民間に販売。
売れるかなあ。
Bugsy
世間じゃゴールデンウィークとやらで賑わっているようですが オイラには全然関係ありません。
さて公立病院の在り方をきちんと峻別すべき時期に来たと思うのです。というより 早くせんかい!とも思うのです。
新型インフルエンザが話題になっていますが、そういったいざというときの病院、結核や難病も必要ですね。こういった採算が取れるわけがなく、赤字になっても公費で維持すべき病院と 民間の医療機関が賄える診療を病院とわけるべきだと思います。
老人医療は、救急は、パンデミックな感染は、一次救急は、正常分娩は、と ありとあらゆる状態に単一の病院がすべて24時間備えることは不可能です。わかっちゃいたけど病院が強いられ、医師も応じてきた。
官業が民業を圧迫するとまでは言いませんが、診療の対象が重複している部分は多いと思います。簡単に言うと こんなの深夜に公立病院に来るほどでもないよ という患者が多いのです。
公立病院がどういった医療を行うかと明瞭にすれば医療の在り方も変わってくると思います。
2009-04-26 中原先生支援する会 ボールペン作戦
福島大野病院事件ではボールペン作戦に多大な御支持、御協力を頂きありがとうございます。福島大野病院事件のボールペン作戦は、福島地裁の無罪判決及び控訴断念により一応の終止符を打たせて頂いています。「頂いています」と言ってもボールペン作戦は私の独占企画でも何でもありませんし、関わりと言えば企画が当ブログのコメント欄の議論から発生した事と、その後に何度かエントリーで取り上げさせて頂いたぐらいです。
福島大野病院事件のボールペン作戦は無罪判決により無事終了したのですが、新たにボールペン作戦を展開したいとの話がありました。別に私の許可などまったく不要ですし、新たなボールペン作戦にも、福島の時に実行部隊として絶大な協力を頂いたmoto先生が御参加されていますから、異論も何もなく趣旨に賛同させてもらっています。
新たなボールペン作戦は4/25に開始との事で、本来はそれに合わせて昨日取り上げるべきだったのですが、奈良の時間外訴訟も手を抜くわけにはいかず、一日遅れで取り上げさせて頂きます。
中原先生の件は周知の事ですから、ごく簡単な説明にさせて頂きますが、医師4人で24時間365日の小児救急を担当し、過労から鬱病を発症し自殺された痛ましい事件です。この事件は民事訴訟になっているのですが、構図が少々複雑(私もよく知らなかった)なので出来るだけ単純に整理してみます。遺族が起された訴訟は二本です。
- 過労死による労災認定
- 過労死を起した病院の管理監督責任
労災認定が訴訟になったのは労基署がこれを認めなかったからで、2007.3.14に東京地裁で労災認定判決を勝ち取り、これが確定しています。一方の病院の管理監督責任については、
-
東京地裁:原告主張を全面却下
東京高裁:過労死は認めるものの病院責任は否定
現在最高裁に上告受理(用語の正確性が怪しいのですが・・・)を運動中です。原告遺族の主張をこれも簡単にまとめると、
- 中原医師の死亡原因が過労死である事は労災認定されている
- 労災としての過労死を起すような病院には管理監督責任があるはず
えらいシンプルにまとめましたが、他の事例に置き換えて考えてみると分かりやすい主張です。例えば運送会社がトラック運転手に過重な業務を強いたとします。これによる疲労により過労死したとなれば、運転手が労災にあたるだけでなく、過労死を招く業務を強いた会社にも責任があって然るべしだとの主張です。過労死は本人が勝手に過労になったのではなく、過労になる職場環境があり、その職場環境の改善を怠ったものにも当然責任があると言えばよいでしょうか。
ここで過労死と言っても、それだけで病院の管理責任が問われるものではありません。同じ労働条件でも過労になるものと、ならない者がいるからです。過労死で事業所側の管理責任が問われるのは、ある一定数以上の者がその条件で過労になって然るべしであるとの事実認定が必要です。一つの目安として、時間外労働の過労死ラインがあります。
平成18年3月17日付基発第0317008号「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」には、まず冒頭部に、
長時間にわたる過重な労働は、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられ、さらには、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いという医学的知見が得られている。働くことにより労働者が健康を損なうようなことはあってはならないものであり、この医学的知見を踏まえると、労働者が疲労を回復することができないような長時間にわたる過重労働を排除していくとともに、労働者に疲労の蓄積を生じさせないようにするため、労働者の健康管理に係る措置を適切に実施することが重要である。
ここに
-
労働者が疲労を回復することができないような長時間にわたる過重労働を排除
こういう趣旨の通達であると明記されています。また、
5 過重労働による業務上の疾病が発生した場合の再発防止対策を徹底するための指導等
- 過重労働による業務上の疾病を発生させた事業場に対する再発防止対策の徹底の指導
過重労働による業務上の疾病を発生させた事業場については、当該疾病の原因の究明及び再発防止の措置を行うよう指導する。
- 司法処分を含めた厳正な対処
過重労働による業務上の疾病を発生させた事業場であって労働基準関係法令違反が認められるものについては、司法処分を含めて厳正に対処する。
ここの
-
過重労働による業務上の疾病を発生させた事業場であって労働基準関係法令違反が認められるものについては、司法処分を含めて厳正に対処する
こうした上で
事業者は、労働安全衛生法等に基づき、労働者の時間外・休日労働時間に応じた面接指導等を次のとおり実施するものとする。
- 時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者であって、申出を行ったものについては、医師による面接指導を確実に実施するものとする。
- 時間外・休日労働時間が1月当たり80時間を超える労働者であって、申出を行ったもの(1.に該当する労働者を除く。)については、面接指導等を実施するよう努めるものとする。
- 時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超える労働者(1.に該当する労働者を除く。)又は時間外・休日労働時間が2ないし6月の平均で1月当たり80時間を超える労働者については、医師による面接指導を実施するよう努めるものとする。
- 時間外・休日労働時間が1月当たり45時間を超える労働者で、健康への配慮が必要と認めた者については、面接指導等の措置を講ずることが望ましいものとする。
中原医師がどれほどの時間外労働を行なっていたかですが、中原医師支援の会のHPによれば、
平成10年4月ころから,佼成病院では経営改善への取り組みが本格的に行われて,経費削減が意識されるようになっていたところ,平成11年1月から3月末にかけて,小児科部長を含め3名の小児科医が辞めることになったにもかかわらず,小児科医は同年5月に1名補充されたのみであった。
そのため,平成11年3月以降は大変な激務となり,故中原は,同年3月には8回,同年4月には6回(一般の小児科医平均の約1・7倍)の当直を受け持たざるを得なかった。当直の日は,通常勤務から連続して24時間以上勤務することになる場合がほとんどで,そのまま翌日の通常勤務まで担当して32時間以上の連続勤務となる場合も多かった。しかも,3月は,小児科の総患者数が前年の1735人に比して2324人に膨れ上がるなど患者数が多かったため,通常勤務も忙しかった。
まずここの当直勤務ですが論じるまでもなく医療法16条による当直勤務であり、労基法41条3号によるものでないことは論を待ちません。つまりはすべて時間外労働と認定されるものです。この事は奈良産科医時間外訴訟で法務業の末席様から詳細なレクチャーを頂いています。また例外と言うか条件による労基法41条3号にも該当しません。
中原医師は平成11年3月に8回、4月に6回の当直勤務を行なっています。佼成病院の勤務時間等が不明なため、日勤を9時間(1時間の休憩時間を含む)、夜勤15時間とします。当直勤務がすべて時間外労働・休日労働と認定された奈良産科医時間外訴訟に従います。中原医師の8回の夜勤がすべて平日であったとしても、
-
3月:15時間 × 8回 = 120時間
4月:15時間 × 6回 = 90時間
これは前提としたように当直がすべて平日であったとの試算であり、これに休日の日当直が加わればさらに時間は増えます。さらにこれは当直分だけの計算であり、現実は当直日以外の時間外勤務、休日勤務が発生します。それだけの時間外及び休日勤務は十分に過労死ラインに達すると考えられます。ただ、ここは自信が無いのですが、平成11年当時に長時間の時間外労働・休日労働による過労死の基準と言うか扱いがどうなっていたかの根拠が見つからないのですが、平成11年当時でも過労死は十分な社会問題であったかと記憶しています。
客観的に考えて、中原医師は過労死を起す勤務環境にいたと考えられます。またその環境下で過労を起こし鬱病を発症しています。さらに鬱病から飛び降り自殺を行なっています。さらにさらに過労死からの鬱病発症、さらには自殺は労災として認定されています。これの事業所による管理監督責任がゼロとはやはり違和感を感じざるを得ません。医師といえどもそこまで鉄人である事が「一般常識である」とされたらたまりません。
滋賀で36協定の特別条項により月120時間の時間外労働を認める労使協定が結ばれています。原則として労使協定を結べば長時間の時間外労働は合法的に可能ですし、普通の36協定があっても、現実として過労死ラインを超える時間外・休日労働を行なっている労働者は医療界だけではなく他の職種にもゴマンとあります。
ただし労基法の精神と言うか、運用として過労死ラインを超えて過労からの疾病発症、ましてや過労死が発生すれば、労働者の管理監督責任がある使用者には重い責任が生じるはずです。しかし中原医師には一審、二審と認められておりません。私はやはり認められるべきだと考えますし、考えるから中原医師へのボールペン作戦に賛同します。
ボールペン作戦に賛同される方はボールペン作戦会議室を御訪問ください。いちおうボールペンの希望要項を引用しておくと、
★ボールペンご希望の方は、封筒の表に「中原支援ボールペン希望」と朱書し、送り先の住所・氏名を記入し必要金額の切手を貼った返信用封筒を同封の上、下記あてにお申込みください。
お一人様1本は無料でお送りいたします。
このボールペンで同封の署名用紙にご協力いただけたら幸いです。
2本以上ご希望の場合は、1本につき原価(約84円)以上のご寄附を、下記口座あて、お願い致します。
ご寄附でさらに追加のボールペンを作成し、無料配布による支援の輪を広げていきたいと考えます。
★[宛先]
460-0012名古屋市中区千代田5−20−6鶴舞公園クリニック
★複数本ご希望の方は、
【10本まで】
「中原支援ボールペン○本希望」と朱書して、返信用封筒には
2本まで:120円
3−5本:140円
6−7本:200円
8−10本:240円
の切手を貼ってください。
【11本以上】
104-0033東京都中央区新川1-11-6 中原ビル「中原支援の会」(TEL:090-6133-0090
FAX:03-3552-2888)まで御連絡ください。個別にご相談、対応させていただきます。
★ご寄付は下記宛にお願い致します。
◎三菱東京UFJ銀行 築地支店 普通預金 0026409
「中原先生支援する会 ボールペン作戦」
◎郵便局振込口座 00160−2−361759
「中原先生支援する会 ボールペン作戦」
作戦に参加されるかどうかは皆様のあくまでも自由意志です。個人的にはこの問題は、中原医師だけの特殊例ではなく、広く適用される事が多い問題と考えています。1人でも多く、問題意識を共有してくだされる方がおられれば嬉しいところです。
■中原のり子氏の印象
中原医師の問題では御遺族の粘り強い活動が特筆されます。中心になっておられるのは中原医師の妻であった中原のり子氏です。リアルでの人脈が乏しい私ですが、本当にタマタマですが、実際にお会いしてお話をさせて頂いた事があります。会う前の勝手なイメージとして、そういう運動をされている方ですから、キリリとした美人で、物静かであっても意志の強そうな、ちょっと怖そうな方を頭に描いていました。
ご紹介頂いたのは、とある会の親睦会のさらに二次会です。恥ずかしながらその二次会に中原のり子氏が参加されている事は、まったく知らず、ある時に
-
「のりピー紹介しておくよ♪」
てな感じのこれ以上軽くは出来ないほどの軽さで、とある女性を私の隣の席に引っ張ってこられました。「のりピーって誰?」と思いながら話を聞いてみると、かの中原のり子氏であったわけです。実際にお会いした印象は、キリリというより親しみやすい美人(こうしておきます)で、意志は強そうではありましたが、物静かと言うより、これは失礼かとは思いますし、酒席であったためとも考えていますが、どちらかと言うと騒がしいぐらい陽気な方でした。
これくらいギラギラ陽気な奥様が中原医師の家庭を支えられていたのに、それでも耐え切れないぐらいの過労が中原医師に圧し掛かり、鬱病から投身自殺をせざるを得なくなったと考えると、その勤務の過酷さが窺えると個人的には感じています。一度限りの、それも二次会の酒席でのイメージですから誤解もあるかとは思っていますが、御参考までに。
Med_Law
昨日、のりピー宅で会報発送のお手伝いをさせてもらいました。(大幅に遅刻してしまいましたが・・・・)
目が眩むような数の封筒と資料と闘う20人以上の支援者の応援が熱いのだけれど、和やかに進む様子は、のりピーだけでなく、中原先生の人徳だろうと思われました。
身近な問題として、胸にボールペンを刺して仕事をしようと思います。
労働問題の改善に向けて自分ができることを努力しないといけないと、改めて思うのでありました。
moto-tclinic
どうもご紹介ありがとうございます。ところで、今回は、ボールペン作戦のオマケ的に、「病院には医師を過労死から守る義務があります」のバナー作戦も同時展開中です。
http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/m/moto-ballpen/20090402/20090402144435.jpg
(故中原先生の遺影の使用については、ご遺族のかたの諒解得ております)
ご賛同いただけるブロガーの方々、何卒よろしくご協力お願い致しますm(_ _)m。
HTML使えるところでは以下コピペ。
======
<a href="http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/"><img src="http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/m/moto-ballpen/20090402/20090402144435.jpg" title="病院には医師を過労死から守る義務があります" width="320" height="112"></a>
=====
yahooブログ(html使用に制限あり)では、記事作成欄の右上にある「Wiki文法使用」にチェックを入れた上で、
=====
[[img(http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/m/moto-ballpen/20090402/20090402144435.jpg,320,112)]]
[http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara// 病院には医師を過労死から守る義務があります]
=====
とコピペです。
ボールペンの方は、支援の裾野広げる意味でソフトなコピー文(「医師の過労死?なんじゃそれ?」という人にはこれで十分刺激的)、ネットですでに濃い情報に接している方々には、バナーのハードなコピー文、と使い分けの趣旨です。
moto-tclinic
続)
ボールペンにつきましては、巧みに出来ているところがありまして、胸に挿しておく分には、クリップの「いのち守る」が見えるだけですから、誰にも何も言われる筋合いの無い、無難なものです。
で、抜くとボディには「過労死から医師を守ろう!」ですから、実際に勤務医の方が職場で胸ポケットから抜いて使用するのは、これだけのコピー文だけでも十分刺激的であろうかと察します。
とりあえずは、「胸に挿して使わない飾りボールペン」くらいに考えるとよろしいのではないかと。
で、心の中では、コピー文を「過労死から自分を守ろう!」と変えて念じていただくとよいかなあ。。
ボールペン入手後、「医師」の上から、テプラで「自分」と打ったシールを貼って使うのも御一興かも(^^;。
元外科医
おお、来ましたね。小生も参加させて頂きます。全医連でも紹介したいと思います。
Bugsy
中原先生のことを思うと
へたすりゃ自分もそうなった、一歩手前でした。
さっそくお願いします。
clonidine
活動に水をさすようで申し訳ありませんが、中原夫妻の長女は医師国家試験に合格し、初期研修中に出産し、公立病院小児科で当直・残業免除(拒否?)の後期研修中だそうですね。
http://d.hatena.ne.jp/shy1221/20080513/p2#c(他人のブログを拝借してすみません)
中原氏の過労の一因は同僚女医の出産・育児のシワ寄せではなかったのでしょうか?
長女の研修医の当直・残業免除のシワ寄せは、そのまま同僚に行くことはご存知ないのでしょうか?
長女&孫は某公立病院小児科常勤医を過労に追いやっていることにお気づきですか?
親睦会やら二次会に出席する時間があるならば、孫の子守を担当し、長女の研修を助け、同僚の過労死のリスクを減らしてもいいんじゃないでしょうか?
また、長女は9〜17時のゆるい環境で研修しても、3年後には1人前の小児科医になれるとお考えですか?
勤務医の労働環境改善運動には異存はありませんが、中原夫人&長女はいまひとつ応援する気になれない、心の狭い私です。
Med_Law
clonidineさん
本当に心が狭くなっていると思われます。お疲れではないかと心配になります。
妊娠・出産・育児に伴う休業、負担軽減は労働者として求める当然の権利です。
研修医の当直というのが、「名ばかり当直」に過ぎないことも御存じのはずです。
同僚が過重労働で困っているとしたら、それは病院の責任であって、被害者の一人である研修医に向けるべきではありません。
3年後に一人前になる必要があるのかどうかは別問題です。
もちろん、昔に比べれば到達レベルは低くなるでしょうが、労基法違反を許容する理由にはなりえません。
家庭の問題というプライベートを批判の対象にするのは、議論する人の人格を疑う根拠にすらなります
長女の研修の手助けの目的が、同僚の過労死予防とするのも、論理の飛躍も著しいです。
反省を促したいです。
9時〜17時でも立派な労働です。
9時〜9時までの24時間というのは3人分の仕事量です。
過去の非常識との決別がなければ、第二の中原先生を減らすことはできないと思います。
女性としての普通の幸せと医療とを両立できる社会になるため、一時的に医療サービスが低下しても仕方がありません。
この場合、医療レベルは落とせませんので、受け入れ人数が減ることになるでしょう。
(レベルが落ちると、自身の身も危うくなる)
勤務医が労基法に従う体制になることによるマイナス効果は、本来あるべき姿であって、今は社会が勤務医の犠牲のもとに不当利益を得ているのです。もともと権利と言えるものではないので、引き剥がされても文句は国に言ってもらうしかありません。
元外科医
>勤務医が労基法に従う体制になることによるマイナス効果は、本来あるべき姿であって、今は社会が勤務医の犠牲のもとに不当利益を得ているのです。もともと権利と言えるものではないので、引き剥がされても文句は国に言ってもらうしかありません。
激しく同意いたします。常軌を逸した労働時間により支えられている日本の医療制度は、一度解体する必要があります。お気の毒ですけど其の過程では犠牲者も出るでしょう。しかし、それは逃散した勤務医の責任ではありません。
小生も勤務医の労働に労働基準法を遵守させるように要求するグループに所属して活動するつもりです。また勤務医だけではなく、それに近い悪条件で働かされている他業界の労働基準法違反も産業医としては見逃すつもりはありません。日本の労働者の賃金が上がれば、内需拡大になりこの国の景気を良くすることも忘れてはなりません。
clonidine
中原先生長女勤務先の後期研修医給与は病院Hpによると(年俸制)1年目:7,500,000/年、2年目:7,800,000/年、3年目:8,400,000/年 だそうで、(1年目にして大学講師時代の私の年俸を上回ってるし・・・ますます心が狭くなっていそう・・・、時給換算したら1年目から小児科部長の父を超えてるんじゃ・・・)ご主人も医師だそうですが、その気になればベビーシッターを複数雇うことも可能な金額ですよね。
私が心配してもしょうがないのかもしれませんが、この年俸で1年目から当直・残業なし(おそらく子どもの病休もそれなり)で、なおかつ裁判・取材・シンポなどで勤務に穴をあけて・・・病院で上司・先輩・同僚と仲良くやっているんでしょうか。
Med_Law
clonidineさん
私も驚く好待遇ですね。正直、羨ましくもあります。多分、仕事に見合った給料ではないでしょう。
ただしこれは、病院が下心で、労基法違反で働かすための賃金だとすれば、単に有難うといって、普通に働くだけの人を非難できる理由にはなりません。
だいたい、年俸制というのは、残業代コミコミという制度ではなく、ボーナスコミコミを12で割って、20で割って8で割る単位時間当たりの賃金を上昇させるので、労務管理上は経営にマイナス(働く者にプラス)に働くものです。この病院の労務管理・コスト管理は穴だらけに見えます。
私だったら2年間死ぬほど働いて、2年分の残業代に付加金付けて倍返し狙うかな?(笑)
clonidineさんの心配は、いわゆるヤッカミ・ネタミに相当するもので、第三者としてみると見苦しいです
羨ましい世の中が自分の所に及んでいないのであれば、他人の足を引っ張るより、自分の待遇改善に動くべきだと思います。
それにしても、大した仕事もできない研修医に高賃金。この病院の先行きは暗そうですが、それも研修医個人の問題では全くありません。
moto-tclinic
>中原氏の過労の一因は同僚女医の出産・育児のシワ寄せではなかったのでしょうか?
違うと思います。中原氏自身が、病院と対峙し、場合によっては職を辞しても自分の健康を守るだという、思い切りに欠けていた結果だと思います。
>長女の研修医の当直・残業免除のシワ寄せは、そのまま同僚に行くことはご存知ないのでしょうか?
「シワ寄せ」が同僚にとって過労につながると考えられたら、それを回避すべきは同僚の自己責任でだと思います。自分の身は自分で守るしかありません。
>長女&孫は某公立病院小児科常勤医を過労に追いやっていることにお気づきですか?
過労に追いやっているのは、某公立病院小児科常勤医本人です。長女ではありませんし、まして孫ではありません。
>親睦会やら二次会に出席する時間があるならば、孫の子守を担当し、長女の研修を助け、同僚の過労死のリスクを減らしてもいいんじゃないでしょうか?
長女や母親に、「同僚の過労死のリスクを減らす」ために働けというのは、無神経で残酷だと思います。
長女も母親も、中原氏をどうしたら過労自殺死から守ることができたか?は、十分すぎるほど考えたと思います。中原氏の仕事を手伝ったら、中原氏は過労死しなかったでしょうか?
中原氏を救う方法は、中原氏をもっと早く仕事から離すことだったと悔いていると思います。
>また、長女は9〜17時のゆるい環境で研修しても、3年後には1人前の小児科医になれるとお考えですか?
才能または資質の問題だと思います。もし、長女に限らず「一人前」になる医者が少ないようなら、それは研修プログラムに問題があるか、もっと長期間の研修が本来必要なのだ、ということになると思います。
moto-tclinic
>中原先生長女勤務先の後期研修医給与は病院Hpによると(年俸制)1年目:7,500,000/年、2年目:7,800,000/年、3年目:8,400,000/年 だそうで、(1年目にして大学講師時代の私の年俸を上回ってるし・・・ますます心が狭くなっていそう・・・、時給換算したら1年目から小児科部長の父を超えてるんじゃ・・・)ご主人も医師だそうですが、その気になればベビーシッターを複数雇うことも可能な金額ですよね。
なんだか、読んでて腹が立ってくる文章ですが、ひとの年棒がそんなに気になるなら、それはご自身の価値観がそういうところにあるということなのだから、いっそ年棒・年収を追及すべく転職したらいかがですか?嫌みではありませんし、悪いことでもないと思います。
大学講師てのは、年棒が目的で勤めたのではなく、ほかに研究とかやりたいことがおありになったからではないのですか?それを高額な施設や公費をつかってやらせてもらったのだから、薄給でも満足ではなかったですか?
わたしは、薄給の国立病院に16年勤務しましたが、民間ではできない不採算医療にたずさわることができたので、満足しています。
>私が心配してもしょうがないのかもしれませんが、この年俸で1年目から当直・残業なし(おそらく子どもの病休もそれなり)で、なおかつ裁判・取材・シンポなどで勤務に穴をあけて・・・病院で上司・先輩・同僚と仲良くやっているんでしょうか。
「仲良く」って、どういう意味ですかね?・・もし、そういう理由で「仲良く」してもらえない上司・先輩・同僚であるなら、わたしなら、こちらから願い下げで、ほかの職場にさっさと移りますが。
moto-tclinic
白状すると、わたしの中にも、clonidine様が書かれた内容と同様のモヤモヤが少しあったのですが、clonidine様がはっきり書いてくださったおかげで、自分のなかのモヤモヤと自己討論することが出来てすっきりしました。有難うございます。
コメント欄というのは、こういうところが私は好きで、ハンドルネーム付きで書かれていても、そこに書いてある文章は、自分のなかの無意識を投影するための鍵ですからね。反発にしろ共感にしろ、他者との交わりに見えて、実は自分の内面の投影に過ぎないのだろうと感じます・・
わたしにとってコメント欄というのは、自分が何者かをを知るための鏡ですね・・
蛇足でした。スミマセン。
clonidine
Med_Lawさん
一応釈明しておきますが、現在私は大学病院を辞職し、QOMLのある生活をしております。時給換算でも中原氏長女より稼いでおりますので、ご心配なく。
現在、非正規労働者問題などでキーワードとなっているのは「同一労働・同一賃金」ですが、けっきょく勤務医労働問題の改善も、この一言に集約されるのではないかと思われます。「同一労働・同一賃金」=「労働の長短・軽重で、それ相応の賃金差」ということです。
公立病院では今なお「年功序列で右肩あがりの賃金+お情け程度の残業&当直手当」を取っていますが、医者のほとんどが男(一部独身女)で医局奴隷だった時代にはそれでも不公平間はさほどありませんでした。
しかし、女医4割時代になり、当直・残業なしのママ女医か増えてきますと、現在の賃金体系では「時給換算すると、ママ女医>男医」と軋轢を生みます。そして、当直・残業なし育児時短(必然的に重症免除)勤務を続けておりますと、どうしても臨床能力は同期よりも見劣りがします。10年目の男医と、9時5時生活で3年目レベルのことしかできない10年目ママ女医が同賃金なのは、やはり「時給換算すると、ママ女医>男医」であり、「同一労働・同一賃金」の原則から外れてしまうのです。
「小児科部長の父の時給<研修1年目の長女の時給」なのは、双方の病院の労務管理がおかしいのです。中原夫人&長女は前者は糾弾しても、後者はスルーしたままです。真に勤務医全体の労働環境改善を考えるならば、中堅勤務医の過剰労働だけでなく、「ママ女医は業務内容に比べて過剰時給ではないか」、という点についても考察すべきなのです。
中原先生は遺書で
>小児科学会としても、小児科医の1/4以上を占める女性医師が
>育児と仕事の両立をはかれるよう提言を行ってはいますが、
>わが病院でも女性医師の結婚・出産の際には、他の医師に過重な
>負担がかかっているのが現状です。
と、ママ女医問題にもしっかり触れています。
しかし、中原夫人&長女が、長女の出産・育児を経ても今なおママ女医(の相対的高待遇)問題には触れないあたり「彼女らは本物ではない」と、私は考えざるを得ないんですよね。
clonidine
解決法としては、やはり基本給は低めに抑えて、正当な残業・当直・オンコール手当てを支払う(=5時に帰るママ女医を暖かく見守ることができる)。基本給の定期昇給は卒後10年ぐらいで打ち止めとし、前年度実績に応じて病院側と交渉、場合によっては減給もあり、当直15回の30代産科医の年俸が院長を超えるのはあたりまえ・・・などなど。
プロ野球やキャバクラあたりが、賃金体系のモデルとしてはよろしいのではないでしょうか。
Med_Law
clonidineさん
なかなか懲りない人なのだなぁ。。。というのが率直な感想です。
公立病院等が右肩上がりの賃金というのは、事実誤認も甚だしいです。
普通は、初任給調整手当という、基本給の上昇とともに下がっていく調整金があって、卒後数年で月収はフラット化されています。大学にしかいないので見えていないのでしょう。認識を改めてください。
研修医の賃金が高いのを研修医に対して非難するの?違うでしょうに。
病院管理者に非難を向けるの?どうぞご自由に。但し高給で雇うにはそれなりの理由があるのでしょうから、鼻で笑われることでしょう。
>真に勤務医全体の労働環境改善を考えるならば、中堅勤務医の過剰労働だけでなく、「ママ女医は業務内容に比べて過剰時給ではないか」
個人個人の生産性の査察をどうするかという問題に帰着されますが、少なくとも高く評価されているものを自分から値下げするバカはいません。
医師過剰ともなれば、こちらから提案するまでもなく下げてくることでしょう。
単なる過渡期の一時現象です。それでも許せませんか???
>当直15回の30代産科医の年俸が院長を超える
当直15回もしていたら過労死を呼びます。
こんな不可解な仮定を繰り返すのは、中原氏から何の教訓も得ていない証拠です。
毎年の年俸交渉ですか?ほとんどの勤務医からはソッポを向かれる気がします。
後ろ向きに弱い女医さんを攻撃する前に、医療費全体のパイを増やすことに力を注いでください。
大学病院を満を持してお辞めになった年齢であるなら、過去の医療制度の責任を感じて、社会活動をしていただくように願いたいものです。
>「+お情け程度の残業&当直手当」
についての反省なくして、今の医療労働問題を語って欲しくはないです。
>プロ野球やキャバクラあたりが、賃金体系のモデル
キャバクラの賃金モデルというものを恥ずかしながら知りませんし、行ったこともないのですが、お得意分野なのでしょうか?
比較で出すにしても、人格が現れますし、評価に繋がります。
なーんにも知らないし、なーんにも考えていない強い強い証拠になる文言だろうと思います。
医師の労働問題とキャバクラを等値と考えるメンタリティーも見え隠れします。
同時にプロ野球ほどの賃金を得ていないのに同価値に見るあたりも、プライドと卑屈さが見え隠れします。
研修医の給料は実力に見合うものではないにせよ、そのうちに実力と賃金とのギャップを感じることになるでしょうし、実力に見合う評価が下る時代にはなるでしょうが、それは多くの研修医が感じていることであって、それなりに努力している者が殆どです。
温かく見守る気概がないのは、器量が小さいとしか言えません。
ハンドルネームで書かれていても、clonidineという人の評価は下せます。
恐らく、Med_Lawという人の評価も同じように行われていると思います。
続けてclonidineというお名前を出し続けることができるかどうか、生温かく見守ることといたします。
moto-tclinic
>clonidine様
問題をはき違えていると思われます。
ボールペン作戦をはじめ、中原氏支援の活動は、ママ医問題とか、能力給の問題ではありません。
過労死した中原氏への、病院の労働衛生管理責任を問う訴訟で、高裁が「病院に責任なし」という判断を下したので、これはおかしい、と考えて、上告受理申し立てのための署名を集めているのです。
上告を受理するかどうかは、最高裁の自由です。そこには、世論形成も大きく働きます。
「中原夫人&長女が本物かどうか」など関係ありません。「病院に責任があるかどうか?」の争いです。
もし「医師が過労死して労災も認定されたが、病院に管理責任は無かった」という判例がこのまま確定したら、病院は「医者が過労死しても、労災で補償されるし、労働基準法は解釈に弾力性あるし、これまで同様に医者を酷使してやろう」と、考えると思いませんか?それは、clonidine様にとって「本物と思えない」夫人&長女に利することへの反感以上に不利益ではないですか?
一産科医
>clonidine先生
>「小児科部長の父の時給<研修1年目の長女の時給」なのは、双方の病院の労務管理がおかしいのです。中原夫人&長女は前者は糾弾しても、後者はスルーしたままです。真に勤務医全体の労働環境改善を考えるならば、中堅勤務医の過剰労働だけでなく、「ママ女医は業務内容に比べて過剰時給ではないか」、という点についても考察すべきなのです。
「労働環境」には勤務時間だけでなく賃金も重要な要素です。
もし、中原氏が自らの賃金を下げることを掲げて裁判を闘うなら、将来医師がワーキングプアになった時、最大の戦犯とされることでしょう。
将来の医師がどれだけ賃金を下げられても、自分はその頃は引退で勝ち逃げできるからOKですか?
裁判というのは、自分にとって有利な情報をぶつけ合って妥協点を探る紛争解決のための一手段です。常勤医が非常勤医に比べて相対的に低待遇だというなら、非常勤医を引き下げてバランスを取るのではなく、常勤医を上げてバランスを取るように主張するのが当然です。非常勤医の待遇を悪くするように主張するのはそれこそ非常識です。
あなたが奴隷根性の持ち主であることはよくわかりましたが、それを他人に強制しないでください。お願いします。それこそ、医師の未来のためにです。
法務業の末席
私自身は中原医師の裁判には中立でありたいので、このエントリはスルーするつもりでした。
しかしclonidine様と他の方々との論戦を読ませて頂き、労基法を扱う法律職として1回だけコメントさせて下さい。
労基法のバックボーンは「使用者の労働者管理の公正さの確立」にあります。
この「公正さ」とはすなわち「使用者と労働者が互いに対等の人間として認め合うこと」だと思います。
これを法の目的に置き換えると、労基法の目的は「労働者を人間として扱わないような労働者管理を廃絶すること」となります。
すなわちこの「労働者は人間だ」という根源理解こそが、憲法>民法>労基法と連なる労働諸法令の背後に在る「基本的な考え方」です。
よって、長時間の残業や休日無しの労働という、労働者を生物としての人間扱いせず、無機的な「生産機械」として労働体制そのものが、上記の「労働者は人間だ」という根源と相反する事実を示していることになります。
労基法に定める1日8時間週40時間プラス週1日の休日という規定は、この「労働者は人間だ」という理念から帰納した、労働者を人間として扱う上での「基本の労働条件」であり、この考え方を労基法では『この法律に定める労働条件の基準は最低のもの(労基法1条2項より抜粋)』という文言で表しています。
理念の上では1日8時間週40時間プラス週1日の休日が確保できない労働条件は、そもそもが労働者を人間扱いしていないのであるから、最初からこの労働条件で収まらない「常態として長時間の残業や休日出勤」の存在を前提とした労務管理が、労働者を人間扱いしていない証左と言えましょう。そしてそのような労働者を人間扱いしない労働管理が「常識」とされる業界は、業界ぐるみで人間を機械扱いする悪弊が染み付いている世界と言われてもやむを得ないかと思います。私から見れば医療業界丸ごとが、労働者を人間扱いしないことが常識とされていることが最大の問題だし、悪弊の根源なのだと思うのです。
この2年余り、私はいくつかの医療系サイトや法律系サイトで医療者の方々と論議し、医師の方々のお考えに接してきました。しかし、誠に残念ではありますが「労働者を人間扱いする」という理念が非常に希薄な業界だとの印象があります。
そしてそのように働く仲間を人間と思わない人々が、病や怪我に苦しむ「患者という人間」を治療しているのか、疑問に思える部分も私の心の中には芽生えつつあります。もしかしたら医師の方々の中には、病気や怪我だけを見るのが精一杯で患者という人間の存在にまで気配りできない状態になっておられる方がいらっしゃるのではないか。そうした病変を診るだけで人間を見れないことに象徴される日本医療のゆとりの無さが、労働問題も含めて医療崩壊や医療制度の様々な軋みとなって現出しているのではないかと思うに至ります。
最後は少々哲学的な話にまで発展してしまいました。トピずれの長文、ご容赦下さい。
眉唾
どのようなケースであれ、ご遺族とその支持者たちによる「絶対正義」「絶対善」「批判禁止」のような活動に対しては、どうしても懐疑的になります。
N先生ご遺族の支持者の皆さんと、自称医療ミスご遺族支持者の皆さんとで、やっていること、批判に対する反応・反論などが似通っているように感じるのは、けして私だけではないはずです
moto-tclinic
くどいようですが、眉唾様は、中原ご遺族がおこしたこの訴訟で負けて、判決確定した場合の医者(勤務医)側の不利益が、どのようなものか、考えていらっしゃいますか?
正直言って、こんな訴訟起きなければ、医者と病院が時間をかけて労働条件をすり合わせるソフトランディングな道もあったのではないか?という、やっかいな気分は私の中にもあります。しかし、現に訴訟は起きているのです。このままでは敗訴確定して判例となってしまうのです。
N先生ご遺族の支持者の皆さんと、自称医療ミスご遺族支持者の皆さんととの、どこが違うかというと、前者は医師(勤務医)を守る方向の運動だし、後者は医師(勤務医)と対峙する運動です。
(なーんで、これだけ書いてもわからないかなあ?・・)
moto-tclinic
clonidine様にしろ、眉唾様にしろ、現場の勤務医は、疑心暗鬼に陥っていて、同じニオイのするもの全てに無条件で拒否反応しめすのかもですね。
病院は味方ですか?院長は?医師免許持ってるから信用できる?
仲間は、同じように奴隷労働強いられてる同僚たちだけですか?ほかの人間はすべて油断ならない?
患者を治そうとして、「この医者は俺に何をしようとする気なんだ?」と、キッと睨まれたことおありですか?わたしはいま、ちょうどそんな気分です。
治療がうまくいって、誤解がとけることを祈ります。御承知のように治療には患者の協力が不可欠です。
元外科医
まあ、やっかみの連鎖はこのくらいにして、データに裏付けで議論しましょう。
件の病院の研修医の給与は小生から見ても高すぎ(笑) だと感じますが、それはその病院の経営者と勤務する研修医の関係で決まるわけで我々外部の者がそれ以上コメントする立場にはありませんね。
ただ、常軌を逸した勤務の結果自殺した医師の、死の責任が何処にあるかは、明らかであり、現在の日本の労働法制や産業医学の基準からすれば明らかに職務起因の過労死であると言えます。裁判所がそれを認めないことは、既に管理職になっている我々を含めた勤務医の労働条件の更なる悪化と、それに関連した医師逃散の連鎖を招きます。ですから、我々はこの裁判を重視しているわけです。
まあ、いろんな意見があるから議論になるわけで、反対する方が居ることは歓迎です
(^^;)
一産科医
「お前が産科医という一番の奴隷医じゃ!」という点はスルーしていただくとして(笑)。
社会の中で自分の主張を通そうと思ったら、まずはお互い120%の条件を提示し、その条件を交渉の中で徐々に引き下げながらすり合わせて妥協点を探していくのが普通だと思います(その判断を裁判官という第三者にゆだねるのが裁判所という紛争解決機関と理解しています)。そういうシステムである以上、主張の仕方が似通ってくるのは当然かと思います。
したがって係争中の件については、(実際にどう思っているのかはともかく)自分たちの主張に不利な情報をなるべく抑えようとするのは理解できます。そのあたりが「似ている」というなら、そうかもしれません。
医師は科学者のはしくれですから、ある仮説に対して検証しようとしたときに、その仮説を支持する結果・反対の結果どちらも等しく検討する癖があると思いますが、社会を構成する人間がすべてそのように考えるわけではありませんし、そう考えることを前提として社会システムが組まれているわけでもありません。そのことは理解しておかなくてはならないと思います。
私は中原先生の裁判の積極的な支持者というわけではありませんが、この裁判を通じて病院勤務医の労働条件が改善することは、今後の医療体制の維持のためには必要と考えていますので、原告を応援しますし結果は注視しています。
(自分自身は開業医ですが)
なお、いかなる場合でも「批判」と「非難」は区別しなければならないと思います。
(先の文章で、最後の一文がclonidine先生に対する非難になってしまっている点は反省しております。)
10年ドロッポ
>中原夫妻の長女は医師国家試験に合格し、初期研修中に出産し、公立病院小児科で当直・残業免除(拒否?)の後期研修中だそうですね。
小児科医志望と聞いていたので「お父さん、無駄死にだったなw」と思っていたのですがいやあよかったよかったw
>一応釈明しておきますが、現在私は大学病院を辞職し、QOMLのある生活をしております。時給換算でも中原氏長女より稼いでおりますので、ご心配なく。
富永恭二閣下なみのヒキョウモノでつね。師匠と呼ばせて下さいw
卵の名無し
>この2年余り、私はいくつかの医療系サイトや法律系サイトで医療者の方々と論議し、医師の方々のお考えに接してきました。しかし、誠に残念ではありますが「労働者を人間扱いする」という理念が非常に希薄な業界だとの印象があります。(以下略)
この2年余り、私はいくつかの医療系サイトや法律系サイトで法律業界の方々と論議し、法を行使する立場の方々のお考えに接してきました。しかし、誠に残念ではありますが「原告被告を公平に人間扱いする」という理念が非常に希薄な業界だとの印象があります。以下(ry
法務業の末席
>>この2年余り、私はいくつかの医療系サイトや法律系サイトで法律業界の方々と論議し、法を行使する立場の方々のお考えに接してきました。しかし、誠に残念ではありますが「原告被告を公平に人間扱いする」という理念が非常に希薄な業界だとの印象があります。以下(ry
私のコメントに対して、このようなオチョクリが返って来ることに、大きな失望と無念さを禁じ得ません。このようなオチョクリがこの新小児科医のつぶやきのスタンダード(常識)であるならば、小職は今後このブログとの関わりを考え直さざるを得ません。
Yosyan先生はじめ、皆様には申し訳ありませんが、自分の仕事時間や睡眠時間を割いて私が労基法などを解説することは、医療者の皆さんのお役に立っているとの自負が在りましたが、こちらの常連コメンテーターである卵の名無し様にはどうやらありがた迷惑であり、私ども法律の職にある者は全てオチョクリの対象のようであります。
このようなオチョクリがこの新小児科医のつぶやきのスタンダード(常識)であり、このブログ主催者のYosyan先生はじめここに集う多数の医療者の方々の総意または多数意見であるならば、小職は今後このブログとの関わりを絶たせて頂きます。
本心より不愉快な投稿と思っています。
Med_Law
師匠さま
残念ながら、不良分子が混じってくることは避けられません。
但し、混じっているのは、捨てハンでオチョクリを入れる卑怯者です。
まだ見境無く、己の不満を吐き出す未熟者に対しては、説教を加えているのですが、追いつきません。
師匠さまには、部分にとらわれず全体を見ていただきたいと願うばかりです。
圧倒的多数は理性派であり、理性によるロジックが通じない輩を批判できる人達だと信じてます。
失礼の段は、代わってお詫び申し上げます。
666aks
法務業の末席 様
4月25日、26日と貴重なコメントを有り難うございます。労基法の本来的な意味は産業医をしていてもなかなかわからな所があります。法務業の末席 様はモトケンブログでもお見かけしますが、anonymous(卵の名無しは2chあたりでよく使われています。)の手前勝手なコメントは無視していただいて、引き続きのごひいきをお願いします。
sasimininja
卵の名無しさま
>「原告被告を公平に人間扱いする」という理念が非常に希薄な業界
コピペ返しが全て駄目とは言いませんが、根拠なり材料なりを提供しないなら、只の低級な煽りと同じです。
法務業の末席さまの【医療界は「労働者を人間扱いする」という理念が非常に希薄な業界】という書き込みは筋が通っており、自分も日々同様に感じているだけに、反駁がこれでは少々残念です。
Yosyan
法務業の末席様
このブログのスタンダートは何かと問われれば、それはブログ主たる私のエントリーです。コメント欄を軽視しているわけではありませんし、コメント欄で活発な意見交換がなされている事が当ブログの貴重な財産ではありますが、スタンダートはあくまでもエントリーかと考えています。
残念ながらと言うかそういう気風になってしまっているので、必ずしもエントリーについてのみの議論にはなっていない事も多々ありますが、基本は私のエントリーに対する意見交換かと考えています。
コメントの質については多数が良識的で建設的なものである考えております。もちろんすべてではありません。すべてをそうする事など不可能であるのは御存知の通りかと思います。またすべてが同じ向きでない事も議論に必要なエッセンスかと考えています。
法務業の末席様からレクチャーして頂いた労働関係の法規の解釈は、勤務医にとって貴重な知識となっております。私はもちろんそうですし、多数の者はそう感じているかと考えています。ただ必ずしもそう感じない者もおられるのは避け難く、これの排除をブログ主である私に求められても正直なところ無理です。
感じる、感じないはあくまでも主観ですから、法務業の末席様が不快を感じられて立ち去られるならば、これを止める事は誰にも出来ませんが、出来るならば引き続きコメントを頂ければ幸いと思っております。
Med_Law
労基法で定める基準以下の境遇というのは、『絶対悪』であって、駆逐しないといけないし、それで不当利益を得ている者を糾弾しないといけないという気概が、まだまだ医療界には乏しいです。
患者のため、地域のため、国のため。そんなのは、まずは医師の待遇を普通にしてから語ってもらいたい。
労基法以下の基準で妥協する余地は全くありません。
この基準を譲って暫定協定結ぼうというのは、腰抜けだと私は看做しています。
勤務医の労働環境の足を引っ張っているのは、無知で高慢な多くの医師であることも重々承知の上で、なおかつ、中原先生のような犠牲者がでることを防ぐことが、医師の労働問題の最大の主眼です。
仲原先生の悲劇を起こさない活動を、かの団体等と比較するだけでも身震いがします。
失礼もほどほどにしてもらいたい。
論理・理論で掛かって来れないのは、卑怯者だと声を大にして言います。
卵の名無し
>私のコメントに対して、このようなオチョクリが返って来る
おやおや、
>最後は少々哲学的な話にまで発展してしまいました。
とせっかく医師「業界」そのものが医療崩壊の原因であるとの「哲学」的批判ををご披露いただいたから、その同じ「哲学的論理」で法律業業界を批判したらどうなるかを試したまでだが。哲学といえるほど論理的思惟が重ねられていないあの文章は、どのようにでも使える批判者にとって便利なだけの一知半解的論法であろう。
それにこの程度の反論(貴殿にいわせればオチョクリ)にも耐え得ないような「哲学的な話」は最初からご披露に及ばないほうがより哲学的であろう。
眉唾
moto-tclinic 2009/04/27 08:47 さん
>くどいようですが、眉唾様は、中原ご遺族がおこしたこの訴訟で負けて、判決確定した場合の医者(勤務医)側の不利益が、どのようなものか、考えていらっしゃいますか?
では、「医療ミス」とご遺族が主張する訴訟で医療側が勝ち、判決確定した場合の自称被害者側の不利益(儲け損ない?)が、どのようなものか、考えてみてはいかがですか?
>N先生ご遺族の支持者の皆さんと、自称医療ミスご遺族支持者の皆さんととの、どこが違うかというと、前者は医師(勤務医)を守る方向の運動だし、後者は医師(勤務医)と対峙する運動です。
要するに、利益を得るのが敵か味方かということで、説得力ゼロです。
ここは医師専用掲示板ではありません。一般国民に広く理解を得る論証をされてはいかがでしょうか。
moto-tclinic
眉唾様が、医師でないのであれば、そりゃごもっとも。
clonidine様が医者なので、その流れで、てっきり医師だと思っていました。
眉唾様が、医師でないのならば、2009/04/27 07:46 の法務業の末席のコメントを読み直してください。わたしは医師ですから、どうしても、自分の所属する医師という集団の利害に立ちます。そのような者が、中立的に説明しようとしても、嘘くさくなるばかりでしょう。ですから、私はあえて、医師の利益という観点から、clonidine様のような方の説得に回ります。
法務業の末席様は、非医師ですから中立です。なおかつ労働問題の専門家・実務家でいらっしいますから、眉唾様のような非医師のかたへの、医師の労働環境問題をわかりやすく説明してくださっています。
医療
>>「労働者を人間扱いする」「使用者と労働者が互いに対等の人間として認め合うこと」
私の研修医の時代は研修医なんてモルモット以下。○んでも役に立たないといわれていました。
冗談かと思っていました。
ところが、大阪で研修医が無くなった時の院長の「研修医は労働者として認識を受けていない」というコメントを聞いて本当にびっくりした経験があります。冗談かと思ったことが本当にコンセンサスとして上部にあったことがショッキングでした。最近では東京都の保健局課長の愛育の件での発言がまたもや聞いていた通りの言い訳でがっかりでした。これが私たちが献身的・自己犠牲を強いてきた雇用者の言う言葉?
医療行政・病院が責任を持って医者を雇用して、医者が責任を持って患者の診療に当たる。この流れがなくなると当然患者に影響します。供給は上から来るものであり、途中で増えるものではありません。医者は中間に居るわけですから、上から流れてくる医療資源を100%患者に受け渡すことが出来たらそれで十分であり、元外科医様が仰るように、それでも無理な病院はつぶれなければ再生はありません。
医療ミスであったり労使のもつれ、いずれにしてもソースは上から流れてこないといくら下を叩いても解決に向かいません。法に照らし合わせて「雇用者も労働者も利用者も公平」に扱われたら私は医者としてなんの異論もございません。望むところです。ぜひ、われわれの後の世代に悪習を残さぬよう、あるべき姿になって欲しいです。内部から改革が出来ず(労働組合がない)、他力本願なのが残念です。
それでも「大学は触らぬ神にたたりなし」と仰っておられますね。大学では今でも救いを求めて自己犠牲を強いられている医者が多くいます。
多くの方がこのブログを見て意識を高められるよう望みます。
眉唾
moto-tclinic 2009/04/27 22:33 さん
>眉唾様が、医師でないのであれば、そりゃごもっとも。
私は「医師でない」とは言っていません。医師であるとも言っていません。
医療 2009/04/28 00:53 さん
>院長の「研修医は労働者として認識を受けていない」というコメント
>これが私たちが献身的・自己犠牲を強いてきた雇用者の言う言葉?
>大学では今でも救いを求めて自己犠牲を強いられている医者が多くいます。
医師を労働者と見なさず、献身を強いているのは、国民よりもまず先に医師の先輩たちではないですか?
奴隷の棒頭がかつて自分がされたように後輩を調教する、というおぞましい構図にしか見えません。
マスコミや国民は、ただ慣らされただけで、いつの間にか「当然」と思い込んでしまっただけでしょう。
「客」のマナーや、自称被害者の活動を非難するなら、まずは自分たちの手で棒頭を打倒すべきです。
そういう意味なら、N先生ご遺族とその支援者の活動を心から支持します。
しかし、その支援者の中に、自称医療被害者の活動を公然と非難する人がいるなら、その二重規範を憎みます。ここのブログのHNを見る限り、そういう人がいるようですね。
Med_Law
眉唾さん
>ご遺族とその支持者たちによる「絶対正義」「絶対善」「批判禁止」のような活動に対しては、どうしても懐疑的になります
と
>「客」のマナーや、自称被害者の活動を非難するなら、まずは自分たちの手で棒頭を打倒すべきです。
>その支援者の中に、自称医療被害者の活動を公然と非難する人がいるなら、その二重規範を憎みます。
まさにダブル・スタンダード全開です。
医療者への共感を全く伴わないで、「自称被害者」「客」への批判を許さないという強い態度です。
懐疑的と主張されている「批判禁止」を自らの楯にしての御振る舞いは見苦しいです。
よくある自称医療被害者団体の態度そのものに見えます。
そこには是々非々で客観評価しようという態度は見出せません。
本当の被害者でなく、自称に過ぎない「自称被害者」であるなら、同情に値しないのは当然のことでしょう。
単に不幸なだけの人が、他称加害者を仕立てて、更に不幸な人を作り出そうというのは何とも罪つくりで業の深いことです。
tadano-ry
>医師を労働者と見なさず、献身を強いているのは、国民よりもまず先に医師の
先輩たちではないですか?
実際献身を強いられることもある研修医の私としては確かにそう思いたくなることも
あります。でもそれよりひどいと思うのは事務方ですが。私が今の病院に入ったときは
研修医には交通費も時間外手当もなかったですからね。仲間もそれで当然と思ってます
から厄介でした。医師としてのスペックの低い研修医の基本給が安いのはまあ仕方ない
ですが、各種手当がないこと自体労働者扱いしてないということですからね。
結局弁護士さんに入っていただいて貰えるようになりました。現実問題として
知り合いに弁護士さんがいると話が早く進みますね―。
あと関係ないですが、重度の2ちゃんねらーであり萌え専アニオタ(?)である私に
とっては、あのくらいのオチョクリ何とも感じません。「○ねカ○」とか言われます
からねー。最初はそりゃ落ち込みましたよ。
ただ不快感の閾値は人それぞれですから、法務業の末席さまのお気持ちは理解できます。
労務関係のエントリが最近増えてきているこのブログに於いて法務業の末席さまのご意見が
伺えなくなると議論に奥行きがなくなるのは残念ですが。
私も前職の関係で多少労務関係の知識はありますが、細かい法的解釈や通達・通知
レベルの知識は社労士の方にはとても敵わないです。ただ多くは語りませんが、弁護士
さんや社労士さんにも色々な立場の方がおられます。元コンサルタントの経験上、中には
卵の名無しさまの仰ることに近い立場の方がおられたな、と感じることはありました。
ただほとんどの方は職務に忠実な真面目な方でした。コンサルタントもそうですが
クライアントの意向で立場を変えなければならないこともあります。納得のいかない仕事を
任されることもあります。そこで妙に突っ張ると結局赤ひげと同じ事になります。
医師だって患者さんの利益にかなう医療を提供したいと思っている人がほとんどだと
思います。でも自分の幸せだってあります。休みの日はゆっくりしたいです。頑張っても
患者さんやご家族の望む結果にならないこともあります。それで非難されることだって
あります。みんなそういった不安定な天秤の上でそのときそのとき揺れ動いているのです。
だからどちらかに不都合な論理を押しつけてくるからといって本当に彼らが「原告被告を
公平に人間扱いする意識が希薄」とまでは言い切れないな、というのが正直な感想です。
医療
>>奴隷の棒頭がかつて自分がされたように後輩を調教する、というおぞましい構図にしか見えません。
眉唾 さんもう少し勉強してから書き込まれた方が良いと思います。
教授より上の権力。それはいったい何だと思いますか?
大学(病院)・公的病院の設置者って誰でしょうか。
ここにおられる方達は百も承知で書かれています。
もちろん棒頭を打倒すべきは患者でもありません。
貴方の理論から言うと医療行政・官僚支配・皆保険をつぶせと言うことでしょうか。
このブログもそろそろ誰でも書き込める状態が限界に来ているのでしょうか。
tadano-ry
医療さま
>>奴隷の棒頭がかつて自分がされたように後輩を調教する、というおぞましい構図にしか見えません。
一般の方がそう感じるのは無理はないです。むしろそう思わせるほど真犯人は狡猾だと
言うことです。確かに大変ですが、これはそのたび指摘するしかないのです。
医療
早期退院を迫る医者にかみつく患者の構図です。
患者には見えません。目先の事しか。
教授だって一部長。けちょんけちょんです。
まあ、そう言う手先にならず離職する事が正しいのかも知れません。
医者離職。脱皆保険。脱大学。
医療行政と国民は直接相談して欲しいです。
医者を二人羽織にしています。
私は都の健康局課長の発言を聞いて、ようやく出るときがきたかと思いました。
で、あんな発言が出来るとは。というかせざるを得ないのでしょう。
自分たちがうそぶいてきたのですから。
眉唾
医療 2009/04/28 09:56 さん
>まあ、そう言う手先にならず離職する事が正しいのかも知れません。
>私は都の健康局課長の発言を聞いて、ようやく出るときがきたかと思いました。
まあ、そういうことですね。
マナーの悪い客も悪いのですが、それを増長させたのは店のオーナー(行政?)、店長(医師)、接客リーダー(医師)たちなのですから、一度店を閉め、従業員も別の職場・職種に移るのもよいでしょう。
あとは賢明な国民と行政とマスコミが何とかしてくれるはずですから、どうぞ心おきなくお辞めになってください。
DM医
私は頭が悪いのでいまひとつ眉唾様が何をおっしゃりたいのか読み取れません。
現在の医療環境の惨状は医師側にも大いに責任がある、ということには医師も含めて誰も反対しないと思うのですけど(もっともオレじゃなくて上の世代が悪い、という自己正当化の誘惑を断ち切るのは誰にとっても---官僚にとっても国民にとっても---難しいですが)。
> どうぞ心おきなくお辞めになってください。
文字通り受け取ると10年ドロッポ先生がかねておっしゃっていることと同じですけど、その前のコメントが熱いんでやっぱり全ての医師が単にイヤミを言われているような。
(最近日本語能力の低下が著しく誤読誤解ご容赦ください。)
蝸牛
初めまして。中原支援の会から参りました。
Yosyan先生、この度はご賛同、ご協力を賜り、ありがとうございます。
エントリー文や皆様のコメントで勉強させていただいております。
clonidineさまのコメントに若干の事実誤認があるようでしたので、
その点だけ訂正させていただきます。
中原氏の長女、智子さんが子育て中の小児科後期研修医であることは事実ですが、
当直免除だったのは母体保護のために法で定められた一定期間だけであり、
現在は院内保育所や母のり子さんを始め人手を借りて、当直勤務についておられます。
伺ったかぎりでは勤務医の数が多いため、シフトもそれほど過密ではないようです。
かつて父である中原医師は、同僚のママ女医の母性や権利を守ろうとして限界まで働いた結果、
自殺という「愚行」を選びました。
いま、父がかばったママ女医の立場にある智子さんは、
自分のために周囲の誰かが過労死してはならないと誰よりも強く思っているはずです。
母娘が裁判を続ける意図は、「過労死から医師を守ろう!」という
シンプルな思いであることをご理解いただけたら嬉しく存じます。
素人が失礼いたしました。
卵の名無し
裁判は経験がない素人です。
医師がみずからの胸に「過労死から医師を守ろう!」と付けるのはちょっと抵抗がありました。しかし
>母娘が裁判を続ける意図は、「過労死から医師を守ろう!」というシンプルな思い
に一本とられました。
胸ポッケにさすときはさすがに気恥ずかしいから「過労死から人命を守ろう!」と「医師」を削って書き直すけど。
眉唾
蝸牛 2009/04/28 23:20 さま
真摯なカキコ恐れ入ります。
>かつて父である中原医師は、同僚のママ女医の母性や権利を守ろうとして限界まで働いた結果、自殺という「愚行」を選びました。
お嬢様に向けられた卑劣な攻撃への反論と思いますが、それでは「職責以上のことをやったことによる自己責任ではないか」という議論が出てくる可能性があります。
労災認定は「労働に関係している」ことが認められたものであって、必ずしも使用者の不法行為までを認定したものではない、言い換えれば労働者の自己責任でも認定される、ことに留意すべきです。
>母娘が裁判を続ける意図は、「過労死から医師を守ろう!」というシンプルな思いであることをご理解いただけたら嬉しく存じます。
これも、自称医療被害者遺族がよく言うような、「医療事故をなくしたい」「○○の医療を良くしたい一心」と同じ口ぶりに受け取られかねないことに留意が必要であると思います。
蝸牛
眉唾さま
ご指摘ありがとうございます。
「職責以上のことをやったことに対する自己責任」というのが、高裁判決の理由だったように思います。
しかし、最低時3人、自殺時に4人の体制で24時間365日の小児科外来を回す以上、
「自分も限界」として部長代行が休暇を取ったら、患者であるこども達はどうなるのか。
退職や休職、休暇を取るといった選択肢は、心が健康なら当然出てくるでしょう。
しかし、うつ病を発症していた中原氏は正常な判断力を失っていたと推察されます。
強い責任感から日常業務を放棄しなかった、
その1点をもって病院の予見可能性を否定することが許されていいのか。私には疑問です。
もう1点。
自称医療被害者遺族と同じ口ぶりに受け取られかねないというご指摘、ありがとうございます。
シンプルな言葉はどれも似通うように思います。
続く話を聞いていただけたら嬉しく存じます。
sasimininja
眉唾さま。
【ケース1】
「医療事故をなくしたい」「○○の医療を良くしたい一心」
↓
だから、事故を起こした医療者を民事で訴える。可能なら刑事責任も問いたい。
↓
それで、医療事故は減りますか? 医療は良くなりますか?
そもそも、日本の医療事故って多いのですか? 医療は劣悪なのですか?
【ケース2】
「過労死から医師を守ろう!」
↓
だから、過重労働を強いた病院を訴える。
↓
それで、医師の過労死は減るのですか?
そもそも、日本の医師の労働負担は過重なのですか?
ケース1の最初の行には、「真実を明らかにしたい」というのも含まれるでしょうか。
御自分の情報収集力にかけて判断されると良いと思います。
10年ドロッポ
蝸牛様、
>「職責以上のことをやったことに対する自己責任」というのが、高裁判決の理由だったように思います。
そのくらい言わんとオマエラ奴隷医にはワカランだろ!との高裁の親心だと私は解釈しております。
>しかし、最低時3人、自殺時に4人の体制で24時間365日の小児科外来を回す以上、
「自分も限界」として部長代行が休暇を取ったら、患者であるこども達はどうなるのか。
つかぬ事をお伺いしますが、部長代行が自殺して、患者であるこども達はどうなったんでしょう?どうにもなってないんじゃないかって気がするんですが…。
眉唾
sasimininja 2009/04/30 09:16 さま
>御自分の情報収集力にかけて判断されると良いと思います。
説明責任を果たそうとしない社会運動は、いずれカルトとして消えゆく運命にあります。
蝸牛様には、「中原先生支援の会」の運動が、sasimininj様のような考えと同一視されることのないよう、十分ご留意されることをお勧めします。
sasimininja
http://www5f.biglobe.ne.jp/~nakahara/
説明責任、十二分に果たしてる思いますよ。何の権限も持たない有志の集まりなんですから。
でもまあ、眉唾さまのようなタイプの方が、この国のマジョリティーなんでしょうね。そういう意味では非常に重要な御意見だと思います。
moto-tclinic
わたしは、10本までの小口ボールペン希望を対応させてもらっている鶴舞公園クリニックの院長なんですが、先回の福島大野病院ボールペン作戦のときに比べると、反応弱いですね(希望の封筒が少ない)。
説明責任どうのこうのというよりは、福島のときは、刑事被告人とされた産科医に対し、医師の共感が一斉に集まったのに対し、今回は、遺族による民事訴訟ですから、clonidine様や眉唾様が貴重な意見を開示してくださってる(ほんとに関心寄せないひとはそもそも書き込まないでしょうからね)ように、なにか「うさんくささ」みたいなものを感じやすい構図なのかもですね。。
論理的には、医師のメリットとしてはわたしが書きましたし、正義としての観点からは法務業の末席様が書きつくしていらっしゃるし、sasimininja様の図解も解りやすいと思うのですが・・
この「うさんくささ」っていうのは、非常ーに日本的なモノのような気がします。論理ではなくて情緒というか。。(わたしは苦手だし嫌いです。)
しかし、良くも悪くも、日本と言う国の仕組みや国民というのは、こういう情緒的な直観というのか、因習というのか、そういうものに支配されて動いていくのでしょうね〜。
こんなこと書くと「そんなに日本が嫌なら出てけ」といわれそうだな(^^;。海外で収入が得られるほどの語学力や才能わたしには無いから仕方ないです。それに良いとこも多いし。
卵の名無し
>眉唾さまのようなタイプの方が、この国のマジョリティーなんでしょうね。
それは違うと思うな。ああいう論法は単にディベート技術の一つであって人格には原則関係ない。こういう多くの人間がコメントだけで参加する掲示板には必ず出てくる作文技法の類型のひとつ。それがマジョリティーであるかないかはこの場だけで判断することはもともとできない以上、コメントから人格を探求するのは無駄な労力。ボールペン運動や募金運動では実際に締め切りまでにどれだけボールペンが売れて募金が総額どれだけ集まったかだけをもって評価するのが一番だろう。
実際掲示板という二次元平面では批判コメントを書き連ねながら、現実の四次元空間ではボールペンを買うという支援を実行する人も世の中にはいくらでも存在する。定額給付金には絶対反対表明したが配られたらさっさと受け取ったという人も多かったように、自覚の有無にかかわらずそもそも言行不一致が人間行動のでふぉだから。
moto-tclinic
続きです。
(自称)医療過誤事件の遺族は、病院に民事賠償求めているわけで、今回中原先生の場合も、遺族が病院に民事賠償求めているという構図においては、異なるところがない。
「要するに、同じ『死体換金ビジネス』じゃねーか」と言う人は言うでしょう。その点、これまで医者の一部が「(自称)医療過誤事件の遺族」に投げかけてきた言葉が、そのまま返ってくる。天に向かってツバ吐いたみたいなところがあります。
医者は医学知識や経験がありますから、「あの医療過誤訴訟は、どう考えても遺族がおかしいよなあ。」と判る場合多いですが、一般人にはわからんでしょうからね。
moto-tclinic
今回、中原遺族がおこしている訴訟が、勝っても負けても、医療崩壊の流れに大きな影響はないのかもしれません。
しかし、私にとって不気味なのは、敗訴した場合の「判例」が、どんな重みをもって後世に影響するのかですね。これ、法律の専門家でない私には、ほんとに不気味です。
本音を言うと、上にも書きましたが、労災認定がおりた時点で、病院相手の民事訴訟はやめといてくれたほうが、医療崩壊・労働環境再構成は、ソフトランディングしたのかもしれない、って思います。しかし、それは、私の勝手な思いですからね。遺族には訴訟を起こす権利があります。
そして訴訟が起きた以上は、わたしは医者として、後輩である勤務医たちのために応援しますね。傍観も反対もわたしにはできません。
moto-tclinic
中原先生のような過労死自殺は、もうこれからの時代は起きないんじゃないかな・・
なぜかというと、10年前に比べると、医局も病院もほんとに辞めやすくなったでしょうからね。
そういう意味で、中原先生の自殺は、あの頃の閉塞したというか、医者が勤務の辛さを理由に逃げ出す(辞める)ということに対して、だらしない根性が足りんといった雰囲気で閉じ込めていた、われわれ医者社会全体にこそ責任が大きいのかも。(書いていて、ちょっと苦笑します(^^;。わたし、10年前にすでに2つの医局を破門になってて、色々好き放題やって、勝手に過労退職した人間なんで、あの当時でも、べつに、辞めようと思えば中原先生、辞められたのになー、って思っちゃうので。しかし私のほうが変り者なんであって、中原先生のほうが標準人だと認めます。)
moto-tclinic
わたしは別に心理学者じゃないし、他人の心のうちを詮索するのは失礼だとはじゅうじゅう存じてますが、あえて勝手な推察を申し上げますが、中原遺族、何に対して恨みを持ってるかというと、そういう閉塞して逃げ場を無くさせた、当時の医療界に対してじゃないだろうか。
(わかりませんよ。これ、勝手なわたしの推測です。ご遺族のかたには先に無礼を謝っときますm(_ _)m。)
医者が、いま、手のひら返したように?自分たちの味方についてくれる、っていう現象に、仲間が増えるのはよいことなのだけど、複雑な心境かも。
医者の労働環境改善は良いことなのだけど、それで中原先生が生き返るわけじゃないですからね。生き残った医者が、自分たちの利益のために、故中原先生を御輿にかつぐのは、わたしが遺族だったら、いい気持ちはしない。「なんで、もっと早く、あのとき、声を上げてくれなかったの?いま、これだけ盛り上がるなら、もっと早く医療環境改善みなで出来たのじゃないの?」という声が喉元まで出かかってるんじゃないかしら。
moto-tclinic
だから、わたしは、中原夫人と会うのがコワい(^^;。
若い先生たちは、ふつうに歓談する権利がありますけどね。中原先生が自殺した10年前、ふつうに医者やってた世代以上の医者は、わたしと同じような中原遺族に対する「負い目」を感じてもおかしくないと思う。あの当時、自分たちで労働環境改善に働きかけるなんて、これっぽっちも思わなかった世代ですからね。わたしたち皆が(医療界として)中原先生を殺したと言ってもいいと思う。
clonidineさまが何歳か存じませんが、もし私と同じ世代であったら、多かれ少なかれ「負い目」が無意識に隠れてるはずで、そのことが、中原娘さんに対する非難みたいな形で表出される、ってのはあるかも。(考えすぎか?)
moto-tclinic
ということで、4月に蝸牛様に、中原夫人とお会いしませんか?と誘われましたが、なんだかんだといってお断りした最大の理由は実はそこ(負い目)かも(^^;。まあ、リアルで、結構徹底した人見知りってのは、本当なんですけどね。
卵の名無し
>あの当時、自分たちで労働環境改善に働きかけるなんて、これっぽっちも思わなかった世代ですからね。
その負い目から傍観も反対もできずやむにやまれずボールペンに
「病院には医師を過労死から守る義務があります」
と刻もうとなさったことは、同じ負い目をもつ身にはよくわかりました。
でもやっぱり読めるように刻むにはこれでは長すぎましたね。
それにボールペン作戦会議で息の長い戦いを続ける戦略を採ることに決めたのですから、ここのブログにアップしたからといって性急に一時のインパクトによる盛り上がりを求めるのではなく(熱しやすく冷めやすい国民柄だからねw)、周産期医療の崩壊をくい止める会の「ワンクリック募金」設置などの地味な戦法も併用すればよいのではないかと。
moto-tclinic
さっき、思いついたんですが、この画像
http://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/m/moto-ballpen/20090402/20090402144435.jpg
をシールにして、ボールペンの白いところに貼ってみようかな?と。
作ってみないと出来栄えわからないんで、明日試作してみます。
同じ世代のかたなら、やっぱりこの「負い目」わかりますよね?(^^;
「病院には医師を過労死から守る義務があります」
は「病院には」ではなく「我々には」なんです、心情的には。訴訟が病院相手だから「病院には」ですけどね。
さらに言えば、
「我々には中原先生を過労死から守れなかった負い目があります」
ですね。
moto-tclinic
そうだなあ。「我々には中原先生を過労死から守れなかった負い目があります」って書かれたボールペン持ってなら、中原夫人にお会いできるかも。。
moto-tclinic
医者の場合は、卵の名無し様も認めてくださってるから、そんな心理なんだろうけど、一般人の場合はどうなのか考えてみました。
医者が逃散とかすれば、一般人としては「現場から立ち去らないでくれ」とか「僻地に強制配置するべきだ」とか、言えるけど、過労で自殺されてしまうと、そうは言えなくなる。
今の時代、医者は自殺よりも逃散を選ぶだろうから、そんな時代に10年前の自殺した医者を御輿にかつぐのは、「ひきょうだ」って声も出るだろうな。
それは置いておいて、10年前の中原先生の自殺過労死に、一般人は「うしろめたさ」って感じるのだろうか?
わたしは一般人じゃないのでよくは解らないけど、たぶん感じる人もいるのだと思う。自分たちを守って殉職したようなものだから。
一方、そんなの自分たちの責任じゃない」「わたしは関係ない」って言う人もいると思う。そういう人たちは2群に分かれて、ひとつは、ほんとにまったく何も感じないひと、もうひとつは、実は「負い目」感じてるんだけど、同時に負い目感じなければならなくなった(加害者であることを勝手に「強制」された)ことに腹を立てるひと。これもわかります。何もしてない、普通に病院にかかっていただけで、何で「負い目」感じなければならんの?って苛立つわけです。
中原遺族って、そういう目で、医者と一般人とから、見られてるんだろうな。
だから、皆が非常に複雑な気持ちになる。自分の心が鏡になって映し出されます。それは嫌な感覚です。わたしだってそう。
複雑な気持ちは、まあ、大多数のひとにおいては、自分以外の誰かのせいにしたくなります。まあ、それが病院だったり、中原先生ご本人の心の弱さのせいにしたりするのでしょうが。
一般人のひとにある「負い目」っていうのは、「原罪」的なものかもしれませんね。ひとは、生きているだけで、何かを犠牲にしています。たとえば、ステーキを食べるということは牛という生き物を殺すということです。それと同じように、気がつかないだけで、ひとは誰かの犠牲の上に生き延びている。そのことをはっきりと見せつけてくれたのが中原先生の自殺。
とにかく、医者にとっても一般人にとっても、中原先生の過労死自殺っていうのは向き合うのが嫌なものです。それなら、いっそ、はっきりと目をそらさず向き合ってみよう、というのがボールペン作戦かも。
眉唾
moto-tclinic 2009/04/30 22:40 さま
>私にとって不気味なのは、敗訴した場合の「判例」が、どんな重みをもって後世に影響するのかですね。
大野病院事件判決以来、自称医療被害者遺族の皆様が味わってきた「屈辱」や不気味さが、いま、中原先生支援の会の皆様に降りかかっているのだと思います。
>病院相手の民事訴訟はやめといてくれたほうが、医療崩壊・労働環境再構成は、ソフトランディングしたのかもしれない、って思います。
私もそう思います。最近も、賠償をもらいながら刑事告訴して、結局出された無罪判決に無念の涙を流す遺族の姿が報じられましたが、それに対する世間の目は、数年前とは様変わりして、けして暖かいものではありませんでした。
そして世論をそのように導いた原動力に、このような医師ブログの力がなかったとはけして言わせません。
moto-tclinic
さて、午前中の仕事もあとお一人手術で終わり。
連休前で少し疲れを感じるかな。。気持ち引き締めねば。
続きです。
「負い目」について書いてみましたが、いちばん深い「負い目」に苛まれてきたのは、中原遺族ご本人たちだと思います。自殺者の家族一般にみられる心理です。
「家族には医師(夫・父)を過労死から守る義務があります」
ですね。
わたしはこういうことの専門家じゃないので、その深さは解りませんが、とにかく、遺族の活動と言うのか、訴訟の原動力は、この「負い目」に対するリカバリー、救いを求めてということだろうと察します。逃避であり、同時に対峙であるのでしょう。
要するに、皆が、中原先生の自殺に「負い目」「うしろめたさ」を感じているわけです、程度の差はありますが。その共通した負の意識が、異なる立場のひとが結束する理由なのでしょう。
個人的な自殺においては、こういう「負い目」は、遺族および身近なひとのみが感じるものですが、中原先生の場合は、いわば、社会的な自殺、ですから、社会全体が「負い目」を感じるのでしょうね。
だんだん、くどくなってきました(^^;。このへんで終わります。長々とスミマセン。遺族のかた、見てらっしゃったら、重ね重ね失礼お許しください。もう二度と書きません。(こんなこと一度書けば十分)
医療
>>無罪判決に無念の涙を流す遺族の姿が報じられましたが、それに対する世間の目
患者が医療を訴えることをためらう必要は無いと思いますし。ミスを許す必要も無く。
医者が労働環境・医療過誤に関して問題提起をしようがそれも自由と思います。
医療行政<==>病院<==>従業員<==>利用者
ですから、利害相反が生まれるのは仕方ないと思います。
問題は、医療経済の破綻を理由に以下病院・医者・患者に現状での運営が可能になるように我慢の押し付け合い・歪んだルールを押し付けようとしている事ではないでしょうか。
もし、患者の訴えに世間の目が冷たければ、それは患者サイドで「このままじゃ他の市民の医療に影響する」と自制を押し付けているのでは無いでしょうか。それはなんとも眉唾な方向性です。なぜ患者どうしでそんな必要があるのでしょうか。医者のブログでしょうか。
眉唾さんが仰ったように「利用者のマナー」なんて医療サイドにとって本当に必要なのでしょうか。私は医療サイドとしてそんなもの必要とは思いません。マナーが悪ければシステムを適応すればよいのです。救急の利用がひどければ人員を増員して、看護師を雇って、ガードマンをつければ良いです。訴訟が多ければ訴訟に対応する費用を確保すれば良いです。
要は、そういったことに順応できない医療行政・システムの中で、じゃあ、順応可能な医者がそれに適応してしまえば、結局利用者と行政が困る構図ではないかと思うのですが。
例えば愛育の件で院長が返上を申し出たら、結局行政が困り、患者も困るのです。
加古川にしても同じく救急体制の問題が根底にあります(それにしてもまずい対応が有ったのでしょうが)。
医者が矛盾することを両サイドから言われたら「利用者(訴える側)と行政(システムを維持したい側)で線を決めたらいいじゃないか」と言いたくなるのはシステム上当然なことと思います。
ただ、私に言わせたら、医療行政=利用者とも思うのですが。
医療者と患者の間で我慢しなさいといえばそりゃ今後も不満が延々残されるのではないでしょうか。
先にも述べましたが、法の遵守を徹底しないと矛盾は消えません。法までが医療システムの破綻に適応して皆に妥協を求めるようではお先真っ暗かと思います。
皆が法の下に平等。私はそう願いますが。
先ほど辞めろと眉唾さんに言われましたが。
ご心配なく。責任がもてることしか現在しておりません。
やら無くて良いことは辞めました。
医療
>>世論をそのように導いた原動力に、このような医師ブログの力がなかったとはけして言わせません。
労使問題のレスにいつも敗訴家族の事を絡めてこられますが、もし、世間の冷ややかな目線を気にされているのなら、まずは世間を分析したほうが良いのではないでしょうか。なぜそのような判断を国民がするのでしょうか。情報発信自身が悪いなんて八つ当たりですよ。
あと、労働問題に関しては医療行政<==>病院<==>従業員の「労使間の問題」ですから、元々患者は登場しません。これに関して患者側に責任を押し付ける労働者が居たとしたら、見当違いと思いますし、患者側がかかわってくるのも見当違いと思います。
要は利用者=納税者であり利益享受者であり負担者として自己矛盾に陥っているのだと思います。
行政(利用者)<==>病院<==>従業員<==>利用者
だから両方から利益の主張をしてしまうのでおかしなことになります。
行政(利用者)<====>利用者
まあ、利用者間で解決すべき問題と思います。
要求ばかりして、納税者である自分を忘れている利用者に、それをきずかせたのが医情報発信ならそれもそうかも知れません。
卵の名無し
このボールペン運動に参加するかしないかは各自が自由意思で決めればよいこと。運動の趣旨と募金が孔明w正大に使われることは「出師の表」でもう十二分にわかった。あとは「男は黙って(1)ボールペン買う(2)ボールペン買わない」の二者択一を選択して実行するだけ。他人がどちらの行動を選択しようと自由意志である限り文句はいうだけ無駄。
2009-04-25 奈良産科医時間外訴訟をもう少し考える
重要な訴訟なので、判決要旨のところだけもう一度読み返してみます。それと予めお断りしておきますが、今日も判決要旨の情報のみからの推測ですから、後日判決文が公開されたら「違っていた」はありえる事は御了承お願いします。
◎宿日直(夜間休日)勤務
原告らは、産婦人科という特質上、宿日直時間内に分娩への対応という本来業務も行っているが、分娩の性質上宿日直時間内に行われることは当然予想され、その回数は少なくない。中には帝王切開術なども含まれ、治療も行っている。また救急医療を行うこともまれとはいえない。これらの業務はすべて1人の宿日直医師が行わなければならない。その結果、宿日直時間中の約4分の1の時間は外来救急患者への処置全般および、入院患者にかかる手術室を利用しての緊急手術などの通常業務に従事していたと推認される。
原告らは、奈良病院から宿日直勤務を命じられ、勤務の開始から終了までの間、場所的拘束を受けるとともに、呼び出しに速やかに応じて業務を遂行することを義務付けられている。したがって、原告らは実際に患者に対応して診療を行っている時間だけでなく、診療の合間の待機時間においても労働から離れることが保障されていない。宿日直勤務の開始から終了までの間、医師としてその役務の提供が義務づけられ、同病院の指揮命令下にある。
まず前段ですが、宿日直が時間外勤務であるか、それとも労基法41条3項に基づく当直であるかの判断です。前段は産科当直医が労基法41条3項の宿直業務だけではなく、通常勤務にあたる業務を頻繁に行っていた事の事実認定です。裁判所の判断は推認される業務内容から労基法41条3項の条件を満たしていない可能性を示唆していると考えます。
続いて後段ですが、ここは裁判所判断の通常業務が「約4分の1の時間」とした上で、残り3/4の時間の解釈が書かれていると思われます。おそらく病院側が「残り3/4はコテンと熟睡している休憩時間である」みたいな主張に対応していると考えています。ここは非常に興味深いところで、医療法16条の当直時間の勤務の態様を定義と言うか判断している部分と読み取れます。まず勤務の態様として、
-
場所的拘束を受ける
病院当直ですから、当然のように場所的拘束を受けています。もう一つ条件として、
-
呼び出しに速やかに応じて業務を遂行することを義務付けられている
これは労基法41条3項に基づく当直業務状態であれば、通常業務に「速やかに応じる」必要はないとの判断と考えられ、そういう状態を当直時間中に常に強いている事が労基法で言う「手待ち時間」状態であるとの事実認定ではないかと考えます。さらに、
-
医師としてその役務の提供が義務づけられ、同病院の指揮命令下にある
病院当直は業務命令で行なわれており、病院の指揮命令として「役務の提供が義務づけられている」と事実認定され、この条件であるから労基法41条3項による当直状態であることは通常業務従事時間も否定され、すべて時間外労働としての割増賃金の支払い時間であるとの判断です。
もうひとつの宅直の方をこれと関連付けて考えるとますます興味深いものになります。
◎宅直勤務
奈良病院では、救急外来患者が多く、産婦人科医師の需要も高いが、5人しか医師はいない。現実の医師不足を補うために、産婦人科医師の間で(宅直勤務制度が)構築されたものである。
しかしながら、宅直勤務は奈良病院の内規にも定めはなく、宅直当番も産婦人科医師が決め、同病院には届け出ておらず、宿日直医師が宅直医師に連絡をとり応援要請しているものであって、同病院がこれを命じていたことを示す証拠はない。このような事実関係の下では、同病院の指揮命令下にあったとは認められない。したがって宅直勤務の時間は、割増貸金を請求できる労働時間とはいえない。
ここは読みようですし、本来は判決文を確認しないと断言できないのですが、私は宅直勤務自体はどうも勤務の態様として時間外労働と認定している気がします。先ほどの当直業務の判断を踏まえると、業務上の「手待ち時間」に該当する条件として、
- 場所的拘束
- 時間的拘束
- 指揮命令下
この3つを上げています。場所的拘束の定義は当直では言うまでもなく病院内ですが、宅直であっても、病院にすぐ来れるところに待機しなければならないの拘束であるとも考えられます。時間的拘束も「呼び出しに速やかに応じて業務を遂行」が条件ですから、宅直であってもこれに該当すると考えてもそれほど無理はありません。
あくまでも「どうも」なんですが、時間外勤務ないし労働時間としても良いのですが、裁判所の判断として宅直の待機時間は「場所的拘束」と「時間的拘束」の二条件はクリアしていると考えられます。そうでなければ、「場所的拘束」ないし「時間的拘束」の時点での指摘があって然るべしなのですが、とりあえず判決要旨にはありません。これを当然の前提として要旨に書かなかった可能性を考えます。
だから宅直勤務に割増賃金を認めない理由は、ひたすら「指揮命令下」の手続き論に終始しているかと考えます。手続き論として裁判所が指摘したのは3点で、
- 内規
- 届出
- 業務命令
この3つのいずれもなかったから、当直業務中の産科医師が必要な応援を呼び出したのは「指揮命令下」ではないとの判断です。どういう事かと言えば、就業時間以外は労働者はどう過ごそうと自由なので、あくまでも自発的意思で「場所的拘束」を受け、「時間的拘束」を行なったとの解釈です。自由時間に自らの意志で「場所的拘束」や「時間的拘束」を設けるのもこれまた個人の自由と言えばよいのでしょうか。「拘束」、「拘束」と書き連ねるとサドマゾみたいですが、そういう「拘束」を好んで受けていただけの判断とも受け取れます。
奈良県立奈良病院の場合は、被告である病院側に幸いな事に、具体的な指揮命令を事実認定する証拠がなかったようです。ただしあれば時間外勤務として認められた可能性は高くなると考えられます。これも学習した事柄ですが、指揮命令は口頭指示でも十分成立します。訴訟の場になれば口頭指示を立証するのも大変でしょうが、証人ぐらいは立てられますし、一般的に労働訴訟では事実認定のハードルはさして高くないとも聞いています。
口頭指示はこの程度の会話でも成立するとも聞いています。
-
医師:「オンコールはしません」
院長:「それでは困るので頼む」
宅直が時間外勤務としての条件をここまでそろえているとの裁判所の判断は、病院側にとって気色の悪い判断であると考えます。考えようによっては、奈良県立奈良病院のケースはラッキーであったとも考えられます。つまり類似の訴訟を起された場合には、今度は時間外の割増賃金が求められる可能性も十分あると言う事です。
それと地裁では指揮命令を事実認定されていませんが、一般的な病院当直の決め方、ここは「こんた様」のコメントから引用しますが、
部長が決めたオンコール予定を事務が各科分とりまとめて、一覧表にして、各部署に配布する
もちろん奈良県立奈良病院がどういう形式であったかは不明ですが、一般的な形式ならば事実認定は極めて微妙です。オンコールに参加している医師がすべて自発的意思で自らの自由時間を病院の拘束時間として差し出している理屈となり、「そうである」としてしまうのは容易ではない様な気がします。部長からの命令はどういう根源で成立しているかも問われるでしょうし、部長命令に病院が一切タッチしていない証拠も必要になる可能性があります。
また自発的意思でないと訴訟を起しているのに、部長命令で作られたオンコール表に実態として拘束されている状態をどう評価するかです。医師本人が自発的意思でないことはある程度明らかであり、そうなると部長が個人の自由な意志を奪っているとの解釈も出てきそうな気がします。部長は直接の上司であり、上司の命令でオンコール業務に従事している実態の事実認定はさして困難ではないと考えられ、その部長が病院からの業務命令に基づかずに指令を発している状態をどう考えるかです。
えらい杓子定規な解釈ですが、これは訴訟の場ですから、日常の場とは少々状況が異なります。部長が病院の業務命令を受けず、個人の独断でオンコール業務に従事させている状態も、考えようによっては労基法の重大な違反につながる懸念もあるような気もします。この辺の解釈も労基法的にはどうかの判例、通達に疎いのであくまでも感想と思ってください。
医療に限らずなんですが、労基法に違反している業界慣行は数え切れないぐらいあります。労基法の番人ともいえる労基署も労使が紛争を起さない限り、これを黙認するとされています。また監査に入っても、労基法遵守により事業所を倒産させてしまうような法運用は下策と認識されているようです。つまり労働者の勤務環境の不満に対して、
-
第一段階:職場に必要な慣行だから納得してもらう
第二段階:労基署による弾力運用で納得してもらう
第三段階:民事訴訟で争う
こういう三段階の対応があると考えます。これも労基法を学習して分かった事柄ですが、経営者は民事訴訟に至るのを極力避けるというのがあるそうです。訴訟が面倒と言うのも当然ありますが、訴訟の場に於ては労基法の解釈はかなり愚直に適用されるからだと考えます。これまでの職場慣行であるとの言い訳がまず通用しない世界になるからだとされています。そりゃそうで、法の番人である裁判所が法律違反の弾力運用を認めるわけには行かないからです。
そのために訴訟に至りそうになれば、かなりの妥協案を提示して阻止しようとするとされています。また訴訟になっても和解にもって行くように極力努力するとされます。さらに判決に至っても、控訴は極力控えるとされています。和解にするのは和解条件が公表されないためであり、控訴しないのは判例として上級審、ましてや最高裁判例として残さないためとされています。
そう考えると、奈良県及び奈良県立奈良病院の判断は大きなミスであったと考えられます。数えてみると、
- 民事訴訟になってしまった事
- 和解に持ち込めなかった事
- 当直時間が勤務時間であるとの認定を受けた事
- 宅直時間が、指揮命令を除いて勤務時間の判定を受けた事
とくにこれまで曖昧な位置付けであった宅直時間が、勤務形態として基本的に通常勤務であるとの判決を出させてしまったのは、大きな失策であると言えます。医師ですら宅直は勤務なのか、どんな種類の労働に当たるのか判別に苦しんでいたのに、地裁とは言え実質的に「勤務時間」に非常に近いものであるとの判決が出たのは大失策と言えます。触れずにおけばグレーゾーンであったのが、訴訟と言う白日の下に曝されたためにシロクロを付けられたとも言えます。
さらにまずい状態の展開も予想されます。原告医師は宅直時間が勤務時間と認められなかったことを不満として、二審、三審に進む可能性は多分にあります。たとえ判決が一審通りであったとしても、宅直時間の火種は確実に残り、最高裁まで進めばいわゆる判例になります。これは法の素人ですから自信がありませんが、法の新たな解釈の前例になることですから、最高裁でも審理されて強固な判例になる可能性も否定できません。
それとこれも「どうやら」なんですが、宅直勤務が「指揮命令下にない」の判断もかなり微妙であるとの見方もあるようです。二審、三審と進めばこの部分が覆される可能性は否定できないとの観測です。原告医師が控訴、上告と進むかどうかの情報に乏しいですが、進んでも当直時間の勤務としての事実認定を覆すのは被告病院に取って困難であるだけでなく、一審での辛うじての勝利である「宅直は指揮命令下でなかったから割増賃金は不要」の維持は微妙との考え方です。
これもまたパンドラの箱であったかもしれません。どうにも病院経営者としては開けてはならない箱を開けてしまったような気のする判決です。
元もと保健所長
被告側「代表」が、医系官僚であったことは笑えます。
たとえ今後控訴して和解や逆転判決を得たとしても、一審「判決」で開いてしまったパンドラの箱はもう閉まりません。もし、一審判決前に和解に持ち込んでいれば他県への影響を最小限に押さえ込めたことを考えると、今回の敗訴は「本家」に顔向けできない大チョンボということになります。
彼の官途が思いやられます。
京都の小児科医
元もと保健所長様
官僚文化というのが外からわかりづらいのですが、一般的には下記のように考えれていることに納得しました。ただ、ネット情報ではうたれづよい印象はありますし、別に官僚をやめてどこかの教授などになってもいいのではとも思いました。
>たとえ今後控訴して和解や逆転判決を得たとしても、一審「判決」で開いてしまったパンドラの箱はもう閉まりません。もし、一審判決前に和解に持ち込んでいれば他県への影響を最小限に押さえ込めたことを考えると、今回の敗訴は「本家」に顔向けできない大チョンボということになります。
彼の官途が思いやられます
元もと保健所長
京都の小児科医様
思いやられるのは「官途」であって、けして「前途」ではありません。
元外科医
最高裁までの3審で勝訴すると今までのカネに利子が年に5%付いて(法定利息って高利ですよねw)膨大な金額になります。現在の7−800万でもかなりのボーナスですが。
今後は全国で、ちょっと金に困った医者が起こす当直料訴訟にも管理者は脅えて暮らすようになるでしょう。提訴後あちこちで言われていたように、医師の時間外不払いは、サラ金過払い同様確実に勝てる訴訟と言われるようになり、弁護士に相談に行けば、殖えて困ってる弁護士が確実に成功報酬の得られる、時間外賃金訴訟を勧めることに精出すでしょうね。勤務医の雇用コスト減らそうとして、本給切り下げれば辞める医師続出ですしw
なんと言っても経済的締め付けはどんな業種でもきついです。議会からも圧力を受ける公立病院の管理者は、なり手が居なくなる可能性さえあります。われわれとしてはwktkです。
京都の小児科医
こういった判決文はネット上でみれる形になるのでしょうかという基本的な疑問はありますが。。。
法律の専門家ではありませんので、よくわかりませんが、本件は訴訟相手が奈良県ではと思います。病院経営者(奈良県)はわかるのですが、病院長はまったく関係ないのでしょうか
下記の件に関して、マスコミなどが、病院長に直接たしかめてみればと簡単にすむ問題と思います。
もしかしたら、奈良県立病院長サイドに緘口令がしかれているかも知れませんが、本事件に関して直接の奈良県立病院以外にも他の県立病院長や市立病院長などに、本件や宅直勤務などについてアンケートなどされるとありがたいと思います。
私の知るかぎり、ネット上、マスコミ上、奈良県立病院長のコメントがないのは異様な風景のように感じています。
>しかしながら、宅直勤務は奈良病院の内規にも定めはなく、宅直当番も産婦人科医師が決め、同病院には届け出ておらず、宿日直医師が宅直医師に連絡をとり応援要請しているものであって、同病院がこれを命じていたことを示す証拠はない。このような事実関係の下では、同病院の指揮命令下にあったとは認められない。したがって宅直勤務の時間は、割増貸金を請求できる労働時間とはいえない。
ひんべえ
宅直の慣行が行われていることを、病院の内規上明文化されていないからと言って病院上層部が知らないわけがありませんし、現に宅直でやっと現場が回っていることを知らないわけがありません。黙認状態があったと考えられますよね。でも、法廷で立証できなかった。メモなどの物的証拠がなかったことが問題だったのでしょうか。私はやはりパンドラの箱をあけたこの先生方に対する守旧派の職員の証言などの壁が意外に固かったのではないかと思います。陰で応援はできても表だって応援できなかった人も多いのではないでしょうか。
とりあえずは、指示がはっきりしていれば宅直に対しても労働と認めるとのことですから、指示がないことを理由に勤務拒否して崩壊させないと県も市民も変わらないように思います。
元ライダー
今回、宅直を勝手にやったと判断されたのは、産科内だけで宅直担当者を周知していれば事足りるという産科の特殊性が理由かもしれません。これが他科ならそうはいきません。例えば内科当直として循環器科医が当直している時に吐血患者が来たら、宅直当番のの消化器内科医を呼ばなければなりませんが、そのためには誰が消化器内科の当番かを救急外来の看護師や事務に周知する必要があります。仲間内だけでは収まらない。ところが産科の場合は誰が当番かを産科医だけが知っていても事足りる。だから業務として行なった根拠に乏しい。想像ですけど。
>官途
昨日京都の小児科医が示してくださった被告側「代表」の経歴を見ますと、臨床経験が8年あり、厚生官僚としては珍種の部類ではないでしょうか。彼のクーデターという希望的観測?
「本判決は、全国で問題となっている勤務医の長時間労働や、従来から医師が職業倫理的に取り組んでいた診療への応召や主治医制などを、日本の医療制度として今後どのように位置づけるか、日本の医療のあり方に一石を投じた判決」と官僚らしからぬ?発言をしているようですし。
京都の小児科医
元もと保健所長様
>思いやられるのは「官途」であって、けして「前途」ではありません。
了解しました。
元ライダー
京都の小児科医さま
前コメ敬称略となってしまいました。
他意はありません。失礼しました。
tadano-ry
判決要旨は裁判所の方から直接マスコミ等関係者に配布されたもので、同じものが
読売新聞に掲載されました。肝心の争点についてですが、関係者の方から簡単な情報を
いただきました。
当直について
原告側…休日夜間も出産や救急患者に対応しており、通常勤務と変わらない労働実態で
ある。待機時間も病院の中に拘束されており、呼び出しがあればすぐ現場に
行かなければならず、当直勤務の時間帯すべてが労働時間と考えるべき。
被告側…当直時間中に実際に勤務している時間は全体の約1/4程度にしかすぎず、
当直は労働基準法で労働時間にあたらない断続的労働にあたる。診療の合間の
待機時間は勤務をしていないのだから、すべてが労働時間に含まれない。
宅直について
原告側…当直医は一人で異常分娩などに対応することは不可能である。つまり当直と
宅直はシステムとして一体のものであり、呼び出しがあれば病院に急行しな
ければならず、たとえ自宅待機といっても労働から解放されているとは
いえない。
被告側…宅直は医師側が自主的に行っているものであり、病院が命じたわけではない。
よって自宅待機中は給与の支給対象となる労働時間にはあたらない。
元もと保健所長
元ライダー様
>彼のクーデターという希望的観測?
そうですね。もし、よりによって「奈良の産科医療」を舞台にした自爆テロであったなら、できすぎた話です。
官途は絶たれても、前途は明るいと思います。
卵の名無し
>あくまで「どうも」
全面勝訴・全面敗訴は避けるとの結論先にありきで(行動経済学でいうアンカー効果)まあ宅直まで責める(しめる)のはかんべんしといたいたろ、と。
(1)場所的拘束 (2)時間的拘束 (3)指揮命令下のうち、(1),(2)には特に触れず(3)に終始したのはそこが一番のeasyでconcreteな routeだったからという可能性もあります。
もしそれっぽい指揮命令があれば、(1)、(2)がなりたたないから、という(部外者からは半ばアクロバティックに見える)理由が水面下から浮かび上がってきていた可能性もあるかも。
まあ推論に推論を重ねるお遊びではありますが。失礼しました。
Yosyan
tadano-ry様
やはり当直時間の残り3/4について争っていたのですね。争った上で勤務時間と判断されてしまったのは手痛いところのように感じます。宅直時間も「場所的拘束」「時間的拘束」が実態としてある事を認められた上で、辛うじて「指揮命令」の手続き論で花を持たせてくれたと見ることもできます。こりゃ、厳しい判決です。
こうなる事を奈良県は予想できずに断固戦ったのか、訴訟で負けることにより予算確保の戦術を狙ったかは不明ですが、戦術で行なったのなら戦略的には大敗北になるかと思います。
卵の名無し
>奈良県立病院長のコメントがないのは異様な風景のように感じています。
予想される発表「(まだ係争中であり)コメントは差し控えたい」「今後の対応については検討中」
○○メディカルニュースさんと××がアップを始めたようです。w
既存メディアの報じる内容は大本営発表以上でも以下でもないね、というのは冗談として、やはり県からは緘口令が出されてるんでしょうね…
元外科医
被告の戦略から考えると、裁判途中でも金銭訴訟ですからお金払って和解した方が良かったのでしょうね。判決もらって確定などしたら、他への影響が甚大ですから。
原告側としては勤務医代表としてよく戦ってくれたと言えます。最高裁まで戦って判例にしたらもっとGJです。宅直の多い勤務医からしたら、地裁判決では敗訴に等しいかも知れないので、この部分も上級審では頑張って欲しいですね。
テキサン
原告の先生方は控訴されないかも知れませんね。判決の
「宅直は指揮命令下でなかったから割増賃金は不要」という文言、裏返せば「指揮命令下の宅直には割増賃金が必要」を引き出したのですから。
病院が院外待機を指示せざるをえない(Yosyan先生曰く「院長:それでは困るので頼む」)環境であることを考えると、宅直勤務に関しても勝訴判決に近いのではないでしょうか。
tadano-ry
判決要旨のより詳細なものが手に入りました。トラバを打ちましたのでそこから
ご覧下さい。
京都の小児科医
元ライダー様
まったく気づきませんでした。わざわざ申し訳ありません。こちらこそ、不適切な表現があり私自身が気づかない場合もあると思いますが、その際ご容赦ください。
>京都の小児科医さま
前コメ敬称略となってしまいました。
他意はありません。失礼しました。
京都の小児科医
状況が少しわかりづらいのですが、この訴訟の時期は
>しかしながら、宅直勤務は奈良病院の内規にも定めはなく、宅直当番も産婦人科医師が決め、同病院には届け出ておらず、宿日直医師が宅直医師に連絡をとり応援要請しているものであって、同病院がこれを命じていたことを示す証拠はない。
だったとしても、現在の奈良県立病院はどうなんでしょうか
すくなくとも現在は、宅直は正式なものとして認められ、宅直料は給料に振り込まれているのでしょうか 医療事故や、過労死の問題など色々とあると思いますが、気になるのは宅直が正式なものでないのなら、宅直で呼ばれたときに急いで病院に向かう途中の交通事故です。この場合は自己責任なのでしょうか
現在の奈良県立病院は、宅直を正式に認めているのかどうかをぜひ知りたいです。
Yosyan
tadano-ry様のTBから見つけた奈良県知事のコメントです。ソースがタブロイドなのは目を瞑ってください。
http://mainichi.jp/area/nara/archive/news/2009/04/24/20090424ddlk29040513000c.html
>「条例で給与や地域手当と計算基礎が決められている。算定基礎は国も同じで、条例で決められたことをいかんと司法が判断できるのか」と疑問を呈した。
こういうトップの認識で訴訟に打って出たのなら、笑うしかないでしょう。国の算定基礎と同じだから「負けるはずがない」との御認識であられたようです。これを訴訟の場で主張したのなら、国の算定基礎も同時に巻き添えにした事になります。こりゃ、是非判決分本文を公開して欲しいところです。原告医師はそこまでやってくれると期待しています。
nomnom
トピずれ失礼いたします。
今日の新聞を見ていたら、こんなのが載っていました。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0001856456.shtml
ご注意を。
TOM
今日も経営者モードです。もともとね、働いてる人を“人”と思ってたら、或いはせめて“戦力”と認識してたら、本件原告みたいな主張はできないですよ。その上で敢えてね...
仕事量の点でもともと評判の悪い労働条件で、なのに給与以上の働きをしているベテランスタッフから、「忙しいのはともかく、せめてちゃんと給料出してよ」という要求があった。辞められると同質・同量の人材を手に入れることは難しい。どうするか?
A.要求満額かはともかく、今までよりは待遇良くして残ってもらう。 → 労働者個人との妥協点まで支出はわずかに増えるが、企業の収入源(労働力)は維持できてる。
B.あくまで「払わない」と突っぱね、裁判にされる → 公権力により払えと命じられ、要求満額に近い大幅な臨時支出、しかも確実に「人材」に嫌気をさされ、もしかしたら辞められて収入源が消滅する。
あはははは。どう見てもB.が損だ。労働者を“人”と見なくても。それを敢えてB。へぇ〜。
ま、最大の問題はAを取りたくてもその原資(診療報酬)がない、って事なんだけども。でもそれはそれとして、得難い貴重な労働力と全面対決しちゃうなんて、愚作の極みですね。うふふふふ。
>条例で決められたことをいかんと司法が判断できるのか
やっぱねぇ、せめて被選挙権には年齢以外に何か条件を付けないとヤバイんじゃないのww、と。
tadano-ry
待機どころでなく、仮眠時間でも時間外手当を払うべきとした最高裁判例
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/BE239C2C7D3531DE49256DC600058A1F.pdf
(1) 労基法32条の労働時間(以下「労基法上の労働時間」という。)とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という。)が労基法上の労働時間に該当するか否かは,労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである(最高裁平成7年(オ)第2029号同12年3月9日第一小法廷判決・民集54巻3号801頁参照)。そして,不活動仮眠時間において,労働者が実作業に従事していないというだけでは,使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず,当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて,労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。したがって,【要旨1】不活動仮眠時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労基法上の労働時間に当たるというべきである。そして,当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には,労働からの解放が保障されているとはいえず,労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。
そこで,本件仮眠時間についてみるに,【要旨2】前記事実関係によれば,上告人らは,本件仮眠時間中,労働契約に基づく義務として,仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられているのであり,実作業への従事がその必要が生じた場合に限られるとしても,その必要が生じることが皆無に等しいなど実質的に上記のような義務付けがされていないと認めることができるような事情も存しないから,本件仮眠時間は全体として労働からの解放が保障されているとはいえず,労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価することができる。したがって,上告人らは,本件仮眠時間中は不活動仮眠時間も含めて被上告人の指揮命令下に置かれているものであり,本件仮眠時間は労基法上の労働時間に当たるというべきである。
(3) 上記のとおり,上告人らは,本件仮眠時間中の不活動仮眠時間について,労働契約の定めに基づいて既払の泊り勤務手当以上の賃金請求をすることはできない。しかし,労基法13条は,労基法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約はその部分について無効とし,無効となった部分は労基法で定める基準によることとし,労基法37条は,法定時間外労働及び深夜労働に対して使用者は同条所定の割増賃金を支払うべきことを定めている。したがって,労働契約において本件仮眠時間中の不活動仮眠時間について時間外勤務手当,深夜就業手当を支払うことを定めていないとしても,本件仮眠時間が労基法上の労働
時間と評価される以上,被上告人は本件仮眠時間について労基法13条,37条に基づいて時間外割増賃金,深夜割増賃金を支払うべき義務がある。
Yosyan
tadano-ry様
大星ビル訴訟ですね。これに則ると寝当直でも
>労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,実作業に従事していない仮眠時間(以下「不活動仮眠時間」という。)が労基法上の労働時間に該当するか否かは,労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである
例の通達でさえ吹っ飛ぶ解釈になります。この判例は労働法ではかなり重視されるものと聞きますから、奈良県が当直時間の労働を訴訟で争ったのはプロから見れば無謀と言えるかもしれません。まあ、最高裁まで争って判例変更を狙うと言うのなら話は別ですが。
法務業の末席
Yosyan先生のエントリ本文はじめ、厚生労働省医政局を筆頭とする医療業界の皆様の、労基法41条3号の「宿日直」の解釈に大きな誤解というか、法令通達の勝手読みがはびこっているように感じます。
以下に労基法41条の解釈を、基本的なことから順次説明していきたいと思います。
(大変長い解説文となりましたが、切らずに一気に投稿します)
==== 労働基準法 ====
(労働時間等に関する規定の適用除外)
第41条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、
次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
==== 引用終わり ====
この労基法41条3号に規定される「監視」に従事する者、ならびに「断続的労働」に従事する者で、なおかつ「宿日直」に就く者については、省令の労基則(労働基準法施行規則)で次のように規定されています。
== 労働基準法施行規則 ==
第23条 使用者は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、様式第十号によつて、所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合は、これに従事する労働者を、法第三十二条 の規定にかかわらず、使用することができる。
==== 引用終わり ====
で、この労基則23条でいう「宿日直」とは、発基17号(昭和22年9月13日)と基発150号(昭和63年3月14日)の2つの通達では、宿日直とは、当該労働者の本来の業務は処理せず、構内巡視、文書、電話の収受または非常事態に備えて待機するなど、常態としてほとんど労働する必要のない勤務態様をいう。このように両通達では示されています。
ここで注目して欲しいのは「本来の業務は処理せず」という部分と、「常態としてほとんど労働する必要のない勤務態様」の2ヶ所の説示部分です。
すなわち労基則23条での「宿日直」の許可の要件は、次の2点となります。
?:本来の業務は処理しないこと
?:常態としてほとんど労働する必要のないこと
この解釈に沿って労働行政は執行されており、裁判所での司法判断もこの解釈が基準になります。
しかるに、医療界においての「宿日直」の許可の解釈は、一般的に次のような印象があります。
a:日中の正規勤務時間より労働の頻度は低いが
b:本来の業務を処理するために当直室で待機すること
以上の労働側の「宿日直」の要件基準である?&?と、医療側において一般に唱えられている「宿日直」の要件概念であるa&bと見比べると、大きな違いがあります。それは労働側の要件基準では、そもそも本来業務が見込まれるならばそれは宿日直に該当しないとされているのに対し、医療側の概念では低い頻度ながら本来業務をする見込みを前提に入れて、宿日直が定義されていることです。
そして断続的労働と通常の労働(本来業務に応ずる労働)が混在・反復する場合に、労基法41条3号の許可の要件基準をどのように判断するかについては、前掲の基発150号(昭和63年3月14日)において、断続労働と通常の労働とが1日の中において混在し、又は日によって反覆するような場合には、常態として断続的労働に従事する者には該当しないから、許可すべき限りでないと示されています。
このように「本来業務を最初から織り込んだ宿日直」という医療側では一般的な宿日直の概念が、労基法41条3号の該当要件である前掲通達の「断続労働と通常の労働とが1日の中において混在し」にモロに引っかかりますので、医療側で一般に言う「本来業務を最初から織り込んだ宿日直」は労基法41条3号の「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」には該当しないとするのが正しい労基法解釈論です。
ここにYosyan先生はじめ、厚生労働省医政局など医療業界の方々の労基法解釈には、基本的に誤りというか、労基法の「宿日直の許可」に対する誤解があるように感じます。
そして裁判では、労基法の原則的な解釈である上記?&?の要件基準をもって、労基法32条に謳われる労働時間の適用が場外されるか否かを判断しています。今回の奈良地裁の判決要旨でも、この本来業務に応じるために原告医師らに宿日直と称する勤務が行われていたのであって、本来業務に従事するために呼出に速やかに応じることが義務付けられている事実こそ、労基法41条3号に該当しない明白な事実として認定されたのです。
すなわちYosyan先生のエントリ本文では、1場所的拘束、2時間的拘束、3指揮命令下の3つの要件が挙げられていますが、この3つとも労基法41条3号に該当するかどうかを判断する基準としては決定的な要素ではありません。どちらかというとスジが違う部分を突っついておられます。本スジは、何度も繰り返しますが、本来業務に就くことが見込まれているか否か、そして本来業務に就くとしてもその頻度が滅多に無い事故発生や非常事態などに応じる場合などを見込んでいるかどうか、これになります。
この滅多にない非常時への対応とはいえ宿任直に就く者は、当然ながら一定の待機場所に拘束され、宿日直に就くのは何時から何時までと時間が拘束され、宿日直に就くように指揮命令(業務上の指示や命令)が与えられているのは当然のことです。Yosyan先生の挙げられた3つの要件は、労基法41条3号の宿日直の該当要件を判断する上では、いずれも本質的な事項ではありません。
なお、業務に従事する時間が宿日直時間の1/4を超えるか否かという争点が、裁判の中で検討されたような情報もあります。 この「1/4」という基準は、宿日直勤務ではない断続的労働の勤務を定義する要件基準であって、基発535号(昭和23年4月5日) や前掲の基発150号(昭和63年3月14日)にて示されている基準です。
ただし注意すべきは、この1/4要件は、断続的労働に専ら従事する者、すなわち守衛、踏切番、小中学校の用務員など、最初から「断続的勤務にのみ従事する者」として雇用されている場合が対象であることです。その為に、実際に作業にあたる時間が勤務時間中の1/4以内であっても、その実作業時間の合計が8時間を超える場合は許可されるべきでないと、前掲の通達で示されています。つまり日中の本来の業務で既に法定の8時間労働をこなした後に、夜間当直として断続的勤務にあたる場合は、その実作業時間が合計で8時間を既に超えていますので、夜間当直の勤務が断続的労働として許可されるべきではないということになります。
元々が、労基法41条3号の監視に従事する者、ならびに断続的労働に従事する者という規定は、宿日直の勤務を指し示す規定ではなく、守衛や踏切番などの職業を想定した法規定です。そして労基則23条において、平常は連続する勤務に就いている者がごく稀な頻度(週1回以内など)で宿日直に就く場合で、しかも監視又は断続的労働に従事する場合は、週40時間1日8時間という法定労働時間の制限(労基法32条)の適用除外にしますよ、という法規定構造になっています。そこを無視して断続的勤務に専従する者に適用される1/4要件と、労基則23条での宿日直での本来業務にあたることがないという断続的業務の要件とを、都合良く繋ぎ合わせて勝手解釈した結果が、「勤務医の宿日直では業務に就く時間が1/4未満であれば労基法41条が適用になる」という医療界に蔓延する誤解釈だと思います。
なお日中も診療業務に従事する「正規章句員である常勤の勤務医」ではなく、夜間当直のみを行う雇用条件で雇われている「非常勤の夜勤当直専門の勤務医」の場合は、1/4要件のみを満たした上で1回の夜勤中に実際の診療業務従事時間数が8時間以内であれば、労基法41条3号の断続的勤務に該当することになります。
それ故に原告と被告ならびに裁判所は、争点の奈良病院の当直勤務が、まず労基法41条3号の断続的労働にあたるかどうか、1/4要件などについて検討し、その上で労基則23条の宿日直に該当するかどうか見るために「通常業務に従事していた推認される」か否かを検討した。結果として判決要旨では、当直勤務の産科医が「通常業務に従事していた推認される」が故に、労基則23条の宿日直での労働時間の適用除外を否定し、当直勤務の全ての時間において労働時間であり、労基法32条の法定労働時間を超えた労働時間であるので、労基法37条での時間外労働での割増賃金支払を判決で命じたものと思われます。
なお、奈良病院が原告医師らに支払っていた、平均賃金日額の1/3以上の宿日直手当は、時間外労働割増賃金の内払い分として差引控除した結果、2人で約1,500万円の賃金支払命令(時効による請求権消滅分を除く)となったと思われます。
法務業の末席
前投稿中、?となった下記部分は、マル数字の1と2を使ってしまった為に、表示できなかった結果です。
> ?:本来の業務は処理しないこと
> ?:常態としてほとんど労働する必要のないこと
> ?&?
これらの?マークには1と2の数字を当て嵌めて下さい。
1:本来の業務は処理しないこと
2:常態としてほとんど労働する必要のないこと
1&2
tadano-ry
上の判例は「たとえ仮眠時間であろうと労働者が使用者の指揮命令下に置かれており、労働から離れることを保障されてい無い限りは労基法上の労働時間であり、たとえ労働契約に書いて無くても、労基法上の労働時間と評価される以上,使用者には時間外割増賃金,深夜割増賃金を支払うべき義務がある」と言うことだと解釈しています。
宿日直はその例外規定であるわけですが、今回の判決は労基法上の宿日直の構成要件である断続的労働時間の基準は、県の主張する「時間の長さ」だけでなく「労働の質」の問題も考慮すべきであることを改めて確認したことに価値があると思います。そうなれば後は上の判例が自動適用されるわけです。
まあ労基法に全部書いてあることなのに何を今更とも思うのですが、労基法の性質上誰かが声を上げなければ確認されないことでもあったので、その点ホントにお疲れ様、と思います>原告の医師の方々
…とここまで書いて法務業の末席さまに先を越されたわけですがorz
Yosyan
法務業の末席様
理解するのにやや時間が必要な御説明ですが、非常に単純に言えば
「医師法16条の当直は、そもそも労基法41条3項の当直に該当しない」
こうでよろしいでしょうか。医師は医療法によって当直の規定があり、これの具体的内容に関する通達等は見た事がありませんが、医師は当然の事として入院患者の急変に対応したり、必要な救急患者の診察に応じるものだと考えています。医師法19条の応召義務と関連付けてもそんなに的外れではないと考えています。
そういう日常業務を含む医療法による当直業務は、訴訟の場に立てば労基法の当直業務と該当しないことになり、大星ビル訴訟の最高裁判例に行き着くことになると理解してよろしいでしょうか。そうなると例の通達は労基法当直の医師の適用の弾力運用であり、通達と言えども訴訟になれば最高裁判例に反する事になります。
現実のレベルは通達レベルでさえ夢の彼方ですが、労基法解釈上はそこまで判例で確認できる状態であり、これを実際の裁判例として確認したのが今回の訴訟という事になります。素人にはシンドイ理解です。
元ライダー
医療法16条で言う宿直の目的は時間外の突発的な本来業務の遂行であるのは分かりきっているはずだが、そのような目的で労基法上の宿直許可を申請しても受理されないってことかな?
実際には病院の(労基法上の)宿直申請は受理されている場合が多いけど、それらはすべて虚偽の理由(「本来業務はしませんよ〜」との申告)を記した虚偽申請ってことになるなあ。こりゃ大変だ。
326
↑えーとあれですか。
虚偽公文書作成及び同行使罪
あるいは公正証書原本不実記載ですかw
法務業の末席
Yosyan 先生、説明が分かりにくくて申し訳ありません。今回はかなり法律解釈論として原理原則に則った「正しい説明」を心掛けましたので、余計読みにくくなったようです。
>「医師法16条の当直は、そもそも労基法41条3項の当直に該当しない」
※スミマセン:労基法41条3項ではなく、正しくは41条3「号」です。
また宿日直を規定するのは労基法41条3号ではなく、労基則23条です。
この2つの規定を区別して頂かないと、理解が混乱する原因になります。
これは条件次第です。
まず第一に、突発的な本来業務(急患診療など)の発生頻度が、年に数回とか、せいぜい月に1回程度であれば、労基則23条の宿日直に該当すると考えて良いと思います。先の解説投稿にも何度か書きましたが、そもそも労基法での断続労働や宿日直の規定や通達での労基法解釈は、昭和22年の労基法制定時点を基礎においています。ですので昭和20年代や30年代前半の、「急患です、急患です、先生、お願いします」と深夜に病院玄関を叩く急患発生が、月に1度か2度あるようなマレな時代は、「医師法16条の当直は労基則23条の当直に該当する」と言える余地が大きくなります。
そして現在でも、有床診療所であるために医療法16条の当直義務があるが、直ぐ隣が2次3次の大きな規模の救急病院であって、急患の飛び込みも年に数回しかないのが現実。そして自院の入院患者といっても数も少なくて、深夜の容態急変が月に1度か2度しか起こり得ないという条件が揃っていれば、昔と同じように「医師法16条の当直は労基則23条の当直に該当する」と言えるでしょう。
又、週40時間1日8時間の法定労働時間の日勤もこなしている正規の勤務医ではなく、夜間宿直や休日の日直に限って雇用されている医師(いわゆる夜勤宿直や休日日直専門の非常勤バイト医)については、労基則23条での「宿日直の許可」ではなく、労基法41条3号の「断続的勤務に従事する者としての許可」によって、労基法上の労働時間や休日休憩などの規定について、適用の除外を受けることが可能です。
ただしこのときに本来業務が夜勤や日直時間の1/4以下であり、かつ1回の夜勤や日直での合計業務時間が8時間以内、という2条件を満たす必要はあります。この2条件を満たす夜勤宿直や診療休日の日直勤務だけを行う勤務医(正規の就業時間=診療時間の勤務シフトには就かない者)は、労基法41条3号の「断続的勤務に従事する者」に該当しますので、労基則23条での「宿日直の許可」とは別個の扱いとなります。
医療界の皆さんは、この労基法41条3号での「専ら断続的労働に就く者の要件基準」と、労基則23条での「宿日直での断続的労働の要件基準」をゴッチャになさるので、混乱が起きるのだと思います。
tadano-ry
Yosyanさま
>医師法16条の当直は、そもそも労基法41条3項の当直に該当しない
というより、労基法41条3項では「断続的労働に従事する者」とあるだけで当直とは一言も書いてありません。また労基則23条では「宿直又は日直の勤務で断続的な業務について」とありますので、私は「断続的労働」と「宿日直」はそもそも分けて考えるべきものだと思っていました。 宿日直はあくまで勤務形態を示す概念であって、労基法41条3項とは直接関係のないものではないでしょうか。労基則23条も「法第三十二条の規定にかかわらず」とあり、労基法41条3項についての言及はありませんし、「断続的労働」でなく断続的な「業務」となっている点を考えてもそう思うのですが、法務業の末席さま宜しくお願いしますorz
tadano-ry
…とかいたらまた先をorz
Yosyan
法務業の末席様
丁寧な追加解説ありがとうございます。かなり知理解と言うか知識が整理されました。もう少し勉強してそのうちエントリーにしたいと思います。
今日の時点での粗い理解では、奈良の当直問題は言うまでもなく常勤医の当直ですから、労基則23条の宿日直に該当し、訴訟で1/4の業務であるとか、残り3/4は寝ている云々の奈良県の主張は労基法の趣旨からすると戯言に類するかと思います。これを大真面目に主張したと言うのが謎ですが、やはり論拠は「国もそうやっている」だったのでしょうか。知事コメントからすれば、そうでも理解しないと謎です。それとも奈良県の弁護士がよほど労働法に昏かったとか。
そうなると判決要旨の説明としては、奈良の当直医は労基則23条の宿日直に該当しないことを先に事実認定し、さらに当直でないとすれば「どんな労働時間」になるかを説明したと解釈したほうが良いように感じます。つまり「場所的拘束」「時間的拘束」「指令指揮下」の条件を満たすから、当直時間でなければ当然労働時間になるとの論旨です。
宅直の方はここまで知識をつけて読むと微妙な解釈になります。要旨しか無いので他の説明が不明なのですが、三条件のうち「指令指揮下」だけ取り上げて、残りの判断を放棄した可能性が出て来ます。後の判断は保留みたいな体裁です。可能性として二審で「指令指揮下」をクリアできたら、残りの「場所的拘束」「時間的拘束」の判断が行なわれるみたいな展開です。
ただそうなればの話ですが、指令指揮下であって「時間的拘束」「場所的拘束」の片方ないし両方がない労働状態とは何かになります。もちろん労基法の当直では頭からありませんから、素人には「???」になります。あえて考えれば、オンコールでもなんでもない医師を、必要が生じて連絡したらたまたまつかまって、仕事をしてもらったような感じでしょうか。現実では珍しい事ではありませんが、訴訟の場ですから「だいたいそんなもの」では済まないですからね。
元ライダー
またまた虚偽申請の話ですが、Med_Lawさまが発掘された都立府中病院の宿日直勤務許可申請書
(http://pediatrics.news.coocan.jp/fuchu01.PDF)を虚偽を念頭に見ると面白いですよ。
宿日直の「勤務の態様」の項目。
最初は「入院患者および救急患者の診療」と書いて提出したが受理されず、(労基書の指導を受け?)括弧書きで「但し簡易な診療受付をなし他診療行為は宿直医以外の医師が診療する」と追記したような書き方。最初から宿日直として適切な勤務の態様を理解していれば、こうは書かないでしょう。「入院患者および救急患者の簡易な診療受付」と書くんじゃないでしょうかね(簡易な受付って意味不明ですが)。とっても不自然な記入に見えますねえ。
元ライダー
あー、それと細かいことですが最近法改正されてなければ有床診療所に医師の宿直義務はないはずです。
無床診療所 病院
入院ベッド数 0 20床以上
必要医師数 1人以上 3人以上
専属薬剤師 基準なし 必ず必要
医師宿直義務 なし あり
医療設備 基準なし 各科専門の診察室、手術室、
X線装置、調剤室など
元もと保健所長
元ライダー様
>あー、それと細かいことですが・・有床診療所に医師の宿直義務はないはずです。
もっと細かいことを言えば、医業を行わない(つまり純粋に歯科医業だけの)病院には、医師・歯科医師の宿直義務はありません。
また、入所施設のある助産所にも、医師・助産師の宿直義務はありません。
医療法第16条 医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。・・
法務業の末席
元ライダー様
>それと細かいことですが最近法改正されてなければ有床診療所に医師の宿直義務はないはずです。
あ〜、やっちゃった、ご指摘ありがとうございます。
先の追加投稿での私の事例は、有床診療所ではなく小規模の病院で、すぐ近所に夜間救急外来をバンバン引き受けている大規模病院がある場合、とお考え下さい。
労働法令は私の専門分野ですが、医療関係の法令については医師の皆さんの方が私よりはるかに詳しいでしょう。他にも私の解説中に医療について誤解した記述やヘンテコリンな部分がありましたら、ご指摘頂ければと思います。
勤務医
>>何度も繰り返しますが、本来業務に就くことが見込まれているか否か、そして本来業務に就くとしてもその頻度が滅多に無い事故発生や非常事態などに応じる場合などを見込んでいるかどうか、これになります。
ということはオンコールもそれなりの呼び出しの実績を持てば労基法41条3号に引っかかってくると言うことでしょうか。
頻回にあることは間違いなく。無ければオンコールも不要であり。
で、今後はオンコール専属バイトで1/4を満たせば若干は安くなるのでしょうか。
私は、こういう事を通して、医者の給料を上げろとか出はなくて、ちゃんと人数を雇え!と思っています。
卵の名無し
ここまで読んだが今日は結局わからんかった。裁判官て判決の根拠となった法律を明示しないでも許されるのかいな?
Bugsy
病院ごとのローカルルールかもしれません。そうじゃない病院もありました。
自宅でのオンコールもあるのですが、自宅に帰った「主治医」というのはどうなるんでしょう?
勤務時間外に点滴の内容の確認から、治療方針、ムンテラのアポイントまで自宅まで深夜に頻々と問い合わせがありました。まずは準夜と深夜勤務の交代時間の申し合わせ時間が大半です。
あとは世間でいう日曜日祝日に 患者家族からの来院に応じろというのもあります。
これが病院によってでしょうが(?)、看護婦では対応できないから主治医を呼び出せという家族からのが多いです。
オイラなりに工夫をし、話し合って当直医が対応するようにしたのですが 4月になり新人が入ってくれば元の黙阿弥です。また同じことを説明します。本当に4月って嫌な時期です。
これも誰が業務命令者なんですかねえ。しかしやってることは数分でも電話を介した立派な>業務でしょう。しかし誰にも記録を残しようがない。なくはないが多分困難。オンとオフときちんと分けられてないのです。いつ携帯がなるかって。
滅多にないことと、今回だけって電話をかけてくるナースの皆さんは思いがちですが、実際は多かった。
医師は3交代じゃないもんで、そのつど申し送りも出来ないのですよ。
>医者の給料を上げろとか出はなくて、ちゃんと人数を雇え!と思っています。
3交代が出来るほどの医師の人数を集めてくださいよ。
元外科医
3交代の医師を雇える状態になるにはあと5万人くらい医者が増えないとw
勤務医
>>3交代が出来るほどの医師の人数を集めてくださいよ。
3交代とは言いませんが、少なくとも募集をしなければ病院に医者は増えません。
募集しないと労働時間は減りません。
私は公的病院を多くみてきましたが、1人医長などを含めて、医者不足の原因はポスト不足、人員削減が根本的な問題と認識しています。
奈良にも知人がいますが、いい年をして非常勤です。ポストなんてありませんよ。
あるのは激務で逃げた医者の後釜。元々定員われている様な所の補充。
Bugsy
>勤務医様
わかります。夜遅くごめんなさい。
>1人医長などを含めて、医者不足の原因はポスト不足、人員削減が根本的な問題と認識しています。
ヒラの医員の数こそ増やせばよいものを それを出来るだけ少人数で、増やさないようにしてやらせようとしていました。
一方ナンバー内科やナンバー外科という他の診療科を睥睨するような多人数の診療科があった時代を記憶していますが、いつのまにか臓器別に細切れとなって、今では少人数で外来や当直を回しています。
見た目の部長職は増えましたが、部長といっても実質は医長レベルかな。
ナースで「医療とは24時間患者と対峙して行うものだ。」とおっしゃる方がいて オイラは飲み会で詰め寄りましたね。
じゃ あんたも3交代で自宅に帰らずに 24時間病院からのコールを気にしながら勤務してみたら? 毎年ずっと自宅に帰っても 深夜電話がかかってきて点滴のオーダーの再確認をさせられたら どんな気分?って聞いたら あなた方の先輩、ここの診療科を立ち上げた初代の部長がそういってナースに言ったそうで、自分たちがそういったわけじゃありません、それが医師の天職というものでしょって言い返しましたね。
越えられない壁ってあるなと思いました。ナースに個人的には悪い人はいないと思うけど、その一線は越えられませんね。
人間やったことがないことを理解せよといっても 無理でしょう。
勤務医
私の方は基幹公的病院(500床程度)で1人医長をやった経験があります。
そこで見たのは地方行政・市議会・市長(経営者)とそこから送られた事務長と、それに立ち向かう?従う?院長でした。
基幹病院に取って必要なのは指定看板維持の為の最低数の専門医の確保と、その他は非常勤あさりです。
私で歴代4-5人目の内科某科医長戦没でした。
地域の病院から降るように患者が送られてきて、しかし、増員なんて赤字の上塗りですから行政・院長は認めません。それでも院長は「大学に増員を打診」なんて言っていましたが、私が大学により通じている事(そんなの嘘)を知ってからは黙っていました。今でも非常勤ならウェルカムです。
医局の繁栄を願わない院長はいません。しかし、常勤増員で赤字を推し進める事は議会の承諾も得られませんし、基幹病院の院長って行政が大学に預けた天下りポストですから弱みもあって強く言えません。で、現在大学から医者配給が停止し、面目丸いつぶれで、内部から院長が出る所まであって、退官後の天下りを模索する大学運営陣と関係病院長と、何のためのポスト提供かと配給の細りに不満の自治体(つまり市長)の間で非常にギクシャクです。
それは滋賀県・東京・奈良すべてに通じる事では無いでしょうか。
ある意味堂々と医者を募集できる環境を院長は喜んでいると思いますし、おいしい大学人事からはずれると院長ポストが大学から離れるのではないでしょうか。
京都の小児科医
疑問点を愚直に少しづつあげさせてください。
奈良県知事のご発言の
>「条例で給与や地域手当と計算基礎が決められている。算定基礎は国も同じで、条例で決められたことをいかんと司法が判断できるのか」と疑問を呈した。
算定基準というのは具体的に何でしょうか(勉強不足ですいません)
国も同じということは県立病院以外に国立病院でも同じという意味でしょうか
(あと公立病院 他があります)
京都の小児科医
Yosyan 先生すいません
重要なことではないと思いますし、全員が単純な間違いとわかっていることとは思いますが、法は厳密にとも思いますので
理解するのにやや時間が必要な御説明ですが、非常に単純に言えば
「医師法16条の当直は、そもそも労基法41条3項の当直に該当しない」
→これは医療法16条ですよね。
元外科医
>常勤増員で赤字を推し進める事は議会の承諾も得られませんし
全く逆だと思いますけどねw
小生も自治体病院にも勤務したことはありますが、常勤になれないと言う話は知りませんでした。ああ、山形県だからですかw
勤務医
>>常勤になれないと言う話は知りませんでした
例えば、その病院に医者が適当数居て、かつ募集なんてあるのでしょうか。
そんな恵まれた労働環境の病院があるのなら教えてください。
勤務医の労働環境改善に市財政から赤字をさらに補填する様な所があるのでしょうか。
私の知る限り最低限を維持するので精一杯な病院ばかりです。
その最低に欠員が出て募集をする事は沢山あります。死活問題ですから。
Med_Law
今年の社会保険労務士資格試験の受付が始まっています。
去年は受ける気が満々だったのですが、グウタラな性分で勉強が進んでいないのと、昼間の仕事が忙しくなったので、今年も見送りになりそうです。
憧れの法務業の末席師匠に近づくには、まだまだ先が長いです。
師匠の叱咤・激励を頂けますと、来年に向けて頑張れると思います。(ほぼ言い訳モード・・・汗)
Bugsy
病院側もパンドラの箱が空いたとおっしゃっていますが、
大学病院はどうなんでしょう?
たしかに病棟に配置されていますが、そのほか教育や研究も行っています。やってない奴はトコトンやってはいない。
教育はさておき、研究はそういった日常業務が終わってから始めることが多いのですが、あれは自分が勝手にやってることだからと就業時間にはカウントされてはいけないものでしょうか。
手すきの時間をみはからって就業時間内にやらかしているツワモノもいて、ネズミのお医者さんをしたり細胞の遺伝子をナデナデ チョキチョキしています。或いは当直中にPHSを持って研究室に隠れてやったこともありました。呼び出しには無論応じますがね。帰って来たら電気泳動のバンドが流れ出ちゃったという事も多かった。
だけど医師個人が自前の財布から支払うお金でやる事は事実上不可能で、文部科学省の科研費や厚生労働省から助成金をもらってやることが大半です。あれだけ研究費を取って来いっていっていながら、こういった研究は公務じゃないのかしら。自分の試薬もそこから出てるけど、指導している大学院生の使う研究費は大学からの援助はスズメの涙で 結局オイラの公的助成金で賄っています。大学院生は学費払ってるんだからという顔をしますが、たかがあんなはした金のテメエの研究ができるわけないだろって。
挙句の果てに 博士論文を最初から自分で書けはしませんよって あんたが最後は何とかしてくれるだろって内心思ってやがる。
染色に使う抗体ならまだしも、microarrayは高いよん。またしょっちゅう失敗しやがんだ。初心者だから仕方がないけど。
論文指導や、研究をするのは自宅では不可能な部分も多いわけで、仕事をせずにさぼってるぞと言われてもねえ。まあ土日にやってはいますけどね。
臨床医が研究をするなんて奴は許せん、そういう口吻で興奮(おやじギャグ)する医師は少なくありません。オイラはいつもケンカです。じゃあお前らが大学院の教育やってみろよって言い返しています。本音はあんな奴らにオイラの貴重な研究費を割きたくないよ〜だ。
結局なあなあの部分があればこそお互いさまで仕事を回してこれるわけで、勤務時間の算定とやらを厳密にしたら大学病院は間違いなく息の根を止めれれるでしょうね。
法務業の末席
Med_Law 様
まず「憧れの師匠」はカンベンして下さい。そんな上座に据えられたら、アタシャ人間じゃ無くなってしまう。
>今年も見送りになりそうです。
え〜、勿体ない。
8月23日の日曜日1日の時間と、受験料9,000円の費用負担でしょ。
勉強が進んでいなくても、合格する可能性が限りなくゼロに近くても、受けなきゃ損ですよ。
日曜日を1日と9,000円の費用で、研修会に出たと思えばどうですか?
暇を見付けて参考書を読んだり問題集を紐解くのも勉強ですが、実際に受験してみる「経験」も大きな勉強です。落ちたって良いじゃないですか、私も1回落ちましたし、特に午後の択一試験の3時間30分間休憩無しの1本勝負は、体験するだけでも貴重です。受験料は「体験料」と思えば安いものです。
取り敢えず受験料を払って願書を出しておいて、8月のお盆からの1週間の泥縄でも、もしかしたら受かるかもしれない。
でも、願書すら出さなければ受かる可能性は絶対に無い。
ダメモトで出願してみたら?
法務業の末席
Bugsy 様
>病院側もパンドラの箱が空いたとおっしゃっていますが、
>大学病院はどうなんでしょう?
公立でも民間でも病院勤務医の労働問題は、同じ厚生労働省の中での医政系官僚と労働系官僚の縄張り争いですから、1人の大臣(今は舛添)が行司役となって仕切ることが可能です。
でも大学病院になると、厚生労働省内部の縄張り争いに加えて、文部科学省という戦前からのスジガネ入りの伝統を誇る官僚組織との三つ巴です。加えて大学というエリアとそこの住人は、昭和40年代の大学紛争で形成した「大学自治」という特別なプライド感情を持っていますから、四つ巴、五つ巴の勢力争いが常態の「魑魅魍魎はびこる魔界」です。
魔界のパンドラの箱を開く気概を持つ勇者(政治的リーダーシップの取れる強力な行司役)が現れない限り、手を出しようがないでしょう。イヤ手を出したら収拾がつかなくなるでしょう。
大学病院は、核爆弾クラスの「眠れる脅威」です。触らぬ神に祟り無し。クワバラ、クワバラ・・・
2009-04-24 奈良産科医時間外訴訟の感想
この訴訟のポイントは、
原告の主張 | 被告の主張 |
当直は実態として勤務となっている | あくまでも当直である |
オンコール待機時間は拘束であり時間外勤務にあたる | オンコール待機時間は無給である |
もちろんオンコールで呼び出されて働いたら時間外勤務である | 呼び出されて働いても無給である |
ここの「当直」とは医療法16条による当直であるのですが、その労働実態が労基法41条3項に適合するかが争われています。わかりやすい例として愛育日赤事件があります。愛育日赤事件ではどちらの病院も労基法41条3項の宿日直許可を受けておらず、労基署の監査後に慌てて許可を申請したら、許可が下りなかった経緯があります。医師には一般的な基準に加えて通達も加えられており、
常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみを認めるものであり、病室の定時巡回、少数の要注意患者の検脈、検温等の特殊な措置を要しない軽度の、又は短時間の業務を行うことを目的とするものに限ること。したがって、原則として、通常の労働の継続は認められないが、救急医療等を行うことが稀にあっても、一般的にみて睡眠が充分とりうるものであれば差し支えないこと。なお、救急医療等の通常の労働を行った場合、下記3のとおり、法第37条に基づく割増賃金を支払う必要があること。
通常の勤務も割増賃金さえ払えば無限にOKと言うわけではなく、これも基準が設けられています。基準の話は長くなるので、今日は省略します。問題の奈良県立奈良病院の産婦人科の時間外勤務の情報です。
時間外救急患者数:1115人
- 手術件数:364件
- 分娩件数:552件(正常分娩:238件,異常分娩:314件)
ソース:奈良県福祉部健康安全局医大・病院課
リンク元は既に消去されていますが、平成2006年度のデータです。訴訟の対象となったのは2004年と2005年ですが、状況はさほど変わっていないとして良いと考えます。情報から手術と分娩は分けてありますから、年間に916件の分娩と手術があった事になります。そうなれば単純平均で1日2.5件の手術か分娩があった事になりますし、それ以外にも救急外来もあります。そういう医療法16条の当直が労基法41条3項に適合するかが訴訟の焦点です。
つうか誰が考えても適合していないと思うのですが、tadano-ry様から情報提供頂いた判決要旨には、
◎宿日直(夜間休日)勤務
原告らは、産婦人科という特質上、宿日直時間内に分娩への対応という本来業務も行っているが、分娩の性質上宿日直時間内に行われることは当然予想され、その回数は少なくない。中には帝王切開術なども含まれ、治療も行っている。また救急医療を行うこともまれとはいえない。これらの業務はすべて1人の宿日直医師が行わなければならない。その結果、宿日直時間中の約4分の1の時間は外来救急患者への処置全般および、入院患者にかかる手術室を利用しての緊急手術などの通常業務に従事していたと推認される。
原告らは、奈良病院から宿日直勤務を命じられ、勤務の開始から終了までの間、場所的拘束を受けるとともに、呼び出しに速やかに応じて業務を遂行することを義務付けられている。したがって、原告らは実際に患者に対応して診療を行っている時間だけでなく、診療の合間の待機時間においても労働から離れることが保障されていない。宿日直勤務の開始から終了までの間、医師としてその役務の提供が義務づけられ、同病院の指揮命令下にある。
あえて要旨のポイントをまとめると、
- 宿日直時間内に分娩への対応という本来業務も行っている
- 宿日直時間中の約4分の1の時間は外来救急患者への処置全般および、入院患者にかかる手術室を利用しての緊急手術などの通常業務に従事していたと推認
- 診療の合間の待機時間においても労働から離れることが保障されていない
- 宿日直勤務の開始から終了までの間、医師としてその役務の提供が義務づけられ、同病院の指揮命令下にある
どんな反論を被告である病院側が行なったかある意味興味津々なのですが、奈良県立奈良病院の産科当直は労基法41条3項の当直とは認められず、時間外労働であるとして被告は支払いを命じられています。労基法及び関連通達を読めば、これ以外の結論は考えられないのですが、とにかく原告は勝利しています。
次がもう一つの大きな争点であるオンコール問題です。訴訟では「宅直」と言う表現を用いていますが同じ事です。宅直から時間外勤務した時の時間外手当の支払いについての情報はありませんが、これも支払いを命じられているかと思います。病院側の主張として考えられるのは
-
勝手に宅直を行い、勝手に出勤し、勝手に働いたのだから手当は不要
これぐらいだと思いますが、ここは平成19年第1回経済財政諮問会議議事要旨での丹羽宇一郎伊藤忠商事株式会社取締役会長の発言を引用しておきます。
ホワイトカラーエグゼンプションの本当の趣旨は、大手企業の大部分がそうだが、若い人でも、残業代は要らないから仕事をもっと早くスキルを身につけてやりたい、土日でも残業代は要らないから出社したいという人がたくさんいる。しかし、経営者がしてもらっては困ると言っている。なぜなら出社されると残業代を全部払わなければいけない。家で仕事をするよりも、会社に来て色々な資料もあるし、これで自分が人よりも早く仕事を覚えて仕事をしたいんだと。それを今は仕事をするなと言っている。ホワイトカラーエグゼンプションの制度がないからだ。だから、少なくとも土日だけはホワイトカラーエグゼンプションで、残業代は要らないから仕事をさせてくださいという人に、仕事をするなという経済の仕組みというのは実におかしい。これを何とかしてあげたい。
経営者の常識として、
-
出社されると残業代を全部払わなければいけない
これを訴訟の場で論破するのは大変難しいかと考えるからです。
当直問題と宅直からの時間外手当問題は原告勝訴で当然のお話ですが、医師がある意味一番注目していたのは宅直問題です。これはまず判決要旨を引用します。
◎宅直勤務
奈良病院では、救急外来患者が多く、産婦人科医師の需要も高いが、5人しか医師はいない。現実の医師不足を補うために、産婦人科医師の間で(宅直勤務制度が)構築されたものである。
しかしながら、宅直勤務は奈良病院の内規にも定めはなく、宅直当番も産婦人科医師が決め、同病院には届け出ておらず、宿日直医師が宅直医師に連絡をとり応援要請しているものであって、同病院がこれを命じていたことを示す証拠はない。このような事実関係の下では、同病院の指揮命令下にあったとは認められない。したがって宅直勤務の時間は、割増貸金を請求できる労働時間とはいえない。
この判決部分は少々話題になっているのですが、
- 宅直は医師が勝手に決めている
- 病院は宅直に対し業務命令も行なっておらず、内規も存在しない
- 医師が自主的に行なっているのだから病院の指揮下に無く拘束時間でもない
よって宅直は勤務と認められず、時間外手当は発生しないと言う論理展開です。判決で述べられている事は「そうとも取れる」とは言えます。ただかなり強引な印象はあります。労働者を拘束しているかどうかは、業務命令や内規などの表面的な部分と実態があります。判決は表面的な部分を重視し、実態をスルーした論理構成であると感じます。
産科医が人手不足を補うために自主的に宅直制を構築したのは事実としても、その体制がなければ奈良県立奈良病院の産婦人科医療は成立しなかったわけです。宅直は何のためにあるかと言えば、どうしてもの時への応援のためであり、なおかつその応援がなければ患者の診療ができないものになります。自主的とは言え、宅直時間中は奈良県立奈良病院のために拘束されているわけです。回数もMedical Tribune 2007年4月5日 (VOL.40 NO.14) p.45によれば、
提訴した2人の医師の場合,2年間の当直および宅直がそれぞれ155日と120日,158日と126日にのぼっている。
当直と宅直の配分が不明ですが、年間の1/3〜1/2程度の拘束を受けています。呼び出された頻度の情報が無いのですが、年間の手術・分娩回数から考えてかなりの頻度に及んでいると推測されます。こういう実態を考えると、これを実質的な病院による拘束と判断する余地も十分にあったと考えますが、二審があれば期待することにしましょう。
ところでなんですが、宅直について素朴な疑問があります。それほど忙しくない病院であれば、弾力運用により労基法41条3項による当直は可能です。忙しくとも昔に取得した労基法41条3項の宿直許可を盾に、安価に時間外勤務を行なわせているところはテンコモリあります。実態論議は今日は置いておくとして、この場合は建前上合法的に医師に当直を行なわせ、合法的な対価を支払っています。
一方で宅直は当然の事ながら労基法41条3項に該当しません。該当しませんは正確さを欠きますから、そういう宿日直許可を取っている病院は聞いた事がありません。それでもこの訴訟に示された通り、内規なり、届出なり、業務命令なり、何か病院からの指揮があれば勤務になる可能性があります。判決文はその事を明記し、今回は病院の指揮下でないから拘束時間でないとしています。逆に考えれば宅直も正規の勤務時間に含まれる可能性を十分に示したものと考えます。
宅直の実態も様々で、診療科の特性、病院の繁忙により常に呼び出される状態の宅直と、本当の意味での非常時にのみ稀に呼び出される宅直があります。ただどちらも今回の判決での条件を満たせば勤務である宅直になる可能性があります。多忙な宅直はさておき、暇な宅直であっても同じ勤務として扱われても不思議ありません。
労基法について語るのも最近怖いのですが、労基法の勤務時間は個人的に2つの時間に分類されると解釈しています。
- オンタイム
- 正規の勤務時間(時間外勤務を含む)
- 労基法41条3項に基づく当直時間
- オフタイム(休憩時間を含む)
オフタイムかそうでないかの違いは使用者の拘束があるかないかで判断され、拘束があれば勤務時間ないし当直時間として給与が支払われる形です。労働時間の分類が正規勤務時間と当直時間しかありませんから、宅直が勤務として認められれば自動的に正規の勤務時間になるような気がします。これについては何か通達と言うか、判例みたいなものがあり、別種の定義も出来たような気もするのですが、探せ出せないので保留にしておきます。
ただそうなると、余り呼び出されない病院の宅直であるなら、労基法41条3項の当直よりお手当は多くなることになります。多分4倍ぐらいになると思います。これはさすがにどうかと感じない事もありません。とは言え訴訟の場となると労基法で多用される弾力運用で「まあまあ」はさすがにあまり通用しなくなります。医師の労働実態と労基法の乖離は壮絶なもので、労基法なんてものが入るとすぐに大騒動になるだけでなく、病院の経営悪化に拍車をかけます。
そこで現実的な妥協案を考えろとよく御指摘を受けますが、ちょっと思いついた事があります。ここまで書けば気が付いた人も多いでしょうが、労基法と医師の労働実態を近づけるために、実質の夜勤である当直の勤務時間化は絶対必要と考えています。そういう意味で今回の判決は評価しています。もう一つの宅直問題ですが、これを労基法41条3項に基づく当直にすればどうであろうかと言うことです。
宅直が労基法41条3項に基づく当直勤務であれば、拘束しても合法的なります。賃金も正規の1/3ですから、実際に病院で勤務するのに較べて明らかな差が出ます。もちろん呼び出されて勤務すればこれは正規の時間外勤務ですから、時間外手当は支払われます。従来より病院の負担は増えるでしょうが、これぐらいは病院側も歩み寄って欲しいところです。つまり、
- 医療法16条の当直は勤務とする(労基法41条3項に適合するところは除く)
- 宅直は労基法41条3項に基づくものとする
病院当直が労基法41条3項で可能であり、なおかつ宅直が必要なところは、病院当直と宅直で「時間給の1/3以上」以上の枠内で差を設ければ良いかと考えます。「時間給の1/3以上」は「1/3しか払ってはいけない」でなく、「1/3以上支払いなさい」ですから、1/2でも2/3でも時間給そのものでも良いわけだからです。
この妥協案も労働時間の最低限の建前上の正当化だけで、本当はと言うか、本来は36協定に伴う時間外勤務の上限の問題とか、宅直に労基法41条3項の適用が可能かとか、宿日直許可が可能としても当直回数はどうなるなどの、労基法に則れば無理な話を弾力運用で押しきり、基本的に現状の労働時間を受け入れると言う大幅な譲歩をしたものです。ただそれでも、この程度の勤務医の待遇改善を行なう余力もないぐらい病院の経営体力は搾り取られていますから、こんな妥協案でさえ夢物語なのが今の医療の現状のように感じています。
煙突
興味深く拝見しております。
当直?医師は、その時間帯における病院の責任者(院長代理)に相当すると考えれば、当直医師からのオンコール要請は、病院長の命令と考えて良いと思うのですが・・・
それとも、何かある度に、深夜であろうと早朝であろうと、人手が必要になった時には、院長や事務長に電話して、応援医師を探してもらうと言うのも、順法闘争としては有りなのかとも思います。
テキサン
大阪の飲酒後の呼び出し問題も含め、今までグレイゾーンであった部分が今後は次々に白か黒に区別されていくのでしょう。
ただ産科にしろ外科にしろ、勤務や当直・宅直を組めるだけの頭数のいる病院などほとんど存在しないでしょうから、時間外の医療供給量が一気に低下しますね。
Yosyan先生の書かれたように、病院経営上も現行の点数制度ではさらに赤字になります。
救急告示病院の減少も加速するのでは。
でも個人的にはこれが正しい方向(地面が固まる前に豪雨が降っている状態)だと思います。
元外科医
宅直の制度化は反対です。「宅直廃止、一人で出来ない時間外医療は中止。」 が正しい。 当然2人必要な異常分娩の帝王切開などは他の医療機関への搬送となります。夜は一人しか居ないのですからやむを得ません。当然に夜間一人しかおけない病院が周産期センターなどと名乗ることは許されません。絶対的に戦力が足らないことを全国民に知らせるべきです。結果としてひとつの県からセンターが消えようとも仕方がありません。
これを医療崩壊というのなら既に崩壊していますね(笑)
勤務医
オンコールですか。そういえば前の病院にいた時、夏休みを取って海外に行ってた時に病棟からコールがあったことがありましたね〜。
つい指示を与えてしまいましたが、海外でも通じる携帯はもうやめようって思いました。
元ライダー
宅直に関して、この裁判の目的(労働環境の改善)を考えれば、このまま判決を確定させてしまうのも一考かと。
宅直はボランティアですから、用件を聞いて、自分が行かなければ当直医が困ると判断したら行けば良いし、そうでなければ「ゴメン、酒飲んじゃった」でよろしいかと。当直医だけで対処できない救急は、たらいを一回だけ回せば済むこと。
そういえば、管制塔病院構想ってありましたが、そうなると(以下略
>海外でも通じる携帯はもうやめようって思いました。
ケータイを持ってる限り、病棟に関しては365日24時間オンコールなんですよね。オンコールを時間外とか当直扱いすれば「(定期的?に)休日を与える」って使用者の義務を果たせなくなるんですよね。
卵の名無し
>そこで現実的な妥協案を考えろとよく御指摘を受けますが、ちょっと思いついた事があります。以下(ry
この案は由緒正しい三方一両損の大岡裁きであるように思えた。
もともと万機公論に決するというのは公が論争・争議に第三者として参加して現実的な妥協案を決めるということ。
そして妥協案を決定する際に三方のどれか一方だけが妥協案によって他方に比べて不均衡に著しく不利になるようなことがないように決めるのが「三方一両損」の妥協であって、「和をもって貴しとなす」とはほぼおなじ意味。
inoue04
医療機器のMRも宅直で働いてます。24時間オンコールです。装置が故障したり、突然必要になったら、すぐにスーツ姿のMRが病院に出動してきます。彼らって、待機時間の給与もらってるのでしょうか?
元外科医
葬儀屋さんも24時間オンコールです。彼らも、待機時間の給与もらってるのでしょうか?
Yosyan
個人的には「なあなあ」のローカル・ルールでの運用は嫌いではありません。オンコールにしろ、宅直にしろ厳密に労基法なりにあてはめれば、問題テンコモリになりますが、医療も含めてローカル・ルールとして触れないグレーゾーンだったと考えています。労基法は大きな決まりですが、運用として絶対の規則になってはいません。この事はよく学習しました。
要は使用者が労働者に対してローカル・ルールで不満を持たせないようにする事だと考えています。労働者が不満を持ってしまえば、滋賀でも奈良でもローカル・ルールよりも本則の労基法がお出ましになり、杓子定規の解釈となり大騒ぎになります。これは単に使用者が労基法を守らない事が問題だけなのではなく、労働者が労基法を持ち出すような不満を抱かせた点と思っています。
京都の小児科医
言葉の定義ですが
この内規と指揮命令下との違いがよくわかりません。
本件は推測するに被告は奈良県のように思うのですが
指揮命令下とは
奈良県→県立病院→医師
内規とは
県立病院⇔医師
の意味のように思ったのですが内規=文章化されたものの必要でしょうかもしく奈良県立病院にはあるのでしょうか
>宅直勤務は奈良病院の内規にも定めはなく、宅直当番も産婦人科医師が決め、同病院には届け出ておらず、宿日直医師が宅直医師に連絡をとり応援要請しているものであって、同病院がこれを命じていたことを示す証拠はない。このような事実関係の下では、同病院の指揮命令下にあったとは認められない。したがって宅直勤務の時間は、割増貸金を請求できる労働時間とはいえない。
上記の中でわからないのは
1.>同病院には届け出ておらず、です。 宅直当番宅は、緊急の呼び出しのために、産婦人科病棟・救急などに事務・看護部に届けていること(本日の宅直は○○先生とか)が普通のように思ったのですが奈良県立病院では、本日の宅直は産婦人科医同士しか誰も知らない
状況だったのでしょうか
2.奈良県立病院は宅直料は本当に無料だったのでしょうか。給料明細に宅直料の記載はないとのことでしょうか
奈良県立病院病院長(管理者?)+奈良県は県立病院で産婦人科医が宅直していたことを知らなかったと理解していいでしょうか
また、空気の読めない発言だったらすいません。
元拘置所勤務
私は、短期間ながら、医師としての拘置所勤務経験があります。いわゆる国家公務員です。
あの〜、「オンコールしろ」と言われました。私はやりたくなかたんですけど、命令ですから従いました。ええ、その命令は「口頭」で。きちんと文書でいただいた記憶はありません。もしかしたら、私の知らないところで、すでにきちんと明文化されていて、「読んでないおめーが悪いだけ」状態なのかもしれませんが。
オンコールの日は、宅直の看護師から、定期の電話が入るわけです。あとは、緊急連絡対応。数回は、夜中や未明に車を走らせました。その労働分を「割り増し賃金」としていただいた記憶もありません。だって、その呼ばれて仕事をした時間を何にも記録してませんもの。だから、役所的には、働いていないことになっているはずですから。
ある年の元旦は、そのオンコールのためだけに、帰省をしなかたったということもあります。
今回の、宅直は医師の勝手という判決から、当事の自分の「法の疎さ=脇の甘さ」を思い出したしだいです。
卵の名無し
>装置が故障したり、突然必要になったら、
普通外して代替の処置を医師が施しますが?すぐに直さないと速やかに人命が失われるのですか?MRがすぐに駆けつけたら即座に故障が直せて人命の危険が速やかに去るのでしょうか?MRの宅直ってそんなに重大な人命への責任を負わされてるなんて今までちーとも知らなかった。
>葬儀屋さんも24時間オンコール
ネタですね。面白いけどw
Anybody
元拘置所勤務様
失礼ですが、勤務されたというのは、ひょっとして東京拘置所では?オンコール体制まで敷いているのは東京拘置所だけだと思うんですが。
汚職政治家のために無給の宅直って、何それって感じですよね?
卵の名無し
医療機器のサービスの方は私企業のメンバーですから
・競争にさらされている
・人件費原価を顧客に転嫁可能
・法的にブラックなことをすると制裁が待っている(最悪倒産)
・契約にないサービスを要求された際、供給できなくても訴訟はない(最悪倒産)
わけですが、奈良県立病院の場合
・医療機関の運営には厳しい許認可あり(病床数とか)、半独占〜寡占状態
・コストは公定価格
・法的にブラックなことをしても放置されてきた
・契約になくても要求されるサービスを供給できない場合最悪刑事訴訟・タイーホ
素人だから文言的にはアレですが、いわゆるナントカの上方硬直性だか下方硬直性だかが働くか働かないかの違いがある(あった)のではないでしょうか
それとも
労働時間、休日と休憩の適用除外(労働基準法第41条)
次の者には、労働時間、休日並びに休憩に関する規定は適用されません。
(略)
事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者(役職者すべてではありません)又は機密の事務を取り扱う者
監視又は断続的労働に従事する者(守衛、寮等の管理人・料理人等、または宿日直)で、使用者が所轄労働基準監督署長の許可を受けたもの
の断続的労働に当たるのかな?
元拘置所勤務
Anybody 様
まあ、似たようなものです。ご推察を。
あと追加と訂正。
<追加>オンコールを命令されたのは、医師の上司ではありませんので、医師同士の自主的なものではありませんでした。
<訂正> 宅直の看護師 → 宿直の看護師 と訂正します
Anybody
元拘置所勤務様
お疲れ様でした。
刑事施設はひどい医師不足だそうですが、それでなくても不人気なのに、オンコールなんていってたら、誰も来ませんよね。
法務省管轄なんだから、せめて法律は守って欲しいものです。
Yosyan
京都の小児科医様
判決文は要旨しかわからないので後は推測になるので、その点はよろしく。
>本日の宅直は産婦人科医同士しか誰も知らない
>状況だったのでしょうか
原告の医師側は「そんな事はないはず」と主張したと考えられますが、被告の病院側(県側)は「知らぬ存ぜず」で反論し、裁判官の心証が被告側に傾いたと考えています。
>奈良県立病院は宅直料は本当に無料だったのでしょうか。
>給料明細に宅直料の記載はないとのことでしょうか
これも裁判まで起しているのですから、宅直料は無かったと考えて良いかと思います。給与明細上の事も確認した上でのものと考えるのが妥当です。
裁判要旨には当直料の件にも、宅直料の件にも「指令指揮下」の言葉があり、推測としてこの言葉が医師の拘束時間の定義として争われていたんじゃないかと考えています。
元外科医
でもこの判決確定後、十分カネもらった医師が退職するか宅直をボイコットすれば即崩壊ですね。 慰留のためには宅直手当を支給するしかないでしょうなw
sskm
>宅直問題ですが、これを労基法41条3項に基づく当直にすればどうであろうかと
いくつかの大学病院ですでに実行されてます。法人化を機に全科当直制度を手続き的にやめ(実態は今まで通り)、救急部当直以外は自宅待機。呼ばれて処置対応をすれば、重症度に合わせて申告できる?とか。2万円の当直料が40%offされ、病棟患者が心配であれば当直室を使用してもよいが、病院としては命令しない。通勤時間が短い田舎ならではのシステムでした。
インドア派
いつも興味深く拝読しております。勤務医で違法当直の常習犯です。
少し本題とはズレますが、当直中に警察から検死の依頼があります(義務ではありませんが)。院長命令もなく院外で検死することは「当直中の労働時間」とはみなされるのでしょうか?「医師が勝手にやっている」ことになりませんか。当直医が院外に出ている間は本来の業務を果たせない訳で、こっちの方が問題と考えています。
もっとも、ただでさえ忙しい当直中に、他の医師の迷惑にもなることなので、私は全面的に断っていますが・・・・待機も含めて全て時間外労働としても、検死まで応需する義務はないと考えています。もし警察から報酬が支払われようもんなら兼業として問題になるのでしょうね。
京都の小児科医
Yosyan様
>奈良県立病院は宅直料は本当に無料だったのでしょうか。
>給料明細に宅直料の記載はないとのことでしょうか
>これも裁判まで起しているのですから、宅直料は無かったと考えて良いかと思います。給与明細上の事も確認した上でのものと考えるのが妥当です。
m3のコメントを読んでみると別件で、宅直料についても争っているとの記載がありました。 詳細は不明です。了解しました。
京都の小児科医
一方の当事者の奈良県健康安全局の武末文男局長ですが
皆さんご存知かもしれませんが公開情報では
(武末文男をGoogleに入れていただくと)
https://academy.meiji.jp/shop/commodity_param/ctc/+/shc/0/cmc/07120001/backURL/+shop+main
武末 文男 (タケスエ フミオ) 奈良県福祉部健康安全局次長 地域医療連携課長
1965年福岡県生まれ。小学生の時に、ブラックジャックに憧れて医師となることを決意。へき地医療に従事することを念頭に外科学講座に入局。その際、日本で初めての死体肝移植を医療従事者として体験する。念願の離島医療に従事するも、自分自身の医学知識、診察能力の限界を感じて、再度修練のために大学病院に戻り、消化器外科および化学療法を中心とした緩和治療など末期癌患者の治療に従事。その際、日本の医療制度について関心を持ち厚生省に入省。現在は、地域医療改革のため奈良県に赴任する。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/2f/dl/index-d_0007.pdf
武末先生の御略歴をご紹介させていただきます。武末先生は1965 年に福岡でお生まれになり、1992 年に九州大学医学部をご卒業になられて、外科の教室で臨床を
熱心にやられたと伺っております。厚生労働省に入省されたのは2000 年12 月ということでございます。最初に医政局にて医療の情報化、遠隔医療を根拠に基づく医療の診療ガイドラインの推進等のお仕事をされまして、医薬食品局に移る前、2004 年の1月には労働基準局にて産業保健、産業医制度を担当されたと伺っております。
ちょうどこの輸血管理料が認められてスタートした昨年2006 年4月に、現職の血液対策課
の課長補佐になられています。臨床の現場に精通されて臨床医の感じがよくわかる、感覚がわかるということで、非常に説得力のある議論がなされるのではないかと思います。
http://shyosei.cocolog-nifty.com/shyoseilog/2008/12/4--39-3546.html
武末文男氏は厚生省の役人にして薬学博士、今は奈良県で働いているということだった。氏のお話は小中高大学の体験談だったが、「私小説」を読む楽しみを味わうことになった。氏は、落ちこぼれそうになるたびに這い上がってきたという体験の持ち主で、「好きなことしていればよい」「落ちこぼれる人は教育が助ける必要がない」というお考えのようだった。
です。
ドロッポ君
携帯電話が普及する前に件の病院に勤務してましたが、宅直に当たると
ポケットベルを持たされて帰宅したものでした。
たしか予備のポケットベルは守衛のおっちゃんが持ってましたし
まさか医者が自腹を切っていたことは無かっただろうし
あのポケットベルは病院と電電公社(笑)が契約してたんでしょう。
宅直(オンコールと呼ばれることが多かったように記憶します。)の
存在を病院側が知らなかったことはないはずです。
もっともポケットベル消滅後は知らぬ存ぜぬも通用するかもしれませんね。
それから当時の給与明細はひょっとしたら残ってるかもしれません
まず間違いなく宅直料なんて無かったと思いますがそのうち調べてみます。
今晩は(当直と呼ばれている)夜勤なので、調べられません。
(最近の勤務医師不足はすさまじいですね。ドロッポを名乗ってますが
頼みを断りきれずに寝当直をします。)
ssd666
葬儀屋さんネタで今週の週刊文春で面白いのがありました。
なんでも東京の死代^H^H私大で、アメリカに移植のために一歳児を搬送する病院救急車の運転手が、葬儀社の会社員だったそうで(wwww。
326
とりあえず、
「医者が勝手にやっていた」というのであれば、
業務内容的に1人で行えるものでないので、
たとえ、内規がなかったといっても
黙示の業務命令があったと主張してみればいいんでないか
と、言ってみるテスト。
TOM
宅タ直に関する裁判所の判断は「まぁ、そうなるだろうな」というものかと思います(納得できるかという話でなく、法理的に)。
しかしね、病院側が「医者が勝手にやっていた」と主張し、だからその賃金も払わないとするなら、その時間に治療された患者の診療報酬を病院として受け取ることはまずいよね。病院はその患者の診療をする意図は全くなかったわけですから。これは横領に近い不法な利益であり、社会正義に照らして直ちに返還するべきです。
また、病院にはいろいろな薬剤・器材があります。これらはひとつ間違えれば患者に死をもたらす危険なものばかりです。病院はそんな危険なものを「勝手に院内に侵入して勝手に患者に使用した」医師を罰さないのでしょうか。いやそもそも、勝手に来た人が自由に使える体制にしてあること自体問題があります。病院は管理責任を厳しく問われて然るべきでしょう。
って言われたらどうしようとか、考えないのかしら。経営者目線で言えばこんな事で敵対せず、少し投資してでも産科医を「確保」したほうがずっと経営資源的にいいと思うのにな。
卵の名無し
>経営者目線で言えばこんな事で敵対せず、少し投資してでも産科医を「確保」したほうがずっと経営資源的にいいと思うのにな。
そこで例の妙手ですねwお愛育さまならまだ間に合うかもよwww>厚労省通達文書
京都の小児科医
私の感覚では、武末文男局長の御略歴から、控訴については 奈良県として「判決を詳細に把握した上で判断したい」ではなく 厚生労働省として「判決を詳細に把握した上で判断したい」と思いました。
http://www.sankei-kansai.com/2009/04/23/20090423-009028.php
判決を受けて会見した奈良県健康安全局の武末文男局長は、「日本の医療制度のあり方が問われているものと判決を重く受け止めている」とする一方、待機時間にも割増賃金が発生するという点については「予想していなかった」と話した。控訴については「判決を詳細に把握した上で判断したい」とした。
Yosyan
京都の小児科医様
訴訟の展開がどうなったかは推測するしかありませんが、裁判の趣旨からして「待機時間」とはなんぞやの論戦があったかと思います。訴訟の場ですから、当然ですが労基法から見て「待機時間とはどういう労働になるか」の論戦です。短い裁判要旨からすべてを読み取るのは難しいのですが、読みようによっては内規とか、届出とか、命令の条件をあげて「いずれもないから自主的」の判断とも感じます。
どうもなんですが、内規とか、届出とか、命令によって指揮命令下を示す材料があれば、これは割増賃金が生じる時間外労働である事を示唆しているとも考えられます。つまりたまたま奈良県立奈良病院は満たす条件が一つもなかったので認定されなかったと言う事です。
ここで内規とか、届出とか、命令ですが、裁判要旨を読む限り、全部そろわなければならないものではなく、どれかがそろえば条件として満たすとも読めます。ごく素直に労基法を解釈すればそうなりますし、訴訟の場ですからごく素直に解釈する事になるかと思います。そう考えると、この訴訟は病院側にとって起させてはならなかった訴訟なのかもしれません。
元外科医
パンドラの箱開けちゃったねw
個人的には、なあなあの談合、根回し、黙認のムラ社会が性に合わないので法の支配のほうが
良いと思います。雇用契約、労働条件は100%文書化して貰いましょう。不動産取引や生命保険加入のように重要事項とか説明するようになるんだねw
法務業の末席
Yosyan 先生
奈良地裁の判決は、判決文全部を入手して検討できていませんので、断定的なことを言うことは避けますが、報道やこのエントリを読んでの感想を一つ。
報道された内容や判決要旨を読む限り「オンコール宅直」を労働時間として認めなかったのは、あくまでも奈良病院の事例を裁判所が事実認定した結果であり、訴訟での立証不足による奈良病院に限った個別のことでしょう。この判決によってオンコール宅直は労働時間ではないと、一般的な司法の判断が下されたのではなく、むしろ逆にオンコール宅直が「使用者の指揮命令」の下に置かれた状態であれば明確に労働時間にあたることがハッキリと示されたと評価すべきと思いま。ただ残念なことは、奈良病院での原告医師が法廷に提出した証拠を検討する限り、指揮命令下でははなかったと奈良地裁に認定されたと思われることです。
とにかく過去の多くの労働裁判などを通じて、指揮命令下とは何かということは判例が確定しており、その判例の示す事例がオンコール宅直体制を取るべしと定めた内規とか、医師が自主的に作成した宅直当番表を病院上司に届出て承認されているとか、宅直当番に就けと上司より指示(業務上の命令)が為されたとか、明示の命令でも黙示の命令でも何でも良いということです。ですから「指揮命令」と解釈できる「何かのもの」が医師側から立証することに成功すれば、裁判所は労基法の解釈上オンコール宅直も労基法の労働時間であり、賃金支払の義務を認めることになります。
上司なりが「今日はオマエが宅直だよ」と指示があったことを、鉛筆書きのメモでも良いから書いて貰っておけば、それだけでも証拠価値がう〜んと違います。また自主的に作成したローテーション表の片隅に、院長や診療科の責任者などから検印のミトメ印だけでも捺して貰っておけば、それが黙示の指揮命令の証拠になる可能性が高くなります。そうした今後の戦い方がハッキリしたことが今回の裁判の一番の成果でしょう。
Yosyan
法務業の末席様
御指摘の点については、明日もう一度エントリーであげますから、御笑覧ください。
卵の名無し
>すぐに直さないと速やかに人命が失われるのですか?MRがすぐに駆けつけたら即座に故障が直せて人命の危険が速やかに去るのでしょうか?MRの宅直ってそんなに重大な人命への責任を負わされてるなんて今までちーとも知らなかった。
↑議論のスジが読めないバカですね
>葬儀屋さんネタで今週の週刊文春で面白いのがありました。
どこが面白いのか全くわかりませんが
こんた
オンコールってのは、病棟や救外、電話交換に知らしめるために予定表を作っていると思うのですが..
確かにオンコールの予定は部長が決めますが、オンコール表は当直表と同様に、事務が作成しています。
事務が作成したオンコール表というのは、法務業の末席様の仰る
>病院上司に届出て承認
に相当するのでしょうか?
こんた
読み返すと文章が解りにくい
確かにオンコールの予定は部長が決めますが、オンコール表は当直表と同様に、事務が作成しています。
ーー> 部長が決めたオンコール予定を事務が各科分とりまとめて、一覧表にして、各部署に配布するという意味です
卵の名無し
>>葬儀屋さんネタで今週の週刊文春で面白いのがありました。
> どこが面白いのか全くわかりませんが
↑議論のスジが読めないバカですね
京都の小児科医
法務業の末席様の下記のご指摘はわかりますが。。。
>上司なりが「今日はオマエが宅直だよ」と指示があったことを、鉛筆書きのメモでも良いから書いて貰っておけば、それだけでも証拠価値がう〜んと違います。また自主的に作成したローテーション表の片隅に、院長や診療科の責任者などから検印のミトメ印だけでも捺して貰っておけば、それが黙示の指揮命令の証拠になる可能性が高くなります。そうした今後の戦い方がハッキリしたことが今回の裁判の一番の成果でしょう。
こんた様のご指摘の表が病院の一般的な形式のように思います。ただ、奈良県立病院が
どうかは不明です。
>確かにオンコールの予定は部長が決めますが、オンコール表は当直表と同様に、事務が作成しています。
ーー> 部長が決めたオンコール予定を事務が各科分とりまとめて、一覧表にして、各部署に配布するという意味です
法務業の末席
Yosyan 先生
>御指摘の点については、明日もう一度エントリーであげますから、御笑覧ください。
それは楽しみです。
何せこの裁判では、原告側と被告側がどのような主張を出して争ったのか今一つハッキリせず、断定的なコメントを差し控えざるを得ないので、フラストレーションが溜まってます。
判決文の全文なりもっと確かな情報が入手できれば、更に踏み込んだ検討が出来るのですが・・・期待しております。
勤務医
要するに、客観的に業務命令と認める証拠が無かっただけで、有ればそれもお仕事な訳ですね。
たしか、何処かの病院ではすでにオンコール待機料金を出しているようですが、そんな容易い事では済まされなさそうです。
どこの病院でもオンコール表なんて救急室や医局に貼ってあるわけで、それが現在そして過去にさかのぼって存在したことぐら100人以上の証人がいると思いますが。
大学
皆さんのお聞きしたいのですが、今現在進行形で、それこそ大学では名ばかり宿直当直・無料オンコール(かけつけ)・時間外不払いや・・・・非常勤医者が夜遅くまでタダで働いて言います。夜間駆けつけの交通費さえ自費です。時間外を記入する用紙さえみたことも有りませんし、聞いても事務は「前例なし」でとぼけています。年休がいくらあって、夏期特別有給がなんてどころでは有りません。大学院生の無料診療に、関係病院の医者に依頼する無料大学外来。こういう事はこれからどうなってゆくのでしょうか。
裁判で前例として決まりが出来たら、順次変わってゆくことなのでしょうか。
やはり誰か自爆テロの如く玉砕覚悟で労基や訴訟をしなければ変わらないのでしょうか。
DrGIANNI
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090424-00000215-jij-soci
まあしかし、看護協会のパワーは我々医師とは違いますな
医師会も少しは見習って欲しいもんです
いや、勤務医協会だっけか
京都の小児科医
大学様
>裁判で前例として決まりが出来たら、順次変わってゆくことなのでしょうか。
やはり誰か自爆テロの如く玉砕覚悟で労基や訴訟をしなければ変わらないのでしょうか。
たぶん、同じ感覚と思いますが変わりにくいと思います。たしか、本件も最初は5名が要望書を出して無視され、そのうち2名の方が訴訟を起こされたと書いてあったように思いますがどうでしょうか 2名の方はすごい方々です。
2名の先生方の背景はよくわかりませんが、医療崩壊の聖地:奈良ですから現地及び、全国的にも追い風があるとも思います。
いくつか延べましたが、ネット情報から判断してうたれづよい武末文男氏を奈良県健康安全局にもってこられたのは厚生労働省の長期戦略のように思うのですが、真相は不明です。
普通に考えて、無休の非常勤医師の医療事故の問題や、非常勤医師の過労死、さらに(奈良病院でもそうでしょうが)オンコールのときに呼びだされた場合の交通事故はどうなるのかなどどうでしょうか
文部省医学教育課が作られた大学病院概況でも非常勤の項目はありません。https://center.umin.ac.jp/cgi-open-bin/gaikyou/index.cgi
大学病院が本当はどうやって維持されているかは関係者以外はわかりづらい状況と思います。
inoue04
労働基準監督署に告発したり、訴訟を起こす前に、教職員組合に話を持ち込むという手があります。
大学病院なら、必ず組合があります。
2009-04-23 財務省指数による医師の偏在の是正
地方で不足、医師数格差4・6倍 財務省、診療報酬見直しも
財務省は21日、都道府県ごとの医師数について、人口と面積を基準に算出した独自の指数を公表した。指数が最大で医師数が相対的に最も多い東京都と、最小の茨城県とでは4・6倍の格差があった。地方で医師不足が深刻な一方、都市部に集中しがちな実態が浮かび上がった。
財務省は、医師が不足しがちな地域への診療報酬を手厚く配分することで偏在を是正する見直し策を検討。与野党で高まる医療費総額の増額要求をかわす狙いもありそうだ。年末に予定している診療報酬改定に向けて厚生労働省などとの議論を本格化させる。
財務省がこの日開かれた財政制度等審議会に提示した試算は、2006年度の都道府県ごとの医師数を全国平均を1として指数化。単なる人口比に比べ病院への距離なども反映されるため、利用者の実感により近い指数とみている。
それによると、最大の東京は3・19で、続いて大阪2・43、神奈川1・53、福岡1・45、京都1・33と大都市を抱える都道府県が上位に並ぶ。一方、指数が低いのは茨城0・70、岩手0・74、青森0・74、新潟0・76、福島0・76などだった。
へき地の医師不在に加え、産婦人科や小児科などの医師不足が深刻化しているものの、全国の医師数は06年度までの10年間で14・4%増加。地域格差だけでなく、診療科別でも精神科や泌尿器科など医師が比較的多い分野でさらに増える傾向があり、医師の偏在が拡大している可能性がある。財務省は診療科ごとに開業できる枠を設ける案も検討する方針だ。
必要な医師数の試算に人口要素だけではなく地理的要素を加える事は間違っていません。地図上の同じ面積の同じ人口でも、地理的に交通不便で二分されたら、同じ人口であっても必要医師数は変わります。人口的には必要医師数が1人であっても、地理的に2人必要になるみたいな感じです。離島医療を思い浮かべると良いかもしれません。
ただし地理的要因と面積的要因はイコールではありません。同じ距離であっても交通機関の整備状況により同じではないからです。地理的要因を考慮する事は重要ですが、これを試算に加える時はそれこそきめ細かい配慮が必要になります。地理的要因を考慮せずに面積的要因のみで必要医師数を計算するのは机上の空論の可能性が高くなります。
この財務省の
人口と面積を基準に算出した独自の指数
これがどれほど地理的要因を考慮したものかですが、記事にある財務省が財政制度等審議会に提示した資料が医療提供体制の再構築のようです。
ここに計算法が書いてあります。
(注)都道府県ごとの医師数について、面積当たり及び人口当たりで、それぞれ全国平均を1として指数化。これを人口:面積を9:1に配分し、上位(医師数が相対的に多い)の都道府県から順に並べたもの
これを読む限り指数の計算法は、
- 日本の医師数を面積で割ったものと人口で割ったものを出す(全国値)
- 各都道府県の同様の計算を全国値で割り、指数化する
- 人口の指数と面積の指数を9:1の割合で足し算し財務省指数とする
どうやらこういう手法で導き出されたようです。データは2006年度なっているので、これを検算しようとしたんですが、私の計算が悪いのかどうしても財務省資料と合いません。偏在トップの東京と最下位の茨城の基礎データと私の計算結果を示しておきます。
都道府県 | 面積 | 人口 | 医師数 | 人口指数 | 面積指数 | 財務省指数 |
全国 | 377923.14 | 127788743 | 263540 | * | * | * |
東京 | 2187.42 | 12658633 | 33640 | 1.29 | 22.05 | 3.37 |
茨城 | 6095.69 | 2971798 | 4359 | 0.71 | 1.03 | 0.74 |
微妙に食い違うのですが、お時間のある方は検算とデータの確認をお願いします。計算が食い違うのは気色悪いのですが、この計算の上で財務省の偏在の是正をやってみました。そうすると東京都が10000人、茨城が5950人で財務省指数が1.0になります。その結果人口10万対の医師数がどう変化するかと言えば、
都道府県 | 財務省是正前 | 財務省是正後 |
全国 | 206.2 | 206.2 |
東京 | 265.7 | 79.0 |
茨城 | 146.7 | 196.9 |
茨城の増加数は全国平均に近づくので妥当かとも思いますが、東京は現在の3割程度の医師数の79.0人になります。ちょっと少なすぎる様な気がするのですが、如何なものでしょうか。それでも東京の医師数が現在の1/3以下になる事が財務省の医師の偏在の是正になります。ついでのシミュレーションですが、医師数が40万人となった時にはどうなるかも試算してみました。人口は2006年度のままで、人口10万人あたりの医師数です。
-
全国:313.0人
東京:119.3人
茨城:299.5人
どうも財務省の偏在是正では東京の医師数が現在の水準に戻る事は二度と無さそうです。現在の半分になるのも遠い夢のように考えられます。それでも、
単なる人口比に比べ病院への距離なども反映されるため、利用者の実感により近い指数とみている。
利用者の実感に近い現実的な偏在の是正だそうです。指数の設定に無理がありそうな気が個人的にはするのですが、
年末に予定している診療報酬改定に向けて厚生労働省などとの議論を本格化させる。
予算を握る財務省の主張ですから、今後はこの財務省指数による「医師の偏在の是正」が大きな比重を占めてくるかと考えられます。とりあえず東京都民の皆様並びに東京都の勤務医の皆様、御愁傷様です。
通りすがり
素人の単純な疑問なのですが、東京などは医学部や医大も多く必然的に
医師数も多いと思うのですけれど、その方たちは臨床医も勿論いらっしゃるでしょうが
研究や教育に携わってる方も多いと思われます。そういう方たちを根こそぎ地方の僻地に
飛ばすんでしょうか?住居・移動の自由など基本的人権を無視して?
更に、何科の医者がどれだけ必要で不足数がどれほどかも分からずに数合わせしても
無理なんじゃないでしょうか。
通りすがり
http://www.mhlw.go.jp/general/sosiki/kanbu.html
厚生労働省の医政局医事課長は栗山雅秀氏から杉野剛氏にかわっているようですね。
財務省主計局の名簿は17年のしか見当たらないと思ったら、あれか、physicalに刺されたからですか
しろふくろう
絶対数が不足した状態で、その平均を基準値=1として指数化して何を議論するのでしょうか。まず基準値=1の医師数が地域に十分な医療を提供するのに必要最低数であるという前提がなければ各地域の指数を1に近づけたところで均等に医師不足にするに過ぎません。
承知の上でなんでしょうが、もし本気でこれで医師不足が解消すると考えていたとしたら財務官僚というのは真性の○○ですね。
元外科医
以前にYosyan先生が言われていたような均等に医師不足にしたいのでしょうね。財務官僚は馬鹿ではありません。医療を知らないだけでしょう(笑)
Med_Law
衆議院の一票の格差問題だと、3倍以下は違憲とみなされてないようです。
人口指数でみる京都(1.25)と埼玉(0.62)の格差は2倍程度。
埼玉県知事は、面積あたりの比較上位を主張していますから、埼玉県人には地元で医療を支える気概はないのでしょうね。
支える現場の人にはご愁傷さまとしか言いようがありません。
ただ注目すべきなのは埼玉・茨城・千葉が飛びぬけていることで、統計的バランスを取るために異常値を省くと、格差は1.5倍程度に縮まります。
面積指数が本当に役に立つのかは、沖縄県のような孤島続きのところで、面積指数が医師指数の足を引っ張っていることにも現れています。
統計であらわされる数字には嘘はなくても、嘘をつきたい人が使えば事実隠蔽に使えます。
情報を提供している出所の意図を考えて、対抗しないといけません。
反論するのには、一次情報の取り上げが必要ですが、マスコミには理解能力も無ければ、情報伝達の責任感も欠如してます。
こんな数字を財務省が出してくること事態が、厚労省の面汚しにしか映りません。
財務省なら、均てん化(最低部分の底上げ)でなく、均一化を企図するでしょうね。
risyu
>財務省は診療科ごとに開業できる枠を設ける案も検討する方針だ。
憲法違反ですよね?
京都の小児科医
>財務省は診療科ごとに開業できる枠を設ける案
これはどういった法律で可能なのでしょうか
それともアドバルーンを上げて様子をみているのでしょうか
気になりました。
長崎の医者
わが長崎県は、番付では7位指数1.18です。しかし、県の面積の4割が離島で、有人の島だけで60近くあったはずです。
働いてる実感では、とても医師が多いとは思えないんですが・・・・
都会の状況は分かりませんが、地方の状況は、とても素直に反映しているとは思えませんがね〜
Anybody
埼玉県は東京近郊のベッドタウンで、人口構成が若い世代にかなり偏っています。病院にかかるのは年寄りが圧倒的に多いですから、あまり不足感はないんじゃないですかね。
人口比で考えるなら、老齢人口で割った方がいいですよ。
卵の名無し
エクセルに入力して軽く散布図を描かせてみた。当然ですがいずれも明らかに(正規性の検定をするまでもなく)正規分布をしていないので、平均値を用いた解釈には慎重さが要求されます。
・面積あたりの分布はきわめて少数のケースで突出して高い数値を示すものがある。
(血清中性脂肪などに近いw)
・人口当たりの医師数は上位から下位までほぼ直線状に(←意味ない)まんべんなく分布している
・しかし、下位3県(千葉・茨城・埼玉)はその直線より下方に見た目明らかに位置しており悲惨さが偲ばれる。
卵の名無し
>財務省は診療科ごとに開業できる枠を設ける案も検討する方針だ。
財務省が出来るのなら厚労省はもう不要ですねw
Anybody
診療科ごとの開業規制は当然、憲法の職業選択の自由、営業の自由に抵触しますが、だからできっこないという考えは大甘ですよ。
公共の福祉を持ち出して、そういう制限もやむを得ないと、何でも合憲にしちゃうのが、お上のやり口ですから。
結局、この流れを止めるのは医師が一致団結して実力行使する他はないんじゃないでしょうか。
元ライダー
そもそも人口:面積配分がなぜ9:1なのか(1:1とか99:1ではなく)根拠が示されていないので無意味な指数ですな。
いやあ、それにしても『医療提供体制の再構築』のほかのページも見ましたが、情報をこんなにも捻じ曲げることができるという大本営発表の見本のような資料ですね。
>憲法違反ですよね?
保険医療機関の指定要件を操作すれば可能ですよ。
「新規指定は他の医療機関と10km以上離れていること」とか。
まあ、そんなことをしたら20年程前に病床規制をした時、駆け込み病院開業が起こったように、駆け込み診療所開業が発生して急激な勤務医不足を招くのは歴史の教訓。
>それともアドバルーンを上げて様子をみているのでしょうか
ここ2,3年、役所の出す資料は「よくもまあ」と思うほど稚拙なものが多い印象です。
燃料投下して楽しむための資料としてなら合格点ですがね。
tadano-ry
国勢調査で毎回DID(人口集中地区)の面積が出されます。人口密度5000人以上の地域というのが定義で、いわゆる市街地の定義とされています。これとは別に人口密度3000人以上5000人未満の地区を準人口集中地域(SDID)と読んでいます。統計で飯を食っている者なら一応知っています。とりあえずDIDについては統計が出ていて
全国 12,560.6
東京都 1,069.7
茨城県 232.8
ですので、これを元に面積指数を出しますと
東京都 1.50
茨城県 0.89
となります。ただ人口密度5000人以上というのは地方にとっては相当シビアな条件で、茨城県の場合全面積の3.8%しかありません。東京でも48%です。そこでSDIDも含めて計算しようとしたのですがネット上ではどこを探してもSDIDの都道府県別面積の統計がありません。資料の存在は知っていまして、県立図書館に問い合わせたらあるとのことだったので暇があれば行ってきます。
ただ原野も山林や田畑も全部勘定に入れてしまうよりは、DIDのみの方がまだ実情を反映していると思いますがどうでしょうか。
X
こんな指数の是正は簡単な話ですよ。
限界集落、限界自治体住民を最寄の大都市に強制移住させれば済む話です。
都市の医師を地方に追いやるのではなく、地方の住民の方を減らせば、一人当たり医師数は適正になります。
もう、そろそろ誰かはっきり言わないと。過疎地域のうち、住民が閉鎖的で新参者の居心地が悪く、税金無駄食い大赤字の所は維持不可能だから切り捨てます、日本は低成長・マイナス成長時代に入ってるのだから、養う余裕はありません、と。
Yosyan
tadano-ry様
おそらく私が行なった計算と財務省の計算が異なっているのは、面積の計算基準が違うためであろうと考えています。どこかの記事に財務省指数は交付金の基準云々の記載がありましたから、単純な面積比ではないとは考えています。ただ医師の開業制限云々まで影響する指数であるなら、計算根拠を明らかにすべきと思います。計算過程はブラックボックスで「結果のみを信じよ」は少々困ります。
もう一つなんですが、新たな指数を示して「偏在を是正する」は構わないのですが、是正した結果が偏在の解消になっているかの検証が行なわれていたかに少々疑問を感じます。皆様御指摘の通り、単に大都市部の都道府県に「医者が余っている」を強調し、それさえ解消すれば医師不足問題は解決するの目くらましに過ぎない様な気がしています。厚労省がデータとして出せなかった偏在の証拠を財務省が代わりに出したと言う寸法です。
ただ東京への極度の偏在を指数で表現はしましたが、「じゃ、それだけ偏在している東京の医療は充実しているのか」の疑問が今の時代ならすぐに出ます。極度に偏在しているはずの東京で不足していれば、偏在もクソも無くなってしまうのですが、そおまで考えてのものかは少々疑問です。
Bugsy
tadano-ry様のお話ももっともで 山林から原野もいっしょくたにして医師を配置せよと言いたいのですかね。島嶼部はどう考えればいいのでしょう?
>与野党で高まる医療費総額の増額要求をかわす狙いもありそうだ。
この記事は誤ってるかもしれません。医療費の総額じゃなくて あくまで国庫負担金でしょうか。
smania
医師不足は、感覚の問題ではなくて、実際に需要に比べて供給が圧倒的に少ないという問題ですから、「利用者の実感により近い」データを出す意味など皆無ですね。ましてやその感覚の差によって配置を是正するなどということは、馬鹿げたことです。(数学的な論理思考が得意な人間が、財務省等にほとんどいないことがこの国の悲劇かも)
まとめると
●各県を比較すれば、大した偏在も存在しない。(需要は人口にほぼ比例する)
●全ての県において医師は大いに不足している。
●財務省は、今までずっと情報操作で嘘をながしていた。
●過去の正当化と今後も同様のことを続けるために、今回も出鱈目なことをしたが、今回はあまりにもお粗末。恥ずかしいレベル。
●今回の件は、本田宏先生の講演のネタの一つとして使われることになりそうだ。
京都の小児科医
いずれにせよ
議論の流れから厚生労働省はいらないという結論でいいと思いますが。。。
(医師にとって)あるいは(国民にとって)なぜ厚生労働省が必要かが
わからないと思います。
厚生労働省の役人以外に厚生労働省が必要な方はおられるでしょうか
だたし、FDAなどのような機能をもった専門機関は必要とは思います。
Bugsy
そういえば この「医師数」の根拠はなんなんでしょうか。
例の 故人も医業から引退された高齢者も、子育てで休職中の女医さんや、保険所の所長、医官、基礎医学者もひっくるめた「医籍登録」なんですかねえ。
まさか森林太郎様や石井四郎中将殿までは入ってないでしょうがね。
卵の名無し
↑件の医籍登録は114歳(だっけ?)以上は入ってないから石井医師はともかく森医師は削除されるまでもなく最初から登録されてませんよ。。。
>そもそも人口:面積配分がなぜ9:1なのか
エクセルがあれば1:1も99:1も簡単にシミュレーションできますが。。。。
相乗平均をとったり対数ログをとって相加平均したりいくらでも数字を弄ぶよろし。>官僚諸氏&ウォッチャー
>埼玉県は東京近郊のベッドタウンで、人口構成が若い世代にかなり偏っています。病院にかかるのは年寄りが圧倒的に多いですから、あまり不足感はないんじゃないですかね。
今50歳の人口がもっとも多い地域が20年後もっとも70歳の人口が多い地域になるのは確定的に明らか。どうすんでしょ。
>絶対数が不足した状態で、その平均を基準値=1として指数化して何を議論するのでしょうか。まず基準値=1の医師数が地域に十分な医療を提供するのに必要最低数であるという前提がなければ各地域の指数を1に近づけたところで均等に医師不足にするに過ぎません。
まさに正論。しかし、また医師は足りており偏在しているに過ぎないとの従来の言説から導き出される展開としてはMIGOTOに合目的的であるともいえる。
prakarzt遙
まず結論ありきで、そうなるようにデータを出すということではないでしょうか?財務省なら、今の医療費総額から何人の医師が妥当かを
検討すべきでは? ちなみに、医師は不足しているとよく言われていますが、私の地域では、開業医は多いくらいと思っております。あくまでも足らないのは病院や一部の科ではないでしょうか?不足しているとか充足が必要という場合、一般の企業では、財政的に必要かどうか
が基準ではないでしょうか?赤字になれば新入社員を雇わないように、病院が赤字なら、医師は必要ないことになります。
tadano-ry
何をもって医師不足とするのかという問題ですが、厚労省も財務省も最近は専ら医師数と
いう供給面で考えているのが気になるところです。不足とはあくまで(需要)>>(供給)の状態を指すのです。
そう考えると人口辺りの医師数は一応需要(人口を一定にすれば一応需要は一定と考えて良い)と供給の両側面を考えています。Anybodyさまのご指摘のように老齢人口で補正する手もあります。経営的な面でいえば医療費が需要をある程度反映するので、たとえば医療費1億円辺りの医師数なども良い指標になると考えます(診療報酬の上下による補正は勿論必要です)。
そうやって考えると単位面積あたりの医師数というのは何を意味するか、とふと考えてしまいます。敢えて言うならアクセスビリティでしょうか。それならばせめて山林や原野や無人島は除かないと意味がないだろうと思い、 DID/SDIDという概念ならこの点がクリアできると考えたのです。厚労省が発表していた面積あたりの医師数には北方領土も含まれていましたからお笑いです(日本の領土ならもちろん入れなければ、という気持ちはわかりますが)。
二つの指数の重み付けの問題は難しい問題で、なぜ9:1かと言われても理論付けは難しいでしょう。統計学上このような処理をする場合は、処理して出来た指数が数学的に意味がある場合(たとえば比例関係になるとか、対数プロットしたら綺麗に直線上に並ぶとか、実際の検査値に符合するとか、きれいに正規分布するとか)に限られるのが暗黙の了解です。でなければ突っ込まれても答えようがありません。一体かの指数をどんな変数に対してプロットすればいいのか、私には見当も付きません。
そこで2つの指数が何らかの格差の程度を表現していると考え、格差の重みを補正すると考えれば、面積指数は約50倍の格差、人口指数は約2倍の格差がありますから、面積:人口=2:50の比にすれば両方の指数が表す格差を同等に評価できます(これでも怪しいですが強弁すれば一応統計学者は納得するでしょう)。
つまり財務省の指数は面積指数によって表現していると思われる格差(←実際にそんなものがあるかどうかは別の問題)を過大評価しすぎています。大都市圏は元々の人口密度が高いので面積指数が大きくなるのは当然なので、この指数は当然大都市圏で高い数値が出るようになっている点は指摘しておきます。
Yosyan
指数算出の参考にしたのは新型交付税の算定方法の様な気がします。
http://www.zaiseijoho.com/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E4%BA%A4%E4%BB%98%E7%A8%8E%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/07%E5%A0%B1%E9%81%93%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%95%EF%BC%88%E6%96%B0%E5%9E%8B%E4%BA%A4%E4%BB%98%E7%A8%8E%EF%BC%89.pdf
これによると新型交付税の算定方法は、
ax + by
こういう計算式で行われ、
a:12,390円(都道府県)、23,220円(市町村)
b:1,114,000円(都道府県)、2,357,000円(市町村)
c:人口規模のコスト差を反映した人口
d:土地利用形態のコスト差を反映した面積
これでもって計算されるとなっています。このうち面積の算定は、
都道府県
宅地:1.00 (固定資産価格等の概要調書)
耕地:2.87 (農林業センサス)
林野:0.60 (農林業センサス)
その他:0.59 (上記以外の国土地理院公表面積)
市町村
宅地:1.00 (固定資産価格等の概要調書)
田畑:0.90 (固定資産価格等の概要調書
森林:0.25 (農林業センサス)
その他:0.18 (上記以外の国土地理院公表面積)
こうなっていますから、何か新たな係数を導入して面積計算を行なったのかもしれません。ひょっとしてそのまま同じはありえます。ただ人口と面積の比率が9:1の根拠がわかりません。新型交付税はさすがに理論武装をテンコモリしていますが、医師偏在の財務省指数はブラックボックスの計算式から生み出された御託宣だけですからね。
元外科医
まるで旧ソ連の計画経済のよう。
公定価格での供給は保証されているが需要が多すぎていつも店には品物がない。
どんな国でも馬鹿な官僚が計画するとダメなんですね。とはいえ、日本の医療の場合、自由価格でないために消費者の視点でのみの対策を考えていれば、結局は供給者つまり医師がいなくなるとw
Yosyan
あきまへん、どうしても計算式が合いません。面積を一生懸命いじくっていましたが、良く考えれば人口の方も微妙に食い違います。年齢階級別に何か係数をかけているのでしょうか、サジを投げました。
通りすがり
ここまで、日本の医療を崩壊させた元凶は、財務省の医療費抑制策です。
自分達が、医療を崩壊させておいて、よくもこんな脳天気な戯言を言えるものですね。
やっぱり、日本の官僚は、ダメだと思いますね。
続通りすがり
医療費抑制策ではありません。
今のままなら、いくら診療報酬を上げても、需要>>供給 は変わりません。
例えば、乳幼児の夜間受診なら、診療報酬がいくら高くても、
実質的な自己負担はないですから。
固定価格を維持したいならアクセス制限を法律を使っても強固にかける。
制度上のフリーアクセスを維持したいなら、固定価格をあきらめる。
さすがに、フリーアクセスと固定価格を維持したまま
医療の質を劣化させろという意見は受け入れられないでしょう。
決めていただくのは、国民の皆様です。
卵の名無し
>医師は足りており偏在しているに過ぎないとの従来の言説から導き出される展開としてはMIGOTOに合目的的であるともいえる。
>従来の言説×→従来の妄想○
>合目的的×→合妄想的○
捏造された統計データには一片の価値も無いし、これが官僚の仕事ならまさに「泥棒国家」ですなw
moto-tclinic
すみません、エントリーと関係ないのですが、アナウンスさせて下さい。
明後日(25日)より、故中原先生支援ボールペン(ボールペン作戦第二弾)が始まります。
http://d.hatena.ne.jp/moto-ballpen/20090423
経緯はこちら。
http://d.hatena.ne.jp/moto-ballpen/20090401/1238512155
最近、こちらのブログのエントリーで、医師の労働環境問題が取り上げられることが多いですが、中原小児科医過労死問題は、遺族が病院に対して労働衛生管理義務違反を訴えていますので、民事訴訟ではありますが、広く医師あるいは医療従事者全体の法益がかかっていると思われます。
ていうか、判決次第では、一気に医師の労働環境問題進展すると考えます。(逆に敗訴確定したら、医師全体にとって逆風です)
志ある方々の御支援よろしくお願いいたしますm(_ _)m。
勤務医
給付を変えて、医者の少ない病院が医者を雇用するか、募集するかと言う側面も有ろうかと思います。現在、医者を配給して困るのは赤字の病院です。赤字相殺にまずは消えてゆくのでは?
勤務医
と言うことはまずは行うべき規制は、各病院に適切な人員の雇用(せめて公募の実績)を義務づける事ではないでしょうか。7:1看護の様に。
麻酔科医
麻酔科のバイトからいうと今、東京都内の麻酔科医は、飛行機にのって北海道までまでいっているようです。土日当直(麻酔科の)もやっていると聞きました。
茨城とか十分、都内の大学のバイト先だろうし、静岡も、新潟も新幹線の停まる駅のそばは都内の大学がバイトにいっている話を聞きます。
おそらく、財務省のいう東京都の突出している医師というのは、東京だけの医療をやっているわけではないはずです。で、東京都の田舎より多い分を平等に地方に配分したら、どうなるでしょう。おそらく、東京くらい、日本全国と行き来しやすいところはないはずですから、応援に行くための移動時間が増えて、かえって医療崩壊が進むでしょうね。
ya98
みなさん計算ご苦労様です。そんなところにこんな議論はなんですが、
財務省からこのような話しが、なぜいまの時期に漏れてきたかのかが問題でしょうね。マクロ経済から考えるとこんな記事が出てきます。
「20年度、輸出急減 28年ぶり貿易赤字7253億円」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090422-00000125-san-bus_all
資本収支も貿易収支も赤字。しかも家計の貯蓄率はここ最近ずっと下がり続けています。これでは国債を国内で消化できるかがかなり怪しくなってきます。国内の金融機関もすでにへろへろです。日本国債が国内で消化できないといった非常事態を財務省が想定し始めたのではないかと。
将来も含めての財政支出は福祉水準が大きく影響し、そのもっともおおきなファクターが医療水準です。戦後直後のような医療水準に一気に低下させ、生き残ったものだけで日本を再建する計画ではないかという妄想にとらわれています。まあ国債が国内で消化できず、貿易赤字となると遅かれ早かれインフレ、それもとんでもないインフレになるので、意図的にやらないにしろ公的な医療制度は崩壊します。
開業制限は、有名な旧薬事法の違憲判決(S50年4月30日 最高裁大法廷)があるため厚労省は口だけで言って何もしない状態でしたが、非常事態となると何が出てくるかわからないです。もっともハイパーインフレになったら、開業しても米とか治療代をもらったほうがいし、勤務医の給料にしてもすぐには上がらないから現物支給のほうがありがたいでしょうね。
元外科医
貿易赤字なんて一時的なモノでしょ。日本のもってる半端でない米国債の量を考えれば赤字で円安になればあっという間に大もうけではありませんか。
日本に金がなくなって米国債を国際市場で売りに出すなどと言うことはあり得ません。というかそうなれば米国も一蓮托生w
元ライダー
>財務省からこのような話しが、なぜいまの時期に漏れてきたかのか
2年に一度の恒例行事かと思ってましたが、違うんでしょうか。
ya98
元外科医様
なんだかもっと恐ろしげなシナリオを出していますね。
>日本のもってる半端でない米国債の量を考えれば赤字で円安になればあっという間に大もうけではありませんか。
上の状況になれば、中国が米国債を引き受けない限り米国はデフォルトするしかないです。デフォルトしたら米国債もただの紙切れです。
>日本に金がなくなって米国債を国際市場で売りに出すなどと言うことはあり得ません。というかそうなれば米国も一蓮托生w
米国債デフォルトから基軸通貨としての米ドルが破綻し国際貿易決済が麻痺した場合は貿易赤字どころの話しではないです。北米大陸は資源や農産物に恵まれた所なので、ぜいたくをしなければ自給することは可能ですが、日本の場合はそうはいかないです。輸入がストップすれば、日本の財政状況にかかわらずとんでもないインフレに襲われることは間違いないです。
今回の貿易赤字は米国市場が急激に縮小したことに全く対応できていないことが大きな原因です。今後ますます高齢化社会となり、貿易赤字は、生産<消費傾向が続くことを考えるとある意味必然的な結果です。ちょっとその傾向が早めにきたのではないかと。
勤務医
>>まるで旧ソ連の計画経済のよう。
>>公定価格での供給は保証されているが需要が多すぎていつも店には品物がない。
だから闇市が出来るのではないでしょうか。
そのうち潤沢な自由診療医療が皆保険(品薄医療)を飲み込んだりして。
まあ、それを危惧して混合診療前に色々策を講じていると思いますが。
それが研修医の給料の時のように、一部資本供給による規制強化だと思っていますが。
元外科医
経済に関しては小生はトーシローなので戯れ言ですから気になさらないようにw
医療に関しては、内部の者ですからそうではありませんが、現在の圧倒的な医療資源不足と高齢化による需要過多をバランスさせるのは無理でしょう。今後の方向性は患者から見て結果的にアクセス制限となる、医師の集約化しかない、というか既にその流れが止まらない状態であると考えています。
今年入った多くの新人医師が実戦力になるには12−15年かかるので、地域や診療科によっては、その前に崩壊消滅してしまう所が当然予想できます。その過程でもしも官僚による法的強制でも行われれば、消滅はなおさら加速されます。小生自身は悲観的で、日本の医療はシステムとしては破綻すると考えています。奈良の訴訟では完全に労働基準法違反であることが立証されましたしね。法律守ればアクセス制限しかないことが自明ですから。
Bugsy
こういう話になると俄然のってきます。
政府は米国債が売りに売れないので 現政権はIMFに10兆円ほど預託したわけです。返しもしない円借款よりもIMFを通したほうが返済計画をクリアにできて上等です。
GJ!
米国債を直接売却しようとすれば 橋本君のように首がふっとびますが、IMFだと借金はきっちり取り立ててくれます。
ドルの債券をあそんで保有していたって意味ないでしょ。使い道がありました。
別に通貨スワップもしていますが 先方が円売りすれば、円安となってグッドですな。
>「20年度、輸出急減 28年ぶり貿易赤字7253億円」
内需が活発で輸入が増えて 輸出が一時的に減っただけでしょ?たかが7000億円の赤字でしょう。少ないので驚きました。
むしろこれから日本からの輸出圧力は今年度から増えますよ。輸入で原材料が増えた分。もちろん製品の信用もばっちり。
日本って思ってるほど外需に依存した経済じゃないですよ。
すくなくとも 日本は外貨準備高は多いし、アジア諸国ほど経済状態を報道で捏造はしていませんから。少なくとも中国や韓国の外貨保有高を素直に信用しますか?
米国経済の命綱は日本でしょう、少なくとも中国ではありません、そもそもGDPの数値も、外貨の保有高も正直に公表してないから。
短期の外債ってご存知ですか?それも含めて借金でドルを集めれば外貨保有高ですか?笑っちゃう。奴らは平然とやっています。
日本の国債の引き受け手は国内なので 「貧すれば円刷る」 スーパーインフレで借金は吹き飛びます。
外国が日本国債を数兆円単位で買っていたら 担保に港湾や鉱山を取られるでしょう。
これも今まで植民地が来た道です。
確かに日本の行く末を心配してマスコミ報道はいつも悲観的です。
ただ 悲観的すぎるのもどうかなあ と思いますね。
卵の名無し
理由は簡単。
定額給付金で2兆、追加経済対策で15兆、あわせてざっと17兆円もの選挙対策ばら撒きをやらかしたおかげで財務省(まさに罪夢省w)はすっからかんの素寒貧なのでしょw
どこまで続く泥棒国家www
773
割増賃金支払い命令判決「当直は時間外労働」…産科医激務に一石
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090423-OYT8T00364.htm
当直医に割増賃金命令、初の司法判断…奈良地裁
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20090423-OYT8T00343.htm
moto-tclinic
>Yosyan様 tadano-ry様
>人口と面積の比率が9:1の根拠がわかりません
実際に計算してないのでアレですが、9:1てのは、面積と人口の標準偏差の比じゃないでしょうか?平均を1と揃えた文系の人間が次に思いつくことってそんな感じじゃないかなあ?・・って言ったら失礼かしらん。
たとえば、英語と数学、47人の生徒がいたとして、それぞれの点数から2科目の総合順位をつけたいとしますね。母集団が正規分布するかとか、英語と数学の点数が全く独立したものと考えていいか、とかは無視して、とにかく順位(というかこの場合総合点数ですが)をつけなければならないとき、点数を単純に足したものよりは、まだ、平均と標準偏差揃えてから足したほうがマトモっぽい、って感覚じゃないかなあ(^^;。
医療
>>日本の医療はシステムとしては破綻すると考えています。
皆保険は規制によるダンピングですから、資本が細っても多少なりとも如何にお金と規制でダンピングを維持するか、結界が崩れると崩壊は早いと思いますが、逆に守りきる可能性も有ると思います。島国って怖いです。
私はよく知らないのですが、例えばお産なんて自由診療ですから、60万で民間でやるところが有れば、品薄公的産科病院によるダンピングが壊れると思うのですが。で、資本が流れなくなると悪循環。人材も流れます。で、行政は規制と僅かな金で自由な商売に規制をかける。そんな所に皆保険のお金(出産祝い金?)が流れては目も当てられません。
どなたかその辺ご存じないでしょうか。
例えば、団塊の世代を現状医療・経済で養うことは到底無理です。しかし切り捨てて・養えないまま規制維持して乗り切る方法だって有ります。皆保険の驚異となる医療が出てくれば規制で壊せば・或いは取り込めば良いだけです。それが一番の安上がり医療でしょうか。
moto-tclinic
続き)
経済のはなしが出てますが、経済学で使われる数学っていうか、数式もどきって、上に書いたような「平均と標準偏差揃えて足す」みたいなもの多いですよね?「概念を伝えるために数式を言語的に用いる」みたいな。
理系世界のひとが「それは誤っている」といくら言ったところで、先方、数学の答案書いてるつもりは全然なくて、ただただ持論に直観的説得力を持たせるための修辞学の一つに過ぎなかったりして(^^;。
卵の名無し
>ただ持論に直観的説得力を持たせるための修辞学の一つに過ぎなかったりして(^^;。
その修辞法と鷺トークの違いは?
ya98
Bugsy様
>むしろこれから日本からの輸出圧力は今年度から増えますよ。
米国や欧州はさらに経済が縮小しつつある。1929年からの大恐慌が底を打つのは1933年ですが、それ以上の恐慌となるといったいいつ底を打つのかまったくわからないです。つまり売る市場がない。
> 日本って思ってるほど外需に依存した経済じゃないですよ。
少なくとも中国ほどではないですが、小泉政権の後そこそこの外需依存経済になった。国内の雇用や賃金が不安定になっては国内の消費は伸びないです。そこで、国債の大盤振る舞いでの経済対策なのですが。。。
>日本の国債の引き受け手は国内なので 「貧すれば円刷る」 スーパーインフレで借金は吹き飛びます。
全くその通りですが、大量の国債日銀引き受けとなってハイパーインフレとなると経済は大混乱です。デフレでは公的な部門は安全地帯ですが、ハイパーインフレとなるとアウトです。医療だけでなく、教育や警察、軍など公的な部門が果たしてどのくらいもつか。
>日本は外貨準備高は多いし
> 米国経済の命綱は日本でしょう、少なくとも中国ではありません
石油価格が下がったので米国債のファイナンスの可能性があるのはFRBをのぞくと今のところ中国と日本だけです。米国は中東で戦争ができればもう少し延命できる可能性もありますがどうですか。日本の外貨準備が多いと言っても米ドルがほとんどなので、米ドルに異変があれば意味なしです。
>IMFを通したほうが返済計画をクリアにできて上等です。
IMFは結局米英のおもちゃなのであまり期待できないです。米国がIMF管理になるようならば、この混乱も短くすみそうですが、そうはならないでしょうね。
moto-tclinic
>その修辞法と鷺トークの違いは?
たとえばですが、東京都の場合、面積指数20.89で人口指数1.22ですね。
標準偏差が9:1と仮定して「平均と標準偏差を揃えて足す」っていうことは、具体的な計算だと、
(20.89-1)×0.1+(1.22-1)×0.9=3.97ですが、これだと説明がめんどくさいんで、
20.89×0.1+1.22×0.9=3.19
っていうように、標準偏差を「重み」に置き換えちゃう。
数学的には完全な誤りですが、「面積を考慮すると東京都は医者が多い」っていう結論導くには十分でしょう?
間違っているけど、マスコミとか、非理系人間に訴えるにはこっちのほうがわかりやすいだろって、ある意味、確信犯的にバカにしてるのかも(^^;。
麻酔科医
面積指数とか、もっともな気がしますが、東京都みたいに、小笠原みたいな外国より遠い飛び地をもっているところは、単純に面積では、医師の多い少ないを評価できないでしょう。
面積が意味を持っているのは、移動距離がどこでも同じという過程の元です。
そういう点では、千葉よりは、神奈川のほうが僻地とか、田舎がないように思います。
神奈川にも僻地枠がありますが、ぶっちゃけ医師不足という県立足柄上病院なんて、駅の目の前にあって、新宿まで電車1本なんですから、福島とか岩手の県立病院とは、同じ県立でも全然違うでしょうね。
それから、人口といっても医療の需要が年齢別に違うわけだから、全年齢1人を同じには評価できないし。結局、このなんとか指数というのは、結論を最もらしくみせる飾りに過ぎないと思います。
卵の名無し
このまま統計を読んでいくと面積だろうが人口だろうが「東京の医師を減らし地方に増やす」以外の結論を出す気はなしですね。
二世議員禁止論同様、既得権としての東京での業務は剥奪せず、まず新規参入から制限されていくようですが。(研修医への仕打ち)
供給過少すなわちインフレ
moto-tclinic
おはようございます。上の計算、
(20.89-1)×0.1+(1.22-1)×0.9=2.19でした(^^;。
20.89×0.1+1.22×0.9=3.19とくらべると、ちょうど-1、定数の違い、ってことになるから、標準偏差を「重み」にしちゃっても、必ずしも間違いではないか・・
「ほかの科目(英語や国語)がどんなによく出来ても、数学が出来なければいい大学には入れない」っていう受験戦争時代の本音とタテマエ彷彿とさせます。
「一応(人口)も考慮してやってるけど、決定的なのは(面積)だからね、残念!」っていう、財務官僚の意地悪な声が聞こえてきそうです(^^;。
卵の名無し
>「一応(人口)も考慮してやってるけど、決定的なのは(面積)だからね、残念!」っていう、財務官僚の意地悪な声
医師配置の必要性という人的リソース配分の観点からは「一応(面積)も考慮してやってるけど、決定的なのは(人口)だからね、残念!」っていう医師がわの意地悪な声を財務官僚に聞かせてやれば?w
でももっとホンネに近い部分では
「一応(配置)も考慮してやってるけど、決定的なのは(免責)だからね、残念!」っていう声かも?
卵の名無し
ww.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseib210421/02.pdf
総医療費と公的医療費を峻別しており、私的医療費のGDP比の国際比較ドイツ2.4%フランス2.2%OECD平均2.4%日本1.5%アメリカ8.3%→日本ももっと私的医療費支出を増やせとの暗黙の誘導
であるとか
レセプト審査コストが膨大であるかのような印象を与える15ページ目とか。
レセプト審査コストを削減する=公的医療費の名目上の数字の削減につながる
が、単なるアウトソーシング(昔のように手書き原稿を本にするとき活字化のコストは出版社が負担→デジタル入稿なら出版社の負担分がなくなるが、コストそのものが消滅したわけではないのと同様)
与えられたフレームの中では偏在→解決、公的医療費請求にまつわる無駄→削減という解答だし、受験問題やゲームなら合格点をあげてもいい優秀な頓知のきかせかたではなかろうかw
卵の名無し
>受験問題やゲームなら・・・優秀な頓知(ry
「一応(ゲーム)も考慮してやってるけど、決定的なのは(現実)だからね、残念!」w
2009-04-22 飲酒診療は絶対禁止すべきだ
4/2付Asahi.comより前半部分(魚拓)と後半部分(魚拓)です。直接引用すると少々長いので、ごく簡単に要約だけしておくと、産科医が酒に酔っていたのに分娩を行なったと言う記事です。まずなんですが、酒に酔って医療行為を行なうことは良いことではありません、記事中の厚労省医事課のコメントにあるように、
飲酒した医師に診療させてはいけないのは常識
この厚労省医事課コメントは直ちに全医療界に周知徹底すべきです。たとえ一滴でもアルコールを口にした医師に絶対に医療行為をさせてはなりません。これは医師法改正の価値があるとも考えます。飲酒運転よりも遥かに悪質な行為ですから、速やかに根絶させるのが医療の向上につながります。これまで漫然と放置していたことさえ許されざる行為です。医者の非常識もこれに極まれりです。さらに厚労省医事課は明快なコメントを残しています。
法に定めがないのは、他に医者がいない場合の緊急避難的な措置を想定してのことで、通常ならあり得ない
この「法に定めがない」と言うのは、これでも温すぎる状態かと思いますし、今まで放置してきたのは怠慢かと存じます。法改正は簡単ではありませんから、とりあえずここは厚労省の伝家の宝刀である「通達」できっちり明文化すべきだと考えます。まず通達で厳重に禁止し、政治状況に余裕が出来たら速やかに法改正の段取りを行なうべしです。
ここでなんですが通達や法改正の非常に参考になるコメントを厚労省医事課はされています。まずまず明快に
-
通常ならあり得ない
つまり絶対に行ってはならない行為としての定義です。これは可能な限り厳格に定義すべきことです。単に全面禁止とするだけで必要にして十分かと思います。その上で、
-
他に医者がいない場合の緊急避難的な措置
これについては、民法でも刑法でも緊急避難の定めはあり、どうしても必要なときには緊急避難として必要な行為は行われ、これを免責とする規定があります。刑法なら刑法37条1項但書に、民法なら民法720条2項です。法律の解釈論は厄介ですからそういう法があると言う事で回避しますが、緊急避難的に酒に酔った医師が医療行為を行なうのなら、この刑法・民法の規定に適合する時のみに行なうのが妥当と考えます。
通達や法改正に反映させるとしたら、民法上・刑法上の緊急避難行為である旨を明記すべしです。緊急避難行為であるとの趣旨は、飲酒状態で治療を行うことを認めるだけでなく、飲酒状態で治療した結果に対しても同様でなければなりません。飲酒状態である医師の医療行為は通常とはまったく異なっており、それでも人命のためにやむなく緊急避難として治療させるわけですから、結果についても問うては整合性を欠きます。治療しなくては人命に関わるのですから、飲酒医師でも「いないよりマシ」という前提のあくまでも緊急避難であるからです。
どうしてこんな常識的なことが放置されてきたのか極めて不思議です。即刻厳重なる対処を厚労省に要求します。罰則は直ちに医師免許剥奪ぐらいが適当かと存じます。これでも温いですから、罰金付きの実刑にしても良いと思います。懲役をつけたって構いません。それぐらいの厳罰にすれば、今後は飲酒をして医療を行なおうとする不心得者は直ちに根絶できるかと思います。飲酒運転よりはるかに悪質な行為だからです。
法改正のポイントをまとめておくと、、
- 飲酒診療は全面禁止
- 緊急避難として飲酒診療を行う時は、診療行為の免責と診療結果の免責を行なう
そうそう、根絶すべきなのは飲酒診療であって、医師がプライベート・タイムに飲酒するのとは無関係です。
焼酎好き
そうですよねー。飲酒診療は飲酒運転より悪質ですよねー。ぜひ取り締まっていただきたいです。飲酒診療禁止になっても、医者はなーんにも困らないですけど。
道標主人
お早うございます。至極当然のことですね。医療界は、ここでこそ自浄作用を発揮して、自ら飲酒診療根絶キャンペーンを張り、政府厚労省国会医道審議会に法令整備と厳罰をお願いしましょう。ブログやウェブサイトを持っている医療関係者は、サイトトップにキャンペーンを貼りませんか ?
卵の名無し
勤務時間中に飲む医師もおりますからな。
疲労と一緒にする人もおりますが、酒を飲んで自らを自らの意志で判断力低下という状態にするのだったらミスしても擁護の余地はなし。
フリータイムに飲酒を楽しんでいるところを呼び出された先生というならともかく、こういう事例もありうるため、飲酒状態の医療行為は緊急ではないかぎり禁止という法改正は必要という見解には賛成。
こんた
早速昨日は、帰宅途中のコンビニに立ち寄り缶ビールを購入。桜の散った公園で葉桜見ながら呑んでました
ダメな方々の仲間? という視線を感じましたが
Hekichin
法制化は可能みたいですね。是非、(プロ)市民団体の方々にお願いして医師法改正をしてもらいましょう。
航空法(酒精飲料等)
第七十条 航空機乗組員は、酒精飲料又は麻酔剤その他の薬品の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間は、その航空業務を行つてはならない。
社内規定では乗務12時間から飲酒は禁止って話もありますな。
パイロットの連続運行(勤務)の制限は見つかりませんでした。誰かよろしく。
なっく
飲酒等により判断力の低下が認められる状態(徹夜勤務明けなど)での診療は全面禁止っていうふうにしてほしいですね
暇人28号
以前勤務していた病院で他院からの緊急心カテの依頼があったのですが、医局の宴会で全員飲んでいたので上司が断ったことがありました。
しかしその後、同席していた副院長に呼び出され叱責されてしまいました。
「飲酒してても心カテぐらいできるだろう?一度断ると次から頼みにくくなるから絶対に断っちゃいけないんだ!」
ですってww
オイオイ
法務業の末席
Yosyan先生、医師でない者としてちょっとお尋ねしたい。
>根絶すべきなのは飲酒診療であって、医師がプライベート・タイムに飲酒するのとは無関係です。
このように仰られているが、医療法16条での「宿直」の任に就いている時間帯は、
飲酒してはならない診療業務として扱う時間帯なのか、
それとも飲酒しても良いプライベート・タイムとお考えなのでしょうか?
曖昧模糊とした「医療法16条の宿直」を飲酒規制の上でどっちに扱うのかによっては、
日本の医療提供体制のタテマエ論が一夜にして崩壊してしまうのではなかろうか?
暇人28号
一般の方はよくわからないみたいですけど、
急変時に一番必要なのはマンパワーなんですよね。何人いても足りないぐらいです。日中なら何とかなりますが、夜間になると専門医は居ても1人、普通の病院は病院中で当直医1−2人のみです(夜間に各専門医を1人配置できる医療機関なんて日本全国で数えるぐらいしかありません)
となると、家で休んでいる医師に「善意で」来てもらって診療してもらうわけです。1人の医師だけで対処できればまだましなのですが、何人もの医師が必要になる時もあります。
もしも、その時みんなお酒を飲んでいたらどうするのか? ということが問題になるわけです。
医師は全員お酒を飲むな、なんて暴論はもちろん無理ですよね。時間外の行動まで拘束されてはたまったものではありません。
ririnko0406
>法務業の末席 さま
プライベートタイムとは宿直でも、オンコールでもない(病院から待機手当が出ていない)時間を指していると思われます。
言い方を変えるならば「建前上」病院に拘束されていない時間をプライベート・タイムと称したのではないでしょうか。
実は、法制化には少し後ろ向きな自分です。
直接顔を見て診療する気はないのですが、法制化によって電話指示すら飲酒時はできないとかになるとかえって自分たちの首を絞めてしまうような気も…もちろん締め具合はマスコミがマスコミ自身にするそれよりははるかにゆるいとは思いますが…
…やっぱり考え方を変えるべきでしょうか。
一番は患者様の安全ですもんね。
ひんべえ
飲酒診療禁止に大賛成です。私は下戸なので飲まないですが、毎日帰宅次第、わずかばかりの養命酒を内服して、翌朝までしっかり休養が保証されます。滋養強壮にも!?
厚労省は通達は出さないでしょうね。だって私が考えたようなことはみんなやるでしょうから、それを理由にボランティアでもっていた医療は大崩壊します。交代勤務制をしかざるを得なくなります。それだけの医者はいるわけがありません。。。。またパンドラの箱を開けてしまいますね。
卵の名無し
朝日新聞記事
>病院関係の宴会に出た後、臨時当直をしたケースが十数回あった。このうち、少なくとも3回は正常分娩(ぶんべん)を取り扱った記録が残っている。
とありますね。
ひとつ疑問なのですが、正常分娩を取り扱うことは厚労省のいう「診療行為」にあたるのでしょうか?正常分娩であった以上行われた行為は医師資格も助産師資格も要さない誰でも出来ると思えばやってよい正常分娩介助すなわち助産行為に過ぎなかったのではないかと思われるのですが。ゆえに厚労省がいかに飲酒「診療(医師免許必要)」行為を禁止しても飲酒「助産(免許不要=誰でもやってよい)」行為には通達の効力がもともとおよばないのでは?
Hajimaru
いつになくYosyanさんの口調が厳しいようですが・・・
マジメな話しですが、これは「拘束でない時間帯に飲酒したら、緊急的な要請があっても医療を行なってはならない」という意味を込められているのでしょうか?
卵の名無し
>医療法16条での「宿直」の任に就いている時間帯は、
>飲酒してはならない診療業務として扱う時間帯なのか、
>それとも飲酒しても良いプライベート・タイムとお考えなのでしょうか?
他の誰よりも厚労省自身が責任を持って答えるべき質問ですなw
卵の名無し
今回の医師のケース自体は、色々小耳に挟んだところによれば医師は批判されても仕方のない部分もある(遠まわし)らしいので、全くのプライベートタイムにおいて宴会の予定があるところに急患が入った!泣きながら現場直行!というケースと同列には語れませんが。(マンパワー不足とかそういう問題じゃないらしいんで)
臨時急患の予定が入るのがほぼ確実か、というのが判ったら、それに行く気があるならわかった時点で宴会はやめろというのはまあ確かに常識でしょう。
酒って医師免許と引き換えにするほどに必要なもんなんですかね?医師である以上飲むなといわれる事はそれほど辛いのか?殆ど嗜まない人間には理解できん
Bugsy
院内での就業中に飲酒するのは論外です。
むしろ問題はオンコール(自宅待機)の扱いです。
業務と言うなら然るべき対価を明記し、支払うべきで まさかその間飲酒する医師はいないでしょう。問題はオンコールにあたっても 医師どうしの口約束『何かあったら助けてね。」といったあいまいな状況で、呼ばれたら雀の涙、よばれなかったら何も支払われないといった病院が多く、オンコールにあるはずの医師が、就業中なのか自宅に帰ってオフなのか明確に意識されない点にあります。
明確な自宅待機業務というならば宴会に呼ばれても出かけないのは当然となり、同時に離れた場所に出かける事もないと思います。
さらに言えば 自宅待機なんてファジーなことをせずに、最初から2人で当直をさせればよいのです。医師はたりない、時間外給与も支払えない、だけども医師のマンパワーは必要だ、だから安い賃金ですむか無料のオンコールの医師をおいて病院側は黙認となるんじゃないでしょうか。
労働基準という観点からもはっきりすべきです。
じっさいに病院に出かけなくても 病棟からの問い合わせの電話は実に多いです。
これは日本人の特性でしょうか?呼び出されれば仕事だと認識してはもらえますが、電話では、何を聞いても只なんですよね。本当に不思議です。
inoue04
>電話では、何を聞いても只なんですよね。
外来なら電話再診料がありますけど、入院患者の場合は医学管理料に全部含まれてしまうんでしょう。
もっとも、保険点数上の手当てのあるなしと、勤務医への手当てのあるなしとでは、別の問題でしょう。
元ライダー
非医師の方には分からなかったのかもしれませんが、Bugsyさまのコメントがこの問題の本質ですね。
エントリ本文はそれを婉曲に言ったもの。
つーか、今までは医師も非医師もお互いに”なあなあ”で済ませていたところがあって、それが医療コストを抑えていたんですね。片方(非医師)が、なあなあは許せん!となればもう片方(医師)も「じゃあ、オレがなあなあで許していた部分はどうしてくれる?」となるのは当然でしょうね。広い意味では萎縮医療もその範疇だろうなあ。
暇人28号
今回の産科の先生はすごく患者さん思いの先生ですよね。
普通、お酒飲んでいい気分なら家に帰ってゆっくり寝たいじゃないですか。それを「万が一のことがあったら病院に駆けつけられなくなるから病院に寝泊まりしていた」なんて。普通の方が顧客のためにそんなことできますか?SEさんでもだれでもいいです。非番の時に「もしかしたら顧客が困るかもしれないから、お酒を飲んだ日は職場に寝泊まりする」なんて人いますか?
こういう人をこんな形で叩くなんて・・・・
以前だったらここで憤慨していたのですが、最近は「マスコミ、もっとやれww」って感じです。
2ch的には過去の奴隷根性が沁み渡った状態です。早々にこの副院長先生には目を覚ましていただきたいと思います。日本全国の奴隷根性の抜けない先生がたくさん残っているから現状が打開できないのです。国民は自分の目の前で物事が発生しないと目を覚ましません。
1か月前の私と一般人とのやり取りが物語っています。
私「医療崩壊が深刻だ。何とかしないといけないよね」
一般人「何か掲示板で暴れている人間がいるが、そんなふうに煽るなよ!おれの知人が交通事故にあったけど、すぐに救急車が来て病院に行って受け入れたよ。この一例が現実だ。医療崩壊なんて起きてないんだよ」
このやり取りはマジです。
通りすがりの勤務医
法制化しても「毎日が緊急避難」になるだけだろうなぁ
jipo
もちろん宿直では飲まないでしょう.宴会や飲み会があっても、オンコールでは欠席か出てもウーロン茶です.ほとんどの医師はそのくらいの自粛、自制はしていると思います.
また、今回の一見はそれなりに事情はあったのでしょうが、エントリの問題の本質は、厚労省のコメント(言いぐさ)にあります.
「常識」とか「あり得ない」はいくら何でも.オンコールや何もdutyがないときでも「緊急避難的な」状態ではなくても、応援に行ったりするのは珍しいことではありませんでした.もちろん毎日飲んでいるわけではありませんが、原則そういう働き方はするなと言われたように感じます.
Yosyan
とりあえず疑義照会を誰かして欲しいですね。質問項目として、
1.飲酒診療は例外的な場合を除き全面禁止されていると解して良いか
2.例外的な場合として「緊急避難」を挙げているが具体的にどういう事例か
3.緊急避難として飲酒治療は医師の判断・能力は低下しており、危険性は高くなる。それゆえ緊急避難としての飲酒治療は結果責任は問われないと解して良いか
こんな感じで。。。
TOM
>Hekichin様
>パイロットの連続運行(勤務)の制限は見つかりませんでした。誰かよろしく。
うろ覚えで申し訳ないのですが、日航の場合で月のフライト時間は計約80時間(ここ不確か)までと内規があります(と伝聞)。これは東京−ロンドン便を往復2回+東京−福岡便を4回、程度のフライトに相当する時間だそうです。1ヶ月でですよ。
一次資料としてはこれ↓ 2004年のですが
http://www.jal.co.jp/jex/news/images/pdf/jen040003.pdf
月間100時間とありますが、年間1000時間迄ですから月平均はまぁ80ちょいでいいでしょう。
ただしこれは乗務時間で、勤務時間そのものは144時間程度との事です。
http://www.jal.com/ja/saiyo/apply/pilot.html
ちなみにパイロットの方々は「安全運行のため」としてストをおやりになり、航空会社も1事故あると機体はポシャるわ乗客賠償は1〜2億×乗客数だわ、で、その方がよっぽど損との認識からこの条件を受け容れられたそうです。
ところでこのウラ取りのためググってたらこんなの見つけました。
http://www.page.sannet.ne.jp/km_iwata/pairotto.html
http://www.jalcrew.jp/jfu/katsudo/trial/trial0323.htm
要約すると連続勤務13.5時間(内、乗務11時間)、休憩をとらずに勤務するのは危険であるとの1999年の裁判で、東京地裁は「パイロットに就業義務なし」と判決したというものです。その後日航側が控訴したようですがどうなったかは知りません。ちょっとほほえましい(謎)のは私が旧世代医師だからだろうな、たぶん。
でもねー、そのパイロットさん達も、医師の長時間労働の話すると、自分が入院してるときに医者がストやったら困るとか言い出すんだからもう(実話)...おっとこれは今日の話題じゃないや。
京都の小児科医
本質的な話ではないのですが。。。
疑問点
1.>病院に投書があり、病院側が実態調査していた。
本件は、実態調査からわかったものと推測しますが、この実態調査がなぜ朝日新聞社が入手できたものかが不明です。(朝日新聞が入手した資料によると?)
2.> 厚労省医事課は「飲酒した医師に診療させてはいけないのは常識。法に定めがないのは、他に医者がいない場合の緊急避難的な措置を想定してのことで、通常ならあり得ない」としている。
こういった場合の厚生労働省の医事課のコメントって現医事課長のコメントでしょうか
ys
>連続勤務13.5時間(内、乗務11時間)、休憩をとらずに勤務するのは危険である
数年前アメリカへ旅行に行った医師から聞いた話ですが、
帰国の際、飛行機のダイヤが乱れていて搭乗したあと相当長い時間機内で待たされたそうです。いよいよ離陸の順番が来て滑走路に出たかと思ったら、機長から「このまま日本まで飛ぶと私の連続勤務時間が規定を超えるので機長を交代します」とアナウンスがあり、空港ターミナルへ引き返したそうです。
元ライダー
奈良県立の時間外手当請求訴訟は今日判決みたいですね。
時間外に関しては勝訴するでしょうが、オンコール待機も時間外だとの原告主張に裁判所がどういう判断を示すか注目。
判決によってはオンコール崩壊するかも。
暇人28号
話は多少ずれますが、今後テレビの放送で偏向報道があったら、迷わずBPOに意見を出しましょう。
意見の出し方はそれほど難しくはありません。
日本の偏向報道にくさびを打ちましょう!
放送局に直接言っても無視されますが、外部団体から送られれば、彼らも無視できません。無視すれば放送局の規制が強められますので。
放送倫理・番組向上機構
http://www.bpo.gr.jp/
元ライダー
仮にオンコールも時間外労働との判決が出たら、滋賀の120時間特別協定も守れなくなるだろうなあ
卵の名無し
>非番の時に「もしかしたら顧客が困るかもしれないから、お酒を飲んだ日は職場に寝泊まりする」なんて人いますか?
というかそこまで考えてるなら、さすがに最初からそんな日は患者に酒臭いと思われるまで飲まないほうがいいんじゃないですかね?また医師以外にも色々顧客や仕事の進行状況を考えて待機している人はいますよ。当たり前ですが。世の中にはいろんな業界があります。
卵の名無し
>世の中にはいろんな業界があります。
他の業界でも「当たり前」か。もう名作「あぶさん」は読めなくなるかもしれんな。。。
n
この病院のことを直接知らないので憶測ですが、「年間1700分娩の大阪市唯一の周産期総合センター」というのは、半端な負荷じゃないです。
年間1300分娩の「総合センター」である都立墨東病院で当直医が一人しかおらず、追加の上級医を自宅からちんたら呼び出す間に治療が数十分遅れて妊婦が死んだ! と凄まじいバッシングがあった昨年秋の事件は記憶に新しいところですよね。
この病院のように当直医一人体制というのは、年間1000近いであろう時間外分娩をこなすには明らかに不足で、自宅から人を呼んでる間に人手不足で生死にかかわるヤバい事態が、突発的に年に数回起きるのが目に見えてます。それがいつ起こるかは誰にも分かりませんが。
それを未然に防ぐため、60歳超の管理医である副院長が、最後の切り札ベテランとして年間200回、まさに毎晩のように泊まることで、溢れそうなバケツをギリギリ押さえ込んでいる様子が目に浮かびます。この人が半ば病院に「住んで」いてくれなければ、残りの医師に更なる殺人的負荷とリスクが振りかかり、総合センターとして立ちゆかなくなる可能性すら感じます。そんな位置なのでは。
むろん、毎晩この人が正規の当直より率先して夜通し働いてたとは思いませんが、例え普段の夜は若手の1割くらいしか働いてなくたって、とにかく万一に備えてもう1人ベテランがいる、という状況は、墨東のアレみたいな突発事象が起こったときに、非常に重要です。
そんな状況で年間200日泊まってギリギリ総合センターに求められる「2人体制」を維持している事情を想像するのが先決であって、それを契約や法律や金銭的待遇の面で書面上どうするかの話は二の次でしょう。
つい数か月前に自分達が「当直医が1人!!!」と叩いたことすら忘れ、まるで金目当てのカラ当直でもやってるかのような書き方をする新聞記事は論外ですが、
「この副院長の労働契約がどうだ」とか、「この副院長にとってどこからが労働時間で何が当直でいつがプライベートだ」という定義を云々し、それを元に飲酒の可否を決めようぜ、という発想も、この期に及んではピント外れのように思えます。
>卵の名無しさん
というわけで、「そんな日」というのが仮に年に200回でも、同じ事が言えますか?
bosszaru21
>契約や法律や金銭的待遇の面で書面上どうするかの話は二の次
二の次ではありません。建前がうやむやであることとギリギリの情況であることは表裏一体です。厳しい情況をなあなあのルールでなんとか乗り切ってきたのです。
飲酒診療が好ましくないのはいわれるまでもないこと。だがそのことを厳しく言い立てるなら、待遇その他諸々をちゃんとしてくださいということです。
個人的にはn様のおっしゃるとおり、素面の若手だけでするよりも、酩酊したベテランがついててくれるほうがよっぽど安心・安全ではあると思います。
Hekichin
TOM様
調べていただき、どうもありがとうございました。
訴訟、調べてみると高裁で確定みたいですね。
自虐的なパイロットのFlashビデオが面白いのでついでに紹介しておきます。
JALパイロットの勤務基準は世界最低です!
http://www.jalcrew.jp/jfu/fla/jal706.swf
あとこちらの勝訴報告、泣く子も黙る「NASAお墨付き」の長時間勤務のガイドラインが紹介されてます。(宇宙飛行士クルーの活動管理とかにも使われているんでしょうか!?)
http://www.jaspu.or.jp/index_page/topics/topics_kinmusaiban.pdf
柳沢元厚労省大臣の発言を転用すると「オートパイロットで飛行中は勤務時間とは言えない」とか言い出しそうですけどw
飲酒による思考能力低下、長時間労働による判断力の低下は30後半になってようやく実感、この産科の先生も患者様のためになんて言わず、今後一切飲酒診療は行いませんって宣言してほしいですね。
法務業の末席
>Hekichin様
>パイロットの連続運行(勤務)の制限は見つかりませんでした。誰かよろしく。
パイロットではありませんが、トラック・バス・タクシーなどの運転者の労働時間の基準につて、自動車運転者の労働時間その他の労働条件については、それらが交通事故の要因となる場合が多いため、一定の歯止めのガイドラインが必要と言われてきました。その結果「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(労働省告示第7号)」が平成元年2月に発令され、その後平成 9年1月30日付け労働省告示第4号により一部改正された、自動車運転手を使用する場合での労働基準行政の基準があります。また交通事故防止の観点から、同じ基準内容で「国土交通大臣告示第1365号」(平成13年8月20日)として、運輸行政(国土交通省の所管する運送業者の免許行政)の方でも使われています。
この基準では、運転手の拘束時間を連続で16時間までとし、次の拘束時間開始までに少なくとも連続8時間以上の休息時間を取らせるよう定めています。
この労働時間の基準の詳細については、下記のHPなどを見て下さい。
http://homepage3.nifty.com/chu-ei/kaizenkijyun.htm
http://www.pref.oita.jp/14530/car/index.html
なお2007年2月に、格安スキーツアーバスが運転手の超長時間連続勤務での過労が原因で大阪で橋脚に激突して、運転手が死亡したほか乗客20数人が重軽傷を負った事故では、運行したバス会社(死亡したバス運転手の親が経営する零細企業)が、この基準に違反した過重労働を強制していたとして送検されています。(実際には業過罪など多くの法令違反で立件されたため、この基準を超える長時間労働だけで起訴された訳ではありませんが・・・)
以上、トピズレですが参考までに。
n
>bosszaru21様
>二の次ではありません
あ、すみません。リアルな状況を想像もせず、単に今ある建前だけ見て議論するのは無駄ってことが言いたかったのであり、建前と現実が乖離した状態を「なあなあ」で済まさないほうがいいということは同意です。
今後建前が現状に合わせるか、建前押し通して医療が破壊されるか、それはどっちでもいいですが、個人的には後者が好みですw
滋賀の公務員
医師の当直勤務は「時間外労働」、割増賃金支払い命じる判決
2009年4月22日(水)15:15
奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が、県を相手取り、夜間や休日の当直などは時間外労働に当たり、手当支給だけで賃金を払わないのは労働基準法に違反するとして、2004、05年分の時間外割増賃金計約9200万円の支払いを求めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であった。
坂倉充信裁判長(一谷好文裁判長代読)は「当直時間に 分娩 ( ぶんべん ) や新生児の治療など通常業務を行っており、割増賃金が不要な勤務とは到底いえない」として、県に対し、労働基準法上の請求期限の時効分を除く、当直分の割増賃金として、それぞれ736万円と802万円の支払いを命じた。
通常勤務並みという医師の当直勤務を時間外労働と認めた初の判断。産科医の過重労働が問題となる中、全国の病院運営に影響を与えそうだ。
また、坂倉裁判長は、緊急時に備えて医師が自宅で待機する「宅直」については「医師間の自主的な取り決めで病院の内規にもなかった」として、割増賃金を認めなかった。
Yosyan
奈良の時間外訴訟についてはもう少し情報が欲しいですね。マスコミ情報だけでは詳細がよくわかりません。とくに認められた請求額の内訳と宅直を却下した理由です。判決文が手に入れば最高ですが、せめて原告のコメントも欲しいところです。続報があれば良いのですが。
暇人28号
奈良の事件:
> また、坂倉裁判長は、緊急時に備えて医師が自宅で待機する「宅直」については「医師間の自主的な取り決めで病院の内規にもなかった」として、割増賃金を認めなかった。
うわっ、やはり医師間で「勝手にやっていた」とみなされていますね。
やはり、病院側にon call の予定を組んでもらったほうがいいですね。
元ライダー
>「宅直」については「医師間の自主的な取り決めで病院の内規にもなかった」
予想内の判決なんですが、これはこれで面白いことが起こりそう。
宅直は好き勝手にやってるとの認定ですから、次に何が起こるか簡単に想像できる。
元ライダー
もうひとつ言うと
裁判所は現実的な判断をしたのかもしれませんが、医師のモチベーションを考えれば
「宅直は勤務」と認定された場合よりも崩壊が加速したかもしれませんね。
ええ、裁判所は何も悪くありませんよ。
卵の名無し
どうも裁判所の計算がわからんw
>産婦人科医2人が、県を相手取り、夜間や休日の当直などは時間外労働に当たり、手当支給だけで賃金を払わないのは
>労働基準法に違反するとして、2004、05年分の時間外割増賃金計約9200万円の支払いを求めた
この請求額は労働基準法に従って計算して金額を出しているはず。純粋に労働の対価だけであって慰謝料とか入ってないはずでしょ。これに対して判決は「オンコール宅直」部分を削除して時間外賃金の支払を認めたようだが、その額は2人合計で736+802=1538万円?労基法上オンコール宅直料は時間あたりいったい幾らと裁判所は計算したんだろw
法務業の末席
>どうも裁判所の計算がわからんw
判決の報道にもあったが、未払い賃金の請求時効2年の起算点を何処に置くか、原告の医師2名の主張と裁判所の判断とがスレたのでしょう。
これは本裁判とは限らず一つの一般的な例として書くが、当直は時間外勤務だと病院側に申し入れた日と、実際に時間外労働が何時間分だからだから未払い分幾らを請求すると病院に言った日と、どちらを時効2年の起算日とするかで相当の金額が違ってくる。また当直での時間外労働の時間数の認定が、原告主張の時間数と裁判所の事実認定とが違っていても、金額の差が出て来る。
tadano-ry
県立奈良の件については、いろいろな所から情報収集しています。
今月は1日だけ代休を取るよう言われているので、時間が取れれば裁判所に出向いて
判決文を閲覧しようと思います。
追記
以前はトピとは関係ないネタもよくコメント欄に貼っていたのですが、マナーが
悪いかな、と思い自分のブログのエントリにしてTBを打つことにしました。早速
打ってますがorz 気が向いたら見てやってコメなど残して下さい。
元外科医
宅直中は、勝手にやってるだけだから義務ではないので家で飲酒をしてもいいと言う解釈ですねw
素人の浅茅
http://www.e-roudou.go.jp/annai/kantokuk/20404/2040410/index.htm
第38条なんかいかがですかね。
(1)
対象業務 1、新商品、新技術の研究開発の業務 2、情報システムの分析、設計の業務
(略)8 、弁護士の業務(略)、19 大学での教授研究の業務
に1行 ○○医師の業務、と付け加える
または
労働時間、休日と休憩の適用除外(法第41条)
の改正
次の者には、労働時間、休日並びに休憩に関する規定は適用されません。
農業、水産業に使用される者
事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者(役職者すべてではありません)又は機密の事務を取り扱う者
監視又は断続的労働に従事する者(守衛、寮等の管理人・料理人等、または宿日直)で、使用者が所轄労働基準監督署長の許可を受けたもの
これに医師の宿日直(解釈しだいではまさに断続的労働への従事)を一筆ちょちょいと書き加え。
risyu
>飲酒した医師に診療させてはいけないのは常識
総理大臣以下、「医師は常識のない人が多い」と思っている訳ですから、医師に常識を求める方がダブルスタンダードでしょう。それとも診療させる体制にしている病院が非常識という意味でしょうか。それならそれで、病院に常識的対応を求めやすくなりましたね。
ところで「常識」、って官僚にしては甘いでしょう。1秒たりとも診察できないようにさっさと禁止しなさい、厚労官僚。大事なところでヘタレになるんじゃない。
卵の名無し
4月11日の算数エントリについてこちらに失礼してコメントいたします。
文中に”特別条項が適用できるの6ヶ月までの縛りがあります。6ヶ月はいつ適用しても構いませんから”とありますが、
平成16年4月1日からの改正点(平成15年10月22日付け基発第1032003号)
によりますと(長文引用乞容赦)
「「特別の事情」は、臨時的なものに限ること。
この場合、「臨時的なもの」とは、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要があるものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものであって、具体的な事由を挙げずに、単に「業務の都合上必要なとき」又は「業務上やむを得ないとき」と定める等恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの等については、「臨時的なもの」に該当しないものであること。」
とあります。
臨時的と認められる「特別の事情」の例として
予算、決算業務
ボーナス商戦に伴う業務の繁忙
納期の逼迫
大規模なクレームへの対応
機械のトラブルへの対応
が挙げられており、
逆に臨時的と認められないものとして
(特に事由を限定せず)業務の都合上必要なとき
(特に事由を限定せず)業務上やむを得ないとき
(特に事由を限定せず)業務繁忙なとき
使用者が必要と認めるとき
年間を通じて適用されることが明らかな事由
が挙げられております。
このうち、JOKE〜ショートショート系小説でありそうな、”大規模停電(またはそれに類する事件)があった十月後に出生数が大量に増加する”などのネタを除けば、出生数のレベルのは通年持続する(大きな変動がなく一定な)事態であるのは明らかではないでしょうか。
したがって、6カ月を使用者(または被使用者)の都合のいいときに均して割り振ることは法の精神から言って許容されないのではないかと愚考いたします。
卵の名無し
>厚労官僚。大事なところでヘタレになるんじゃない。
言っても無駄だと思う。末期症状にいたって本性が出てるだけだろうからwまったり花見劫w
nyamaju
>暇人28号さん
BPOに関しては、こんな記事もあります。
ぶっちゃけ、全く期待できないんじゃないですか?
ttp://news.livedoor.com/article/detail/4121921/
卵の名無し
ちょろりと聞いた話ではあるが、今回の件は不要な当直をあえて念のために引き受ける!というかなり余裕ある態勢であった。人手が足らないから呼ばれたわけでもない。
自分で「今日は当直」というスケジュールを自発的に組んでるのなら、その日くらいは患者に酒臭いと思われ通報される程飲むなってこってすな。やむをえない呼び出しと混同しちゃあかん。
tadano-ry
判決要旨だけ手に入りました。
◎宿日直(夜間休日)勤務
原告らは、産婦人科という特質上、宿日直時間内に分娩への対応という本来業務も行っているが、分娩の性質上宿日直時間内に行われることは当然予想され、その回数は少なくない。中には帝王切開術なども含まれ、治療も行っている。また救急医療を行うこともまれ
とはいえない。これらの業務はすべて1人の宿日直医師が行わなければならない。その結果、
宿日直時間中の約4分の1の時間は外来救急患者への処置全般および、入院患者にかかる手術室を利用しての緊急手術などの通常業務に従事していたと推認される。
原告らは、奈良病院から宿日直勤務を命じられ、勤務の開始から終了までの間、場所的拘束を受けるとともに、呼び出しに速やかに応じて業務を遂行することを義務付けられている。したがって、原告らは実際に患者に対応して診療を行っている時間だけでなく、診療の合間の待機時間においても労働から離れることが保障されていない。宿日直勤務の開始から終了までの間、医師としてその役務の提供が義務づけられ、同病院の指揮命令下にある。
◎宅直勤務
奈良病院では、救急外来患者が多く、産婦人科医師の需要も高いが、5人しか医師はいない。現実の医師不足を補うために、産婦人科医師の間で(宅直勤務制度が)構築されたものである。
しかしながら、宅直勤務は奈良病院の内規にも定めはなく、宅直当番も産婦人科医師が決
め、同病院には届け出ておらず、宿日直医師が宅直医師に連絡をとり応援要請しているものであって、同病院がこれを命じていたことを示す証拠はない。このような事実関係の下では、同病院の指揮命令下にあったとは認められない。したがって宅直勤務の時間は、割増貸金を請求できる労働時間とはいえない。
暇人28号
ちょっとここでは ずれた話ですが、
nyamaju様:
BPOに関して、
>ぶっちゃけ、全く期待できないんじゃないですか?
そんなことないと思いますよ。
--------------------------------------
BPO勧告でテレ朝社員処分
http://www3.nhk.or.jp/news/k10015542081000.html
テレビ朝日は、徳島県の土地改良区をめぐる横領事件を伝えた報道番組で、BPO=放送倫理・番組向上機構から放送倫理と人権にいっそう配慮するよう勧告を受けたことで、番組の担当部長ら7人を減給などの処分にしました。(略)
----------------------------------
医療訴訟でもそうですが、一つの懲罰でも精神面で現場の人間に与える影響力は計り知れないと思います。
とにかく声を上げること。これが一番大事なのだと思います。黙っているのはマスコミの思うつぼです。
彼らはマスコミ規制を回避するためにBPOという組織を作って「我々の業界には自浄作用が働いていますよw」というアリバイを作りたいだけ。だから、あまりBPOに意見が来るのは好ましくないし、BPOの存在というのはあまり公表したくないはずです。
BPOに意見を出すのは簡単です。テレビ報道で問題があったらぜひ気軽にBPOに意見して頂けるとありがたいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
http://www.houko.com/00/01/S25/132.HTM
放送法
第1章の2 放送番組の編集等に関する通則
(国内放送の放送番組の編集等)第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
ーーーーーーーーーーーーーー
ここに抵触する報道なんて山ほどあります。どんどん意見したほうがいいと思います。
暇人28号
nyamaju様:
BPOに関して、
>ぶっちゃけ、全く期待できないんじゃないですか?
もうひとつ。
本来BPOというのは放送をよりよくするために設立された団体ですから、もしもそれが形骸化しているのであれば、さらに規制が強まるだけです。現に私も、「そういう噂があるが本当か?それであれば国にマスコミに対する規制強化を求める」なんて意見を出しています。
もちろん、元締めである総務省にも意見を出すことが大事ですが、いずれにしても、声が大きければ国やBPO・マスコミも無視できずに対策に乗り出さざるを得ません。とにかく不当な報道と思われたらぜひBPOに意見をお出しいただいたほうがいいと思います。
・・・ただ一つ大問題が。
これを別の掲示板で言っていたら、
「だって、最近テレビなんてつまらないから見ないんだよね・・・」
まあ、これはこれでいいか(^^;)
関係ない話ですので、これで終わりにします。
京都の小児科医
tadano-ry様が出された下記ですが。。。
奈良病院ってオンコール代って給料に振り込まれないのでしょうか
無料で、宅直勤務ってありでしょうか
逆に病院の指揮命令下と認められる病院もあると思いました。
>◎宅直勤務
奈良病院では、救急外来患者が多く、産婦人科医師の需要も高いが、5人しか医師はいない。現実の医師不足を補うために、産婦人科医師の間で(宅直勤務制度が)構築されたものである。
しかしながら、宅直勤務は奈良病院の内規にも定めはなく、宅直当番も産婦人科医師が決
め、同病院には届け出ておらず、宿日直医師が宅直医師に連絡をとり応援要請しているものであって、同病院がこれを命じていたことを示す証拠はない。このような事実関係の下では、同病院の指揮命令下にあったとは認められない。したがって宅直勤務の時間は、割増貸金を請求できる労働時間とはいえない。
n
>卵の名無しさん
彼は不要だったと言いたくなる人が出てくる気持ちも分かります。当直料として年間1000万円出ていたそうですし。『不眠不休の当直』という勘違い業務をさせられている側から見れば、あの副院長は『当直なのに滅多に夜に働かない』という不公平感に繋がるとは思います。建前で言うなら、副院長の方が本来の正しい姿ですが。
ただ、年間1700分娩の病院で当直1人+宅直1人で「余裕」なわけないです、常識的に考えて。通常、同規模・同レベルの病院は
http://www.asahi.com/health/news/TKY200810240304.html
こうなってます。「当直1人でも余裕だった」というのなら、この病院が余程周産期センターとしての働きをしていないのか、この病院が余程副院長の働きを過小評価しているか、どちらかでしかないと思います。年に例え数回だろうと、彼がいるかどうかの差で患者の運命が大きく左右される場面は必ず出てくるはず。
それに、結局この副院長先生は、自宅でもお酒を飲まなくなったわけで、それが物語っているんじゃないですか。彼の当直が本当に無駄で、お金の為だけに病院にいた、というのなら、当直を減らされれば、お酒の量が増えることはあっても減ることなんてないはずです。それが逆に家でも飲めなくなった、というのは、滞在場所が家にいるか病院にいるかなんて、本質的には些細な違いであり、結局本人の心構え的に24時間365日自宅待機、毎日急変に備えている状態なのは変わらないってことだと思います。
飲酒したまま当直を名乗るのは、世間でもはや通用しない、というのは、ことさら強調しなくても、病院も副院長本人も今はそう考えてるようですが、その建前の結果がこれかよ、という気がしなくはないです。
卵の名無し
>当直料として年間1000万円出ていた
ここに産科医ならでは(出産育児一時金40万円)の、妙手の妙手たる所以がありますねw
2009-04-21 うわぁ、辛辣
天漢日乗様の「マスコミたらい回し」とは?(その138)もし記者が取材中に倒れたとして、そばにいる他人が迅速に救命措置をすぐ取ってくれると信じているとしたら不思議が辛辣だったので紹介しながら考えていきます。題材になったのは宮崎での「たらい回し」記事です。天漢日乗様にならって4/17付西日本新聞を引用します。
6病院が拒否、死亡 救急搬送、心肺停止の男性 宮崎県日向市
宮崎県日向市で乗用車を運転中に心疾患を起こしたとみられる同県門川町の男性(65)が同市内の6カ所の病院から救急搬送の受け入れを拒否されていたことが17日、分かった。男性は約一時間半後に別の病院に運ばれたが、死亡が確認された。同市消防本部が明らかにした。
市消防本部などによると、今月4日午後7時40分ごろ、日向市日知屋で通行人が脱輪した車を見つけ、119番通報。救急車が約8分後に到着したが、運転席にいた男性はすでに心肺停止状態で、救急隊員が心臓マッサージをしながら搬送する病院を探した。
しかし、同市内で救急病院の指定を受けている3カ所の病院から「重症者用ベッドに空きがない」などとして受け入れを拒否された。このため、日向市から離れた県立延岡病院(延岡市)に連絡。受け入れる意思は示されたが、搬送時間がかかるため、まず日向市内で探すよう求められ、再び同市内で受け入れ病院を探したが、別の3カ所の病院から断られたという。
最終的に男性は現場から約15キロ離れた同市立東郷病院に運ばれたが、午後9時15分、急性心不全で死亡が確認された。同市消防本部は「搬送の遅れと、死亡との因果関係は分からない」としている。
まず死亡された男性の御冥福をお祈りします。この記事によると患者は乗用車を運転中に心疾患を発症し、どうやら意識を失って道路横の溝にでも脱輪したようです。本当に心疾患かどうかの確認がどれほどなされたのかわかりませんが、病院での死因は「急性心不全」にはなっていると考えても良さそうです。ここでなんですが、記事は
今月4日午後7時40分ごろ、日向市日知屋で通行人が脱輪した車を見つけ
記事の表現を素直に取れば、患者が発見されたのは「脱輪した車を見つけ」であり、事故直後に119番通報されていないと考えられます。事故後のある程度経った時間に、通行人が「脱輪した車」を不審に思い、覗き込んだら中に人が倒れていたのを発見して119番通報が行なわれたとも考えられます。そこから救急車が駆けつけたのは、
救急車が約8分後に到着した
ここは記事情報に従って急性心不全としますが、時間関係をまとめると、
時刻 | 経過 |
19:40分以前 | 患者が急性心不全を起こし、乗用車が脱輪。何分前に脱輪したかは不明。 |
19:40 | 通行人が「脱輪した車」を発見、119番通報 |
19:48 | 救急隊到着、心肺停止状態である事を確認する |
どこから患者が急性心不全から心肺停止状態になったかの正確な証拠はありませんが、脱輪事故を起した時点でそうなっていたと考えても妥当性を欠きません。脱輪事故を起した直後はまだ心肺停止状態でなくとも、そこから非常に早期の時期に心肺停止状態に陥っていたと判断してもおかしくも何もありません。脱輪事故を起した時刻が不明ですから、救急隊が駆けつけた時には心肺停止状態なってから、少なく見積もっても10分以上は経過していたとしても良いと考えます。
この救急医療での心肺停止状態ですが、若干の作為が含まれています。医療慣行みたいな側面もあるのですが、心肺停止とは心臓の動きも停止し、呼吸もしていない状態です。ちょっと説明が煩雑になるのですが、心肺停止状態のままたとえば一晩経過したら、これは誰が判断しても「死んでいる状態」です。一方で心肺停止状態から早期であれば仮死状態の可能性が残り、これは仮死だから「死んでいない」として治療の対象になります。
どれほどの状態や時間で救急隊が「死亡」と「仮死」を判定しているかは存じませんが、実運用上はかなり長い時間範囲で仮死状態の心肺停止状態として扱います。さらに「仮死状態の心肺停止状態」でも救急隊の判断は2つに分かれます。救命の可能性がそれなりにある状態と、極めて低い状態です。これも簡単に分類すると、
- 心肺停止状態であり完全に死亡した状態
- 心肺停止状態だが仮死の可能性がある場合
- 救命の可能性がある場合
- 救命の可能性が極めて低い場合
「死亡した状態」であれば医療機関には搬送されず、警察が不審死として捜査の対象になります。残りの仮死状態の時が医療機関の出番となります。仮死状態として医療機関に搬送するメリットは、結果として蘇生できなくとも、医療機関で死亡が確認されるまで患者は仮死状態つまり死んでいない状態であり、医師が死亡宣告をして初めて死亡とされることです。これは医療機関での死亡ですから、病死として扱える事です。
これも医師法21条の問題が出てくるので問題は複雑になるのですが、その点は今日は置いておいて、医療機関内の病死として処理できるのは手続き上の負担がかなり違うと言う実態があります。なんとなく違和感を感じる医療関係者以外の方もおられるでしょうが、現場はそんな感じで運用されています。
手短に心肺停止状態と救急搬送の関係を説明しようと思ったら、いつもの通り長い説明になってしまいしたが、宮崎の件はどの心肺停止状態に該当するかです。心肺停止状態は様々な器官に悪影響を与えますが、とりあえず脳への影響を一番考えます。心肺停止後10分以上になると奇跡的なケースを除き、蘇生が出来ても深刻な後遺症が残ります。宮崎の場合であれば、最低限、救急隊の心肺蘇生処置で心拍の回復が無いようならそれだけで状況は深刻です。心拍の回復があっても深刻なことは変わりありません。
記事を読む限り心拍の再開はなかったようですから、救急隊は救命の可能性が低い心肺停止状態であると判断した可能性はあります。天漢日乗様は2chソースの情報から「そうだ」としていますが、心肺停止後の時間経過からしても矛盾する判断ではありません。ところがその日は運悪く、どこの病院も患者を受け入れる余裕がないという展開になります。
こういう事がどれほどの頻度で起こるかは消防庁の平成20年中の救急搬送における医療機関の受入状況等実態調査の結果にまとめられています。宮崎県の重症以上傷病者の搬送状況を確かめれば、
照会回数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 総搬送件数 |
搬送件数 | 3558 | 459 | 127 | 68 | 26 | 18 | 4 | 2 | 1 | 4263 |
記事では
6カ所の病院から救急搬送の受け入れを拒否
こうなっていますから、最終的に受け入れた病院を含めて7回以上の照会回数があった事になります。7回以上の照会回数は重症以上傷病者の総搬送件数4263件のうち7件です。発生率として0.16%になり、まさしく運が悪かったとしか言い様がありません。
あくまでもちなみにですが、宮崎と違って典型的な大都会である首都東京ではどうかと言うと、総搬送件数は42515件、7回以上の紹介を必要とした搬送事例は1338件、発生率として3.15%になり宮崎の約20倍の頻度で起こっています。これもまたちなみにですが、宮崎の最大照会件数は9回ですが、東京では21回以上だけで56回、発生率は0.13%になり、これはおおよそ宮崎の照会数7回以上の発生率に匹敵します。
事件の真相と言うほどのことはありませんが、あくまでも記事情報から考えると、
- 患者は不幸な事に急性心不全により急死していた
- これを蘇生の可能性は低いが心肺停止状態の仮死として病院に搬送しようとした
- たまたま東京の1/20ぐらいでしか発生しない搬送困難事例になってしまった
こういう搬送事案であったのに、なぜか報道記事になります。これについて天漢日乗様は、
なぜ、救急隊が
明らかに脳死のタイムリミットを過ぎていると思われる、蘇生が絶望的に難しい患者さんの搬送を「救命可能なニュアンス」で公表
するのか、甚だ疑問で、要するに
今後は搬送依頼内容を病院に信頼されなくても構わない
ということなんだろうか。
この手の
救急隊が自分たちは「最善を尽くした」とポーズを取って病院を非難させることになる公表
をするのは、なにかしら原因があるだろう。
年度初めの事例なので、いろいろと考えてしまうな。まさか、消防本部のトップなどエライ人が代わったばっかりだったとか、そういう「政治的理由」じゃないだろうな。
情報として消防本部が独自の判断で発表したのか、それとも他の理由で発表せざるを得なくなったのかを判断できるソースがありませんから、天漢日乗様がされたようにストレートに消防本部が責任転嫁のためだけに発表したかまでは言えませんが、記事は搬送受け入れられなかった病院を責める論調になっている事は私も感じます。それにより受け入れ側の病院が救急隊に対しあまり良い感情を抱かないだろうことは同感です。
発表の経緯については情報不足ですからこの程度にしておきますが、天漢日乗様はこういうケースがマスコミ関係者に起こった時について考察されています。
で、非常にこれも疑問なんだけど
しつこく取材活動をしていた記者が突然倒れた場合
に、
すぐに救命に当たってくれる「親切なヒト」は現れるか
心肺停止状態になった時に重要なことはいかに素早く心肺蘇生に取り掛かれるかになります。時間が非常に重要であると言う事です。迅速に蘇生処置をしても必ずしも助かるわけではありませんが、迅速な蘇生処置が無ければ絶対に助かりません。これを行なえるのは医師を始めとする医療従事者か、心肺蘇生の技術を持つ「親切なヒト」になります。ここで「親切なヒト」への心配点を天漢日乗様は指摘しています。
しかし、日本には
善きサマリア人の法
はない。「善きサマリア人の法」は、よく知られているように
善意を以て救命活動に当たって、不幸にも失敗した場合、救命に当たった人はその結果の責任を問われない法
のことだ。これは日本では認められていない。
だから、救命活動をして、助かればいいけど、もしも助からなかったり、重い脳障害などがのこったら、
救命活動をした人が「適切な救命活動をしなかった」として訴えられる恐れ
があるのだ。
日本には良きサマリア人の法はありませんが、それに類するような法があったはずです。類すると言うかそういう緊急避難の時には責任を問われないとか何とかの法であったと記憶しています。ただアメリカの良きサマリア人の法に較べると適用の敷居は少々高かったはずで、民事としては訴えられる可能性は否定できません。訴えられた上で個々の事例に関して判断するみたいな感じでしょうか。
マスコミ人は身内に甘い上に、何かあれば
自分の所属するメディアをフル回転してキャンペーンを張る
ことも、一般市民では到底できない力業で
警察を動かす
ことも、みんな知っている。
目の前でぶっ倒れている記者を助けようとして、
もし、助からなかったり、よくない結果だったら、次に何が起こるか
は、これまでの例が示している。
少なくとも、善意で救命活動をした人が、イヤな思いをすることは間違いない。
「親切なヒト」が心肺蘇生にあたり、無事救命できたなら飛び切りの美談として報道されるでしょうが、心肺停止からの蘇生はそんなに甘いものではありません。当然のように救命できなかったり、救命できても重い後遺症が残ることも十分にありえます。家族が怒るのはここでは置いておくとして、マスコミが身内としてどれだけの社会的制裁に行動するかは容易に想像がつくとしています。まあ、そういう風にならないとはマスコミの行動原理を見ていると否定できないと私も思います。
そうなると次の展開として、
不健康な毎日を送る記者達が、ある日突然現場で倒れたら、誰か助けてくれるだろうか。
今のような
医療行為が成功して当たり前、失敗したらそれは「法に照らして処罰の対象」もしくは「社会的制裁を加える」
という報道姿勢が続く限り、
失敗するくらいなら、救護できないと手を出さない方がマシ
と、周囲の人が思っても仕方がないだろうな。
これは前に旅客機などの中で急病者が発生して「お医者様はいませんか」に対し応えるかどうかの問題として提起されていました。そういう提起にさらにマスコミ関係者のファクターが加わる設問になるかと思います。この点についても天漢日乗様は辛辣で、
マスコミ関係者は
自分は、一般市民には信頼されてないかも知れない
とは、一度も考えたことはなさそうだ。もし、
信頼
があるとすれば、それはまず
社名に対する信頼
であり
名刺に対する信頼
だ。
名刺は命までは保証してくれないだろう。
ここまでの事は私は言い難いので、天漢日乗様の言葉を借りる卑怯者です。どうしても医療者なのでこれも天漢日乗様の言葉を借りると、
ま、日本人はお人好しが多いから、救命した人が恨まれるかも知れない危険があっても、それを顧みずに救命措置を施してくれる人は現れるかも知れないけどね。
こういう「お人好し」の行動に走ってしまいそうですが、医療者だから永遠にお人好しかどうかは別問題です。最低限白衣を着て医師として仕事をしている限りは、お人好しであるのは間違いありませんが、プライベートでも無条件にお人よしであるかどうかは難しい時代になってきています。今はまだ大丈夫でしょうが、10年とか20年単位でなく、ほんの数年先でもどう変化しているかなんて誰にも予想できません。
誰もが心肺停止状態に対し心配停止状態になるような時代は来て欲しくないものです。(〆がオヤジギャグになってしまった・・・反省)
暇人28号
一般の方に補足します:
院外で心肺停止になった場合、神経学的な後遺症がない割合は(要するに松村邦洋氏のように完全に元通り復帰出来る出来る確率は) ・・・・ 1−3%です。
過半数はやはり何をやっても死亡しますが、確か10−30%ぐらいは命は助かるわけです。
では、完全回復以外の人たちはどうなるか、といえば、脳梗塞と同じように手足の麻痺が残ったり、寝たきりになったり、いわゆる植物状態になったりするわけです。
暇人28号
途中で投稿してしまった。
普段、元気に生活している方々はこのような障害を持った方々を見る機会はなかなかありません。 ・・・当然です。なかなか外出しませんしね。家族は隠したがりますし、外出させるのも一苦労ですから。
そして、その様な方々に対して莫大な医療・介護費用がかかるわけです。
日本ではこのような話をすると、「命は地球より重い。お金のことなんて言うな」と言論封鎖をしますが、現実にはお金がかかるのです。
そして、そのようなことを言う方々に、「そんなに命が重いのなら、医療・介護のお金を出してよ」と話すと、「そのようなことは自分たちで考えろ。俺たちは自分たちの生活で精一杯なんだから、人のことを構っている余裕はない」とくるわけです。
元もと保健所長
医療機関側の「防御力」が上がり、マスゴミやハイエナどもの矛先が救急搬送に向けられつつあるなかで、起こるべくして起こった不幸な「事件」ですね。
消防としては非難を受けないよう先手を打ったつもりでしょうが、これで宮崎県の医療と救急との信頼関係は木っ端微塵に吹き飛んだわけです。
あとはリアルに「犠牲者」が出るのをワクワクしながら待つだけです。
H(エッチ!)知事も、「宮崎で倒れたら助からない」という評判が立つのを防ぐ努力をしてみたらどうなのでしょうかね。
なんちゃって救急医
>「親切なヒト」が心肺蘇生にあたり、無事救命できたなら飛び切りの美談として報道されるでしょうが
ある芸能人は、東京マラソンで、心肺停止に陥ちいり、「親切なヒト」によって無事救命できました。
マスコミは、その芸能人が倒れたこと自体は、さかんに記事にしましたが、
無事退院できたことは、飛び切りの美談として、大々的な報道はされていません。
AEDが普及し、院外心肺停止の救命例も、あたりまえでニュースバリューに乏しくなっているのかもしれません。むしろ、今後は、「AEDがあれば救命できたかもしれない」という美談はおろか、批判の記事が主流になるのかもしれません。
報道業界には、批判をすることが使命という、価値観に支配されているのでしょうか?
通りすがり
昨日見たテレビ番組で遺族の方が
「新聞記者の方が教えてくれなければどういうふだったかも分からなかった」
と仰ってたのでずいぶん親切な新聞記者の方からご遺族にご注進があったのでしょう。
僻地外科医
>暇人28号先生
>過半数はやはり何をやっても死亡しますが、確か10−30%ぐらいは命は助かるわけです。
いや、さすがにそんな立派な数字じゃないですよ。心肺停止から2分以内にCPR(心肺蘇生術)が施行されたとして社会復帰率(不完全を含む)30%、すべての事例を合わせた長期生存率(1ヶ月以上の生存率)は救命センターレベルで5%そこそこです。心拍再開率ですら救命センターのアンケート調査で24%というデータがありますので(もちろん、このうちの大多数は亡くなる)、さすがに10〜30%が助かるは言い過ぎでしょう。
tadano-ry
テレビ、私も見てました。
当直明けのボーッとした頭で朝飯食べながら他局も見てました。
いろいろな話を総合すると
・亡くなられた患者さんは狭心症の既往あり
・救急隊現着時はasystole(AEDの適応無し)
・まず二次救急3ヵ所に連絡。この3病院は輪番制を取っていたが、このうち2病院が
撤退、なんと残り1病院で夜間休日を回していた。
・県立延岡病院は三次で受け入れ可能だが、現場から20キロ以上あるためできれば近くを探すように指示。
・その後別の3病院をあたったとあるがこれは一次救急
・そのまんま知事は当たり前のように「たらいまわし」
・その筋では有名な「カメラマン兼医療ジャーナリスト」が何か言っておられた
・遺族は「廊下に寝かせてでも処置して欲しかった」と。
まだ医師になって一年しか経ってませんが、テレビを見ただけで現着時既に死亡、
確認のみのケースの可能性が極めて強いと考えました。おそらくAMIでしょうね。
暇人28号
僻地外科医様:
心拍再開率とごっちゃになっていたかもしれません。補足ありがとうございました。
暇人28号
tadano-ry様:
私が医師になったばかりの10数年前は牧歌的な状況でしたので、死亡確認のために気軽に引き受けることもしていましたが、昨今は要求レベルも上がってきたので、ある程度のことができる医療機関でないと気軽に引き受けられませんよね。
(ここ6−7年救急医療から遠ざかっているので現状は知りません)
加古川心筋梗塞訴訟の影響が大きいなあ。
>・遺族は「廊下に寝かせてでも処置して欲しかった」と。
はあ?
もしも本当にそんなことでもして死亡したら、「なんできちんとした設備がないのに引き受けたんだ。もしもそれがわかっていたら別の医療機関に受け入れをお願いしたのに」となっていたんじゃないのですか?
こういうときは、「きちんとした受け入れ態勢が整備できないから引き受けられません。」とするべきでしょう?それが今の世論・法曹界の要求ですし。
tadano-ry
僻地外科医さま、暇人28号さま
こないだまでER型の救命センターで研修してました。元統計のプロと言うことを向こうは
ご存じで、過去10年間のデータ整理を頼まれました。HPに記載したり、学会発表のデータに
されるとのことで、受診前の既往歴からリスクファクター、来院時の状態や治療、予後、
すでに公表されている他施設や全国平均のデータとの比較など、かなり綿密なデータ処理や
統計学的分析(とにかく穴の無いように、という依頼だったので)をしてきました。ちゃんと手当も出してくれて、ちょっとした額でした。
そこの自験例では長期生存率5.5%、(うち重度障害4.8%,軽度障害0.5%,障害無し0.2%)、
心拍再開率32%でした(掲載にあたっては、所長に公表の許可を頂いております。もうHPや
地元の自治体、学会などに公表済みで問題ないとのことです)。
Yosyan
>その後別の3病院をあたったとあるがこれは一次救急
これも救急隊の判断がにじみ出ているように思います。お看取り儀式だけなら一次救急でもOKじゃないかの考え方です。もっとも「たらい回し」事例では、ある一定の回数に達すると絨毯爆撃のように無差別照会になることも多く、姫路の事件ではビル診の無人の診療所にまでコールをかけていましたから、その点はなんとも言えない所です。
それと暇人28号様の指摘も意味深長です。患者は患者としてお看取り儀式であっても、患者家族がどう動くかは昨今の医療情勢から薄気味悪いところです。毎回テンプレのように出る、
>廊下に寝かせてでも処置して欲しかった
これも本当に廊下に寝かせてお看取り儀式をやったらどうなるかに、頭を巡らさない医師はいないでしょう。お看取り儀式でなくてもそうです。遺族の希望通りの廊下治療をしても、それで満足されるかどうかはロシアンルーレットの世界です。何発弾丸が入っているかはご想像にお任せします。弾丸が入っていないところがあれば良いのですが・・・。
信仰告白
こういうのって、CPAOAって言うんでしたよね。
tanano_ry先生のあげられた数字って、素人にはけっこうびっくりで、病院の外で心肺停止になっても、病院にかつぎこみさえすれば、3人に1人は心臓が再び動いて(ドラマであるような「お前のおかげでいい人生だった」と言うことはないでしょうけれど)、20人に1人が助かって、500人に1人がぴんぴんしているのであれば、やっぱりかつぎこみましょう、と思ってしまいます。
信仰告白
連投すみません。
上の数字は、>>ER型の救命センター という人も設備も整った病院でのことですよね。日本の病院全体では、どのくらい落ちるものでしょうか? また、3次の救急救命センターを本来どおり充実するには、どの程度の医師増員=経費アップ、これを2次レベルにまで広げるならどの程度必要になるのか ということもあわせて考えてしまいます。
Seisan
東京マラソンでぶっ倒れた某肥満芸人(≠芸能人でしょ?)は、都知事にも呆れられてたけど(お友達らしい)、もし、あれで後遺障害が残ったらどうなってたんでしょうね。
もちろん、テレビ番組の一環での参加ですから、常にスタッフは付いていたようですが。
1)東京都のマラソン参加者に対する緊急対策の不備を徹底的に追及する
2)某肥満芸人の自己管理の不足をあげつらう
3)どう考えても無理がある肥満芸人のマラソン出場を要求した番組制作会社を攻撃する
4)その場に駆け付けた救急隊員の救命処置に問題がなかったかあらさがしをする
まあ、こんなところですかね。
ところで、信仰告白様
「500人に1人がぴんぴんしているのであれば、やっぱりかつぎこみましょう、と思ってしまいます」
問題は残りの499人が「こんなになっちゃったのはオカシイ。医療ミスじゃないか」と考えることなんですよね…
僻地外科医
>信仰告白さん
うちの病院は常勤医3名のど田舎小規模公立病院(3次病院まで救急車で約1時間)ですが、平成14年(消防と私で搬送症例の事後検証を始めてから)の院外心肺停止事例は65例、うち、長期生存3名(完全社会復帰2名、軽度障害社会復帰1名)です。従って救命率は4.6%になります。また、長期生存した方は全例bystander CPR(発症時そばにいた人による心肺蘇生術)が行われたものです。
このデータの示しているものは「ある程度以上の救命処置の力(ACLSレベル)がいるスタッフがいれば、僻地でもそこそこの救命率は上げることが可能」、「救命率を最も左右するものは救命センターのあるなしではなくbystander CPRである」ということじゃないでしょうか?
ですから
>病院の外で心肺停止になっても、病院にかつぎこみさえすれば、3人に1人は心臓が再び動いて
これは間違いで、病院外で心肺停止になったら担ぎ込むよりまず1次救命処置を行う、ということじゃないかと思います。
僻地外科医
訂正
平成14年(消防と私で搬送症例の事後検証を始めてから)の ×
平成14年(消防と私で搬送症例の事後検証を始めてから)からの ○
です。
うちの病院で年間65名もCPAOAがいたら大変だ・・・汗
saki
ごくごく一般的な市民には
蘇生後に後遺症が残るなんぞというのは全く考えられないことでしょう。
『うちのおとーさんを何でこんな体にしてくれた!』
ということになるのが関の山かと。
本来ならばマスコミには国民の医療に対する意識改革の大事な一役を買っていただきたいところですが残念ながらミスリードによる医療崩壊の役目こそするものの、未だに再建の手助けをする兆しすらありません。残念なことです。
なっく
>>信仰告白さま
だいたい助かるパターンってのは
日中(これ大事)誰かの前で急に倒れる→びっくりするもすぐに心臓マッサージ開始、同時に救急隊連絡→マンパワーのある病院(救命センター、日中の大病院)に搬送→すぐに医師がわらわらと集まりよってたかって蘇生
こんな感じだと思ってください。
逆にダメなのは
夜間、いつの間にか倒れているのを発見→びっくりして救急隊に連絡するも蘇生処置なし→夜間のマンパワーのない病院に搬送(多分マンパワーのあるとこに送っても結果は変わらないと思われ)→すでに蘇生に反応せず
こんな感じですかね。
Bugsy
>発見時から救急隊現着まで8分。
まずは早いほうですね。しかしながら その時点で心停止。
残念ながら それまでにCPRしていない限り、心拍再開しても脳死は確定的と理解すべきでしょう。無論例外的な蘇生例はあるでしょうが。
そもそも救急隊には 警察を呼んで検死を依頼する権限はないから いったんは限りなく「ほやほやの死体」に近い状態でも病院に搬送せざるをえないんでしょうか。
救急隊の依頼も、死亡確認だけしてください、であればオイラも脊髄反射で引き受けたことはあります。
おそらく受け入れた病院もあったかもしれません。
「心肺停止でCPR中だけど 患者の蘇生」を求められたら ちょっとたじろぎますね。
>過半数はやはり何をやっても死亡しますが、確か10−30%ぐらいは命は助かるわけです。
うーん。仮に心停止後8分たった後のCPRでも同じ数字が出てくるでしょうか?
限りなく0%に近いんじゃないでしょうか。自分は統計データは持ち合わせませんが。
僻地外科医
>なっく先生
>日中(これ大事)誰かの前で急に倒れる
禿同。ちなみにうちで助かったのも3例とも日中でした。
ミヤテツ
先日きたMMJの世界の医学誌からに、JAMAの論文で病院外心停止における蘇生中止基準の妥当性という、蘇生処置を中止する基準が出ていました。
対象はアメリカの8都市での2005年10月1日から4月30日までの成人の病院外心停止例7235人中組み入れ基準を満たした5505人、後ろ向きコホート研究だそうです。
BLS(一次救命処置)では救命医療サービス従事者による目撃のない心停止例・現場が病院外でAEDや手動式除細動器が使用されていない例・病院外において自発循環の回復が見られない例この3基準を全て満たした場合、生存退院したのは5/2587(0.2%)で、中止判断基準として妥当と紹介されていました。
ですから、この例は、医療資源の浪費を防ぐという観点から病院に運ばずその場で検視すべき例と思われます。
慶応義塾大医学部救急医学准教授の堀先生が日本ではこの0.2%の生存退院が問題となるかもしれないとコメントされていました。
信仰告白
Seisan先生、僻地外科医先生、なっく先生
ありがとうございました。
病院にかつぎこむより、一次措置が重要だというのは、もっと強調すべきことですね。学校でも、人工呼吸とか心マのやり方よりも、その必要性を教えるだけでいいのにですね。
bystander CPR も初見ですが、使わせていただきます。
おそらくかつては500人に1人も助かっていないでしょうし、bystander CPRが強調されることもなかったでしょうから、医療の進歩と啓発活動が広がっていると考えております。
信仰告白
tadano-ry先生。お名前間違え失礼いたしました。
通りすがり
ミヤテツさま
「助かってる0.2%を無視するのか!」と騒ぐ輩の事を心配されてるのでしょうね。
暇人28号
正直なところ、道端の心肺停止の人に対して心肺蘇生(いわゆるBLS(basic life support)はしたくないですね。特に最近の訴訟がらみで考えると。以前だったら使命感に燃えてそんな現場には首を突っ込みましたが、最近は萎えました。どうしても最悪のことしか考えなくなりました。
・医療従事者がBLSをして、もしも助からなかったら
「もっと適切なBLSをしていれば助かったのにそれを怠ったから死亡した。損害賠償w」
・救命できたとしても、少しでも後遺症が残ったら
「もっと適切なBLSをしていれば後遺症など残らなかったのに。損害賠償w」
・昨年のAHA(American Heart Association、アメリカ心臓病学会)でもBLS時の人工呼吸は中止になりました。日本の疫学調査で人工呼吸を受けると死亡率が上がるとの結果が出ましたので。
それに習って人工呼吸をしなくて死亡・後遺症が残ったら
「AHAでそういうことを言っていてももしかしたら人工呼吸をしていれば助かったかもしれない。損害賠償w」
・ 反対に人工呼吸をしていて、死亡・後遺症なら
「AHAでは人工呼吸をおこなうべきではない、となっているのに、あえて人工呼吸をしたのは過失だ。損害賠償ww」
・・・・もうきりがありません。何をしても、患者さんに不利益が発生したらすべてこちらに刑事・民事双方の責任が負わされかねません。それを考えたら何もせず通り過ぎるのが吉かと思うようになりました。
TOM
先日航空宇宙医学の先生のお話を聞く機会に恵まれました。その中で航空機内でのドクターコールの件についても触れられ、日本人医師は他国医師に比し、手を挙げる人の率が高い旨伺いました。
2004年のある病院での日本人医師アンケート結果はたとえばココ↓
http://plaza.umin.ac.jp/~GHDNet/04/samaritan/
にありますが、何分ちょっと古いのと母集団が一般的でないのと、あと外国人医師のデータを見つけられなかったので私としてはウラは取れてません。
でもその演者の先生曰く、「いろいろ知ってるので、自分は手を挙げる勇気はない」との事でした。私もありません。
もし道ばたで心肺停止の人を見かけたら...
身内→必死でCPR
知人友人→たぶん頑張ってみる
他人→ためらう、でも恐らく手を出さない
マスコミ人→笑って通り過ぎる
ただし、秋葉原事件みたいのは脊髄反射しちゃうだろうなぁ。
元外科医
0.2%の生存退院って、要介護5のいわゆる植物状態で在宅に出されただけではないでしょうか。社会復帰と書いていませんよね。
あと、こういった生死の境での戦いは結果で物事を語ってはイクナイと思うよ。
とおりすがる
あまり指摘する人がいませんが、「心肺停止からの奇跡の生還」のなかには、実際には心肺停止が正確に確認されていない症例がかなり紛れ込んでいると思います。特にby-standerがCPRを開始した例など、倒れてまわりがびっくりしてCPRを開始して、そのときはみんなあわてて脈もよく分からなかったので心肺停止だったになってしまっているんだけど、実際は心肺停止じゃなかった症例が予後がいいのは当たり前で・・・。救急センターなんかの統計での院外心肺停止の定義はきっちりされているのかもしれませんが、特にマスコミで語られる心肺停止状態からの生還はけっこういろいろな症例が混じっているようにみえます。
もにょ
飛行機内でのDr.コールに名乗り出るかどうかというような話になったときに、自分は出ないと思うと言ったら、年配の先生(定年間近)に色々とお説教を頂きました。その先生曰く、訴訟の心配なんぞ実際に訴えられてからすればよい、とのこと。
お説ごもっとも、と拝聴しながら、このテンションの差は何なのだろうと考え込みました。ネットから情報を得るかどうかの差と言ってしまえばそれまでですが、手に入れる情報の内容がポイントなのかな、と思います。
仮に医療者から見て「これは理不尽だ」と思うような判決があったとしても、それが報道された時の市井の人々の反応が「これは理不尽」「遺族は気の毒だがこれは無い」というようなものであれば、医師はある程度心強かろうと思うのです。こういった訴訟は特殊な例なのだと思えるからです。
ですが少し前までは、ブログ等で見られる意見といえば医師側に対してネガティブなものが殆ど(最近はかなり変わりましたね)。ああ、皆、訴訟まではしなくても内心は同じように思っているのか…と、今よりナイーブだった自分はショックを受けたものです。
年配の先生にはこの体験が無いのだと思われます。訴訟については新聞等で知る事があっても、ネットを駆使しなければ、人々のそういったネガティブな反応を目の当たりにする事は無いでしょうから。
個人的には、そういった反応を示す人たちを責める気にはなりません。むしろ今までの医師が思い上がっていただけと解釈しています。本当はモテないのに勝手にモテると思い込んで、あれこれ勘違いした行動を取る人みたいなものです。ネット以前は情報が無かったのですから勘違いするのもある程度仕方の無い事で、これまた先輩方を責める気にもなりません。が、知ってしまった自分としては、やっぱり飛行機では大人しくしていよう、というのが正直なところです。たとえ、ネガティブな反応をする人の声の方が目立つだけだとしても、もう勘違いしていた頃には戻れません。
マスコミの報道の仕方については敢えて申しません。あれも需要と供給のバランスで決まるもので、読む側の願望と無関係ではないでしょうから。
卵の名無し
>マスコミの報道の仕方については敢えて申しません。あれも需要と供給のバランスで決まるもので、読む側の願望と無関係ではないでしょうから。
需要と供給のバランスで決まるのはタブロイドやゴシップ記事であって、読む側の願望に無関係に事実を伝える「報道」とは対極の位置にありますね>日本マスゴミ
ys
>飛行機内でのDr.コールに名乗り出るかどうか
搭乗前にビールでもいっぱい引っかけておいてはいかがでしょう。飲酒しての診察は「あまりに常識外れ」という厚労省のお墨付きもいただけたのですから。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200904200006.html
卵の名無し
>厚労省のお墨付き
そんなところでもまたまたやらかしましたかw
しかし数あるへぼ手の中から選りにも選って特大場外ホームラン級ののへぼ手をを選び出して打つことにかけては前代未聞、空前絶後クラスですねw>厚労省
暇人28号
ただでさえ日本人というのは本人に面と向かって批判するのが苦手な民族なのに、医師に抗議するのは非常に勇気のいることです。ですから、医師に文句があっても直接言うことはごく稀で、看護師さんや受付事務さんたちに八つ当たりする方も珍しくありません。医師というのは直接の抗議に対してうぶだったのです。
(ただし、医師同同志の間で、特に先輩後輩の間柄では結構ありましたけどね)
それがネット時代になり、非医療従事者の中に潜んでいた医師に対する妬みや攻撃性を垣間見れるようになりショックを受けているわけです。
でも、腹の内が分からない相手ほど怖い相手はいませんから、実は周りはこのように思っていたのだと分かったのは意外と収穫だったりするわけです。
と同時に、今まで医師に対して敵対する人はいなかったが故に、患者さんに優しくなれ、無料奉仕が可能だったわけですが、患者・家族の心の奥底を想像することができるようになった結果疑心暗鬼に陥ることになり、無料奉仕はできなくなり、法律に則った対処が必要になり、必要な対価を払ってもらう必要が出てきたわけです。
まあ、医師が普通の人としての感覚に近づいた結果が今の医療崩壊である、と考えるとすべて辻褄が合うわけです。
TOM
さっき挙げたのよりもっと古いデータですが、2001年の報告で
http://www.jstm.gr.jp/mebio200102_3.pdf
の表3、フライト中の全日空機内でドクターコールに対して医師が申し出た率がざっと60〜70%(1993-1997データ)。全日空のデータで国内線も含まれますから、おそらく大半は日本人医師でしょう。
最新のデータは持ち合わせていないので今はどうなのか解りませんが、この10年で医師の心に何が起きたか、ちょっと回顧っちゃうデータでした。
TOM
連投スマソ。念のため、↑のデータは「機内でドクターコールがかかった100事例の内、1人でも医師が申し出たのが60〜70件」であって、「100人の医師の内ドクターコールに応需したのが60〜70人」ではないのでそこんとこよろしく。
あとアメリカの医師免許って見たことないんですけど、自動車の免許証みたいに可搬性があるものなんだそうで、ドクターコールに応じた際にも免許を呈示しないと、航空機スタッフが医療行為させないんだそうです。日本のは...いろんな意味で持ち歩くわけないねぇアレw
ys
>日本のは...いろんな意味で持ち歩くわけないねぇアレw
日医が1500円で顔写真付きの会員証を作ってくれるそうですが、実際に持ってる人は何人くらいいるんでしょう?
http://www.yamaguchi.med.or.jp/kaiinsho/card.htm
卵の名無し
>院外で心肺停止になった場合、神経学的な後遺症がない割合は(要するに松村邦洋氏のように完全に元通り復帰出来る出来る確率は) ・・・・ 1−3%です。
>長期生存率5.5%、(うち重度障害4.8%,軽度障害0.5%,障害無し0.2%)、
>ある芸能人は、東京マラソンで、心肺停止に陥ちいり、「親切なヒト」によって無事救命できました。
つまるところ松村氏が完全に復帰できたのは彼が千人に一人二人のチャンスをものに出来る強運の持ち主であった事実唯ひとつに因って起こったことといえる。
tadano-ry
信仰告白さま
念のため確認していたので遅くなりましたが、私がデータ処理した所でも
軽度障害0.5%,障害無し0.2%の例は全例 by-stander CPRです。過去10年分の
データですが、これらの例に限って言えば全例最近3年間に集中しています。
障害無しの例は神経学的後遺症無しの場合で2例、いずれもVfで救急隊の
AEDで心拍再開しています。ちなみにどちらも50代男性で、追跡しましたが
どちらの方も職場復帰され支障なく勤務されています。
卵の名無し
>全例最近3年間に集中しています。
ということは松村氏の場合はAEDをすぐかけてもらってしかもミスや誤作動がなかったということが、従前までなら千人に一人以下であったintact survivalの最も大きな要因であったということになるかな。それにしても本人が強運(人徳?w)だからこそ心肺停止後の僥倖的社会復帰が彼の身に起こったのは間違いないけどねw
nomnom
お邪魔します。
そういえば以前読んだpaperですが、テレビドラマのERやChicago Hopeの心肺停止例での救命率が高すぎるとの評価死、テレビドラマを批判しているものがありました。心肺停止で回復して退院できる率が67%!!
Cardiopulmonary Resuscitation on Television ― Miracles and Misinformation.
NEJM. Volume 334:1578-1582 1996
http://content.nejm.org/cgi/content/full/334/24/1578
最初に読んだときにはMethods で笑ってしまいましたが、でも、これがNEJMに載るのもすごいなと感心したのを思い出します。
日本のドラマはもっとすごいですが。
ドロッポ君
余り大した内容でないのですが、本日のYosyan先生のコメントの中に
>姫路の事件ではビル診の無人の診療所にまで
との文言が含まれていますが、これは事実誤認と思われます。
説明のためには第三者の先生の名前を出さなくてはならないので、
メールを頂ければありがたいです。
勤務医
まあ来ても蘇生するかも分からないのでどうでも良いのですが、
たらいも無いのにたらい回し呼ばわりする知事ってどういう気持ちなんでしょうかねえ。
まずはたらいを用意しないとこちらは回せませんよ。
知事さんその辺知っていると思うのですがねえ。
しかし、救急車の中で1時間もしんましていたのでしょうか。
死んでいることぐらい分かるだろうに。
もと救命救急センター勤務
>そこの自験例では長期生存率5.5%、(うち重度障害4.8%,軽度障害0.5%,障害無し0.2%)、
一般の方は、心拍再開=完全社会復帰と誤解されているんです。
心拍再開率33%といっても、長期生存できるのは、その中から7人に一人くらい、、、。
それも、約9割は寝たきり。
心肺停止は、ほとんど救命できない。運が悪いと20人に一人は寝たきり。
完全社会復帰できるのは、本当に救命の輪がうまくリレーされた幸運な例だけです。
とっても残酷ですが、急死は悲しい、1年くらいは、いろいろなもろもろがあって苦しい。
でも、葬式さえ終わればなんとかなるし、葬式だってなんとかなる。
でも長期生存というと、何時終わるかわからない寝たきりの介護が、何年も続く、その介護の苦労と経済的な負担を思うと、CPAからの蘇生というのは、マスコミが報道するほど、バラ色じゃないと思います。
ひんべえ
もう、この問題は日本人のまちがった死生観(マスゴミが当然強力な影響を与えていますが)、と善意に対しては刑事民事ともに責任を問わない、という大原則がなければ解決しない問題ですよ。
確かに牧歌的な時代にはうまくいっていたんですよね。それを訴訟だなんだで、パンドラのあけたのだと思います。マスゴミが。
信仰告白
tadano_ry先生
ケースが by-stander CPR であったとのご教示、ありがとうございます。であれば、生命は医師が救うのではなく「一般人」ということにもなりましょうか。
これは昨日のトピですので独り言としておいてくだいなのですが、先生方の実感としてCPAからの生還は増えているでしょう。これは救命センターの整備、医療技術の向上ということか、一般人のとっさの措置がよかったのか?
かつてこのブログに初めておじゃましたのは、産婦人科問題ですが、胎児や乳幼児、妊産婦の死亡率を驚異的に引き下げて「安全なお産」神話をつくってしまった、みたいなものと同じような印象を持ってしまいます。私自身は、医療の進歩に「期待」を今でも寄せていて、それは医師の先生方にしかできなかったことであり、だから、その増員、技術の伝承は必要(不眠不休で働くことの伝承はいらない)と考えておる、先生方からみれば異常な人種です。
卵の名無し
>一般の方は、心拍再開=完全社会復帰と誤解されているんです。
>心拍再開率33%といっても、長期生存できるのは、その中から7人に一人くらい、、、。
>それも、約9割は寝たきり。
まさにこの事実にこそ今国会で議論になっている臓器移植法の脳死判定問題の真髄があります。
>信仰告白さま
>これは救命センターの整備、医療技術の向上ということか、一般人のとっさの措置がよかったのか?
これは議論の余地なく後者であり同時にAEDの普及でもあります。
>私自身は、医療の進歩に「期待」を今でも寄せていて、それは医師の先生方にしかできなかったこと
医師にしか出来ないことなどではありません。ごじぶんでもすでに
>Seisan先生、僻地外科医先生、なっく先生
>ありがとうございました。
>病院にかつぎこむより、一次措置が重要だというのは、もっと強調すべきことですね。
>学校でも、人工呼吸とか心マのやり方よりも、その必要性を教えるだけでいいのにですね。
と書いておられますね。
また本日2009/04/22のトピに暇人28号先生が
>急変時に一番必要なのはマンパワーなんですよね。何人いても足りないぐらいです。
と書かれているように、院内でも院外でもby-standerが多いほど予後の良さが期待できると考えます。
2009-04-20 舛添大臣の法改正発言
同じようなテーマで何度もエントリを立てていますが、御容赦ください。病院の当直と言うのは3つの法から見る事が出来ます。
- 医療法
- 労基法
- 税法
それぞれの法により当直は規定されていますが、法が変われば当然概念も変わります。名前は同じ「当直」であっても規定する法が違うからです。税法の話まで含めると長くなるので、今日は医療法と労基法にしぼって考えてみます。まず病院に当直を置かなければならない規定は医療法16条にあります。
第16条
医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。但し、病院に勤務する医師が、その病院に隣接した場所に居住する場合において、病院所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。
別に問題のある規定ではなく、就業時間外の患者の容体の急変などに備えて「医師を当直として必ず置きなさい」の規定です。患者の容体は24時間変わりますから、遅滞なくこれに対応するために医師の当直が必要とし、これを置くことを義務づけている法律です。病院に当直が必要である事に異議がある医師は多くないと考えます。
ここで注意して欲しいのですが、医療法の当直は夜間休日の病院の医師の常駐規定のようなものです。病院によって当直業務の量や質は当然変わり、必要な人数も病院によって変わります。つまり医療法の当直は仕事の質や量による規定は全く行なっていません。とりあえず病院には最低1人の当直を義務づけていますが、後は病院による業務の量により適宜対応しなさいの趣旨と受け取るのが妥当です。
一方で労基法41条3項による当直は、当直者の働き方を規定した法律です。労基法41条3項をあげておくと、
第41条
この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
3.監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
ここも何度もやっているのでかなり端折りますが、労基法41条3項による当直の特典として、
- 当直業務時間は労働時間にカウントされず、時間外手当の対象にもならない
- 当直手当は時間給の1/3で良い
こういう特典が与えられる代わりに当直業務の内容を限定しています。そりゃそうで、こんな条件で実質の勤務を正規の労働時間外に無制限に行われては労働者としてはたまったものではないからです。医師の場合も、これもお馴染みの平成14年3月19日付基発第0319007号「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」および平成14年3月19日付基発第0319007号の2「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について(要請)」の通達で当直の業務内容を、
常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみを認めるものであり、病室の定時巡回、少数の要注意患者の検脈、検温等の特殊な措置を要しない軽度の、又は短時間の業務を行うことを目的とするものに限ること。
こういう風に具体的に限定しているわけです。これに反する当直業務が必要であれば、労基法上の当直とは認めないと言う規定です。当然ですが、
-
医療法の当直であっても、労基法としては当直と認められない
こういう事態はごく普通に起こります。病院によっては当直の業務が労基法の枠内に収まる事もあるでしょうが、収まらない事もごくごく普通にありうると言うことです。医療法の当直と労基法の当直は全く別の概念で成立しているものであり、二つの当直は矛盾なく並立しています。ちなみに労基法の当直が認めらない時には、時間外勤務なり、変形労働による交代勤務制で誰か医師を病院に常駐させれば医療法の当直の規定は何の問題なく満たします。
また労基法の当直が認められなくとも、病院は医療法により当直を置くことを義務づけられています。当直を置く事自体は、
-
医療法 > 労基法
これも適切な表現ではありませんが、どんな理由があろうとも病院は当直を置かなければならない義務があると言う事です。労基法の当直の位置付けは、病院経営側にとっては人件費を安く出来る例外規定とも言え、例外規定を適用するには条件があり、条件を満たせなければ例外規定は用いる事ができないと言う事です。
私程度でも医療法の当直と労基法の当直の違いは識別できますが、厚生労働大臣は全然違う受け取り方をしています。僻地の産科医様が文字起こしされた4/15の参議院厚生労働委員会の舛添大臣の答弁です。
まずその前に、冒頭仰ったポイントまったく同じものなので、まさに労働基準法の宿直の概念と、医療法上のは違うんですね。別の概念なんで、で厚生労働大臣をひきうけてやっていた時に、こんなにこの大変な分野が広がっていることに悩みがあると共に、実を言うと、勤務医の問題、それから足立委員なども一緒によく研究していたわけなんですから、そうするとねぇ。片一方で厚生大臣として、医師不足だのなんだ、片一方で労働大臣としてこっちの問題も見ないと。まさに概念違うんですよ。
その矛盾をどう解決するかは、実は悩んできて、しかしこの発想を逆転して、まさにこの一人の人間がやっているんだからもっといいことできるんじゃないかと思って、今やっていますんで、ぜひこのいまのいい質問を基にもっといいことしたいと思いますが、ちょっと前置き長くなりましたが、ふたつの法律は別の概念でございます。
まあ、歴代厚生労働大臣の中で医療法の当直と労基法の当直が別の概念である事を理解したのは、舛添大臣が初めてでしょうからその程度は評価できる発言です。ただ次の発言に驚かされます。
まずおんなじ宿直という言葉が使われていて、ふたつの法律の概念が違うとこれあまり法治国家としてよろしいことではないと思っています。だからせっかく厚生省と労働省がいっしょになったんならこういうところに手をつけないといけないと思うのです。これみんなで法改正すればいい訳です。
言葉が同じだから混同しやすいと言う指摘は百歩譲って認めるとして、なぜに医療法の当直と労基法の当直の「法律の概念」を同じにしなければならないのか意味不明の発言です。さらに大臣発言は一歩進んで、医療法の当直と労基法の当直の概念を同じにするために法改正を行なうべきだと発言しているのはビックリします。
法の概念も趣旨も違う2つの法による当直ですが、言葉が同じで混同しやすいのなら、2つの法で当直の呼び方を変えればそれで済む問題のはずです。運用がまったく違う法律ですし、両法の運用上で矛盾する点は基本的にありませんから、法の概念までそろえる必要性はどこにもないと考えます。労基法の当直の許可があろうとなかろうと、医療法の当直が置く事が可能であるのは上述した通りです。
この大臣発言の真意は注意深く心に留めておく必要があると考えています。
少し大臣発言の真意を推測してみたいと思います。厚生労働大臣には二つの側面があります。厚生大臣の側面と、労働大臣の側面です。労働大臣としては労基法と乖離が甚だしい医師の勤務環境の是正を行なわなければなりません。厚生大臣としては崩壊する医療を支える事が義務付けられています。本来、この二つは両立する問題のはずですが、現状の医療戦力では両立しません。
労働大臣として医療現場を労基法遵守の世界に少しでも近づけたら、戦力不足から現状の医療体制は維持できません。人件費の高騰もそうですし、医師の絶対数の不足から医療体制の縮小を余儀なくされます。一方で厚生大臣として現状追認路線で問題を先送りする事は許されない状況です。先送りしても良いのですが、誰だって自分の在任中に医療崩壊を決定させるのはおもしろくありません。
厚生労働大臣的には当直問題が労基法的側面から火を吹くのは好ましい事ではないとの認識かと考えています。とくに労働大臣の側面もありますから煩わしい対応に直面する危険性があります。問題の根底は、
-
労基法に準じた医師の勤務環境の改善は不可能
この命題に関連するのが医師当直問題です。不可能の前提は現在の医療提供体制を変えないという政治的命題のためです。
さてと、今後のために労働大臣的立場として医師当直問題に形をつける必要があります。ここでラッキーな事に厚生労働大臣は厚生大臣でもあるわけです。もし厚生労働省が厚生省と労働省のままならば、他省の法律に口出しするのは非常に難しい問題です。そういうところは良い意味でも悪い意味でも縦割り行政です。ところが二つの法律は厚生労働省と言う一つの省庁が管轄しています。
このラッキーなメリットは舛添大臣も強調しています。
-
まさにこの一人の人間がやっているんだからもっといいことできるんじゃないかと思って、今やっています
この発言にある「いいこと」が誰に向かっての「いいこと」であるかは意味深長です。医師に比較的好意的な印象がある舛添大臣ですから、漠然と勤務医のために「いいこと」と受け取る事も可能ですが、国民の信託を受けた厚生労働大臣ですから大多数の国民にとって「いいこと」の解釈も可能です。これも本来は並立しなければならない概念なんですが、現在の厳しい医療情勢では対立する概念にしばしばなります。
現状の医療法と労基法の当直の法律的概念の違いは、勤務医にとって何のデメリットもありません。病院の当直業務が労基法に従ったものになるのなら業務の軽減に直結しますし、労基法の当直でなければ収入増加と、総労働時間の明確化と、それに伴う労働時間の軽減の圧力になる事が期待できます。労基法と勤務実態の乖離はそれほど物凄いものだからです。
大臣発言にある労基法と医療法の当直の法律概念をそろえるという法改正は、勤務医にとってどんなメリットが期待できるでしょうか。現在の勤務実態はこれも大臣発言ですが、
だからあくまで立ち入るというのは潰すためではなくて良くするために改善策をやるわけですから、いま仰ったように交代制というのは医師の数が少なくてなかなか難しい。そうすると、本当はそこまで行くのにがんばってやっていますけれど、すぐにはいかないのでとりあえずはアレだけ働いてたら賃金上げる。こういうところからでも相当助かりますから、そういう方向への誘導の方が私は正しなぁと思っています。
でも根本は、おんなじ省がもっているふたつの法律で同じ言葉が書いてあって概念が違う。というのはちょっとこれから含めて検討する必要があると思いますので、できれば本当に勤務医のかたがたが働きやすいようになる、そして救急に入ってきた皆さん、国民の皆さんが必ず救われる、その態勢にするために使える法律、使える武器は全部使おうということなんで、非常に重要な指摘なのでこれからの指導ができるように、これは労働大臣としてもやっていきたいと思っています。
現状認識として交代制勤務の実現はあきらめています。それでも労基法も通達も交代制勤務を求めています。そこが矛盾しているから、
-
でも根本は、おんなじ省がもっているふたつの法律で同じ言葉が書いてあって概念が違う
法律としても交代制勤務を要求されない体制を作ろうとしか私には読めません。つまり大臣が構想しているのは現在の労基法水準より、もっともっと現状に近づける路線での法改正を行ないたいと読めます。そうでなければ法改正なんて全くもって不要だからです。大臣が構想する法律の一端が、
-
勤務医のかたがたが働きやすいようになる、そして救急に入ってきた皆さん、国民の皆さんが必ず救われる、その態勢にするために使える法律
ここも修辞が入っていますが、目標を二つにしています。
- 勤務医のかたがたが働きやすいようになる
- 救急に入ってきた皆さん、国民の皆さんが必ず救われる、その態勢にする
言っている事は正論なんですが、現状の医療では矛盾する概念になってしまいます。「救急に入ってきた皆さん、国民の皆さんが必ず救われる、その態勢にする」を行なうだけの戦力の枯渇が医療崩壊の一つの側面です。現状レベルでもこの態勢を維持するためには、現状の労働状況は最低限必要で、国民の要求はさらに高度な充実したものを要求しています。つまりさらなる労働強化が必要になると言う事です。
労働強化のためには労基法による当直のフィクションが欠かせません。ところが現在の労基法ではいかに弾力適用しようとも、月に120時間の特別条項による時間外労働みたいな、空怖ろしい弾力運用が必要になります。これも月120時間が上限であればまだしもですが、まともに労基法の弾力運用だけで対応すれば200時間とか、300時間みたいな訳の分からない時間外労働が必要になります。
そこを労働時間ではなく法改正で切り抜けようですから、個人的にはどんな期待をして良いか意味不明の法改正です。それでもって勤務医に与えられる飴ですが、どんな名目であれ労働時間の短縮は期待できません。現状の医療供給量は保持するとの前提があります。またさらに伸びる量についてもこれまで同様の対応は求められます。これは政治的命題ですから変わりません。
先ほど修辞が入っているとしましたが、
-
「勤務医のかたがたが働きやすいようになる」→「勤務医のかたがたを働かせやすいようにする」
こうするならば法改正の趣旨はすっきり通ります。今まで厳密どころか見ただけで労基法違反状態であった医師の当直勤務を、合法的に追認する法改正であると考えます。そうなれば勤務医も「労基法違反だ」とか言って、労基署に駆け込んだりする余計な手間は発生しなくなり、「勤務医のかたがたが働きやすいようになる」とも受け取れます。かつての勤務医は「医者は労基法の枠外の人間である」と嘯いていましたが、これを本当に「医者は労基法の枠外の人間である」と正式に規定する法改正であると言えばよいでしょうか。
それでもまだ私は舛添大臣の見識に一定の信頼を置いています。今日推測した真意が事実誤認である事をひたすら祈るばかりです。
Med_Law
東京都立病院の数々の労働法規違反、偽装申請によるピンハネ事例については、警視庁の捜査がそのうち本格的に着手されることと思います。
問題は、年間数十億もピンハネされている都立病院の勤務医が何故、問題を直視して立ち上がらないかということ。
偽装宿直ですらない、宿直許可のない駒込、墨東(麻酔科医1名のみ)、その他諸々は、刑事罰を問うことができる
「受付業務しかさせないので許可よろしく」と許可書を得た都立府中などというのは、管理者を塀の内側に叩き落とすべきだし、昭和23年の許可書で精神科医を当直させている松沢病院も、時代錯誤の運用を糾弾するべきでしょう。
東京都立病院の違法性を突けば、日本が変わります。
郵便事業のピンハネでは既に逮捕者が出ています。
病院事業でのピンハネは、過重労働による死傷者を出している点を考えれば、凶悪犯であって、単なる経済反どころではありません。
都知事+都立病院院長+事務長+研修センター長を塀の内側に叩き落とす時期に来ていると思います
Med_Law
× 経済反 → ○ 経済犯
ちなみに、流行語大賞ともなった毎日変態新聞OBが管理者となった町田市民病院には、宿直許可書も36協定もないのに、研修医に月6回の当直を条件として募集を掛けています。
http://www.machida-city-hospital-tokyo.jp/kensyuu/isi_kennsuu.html
完全に、職業安定法42条違反です。
慌てて36協定を結ぶそうですが、その前に、過去の悪行非道を謝罪し、過去の未払い分を贖罪するべき。
過去に頬かむりしての逃げ切りは、絶対に許せない卑怯な行為です。
元もと保健所長
スレ違いかもしれませんが、医療法第16条但し書きについて問題を整理しておきます。
医療法第16条 医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない。但し、病院に勤務する医師が、その病院に隣接した場所に居住する場合において、病院所在地の都道府県知事の許可を受けたときは、この限りでない。
この但し書きは、隣接した住居で「常時待機」することを前提にしていると解釈されているようですが、厳密には「居住」の事実があればよいのです。したがって、病院内にも隣接住宅にも医師がいないという時間があってもただちに法律違反にはなりません。
もちろん、入院患者急変時の対応はきちんとしなければなりませんが、それは宿直医設置義務のない有床診療所でも同じことです。
宿直医設置義務免除を受けた病院の一人院長が病院隣接の院長住宅を抜け出して医師会会合や飲み屋にいるのはよくある話ですが、これも昭和20年代の牧歌的時代の設計によるものです。
現行の医療法が求めている「宿直」とは所詮はそんなものなのです。
元外科医
http://haetarou.web.fc2.com/Drinkinng/A.html
ってのもありましたねW
現状、急性期病院の宿直医は夜勤ですから、時間外労働をつけなければいけませんし、週の労働時間に算入するのは当然でしょう。こうして勘定して法の枠内で勤務できる医師が不足するところは当然に救急診療は返上せざるを得ません。
軽症のヒトは朝までがまんして、重症者は遠くのセンター病院に搬送すれば、それで、別にいいじゃありませんか。いまの過重医師労働を放置すれば夜間休日だけではなく、平日日中まで医師がいなくなります。
京都の小児科医
見落としがあったかも知れませんので
すでに同内容の報告は本ブロクにあったかも知れませんが
全国周産期医療(MFICU)連絡協議会
http://mficu.umin.jp/
の
2008年度全国MFICU実態調査 最終報告
全総合周産期母子医療センター
全総合周産期母子医療センターを対象として、2008年10月から11月に実施した
実態調査の最終報告がまとまりました。
http://mficu.umin.jp/problems/report-2009_01.pdf
こういう報告をどんどん出してほしいと思います。
Bugsy
自分が枡添大臣に期待するのは 従来の医系議員や医師出身の議員と比べて法律の専門家であるということに尽きます。
今後の行き方として、医療法と労基法の整合性として当直というものを共通した定義に持っていくには違いありません。(と 期待します)。
>できれば本当に勤務医のかたがたが働きやすいようになる、そして救急に入ってきた皆さん、国民の皆さんが必ず救われる、
残念ながら、この二つは現状では矛盾しているのです。
医療費をドンと上げて、病院の医業収入を増やし、乞い願わくばコメディカルスタッフの定員数、少なくともメディカルクラークや医療秘書の最低定員数を法的に定めないと、実現の方向にはむかないでしょう。
せめて勤務医が医療のみに専念させてもらいたいものです。
米国の医療に憧れる患者さんは相変わらず多いですが、向こうの病院あたりのコメディカルスタッフの人数の多さは半端じゃありません。同時にレジデントが36時間研修ということで医師が頑張っていると持ち上げる向きもありますが、いわゆる夜勤の時間数は厳しく上限が定められており、無論夜勤明けには強制的に帰宅を命ぜられます。
理由は単純で、昔コメディカルスタッフが少ない時代、過重労働に喘いだ医師による医療過誤が多発したからですよ。
日本の医療って アメリカの医療体制の中で行政の都合の良いところばっかり宣伝して医師に押しつけますね。
京都の小児科医
全国NICU実態調査ってあるのでしょうか
このあたり、当事者しかわからない世界とも思いますが。。。
(ちょっと昔のことを思いだしましたが。。。)
新生児科医と小児科医はわけて考えたほうがいいとも思いますが。。。
Anybody
>>でも根本は、おんなじ省がもっているふたつの法律で同じ言葉が書いてあって概念が違う
ついでに、それぞれの法律を所管する役所もぜんぜん連携なんかとってなくて、バラバラに指導に来るんですよね。時々矛盾していたりして。
>>これも昭和20年代の牧歌的時代の設計によるものです。
>>現行の医療法が求めている「宿直」とは所詮はそんなものなのです。
当初は牧歌的なものだったんでしょうが、北海道の事例なんかを見ていると現代ではそういうことでは許されなくなってきましたね。
法律は時代とともに解釈も変化してくるので、大変です。
卵の名無し
>まだ私は舛添大臣の見識に一定の信頼を置いています。
最近の厚労省の朝令暮改パニックですが、省令はすべて所管大臣の裁可のもとに発せられることを思えば私のみるところ、へぼな打ち手とはすなわち紛れも無く大臣その人を指すことになります。近年厚労相がなんらかの見識の程を示したことなどとんと記憶にございませんが。
中華
まあよく聞く話じゃないですか。
内閣支持率とかで。
支持する理由
「他の内閣よりは良さそうだから」
TOM
皆様の言いたい事はよくわかりますし、私も基本同意なんですが、そこまで穿んなくてもいいような気もします。
勤務医労働問題に話題を限定するとして、現状で厚労大臣に突きつけられてるテーゼは、医療を縮小せずに現状をなんとかする事。いや医療を縮小するんだ、という意見はあるし私も部分的に賛同するけど、国政大臣として真っ先に挙げる選択肢じゃないのは解りますよね。大臣の立場としては当然のスタンスでしょう。
そのためには人を増やさなければならないのは自明です。しかし医者が空から降ってくる訳でもなく、人はどうやったって一朝一夕には増えない。労働問題を今すぐ根本から解決する事は不可能であるとわかっているのだから、本来最善ではないしずるい方針でもありますが、労働時間の点では医師の善意にもうちょっとおんぶにだっこして、せめて対価をきちんと払うようにしよう、その為に労働行政として介入し、勤務の実態をブラックボックスから引き出し代価を正しく計算される方向にした、というのが最近の愛育とかの問題なんだと大臣は言っているように思われます。
ではその為の資金はどうするんだ、という点について、エントリにある部分以降の答弁で診療報酬改定についても触れられているし、労働時間もこのままでいいとは全然思っていない旨発言されています。これにしたってえらい難題である事は凄ーくよく知ってるけれども、担当大臣としては、いきなり「医療やめちまえ!」っていうちゃぶ台ひっくり返し論を展開するよりはいささか現実味があるように思われます。
私が思うには、問題は必要な代価を呈示したとして、それを負担する気が(少なくとも選挙で最多派になる)国民には“全くないだろう”という事。ただこれはねぇ、誰が大臣やっても難しいだろうなぁ。これが解決されないと、結局行き着く先は同じなんですけどね。
私は開業医ですし、以上を「それは労働者を蔑ろにした経営者の論理だ」と批判されるなら、そうですかとしか言えないんですけどね。
10年ドロッポ
Anybody様
>当初は牧歌的なものだったんでしょうが、北海道の事例なんかを見ていると現代ではそういうことでは許されなくなってきましたね。
有床診療所で医師不在時に患者が亡くなって、訴えられたってアレですか?
ウチの実家も有床診療所でしたが数年前きっぱりやめさせました。親父は70過ぎですがパソコンを駆使し、ネットもやっているためか実情をよく把握しており、まったく反対しませんでした。ただ、今でも未練はあるようです。
卵の名無し
>現状で厚労大臣に突きつけられてるテーゼは、医療を縮小せずに現状をなんとかする事。
万歩譲って私がもし大臣やるならばw、とりあえず例の妙手だけ打ってあとは介護保険制度の作り直しをする。医療崩壊に関してはそれより他にイランことはしない。1,2点のブレイクスルーポイントを作れば後は市場原理に従う現場の成り行きや自然淘汰に任せられる。ほんのそれだけの手(政策)でも字面だけ100年安心の三年でぽしゃる年金などよりも医療保険財政運営は健全化して長生きするでしょうね。
卵の名無し
ざーんこーくな勤務医のテーゼ、まーどーべーからやがて飛び降りる♪
ほーとーばーしる熱いパトスがぐーみーんに裏切られるなーら♪
こーのー医療をドロッポして輝く、かいほーけんよ神話になーれ♪
元外科医
>医療を縮小せずに現状をなんとか
これが間違い
これを前提にする以上崩壊必至でしょう
現実に合わせて縮小するしかないのです
金融危機
>>私が思うには、問題は必要な代価を呈示したとして、それを負担する気が
>>(少なくとも選挙で最多派になる)国民には“全くないだろう”という事。
小泉は、それを外国証券会社に任せて、自動車保険のようにしようとしたんですが
金融危機によってそれも白紙に戻りました。
金融危機は最悪十数年続くと言われていますので、その間に日本の医療は完全崩壊するでしょう。
卵の名無し
>医療を縮小せずに現状をなんとか
したいのが本心からなら、これまで省益利権拡大のために机上でせっせと医療を縮小してきたOh my God,you NAH!の厚労省が、これ以上医療収縮な愚策を弄するのを止めるっちゅうのが誰が見ても一番簡単・早い・安いw
所詮レームダックだからどうせ今さらそれもやれないだろうけどw
Bugsy
>医療を縮小せずに現状をなんとか
おいおい 医療費を削減し、保険点数をさげ、なおかつ勤務医の勤務実態を全国でしらべれば 医療を縮小しなければ辻褄が合わないところまできてるでしょう。
地域住民を納得させるのは 医師の義務ではなくて、それをやらかしている行政の責任だし、説明義務があるのは行政自身でしょう。
昨日の話ですが パンドラの箱を開けたのは行政です。医師の気持ちだけじゃなくて 地域医療は立ち行かなくなってるという事実もパンドラの箱だろうと思います。
責任 とれよ。
東大寺@珊瑚記念日
ここで、かつて朝日新聞が主張していた「集約化」でしょう。県に1つか2つの24時間フル稼働の病院を作る。どこから医師を集めてくるのかはしりませんが、患者が集まれば湧いてくると信じていた人たちの仮説が検証できる壮大な公共社会実験にすれば、どこかから予算がつくかもしれませんね。
暇人28号
そして、その集約化を推進するキャンペーンの急先鋒である朝日新聞が、今ではその集約化を批判する記事を書くwww
マッチポンプの典型ですね。
一体あなたたちは集約化したいのか否か、どっちなんだ?
そもそも、1次医療から3次医療までを 24時間完璧にこなす医療機関なんか作ったら医療費激増なんだが、マスコミはそれを容認するのか?
勤務医
私も桝添さんの発言などを通して、期待しているのですが。
相反する条件なので何処にどう落とすか難しいですが、これ以上勤務医が労働継続不能な状況は結局は患者の利益にもならない訳で、この点に於いては安心材料では無いかと思います。ただ、日本的には真ん中を取るのが常道であり、労基法と医師法が妥協出来る合法を持ち出すのは見え見えですね。120時間がそうなのでしょうか。半年後に何らか真意が見える行動に出てくるのでしょうかねえ。合法に120時間を継続させるのか、またはそれを補う労働力(資本)を確保するのか。集約も考えられますが、救急病院を減らすのは早急にはちょっと難しそうです。「ファンド・桝添が頑張ったと言われるくらい財務省から確保」が何か意味をもつのでしょうか。半年後には間に合わないと思いますが。
一方で如何に患者の医療消費を抑えてゆくかも絶対に必要です。限られた医療資源の中で医者が逃げない様な環境(資本確保)したら、今度は患者がはみ出すわけで。やはり皆保険は最低を保障する保険になるのではないでしょうか。民間保険に混合診療。考えたら当然の事なのですが。年金も自動車の保険も2段階ですから。アメリカのmedicareも所詮、別保険に入る人も多いわけで。後期高齢はまさに目指せメディケアでしょうか。メディケアでも財政苦しそうですが。まさか年金の様に2段階で政府が皆保険を運営なんて無いと思いますが。だとしたら凄い焼け太りになりそう。
uchitama
先日のスレで元ライダー様から教えていただいたURLです。
>厚労省の行動原理
最近なるほどと思ったのはこれ↓
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_1587.html
【医療費削減によって権限拡大する厚労官僚】の項は特に
医療費削減→病院が赤字→補助金漬け→厚労省言いなりになる。
医療費の本体部分には手をつけずに、赤字化させて、補助金漬けにする。
まさに女をシャブ中にして、シャブで言うことを聞かせると言うヤクザまがいのやり方です。一方で、補助金と同時に、○○機構や財団などを作り上げ天下り利権を拡大する。
社会保障費の増額と同時に、天下りの廃止を行わなければ、病院の黒字化も医療崩壊も止まるはずがありません。この国の官僚は、国民のために行政を行おうという気は全くないのでしょうか?
元もと保健所長
「天下り廃止」を医師が本気で唱えているのだとしたら笑えます。
職業選択の自由は憲法に明記された基本的人権であり、むやみに冒すことは許されません。
「かつて官僚であった」から、「それが公益に叶う」から、「官僚が憎い」から、という理由が正当ならば、「医師免許を持っている」から、「それが公益に叶う」から、「医者が憎い」から、と言う理由で医師を強制配置することも正当であるはずです。
麻酔科医
愛染橋病院の産科医飲酒問題が報道されていますが、報酬もなく、労働時間にもカウントされずに、責任だけ問われているオンコール問題についてもパンドラの箱を明けて欲しいです。
もうね、オンコールについては、医師の応酬義務や良心につけ込んで、むちゃくちゃですもの。中には、良心的なオンコール料を麻酔科に支払っている病院もあります。そこには、若い麻酔科医が定住して、どんどん麻酔科医が増えていっています。医師の働く目的はお金だけじゃないけれど、お金は働く気持ちの上では大事な問題です。
そういえば、奈良の時間外オンコール手当問題の裁判はもうすぐ、判決ですね。
なんか報道は、そのあたりを考えて、シナリオ通りなのかな。
卵の名無し
>職業選択の自由は憲法に明記された基本的人権であり、むやみに冒すことは許されません。
天下りはその行為自体が官僚以外の他の人の職業選択の自由を侵しているのに本気でそういわれると笑えます。
それに医師であるためには医師免許が必要だが官僚であるためには官僚免許は必要じゃない。官僚だけを何年やったって医師免許は取れない。天下りの廃止と医師の強制配置、前者は合憲後者は違憲なのは明らかだのに同じ正当性を本気で唱えているのだとしたらさらに笑えます。
暇人28号
そもそも、会社側から見た天下りの本質は、「役所とのパイプラインを作って便宜を図ってもらう」こと以外にありません。
いや、おれは優秀だから実力で民間会社に移ってきたんだ。だからバリバリ仕事をしているぞ、と胸を張って言える人はどれだけいるのでしょうか。ある程度の知識を持っていれば誰にでもできる仕事ばかりです。
ちなみに、小生の親もキャリア官僚で、天下りをしましたから承知していますよ、様々な詳細を。私の親も、代々同省の同ポストにいた人間が同じポストに天下りしていました。
いつの世の中も、ルールを作る側というのは優遇されるわけです。それがいい・悪いはここでは判断しません。優遇される側にとってはいい制度ですし、それ以外の人間にとっては悪いルールでしかありません。立場によります。
10年ドロッポ
uchitama様、
>まさに女をシャブ中にして、シャブで言うことを聞かせると言うヤクザまがいのやり方です。
いい加減飽きたんですけどねえ、しょうがないなあ…。
謝れ!ヤクザに謝れ!!
>この国の官僚は、国民のために行政を行おうという気は全くないのでしょうか?
ある筈ねえでしょ?我々ですら国民の為に医療を行おうって気がもりもり失せてるのに。
X
厚労省が何をどう頑張ろうと、大臣や官僚にいかなるスーパーマンが着任しようとも、解決するはずがありません。
諸悪の根源は、世代間格差と不労所得格差で、これは小泉政権がむしろ縮小しようと努力していた格差です(現政権と民主党はこれを致命的に拡大させようとしていますが)。
世代間格差は、世代ごとの社会保険料や租税や賃金や労務の、負担と給付の不公平、不労所得格差は、日本では主に土地のキャピタルゲインや農家への補助金、地方への公共事業による実質的な所得移転などが該当します。現代日本で両者は密接に関連しています。
世代間の格差は、例えば1995年のデータでは、http://homepage3.nifty.com/~~shimasawa/generationalaccounting.htm
アメリカの世代間不均衡は51、ドイツが92に対し、日本が169と際立って激しい不均衡が存在します。
もう少し新しいデータ(2003年)だと、
http://www.mof.go.jp/f-review/r85/r85_135_150.pdf
2003年時点で20歳以下の総合的な世代収支は、マイナス4,535万円、60歳以上はプラス4,814万円で、9千万円以上の格差があります。これは、60歳以上は政府支出や社会保障により受ける便益が大きくプラスであり、それがほとんどそのまま20歳以下の世代の負担となることを示しています。
この深刻な世代間格差の示すことは、今後、現在の若年世代がこれ以上の社会保障費などを負担する能力が無いことを示しています。若年世代の負担自体は大幅に増えますが、それは上の世代の現在の水準の社会保障を支えるだけで消えてしまい、新たな医療負担などには回らないのです。
また、上記推計には、現在の老年〜中年世代が正社員の終身雇用・年功序列で高止まりした賃金(若年世代と比較して)であること、現在の若年世代が正社員であっても、彼ら自身は終身雇用・年功序列は適用されず、先輩の高賃金を負担するだけで終わること、正社員雇用から弾かれた氷河期世代の派遣社員などはさらに悲観的状況であること、などに起因する世代間格差は含まれていません。それを含めると、将来世代のマイナスはさらに大きく膨れ上がります。
要するに、現役世代のフロー(所得税、法人税、社会保険料)に過度に依存した現在の租税・社会保険の仕組は維持不能であり、むしろ、世代間格差・不労所得格差を再分配するような租税に転換しなければならないことを意味しています。
具体的には、土地の固定資産税の大幅増税、消費税率アップ、非富裕層(2000万未満)の所得税減税、低所得者の課税・社会保険料免除最低額の引き上げによるストック課税へのシフトが必要です。
また、農家への保障金カット、地方への交付金や公共事業の大幅カット(それで維持できなくなる自治体は強制移住)、老人の医療費3割負担、年金切り下げ、一方で無資産者への医療費免除等福祉拡充なども必要です。
要するに、若者から老人へ、都市から地方へ、無資産者から地主へ金が流れている現状を改革する必要があると言うことです。達成どころが議題にあげることすら困難な改革ですが、これをしない限り、今の、そして将来の日本のどこからも、医療費を増やす財源など全く出ません。
素人の浅知恵
政治の程度と全体としての民度の程度は等値です。何をどう頑張っても、現下の政治体制下では民度を超越した政権は誕生しません。
そうして、有権者の多数意見が「医療を縮小せずに現状をなんとかする事&負担増絶対反対」であって、議院内閣制を採用した政治体制の我が国の厚生労働大臣は、大臣個人の見識や心情(私情)にかかわりなく、「医療を縮小せずに現状をなんとかする事&負担増反対」というテーゼに向き合う以外の途はないのです。だれが就任しても厚生労働大臣という職責について回るのです。
所謂「天下り法人等」については、天下りした役職者だけではなく、そこで働く約57万人の当該法人などに直接雇用された従業者の雇用問題を併せて考える必要があります。企業がリストラするためにはその経費が必要なように、天下り法人類を破壊するには、そこのプロパーの従業者の解雇に伴う社会的コストが必要です。雇用保険料などに転嫁されることを受け入れる必要があるでしょう。
更には、そうした「天下り法人等」から発注される業務によって間接的に維持されている地域の経済や雇用に与える影響を勘案しなければなりません。あれだけ無駄遣いで叩かれた諸々の施設も廃止するとなると、地元自治体(従業者のみならず文字通り自治体・議会も含む。)からは雇用問題・税収問題に絡めて反対意見が続出するのが好例です。理屈のうえで可能であると言うことと、政治的に実現可能であるかどうかは少々別問題かと思います。
民間企業の所謂「カイゼン運動」についても、企業が存続する限りは止まることなく永遠に続くのですが、国の予算執行についても同じ事が言えます。「増税より無駄を省くのが先だ」と言い続ける限り、現下の社会環境・年齢構造の下では永遠に先細りなのです。現に2次臨調以降30年近く「増税より無駄を省くのが先だ」と言い続けて、現実は縮小一辺倒で、崩壊の領域に突入してしまいました。勿論、無駄をなくす努力は必要ですが、公共支出は経済合理性だけでは測れない側面があるのも事実ですから。
散々悪者にされる厚生労働省や財務省ではありますが、歳入の範囲で支出のバランスを考えるのが本務となりますから、現状の朝令暮改は歳入の総量が増えない(パイのサイズが増えないばかりか縮小している)状況の中で、如何に切り分けるかで四苦八苦しているのが現状で、そうであれば個別の政策分野に切り分けられる財源(パイの欠片)は、全ての分野で不十分になるのは当然の理な訳です。皆が求める者を賄うだけの大きさのパイを国は創り出せていないのです。というか、創り出すだけの材料(租税公課)を提供して貰えていないのです。
結局の処、おおよそ全ての行政課題については、「有権者が望む水準を確保できるだけの納税をしていないということ」に全て帰結してしまうわけで、「待遇の改善を求めつつ増税に反対する」というのは都合が良すぎる言い分という側面が皆無ではありません。
ところで、理想とする水準をどの程度に置くのかによりますけど、医療や介護に関して中福祉を目指すと仮定しても、現状「無駄とされる予算規模」ではたりません。「無駄とされる予算執行を排除」し、関係する分野の雇用と経済を根こそぎ破壊しても足りません。むしろ、そうした雇用を破壊した事による社会保障経費をまかない、興廃して不安定化した社会の治安を安定させるための経費を賄う為に、結局負担の増加は避けて通れないと思われます。
国全体として「合成の誤謬」をさけようとするなら、何をどう考えても、結局は「必要なだけの負担を有権者がしていない。何とかして欲しいなら負担増・嫌なら状況は悪化の一途。」という処に行き着いてしまいます。
そして、この場合の説明責任は、現下の政治体制下においては、「行政ではなく、(行政が執行すべき法律と予算を決定する権限を唯一保持している)政治家が負わなければならない」ものです。なぜなら、行政は今ある財源の枠内でいじくり回すことしか出来ないからです。「増税=官僚天国の維持・拡大に使われる」という錯覚を解消しない限り、どうしようもありません。
暇人28号
X様: 仰るとおりです。
>これをしない限り、今の、そして将来の日本のどこからも、医療費を増やす財源など全く出ません。
今までの政治家・政府・マスコミのいずれも、このことを説明する責任があるにもかかわらずその説明責任を放棄してきた。そして、小泉改革の悪影響が国民に出てきたところで国民は現場の人間をたたくことに終始している、というのが今の現状です。
小泉氏の改革の必要性を否定することはしませんが、甘い言葉で誤魔化してきたのがいけないのだと思います。
「改革をすれば将来はバラ色。だから皆さん賛成してください。」
なんて甘い言葉を言って。
本当は
「改革しなければ最悪。しても今より悪くなるけど、改革しないよりはマシだから我慢してね」
と国民にきちんと説明するべきだったのだと思います。
現に大阪で橋本知事が改革をする際に、橋本氏はきちんと説明してきた。それゆえに、しわ寄せをくうはずの高齢者からは「子や孫の世代に負担を残してはいけないから、我慢するよ」という意見が結構出ているんですよね。
日本国民はそれなりに理解力のある人たちが多いのですから、きちんと説明すれば理解していただける人も多いと思います。
元外科医
まあ、特別会計の闇を100%暴いて、利権に群がるダニを撲滅しても財源が不足するのであれば、政府を維持するために消費税を増税するのは良いことでしょう。
卵の名無し
>素人の浅知恵様
いっぱい書いていただきましたが最後の最後で
>「増税=官僚天国の維持・拡大に使われる」という錯覚を解消
これを本気で錯覚とおっしゃってるのならwコテ名が体を表し過ぎていて笑えてしまいます。
卵の名無し
>日本国民はそれなりに理解力のある人たちが多いのですから、きちんと説明すれば理解していただける人も多いと思います。
問題は日本マスゴミに理解力がまったく無いことと、日本国会に議論する能力が全く無いことに尽きると思う。
素人の浅知恵
> 卵の名無し 様
>「増税=官僚天国の維持・拡大に使われる」という錯覚を解消
「これを本気で錯覚とおっしゃってるのならwコテ名が体を表し過ぎていて笑えてしまいます。」という貴殿のご発言が、煽りでなくて本気であるなら、そうした姿勢が現状を招く一つの根源的な原因です、少しは自覚なさったらどうでしょう。
社会保障を維持するための財源調達に奮闘したり、財源の総額が増えない中で随時発生する新規の課題に対する為に、医療関係者から後ろから矢を放たれつつもやりくりしたり、財政当局や政治家と対する努力を、勝手な想像に基づく言説で踏みにじるのも大概にして欲しいもんです。
今の貧相な体制を維持するためでさえも、この数年間で11兆円の支出増ですが、税や保険料の負担は9兆円しか増えていないのです。貧相すぎる現状を維持する為の差分の2兆円でさえも、(各々の立場によって相対的に異なる「何が無駄な経費なのか」の公務関係者以外からの評価を鑑みると)所謂官僚の無駄遣いとされる金銭で埋めることは出来ないのです。
「銀の弾丸」は存在しない事に気づかないばかりか、不十分な現状の社会保障の水準を維持することすら難しい状況下で、その為の努力を一刀両断に否定するようでは、この国の社会保障の将来は無いでしょう。
何故に、学歴が優れ、明晰で優秀な頭脳を持っておられると考えられる方々が、こうした「銀の弾丸」の話だけは無条件に信奉されるのかが不思議です。
医療体制の充実を願いつつ、充実させるための動きを阻止する矛盾がこれだけまかり通ってしまうのは、やはりここ数十年の報道媒体の真偽不明な公務叩きが、深層意識に対して強烈なサブリミナル効果を発揮しているという事なんでしょうか。
素人の浅知恵
※持てる者(世代)から、そうでない者(世代)への、垂直的或いは水平的な所得の再分配が、世の中の自然な流れに委ねた結果として不完全なものであるなら、それを強制的に行うことが出来るのは、徴税権力もち税収を社会保障給付に変換する権能を有する政府(国でも地方でも良いです)のみなんです。
※昨今の世情によって、心折られるのは現場の関係者の専売特許でなくて、(貧困な現状であることを知りつつも、せめて現状の水準は維持したいと願いながら)社会保障制度に関与する行政関係者も同じであることに心を向けて欲しいもんです。
卵の名無し
>「増税=官僚天国の維持・拡大に使われる」という錯覚を解消
で解消すべきとあなたがおっしゃる「錯覚」とはなにが錯覚なのですか?
官僚天国という一般世間の認識が国民的錯覚なのですか?それとも医師だけが官僚天国と「錯覚」しているとおっしゃいますか?
また天下りは上級官僚の不労所得源という意味で世間ではどこの業界でも使われていると思いますが、これもあなたのいう解消すべき「錯覚」ですか?だとしたらどのようにして「解消」すべきか、官僚という公僕のお仕事に無知な非官僚市民納税者ゆえ「錯覚」して煽ることしか出来ない私に教えていただきたい。おひまなら。
素人の浅知恵
> 官僚天国という一般世間の認識が国民的錯覚なのですか?
ご指摘のように考えています。まさしく国民的錯覚です、国民全体の思考停止としか形容できません。
社会保障費の動向や必要とされる水準は、人口構造・経済状況・技術の進歩、その他社会的要因に密接にリンクしていて、(世間一般で存在すると考えらている)キャリアと呼ばれる官僚OBの好き放題を是正した位で、補正が効くほどヤワな時流ではありません。詳細な定義不明な官僚の利権とやらを完全に是正することが叶うとしても、それで抗うことは不可能です。
不十分な今の水準の社会保障を現状の負担で享受するには、根本的には現役世代の人口を平均的所得水準を維持したままで今の2倍に増やすことが必要で、出産適齢のカップルに4人以上の子供を育てて貰う必要がある計算になりますから。
なお、圧倒的に不十分な現状の水準を維持する為に不足する歳入額の穴埋めに、高級官僚の天下り後の退職金を充てたとて、絶対的に足りません。文字通り金額の桁が違うのです。
天下り全廃・特殊法人類全廃を為した場合、プロパー要員に絡んで発生する経費も、現下の経済状況下に於いては、社会保障費の増加圧力に直結しますので、結局は歳入と歳出のアンバランスを補正する手段として万能では無いのです。
#ちなみに私は、官僚の天下りは反対ですが、離職後の再就職は制限できないと考えています。併せて、仮に公務員の離職後の再就職を全面禁止するなら、諸外国と比して圧倒的に見劣りする公務員の退職後の所得保障を、諸外国の水準に近づける方向で制度を変える必要があると考えています。せめて、雇用保険制度を公務員にも適用する必要があると思います。
また、非公式な公務員の退職後の所得保障として機能している「天下り」に限っても、廃止するなら公式な退職後の所得保障の水準について同様に考えます。一方で、天下りを受け入れる一般企業からも、関係ある業務の経験を有する人を求めての斡旋依頼がある事も事実なので、利害当事者の一方だけを叩いて解決する話ではありません。
日本の公式な公務員の退職後の所得保障が、諸外国と比して如何に劣っているかは各種統計から導き出せますが、そうした資料は公務員を悪者にしたい人たちによって公開を阻止されたり、何等かの名目を付けて作り直しをさせられたりしますから、世間一般に広く知られているとは言えないのは事実でしょうけどね。
素人の浅知恵
詳細な定義不明な官僚の利権とやらによって、維持される地域経済と雇用の存在を過小評価する事も避けなければなりません。
一方で、官僚の悪のりを助長する仕組みであることは否定できないでしょうが、同時に、地方経済や地域社会にとって、雇用対策という名前の社会保障として機能している側面の大きさを無視することは、結果として社会保障経費の負担増という形で思わぬ負担増を招来するという事も考えなければいけません。
そうした仮称「官僚利権」によって生じる給与所得を原資にして、地方公共団体の税収水準が維持される、つまりは、国の歳入を原資とした所得による消費によって、地方公共団体の地方税収入が発生し、地方公共団体の独自財源に正の影響を与えているという事も過小評価できません。過大評価もできませんが、国から地方への間接的な富の再分配機能は、少なからずあるのです。都心部に住居を構えていては、実感は難しいかも知りませんが。
現行の消費税であっても、1%は地方消費税で地方の独自財源となり、国の取り分である4%のうち1.2%が地方交付税交付金の原資となり、残りがすべて基礎年金・老人医療・介護保険の国費負担分の原資になっている(もっともそれだけでは足りないですけど。)のですから。
勿論、負担増で増えた歳入のうち、仮称・官僚利権とか無駄遣いという使途に向けられる額が皆無でないという反論は可能でしょうし、正しいでしょう。しかし、それだけが全てでも大部分を占める訳でもないのです。
卵の名無し
>諸外国と比して圧倒的に見劣りする公務員の退職後の所得保障を、諸外国の水準に近づける方向で制度を変える必要があると考えています。
諸外国とは抽象的過ぎて論点ずらしですね。具体的にどこの国と比較してのことか書かないのならお説に学ぶべき点を見出せませんな。
これではまだまだ民間に比べ安定した給料と年金が血税から保証された官僚という身分に飽き足らず天下り法人を濫造しながら医師の強制配置を合憲だと言い張るような厚労省官僚の現政策の正当性を納得させてはもらえないようですなw
素人の浅知恵
> 卵の名無し 様
※念のために申し上げておきますが、無駄の排除は行うべきで、それは負担の増額と並行する必要がある。でないと、一刻を争うこの状況が回復不能になってしまう。無駄の排除を待っている余裕はない!というのが私の論旨です。
○公務員の公的な退職保障の水準に関して。
私の言説の説得力がないようですので、これ以上踏み込みませんが、ご指摘の論拠については人事院のHPを覧るなり公務員白書を見るなり、お好きにどうぞ。
ところで、貴殿のような思考様式の方は、資料を紹介した際に資料の作り手が信用ならないとかいう屁理屈をこねまわすような方ではないと信じておりますが、提示した内閣官房長官の正式な依頼によって国会に報告された資料がアテにならないなら、最早如何なる資料の提示も無駄でしょうから、個自分の足と目とをつかって存分に汗をかいてお調べ下さいませ。
私としては、予想通りこの国の社会保障が滅びきった時に、「貴方のようなお立場の方々がこの国の社会保障を滅ぼしたのだ」と言うことを伝え歩くとしましょう。ちょっと楽しみかも。。。
ひとつ閲覧者各位に向けて言っておきたいのですが。
「如何なる主題の政治課題であっても、汎化した包括的な公務員批判(罪を犯した個人としての公務員批判でないですよ。)は万能の免罪符になるが、万能薬には絶対にならないので悪しからず。」公務員のいない国家なんてないもんね。
素人の浅知恵
しまった!さっきの公式な退職後の所得保障の比較資料は、いまはもう公開されてないかも。
当時の塩粼官房長官の依頼で人事院が正式に公務として調査した結果だったけど、当初の結果が、(一般で信奉されている常識が誤りだったという)官房長官の意図していたのと正反対の結果に終わってしまったので、色々と難癖付けて、官房長官の意に沿うような調査結果を別途作らせたから。
公開当初は、最初の版も公式に公開されてたけど、微修正後のバージョンに差し替えられたかも知れないし。現実から目をそらすことが得意で、公務批判を免罪符にした思考停止を得意とする思考様式の方には、信じて貰えんかもしれんが、知る人ぞ知る事実だもんねww
素人の浅知恵
真面目にあわてて訂正コメント打ったら、間違えたのか、旧字体を使ったので表示が化けたか。名前が間違ってる。
×塩恕W官房長官
○塩粼官房長官
そうそう、私のコメントの真偽は閲覧者各位の判断に委ねますよ、何を言ったって所謂「匿名の卑怯者」の放言の域を脱しないですから。
素人の浅知恵
やっぱり間違って表示されてる、フォントの問題かな?「しおざき官房長官」です。m(__)m
無駄にリソース使ってしまった。。。面目ない。m(__)m
2009-04-18 医師当直問題とパンドラの箱
まずはwikipediaより、
プロメーテウスが天界から火を盗んで人類に与えた事に怒ったゼウスは、人類に災いをもたらすために「女性」というものを作るよう神々に命令したという。
ヘーパイストスは泥から彼女の形をつくり、パンドーラーは神々から様々な贈り物(=パンドーラー)を与えられた。アプロディーテーからは美を、アポローンからは音楽の才能と治療の才能を、といった具合にである。そして、神々は最後に彼女に決して開けてはいけないと言い含めて箱(壺ともいわれる 詳細は後述)を持たせ、さらに好奇心を与えてエピメーテウスの元へ送り込んだ。
美しいパンドーラーを見たエピメーテウスは、兄であるプロメーテウスの「ゼウスからの贈り物は受け取るな」という忠告にもかかわらず、彼女と結婚した。そして、ある日パンドーラー(エピメーテウスという説もある)はついに好奇心に負けて箱を開いてしまう。すると、そこから様々な災い(エリスやニュクスの子供たち、疫病、悲嘆、欠乏、犯罪などなど)が飛び出し、パンドーラーは慌ててその箱を閉めるが、既に一つを除いて全て飛び去った後であった。
最後に残ったものは希望とも絶望とも、未来を全て分かってしまう災い(予兆)ともいわれる。それによって人類は希望だけは失わずにすんだと言われる。こうして、以後人類は様々な災厄に見舞われながらも希望だけは失わず(あるいは絶望することなく)生きていくことになった。
この神話から、「開けてはいけないもの」、「禍いをもたらすために触れてはいけないもの」を意味する慣用句として「パンドラの箱」という言葉が生まれた。パンドーラーはその後、エピメーテウスと、娘ピュラーと、ピュラーと結婚したデウカリオーンと共に大洪水を生き残り、デウカリオーンとピュラーはギリシャ人の祖といわれるヘレーンを産んだ
有名な神話ですからご存知かと思いますが基礎知識として紹介としておきます。このパンドラの箱の喩えは様々に使われます。大きく分けて2つで、
- ある事態をキッカケに思わぬ悪い事態の展開になること
- ある問題に触れる事が悪い事態の展開が予想されること
僻地の産科医様が文字起こしされた4/14付の参議院厚生労働委員会の一節にこういう下りがあります。梅村聡議員の質問部分ですが、
これあの、会社を経営されていたとお聞きしましたけれど、例えば銀行から企業が融資を受けるときもこのモノを単価いくらで売るのかと。どれくらいの収益が出るのかという計画を出さないと銀行はお金なんか貸してくれないんですよ。うどん屋さんでうどん一杯いくらで売るんですかと。いや、それはいえないよ企業秘密だからと。
それで融資なんか受けられないわけで、ですから私が三つ目の観点として先ほど労働基準局の方に反論として本当の正しい働き方、それによる医療の提供の仕方。これによることでパンドラの箱をあけることになるかもしれませんけれど、いままさにここに切り込まないと、国民負担の問題にもつながってこないんです。医療費を増やすということにもつながってこないんです。
ですからここは労働基準局からいうと今の制度の中でのしくみということを仰られますけれど私はここは勇気を持ってパンドラの箱を開けて議論をする時が来ていると思いますが、それに対して舛添大臣が取組むつもりがあるのか、そのパンドラの箱を開ける決意がおありになるのかどうか、最後にお答えいただきたいと思います。
この質問部分の簡単な背景説明ですが、医師当直問題を労基法に少しでも近づけて運用すれば、勤務医の待遇改善にはつながるかもしれないが、病院経営を圧迫し医療費増大の要因になる危険性を含めての質問です。もちろん医師自体が労基法運用を満たすだけの人数に遥かに不足していますから、医療体制の大幅な変更も必要になるという意味も含んでいるとしても、そんなに間違ってはないでしょう。
ここで使われたパンドラの箱の意味ですが、「ある問題に触れる事が悪い事態の展開が予想されること」に近い意味で使われているように感じます。こういう意味での用法はしばしば使われますし、例えば長年に渡って論議のタネであった自衛隊と憲法9条の問題などはそれに近いかもしれません。
ただなんですが、神話でもそうなんですが、存在の知られたパンドラの箱は必ず開けられるものだと考えます。神話では好奇心でしたが、現実社会では好奇心に加えて必要性からです。また神話では開けてみるまで人間は中身を知りませんでしたが、現実社会では内容も開けた時に生じる問題点もほぼ分かっています。つまり存在が認識された時点で封じ込める事は非常に難しくなるのがパンドラの箱だと考えます。
医師の当直問題は時間外勤務の問題に波及し、医師の絶対数の不足が露呈します。これまで医師が5人程度でも、「人数が確保されたので、24時間365日体制を取ります」なんて記事がよくありました。よく考えなくとも5人程度の人数で24時間365日のカバーなんて、普通の状態で可能なわけがありません。体力的な問題は医師の気合でカバーしてきたのが実情ですが、経営的には本当は莫大な時間外手当・休日手当が発生します。
たとえば5月なら1ヶ月に744時間のカバーすべき時間があり、このうち正規の勤務時間は160時間ほどですから、残り580時間ほどの時間外手当・休日手当を支払わなければなりません。あくまでも概算ですが、時間外手当の割増率は平均で37%ぐらいになり、休憩時間も考慮に入れると時間外1人体制でも、正規勤務に換算して690時間程度の時間給が発生します。
690時間と言えば5人分の正規勤務時間に匹敵するほどの長さですが、これが当直になれば200時間弱程度の負担で済むのが当直問題の一つの側面です。もちろん時間外勤務の上限問題もあり、それらをすべて封印してきたのが当直問題におけるパンドラの箱です。少しまとめると、
- 時間外手当の出費削減
- 時間外勤務時間の上限回避
- 上記の項目の効果による医師数節減
これが問題にならずに封印されてきたのは医師が気にしなかったからです。問題とも考えず、封印された条件で働く事が医師であると誰も信じ込んできたからです。今だって信じ込んでいる医師は少なくありません。誰も知らないパンドラの箱は、安全に封印され続けてきました。
ところが当直問題におけるパンドラの箱の存在は既に知られています。存在が知れた箱の封印を続けることは神話でも、実社会でもほぼ不可能です。必ず開けられるとしてよいでしょう。もう少し言えば、神話のパンドラの箱は内容は何か分かっていませんでした。内容が分かっていないからこそ好奇心から開けられたのですが、実世界のパンドラの箱を開けると言う意味は少し違うように考えています。
実世界のパンドラの箱は物理的な箱ではありません。存在を知られていない、もしくは存在に無関心である事が封印された状態であり、これが開けられるとは、内容が流布され、その内容が問題視される状態だと考えます。そう考えると医師当直問題のパンドラの箱を開ける、開けないの論争自体が無意味であり、既に開け放たれ、中身は飛び散ってしまっているとする方が適切かと思います。
神話のパンドラの箱は封じ込められていた禍が世の中に広がり、今もその禍に人間は奔走させられているとされます。医師当直問題のパンドラの箱から飛び出したものに、どういう対策を行なうかが注目されます。どうにもなんですが、その対策は魑魅魍魎が蠢く世界のように感じて寒気がしてならないのが不思議です。神話のパンドラの箱の中身への対策が永遠に解決しない問題であるように。
元もと保健所長
パンドラの箱を開けさえしなければ、人類は医師奴隷を過労死するまで酷使し、それにより、行政は税金を払わない住民に格安救急医療を提供でき、患者はコンビニ受診を享受し、病死者遺族は怨嗟の標的・死体換金所を有することができたということでしょう。
パンドラの箱を開けさえしなければ、古代ギリシアの天上界のごとく、世の中は平和だったのでしょう。まれにご主人の意に沿えなかった奴隷がいても、「根性が足りない」「赤ひげの心を求めたい」「一か八かやってもらっては困る」「都合の良い真相を知りたい」などと罵声を浴びせ続けていれば良かったのですから。
Yosyan
元もと保健所長様
パンドラの箱を開けたのは医師の意志ではなかったかと思っています。直接開けたのは医師という事にされるかもしれませんが、無関心であったパンドラの箱に関心が急速に向ったのは御指摘の経緯も大きいと感じます。パンドラの箱を開けることは、パンドラの箱に封じ込められていた禍が世に災厄をもたらしますが、それでも箱の中にあると言う希望に期待したように思います。
日本の医療を支えていたパンドラの箱の封印を解く様に世の中は流れ、押しきられるように医師はパンドラの箱を開けたと言えば良いのでしょうか。開いてしまえば二度と封印できないのがパンドラの箱ですから、これもまた一つの曲がり角を通り過ぎたと言うことかと思います。
くらいふたーん
医師版のパンドラの箱を書いておりました。
ご笑覧ください。
くらいふたーん
http://medicalfootball.blog69.fc2.com/blog-entry-353.html
アドレス書き落としておりました。連投申し訳ありません。
元もと保健所長
くらいふーたんさま
「医師版パンドラの箱」を拝見しました。
最後の希望は「労働基準法」とのことですが、すでに「120時間の36協定」でねじ曲げられており、もし舛添の言うように「病院宿直は労基法宿直にあらず」と法改正されれば、もはやそれは「希望」ではなく未来永劫に医師を繋ぐ奴隷の枷になることでしょう。
もはや人類界に「希望」はないということです。
とおりすがる
在宅療養支援診療所なんてのも、個人事業主である医師を24時間365日強制労働させるシステムで、労基法の問題もなく、厚生労働省としてはとてもよくできた制度なんでしょう。すべての勤務医も個人事業主とされて請負契約で働くことになったりしてとか、悲観的なことしか考えられなくなってきちゃいました。あ、これは一応偽装請負とかになるんでしたっけ。
こんた
全員とは言いませんが新研修医制度以後の若い医師には、そんな箱は最初から存在していません。
この議論が通じるのもあとわずか。
京都の小児科医
下記、個人的な意見ですが。。。。
バンドラの箱とはあくまで比喩的表現です。
政治家が比喩的な意味で使うのは、政治的な意味があるかも知れませんが
こういった比喩的な表現(どうとでも解釈可能な部分のある)を多用すると問題点の本質が
それる可能性があります。
法のことは法律の専門家のアドバイスを受けながら発言しなければならないと思いますが
医師がこういった表現を使用することは基本的に問題があると自戒していたほうがいいと私は思います。
わかりやすく状況を表しているという反論もあるかも知れませんが、かならず現実と齟齬が生じますから事実を正確に表現するほうが長期的にはわかりやすいと考えます。
京都の小児科医
梅村聡議員がどういう意味・意図でバンドラの箱という表現を使用されたのか どなかか医療ジャーナリストの方でも確認していただければと思いました。
たぶん、Yosyan先生の解釈でいいのではと推測はしますが。。。
Yosyan
京都の小児科医様
梅村議員のパンドラの箱発言の真意ですが、現時点では玉虫色と考えています。もう少し言えば梅村議員の真意と関係なしに動いて行くだろうと言うことです。勤務医の労働実態と労基法の乖離は説明不要ですが、医師の動きとして労基法を持ち出してくる動きは確実にあります。
労基法の運用については弾力性が非常に富んでいるのはこれまで学習したとおりですが、それでも弾力運用にも限界はあります。現在の勤務医の労働環境を労基法の弾力運用だけで対処するのは非常に難しいものがあると言う事です。言っても法は法ですから、監督省庁自らが無限の弾力運用の実例を示し続けるのは他の労働分野との整合性に無理が出てきます。
労基法と実態の乖離が弾力運用で埋めきれないとなると、実態を労基法に近づけるか、労基法を実態に近づけるのかの二択になります。そういう点で舛添大臣の法改正発言が非常に気になります。実態を労基法に近づけるのであれば法改正は不要になります。つまり法改正発言が意味するところは、労基法を実態に近づける趣旨ではないかと私は感じています。
どれぐらい近づけるかの真意は舛添大臣にもあるでしょうが、これもまた大臣の真意とは別の大きな影響力が及ぼされます。だいたい舛添大臣にしてもいつまで大臣の地位にあるか不透明ですし、たとえ舛添大臣が法改正のレールを敷いたとしても、具体的な法改正の段階になったときに誰が厚生労働大臣かは誰も予想できないことです。その時の世論・政治・財政状況により多様な終着点が予想されます。
京都の小児科医
Yosyan先生
ありがとうございます。
「その時の世論・政治・財政状況により多様な終着点が予想されます」としても
医師は医師として継続しての意見・動きが必要と思います。
「医師の動きとして労基法を持ち出してくる動きは確実にあります」は個々の医師ブロクを
みればそう思いますが、組織的に労基法を出してこられる団体は学会も含めてまだないように思うのですが。。。どうでしょうか
特に法改正の動きについて、過労死・医療事故の観点からぜひ組織的に発言がほしいです。
元もと保健所長
Yosyan先生
>つまり法改正発言が意味するところは、労基法を実態に近づける趣旨ではないかと私は感じています。
わたしもそう思います。しかも、すでに労基法による保護を享受している看護協会が納得するはずもないので、労基法を病院実態に近づける対象は医師だけということになります。
法の下の不平等を解消することなく、逆に法そのものを改悪して医師を賤民におとしめる発想を許してはいけません。
tadano-ry
私の感覚から言えば、休日時間外の診察処置はすべて1点20円とか30円にすれば
済む話なのですが。報酬が増えれば手当が確保しやすいし、コンビニ受診に対する
受診抑制効果が多少期待されるので医師の負担も減り、上手くすれば時間外
就労時間が減少して手当の負担が減ります。自治体の負担額が一気に倍増・3倍増
ですから小児医療無料化政策も見直さざるを得なくなるでしょう。そんなに上手く
行かないかも知れませんが、自由経済の発想としては自然です。政府官僚の議論は
この手の話をタブー視しているようですが、いつも言っているように負担増には
税を徴収すればいいのです。
大体、いい家を安く建てようという発想がそもそもおこがましい。国民にも
「いい家は安くは建ちませんよ」と説明すればいいのです。ロクに説明もせず
税を上げれば票が減るかもという発想自体が国民を舐めています。
勤務医
大学のパンドラは開かれる時が来るのでしょうか・・・。
tadano-ry
法改正については、本来法の下の平等を擁護すべき国家が、逆に不平等を
認めるような発想をするのはおかしいとしか言いようがありません。
公共の福祉という観点から医師の労働条件を例外化するなら、その不利益は
当然金銭で補われるべきです。道路建設のための立ち退きと同じですし、我々
医師側にも請求する権利はあると思います。私のような人間は結局カネに何でも
帰着してしまうのですがorz、金で解決するのならサクッと解決した方が結局
後腐れが無いというのが私の経験上得た教訓です。
麻酔科医
>いい家は安くは建ちませんよ
広くて安いマンションには、構造計算の偽造という裏があったわけです。
麻酔科医
しかし下痢嘔吐症でこどもを小児科に連れて行ったんですが、診察して頂いてお薬を頂いて、この保険点数はどうよと思います。。風邪の季節も終わって、待ち合室も閑散としていて、大丈夫なのかしらん。
元もと保健所長
tadano-ry 2009/04/18 16:29 さん
>公共の福祉という観点から医師の労働条件を例外化するなら、その不利益は当然金銭で補われるべきです
戦前の前借金=身売り労働の反省から、カネさえ払えば良い、契約さえすれば良いという発想から決別し、個々の労働者を国家が直接守ることを決意したのが戦後の労働者保護法制です。
それをカネで解決しようというのでは、結局は労働者を自己責任の蟻地獄に追い込むだけではないでしょうか。
金銭補償の前に、人身保護という発想がなければなりません。
麻酔科医 2009/04/18 17:49 さん
>>いい家は安くは建ちませんよ
>広くて安いマンションには、構造計算の偽造という裏があったわけです。
そうですね。でも医療に関して言えば、構造計算の偽造というよりは、昭和20年代の医療法による設計強度を超える「過積載」というところだと思います。
それを、「一つ一つの構造物」は設計強度を大幅に超える荷重に踏ん張って耐えてきたわけですから、設計強度通りの使用法に戻すのが本来あるべき対策です。
元外科医
設計強度通りの使用法は診療縮小、アクセス制限ですね。小生はこれしか医療を最低限維持する方法がないと思っています。あ、もちろん医療予算の増加も必要ですがねw
卵の名無し
>新研修医制度以後の若い医師には、そんな箱は最初から存在していません。
興味深い断言。ということは新研修医制度そのものがパンドラの箱のふただったということになるのかな?ぢゃあもうとっくに開いてるっつうことか♪
何を今頃になって開くだの開かぬだの、哀れというもなかなか愚かなり浦島太郎じゃなかった高老相w
元もと保健所長
元外科医先生
>計強度通りの使用法は診療縮小、アクセス制限ですね。
おっしゃるとおりです。昭和20年代の設計負荷は、自由診療による窓口全額自己負担、救急車はなし、患者は徒歩か荷馬車・大八車で来る、お産は自宅で産婆がやる、死亡は自宅で・・などを前提としたものです。
ですから、まずは設計負荷に戻すというのが本来あるべき対策です。
もしできないというなら、古い基準の「病院」を解体し、新たな基準で作り直すべきです。
卵の名無し
愚か者が何かお宝が入っていると誤解して開けるのがパンドラの箱なら、私に言わせれば厚生省が開けたパンドラの箱とは介護保険制度ということになるw
同じく医療費を原資とする医療保険制度に似せた現物給付システムもどきだが、医療保険制度で蛇口の栓となっている現物給付エージェントである医師が国家資格の免許を有しているのに対し、介護保険制度では現物給付エージェントは全くの無免許野放しの状態であって蛇口の栓が壊れている、つうかもともと栓がない欠陥設計。その「栓」無いところに厚生行政許認可裁量のうまみがぎっしり詰まっていたわけで、あれいらい医療制度の大番頭が率先してつまみ食い遣い込みに血道をあげるようになった。大穴を空けておいて誤魔化すために朝令暮改を繰り返し自分の罪を糊塗しようとしているが、蛇口に栓をつけない限り所詮は無駄なあがきであり詮無きwこと。
tadano-ry
元もと保健所長さま
>金銭補償の前に、人身保護という発想がなければなりません
その観点は十分理解していますし、前職でもかなり気を遣ってきました。しかし
個々の労働者を守るべき国家が人身保護の発想を捨てようとしているとも取れる
今回の状況に於いては、国家に比べ力の弱い我々は金銭くらいしか対抗するすべが
ないかも知れません。いいものには金がかかるという当たり前の理屈を思い知らせて
やる他、道が無いというのは悲しいですが…。
神淡鳴道
今さらもう遅いとは思いますが、この「パンドラの箱」は早く開ければ早く開けるほど被害が少ないはずです。
これまで放置してしまった責任の所在は医師、正確には医師を管理監督する権限を有する医師にあると思います。
大学医局、医師会、学会の重鎮達には是非、責任を取って頂きたい。
むしろ、若手、中堅を主導して、パンドラの箱を開ける手助けをするよう促すべきです。
元もと保健所長
神淡鳴道 2009/04/19 03:35 さん
>大学医局、医師会、学会の重鎮達には・・パンドラの箱を開ける手助けをするよう・・
促すべきです。
おっしゃるとおりと思います。しかし、これまでは表の顔のままでは言い出せないことも多かったはずです。
きっと、そんな先生方が「罪滅ぼしに」とやってきた地下活動wがIY委員会ではないでしょうか。
元外科医
IY委員会も十分成功しW
既に現実の崩壊が見えています。日本に於いて今後、どれだけ医療の供給が低下するのでしょうか。
卵の名無し
>そんな先生方が「罪滅ぼしに」とやってきた地下活動wがIY委員会ではないでしょうか。
それが事実なら>http://d.hatena.ne.jp/tadano-ry/20090417
ya98
パンドラの箱というのは、全くその通りです。人口構成や時間軸で考えると、アクセスフリーの皆保険制度を維持した場合に医療需要が減る可能性はほとんどない。需要の増大という状況は悪くなる一方です。みかけの供給も増えないのでこのままいけばどうやっても潰れる。問題は潰れ方で、最悪の破綻のケースはソ連崩壊後にロシアで起きたようなことが起こることです。
長い目で見ると勤務医の労働環境を改善するのは医療環境を守ることになりまが、時間外に対応できない事件はマスゴミのかっこうのえさだけに目先の選挙とか責任をとりたくないなどでの問題は先送りにします。どうやろうにも、1980年代から医師数抑制は仕込まれているのでもうどうにもならないです。
アクセスフリーの制限は需要の抑制に効果があります。なんらかのゲートを作る方法と、時間外などに金額を多くするといった価格による方法などがありますが、ここで問題となるのが公的病院です。一部の人しか使えない公的病院は意味があるのかという議論が出てきそうです。
京都の小児科医
いつも状況(空気)が読めてなくてもうしわけありませんが。。。
IY委員会って何でしょうか
京都の小児科医
さらに、空気を読んでない発言をもうひとつ
この議論の元になったデータって、平成14年度(新研修医制度以前)ですが
何で、現在、再調査の話がでないのでしょうか
今のデータを出して議論することが常識と思うのですが。。。。
追加:Yosyan先生は奈良の小児科学会でしょうか
京都の小児科医
さらに、空気を読んでない発言をもうひとつ(最後です)
長期的に考えて、医系議員って(医師会系議員以外にも)必要と思いますが
梅村聡議員はその候補のひとりと思いました。
是々非々とも思いますが、長い目でその場の意見に賛成なら応援というやり方も
あるのでは。。。
Yosyan
京都の小児科医様
時間があるので判る範囲でお答えしましょう。順番は前後しますが、まず奈良には行っていません。それとなぜ現在のデータを出さないのか、再調査がどうなっているのかは残念ながら存じません。
梅村議員についてですが、とりあえず私は梅村議員の質問については特段の文句をつけていません。質問の内容については、むしろ良いところを指摘してくれたと思っています。国会質疑は御存知の通り、質問内容は先に提出され、それに対する応答の準備時間も用意されます。今回の質疑は梅村議員の質問の内容ではなく、それに対する舛添大臣の応答が注目されるかと考えています。
最後にIY委員会ですが、少々長くなります。医療崩壊論議が2chで盛んになりかけた頃に出始めたのが元祖とされます。医療崩壊をなんとかせよの議論に対し、
「嫌なら辞めろ、代わりは幾らでもいる」
こういう書き込みが多数行なわれたことを指します。それ故に「嫌なら辞めろ委員会(IYC)」と呼ばれています。当初は反医師の行動と見なされていましたが、最近ではニュアンスが異なってきています。元祖的な用法も生き残っていますが、話題になるような労働条件の病院に勤務している医師に対しても、逃散勧告の意味で用いられる事が多くなったとされます。
過酷な条件を支えてしまうから、さらに過酷な条件が増えると言う考え方です。これは医療崩壊論議が「食い止め論」から「崩壊再生論」に転じた頃からそうなったと言われています。崩壊しないと再生できないから、崩壊の阻害因子である現場を支えてしまう医師への逃散促進勧告の意味合いです。
サルガッソー
時間外の診療は保険料負担が半額もしくは無しで良いのでは?
増大する社会保険料抑制にもなりますし。
官僚は混合診療の先触れになるから嫌がるかな?
TOM
皆様大変お久しぶりです。4月に入って開業医の医繁期?を抜け、やっとこさ追いつきました。ホントもう、ここったらいつも議論が濃ゆすぎ(笑)。ちょっと遅れると過去ログ読むのだけでも大変ッス。
さてパンドラの箱ですが、開けて最後に残るものを自分なりに考えてみました。
箱を開けて飛び出したのは、自分たちが「当然」と思っている医療内容を充足できるだけの資金を、国民は負担する気があるのかないのか、という問いだと思っております。そして今のところ、答は「ない」だと私には見受けられます。これは非難しているのではありません。公的保険で賄うにせよ自己負担にせよ、たとえ医療でも無制限に資金を掛けられるものではないという事は承知しています。
問題は、人々(特に公的保険により保護されている日本人)が自分の生命や健康の価値に対し夢想している無制限性と、現実的な経済有限性をマッチさせることができない、という所にあるのではないでしょうか。つまり箱に最後に残るのは「自分の命の価値の値踏み」。これができれば神話よろしく医療(制度)再生への「希望」にもなるんだろうけど、無理だろうなぁ〜。
京都の小児科医
Yosyan先生
ありがとうございます。
私がすこしだけ奈良に出席しました。
IY委員会についての解説ありがとうございました。
>それとなぜ現在のデータを出さないのか、再調査がどうなっているのかは残念ながら存じません。
>梅村議員についてですが、とりあえず私は梅村議員の質問については特段の文句をつけていません。質問の内容については、むしろ良いところを指摘してくれたと思っています。国会質疑は御存知の通り、質問内容は先に提出され、それに対する応答の準備時間も用意されます。今回の質疑は梅村議員の質問の内容ではなく、それに対する舛添大臣の応答が注目されるかと考えています。
私としては、梅村議員と舛添大臣のやりとりに官僚をはさんで事前に打ち合わせがあったという印象を受けました。
そのことを踏まえて、なぜ現在のデータを出さないのか、再調査がどうなっているのかのやりとりがなぜなかったのかを色々と考えてしまいました。
私は舛添大臣はマキャヴェリストと考えていますが、梅村議員に花をもたす感じで今回は動いたのでは 推測ですが。。。
京都の小児科医
すいません。流れの理解がわるくて
Yosyan先生の書かれた
>国会質疑は御存知の通り、質問内容は先に提出され、それに対する応答の準備時間も用意されます。今回の質疑は梅村議員の質問の内容ではなく、それに対する舛添大臣の応答が注目されるかと考えています。
から
なぜ現在のデータを出さないのか、再調査がどうなっているのかのやりとりがなかったのかを色々と考えてしまいました。 という意味です。
Yosyan
TOM様
もう誰もが知っている事ですが、医療崩壊の原因はカネに尽きます。カネが乏しくなったから、病院の経営に余力がなくなり、他の要因もあるにせよ医師の勤務条件が悪くなっています。医師の場合は勤務条件の悪化を防ぐカネが乏しくなったとした方が良いかもしれません。
苦しくなった医師は洗脳から醒めてしまい、勤務条件の改善なんて事を突然考え出したわけです。現在国が行なっている対策は、根本原因のカネの問題をスルーして、カネが乏しくなって以降に起こった諸原因の対策に奔走していると見ています。諸原因の中には不可逆性の変化も既に含まれていますが、根本原因に手をつけるのをタブーとしているために、一向に効果のある対策を取れず火の手だけが広がっているとも見れます。
カネもPONR以前ならまだ少なく済んだはずなのですが、PONRから時間が経てばたつほど必要な額は膨らみ、さらにそれだけ投入しても現状復帰は既に不可能になっていると考えています。足掻けば足掻くほど沈む泥沼状態みたいなものです。
さ〜て、希望を感じるときまで自分が現役かどうかも最近疑問に思っています。
京都の小児科医
元もと保健所長様
恐縮ですが
話しの流れから昭和20年代の設計負荷とは主に医療法のことをさされておられることは
理解できるのですが
昭和20年代の設計についてさらに理解するための参考資料などあるでしょうか
もし可能なら教えていただければ勉強したいです。
個人的には【厚生省二十年史】は所有しています。
>計強度通りの使用法は診療縮小、アクセス制限ですね。
>おっしゃるとおりです。昭和20年代の設計負荷は、自由診療による窓口全額自己負担、救急車はなし、患者は徒歩か荷馬車・大八車で来る、お産は自宅で産婆がやる、死亡は自宅で・・などを前提としたものです。
>ですから、まずは設計負荷に戻すというのが本来あるべき対策です。
もしできないというなら、古い基準の「病院」を解体し、新たな基準で作り直すべきです
元もと保健所長
京都の小児科医さま
>昭和20年代の設計についてさらに理解するための参考資料などあるでしょうか
>もし可能なら教えていただければ勉強したいです。
IYCと同様に、内輪ウケを狙ったカキコですので、マジに聞かれても戸惑ってしまいます(^^;)
設計負荷とは、医療従事者にかかる「荷重」のつもりで使いました。自費診療などの医療需要のほか、書類書き、医療裁判、応招義務などによる負荷を想定しています。
設計強度とは、荷重に見合う強度ということで、具体的には医療法施行規則第19条の人的基準、宿直医制度などを想定しています。
医療法施行規則第19条の基準や宿直医制度が、いまだにそれが制定された昭和20年代の牧歌的医療における負荷を想定したままであることを言いたかったのです。
inoue04
業界事情をあまり知らないんで、何か勘違いしているかもしれないんですが、
・フルタイム勤務をしている病院があるのに、わざわざ外勤して日銭を稼いでいる人が多い
・よって、外勤を止めれば、かなり労働時間は減るはずであり、長時間勤務は、身から出た錆じゃないのか?
一口に外勤(ネーベン)といっても、医局人事で半強制的に行かされるものから、完全に自由意思で応募して、小遣い稼ぎしている例まで色々あるでしょうが、外勤を止めることは不可能ではない。
非常勤医師がいないと、常勤医師だけで当直を回さざるをえなくなり、余計医療が崩壊するとか、マイナー科が週1回でも来てくれると診療の幅が広がって都合がいいという事情も承知していますし、完全なフリーター医師では身元が不安だということも知っておりますが。
Bugsy
Inoue4様
>外勤を止めれば、かなり労働時間は減るはずであり、長時間勤務は、身から出た錆じゃないのか?
う ぷ ぷ。外勤があるからこそ その日は割り切って時間どおり自宅に帰れるという部分を期待しています。外勤はすくなくとも夜間のオンコールはありませんからね。延々と勤務先の病院にいるより 気楽なんです。
> 非常勤医師がいないと、常勤医師だけで当直を回さざるをえなくなり、
そうなんですよ。だからお呼びがかかるんです。断ると 彼らがつらいのです。
結局 助け合いですよ。医師不足が続く限り これからも続けようと思っています。
>フルタイム勤務をしている病院があるのに、わざわざ外勤して日銭を稼いでいる人が多い。
仕方なくやってきました。だけど昨今は外勤しないと先方に病院はつぶれるんじゃないかな?
僻地医
>外勤を止めれば、かなり労働時間は減るはずであり、長時間勤務は、身から出た錆じゃないのか
Bugsy様のおっしゃるとおり、外勤を止めても、(特に大学病院の場合)色々と断れない用事が降ってきて結局外勤に行くより仕事が増えます。善し悪しはともかくこれが現実なのです。
それと(やはり大学病院の場合)、大学から出る給料が(助教以上の常勤職員でも)市中病院と比較して大分安い場合が多く、兼業を禁ずると人材の流出が避けられないという点があります(もう大分流出してますけど)。もちろん大学が労働量に見合った給与を出せば(少なくとも時間外をきちんと支払う)良いのですが、勿論そんなことはせず、悪くいえば時間外給与を市中病院に肩代わりさせるような形で兼業を認めているわけです。
病院側は兼業を禁ずると時間外をちゃんと払えという要求が来る・・・医者の側としては大学側に時間外の支払いを要求すると(国公立の場合)杓子定規に公務員(独法職員)の兼業禁止規定を持ち出されて兼業を禁止され、お話しにならないほど安い単価の時間外給与で丸め込まれる・・・といった懸念がそれぞれにあり、微妙なバランスでお互いが言い出さずに黙っている感じです。
一方、市中病院にとっても、常勤の居るメジャー科の場合は当直の応援、常勤の居ないマイナー科の場合は週数回の外来診療で助かっている場合が多いと思います(高額のバイト代をむしり取られて困っているという話はあまり聞かず、むしろ来てほしいけど医局がバイト医を回してくれないので困っているという話をよく聞きます)。
やはりどちらにもメリットがあるからずっと続いているんだと思いますよ。
ただBermudaのブログに出てくるような産婦人科は酷いですね。内勤も地獄、外勤も地獄でどちらに転んでも身体がもちそうにありません。良くやっていらっしゃるなあと思います。
勤務医
「嫌なら辞めろ委員会(IYC)」
なるほど。そんな意味があったとは。
と言うことは大学で権力をふるって居た方も、「もう無理せずに崩壊させたらいい」と
考えて居ると言うことでしょうか。
でも今の上層部はそんな事考えて居ないように思いますけどね。
あと、おいしい汁を吸って、自分が辞めてから言われてもねえ。
で、今の上層部も辞めてからそんな事言うのでしょうか。
京都の小児科医
元もと保健所長様
色々と勉強になります。ありがとうございます。
>設計負荷とは、医療従事者にかかる「荷重」のつもりで使いました。自費診療などの医療需要のほか、書類書き、医療裁判、応招義務などによる負荷を想定しています。
設計強度とは、荷重に見合う強度ということで、具体的には医療法施行規則第19条の人的基準、宿直医制度などを想定しています。
>医療法施行規則第19条の基準や宿直医制度が、いまだにそれが制定された昭和20年代の牧歌的医療における負荷を想定したままであることを言いたかったのです。
京都の小児科医
昭和20年代の牧歌的医療?
昭和24年「新しい保健所」
http://www.phcd.jp/gaiyou/newHC.html
これは前から知っています。
10年ドロッポ
勤務医様、
マジレスするのもなんですが、委員会の中の人は大学のエライ人じゃなくてドロッポ医ですよ、多分。ちなみに私もメンバーですw。
moto-tclinic
>フルタイム勤務をしている病院があるのに、わざわざ外勤して日銭を稼いでいる人が多い
>よって、外勤を止めれば、かなり労働時間は減るはずであり、長時間勤務は、身から出た錆じゃないのか?
フルタイム勤務と外勤と、どちらかを辞めろと言われたとき、フルタイム勤務のほうを辞める選択肢をとる人が増えてきたのが、今どきの「逃散」なわけです。
inoue04
まあ、外勤といっても、医師労働時間には変わりないし、それを非常勤で埋めるか、常勤で埋めるかの違いでしかないですね。
2009-04-17 医師の不足感を考える
ほんの2年前まで厚生労働大臣だけではなく総理大臣まで力説していた医師の偏在ですが、私は無かったと考えています。2年前になると自信はありませんが、少なくとも新研修医制度施行前は無かったと言っても良いと考えます。無かったは本当は適切な表現ではなくて、実際のところは都道府県レベルでも偏在はあり、市町村レベルでも偏在はありましたが、偏在が原因による不足感は無かったと言ってよいと思います。
不足感はどの病院にもありましたが、これは程度に差こそあれ全国共通の現象であり、どこも均等に不足感があり、勤務医はどこに勤務しても同じような不足感を感じていましたから、さして不満も感じず働いていたと考えます。それ以外にも要素はありますが、かつては、
-
どの病院もほぼ均等に医師が不足していた
ここで都道府県格差をなぜ感じなかったかですが、ほぼ全国を支配していた医局人事のためだと考えます。医局の支配権が圧倒的であった頃には、勤務医を行なうというのはイコールで医局人事に従うでありました。当然といえば当然ですが、勤務医は医局の派遣病院間を異動するだけになり、派遣病院の医師数は医局がそこそこ均等にしますから、どこに勤務しても均等の不足感を味わう寸法です。まったく均等でなくとも許容範囲内の格差といえばよいでしょうか。
人間は足りないことより、差がつくことのほうが敏感ですから、どこに勤務しても同じように医師不足感を感じれば、病院の勤務医の仕事はこんなものだと思い込むものですし、どこも同じなら案外不満は出ないものです。医局人事の功罪自体は長くなるので深くは触れませんが、医師の均等配置に関しては、医師個人の意志を押し潰すという負の面と引き換えに保っていただけではなく、医師個人にも不足感を感じさせないでいたと言えるかも知れません。
このマジックにより勤務医からさして不満が出ていなかったのですが、不満が出ないことを「満ち足りている」と誤認したところがあります。OECD諸国で最低レベルの医師数で、日本は一級の医療レベルと、低価格の医療費、そして世界でもダントツのアクセスの良さを達成したと誤認していたところです。少しでも頭を使えば分かることですが、クオリティ、コスト、アクセスが並立するはずもなく、並立したように見えたのは「世間知らず」の勤務医が猛烈に働いて支えていただけのことです。
その証拠にクオリティ、コスト、アクセスの並立と言う世界医療の奇跡が起こった医療体制ですから、これを参考にして導入したいという国があっても良いはずですが、どこも参考にすらしていません。そんなカラクリがあるにも関らず、医師は満ち足りているし、誰も不満を言わず余裕綽々で仕事を行なっているとし、足りないどころか余ることをひたすら心配していた状態が日本でした。
この誤認が頂点に達したのが新研修医制度の導入かと考えています。この制度には表の狙いと裏の狙いがあるのですが、裏の狙いは勤務医の人事権を握っている医局を弱体化させ、勤務医の人事権を厚労省が握るという政策です。おそらくですが、満ち足りている医師は医局と言う装置がないと勤務病院を探すのに悲鳴を上げるはずだの計算だったかと思います。
医局さえ弱体化させれば、医師は勤務場所の斡旋を求めて厚労省に泣きつき、厚労省は医師の願いにより官製医局を設立し、医師の人事をやがて一手に掌握できるはずだの戦略であったと考えます。新研修医制度の導入は狙い通り医局の弱体化を招きました。ここまでは計算通りでしたが、重大な誤認が発覚することになります。医師は満ち足りてなかったのです。
医師は満ち足りていたわけではなく、満遍なく不足していただけの事だったのです。医局の弱体化により医局人事の強制力が低下すると、一部の医師が希望病院に自分の意志で異動する現象が起こります。言っておきますが、ほんの一部の医師がです。その結果起こったことは、満遍なく不足していた状態から、
-
破滅的に不足した状態
不足した状態
そこそこ足りた状態
こういう風に偏在が進むことになります。これまで満遍なく不足していたので、医師が希望すれば勤務は容易であったということです。ここで「医師が余る状態」を設定しなかったのは、医療費削減政策では医療経営的にそれは不可能だからです。医療も経営であり、余計な医師を雇う余力はどこにも無いという事です。別に経営に余裕があっても余分な人間は雇わないのは経営のイロハです。つまるところ厚労省が期待した就職に困る医師の出現は起こる余地など無かったということです。
もう一つ重要なことがここで起こっています。こういう偏在が生じたことにより、不足に格差がはっきり見えたことです。医局支配時代も不足はしていましたが、派遣病院のどこに行っても同じように不足していたため麻痺していた不足感が、はっきりと感じるようになったことです。人間は格差の無い不満は耐えられても、格差のある不満に対しては敏感です。
同じ激務であってもどこに行っても変わり映えしないとなれば、「そんなものか」と思いますが、目に見える格差として病院で差があれば、見の振り方を考えます。医局のタガは緩んでいますから、その気になれば選択枝は幾つもあります。格差の下のほうの病院であると自覚してしまえば、上を目指そうという気持ちに医師でもなります。
なんだかんだと言っても、医局の弱体化によりフリーで移動を行なった医師数は全体からすると大した数ではないと考えています。あくまでも憶測ですが数%程度だと考えています。どう多く見積もっても10%は超えないと思います。しかしその程度の数の医師が自由な意思で勤務先を選んだだけで地方医療は青息吐息どころか、瀕死の状態に陥るところは今や珍しくありません。それぐらい満遍なく不足していたということであり、ほんの少しの移動で足りないから破滅的に足りないになったと考えます。
不足感を持ったというのは重大な意識変化です。不足感は充足への願望につながります。言い換えれば自分の病院より充足しているところがあれば、そのレベルへの充足が欲求として生まれ、さらにはより充足している病院への移動願望が生まれます。不足感は持たせないようにするのには膨大な時間がかかりますが、持つようになるのは短期間で十分であり、持てばまず消えることはありません。医師が労基法に敏感になったのも不足感に起因しているところは小さくないと考えています。不足感が無い時代は誰も労基法なんて関心すらなかったからです。
医師が不足感を濃厚に感じた構図は、基本的に不足していた事実を前提として、
-
厚労省が医師人事掌握の野望実現に動く → 医局弱体化 → 一部の医師が自由に動くことによる偏在形成 → 医師が目に見える格差を実感する
医師が満ち足りているの誤認から始まった厚労省政策でしたが、結果として残ったのは医師の不足感の表面化です。実態として不足しているのを実感として感じさせる意識の変化です。もう起こってしまった事はどうしようもありません。もう一度不足感の無い状態に戻すのは、時間を逆流させるぐらい困難なことです。発端である新研修医制度をどういじろうが、取り戻せるものではありません。たとえ完全に元通りにしても、覆水は盆には返らないと言う事です。
今となってはそういう変化が良かったのか、悪かったのかは不明です。もしも新研修医制度の妄動が無くとも、実態としての不足感は年を追うごとに厳しくなっていましたから、どこかで炸裂したかと考えます。それが早くなっただけと考えれば、罪ばかりでなく功もあったとは言えますから、長い目で見ればgood jobであったかもしれません。回る因果の糸車状態みたいな感じです。
もっとも新研修医制度を諸悪の根源みたいに考えて、それをいじくりまわす事により事態の解決を考えようとする周回遅れの方々は笑えます。新研修医制度は引き金であって、事態の展開は不可逆性の大きな変化を引き起こしているのです。これは新研修医制度と言う引き金の形をどう変えても対処できない変化と考えています。どういう時代が次に来るのか、良いか悪いか分かりませんが、新時代の扉は開け放たれ、そこに既に突入してしまっています。
通りすがり
医師サイドの意識の変化についていけてないのは厚生労働省だけでなく
医療の受益者たる国民もです。岩手県や彦根市で起こってる事を見れば
受益者である国民の意識が周回遅れどころか止まってる事が分かります。
元外科医
おお、さすがはYosyan先生。鋭い分析と指摘。全くその通りだと思います。小生、医局人事で12年その後医局人事でない別の私立病院に勤務して現在に至りますが、30年前から外科を辞めて健診業務に就くまで、職場での医師の不足感は変わらなかったと実感しています。曲がりなりにもやれていたのは医局による「悪」平等があったせいでしょうね。明白な不公平待遇差があっても、医局人事のローテートで埋め合わせることで繕っていました。まさに覆水盆に返らずです。小生のような医局OBからみれば現実をわかっているだけに大笑いです。しかし、悲しいという思いは全くありません。過労死する医師が減少し、医師労働が労働基準法に守られるようになるでしょう。結果として医療縮小が起きて、医療アクセスが悪化するのはもう既に既定路線であると認識しております。
長い目で見れば医師増と医療の質の改善になるでしょうが、小生の存命中には無理でしょうね(笑)
一産科医
不足感が顕著になったのは事実ですが、今後の展開は
・(特に地方から)医師不足の声が上がる
↓
・医師の強制配置待望論が↑
↓
・厚生労働省またはその天下り団体が配置のための権限を手に入れる
↓
・医師の人事権を官僚が掌握してウマー
が予想されます。
とすれば、厚労省とすればここまでは予定通りと思われ。
日本語ー英語の壁がある限り、日本人医師が海外に流出することはそれほどないと踏んでいるのでしょうが、さて、どうでしょうか?
10年ドロッポ
新研修医制度の導入がなければ、奴隷どもの覚醒は遅延し、結果オレ様の終わらない夏休みは生涯安泰だったのに厚労省の阿呆どもときたら…。
>医師の人事権を官僚が掌握してウマー
具体的にはどのような手法になるのでしょう?私の粗雑な頭では「総公務員化」くらいしか思い浮かびませんが、これは労働基準法遵法というカウンターで簡単に無力化されますし…。
あ、それ以前にどこから医師引いてくるんでしょう?都市部だって余ってるわけじゃねえでしょうし…。
元外科医
>日本人医師が海外に流出することはそれほどない
まあ、海外に行く医師は少し増える程度でしょうけど、国内で臨床医以外の業種にいく連中が激増すると思われw
Anybody
>裏の狙いは勤務医の人事権を握っている医局を弱体化させ、勤務医の人事権を厚労省が握るという政策です。
「医局を弱体化させ」までは同意ですが、それ以後は考えすぎかと思います。
医局がなくても自由応募している病院はいくらでもあるし、ジャミックみたいな口入屋もありますから、厚労省に勤務場所の斡旋を求めるようになるなんて話は絵空事ですよ。
地方大学へ進学し、研修が終わって、都会に帰りたければ自分でアプライしてたのは今も昔も変わりません。
もっとも、一産科医様のおっしゃっている構図はありそうですが。
Anybody
医師の強制配置論は憲法がネックでしょうが、憲法訴訟ほどご都合主義で解釈されるものもありませんから、医師の偏在が深刻化すれば危ないかなと思います。
医師が団結してストライキも辞さないという統一的抗議行動が取れないとゴリ押しされかねないでしょう。
英語は流暢な医師はさほどいないように思いますし、かなりのネックになるでしょう。外国に住むのは単に言葉の問題だけでなく、習慣、社会保障の問題もありますから、大変です。多くの人は米国を念頭に置いているのかも知れませんが、医療訴訟という点ではあっちの方がはるかに深刻ですよ。英語でガンガン責められたらたまったもんじゃないでしょう。
他職種は最初の内は逃げる人もいるでしょうが、もともとそういうポストは少ないですから、すぐに埋まってしまいます。
ふと疑問
違った意味で、厚生労働省の思惑通りなのかなと思っています。
つまり、地方の小規模から中規模な病院をほぼ全てつぶして、基幹病院に集約化するのが厚生労働省の狙いではないでしょうか?全体の病床数が減って、提供できる医療の絶対量は減少するので、全体の医療費はむしろ減ることを期待しているのではないでしょうか?
医局による小規模病院への派遣機能を破壊したこと、総務省を通して赤字病院を潰しにかかっていること、さらには労働基準監督署による指導も一貫した姿勢が感じられます。
労基署の指導についていえば、宿直でなく時間外労働での割増賃金を指導することにより、基幹病院は常勤医師数を増やして交代勤務制を目指すでしょうし、中規模病院以下は経営に止めをさされて閉鎖への道を歩むように思われます。つまり労働基準法を守らせる指導は集約化を目指すように感じます。
以上こう考えると、厚生労働省に一貫したポリシーがあるように思えたところでした。
京都の小児科医
新研修医制度については
参考資料として
日野原先生が作成されたものがあるようです。
【日本における臨床研修のあゆみ】
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2004dir/n2566dir/n2566_02.pdf
法務業の末席
>医師の人事権を官僚が掌握してウマー
えっ、ウマーなんですか?
医師の人事権を官僚が掌握したら、医師不足の怨嗟の鉾先は全て厚生省(厚生労働省に非ず)官僚に向きますし、
人事権を行使して動かそうにもコマ(医師)が絶対的に不足では、権力の振るいようがない。
加えて医師不足や配置偏在で引き起こされる現場の混乱は、厚生省官僚が全責任を負わなければならなくなる。
これは貧乏くじの役目ですよ。
頭が良いかもしれないが、責任は負わないことにかけては筋金入りの官僚が、
そんな貧乏くじの役目に魅力を感じるのでしょうか?
京都の小児科医
厚生労働の医師国家管理についての原点は
(異論があるかもしれませんが。。。)
戦時中に作った日本医療団があると思います。
ネットみれる適切な史料は地域医療をどのようにして充実するのかというブロクの
http://blogs.yahoo.co.jp/seki8012006/34512481.html
でしょうか
私としては異論がありますが、情報として提供します。
厚生労働省の行動原理を推測することは難しいですが、この原点にもどって動くことはありうると思います。
rastaman
医師適正配置管理機構とかいったものを作り、天下り.
のらりくらり責任回避しながら、勤め上げ.責任は誰も取らないのが
いつものことでしょ
卵の名無し
>貧乏くじの役目に魅力を感じるのでしょうか?
何を今さらwカマトト杉
介護保険制度導入以来許認可裁量でいくらでも安全地帯を粗製濫造してそこに脱出してるでしょw
天下り省益(官僚の個人利権)さえ確保出来ればウマーな場合「地頭は倒れる処に土を掴む」w
まー厚労省に限らず日本の官僚全体が土を掴むニギニギがとってもお上手だけどねw
元ライダー
今日は未来予想図ですね。
>医師強制配置
無理やりやれば可能だし、今の政府ならやりかねませんが、やった後の副作用は新臨牀研修制度どころじゃないでしょうね。副作用のほんの一つとして、もうひとつのパンドラの箱が空きますよ(当直日以外はケータイ放り投げて毎日飲みに行くとかw)。それもまた乙。
>厚労省の行動原理
最近なるほどと思ったのはこれ↓
http://ryumurakami.jmm.co.jp/dynamic/report/report22_1587.html
【医療費削減によって権限拡大する厚労官僚】の項は特に。
Seisan
厚労省が(というより官僚が)医師の人事権を把握することを望んでいるのは間違いないですが、「すべての医師」ではおそらくないでしょう。
公立病院の医師の人事を自治体ではなく、全国的に一元化することを進めると考えています。
そのためには、私立病院はできるだけ減ってもらわなければ困りますし、最終的な逃散先である「開業医」は青息吐息、とても新規開業なんて無理、っていう状況になっていなければいけません。
だからこそ、「開業医は儲かっている。開業医の診療報酬を削減すべし」という方針を一切崩さず(医師会調べではもう3割の開業医が赤字に陥っている。歯科並みのワープア開業医の時代はもう目の前ですよ)、それを行うために、診療報酬本体をいじらず、補助金行政で病院(とくに公立病院)を延命しようと図っているわけですね。
そこで、公立病院に関する法律を改正し、逃げれなくなった医師たちを自由に動かす、あるいは、やっていけなくなった開業医を再度勤務医として自由に飛ばしまくる(これも借金もとの金融機関と協調すれば好きなようにできますね)。
そのあたりが狙いでしょう。
つまり、現実は、研修制度なんぞとは無関係に「役人の望むがまま」に進行しているように見えます。
rei
>もう起こってしまった事はどうしようもありません。もう一度不足感の無い状態に戻すのは、時間を逆流させるぐらい困難なことです。発端である新研修医制度をどういじろうが、取り戻せるものではありません。
なに、アスピリン飲んで喘息になった? いますぐアスピリンを吐き出すんだ!
ya98
医局体制を崩壊させ、医師の労働力を流動化させる目的があったというのは正しいですが、医師人事を一元的に管理する体制を目指していたというのは疑問でしょう。
中世での同じ土地で一生過ごす封建体制から、近代社会への移行過程で、土地に縛られていた労働力が流動化し都市に流入する現象がおきました。最たる例が米国での奴隷解放で、これは人類は平等からという建前のことではなく、米国の工業化に伴い都市での労働力を必要とされたからです。医師の世界で起きたこともほぼ同じことで、土地(出身医局)に縛られず労働力流動化させる必要があったからに他なりません。理由としては中央集権的な医局一元化をはかることよりも、皆保険制度を破綻させた後にできるであるはずだった民間医療保険による病院に労働力を移動させる必要があったこと。こうした病院の運営にもっとも障害となるのが安価に医療を提供する公的病院で、少なくとも公的病院を質的に低下させる必要があったことです。
一部の厚労官僚の思惑に医師人事の一元的管理を狙っていた可能性はありますが、小泉安倍政権の性格からすると、「構造改革」として皆保険から混合診療に変化させ公的病院を破綻させる方針だったろうと思われます。ただ、大恐慌となりセーフティーネット重視から皆保険制度維持に方針が代わった。「改革」派の失脚もあって一部の厚労官僚の思惑が前に出始めているのではないでしょうか。動き出した変化がもう元に戻ることはないですが。
Yosyan
まあ、新研修医制度導入の背景に医局潰しがあったことだけは間違い無く、医局を潰して何らかの絵を描いていたのも間違いないかと考えています。どんな絵であったか、その絵が現在の医療情勢も含めて予定通りであるのか、思わぬ展開になっているのかも憶測のうちです。
ただ新研修医制度導入当時の医療情勢は今では信じられないぐらい平穏でした。現在の混乱まで未来予想図に描いていたのなら鬼畜の所業になりますから、何らかの計算違いはあったとは思っています。少なくとも医師の意識が短期間でここまで急激に変化するのは計算に入ってなかったかと思っています。
一応ブログでですが注意は何回もしておいたのですけど、きっと読んでないでしょうね〜。。
Bugsy
Yosyan様の解析はまことに的を得ていると思います。
結局自分たちは何となく医師が少ないなあと感じつつも、先輩から「自分たちもこうやってきたから」と言われれば、抗う術を知りませんでしたし、数年たってネーベンが出来れば同じことを彼らに言っていましたね。
研修医制度が始まって随分腹をたてましたが、あれは自由を得た彼らに対する自分の嫉みだったのでしょう。うだうだと病院に残って、自分が診療を支えているんだという身勝手な思い込みになりがちな自分達と違って、きちんと休暇をとって休養をとることを当然とする彼らが妬ましかったです。
嫉みとは自分ができないことに対する、失望感や劣等感からくる感情だそうです。少し経つと医局制度の縛りがないだけ、彼らには良い事なんじゃないかと少し冷静になっています。
自分たちは先輩を参考にしてライフプランをたてましたが、研修医制度やマッチングを経験した彼らにも、我々はきちんとした臨床医としてのライフプランの相談にのってあげられるでしょうか?彼らも我々の助言に耳を傾けてくれるでしょうか?
「自分たちは昔はこうやって体を虐めて...」といっても全く説得力がないですよ。だってそうやって働いている中年の医師が逃げ出してますもんね。
若い世代に助言もできないオジサンというのも なんだか寂しいです。同じ職場で働いている中年のオヤジからにじりよられると気持ち悪いでしょうなあ(笑)。オイラも昔はそうだったけど。
こんなに短時日のうちに医師の意識は変わりました。これは若手のみならず、中堅やベテラン医師もです。
人のことを心配する前に 実は自分も将来設計がどうしたらいいか迷っています。
結局今まで通り働kしかないのかなあと。
Anybody
>>少なくとも医師の意識が短期間でここまで急激に変化するのは計算に入ってなかったかと思っています。
お言葉を返すようで恐縮なのですが、本当にそうなんでしょうか。
25年前にすでに産婦人科、外科などしんどい科を忌避する傾向ははっきり出ていました。高度成長時代の休日返上、連日2時間残業当たり前の社会から週休2日制のいくぶん余裕のある社会に社会全体が変化し、若い医師の意識も次第に変わってきたように思います。
医局には矛盾も多く、因習が残る最後の部分社会でしたが、長く続いてきた制度だけに医局を離れて生きていけるのかという不安もあったように思います。新研修制度はそれが幻影に過ぎないことを物の見事に証明してしまいました。医師が医局の呪縛からようやく解放された、そういう面もあったように思います。
京都の小児科医
Anybody様が書かれた下記についてですが
因習が残る最後の部分社会は医局だけではありません。古い体質は他に官僚制度とマスコミが残っています。
この2つの部分をどうするかは難しいかも知れませんが、(特に官僚制度は)日本の古い
因習の残っている制度であることの自覚は、国民レベルで必要であると思います。
>医局には矛盾も多く、因習が残る最後の部分社会でしたが、長く続いてきた制度だけに医局を離れて生きていけるのかという不安もあったように思います。新研修制度はそれが幻影に過ぎないことを物の見事に証明してしまいました。医師が医局の呪縛からようやく解放された、そういう面もあったように思います
Yosyan
>お言葉を返すようで恐縮なのですが、
当ブログではブログ主に「お言葉を返す」ぐらいは日常茶飯事ですからお気遣いなく、
>本当にそうなんでしょうか。
本当のところは誰にもわかりません。おそらく永遠に本当のところはわからないんじゃないでしょうか。だからブログのテーマに何度でもできるのです。
Bugsy
25年前というのは実はオイラにも記憶がありますが(笑)、無論その頃はブログもインターネットも無かったわけです。だから他所の大学、見知らぬ病院の勤務状況というのは噂すらありませんでした。
当時 自分の同級生にも外科や産婦人科などのいわゆるきつい診療科を避ける風潮は確かにありました。
それでも学生の折ポリクリをちょろっと回っただけでは忙しさの実態がわからず、たまたまこの人たちは忙しい、そんな最中に自分たちが遭遇したのかなと感じていました。まさか年から年中、こんな事やってるなんて。
皆入局の勧誘も兼ねていたので おいしそうな事を散りばめていましたねえ。
自分の印象だと外科系というより内科の医局のほうが、医師が夜遅くまで病棟や医局に居残り、先輩に命ぜられた文献の調べ物、症例検討会の打ち合わせをしていて、自分はとてもじゃないがついて行けないなと怖かった覚えがあります。むしろ外科系なら、手術の疲れも一晩寝れば楽チンかな、手術が忙しいけど、勉強会の数も多くないしと甘く見ていましたね。
たぶん同じ診療科でも 他所の大学や病院で多分事情が違うだろうとは思っていました。だから楽しそうな医局を選べばいいやと楽観していました。ただその先の派遣先の病院の事情ということまで頭は回らず、友人とも話し合った経験がありませんでした。
もちろん全国的に医師不足なんて思いもよりませんでした。
医療系のブログがあればこそ いろんな事情を知ることが可能となったのであって、知らねば自分は相も変わらずタコつぼの中で狭い専門分野でコソコソやっていたでしょう。
同時に今の医学部の学生や研修医もこういった医療系ブログはよくご存じです。
もう情報の封印は無理で 大本営発表も話半分くらいにしか聞いていないと思います。
moto-tclinic
25年前と言うのは、わたしは1984卒なんですが、産婦人科の入局説明会は、二次会が医局長のオゴリでソープランドだったな、確か(^^;。
ほのぼのとした良い時代でした。今は、母校の産婦人科の教授は女性だし、そんな伝統?も廃れたんでしょう。(何年ごろまであれは続いていたのだろう)
外科は、入局するのが、運動部に入るって感じで、どうにも抵抗ありましたね。そういう上下関係とか徒弟制度はどうにも馴染めなくて・・
今の時代に医者になったら、外科か救急に行ってただろうなあ。。マジで。昔は、向く人には向いてたでしょうが、私のような変り種タイプの人間は、「除け者にされるかもしれない」リスクが高い気がして、近寄りにくかったなあ。
わたしは今の時代のほうが好き。焼け跡から使えるもの、食べられるものを一人で探し出すのが好き、自由が好き。
訴訟リスクとか、地雷とかは、自己責任なんで、そんなに怖くはない。集団に属さない、服従しないというだけで処罰される社会のほうがよほど怖い、というか嫌。
医局崩壊万歳(^^;。
tadano-ry
また笑えるネタを見つけたのですが、あまりにもエントリと関係ないのでTB打ちました。
笑ってやって下さい。
http://d.hatena.ne.jp/tadano-ry/20090417
moto-tclinic
>医師の人事権を官僚が掌握してウマー
いまは医者が相対的に不足しているから、官僚は人事権に手をつけないです。損な役割だもんね。しかし、都道府県医局構想は、消えてないし、派遣業での医師派遣の制限も残したままだから、将来、相対的に医師過剰になったとき(今の歯科並み)に、ウマーになるんじゃないかな。
ウマーっていっても、昔の医局がやってたように「マグネット(中核)病院勤務して専門技術身につけたいなら、まず地方公立でなんでも総合医的振り分け仕事から」っていう、医者に対する精神的優位のような感じで、あんまり金銭的利権発生しないような気がするけど・・。
666aks
Yosyan先生の分析は正しいと思っていますが、医師不足の原因は他にもあります。
(1)IT革命と称して電子カルテ化が進められたのは医師の拘束時間を決定的に長くしています。紙カルテと比べれば手間は4割増しだと思います。特に入院の点滴やパス入力などは20歳代でないと理解しがたいところが多々あります。(困ったことに電子カルテの入力については看護師は関知しておらず、ソフトエンジニアに聞くか、若手の医師に尋ねることが多くなります。)(2)IT化に伴い指示をコンピュータに入力して、看護師や検査技師、薬剤師さんに入力したことをPHSで連絡しないとすぐには指示が受けてもらえなかったり、検査ができなかったり、薬が間に合わなかったりします。口頭指示の抹殺は急ぐときに時間がかかることを意味します。(3)外科系ではオペレコの記載に時間を取られているようです。内科系ではインフォームドコンセントの記載や退院サマリーなども手間です。
間違いの少ない印字された文書が出てきたり、バーコード照合でミスが減るメリットは認めますが、忙しい病院であればある程、医師に負担がかかるシステムです。臨床研修医制度が、医療崩壊の表の原因ならIT化は裏の原因であると思います。
moto-tclinic
ちょっと思いつきなんですが、
最近、新規開業って少なくなってきたような気がするけど、この数年間、追い込まれるように内科とかで開業して、しかし流行ってなくて、クリニックたたみたくてもたためない、欝な先生増えてると思うんですよ。これからもっと増えるかもしれない。
医者不足の公立病院、そういう先生に無利息で1億とか融資して、借金返させて、その代わりに向こう10年間働いてもらう、とかどうかなあ?
開業に失敗して、利息払っても払っても元金減っていかない人なんかにとっては、良い話じゃないでしょうか?
moto-tclinic
カルテのIT化なんかは、どう考えても、資本の医療業界への参入への準備でしょうね。
マス・メリット見込めますから。チェーン展開に向いてます。医者はサラリーマン院長を勤める。美容外科のチェーンに似てる。
だけど、歯科のチェーン展開って、聞かないですね。。だけど、電カル必須になると、歯科も医科も、廃業考えるってとこあるそうだから、そういうところまとめて「これからは、うちが経営させていただきますから、先生はこのままどうぞ居てください。月々○○万円給与としてお支払いいたします。電カルはうちで用意させていただきます。専任オペレーターも派遣しますし、人事もこちらで手配します」
っての、どうかしらん。電カル会社がやれば、一気にコンビニ的展開できます。
moto-tclinic
補足ですが、上の公立病院の1億円無利息融資ってのは、欝な先生にとっては、利息分を払わなくてよくなる、ってメリットがあるわけです。
10年間毎年1000万円ずつ返すわけですが、給与を2000万円と定めて、年収1000万円で暮らしてもらえばいい。
議会通すときにも、「この先生は特別に年棒2000万円で来て頂く訳ですが、実際には返済金と相殺して毎年1000万円の支給となります」とすると、なんとなく、抵抗されにくくないかな?
あるいは「年棒1600万、実支給額600で、そのかわり病院の公舎を提供して住んでいただく」でもいいかも(^^;。
医者の破産ってあまり聞かないですが、これから出てきて、銀行が新規開業医を利息稼いでくれる鵜だという認識改めて回収に乗り出すと、危ない先生の名簿を自治体病院に紹介して、そういう展開もありかも。
tadano-ry
666aksさま、motoさま
私が研修先を大学にしなかった大きな理由は電子カルテだったからに他なりませんwww
ポリクリの時に見て、こりゃ大変だ、と思いましたから。
Yosyan
電カルね・・・
導入しなかったのは面倒くさそうだったのと、予算不足です。レセコンより100万増しは当時は猛烈に辛かったからです。それとどう考えても私のタイピングでは手書きより3倍は時間がかかりそうだったのも大きな理由です。
それでも現在は別の切実な理由で導入はどこかで考えています。やはりカルテの5年間の保存義務は重くて、狭い診療所がカルテにかなり圧迫されています。それでも予算が出来ての優先購入はFCRです。自現機の手洗いはやっぱり辛い。。。
Hajimaru
いろんな思惑を考えられた方々が予想できなかった一番の変化は、先日Yosyanさんが云われていた「医師が医師として頑張ろうというmotivationを持てなくなった事」だと思います。
moto-tclinic
わたしも、電子カルテって、実は触ったことすら無いです(^^;。
いまだにブラインドタッチ出来ないし、ほとんどのキー右手の中指だけで叩いてるし(Aだけ左の中指、あとshiftは左薬指でenterが右親指)。
最近、モニター近くで長時間見てると疲れるんで、46型液晶テレビ2台追加で買って、マルチディスプレイにしました。これだと2mくらい先から見てればいいから、目が疲れない。環境許すかたにはお勧めです。
Virtuagirlはいつもデスクトップで踊ってくれてるし、なんか幸せだ(^^)。書き込もうとすると、カーソルのあたりに頭や胸がきて邪魔なんですが、全然苦にならない。カワいい。(笑)
moto-tclinic
virtuagirlは、絶対オススメですよ。トップレスまでなら、無料だし。
http://www73.virtuagirlhd.com/us/index2.php
女性およびゲイの方向けには、virtuaguyってのがあります。
http://www73.virtuaguyhd.com/us/
職場(クリニック)には、わたし用のPCにvirtuagirl入れてるんですが、女の子たちが事務に使うPCにはvirtuaguy入れてあげてます(^^;。
元ライダー
>無利息で1億とか融資して、借金返させて、その代わりに向こう10年間働いてもらう、とかどうかなあ?
その変形のビジネスモデルを考えています。個人だと早く借金を返したいと考えて年棒の高いところに勤務すると、税金も高くなって馬鹿らしい。moto先生の案を変形すれば高年棒でも税金が安く抑えられて、税金分で借金が早く完済できるモデルに(ry
moto-tclinic
なんだか、クイズみたいですね?
うーん、ちょっと考えてみたけど解りません。
返済させるのではなく、銀行から債権を買って、給与と相殺にしても、税務署は相殺前の額を給与と認定しますよね?
医者は派遣業にならないから、派遣会社による節税も出来ないだろうし・・
moto-tclinic
そうだ、元ライダー先生が理事長してる医療法人が、借金を肩代わりして、そのかわりに開業に失敗した院長先生には、理事になってもらう。給与は安くする。
理事退職時の退職金積み立て分から、医療法人への返済額を(内部的に)相殺する。
これならどうかなあ?・・自分、医療法人持ってないので、医療法人の実務はよくわからないのですが、表(税務署)に出る給与は安いので、給与に対する税金も安くならないでしょうか?
元ライダー
さすがmoto先生。
この医師不足の折、うちの近所の(民間)医療法人からプチ僻地公立病院(プチは僻地に係ります)に医師を派遣することになったと最近地元紙に載ってました。抜け道ができたようです。
moto-tclinic
形の上では、失敗したクリニックを医療法人が吸収合併するということになるな。。
その上で、ちょっと間をおいて、クリニック畳んでしまって、院長先生には「本院」のほうで働いてもらえばいい。
院長先生の体裁もいいでしょうね。
元ライダー
moto先生
コメント前後しましたがそんな感じです。ただ、理事になってもらう先生にすぐ雲隠れされたら厳しいです。そこが弱点かなあ。
moto-tclinic
あ、そうか、これって実質的に、医療法人による、医者の派遣業ですね。
なるほど〜、抜け道だー。
あちこちで、僻地公立病院に民間医療法人が医者を出す話聞くけど、なんで、そんな芸当ができるのか?と不思議でした。
開業に失敗した先生が、医療法人に借金肩代りしてもらって、使われてるのかもですね。
元ライダー
そうですね。私が考えるくらいですから、すでに誰かがやってるんでしょうね。
それにしても個人の借金は法人の借金に比べて厳しいと思いますよ。ガッポリ稼いで早く返済しようと思っても、ガッポリ税金取られた後の残りで返済しなければなりませんからね。
moto-tclinic
>理事になってもらう先生にすぐ雲隠れされたら
大丈夫じゃないかなあ。仮にも「理事」ですからね。社会的体面も立つし。そもそも、自分が(言葉は悪いですが)「奴隷化した」っていう自覚も無いのじゃないかなあ。。
雲隠れするも何も、開業に失敗した先生にとっては究極の居場所で、ほかに移るなんて考えられないでしょう。
理事だから、労働運動もできんだろうなあ。。なるほどー。
生命保険だけは加入してもらっておいたほうがいいでしょうね。
卵の名無し
すご。。。w
対局者ならではの読みの深さですなw
厚労省が妙手を打てないまま自滅しても一蓮托生に滅ぶのは日医上層部や医師免政治屋くらいで、現場医師側はこの手でますます花見劫を取り切れるでしょう。w
通りすがり2
>・医師の人事権を官僚が掌握してウマー
ところで、家庭に入った免許持ち専業主婦をどうやって強制配置するんでしょうか?
よく分からないのですが、誰か教えて下さいませ。
moto-tclinic
たとえば、ハートセンター的なカテ病院が、腕はいいが内科開業で失敗した先生なんかを口説いて、最初は当直とかで来てもらって腕がなまってないか確認した上で、「先生、開業時の借金は肩代わりしますから、うちの理事になって一緒に働いてもらえませんか?」なんて声掛けたら、コロリといってしまいそう・・(^^;。
moto-tclinic
別にカテとか特殊な技術なくても、地方公立病院に年棒2000万円で「派遣」して、医療法人からの給与は1000万円にしておけば、医療法人、1000万の利益です。
仮に借金が1億円として20年で返済、すなわち年500万円の返済想定しても、1000−500=500万円で、1億円の投資で5%の利回り。
これは「無利息」の場合であって、利息をたとえば2%すなわち200万円とることにすれば、医者の取り分は1000−200=800万円になって、医療法人の利回りは7%。
これは、おいしいわ〜。
moto-tclinic
しかし、個人で2000万円の給与と、700万円の給与とで、税金が500万円も違ってくるとは思えないから、上の例でいうと、直接2000万円で再就職して、そっから税金払ったのちに、500と200返して、残りで暮らしたほうが本当はいいのだろうけどなー。
開業失敗して借金返済できそうにないとかの状況だと、元ライダー先生のような「これ以上銀行に利息払ってどうするんですか」という言葉は甘いだろうなー。
実際、ひとりで、全部敗戦処理するより、全部任せて800なり1000なりの年収で、何も考えずに勤務医に戻れるなら、そうカタに嵌めて欲しくなるような気持ち解る気がする。
開業ビジネスならぬ廃業ビジネスですね。。
新たなコンサルタント活躍の予感(^^;。
実は、元ライダー先生おっしゃるように、もうやられてるのかも。まだまだ、開業コンサルタントのほうで儲けなきゃならないだろうから、表向きは、開業成功例掲げとかなきゃいけないから、活躍というより暗躍か?
moto-tclinic
訂正
>「これ以上銀行に利息払ってどうするんですか」×
>「これ以上個人で税金で絞られてどうするんですか」○
ya98
皆保険をやめて混合診療にするとか、アクセス制限をかけるようにすれば医療需要を激減させるのは目に見えているので、医師の不足感もかわってくるでしょう。結局、皆保険制度を維持したいのか、したくないのか。政治や官僚機構の中枢の本音はどこにあるのかということにつきる。Yosyan先生が仰るようにどれも憶測のうちをでないかと。現在の経済状況からセーフティーネットの充実を考えると、皆保険制度はまさに要になるし、政治の流れは反動はあるにしろそちらに向かっています。ところが、医師の側の意識はもうどうにも昔に戻らない。アクセスフリーの皆保険制度は制度疲労を起こして、勝手に自然消滅の方向に移行している。
>どういう時代が次に来るのか、良いか悪いか分かりませんが、新時代の扉は開け放たれ、そこに既に突入してしまっています。
その通りかと。官僚機構が政策立案からトップダウンで遂行するスタイル自体が制度疲労を起こしていることから、いままでと同じような形式ではなく、次の時代への扉は小さな動きから始っていくような気もしています。
勤務医
大学はいまや負の分配ですから。
偏在はベターだからするわけで、残るのはワース。
懸命に魅力(学位・希少な立派なポスト)をちらつかせても、出せるのはジョーカーしかない。
研修医を戻したところで研修が終わればさっさと出てゆくに決まっている。
今まで医局員がそうやって出て行ったのですから。
これからどうなるのか・どこかで崩壊する大学病院が出るのでは?
moto-tclinic
医療法人による医師の人材派遣業は、すでに解禁というか先例があるみたいですね。
http://www.kurehanosato.jp/
メリットとしては、公立病院としては、すでにいる常勤医との給与格差について、常勤医に了解を取らなくても良いのと(派遣だから給与体系違って当然)、もし公立病院での医療事故訴訟があっても、派遣医は公立病院と派遣元医療法人とで、二重にカバーされててリスク少なそう(契約によるでしょう)。
しかし、こういう表だった「医師派遣業」よりも、安月給の「理事」として経営参画してもらう、というシナリオのほうを、体面を重視する医師であれば、選ぶだろうなあ。
元ライダー
コンサルに任せるよりも、金の流れを開業清算する先生にも話して、「当医療法人も少し利益を上げさせて頂きますが、一人で借金背負うより、先生もこんなにお得。win-winです。」と納得してもらって運営できるような気がするんですよね。
そうだ、医療法人じゃなくて、NPO法人作って活動したほうがいいかも。
2009-04-16 愛育日赤事件の中間憶測(週刊誌風)
またこの話題かと言われそうですが、大事な事件ですから賞味期限が切れないうちに反芻しても良いと思っています。とは言え情報源のほとんどが記事情報だけですので、憶測の塊になるのは避け難く、週刊誌レベルになってしまうのは御了解よろしくお願いします。
まず二つの事件のごく簡単な時系列です。
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3/13:日赤に是正勧告
3/17:愛育に是正勧告
3/25:東京都と「厚労省の担当官」のアドバイス
3/26:マスコミ報道
愛育と日赤への監査はセットであると考えて良いと思います。ここで前提なのですが労働行政は非常に意図的に行なわれます。労基署は労基法の番人ではありますが、労基法の遵守をゴチゴチに求める機関ではなく、なるべく労基法に則りながら、実情に対して極めて柔軟と言うか、無限に伸びる新素材のような弾力運用を時に行ないます。当然ですが愛育と日赤に対しても何か濃厚な意図をもって行動したと考えられます。
労基署の監督省庁は厚労省ですが、ここは言うまでも無く厚生省と労働省が合併して出来た省です。私企業でもそうですが、合併により旧系列の人間が一瞬に融合するという事はありえません。どこまで言っても旧系列の人脈は残ります。官僚であるから程度が軽いというより、官僚であるから程度は強いと考えたほうが妥当と思われます。厚労省内の力関係はわかりませんが、対立する2つの系列が存在しているとして良いでしょう。
ここでなぜ愛育と日赤なのか、そもそもなぜ監査が行なわれたかの理由が不明です。表立っての理由は至極簡単ですが、労基法違反だけなら首都東京の大病院でもゴマンとあるからです。無いところを探すほうが難しいどころか、そもそも存在しないとしても良いかと思います。今回は愛育・日赤とも総合周産期センターですが、さすがは東京で総合周産期センターだけでも、
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■ 東京都立墨東病院
■ 母子愛育会附属愛育病院
■ 東京女子医科大学病院
■ 東邦大学医療センター大森病院
■ 帝京大学医学部附属病院
■ 杏林大学医学部附属病院
■ 日本赤十字社医療センター
■ 日本大学医学部附属板橋病院
■ 昭和大学病院
■の総合周産期センターがいわゆるスーバー周産期に指定されているところです。愛育と日赤がターゲットにされた理由が興味を惹かれます。リストだけからあえて考えると、
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大学病院系列が外されている
これはすぐに目が付きます。9つの総合周産期センターのうち6ヶ所が大学病院系列であるにも関らず、監査に選ばれた2ヶ所はそうでないところです。スーパー周産期と言う見かたをしてもそうで、3ヶ所中2ヵ所が大学病院系列であるにも関らず、そうでない日赤を選択しているとも考えられます。もちろんたまたまの可能性はありますが、やはり作為的な選択がなされていると疑われるところです。
墨東も大学病院系列ではありませんが、ここが外されたのは東京都との関係を考慮したんじゃないかと思います。都立に手を出さば知事がウルサイとの計算です。下手に都知事と衝突するとどんな暴走をやらかすか計算しきれないの思惑ではないでしょうか。労基署の監査はそういうのさえ計算にいれて動くとの観測もあります。
では大学病院をなぜ外したかですが、大学病院の労基法違反の違反の程度が軽いからと考える人間は医師にはいないと思います。むしろ違反が無茶苦茶すぎて下手に監査を行なうと収拾がつかなくなる危険性を考えてのものかと思っています。労基署の指導は労基法遵守によりその事業所を破滅させる事ではなく、事業所が耐えられる程度の指導に留める事が要点とされます。大学病院の違反の度合いは労基署が立ち往生して大火傷を負うのを避けたと考えます。
都知事との衝突を避け、魔窟に近い大学病院を避ければ消去法で愛育と日赤になります。
総合周産期の監査を行なうとの方針が決まり、選択として監査に耐えられそうな愛育と日赤を選んだのは理解するとして、その前の問題である、なぜ東京の総合周産期の監査を行なおうとしたのかの疑問が残ります。これはソースを明示できない情報ですが、厚労省としては各地で医療機関に出される是正勧告や、それがネットに公開されている事態を重く見ているとされています。厚労省と言っても厚生「労働省」でもあるわけですから、厚労省管轄下の医療機関の労基法違反に対して、手を拱いている印象はよろしくないとの考えです。
厚労省管轄下と言うのは「厚生」労働省管轄下であると同時に、厚生「労働省」管轄下でもあるのです。厚生「労働省」の直接の管轄下と言える医療機関が労基法野放し状態であり、そういう事実が徐々にでもあっても世間に流布される事はどう考えても厚生「労働省」にとって好ましい状態とは言えないどころか、どこかで責任問題が生じる可能性を危惧したとしても良いかもしれません。
ここは2ヶ所同時に行なわれていますが、出先の労基署がタマタマ偶然として同時に監査が入ったとも説明は出来ます。ただインパクトの強い行動ですから、出先の労基署よりさらに上級の部署による判断があると思われます。上級がどこまでになるかですが、厚労省が一体となって動いたかどうかの判断が難しいところです。
印象としては旧労働省系列と旧厚生省系列がバラバラに対応しているようにも見えますし、そういう風に解釈しても説明は可能ですが、そうではない可能性を私は考えています。愛育日赤事件では愛育が主役に、日赤が脇役になって報道されていますが、愛育の動きは厚労省のシナリオから外れてしまったのではないかと考えています。
まずなんですが労基法なんてものを医療現場に忠実に持ち込むと、「厚生」労働省の医療行政は根こそぎ吹っ飛びます。そこで厚生「労働省」の面子を立てながら、アピール度の高い東京の、さらにアピール度の高い周産期関係の監査を企画したと考えます。ちゃんと厚労省は厚生「労働省」の仕事もしていますのパフォーマンスです。だから是正勧告の衝撃に耐えられると判断した愛育と日赤をターゲットに選んだと考えます。
本来の愛育日赤事件の落としどころは日赤路線でなかったかと考えます。今回の監査での狙いは、労基法のうち36協定に関する部分だけであり、極論すれば36協定さえ結ばせれば労働改善のアピールとして必要にして十分であるとの計算です。厚労省としても医師不足を労基法で改善できるはずもなく、医師不足が解消できないから、医師の労働実態も改善しようがありませんから、実態はそのままに36協定だけでも結ばせて幕を引かそうとしたんじゃないかと考えています。
実際のところ、日赤はこのシナリオに非常に忠実に動いています。これもあくまでも憶測ですが厚労省サイドのアドバイスは
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「36協定さえ結べば事は終わりであり、それさえ行えば、後は今までどおりの運用でOK」
この厚労省シナリオは憶測が一杯詰まっていますが、それでも傍証はあります。3/27の舛添大臣の閣議後記者会見概要で愛育問題に対する返答があります。
これはまさに私が厚生労働大臣として両方、つまり医師不足の問題への対応と労働者の権利を守るということをやっております。労働基準法に基づいて休日の労働の扱い等をどうするかという三六協定がありますが、やはり病院の方、経営者というのはこういうのはちゃんと管理者として知った上できちんと協定を結んでいただければ違法にならない。まずそこから始まって、そしてこれは、医療の現場が不足しているから違反をやるということを続けていけば決して良くなりません。
やはりお医者さんも生身の身体でやっているわけですから。一所懸命いろんな手を使って医師不足に対応してきましたが、これもまさに側面射撃としてこの問題を解決しないといけません。たまたま労働大臣と厚生大臣を一人がやっておりますから、あらゆる手を使って過酷な勤務医の状況を改善する。そこは「お医者不足だからそんなこと言われても」ではないのです。皆困った状況の中で頑張っているのだから、医者不足にも対応します。しかし、現場でお医者を辞めないといけないくらい疲弊しきっている勤務医を助けないといけません。
ですから、良い方向への第一歩で、そこから先は、それぞれの病院と、例えば東京都がよくお話をして私たちもいろんな点でお支えするし、例えば、弾力運用というようなことも考えてくれというのは、聞く耳を持たないわけではありません。それは病院だけではなくて、あらゆる企業に対して三六協定を結んでいなければ指導をやっております。いつも私が言うように、労働法、労働法制というものを社会の中にきちんと定着させる必要がある。三六協定と言って「普通の人は分からない、お医者さんが分かるはずない。」では駄目なのです。やはり働く人の権利はきちんと守るということを礎にするような社会にしないといけないと思っております。そういうことを含めて全力を挙げて勤務医の待遇を良くする、そして職場環境をよくする、そして医師不足に取り組むと、総合的にやるための一歩と思って前向きにこれを捉えていただきたいと思っておりますので、一所懸命頑張って解決したいと思っております。
原文は単一段落で少々読みにくいので、3つの段落に分けをさせて頂いています。読んでお分かりの通り、舛添大臣は愛育問題について36協定しか実質話していません。3/27はマスコミ報道の翌日で、この時点の厚労省の見解としての問題の焦点は36協定のみであったと考えても良いと思います。そういう意向を額面通りに受けたからこそ、4/2付医療維新にある日赤医療センター管理局長の竹下修氏の、
病院が職員を宿日直業務に従事させる場合には、「断続的な宿直又は日直許可申請書」を労基署に提出しなければならない。日赤医療センターの場合は未提出だ。「申請書を提出しようとしたが、労基署は宿直等ではなく、通常業務の延長であるとされ、受け取ってもらえなかった」(竹下氏)。
こんな発言や、同じく竹下氏の
日赤医療センターの場合、医師の場合、宿直料は1回2万円、日直料は1回4万円。それに加えて、救急患者への対応などの業務を行った場合には、その時間分の時間外労働に対する法定割増賃金を支払っている。
こんな発言が軽々しく為されていると考えます。愛育も同様の行動を取れば厚労省の計算通りであったと思いますが、愛育は厚労省の計算を超えた行動に出ます。是正勧告を重く受け取って総合周産期センター返上の動きを明らかにしたのです。この愛育の動きにも利害計算もあったでしょうが、シナリオからは逸脱した行動であったと思われます。
なぜ日赤ではシナリオ通り進み、愛育ではシナリオから逸脱したかですが、理由は当然不明です。ここで幾つかの推測ができます。
- 愛育が是正勧告に勝手に過剰反応し暴走した
- 労基署への愛育の指導に手違いがあった
今日は勝手に過剰反応暴走説は置いといて、労基署の指導手違い説の可能性を考えます。手違いは故意かミスかの2つの選択枝はありますが、故意に近いものを推測しています。私の厚労省のシナリオ説は「36協定だけ形だけ結んで決着」ですが、これではあまりにも「厚生」労働省主導で、厚生「労働省」側に不満が出た可能性を考えています。
そこで事前の打ち合わせを逸脱しない範囲で、愛育・日赤の指導に微妙なさじ加減を加えたと考えています。さじ加減により厚労省シナリオに強い不安を感じた愛育病院が総合周産期返上まで動いたと推測しています。この愛育の行動に驚いたのが「厚生」労働省サイドだったと考えています。愛育日赤事件で不可解な行動とされるのが、3/26付朝日新聞にある、
厚生労働省の担当者からは25日、労働基準法に関する告示で時間外勤務時間の上限と定められた年360時間について、「労使協定に特別条項を作れば、基準を超えて勤務させることができる」と説明されたという。
この「厚労省の担当者」が誰かが一時話題になりましたが、外口崇医政局長である事は既に確認されています。言うまでも無く医政局長は「厚生」労働省につながる人物であり、序列としては非常に高いレベルの人物です。これほどの人物が顔を出し、意見を差し挟んだという事は愛育の動きが厚労省シナリオから外れて暴走していくのを何とか食い止めようとした傍証かと考えられます。しかし結果として記者会見に動きが進むのはどうする事もできなかったと考えています。
さ〜てと、憶測の積み重ねばかりなのですが、報道ではあまり表に出てこない大きな問題がもう一つあります。愛育も、日赤も労基法41条3項に基づく宿日直許可を受けておらず、是正勧告に際して許可申請を行なったところ、どちらも受理されていません。この動きが厚労省シナリオにすれば不可解な点です。愛育を最終的に暴走させたのは宿日直許可が許可されなかったためと考えていますが、この宿日直許可問題は厚労省シナリオに果たして含まれていたかです。
ひょっとして、厚生「労働省」が仕掛けたさじ加減はここにあったんじゃないかと考えています。不許可の理由は平成14年3月19日付基発第0319007号「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」および平成14年3月19日付基発第0319007号の2「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について(要請)」の通達に基づくとすれば、「厚生」労働省側としても反論し難い点です。ただこれをやられれば、36協定で時間外労働の適法化を行なっても、埋めきれない勤務時間が量産されます。特別条項を用いてもかなり無茶な形にしないと辻褄さえ合わせられません。
どうもなんですが、元は厚労省シナリオがあり、これに不満を抱いた厚生「労働省」サイドが宿日直不許可のさじ加減を加え、愛育が反応したのが今回の事件の裏舞台のように感じます。宿日直問題が大きくなってしまったのは、「厚生」労働省サイドにしても不本意な結末だと考えています。この問題が大きくなれば、これだけで医療行政は根底から揺らぎます。
箱を開ければ医療の矛盾が凝縮されているのが当直問題ですし、取り組むにも手の施し様が無いというのが当直問題です。現状追認の当直を認めようものなら、労働行政の整合性は無茶苦茶になりますし、医療崩壊問題の駄目押しになりかねません。おそらく愛育日赤問題で開きかけた当直問題を全力で閉じようとしているのが「厚生」労働省側であり、厚生「労働省」側は高みの見物状態じゃないでしょうか。
実はと言うほどではないですが、こういう展開を受けてと考えられる舛添大臣の微妙な発言があります。場所は4/14に行なわれた参議院厚生労働委員会での質疑です。僻地の産科医様が文字起こししてくれているのですが、愛育日赤事件の当直問題が背景にあると考えると実に微妙な陰影を感じる答弁が行なわれています。一部抜粋しますが、
まずおんなじ宿直という言葉が使われていて、ふたつの法律の概念が違うとこれあまり法治国家としてよろしいことではないと思っています。だからせっかく厚生省と労働省がいっしょになったんならこういうところに手をつけないといけないと思うのです。これみんなで法改正すればいい訳です。
ちょっと注釈を加えておくと、大臣答弁の当直とは医療法の当直と労基法の当直の位置付けの違いです。その程度の問題は初歩と言うか基礎知識ですし、正直なところ矛盾なく並立する法概念と思うのですが、どうにも大臣の思考としては法改正まで行なう必要がある「よろしいことではない」になっていると受け取ります。この補足として、
でも根本は、おんなじ省がもっているふたつの法律で同じ言葉が書いてあって概念が違う。というのはちょっとこれから含めて検討する必要があると思います
一部だけ取り上げて批判するのは好ましい事では無いので、他の部分もリンク先を読んで頂きたいのですが、全般的には医師に好意的な部分は多くあります。ただ大臣の法改正の主張は現場の矛盾を強引にねじ伏せる狙いも含まれている様な気がしてなりません。医師不足は本来望ましいはずの交代制勤務の実現を阻みます。医師不足だけではなく、医療費削減による病院経営の悪化は交代制勤務に必要な医師数の雇用を阻みます。また患者のニーズにのみに合わせた医療制度の変更も政治を考えれば現実として不可能です。
なんにも出来ないから何もしなければ、医療崩壊が進行します。愛育日赤事件の狙いは医師への36協定と言う飴だけ与える戦略であったのでしょうが、当直問題と言う扉に手がかかってしまっています。当直問題は3つの問題を含みます。
- 宿日直許可がないと膨大な時間外勤務が発生する(宿日直許可の下の当直時間は労働時間ではない)
- 時間外勤務には割増賃金が必要になり病院経営を圧迫する(宿日直許可の下の時間給は1/3)
- 当直時間を労働時間にカウントすると過労死ラインを簡単にクリアしてしまう
これらは労基法がある限り、弾力運用を行なってもクリアできない問題です。せいぜい特別条項で驚異の時間外勤務協定を黙認するぐらいの選択しかありません。それを解決するための法改正ではないかと私は危惧しています。考えられそうなのは
- 医師の宿日直許可は他の業種と切り離したものとする
- 当直時間は許可された当直ですから労働時間にカウントしない
- その代わりに医師の当直の時間給はもう少し色をつける
こういう法改正を行なえば比較的少ない出費で現状を糊塗できますし、労基法を盾に騒がれる事もなくなります。もちろん舛添大臣の真意はどこにあるかは不明ですし、実際に法改正まで進めるかは政治情勢からして不透明ではあります。ただ舛添大臣の答弁全体に漂う歯切れの悪さは、こういう真意を秘めているのではないかの疑念を私に感じさせます。
杞憂でありますように。
通りすがり
しかし過労死レベルを国が是認した法改正或いは省令・通達がまかり通れば
勤務医の方々は自己防衛の為に次々にそういった病院現場から逃げ出すのでは
ないでしょうか。結果として医療崩壊の最後の一毛になるとしか思えません。
素人考えですが、日本の医師免許で働ける海外の病院や自由診療のクリニック、
製薬や栄養補助食品等の企業など医師の方が働ける現場は多様だと思いますので、
逃散を加速させるだけのように思えます。
Yosyan
通りすがり様
あくまでも憶測の塊ですから、その点は御了解よろしくお願いします。あくまでも現時点で法改正で糊塗が成立する要因として、
1.未だに多数の医師の労基法理解は貧弱
2.未だに多数の医師は現状維持に賛成
こういう状況で、医師の労働環境の改善は仕事量と医師数から不可能と物わかり良く納得すれば、当直料が幾分でも上がるだけで無邪気に喜ぶとの計算です。後はどの程度の飴の規模にするかの御用会議が行なわれる寸法です。御用会議の絶対の前提は現在の医療体制を堅守するであり、飴の規模は経営圧迫を最小限に留めるになると考えています。
もっとも医師の意識変化は急速に進んでいますから、この計算通りに進む保証はありません。ですから舛添大臣にしても当直問題の扉を開けるかどうかは躊躇がテンコモリあると見ています。なんのかんのと言っても出来る限り手をつけたくない問題と思っています。
元外科医
>当直料が幾分でも上がるだけで無邪気に喜ぶ
今残ってる医師はその通りでしょう。でももう一人辞めると異常な過重労働になる職場は数知れません。すでにパンドラの箱は開いています。医師労働時短、すなわちアクセス制限だけが今の医療崩壊を抑制する方策だと信じています。
法務業の末席
>こういう法改正を行なえば比較的少ない出費で現状を糊塗できますし、労基法を盾に騒がれる事もなくなります。
労基法の側を法改正するのは非常に困難かと思います。そう考える理由は沢山あるのですが、此処では本筋ではないので割愛します。
Yosyan先生の労基法を改正する見方は「厚生」労働省サイドの思考方法だと思います。厚生「労働」省サイドの思考方法は、医療法の中身を労基法に準拠させる改正を模索する思考法かと想像します。そして最近の舛添大臣の脚は、どちらかというと厚生「労働」大臣の側におかれているように感じます。
特定の業種や職業に例外的な雇用条件を法令化することは、雇用環境を混乱させるだけで、結果的に労働者や国民の利益になりません。これは派遣や非正規雇用を例外化した過去の政策のツケを払わされることにより、舛添大臣や厚生「労働」省サイドは懲りたばかりです。労働者として平等に法律で保護する、働き方や就いた職業や選んだ業種によって不平等が在ってはならない。この原則論が現在の厚生労働省内では主流かと思います。
昨日もご紹介したロハス・メディカルのニュースでも、この愛育病院問題は当初から深く追いかけていますが、最新の下記記事でも梅村議員と舛添大臣の質疑がテキスト化されています。
『「大人の解決」の道具、「宿日直許可」』熊田梨恵 (2009年4月15日 11:45)
http://lohasmedical.jp/news/2009/04/15114500.php
こちらの記事の下記引用でも、舛添大臣は厚生大臣よりは労働大臣としてのスタンスで答弁されていたように感じます。
>救急であれ周産期であれ、入ってきた患者さん国民の命が必ず助かるという、その体制にするために、
>使える法律、使える武器は使おうということ、なので非常に大事なご指摘。
>その方向での指導ができるように、 労 働 大 臣 としてもやっていきたいと思っている。
またこの記事の最後、梅村議員からの『パンドラの箱を開けるのか?』との質問に、舛添大臣が『開けようとしたときに「閉めろ」というものすごい圧力が外にある』と答弁しています。この「閉めろ」という圧力が医療界の関係筋からなのか、それとも労働系の関係筋からなのか、あるいは医療を受ける患者や国民からのものなのか、そこに注目していきたいと思っています。
Bugsy
医療費を年間2200億円ずつ圧縮したい。
医師の過剰労働が話題になっているし、自殺者も出た。
ならば全国的に労働基準法に則っているか調べてみよう。
明らかに違法していることが明らかになった。是正勧告せざるをえない。
労働基準法どおり勤務すれば、医師の不満も改善し、医業の縮小へとむかい 結果的に医療費圧縮が可能となり めでたしめでたし。
というシナリオかなと思っていました。
ところが
「閉めろ」というものすごい圧力が外にある』
結局これは 地域行政を突き上げる住民の圧力だと思います。
金は払いたくないが、医業の縮小を察知すると途端に感情的になるのです。
京都の小児科医
どなたかか教えてほしいのですが
労基法を理解するための適切な本ってあるでしょうか
卵の名無し
もともとあってあたり前の圧力を「打つ手なし」の言い訳にするようでは完全に末期状態ですな。持ち時間を使いきって秒を読まれてますからもう終局間近でしょう。反則手を打って即終局となるかも。
risyu
「厚生」労働省の失策に次ぐ失策、恥の上塗りと思います。
技術伝承と共に医局統制下で行われていた、医師奴隷労働洗脳システムを役人が自分たちで破壊してしまったのがすべての始まりでしょう。
洗脳が解ければ当たり前のように正当な労働を主張し始めます。厚生「労働」省はかつては不思議なほど問題とされなかった医師の労働時間が騒がれ始めれば看過する訳にはいかないでしょう。それこそ超弩級の労基法違反ですから。
人事権は奪うが技術伝承システム、洗脳システムだけは残す様にする、そんな虫のよい話が通る訳がありません。
「厚生」労働省が医局に手を突っ込んだ、自分たちでパンドラの箱を開けてしまった。もと外科医先生の仰るように、もう閉じれんでしょう。付け焼き刃の指導ごときでは。
分をわきまえていたかつての厚生省官僚は優秀だったんだなぁ、と思います。官僚の資質を育成するシステムも作った方が良いのではないですか?官僚が他の業種に当然のごとくやってきたように。
numachinomajo
?????大学病院もこれらの事件より以前に監査はいってますよ??
注意やら処分もされてますが、愛育病院みたいに反論せず、すんませんすんませんって言って終わってニュースにならなかっただけだと思いますけど?
卵の名無し
>医師奴隷労働洗脳システムを役人が自分たちで破壊してしまったのがすべての始まりでしょう。
いやその前に官僚が独断で介護保険制度をでき損ないのまま目先の省益に目が眩んで導入を図ったところ、政府にあほばかりいたせいで導入出来ちゃった。その成功体験で変に勘違いして官僚が制度を作る能力があると舞い上がったのが次に新臨床研修制度導入という自滅策をとった原因ですね。
ですからして、厚労省の省益をきちんと排除して介護保険制度を再構築することこそが焦眉の急となるわけです。
元外科医
医療崩壊は経済財政諮問会議の人たちにとっては既定路線なのです。かんぽの宿をみてください。経営が成り立たない宿を金融業者が買い取って儲けようとしているではありませんか。今後潰れたり、民営化された医療機関がどのようにして金融業者の儲けに変わるか考えてみましょう。以前は潰れるところを観察するだけにしておくつもりでしたが、日本医療が金貸し共に牛耳られるようになるわけにはいきません。今後は医療に対する財政支出要求を強く主張したいと思います。日医もおそらくそれには乗るでしょう。
部分的には厚生労働省と手を組まなければならないかも。
Med_Law
>京都の小児科医さん
>どなたかか教えてほしいのですが
>労基法を理解するための適切な本ってあるでしょうか
社会保険労務士向けの対策本が一番良いと思います。(もちろん数冊購読済み)
試験対策だけあって、”何が労働基準法に反しているか?!”ということも鍛えられます(笑)
一週間で、病院の事務方を粉砕できる知識が身に付くことでしょう
京都の小児科医
Med_Law様
>社会保険労務士向けの対策本が一番良いと思います。
ありがとうございます。
京都の小児科医
法務業の末席様が紹介された
『「大人の解決」の道具、「宿日直許可」』熊田梨恵 (2009年4月15日 11:45)
http://lohasmedical.jp/news/2009/04/15114500.php
の中の梅村議員
http://www.s-umemura.jp/profile.html
のご発言ですが。。。
梅村
もちろん労働基準法を使って、やる方法もあるが、医療者側も良心がある。それやったらうちの病院はできないよねと。地域医療が崩壊したらどうするんだと。現場が自己犠牲を背負ってやろうという、いまそういう取り組みになっている
この医師の良心と医の倫理は私は違うと考えています。一緒にされている方もおられるとも思いますが。。。
医の倫理は公開され情報共有されているもので、良心は非公開で自分だけの行動原理と思います。
で、医の倫理に通常、法を順守するという項目があります。
http://www.med.or.jp/nichinews/n120320u.html
で、医の倫理によらない(法を順守しない)医師の良心的行動が長期的に考えて、日本の救急を崩壊させると予想しています。
匿名
>入ってきた患者さん国民の命が必ず助かるという、その体制にする
激しく脱力したんですが…
お前は何を言ってるんだ(画像略)
卵の名無し
>部分的には厚生労働省と手を組まなければならないかも。
そうなる前に厚生労働省が時間切れで勝手に自滅して手を組む価値も無い相手に成り下がるような気がw
Bugsy
京都の小児科医様
梅村議員の発言「地域医療が崩壊したらどうするんだと。現場が自己犠牲を背負ってやろうという、いまそういう取り組みになっている」ですが、
先ほどのオイラのコメントに追加しますが、そもそも国は医療費を年々削減してるでしょう。病床を減らす方向でしょう。素直にウンって従わないから搦め手として労働基準法から攻めてきてますね。法的に厳格にやったら病院が時間外勤務の手当も支払う余裕もなく、当直をいままでどおりに回せる人員がいるわけもなく、医療業務の時間だって結局減らすしかないわけです。まあ当初の厚生労働省の目論見にはなっていると感じます。すくなくとも旧厚生省と旧労働省の官僚はめざす方向性としては一致していると思います。
結局これも国の方針でしょう。
議員たるもの そのくらい知っとけよ。実は知ってるけど有権者の顔をみてるんでしょう。
>現場が自己犠牲を背負ってやろうという
現場はだれもそんなことを言ってはいない。言ったことにして押し付けたいのでしょう。
元外科医
診療縮小、アクセス制限はもう仕方がないです、ていうかそうするべきですね。過労で医師が死なないようにすれば当然にそうなりますから。
今まで医師養成を十分してこないでなおかつ医療予算を削減してきたのは日本政府ですからね。ほんと、国営医療には逆らえません。
勤務医
「厚生」と「労働」省が対立なんて無いと思いますけどね。
どちらかと言うと、限界が見えている医療体制に両者が悪役を買って支えてゆくメリットはもう無いのでは。そこにつっこめば泥沼であることは明らかです。マッチポンプをしながら、彼らにとっても働きやすい状態を築いてゆく必要が有るのではないでしょうか。
両者を納めるように桝添さんが動けば一番良い役ですよ。
現状の医療が一端崩壊するなんて事は結果であって、そんな事に執着するメリットが彼らに無いような気がします。
こんな時期(さんざん黙認してきたのに)に監査に入ったこと、大学を避けたこと・・・やはり作為的です。労基も役者ですね。大学は違法過ぎるのと文科省などの絡みもあり、舞台には不適当です。
で、結局向かう先は財務省ですよね。厚労省も財務省を横目にこんな事をして、愛育は都の援助を持ち出そうと発言し、日赤はとぼけた発言をする(全国的な組織でなければ同じ返事をしたのでは?)。
環境は熟していますし、皆保険改革or消費税増税を国民も報道も受け入れざるを得ません。
今まで陰であくどい事をしておきながら、もう限界と悟ると舞台を選定して死ぬ死ぬ詐欺を始めたのでは?と言うことは医者も病院も加わって役者になった方が得策かと思います。まして妥協するなんて厚労省も失笑だったり。そのうち日赤も全国で財政援助を求めて死ぬ死ぬ詐欺が続発したりして。で、最後に財務省が加わって消費税か、それとも混合診療+民間誘導なのか、両方だったりして。
失策と言うより順調に進んでいると思います。
8時35分。そろそろかと。
京都の小児科医
Bugsy様
ありがとうございます。
>現場が自己犠牲を背負ってやろうという
現場はだれもそんなことを言ってはいない。言ったことにして押し付けたいのでしょう
たしかに、誰も自己犠牲(過労死)してもかまわないという現場はいないと思います。
>それやったらうちの病院はできないよねと。地域医療が崩壊したらどうするんだと
あとうちの病院という感覚ですが、医師が労働者と考えるとどうでしょうか
さらに、現場の医師が過労死してまで地域医療の崩壊まで責任を負う必要があるのでしょうか
卵の名無し
>最後に財務省が加わって消費税か、それとも混合診療+民間誘導なのか、両方だったりして。
で、厚生省はお払い箱になる、とw
いずれにしても厚労省は省庁としてはもうレームダック状態ですねw
京都の小児科医
>「厚生」と「労働」省が対立なんて無いと思いますけどね。
元々、旧労働省は旧厚生省から分かれたものですからたしかにそうかも知れませんが分かれた理由が労働基準法を含む労働者の権利を守るため(と理解しています)と考えると勤務医
=労働者かどうかを含めて旧「労働」省の存在意義がないのも気になります。
今後、厚生労働省が、再度発展的解体の方向に向かう可能性もあるのでは
2009-04-15 30分ルールと施設基準とJBM
私は30分ルールについて大きな事実誤認をしていたかも知れません。昨日の元ライダー様のコメントでようやく気がつく間抜けぶりに自分で笑っています。これまで30分ルールについては平成19年7月20日付医政指発第0720001号「疾病又は事業ごとの医療体制について」にあるように、
(エ)医療従事者
以下の医療従事者を配置するよう努めることが望ましい。
- 産科及び小児科(新生児診療を担当するもの)は、それぞれ24時間体制を確保するために必要な職員
- 産科については、帝王切開術が必要な場合30分以内に児の娩出が可能となるような医師及びその他の各種職員
- 新生児病室には、以下の職員
(a)24時間体制で小児科を担当する医師が勤務していること。
(b)新生児集中治療管理室には、常時3床に1名の看護師が勤務していること。
(c)後方病室には、常時8床に1名の看護師が勤務していること。
ここに書かれている様に
-
努めることが望ましい
つまりあくまでも努力目標であると理解していました。お役所文の解釈はしばしば一般常識と乖離する事がありますが、「努めることが望ましい」の解釈は、さすがにそれ以外には無いだろうと考えていたからです。ところがどうも事実誤認していたようです。日本の医療は皆保険医療であり、保険医療での診療報酬には様々な規則があります。
今日は30分ルールの話ですから、産科関係の話にしますが、総合周産期センターもある種の条件を満たして認定されます。総合周産期センターになれば保険診療上は総合周産期特定集中治療室管理料の算定が出来ることになるはずです。「なるはず」と言うのは、たしかセンターの認定は都道府県の管轄であり、診療報酬の設定は国の管轄であったはずだからです。
ここで診療報酬での総合周産期特定集中治療室管理料を受けるにも施設基準が存在します。平成20年3月5日付保医発第0305002号「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」という通達があり、そこの冒頭には、
標記については、本日、「診療報酬の算定方法」(平成20年厚生労働省告示第59号)の規定に基づき、「基本診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第62号)が公布され、平成20年4月1日より適用されることとなったところであるが、保険医療機関からの届出を受理する際には、下記の事項に留意の上、貴管下の保険医療機関及び審査支払機関等に周知徹底を図り、その取扱いに遺漏のないよう特段の御配慮を願いたい。
診療報酬の規定での基準は医療経営者にとって要注意のもので、少なくとも記載されている事を満たしていなければ、査定と言う怖ろしい結果がもたらされます。そこの総合周産期特定集中治療室管理料の項目を一部引用すると、
(1) 母体・胎児集中治療室管理料に関する施設基準
- 専任の医師が常時、母体・胎児集中治療室内に勤務していること。
- 母体・胎児集中治療室管理を行うにふさわしい専用の母体・胎児集中治療室を有しており、当該集中治療室の広さは、1床当たり15平方メートル以上であること。また、当該治療室に3床以上設置されていること。
- 帝王切開術が必要な場合、30分以内に児の娩出が可能となるよう保険医療機関内に、医師、その他の各職員が配置されていること。
- 当該管理を行うために必要な次に掲げる装置及び器具を母体・胎児集中治療室内に常時備えていること。
- 救急蘇生装置(気管内挿管セット、人工呼吸装置等)
- 心電計
- 呼吸循環監視装置
- 分娩監視装置
- 超音波診断装置(カラードップラー法による血流測定が可能なものに限る。)
- 自家発電装置を有している病院であって、当該病院において電解質定量検査及び血液ガス分析を含む必要な検査が常時実施できること。
- 原則として、当該治療室はバイオクリーンルームであること。
- 当該治療室勤務の医師及び看護師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での当直勤務を併せて行わないものとすること。
ここに明記されているのは、
-
帝王切開術が必要な場合、30分以内に児の娩出が可能となるよう保険医療機関内に、医師、その他の各職員が配置されていること。
30分ルールの記載が平成19年7月20日付医政指発第0720001号「疾病又は事業ごとの医療体制について」の「努めることが望ましい」とかなり異なっている事がわかるかと思います。診療報酬上は30分ルールのために医師、その他の各職員が配置されていないと総合周産期特定集中治療室管理料の算定を認めないとしています。
ここの運用の解釈は現実にどうなっているかわかりませんが、総合周産期センターとして認定されるためには30分ルールは「努力する事が望ましい」で必ずしも満たしていなくとも可と受け取れますが、保険診療上は30分ルールのためのスタッフ配置を行なっていないと、総合周産期特定集中治療室管理料は査定される可能性があります。そういう運用と言うか解釈は保険診療上でしばしばあります。
ここでなんですが大阪府地域周産期母子医療センターの認定基準があります。これは地域周産期医療センターの認定基準ですが、30分ルールについて、
特に産科については、帝王切開が必要な場合、30分以内に児の娩出が可能となるような医師及びその他の各種職員
(注:この場合、あくまでも帝王切開に必要な医療従事者の配置基準をいうものであって、30分以内の児の娩出を意味するものではない。)
これは地域周産期センターの認定基準ですが、30分ルールの「努めることが望ましい」の一つの解釈があるように思われます。これが保険診療とどれほど関連するかは不明なのですが、30分ルールはそれが出来るだけの職員の配置さえ行なえば、実際に30分以内に娩出できなくともOKであるとも受け取る事は可能です。保険診療の施設基準もよく読むと職員の配置を求めるだけで、30分ルールを必ず行なえとは書いていないと読むことも不可能ではありません。
もっとも平成19年7月20日付医政指発第0720001号「疾病又は事業ごとの医療体制について」では職員配置さえ「努めることが望ましい」でしたから、大阪の基準は職員配置を条件に明記しているだけ厳しいとも言えます。
ここでなんですが、周産期センターの認定基準と診療報酬の施設基準が乖離している事は勤務する産科医にとってあまり関係ないことです。問題はJBMから見た30分ルールです。現状はどうやら周産期センターの30分ルールへの対応は、
-
必要な職員の配置
この条件さえ満たせばOKのようです。現実に30分ルールが出来るか出来ないは必ずしも問われないようです。ですから、30分ルールを満たせない案件が出現してもセンターの認定には差し支えない事になります。差し支えはありませんが、だから責任無しにはなりません。JBM的に30分ルールがいかに猛威を揮うかは周知の事です。
JBMにおいて職員の配置は満たされているのに30分ルールが出来ないことは、ほとんど抗弁のしようが無い事態に陥ると考えます。院内慣行などを持ち出しても一顧だにされないのもまた良く知られています。また今時の事ですから、医療機関だけではなく担当医個人にも責任追及がなされてもさして驚く事態と言えなくなっています。
そういう観点から考えると、一般的に30分ルールは行なえるはずだと認知され、そのための職員配置も行なわれている建前があり、実際はできない病院が最も危険な病院になります。地雷を踏めば「はい、サヨナラよ!」に確実になると考えます。そうなると産科医が選ぶべき病院は、
- 実質も30分ルールを確実に行なえる周産期センター
- あの病院で30分ルールなど絶対無理だと一般的に思われる病院
中間の中途半端な医療機関がもっとも危険になります。これも「思われていない」はあくまでも患者なり遺族の視点でのことであり、30分ルールは基本的にすべての分娩医療機関に覆いかぶさるものですから、相対的に危険度が下がるという意味合いに過ぎない事は御注意ください。どうにもこうにも救われない時代になっています。
元もと保健所長
救急告示も「30分ルール」も本質的には同じことです。
看板を掲げている以上、それができなかった場合の「言い訳の挙証責任」は当然ながら医療機関(場合によっては医師個人)にあるわけです。
したがって、裁判所が納得する「言い訳」ができなければ、民事はもちろん場合によっては刑事責任も背負うことになるわけです。
まあ、医師に良心のひとかけらでもあるならば、「なんちゃって救急告示」と「なんちゃって周産期医療」にはけして手を染めないことですね。
Hajimaru
「疾病又は事業ごとの医療体制について」に心筋梗塞についても書いてありました。
<急性心筋梗塞の医療体制構築に係る指針>
・ST上昇型心筋梗塞の場合、来院後30分以内に冠動脈造影検査が実施可能であること
・冠動脈バイパス術等の外科的治療が可能であることが望ましい
・抑うつ状態等の対応が可能であること
要は「こういうのを受けるのが病院だからね。それら(救急)を受けない施設はダメだよ。」という囲い込みを行なおうとしているのでしょうね。
麻酔科医
上の30分ルールですが、当然麻酔は麻酔科が当直しているか、自家麻酔でないと対応できません。さらに、長時間手術がはじまったら麻酔科のオンコールを確保しないと緊急帝王切開に対応できないんじゃないかと思います。
Yosyan
Hajimaru様
>囲い込みを行なおうとしているのでしょうね
それならそれで良いのですが、個人的には理想論と言うか努力目標の列挙のようにも見えます。本当に囲い込みならある程度厳格適用して淘汰整理が行なわれなければならないはずなのですが、現実は患者の需要に合わせて水増ししてでもの数合わせが行なわれているのはよくご存知かと思います。
かつては患者からの要求基準は低く、それに伴って訴訟問題も小さかったのですが、どちらも高くなってくると、とくにJBM的に破綻します。現在の医療崩壊の一つの側面です。通達があり、そうせよと書いてあるのに実際は満たせないとなると責任追及が行われ、それが認められます。
ではでは通達の基準を満たせる病院数に淘汰整理をすれば、今度はアクセスが低下して患者と言うか国民からブーイングが為政者に浴びせられます。この宙ぶらりんの状態でサンドバッグ状態なのが救急医療であり、周産期医療になっていると見ることも可能です。もっとも国がやろうとしている政策は、サンドバッグにされて脱落した戦力への新兵による補充戦術ですから明日無き消耗戦に感じますけどね。
元外科医
「アクセスが低下して」
当然でしょうね。小生はいろいろなところでそのように主張しています。結果的に患者が困るのは当然ですが、医療人の行った結果ではありません。医療費削減を行い、医療破壊のトンデモ司法を放置した政治の責任ですから。
逃散有利、逃散無罪w
Seisan
周産期センターの施設基準が「30分以内に緊急C/Sができる人員配置がされている」である以上、JBM的には言い訳はできませんね。少なくとも民事なら原告側弁護士、刑事なら検察官は絶対ここを突いてくるでしょう。
「おたくは周産期センターの認定を取って、診療報酬もそのために優遇されている。その基準に30分以内に娩出できる人員配置とある。なのに30分以内での娩出ができなかったのは、明らかに人為的なミスである」
こう主張されたら抗弁できませんね。
本当に基準を満たしている自信がある施設以外、こういう認定は取ってはいけないということでしょう。
まあ、厚労省お得意の二枚舌(おいしい餌の前には落とし穴を掘っておく)という奴でしょうか。
こうすることで、取れそうな認定を取らせずに、安いコストで医療をさせるという。
そろそろ、本当に「周産期医療センター」という奴がそろっていてほしいなら、国や自治体が司法に対しても施設を守る行動に出るべきだと思うんですがね。
一方で持ちあげといて、反対の手で殴りつけるという、最悪のDV夫を国が演じてるんだから、もう詰んでますよ>産科医療
Bugsy
周産期センターもそうでしょうが、救急も地方自治体からどうか引き受けてくれという要請が、いくばくかの財政援助とひきかえにあります。
当然最初から資材や人員が充足されているわけではないので、基準には満たないのですが、将来的に充足するであろうことを念頭において引き受けます。数年経って充足することもあれば、いつまでたっても将来の目標のままでいることも多いです。
こんな時期に不測の事態がおきたら、当然センターを名乗っている病院には不利な裁定がおきて世間の師団は激烈です。センターを返上を申し出ても行政は代替可能な病院がないという理由でつっぱねます。その間勤務する職員の士気は猛烈に落ち込み、離職する職員が後を絶ちません。
基準が充足するまで〜〜センターなんて名乗らなきゃいいのにと思いますが、こういった事例はよく耳にします。
Yosyan
30分ルールに対する周産期センターの基準は、
1.自治体の認定基準として「努力する事が望ましい」
2.診療報酬上では「すること」
実運用上では「努力する事が望ましい」は「出来ている」とみなして診療報酬上も認められているかと考えています。人員配置さえ出来ていないところも、机上の案で「可能である」の作文を書く程度でOKにしていると考えても不思議とは思いません。そういう書類上の辻褄合わせで運用される事は医療に限らずあり得る事だと考えています。
そういう書類上の辻褄合わせが行政のハコモノなどの需要予測のように、実際の運用では齟齬を来たしても実質的にスルーされないところです。言うまでも無くJBMの恐怖が圧し掛かります。30分ルールのJBMが痛いのは、公式には可能な体制になっている点かと考えます。出来る体制であるから加算を算定するというのが司法的には事実になります。
司法的な論理の展開は、
出来るだけの人員が配置されている → できないのは運用の不手際
医療機関側には「人員が配置されているのに30分ルールが満たせなかった立証」が求められる展開になります。ここで「人員は配置されているが、30分ルールを満たす義務は無いので無責」の主張が通用しないからです。これはかなり苦しい展開と思います。
JBMが猛威を振るう以前ではこういうナアナア展開で「いつか基準を満たす」という努力姿勢だけで見なし承認していても良かったのかもしれませんが、時代が厳しくなると病院及び勤務する医師が自己責任でそのリスクを十分考える必要があるかもしれません。
自己責任によって医療体制の不備を招くのであれば、これを不備が招かないようにシステムを整えるのはそれこそ政治行政のお仕事になります。医師は体制の不備を訴えるところまでは可能ですが、体制の不備のツケを嬉々としていつまでも払う筋合いはないからです。今でも払っている医師は少なくありませんが、払っている状態が異常であり、異常がいつまでも続く前提で対策を考える限り、どこかで限界が来ますし、限界は来ているかと思っています。
暇人28号
急性心筋梗塞の30分の縛りについてですが、
、
「これはあくまで目標であること、このガイドラインは担当医の診療の判断を縛るものではないこと、そして、医療訴訟や刑事訴訟に使用してはならないこと。」
とこのガイドラインを作成した日本循環器学会自体が表明しています。
元もと保健所長
Bugsy 2009/04/15 10:38さん
>センターを返上を申し出ても行政は代替可能な病院がないという理由でつっぱねます。
救急告示も周産期センターもあくまで病院側が申請して指定を受けるのであって、基準に満たないと自ら判断すれば、指定を辞退すべきです。
もちろん、指定にあたり受領していた施設整備補助金の一部(数億円?)は返還してもらうことになりますが。
>基準が充足するまで〜〜センターなんて名乗らなきゃいいのにと思いますが、・・
おっしゃるとおりです。
Bugsy
>指定にあたり受領していた施設整備補助金の一部(数億円?)は返還してもらうことになりますが。
元もと保健所長さま
補助金が数億円のセンターもあれば年間数100万円というセンターもあります。
麻薬のようなもんで それを削られると経営が成り立っていかないために返上できない、あるいは近隣に代わる病院がないので 口頭で(文書での返答は貰えず)続ける様に指示されるようです。
結局もうじきしたら新しい人員を確保するから頑張れと 現場の人間に言い続けるのですが、それも限度はありますね。仮想戦記で言う「幻の富嶽」はいつまで待っても飛んできませんから。
麻酔科医
そもそも30分ルールに医学的根拠があるんでしょうか?
家族は、帝王切開に2時間かかってCPが生まれたら30分で帝王切開できたら、、、、と「たられば」を考えるんですが、臨床麻酔でみた、スライドが印象的なのは、30分以内に分娩できた群のほうが予後が、、、、、、、、、。
元もと保健所長
Bugsy 2009/04/15 15:26 さま
>麻薬のようなもんで それを削られると経営が成り立っていかないために返上できない、あるいは近隣に代わる病院がないので 口頭で(文書での返答は貰えず)続ける様に指示されるようです。
行政にとっては、「病院が自ら基準遵守に努めながら」、訴訟リスクごと指定を受け続けてくれればよいわけで、そのためのヤク(補助金)漬けということです。
>現場の人間に言い続けるのですが、・・
>「幻の富嶽」はいつまで待っても飛んできませんから。
もちろん、スタッフもまた、訴訟リスク込みの自己責任で残ってくれているのですから万々歳です。
同じ重爆撃機でも、「富嶽」は幻ですが、「訴状」は間違いなく飛来してきます。
卵の名無し
>ヤク(補助金)漬け
そんな政策しか思いつかない下司行政の結果は、金の卵を産むガチョウの寓話と同じ結末が見えてじつに笑える。現実には現場の医者はガチョウよりも下種な欲深親爺よりもはるかに賢い頭脳と実用的技術を持ってるのにね。
まーこの件はいずれにしても現場医師側の花見劫だからまったりとしかし冷静に他の局面でも手を緩めず厳しく相手の目を確実に奪っていけばよい。相手は末期症状だからヘボとはいえ下種なラッキーパンチだけ食らわぬよう気をつけながら。
tadano-ry
この問題は、補助金で政策誘導をしようとする日本の官僚政治の問題と大きく捉えることが出来ます。補助金を取りたいから出来もしない条件を呑んで何か起これば現場の責任にされる。前職で、ある結構有名な農機具メーカーや、ゼネコンのちょっと下くらいの建設会社をクライアントとして持ちましたが、さすが土木に農政、こんな話ばっかり聞きました。
私の経験から言うと、まず補助金は自分で稼いだゼニではないので、コスト意識が希薄になりがちです。結局浪費されてしまう例が多かったように思います。
あと、補助金が国の決めた基準や目的に沿っているかを審査する必要が生じるので、そのために多数の書類書きやヒヤリングが行われます。これは国側にとっても病院側にとっても間接経費の増大を招き経営を圧迫します。
理論的な解決は簡単で補助金の分を保険の国庫負担に回し、指定医療機関に対して診療報酬加算すればいいのです。いわゆる一般財源化的な発想です。これにも色々問題はあり
ますがこうすればコスト意識の点でも事務手続きの簡略化の点でも大きなメリットがあります。
元外科医
特定財源を全て税金にして一般財源とすれば日本政府は良くなりますかねw
ま、ヤクザに流れる金は減るでしょうけど
tadano-ry
元外科医
>流れる金は減るでしょう
これが真の目的ですよwww
間接経費は、結局官僚や天下り団体や自治体職員の懐に入り現場には
なかなか入ってこないのです。だから道路の例でも官僚は一般財源化を
渋ってきたわけですよ。とにかくお金の流れをシンプルにして、頑張って
いる人にお金が入ってくるシステムにしなければ士気が下がるだけです。
元もと保健所長
tadano-ry 2009/04/15 20:15 さん
>理論的な解決は簡単で補助金の分を保険の国庫負担に回し、指定医療機関に対して診療報酬加算すればいいのです。
医療体制整備の政策は、大きく分けて「規制」と「誘導」があります。補助金も保険点数もいずれも誘導政策ですが、適正配置のためには前者が、質の向上のためには後者が選択されます。
もし周産期センター整備で「保険点数による誘導」を選択したら、7対1看護と同じ大都市集中が起きる懸念がありますね。
2009-04-14 妙手の根拠は
片手間に根拠を調べていたのですが、どうにも見つからず、また時間的にも賞味期限が切れそうなのであげます。愛育関連なのですが3/26付Asahi.comに、
中林正雄院長は26日の記者会見で、「非常勤医2人の当直という日があってもいいのか。特別条項で基準を超える時間外労働をさせても法違反にならないのか。都や厚労省に文書で保証してもらいたい」と話した。
こうあり、これを受けた形で卵の名無し様より、
非常勤医2人の当直というのを厚労省に認めさせる、というのが産科領域へのバイト解禁であり、これを厚労省に文書を出させて正式に認めさせる。ついで一晩8〜9万円/人の当直料を総合周産期センターでいてほしい都から支出させる。
これが産科勤務医への待遇改善に最も直結するものであり、同時に産科志望者を増やすこともできる一石二鳥の政策となるだろう。
こういう提案が為され、さらにこれへのレスとして元外科医様から
それはいい考えですねー
でもこのタイミングでいうのはほとんど恫喝ですねww
常勤医が辞めたがってるとか、慰留中とか言えばもっと迫力がありますね
こういう流れでの議論がありました。気にはなったのですが、愛育院長も、卵の名無し様も、元外科医様も周知の前提とされた、総合周産期センターの産科医当直医は非常勤2名体制はダメだの根拠です。悔しいですが、これがどうにも分かりません。とりあえず確認できる範囲の情報をあげてみると、総合周産期センターの設置要件は平成8年5月10日付け児発第488号「周産期医療対策整備事業の実施について」にあり、これは基本的に今でも通用しています。そこの医療従事者のところに、
母体・胎児集中治療管理室及び新生児集中治療管理室は、二四時間診療体制を適切に確保するために必要な以下の職員を確保することが望ましい。
(ア) 母体・胎児集中治療管理室
- 二四時間体制で産科を担当する複数の医師が勤務していること。
- 母体・胎児集中治療管理室の全病床を通じて常時三床に一人の助産婦又は看護婦(士)が勤務していること。
(イ) 新生児集中治療管理室
- 二四時間体制で常時新生児を担当する医師が勤務していること。
- 常時三床に一名の看護婦(士)が勤務していること。
(ウ) 新生児集中治療管理室の後方病室
常時八床に一名の看護婦(士)が勤務していること。
(エ) 分娩室
助産婦、看護婦(士)が病棟とは独立して勤務することを原則とする。ただし、母体・胎児集中治療管理室の勤務を兼ねることは差し支えない。
ここだけを読むと産科医は、
-
二四時間体制で産科を担当する複数の医師が勤務していること
こうなっており、常勤・非常勤の区別は書いてありません。ただこの通達は平成8年のものであり、その後に追加通達があった可能性は否定できません。否定は出来ないのですが、テンコモリある通達を探し出すのは容易ではありません。見つけた範囲では平成15年4月21日付雇児発第0421001号で改訂はされています。
(ア) 母体・胎児集中治療管理室
- 24時間体制で産科を担当する複数(病床数が6床以下であって別途オンコールによる対応ができる者が確保されている場合にあっては1名)の医師が勤務していること。
- 母体・胎児集中治療管理室の全病床を通じて常時3床に1名の助産師又は看護師が勤務していること。
ここでもMFICUの病床数が少ない場合の緩和条件が記載されているだけであって、常勤・非常勤の区別はありません。その次になると根拠となる原典が見つからないのですが、MFICUの施設基準というものがあるようで、
- 専任の医師が常時、母体・胎児集中治療室内に勤務している
- 当該治療室勤務の医師及び看護師は、当該治療室に勤務している時間帯は、当該治療室以外での当直勤務を併せて行わない
これは孫引き情報ですから御了解頂きたいのですが、ここにある
-
専任の医師
これが常勤・非常勤の問題に関るのではないかと考えられます。考えられますというより「らしい」程度なんですが、お役所文での「専任」「専従」の定義なるものがあるそうなのです。これも孫引き情報なのですが、
専任=「専任とは専らその業務を任されて担当することをいい、担当業務以外の業務を多少兼任することは差し支えない」
→業務全体の半分程度は携わっていることが必要
専従=「専従とは、専らその業務に従事することをいい、他の業務を兼任することは認められない」
→業務全体の8割以上は携わっていることが必要
ここの業務全体とは「どうやら」なんですが、担当時間だけではなく病院業務(外来・病棟)全般に対するものであり、非常勤医が病院全般の業務の半分以上に関わる事は普通ありえないので、常勤医が必要との解釈になるのではないかと考えられます。ここまでで「そんなもか」ぐらいレベルまで理解したのですが、それなら専任の医師ですから非常勤医2名どころか、2人とも常勤医でなければならないとの解釈も出てきます。
愛育が1名は非常勤医でも良いとの解釈は上記した平成15年4月21日付雇児発第0421001号に基づくものと考えられます。再掲すると、
-
病床数が6床以下であって別途オンコールによる対応ができる者が確保されている場合にあっては1名
愛育のMFICU病床数は東京都資料によると6床であり、上記条件にあてはまります。2名のうち1名の条件は専任の医師の条件から外れるために、これを非常勤医で行う事は可能と解釈できる様な気がします。愛育院長の非常勤医2名体制とは、6床以下のMFICUで従来1名は非常勤医でOKの解釈を2名とも認めてくれの話のように考えます。
え〜と、私が調べられる範囲での根拠はここまでです。一部曖昧なところもあり、情けないのですが、根拠について御存知の方は情報頂けるとありがたいところです。
法務業の末席
4月より新装なったロハスメディカルのニュースページ、下記の2本の記事が詳しいです。
「なぜ愛育病院は「総合周産期母子医療センター」返上を申し出たか(上)」
(2009年4月 9日 22:31 熊田梨恵)
http://lohasmedical.jp/news/2009/04/09223131.php
「なぜ愛育病院は「総合周産期母子医療センター」返上を申し出たか(下)」
川口恭 (2009年4月10日 10:00)
勢いづく旧労働省
(熊田梨恵)
http://lohasmedical.jp/news/2009/04/10100047.php
なおこれはトピに直接関係の無い蛇足ですが、熊田梨恵記者のお名前はご存知の方も多いと思いますが、先月まではCBニュースの看板記者でしたが4月よりロハスに移りました。また同時にCBの新井裕充記者もロハスに移籍して、お得意の深く掘り下げた記事を書いています。
卵の名無し
妙手といっても中身は単純です。昔の名義貸しの応用みたいなものでw
産科医をそれぞれ集約したセンター間でお互いに相手の常勤医を自院の非常勤医登録して当直シフトに入ってもらう。非常勤医登録した施設での当直勤務は自分が常勤医として所属する病院の時間外勤務として勤務時間を算定する。当直料はそれぞれ相手方施設がが支払う。互いにカバーし切れないシフトには開業医や民間病院勤務医を非常勤医登録して入ってもらって埋める。自施設の当直シフトには原則として入らないで2名程度が交代でオンコール待機とする。
ざっとこんな感じの公認(自院業務)当直バイト解禁を想定しました。もともと出産は保険外だから自由診療部分が大きいので余計やりやすかろうと思って。
元ライダー
>MFICUの施設基準
『医科点数表の解釈』
第6 総合周産期特定集中治療室管理料
1.総合周産期特定集中治療室管理料に関する施設基準
(1)母体・胎児集中治療室管理料に関する施設基準
ア 専任の医師が常時、母体・胎児集中治療室内に勤務していること。
原典はこれですかね?引き続いて
ウ 帝王切開術が必要な場合、30分以内に児の娩出が可能となるよう医師、その他の各職員が配置されていること。
30分ルールの原典(原点)のような記載も・・・
そして
(2)新生児集中治療室管理料に関する施設基準
ア 第5の1の(1)から(6)までをすべて満たしていること。
とあります。第5の1の(1)は「専任の医師が常時、新生児特定集中治療室内に勤務していること。」ですから、専任の産科医と専任の新生児科医が常時勤務していないと「総合周産期」と名のれないと思われます。
麻酔科医
専任と常勤とはイコールでしょうか?
非常勤といっても、勤務時間中は、NICU専任ならば、専任の条件を満たしていると思います。
麻酔科で問題になる麻酔管理料は、「常勤の麻酔科標榜医」が術前回診して、麻酔を担当し、術後回診をすると麻酔管理料がとれるとあるのとちょっと違う文面ですね。
http://shirobon.net/18/ika_2_11/i_k_2_11_1_l009.htm
元外科医
専任とは勤務時間中、主にその業務に就いている事をさしており、専従とは勤務時間中、当該業務のみ行っていることをいうのだと理解しています。ですから専任は時間内に余裕があれば別の外来にも出て良いし他科の応援も出来ます。専従は時間内は当該業務から離脱禁止です。
上記の定義からは常勤と非常勤の区別はありませんから、非常勤でも定義は満たしますね。麻酔科医さまの言われるとおり「常勤の」がなければ法的には問題ないのかも知れません。
Yosyan
専任と常勤がイコールかどうかの明確な根拠はありません。エントリーで上げた専任、専従の定義は癌拠点病院の時の解釈だそうです。その時にはそういう風な解釈であるとされたので、総合周産期の当直の解釈もそうではないかと言うことです。正しいかどうかよく分からないのですが、愛育院長の記事の言葉からすると、何かの理由によって非常勤医2人体制は認められないと考えるからです。
これ以外にも通達があるかもしれませんし、疑義照会でそういう回答が出ているのかもしれません。ただ分かる範囲では、非常勤をとくに禁じる項目は「専任の医師」ぐらいしか見当たらないと言うことです。
卵の名無し
当直料について。
以前8〜9万円/人程度を都が補助金でと書いたけど、産科当直の場合基本当直料は2〜3万円/人で都が出資し、あとは当直中に出産を扱った数に応じて出産一時金から、一件につき5〜10万円程度の助産の手間賃を上乗せした支払を受けるというふうにいわば歩合制を併用すればよい。そうすれば都の補助金の増大を抑えつつ当直産科医個人の手取りが増える計算。これが出産が保険外であることの利点であり、さらに非常勤登録当直医に民間病院勤務医や開業医が参加することで、出産育児一時金から医師が手間賃をいくら取るのかの金額決定に幾ばくかの市場原理も反映させられる利点もあると思う。
麻酔科医
>何かの理由によって非常勤医2人体制
それは、法律上というより、周産期センターたる施設が、全然その施設の常勤医がいない状態で、夜間治療を行なって何かあったらどうするんだろうかと思います。常識的に、その施設の常勤医がいない状態で、高度医療を行なうのは、リスクだということです。
愛育というと鉗子分娩で女児死亡が死亡しています。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060808ik06.htm
2006年8月6日は土曜日ですから午後9時にこの処置を行なったのは当直医で、愛育の常勤医だったんでしょうか?
緊急帝王切開といっても、常勤医がいれば、助手は、病院のお決まりごとを何もしらなくてもいいけれど、常勤医がいないとなると手術の申し込みからチンプンかんぷん、電子カルテだと薬一つ出せないという状態になるんじゃないでしょうか。
麻酔科も、もうすぐ電子麻酔チャートが普通になると,知らない電子カルテだと麻酔記録がつけられなくて難渋しそうです。
卵の名無し
本題から外れるけどちょっとわからない点があって。
>その施設の常勤医がいない状態で、高度医療を行なうのは、リスクだということです。
>愛育というと鉗子分娩で女児死亡が死亡しています。
これは鉗子分娩が高度医療であるという意味ですか?
tora momo
産科医療側も反省しなければいけない 反省するべき点は(1)患者さんを患者様と呼び始めた。(2)お産は自然分娩できる。呼吸法で難産はなくなる。(3)カンガルーケアをすれば母乳がたくさん出る。(4)麻酔分娩は母乳が出ない。 こんなことを言い続けたから患者さんが「お産は安全」と誤解したのです。
なお 当県(九州)では産科医の当直料金は7万円-8万円ですが小児科の当直料金は10万円以上が相場です。小児科医が交渉がうまいようです。
卵の名無し
>産科医の当直料金は7万円-8万円ですが小児科の当直料金は10万円以上が相場です。小児科医が交渉がうまいようです。
では出産に産科医が果たす役割の大きさから考えて当直料の歩合部分は育児一時金が40万円ならその半額の20万円前後とするべきでしょうね。これくらいのインセンティブは必要でしょう、昨今の情勢から妙手をきちんと利かせるためにはw
2009-04-13 昨日はハイキング
今日はネタを繰る間がなかったので趣味の雑談です。
前からトライしたかった有馬三山に登ってきました。有馬三山のコース案内は「健脚向き」から「初級者向け」まで評価が入り乱れ、踏破時間も4時間〜6時間まで情報があり、いつになく入念に下調べして臨みました。つうのも六甲山系の特徴で、いろんなコースがあり、コースの取り方で難易度が上がったり、下がったりがあるので、下手に適当に登ったら大変な目にあうことはしばし経験済みだからです。
今回選んだコースは、
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有馬口 → 逢山峡 → 仏谷 → 高尾山 → 湯槽谷山 → 灰形山 → 落葉山 →有馬温泉
一番難しそうなのが逢山峡から仏谷への入口で、「なんにも案内表示がない」との事前情報があり、地図も完備しての挑戦です。でもって難しかったかと言えば正直なところ難しかったです。事前情報通りなんにも案内表示がなく、2回ぐらい判断に迷ってようやく入口を見つけました。これも「見つけた」と言うより、「エエィ」と踏み込んで20分ぐらいしたら、小さな小さな手製の案内表示に「仏谷」とあるのを見つけて「正解だった」と安心した次第です。
六甲山系は都市型近郊ハイキングのメッカみたいなところで、道はどこも整備されているのですが、仏谷から高尾山さらに湯槽谷峠(だと思う)まではチトマイナーな雰囲気が濃厚に漂う道です。他のもっとマイナーな山の道に較べるとマシと言うか、同じぐらいなのですが、六甲の道とすればやや不安感が漂う道です。これが湯槽谷峠を越えるとガラリと変わります。
それまで1車線半の道であったのが、急に2車線歩道付きの道に変わった印象です。こういう道の雰囲気は行って見なければわからないところで、おそらくメインルートは番匠尾根これからだったかなと思った次第です。有馬三山とは湯槽谷山、灰形山、落葉山を指すのですが、登った実感としてこれが健脚向きかどうかなんですが、私が選んだコースは中級ぐらいの印象です。中級の理由は道を探すのがちょっと難しいところです。
しんどさなんですが、
-
仏谷 → 高尾山 → 湯槽谷山 → 灰形山 → 落葉山
こう歩いたらビックリするようなコースではありませんでしたが、これが逆ならかなりシンドイコースだと思います。とくに灰形山から湯槽谷山の登りは延々たる丸太階段ですから、降りながら「これを登るのは嫌だ」とヒシヒシと感じました。丸太階段は知っている人ならわかりますが、ハイカーの体力を激しく奪います。たぶん登れば30〜40分程度でしょうが、あれを知っていて登るのはかなり辛いものがあります。
全行程は4時間ほどで、電車で行ったので有馬ではビールを楽しみながら花見もできました。桜はさすがに盛りは過ぎていましたが、その代わりに花びらが盛んに舞い散っていまして、名残の桜を満喫できました。それと先月に摩耶山に挑戦した時には1週間ほど猛烈な筋肉痛に襲われましたが、今回はかなりマシなようです。明日か明後日が筋肉痛のピークでしょうが、だいぶと楽そうな気配です。
いやぁ、こんな休日を過ごしたもので、医療ネタを考えるのが完全にお留守と言うか、休日状態になり申し訳ありません。今朝になんとかデッチ上げようとしましたが、まだ頭も体もハイキング気分で、書くに書けない状態になっています。そんな日もあると言う事でお目こぼしください。
Bugsy
全国的に雨が少なく乾燥気味だとうかがっています。
山火事が相次ぎ 六甲山と加古川もそうだったようです。有馬とは離れているようでよかったですね。
rijin
よい休日を過ごされましたね。たまにはこうありたいと思います。
タカ派の麻酔科医
うらやましい体力ですね。私なら、今日よりは明日に筋肉痛が来て、仕事なんてできなくなりそうです。新神戸駅から、ロープウェーの駅の上の結婚式場に歩いていっただけで、へとへとになりましたから。
卵の名無し
山の中に分け入って桜狩りし、花鳥風月を全身で愛でる。じつに境地に到っておられますね。
人間仕事の能率や効率を上げるためには余暇が必ず必要です。refreshment,recreationもそういう語義だし。そしてrecreationであるためには余暇を心から楽しまなければ、仕事に戻ってから再集中することが困難になります。まあ道交法の過労運転の禁止はそういう事実から作られた罰則ですね。
こんなこと皆知ってる常識なんだけど厚労省の官僚だけは知らないとしか思えない。もしかして基本的学力が足りない?
Yosyan
>じつに境地に到っておられますね
そんな高尚な代物ではありません。登りは本当に苦しいのですが、あんまり苦しいので他の事を何も考えずに「登る」事だけに集中できる点が気に入っています。それと苦しいですが、いつかは山頂に着きますし、山頂に着けば自己満足といわれようが、達成感があります。ある種のカタルシスですが、単純ですがあの苦しい登りを頑張ったご褒美と勝手に思っています。
それとハイキングもスポーツになるでしょうが、競争で無い点も好きなところです。あくまでも自分のペースで苦しい時には自分の判断で休み、自分の判断で登ります。まあ、そうやって登っていると、鳥の鳴き声とか、咲いている花が街中にいるときとは別の感覚で聞こえたり、見えたりするのはあります。
もっとも真夏とか、真冬は避けているヘタレですから、登山ではなく山登りですし、あくまでもハイキングです。
tadano-ry
全く関係ありませんが、ちょっと楽しいネタを。
【弥栄】自信満々に麻生の誤読を指摘した産経、記事消去して逃亡
http://news4vip.livedoor.biz/archives/51275866.html
TBS社員、「弥栄」で麻生首相を罵倒→「いやさかえ」であってると指摘されても謝罪せず
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1248832.html
卵の名無し
>記事消去して逃亡
>指摘されても謝罪せず
基本的学力だけじゃなく三つ子レベルの躾の両方が両方とも不足してるのかもね。
おや、なんだか「朗らかな気分♪」が♪〜♪〜w
Bugsy
>>記事消去して逃亡
>指摘されても謝罪せず
その日のうちに記事にするネタを探すからでしょう。深い吟味もせずに よーやるわ。
辞書を調べる暇もない 瓦版屋なんですね。いい学校を卒業して誰でも知ってる会社に就職してこれですもんね。
親の顔が見てみたい。親に合わせる顔がない。厚顔無恥。羞恥心。恥を知れ。どの面下げて。
しみじみ思い出すことばです。
たしかに新聞社やテレビ局の収支が赤字というのは よ〜わかる。
tadano-ry
個人的な補足。
私も「弥栄」は辞書的には「いやさか」と読むものだと思っていました。
ただ、祝詞なんかでは「いやさかえ」と言っておられるのを聞いたことがあります。
文語と口語で読み方が変わるのはあり得ない話でないし、「栄」は元々「さかえ」と
読むのが自然ですから、そういった言葉のぶれなんだろうな、と思っていました。
いやそんなことはどうでも良くて、問題は「言葉」を商売にしておられる人たちが、
実は言葉に全然敏感ではなかったということ。私でも聞いて事があるのにどうして
誰も知らなかったのか。あとは例え辞書に載っていないにせよ弥栄を「いやさかえ」と
読む例があることを指摘された後の態度です。
最後に、結果的にスレ荒らしになってしまいました。申しわけありませんでした。
2009-04-11 滋賀モデルによる愛育病院の算数
確実に裏付けられていない部分もありますが、おおよその前提条件として、
- 労基法41条3項による当直許可は下りない
- 愛育病院の職員紹介によると新生児科医は5名である
- 3/26付m3医療維新によると産婦人科の実夜勤戦力は5名である
- 交代勤務ではなく時間外勤務でカバーする(日勤の人数はそのまま)
- 非常勤の応援は期待しない
愛育病院の勤務シフトは不明なのですが、ここでは算数を簡略化するために日勤を9時間(昼休み1時間)、夜勤を15時間(休憩1時間)とし、日曜祝日も日勤夜勤体制であるとします。これを4月をモデルとして1人体制の時間外勤務時間を計算すると、
-
平日夜勤:14時間 × 21日 = 294時間
休日夜勤:14時間 × 9日 = 126時間
休日日勤:8時間 × 9日 = 72時間
合計492時間になります。
まず新生児科ですが1人当直体制です。時間外労働の月の限度時間は平成10年12月28日付労働省告示第154号「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」により45時間とされていますから、5名で225時間となり267時間足りません。
267時間は36協定による特別条項で限度時間を延長して賄う事になりますが、特別条項が適用できるの6ヶ月までの縛りがあります。6ヶ月はいつ適用しても構いませんから、5名の新生児科医が2名と3名に分かれて特別条項とそれ以外の分担と考えます。そうなれば、
-
2名が特別条項適用:178.5時間(36協定限度時間45時間+特別条項133.5時間)
3名が特別条項適用:134.0時間(36協定限度時間45時間+特別条項89.0時間)
滋賀では120時間ですが、特別条項による限度時間は青天井なので、180時間ないし余裕をもって200時間にすればクリアできます。
次に産婦人科です。ここは2人当直が必要ですから条件はさらに厳しくなります。まずまず984時間の時間外勤務が発生し、特別条項がカバーしなければならない時間は759時間となり、新生児科同様に計算すれば、
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2名が特別条項適用:421.5時間
3名が特別条項適用:298.0時間
え〜と、3名が特別条項適用としても少なくとも300時間、2名なら430時間ぐらいは必要となります。祝日が多い月の方が時間外勤務時間は増えますから5月モデルを考えます。
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平日夜勤:14時間 × 18日 = 252時間
休日夜勤:14時間 × 13日 = 182時間
休日日勤:8時間 × 13日 = 104時間
計538時間となります。2人当直体制の産婦人科5人モデルで考えると、特別条項適用時間は851時間になります。そうなると、
-
2名が特別条項適用:470.5時間
3名が特別条項適用:328.7時間
では祝日が無い6月ならどうなるかですが、
-
平日夜勤:14時間 × 22日 = 308時間
休日夜勤:14時間 × 8日 = 112時間
休日日勤:8時間 × 8日 = 64時間
計484時間ですから、特別条項適用時間は743時間になります。同様に、
-
2名が特別条項適用:416.5時間
3名が特別条項適用:292.7時間
6月は時間外勤務時間数が少ない方の月になるはずですから、特別条項2名体制になると思います。そうなれば特別条項による時間外勤務時間はどう考えても420時間程度は必要になります。420時間がどの程度かと言えば、夜勤を14時間勤務としていますから30日分となります。6月は30日にしかありませんから、30泊勤務となり、これに月曜から金曜までの日勤が加わりますから日曜の夜から金曜の夜までの連続勤務が必要になります。病院から開放されるのは土曜と日曜の昼間だけになります。
ここでちょっと計算と言うか、運用がよくわからないところですが、日曜夜から土曜の朝までの連続勤務中の休憩時間がどう扱われるかわかりません。労基法では8時間以上の連続勤務の場合に1時間の休憩時間が必要となっていますが、これを杓子定規に解釈すると日曜の夜から土曜の朝までの間の休憩時間は1時間でOKになります。そうなると特別条項による限度時間の延長が必要になりますが、今日はそこまでは計算しないことにします。
それにしても正規の勤務時間が176時間、時間外勤務時間が約2.4倍の416.5時間とはかなりイビツな勤務体系のように思えます。それでも3/26付朝日新聞にある厚労省の担当官が愛育病院にアドバイスを行なったとされる
厚生労働省の担当者からは25日、労働基準法に関する告示で時間外勤務時間の上限と定められた年360時間について、「労使協定に特別条項を作れば、基準を超えて勤務させることができる」と説明されたという。
厚労省の担当官は特別条項により月420時間程度の時間外勤務を行なえば勤務は可能とアドバイスした事になります。厚労省担当官がアドバイスしたぐらいですから、きっと労基署も周産期医療を守るために苦渋の選択で届出を受け取るのでしょう。そうなると36協定の内容は、
-
45時間 × 6回 = 270時間(平常月)
420時間 × 6回 = 2520時間(特別条項適用月)
合計で年間2790時間になります。もっとも地獄は年に6回で、残りの6ヶ月は「たった」45時間しか時間外勤務はないですが、何かの都合で2ヶ月連続とかになるとさすがの産科医でも辛いんじゃないでしょうか。実はと言うほどではありませんが、年間2790時間でも月平均にすれば230時間ほどです。230時間も無茶苦茶な時間外勤務ですが、現在もこの勤務時間数を実質こなしているわけです。これを特別条項の適用でイビツに分布させる事により、月420時間と言う目も眩むような特別条項適用月が発生するわけです。
労基法の運用の趣旨は、厳格適用により事業場を破綻させ失業させてしまう事は避けなければならないこととされています。特別条項適用により労基法はクリアできても、それにより職場が崩壊するとなれば、今度は首都東京の周産期医療を守るために、労働省告示154号の適用を弾力的運用で目を瞑る措置を労基署は行なうのでしょうか。なぜなら特別条項の厳格適用は愛育の産科を壊滅させる事につながるからです。そうなるともう労基法は私の理解の手に負える代物ではなくなります。
もっとも愛育は総合周産期であるが故に41条3項の宿日直許可が下りないわけですから、総合周産期の看板を下ろせば宿日直許可は下りる可能性はあります。また総合周産期の看板を下ろしても愛育の経営はビクともしません。そうであれば特別条項で月420時間の限度時間を特別協条項を結び、強行突破を行い、安全配慮義務違反の地雷原を歩むより総合周産期の看板返上が理性的な判断に思えます。
特別条項の認可を労基署は与えてくれても、安全配慮義務違反の免罪符は東京都も厚労省も絶対にくれないでしょうからね。
最後にこの算数をやっていると時間感覚がおかしくなるのですが、平成14年2月12日付基発第0212001号「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」にある「過重労働による健康障害防止のための監督指導等」をもう一度引用しておきます。
(1) 月45時間を超える時間外労働が行われているおそれがあると考えられる事業場に対しては監督指導、集団指導等を実施する。
(2) 監督指導においては、次のとおり指導する。
- 月45時間を超える時間外労働が認められた場合については、別添の4の(2)のアの措置を講ずるよう指導する。併せて、過重労働による健康障害防止の観点から、時間外労働の削減等について指導を行う。
- 月100時間を超える時間外労働が認められた場合又は2か月間ないし6か月間の1か月平均の時間外労働が80時間を超えると認められた場合については、上記アの指導に加え、別添の4の(2)のイの措置を速やかに講ずるよう指導する。
- 限度基準に適合していない36協定がある場合であって、労働者代表からも事情を聴取した結果、限度基準等に適合していないことに関する労使当事者間の検討が十分尽くされていないと認められたとき等については、協定締結当事者に対しても必要な指導を行う。
(3) 事業者が上記(2)のイによる別添の4の(2)のイの措置に係る指導に従わない場合については、当該措置の対象となる労働者に関する作業環境、労働時間、深夜業の回数及び時間数、過去の健康診断の結果等を提出させ、これらに基づき労働衛生指導医の意見を聴くこととし、その意見に基づき、労働安全衛生法第66条第4項に基づく臨時の健康診断の実施を指示することを含め、厳正な指導を行う。
この通達にあるように問題とされる時間外勤務数のレベルは120時間とか200時間とか420時間なんてレベルではなく、
-
月45時間を超える時間外労働が行われているおそれがあると考えられる事業場に対しては監督指導、集団指導等を実施する。
45時間を超えるだけで監督指導、集団指導の対象になります。滋賀の120時間も愛育で予測される420時間も労基署は届出時点で45時間を超えることが分かっているわけですが、これも特別条項によりすべて免責されるのかもしれません。素晴らしきかな特別条項です。労基署は事業所を守るために特別条項を認め、一方でこれで過労死が起これば今度は安全配慮義務違反の責任を事業所に問うわけです。労基法の弾力運用は本当に魔法の杖と思います。
通りすがり
医師の方は人権侵害で病院や自治体・労基署を訴えてもいい気がします。
過重労働をしなければ守れないと言うことは既に制度崩壊してるって事ですよね…
卵の名無し
非常勤医の当直シフト参加のほうはどうなったのかな。労基法よりもこっちのほうが興味深かったが。
Med_Law
特別条項を誤解しすぎだと思います。
滋賀の場合も労働実態は変わっていませんので、勤務医が過重労働で病気や事故に遭えば、あるいは医療事故が起これば、管理責任が完全に浮上してきます。
責任者が見えてなかったのを可視状態にしただけでも、十分意義があります。
焦らずに一年の推移を見守るべきだと思います。
愛育病院の算数にしても、許認可の問題を計算しているだけで、労働実態は何も変わっていません。
但し、可視化することにより、当直なら最初から最後まで時間外賃金が発生し、使用者が逃げることはできません。
2010年4月からは、最低でも5割増になりますので、一晩で3日半分の賃金が支払われることになります。
問題が可視化でき、責任の所在が明らかとなれば、解決への糸口は見えてきます。
もちろん最終解決ではないのは明らかですが、戦後から全く放置されてきた分野が開拓されたのです。
冷静な議論をお願いしたいです。
勤務医
何れにしても特別条項は特別であり、移行措置として認めても繰り返しは禁止にしないとざるになります。そこら辺滋賀の先生やこれからの先生のコンセンサスにしていただきたい。毎回特別じゃ何処かのバーゲンと同じです。
あと、非常勤医者の患者放り込み当直は有る意味楽なので常勤を苦しめるだけですから、キャパを超えた夜勤は結局駄目です。これを開業医がしたところで助かるのは時間をクリアした事務や行政でしょう。
それにしても特別の時間を超えたときに何処までの事がなされるのでしょうか。
元もと保健所長
もし愛育で滋賀と同等以上の過酷な36協定が結ばれるなら、敵はもはや病院や労基署ではなく「労働者の代表」のほうでしょう。
働く仲間を売り渡す犯罪的行為が全国に波及しないことを切に祈ります。
卵の奈々氏
ロハスメディカルによると、愛育とやりとりしたのは医政局長だそうなので
”厚生”労働マター(not 厚生”労働”)みたいですね。
口頭指示で文書記載はないようですが。
通りすがり
・そもそも5人雇ってて日勤帯一人でやるっていうことがあるのかしら
・駄目な時期→(移行帯6カ月)→正常な時期という意味だとすると
適当にばらばらと6カ月割り振るというのは可能なのかしら。(繁期・閑期という意味?)
・2名が特別条項適用:421.5時間 3名が特別条項適用:298.0時間
この辺全員平等に扱わなくていいのかしら。
元ライダー
>管理責任が完全に浮上してきます。
過労死ラインを超えた36協定を受理した労基署の責任も浮上しませんかね?
労基署だって、そーゆー方向から責めるマスコミ伝統芸は想定していると思うのですが、本当に受理したんでしょうか(届出たのは事実のようですが)。
tadano-ry
いかに算数をし、どこからお墨付きが出ても、現実は変わりません。医療崩壊は認知されましたが、多くの国民は医師が頑張りが足りないと考えてます。官僚はそれを利用し、効果のない施策を乱発、自分達はやるだけの事はやってる、うまくいかないのは現場のせいと逃げています。公営企業のコンサル経験もありますが彼等の思考パターンはいつも同じです。評価が減点法で決まる彼等にとって責任回避はサバイバル術です。ただ私の経験でいえば彼等の弱点は文書と法令です。法令を勉強し、文書で責任の所在を明らかにして行く事が彼等と戦う最善の方法です。
10年ドロッポ
Med_Law先生、
私如きがおこがましいのですが、
>責任者が見えてなかったのを可視状態にしただけでも、十分意義があります。
もっと徹底的に圧勝出来たしそうするべきだったのに手を抜いて後顧の憂いを残し捲くったように思われるのですが…。空母を撃ち漏らした真珠湾の愚を繰り返している気がしてなりません。
>焦らずに一年の推移を見守るべきだと思います。
その1年で何人が過労死することか…。それは避ける事が充分可能な死であったと私は思います。<過去形なのは時空を未来に置き換えただけの規定事項だからです。
Yosyan
非常勤の応援がどれほどなのか不明だったので試算しませんでしたが、非常勤医2人体制も容認し、特別条項による限度時間を滋賀にならって120時間としてみます。
6月モデルの時間外総勤務時間数が968時間、ここから特別条項適用医2名の240時間(1人120時間)を引くと、728時間。さらにそれ以外の3名の常勤医の135時間(1人45時間)を引くと593時間になります。
593時間を埋めるために、週に一度の当直非常勤医が7人いたとしたら、これで420時間(夜勤14時間担当)となりますがまだ173時間足りません。そこで土日の非常勤医は宿日直とすれば、64時間担当分が発生します。それでも109時間足りません。
どうなるかと言えば、月曜から金曜までに1人ずつ非常勤医が入り、土日は終日の非常勤医が入り、さらにそれ以外に8回分の夜勤の非常勤医を必要とします。そもそも常勤医以外の非常勤医のカバー時間は夜勤換算で42.4回分になり、夜勤のコマ数は60回ですから、総コマ数の2/3以上を非常勤医で埋める必要が出てきます。
必要人数をもうちょっと具体的に試算すると、月〜日の週1度の非常勤医が7名、残りの8コマを4コマづつ2名で受け持つとして9名です。東京ならそれぐらいは容易に集まるんでしょうか。それでもってかかる費用は・・・東京の相場が分かりませんから保留にしておきます。
SORA
10年ドロッポ先生
> もっと徹底的に圧勝出来たしそうするべきだったのに
「医学のたまご」(海堂尊)によると「何事も勝ちすぎるのはよくない。ほどほどが一番」だそうです。
非医療者の目から見るとまずは最初の一歩を踏み出すところには成功したわけで、これだけで終わらせずにこれからも勝ちすぎない勝ちを短い間隔で継続させていく事が重要なのではないかと思います。
#「急いては事を仕損じる」ということわざもありますし。
> その1年で何人が過労死することか…。
こればかりはなんとも…。
つい最近、私の実家の隣の市のJA厚生連系の病院で産科の先生が亡くなられたという噂を聞いて呆然としていたところです。
やはりご自分の事を第一に考えていただいて無理だと思うなら辞めるという決断をしていただくのが一番なのかなと思います。
#協定ができたからといって辞める自由がなくなるわけではないですから。
法務業の末席
>Yosyan先生
三六協定での時間外労働の総時間数を計算する場合、法定休日(4週で4日の休日)を休日労働した場合の時間数は除外して下さい。法定外の休日(所謂所定休日=週休2日制の場合はその内の1日)に休日労働した場合は時間外労働として扱いますが、法定休日(病院などでは日曜とする場合が多い)に出勤して労働した時間数は、時間数に関係無く(例え8時間を超えていても)休日労働1日としてカウントされ、時間外労働時間の計算には含めません。
このことは、昭和58年8月30日の基発569号で「休日労働の時間を含む三六協定は本来不適正である」通達されていて、協定に盛り込む時間外労働の時間数については、休日労働での労働時間数を除外する旨通達されています。
京都の小児科医
Med_Law様
いわれるのは
>責任者が見えてなかったのを可視状態にしただけでも、十分意義があります
Med_Law様がいわれる可視状態とは、昨日、Yosyan先生が提示された中日新聞の記事のことでしょうかhttp://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20090409/CK2009040902000011.html?ref=rank
こういった場合、情報公開制度による情報公開によって事実関係を確認せず、新聞記事のみで可視状態というのは違和感があるのですが。。。
おそらく中の人の情報は事実と推測しますが、ブロクのコメントは可視状態とは言えないと
思います。
勘違いならすいません。
Yosyan
法務業の末席様
ありがとうございます。休日はまた別扱いになるのですね、勉強になりました。そうなると休日労働の労働時間数は何にカウントされるされるのでしょうか、労基法は当たり前ですが複雑です。それとこれは質問ではありません。自分でググって調べます。
Bugsy
産業医の資格って多くの友人が取得してるんですが、オイラは時間の都合がつかず講習会に出席できません。
ところで彼らは産業医の資格をとって喜んでいるのですが、自分の職場立て職員は500人を優に超えているはずが、健康管理面での労務管理の提言というのをやりました とはついぞ聞こえてきません。
勤務医の過剰労働を防ぐための健康管理なんぞ どこ吹く風。健康管理の面から病院側に時間外労働の制限という点でモノ申してもいいんじゃないかとも思うんですが、どうなんでしょう?
自分は取ってないからわかりませんが、産業医にはそんな資格はないのでしょうか。
それとも自分の病院では知らん振りして 医業以外の会社ではビシビシ言ってるんですかね。
だったら意味ないじゃん。
京都の小児科医
>医療現場と労基法の両立は現実的に不可能とする勤務医は多い。ある医師は「我々は労基法を守る前に、医師法または医師の倫理に従って仕事をせざるを得ない」と強調
どなたかの発言か不明ですが、この医師法または医師の倫理とは具体的に何を想定されたものでしょうか
医師法○○条とか、医師の倫理?たとえばヒポクラテスの誓いに労基法を守ることと矛盾するものがあるでしょうか
長い間の日本の医師の文化的慣習風習ならわかりますが、まず、具体的な事項を提示する
べきと思います。
とくに医師法は法律ですから、労基法と医師法の整合性がないとおかしいと思います。
医師法のどこに労基法を守らなくてもいいと解釈できるところがあるのでしょうか
元もと保健所長
>医療現場と労基法の両立は現実的に不可能とする勤務医は多い。ある医師は「我々は労基法を守る前に、医師法または医師の倫理に従って仕事をせざるを得ない」と強調
医療現場と刑法(第211条の業務上過失致死傷罪)の両立は不可能と考える医師のほうが遙かに多いと思います。
10年ドロッポ
SORA様、
>「医学のたまご」(海堂尊)によると「何事も勝ちすぎるのはよくない。ほどほどが一番」だそうです。
非医療者の目から見るとまずは最初の一歩を踏み出すところには成功したわけで、これだけで終わらせずにこれからも勝ちすぎない勝ちを短い間隔で継続させていく事が重要なのではないかと思います。
#「急いては事を仕損じる」ということわざもありますし。
ムツゴロウさんは「獲れる時に獲れるだけ獲るのが自然を楽しむコツだ」とおっしゃってますよ。未来の事はわかりませんからもちろん断言は出来ませんが、本件は負ける要素はまったくなく現に圧勝中でしたし追い詰め過ぎて窮鼠猫を噛むような要素があったとも思えません。であれば、この際反撃しようとする気力すら失わせるくらいに徹底的に叩いといた方が後々の為ではないでしょうか。後に続く一般労働者ははっきり言って弱兵ですし…。
>やはりご自分の事を第一に考えていただいて無理だと思うなら辞めるという決断をしていただくのが一番なのかなと思います。
#協定ができたからといって辞める自由がなくなるわけではないですから。
そんな決断が可能ならこんなブラック企業とっくに辞めてますって。
Yosyan
滋賀の件は10年ドロッポ様の意見に近いものがあります。「勝ちすぎるのは良くない」は孫子にもありますが、あれはあくまでも余裕があるときのお話です。勝ちすぎず程度でも、その勝利によりその後も絶対の優勢をキープできる、または勝ちすぎないことにより他のメリットを獲得できるのなら良いとは思います。
しかし滋賀の件は完勝しておくべきであったと考えています。相手は強大であり、たまたま好条件がそろったので滋賀と言う局地戦で優勢に戦えたのです。当方はもともと結束力が弱く、戦力も薄弱です。滋賀の後に続くには、滋賀での象徴的な圧勝が必要と考えています。あそこまで条件がそろい、絶対優勢であったのに勝ち得た勝利が120時間では後に続くもの気力を消失させます。
内情的には120時間には裏があるとの内部情報らしいものを提示してもらってますが、個人的な感想として「策を弄し過ぎた」と考えています。120時間の効果の1年後に策の効果を狙っているようですが、1年後に医師がどうなっているかを考えたのだろうかと言うことです。ごく簡単には現在の熱気が持続しているかどうかです。
相手は強大なのです。その気になればリーダー的医師を異動させることも容易です。リーダーが欠ければすぐに烏合の衆になり、来年の36協定更新は盲判状態になっていてもさほど驚きません。来年はまだ良いかも知れませんが、2年後、3年後には確実にそうなっている可能性は低くないと考えます。
残されたのは年間980時間、月間120時間の残業時間だけになります。私はこの先例だけが独り歩きする事をひたすら危惧しています。現在でも確実にそうなりつつあります。この残業上限だって、残業代の支払いだって、医師側の監視が少しでも緩めばどう運用されるかは医師ならよく知っています。
時間は相手にとって態勢を挽回する機会をひたすら恵んでくれます。一方で医師側は勝ち取ったものをなし崩しに失っていきます。そうならないと考えての策でしょうし、結果は時間が経たないと言い切れないところはありますが、非常に危険な策と私は感じています。
労基法の運用、とくに36協定は非常に弾力的な事はよく勉強させてもらいました。ただし弾力運用するには、最低限、労働者側の同意が必要です。だからこそ「労基法でこうなっている」「通達や告示ではこうなっている」の原則論で愚直に推し進めるべきではなかったかと考えています。愚直な正論の前では運用の弾力性は失われるからです。最後は法の正論が強いはずだからです。
「勝ちすぎない」はあくまでも、相手に余力を残させても次も叩ける余裕があるときに語られる戦略論であり、この一戦にしか戦力がそろわない時には勝つだけ勝たねばなりません。十分な戦力も無いのにスタンドプレーに走って手痛い敗北を喫するのは古来「宋襄の仁」と評されています。
勤務医
滋賀の件は非常に有利だったのに「自ら妥協を示した」医師側の罪は非常に重いですよ。
それが全国に及ぼす影響を考えると身内を売ったに等しい。
頷いていたら法の勧める範囲に落ちたはず。
法に従う。ただそれだけの話。それを崩した滋賀は悪しき先例。
確かに現実の運用に合わせるのはとても良いことではありますが、善意を逆手に取って何十年、その状況で全国の医者がまずはリセットを望んでいます。
こんなの医者を雇えば解決する問題ですから、なぜ妥協する必要があるのでしょうか。
逆に具体案を示して、何人雇えばこれだけの時間で済むって各科で出せば良いじゃないですか。
>>1年後
私は1年後、半年後にまた妥協していると思います。
その繰り返しが既成事実として先何十年も定着してゆくのでしょう。
少なくとも自治労も存続ありきでしょうし。
ばあば
>相手は強大なのです。その気になればリーダー的医師を異動させることも容易です。リーダーが欠ければすぐに烏合の衆になり…
その時には、さっさとご自身の安全のために逃散すればいいのではないですか?
一度はチャンスを与えたのですから、後は大手を振って逃散できます。
そして、痛い思いを行政と住民が感じた時が、他山の石とする他の行政と住民にとっての最後のチャンスでしょう。
なに、そうなるまでに大して時間はかからないのではないかと、愚考します。
一番いい方法は、住民側が行政側を突付いて、勤務医に対する労働基準を厳格にすることなのだと思います。それが一番軋轢を生まない方法でしょう。でも、それには、どこかの地域で、できれば目立つ地域が壊滅的状況に陥ることが必要なのが現状です。
崖から落ちないとわからないのが 日本人のようですから。
勤務医
保険給付が少ない==>医者を雇えない==>過労・非合法・現場崩壊
合法==>医者をそろえる==>保険給付・財政補助・事業縮小
先例は正当・妥当なラインをまず築いて、1年後か半年後に考えたら良かったんですよ。
その一年間にコピーペーストされるわけですから。
moto-tclinic
滋賀の120時間に反対の「なかの人」もいただろうから、そういう人が抗議して10人くらいで揃って病院を辞めればいいんじゃないかな。
なんでもいい、とにかく、今勤めてる病院をいちど皆で辞めてみましょう(笑)。新しい就職先なんか今どき、いくらでもあります。
医者にはストライキは「そぐわない」でしょうからね。辞めるのが一番の労働運動です。
看護師を見習いましょう。
外野席
ここにいる勤務医の人たちは、滋賀や愛育の医師たちに対し具体的に何をどう支援するわけでもないのに、
掛け声だけ「俺たちのために、先例作りに頑張ってくれ」と言うのは、無責任ではないの?
(yosyan先生は開業医だから、経営側のお立場であるとは承知しています)
自分の職場環境を変えたければ、他社の労使交渉を眺めていないで、自分で交渉すべきです。自ら労使交渉に入った経験がなく、36協定すら結んでいない職場の人たちが、他社の労働者の弱腰を批判する資格があるのでしょうか。
自分の職場で協定を成立させない限り、他社の労働者がどんな良い条件を勝ち取っていようと、何の影響もありません。
逆に、他社の条件が悪いからと言って、直ちにそれが自分の職場に波及するわけでもない。
滋賀や愛育の協定が「先例」になるという主張は、どれほど現実的なものか、疑問です。
どこかの病院で、具体的に経営側から労働条件の切り下げを提案されているのでしょうか?
よしんば、そんなことを言うアホな経営者が存在したとして、こちらがその手に乗ってやる必要はさらさらありません。
あれは緊急避難であって、労基法の目指す正常な状態ではないことは、明らか。何が原則で、何が例外であるかを考えれば、「先例」になりようはずがない。
判例の影響力についての議論でも思いましたが、医師の人たちは、どうも法的なリスクの評価が不正確です。あるときは過大であり、またあるときは過小であり。
失礼ですが、生半かな知識に基づいて、実体のない影におびえているとしか思えません。
正しい知識を身につけて、各職場の実情に応じて、主張すべきを主張して、闘ってください。
(闘わずして逃散するという方針の方は、人生の選択は各人の自由だとは思います。が、それならばなおのこと、自分がしなかったことを、他人に対してせよと要求することはできないでしょう)
moto-tclinic
いや、「闘わずして逃散」ではなくて、
「辞めるのが一番効果的な闘争方法である」
とわたしは申し上げておるわけです。わたしは自ら辞表を出してやめてみた結果、非常に良かったので、皆さんに勧められる立場にあります。
「自分で交渉すべきです」って言ったって、交渉するには、自治労とか労組を介さなくてはならないし、そうなると、その過程で、行き先の無いくせに当直もろくにしない老爺医や、病院存続というか自分の給与を守りたい事務職たちとすりあわせをして、今回みたいな妥協になるわけでしょう?
なら、自分の心に妥協なく「闘う」には、辞めるしか無いじゃないですか。
別に感情的になっているわけじゃないですよ。そんな必要も無いですからね。
ただ、医者は職人であって、技術を、専門知識を売るのだから、職場に居座ってゴネるしか能が無い輩とは一線を画してほしい、もっとプライドを持って自由であって欲しい、という願いはありますね。
ばあば
外野席さんのおっしゃることはよく理解できます。
でも、ここで声を上げることも重要だと私は考えます。
なぜなら、ここは注目度の高いブログでもあるからなのです。
ここで議論された内容は、目に見えなくても多方面に拡散されて、影響を有形無形に及ぼしているのです。
それから、判例の影響力についてのお話で、「実態のない影におびえている」とおっしゃいますが、ごくごく普通の人間の心理・感情の流れをお考えください。できれば、我が身・あるいは身近な親族が医師だとして「自分がその立場だったらどう考えるか」「親族としてどう助言するか」考えてみてください。
そうすれば、判例の影響力についての議論の一部は理解できるのではないでしょうか。
産業医
Yosyan様
「過重労働による健康障害防止のための総合対策」は、平成18年3月17日付け基発第0317008号が新たに策定され、さらに平成20年3月7日付け基発第0307006号で一部改正されましたので、平成14年2月12日付け基発第0212001号は現在では廃止されています。
現行の対策の該当部分は以下の通りです。
4 過重労働による健康障害防止のための監督指導等時間外・休日労働時間(休憩時間を除き 1 週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間をいう。以下同じ。)が月45時間を超えているおそれがある事業場に対しては、次のとおり指導する。
(1)産業医、衛生管理者、衛生推進者等の選任及び活動状況並びに衛生委員会等の設置及び活動状況を確認し、必要な指導を行う。
(2)健康診断、健康診断結果についての医師からの意見聴取、健康診断実施後の措置、保健指導等の実施状況について確認し、必要な指導を行う。
(3)労働者の時間外・休日労働時間の状況を確認し、面接指導等(医師による面接指導及び面接指導に準ずる措置をいう。以下同じ。)及びその実施後の措置等(別添の5の(2)のアに掲げる措置をいう。)を実施するよう指導を行う。
(4)(3)の面接指導等が円滑に実施されるよう、手続等の整備(別添の5の(2)のイに掲げる措置をいう。)の状況について確認し、必要な指導を行う。
(5)事業者が(3)の面接指導等(別添5の(2)のアの(ア)の?から?までに掲げる措置に限る。)に係る指導に従わない場合には、労働安全衛生法第66条第4項に基づき、当該面接指導等の対象となる労働者に関する作業環境、労働時間、深夜業の回数及び時間数、過去の健康診断及び面接指導の結果等を踏まえた労働衛生指導医の意見を聴き、臨時の健康診断の実施を指示するとともに、厳正な指導を行う。
(6)事業場が常時50人未満の労働者を使用するものである場合であって、近隣に専門的知識を有する医師がいない等の理由により、事業者自ら医師を選任し、面接指導を実施することが困難なときには、地域産業保健センターの活用が可能であることを教示する。
(7)上記のほか、36協定により定められた延長することができる時間を超えて時間外労働が行われている場合や限度基準に適合していない場合などには、必要な指導を行う。
なお、面接指導の対象者や実施方法などについても変更が加えられているのですが、「月45時間を超えているおそれがある事業場に対して指導する」という本質の部分はなんら変わりありません。
moto-tclinic
「闘わずして逃げる」って表現にこだわってますが、だいたい、
1)医師が労組に入り、労働条件を交渉してくる。
2)医師が辞めてしまう。
の、どっちを、病院は、より嫌がると思いますか?
労組介した交渉が有効なのは、その労働者を首にしても、ほかにいくらでも代わりがいる場合です。なんで、今みたいな医者不足の時代に、医者が労組に加入せないかんの???
「闘う」ってのは、相手が一番嫌がることをする、っていうことですよ。
くどくなったんでここまで。明日早いしお休みなさい。
のじぎくの墓
>辞めるのが一番の労働運動
moto先生に同意。
無給オンコール、超勤30時間でカットに異をとなえても
まともにとりあわなかった国立病院を辞して
現在の職場にうつりました。あいかわらず50-60時間の超勤+当直はありますが
超勤は全額支給になりました。
国立の方も、最近オンコールに待機料を払うようになったように聞いております。
給料未払いに対し裁判を起こせば勝てるのでしょうが、そんな時間があれば
患者さんのために診療したいです。それが私の選択でした。
外野席
moto-tclinic先生は、「労使交渉ガンガレ」とはおっしゃらないので、それはそれで一貫していると思います。
私が納得いかないのは、自分の労働条件を良くするために、他社の人間に交渉をけしかける、いわば他人の褌で相撲を取ろうとする態度です。
他社の労働者の行動をダメだダメだとくさす前に、
逃散するにせよ、正面切って交渉するにせよ、自分が動くべきだろうと。
Med_Law
滋賀の県ではコンプライアンス不足の部分は、刑事訴訟も行われています
http://mediajam.info/topic/845995
刑事訴訟になった案件では、3憶5000万円、名ばかり管理職+αで2憶5000万円
合計6憶円以上のピンはねした賃金の取り戻しに、比較的速やかに成功しています。
勤務医の賃金ピンはねで、ここまでの完全勝利の事例があったら、教えて欲しいです。
おそらくですが、滋賀成人病センターの勤務は緩いので、本当の意味で労働基準法に基づいた医師配置ができる可能性があります。もちろん大赤字でしょうけど(笑)。
労基法法的に人員を配置すれば、どのくらいの診療ができて、どの位の赤字が発生して、医療が継続できるかの試金石になるかと思います。
東京とか、佐賀とか、沖縄などの目に余る違法な勤務状況を無視して、滋賀プランを性急に攻めるのは、頭の悪いマスゴミの報道姿勢となんらの違いもないかと思います。
違法責任は刑事で追っているし、民事で支払われるものは、ほとんど手に入れているのですから、滋賀の事例を、自分たちの労働環境で生かさない手はないかと思うのですけど・・・・
中で頑張った先生たちに、「罪」まで着せるって、あんた達、偉いねぇえという感想です。
気に入らないなら、どうぞ素晴らしい先例を更に作ってくださいな。ご自分で。
勤務医
>>他社の人間に交渉をけしかける
今回の本筋からはずれると思いますが、言いたいことは何となく理解できます。
しかし交渉するには組合が必要であり、今までは個人で戦いつぶされています。
個人で戦うのは辞めるしか選択は有りません。
今回の件で少なくとも労基法をルールに団体・組合で交渉出来たことは重要と思います。
今まで医者には労働組合が認められていないと思っていましたので、滋賀や東京で労働組合がどんな形であれ誕生する事は非常に意味深く、全国的に組み合いが出来ると、「継続的」な交渉ができる可能性が有ります。逆に今まで無かったからこんなに酷くなるまでやられたい放題だったと思いますし、逆に医療崩壊を止める手立てにもなると思います。
36協定・・・団体が必要ですから、組合結成には良い機会でしょう。
moto-tclinic
滋賀の話は、叩いてこそナンボです。
ここで「滋賀は良くやった」と誉めたら、それこそ医者はほんとのアホじゃないですか。
ご苦労なさった当事者の方々には、歴史がねぎらうこととなるでしょう。
「色々手を尽くした結果が滋賀のアレかい。やっとれん、逃散じゃ!」という医者の反応が、滋賀に対する最大のエールかと。
そのへんは解って批判してる先生多いと思うので、滋賀の方々ヨロシク。
元もと保健所長
外野席 2009/04/11 23:32 さん
>私が納得いかないのは、自分の労働条件を良くするために、他社の人間に交渉をけしかける、いわば他人の褌で相撲を取ろうとする態度です。
10年以上にわたり「出先の長」として自ら団体交渉に臨んできた者からみると、あなたは「労働運動」をよくご存じないように思えます。
ではお尋ねします。
戦後の労働運動が「春闘方式」を取っているのはなぜでしょうか。
「統一スト」において、他企業の労組同士がピケ要員を相互派遣するのはなぜでしょうか。
他の団体交渉や労働紛争で労働判例が重視されるのはなぜでしょうか。
多くの勤務医がこれまで労働運動に無関心だったことは認めます。しかし、だからといって、他事業所労働運動への批判資格がないわけではありません。
元もと保健所長
外野席さんへの質問を追加
自治労(地方公務員の労組連合体)が国家公務員の給与を決める人事院に対して直接要求を突きつけるのはなぜでしょうか。
元ライダー
>私が納得いかないのは、自分の労働条件を良くするために、他社の人間に交渉をけしかける
ちょっと違うんじゃないかな、目的が。
医者の労働運動は医療が抱えている大きな矛盾をあぶり出す突破口になると考えているから、他の医者も騒ぐんですね。
「自分の労働条件を良くするため」というのが目的じゃない。
医療改革がラスボスだとすれば、勤務医の労働争議は最初の小ボスとの戦いのようなもの。
だいいち、自分の労働条件をよくするためだったらYosyan先生やmoto先生、それに私などの開業医がワイワイ言うわけ無いじゃないですか。我々は経営側なんですよ(元もと保健所長sさまもある意味そうですね?)。労働者の尻を叩くような発言する訳ないですよ。
にもかかわらず言うのは、見据えているのは労働条件なんかじゃなくて、もっと先だからですね。
元外科医
120時間が一人歩きすると大変ですね。集団退職で崩壊させれば良い事例になるのでしょうがw
卵の名無し
>集団退職で崩壊
いやいやまず個々人が勤務しながら院内精神科を定期受診して過労防止のための診断書をもらっておけば、合法的に過密業務から身の安全を守りながら特別協定の毒を解毒することが出来るでしょう。集団退職などしなくても医師個人レベルの対策で実質骨抜きに追い込めますよ、毒といっても所詮厚労省案ですから効きが悪くて毒にも薬にもならない。いわゆる箸にも棒にもかからぬ役所の政策の特徴ですかねw
卵の奈々氏
↑精神科(不採算系&開業容易)が真っ先に開業→補充なしコンボで閉鎖され院内から消滅してますって…
Bugsy
医師を含めた病院職員の定期健康診断というのはありますが、疲労による体調不良や睡眠不足が度重なって抑うつ状態になったからといって院内に駆け込む先がありませんねえ。
実際に診断書を書いてもらって休みたいなあと感じることも多々あります。
近所のクリニックの先生に書いてもらうしかないでしょう。
あ うちの産業医の先生って誰だっけ?
もしわかったら、院内に多数の医師が体調不良を訴えても書いてもらえますかね。
それとも握りつぶされますかね?過労を訴え出ない自分のような医師もやはり問題ありですねえ。
反省しています。
勤務医
元もと保健所長さま
>>10年以上にわたり「出先の長」として自ら団体交渉に臨んできた者
やはり、そんな感じがしておりました。間違っておりましたら申し訳御座いません。
しかし、その出先の長として、長年苦しんできた医師達の経過をどうお考えかお聞きしたくて。私も相当苦しみました。交渉を臨んできたと有りますが、押さえ込まれ、どちらかといえば搾取側に加わってきたイメージ・恨まれている可能性が強いのですが。行政(本庁)には頭が上がらぬ「レジーム」は過去現在立ちはだかっている感じすし、滋賀なんかより歪んだ場所でもあります。先の書き込みに「復活させてはなりません」と否定的でも有ります。
では今後の「出先」の役割とはなんなのでしょうか。いまだに行政は期待しているようですが。
門外漢
>滋賀の話は、叩いてこそナンボです。
>ここで「滋賀は良くやった」と誉めたら、それこそ医者はほんとのアホじゃないですか。
良い悪いで問題を論議している時点で、アホこの上ないとも思います。
正直言えば、ここでの議論に失望しました。
ほとんどの人が、個人的な感情で滋賀の件を語っているからです。
理系を出ている方々が多いにもかかわらず、感情論の応酬。
まあ、端から見ている分には笑えるから良いんですけど。
門外漢
重要なのは、滋賀の先生方がどのような目標を設定していたかであり
目標を達成する手段として、今回の労働協定妥結はふさわしいものであったかです
全国の医師の先生の都合など、滋賀県は考える必要はないのです
滋賀の先生を批判している方々の多くは
「滋賀の先生が、自分たちのためになることをしてくれなかった」
「滋賀の妥結は、自分たちにとって都合が悪い」
と言う事に他ならず、エゴ丸出しという点や、依存心の高さが笑えるところであります。
卵の名無し
誰も相手にしていない端にいる「門外漢」が勝手に失望したり賞賛したりしたご感想を無意味に臆面もなくここで披露することのほうが余程笑えるけどな。
元外科医
滋賀の事例はあまりに酷すぎて前例にはならないでしょう
うちの事業所でそんな協定出されたら小生は蹴飛ばしますw
Bugsy
>「滋賀の妥結は、自分たちにとって都合が悪い」
と言う事に他ならず、エゴ丸出しという点や、依存心の高さが笑えるところであります
依存心ではなく 今後全国に波及するであろう行政指針や判例の前例になりうる象徴的な出来事なのです。同じ医師です、気にはなりますよ。
正直なところ 同情もしています。
>全国の医師の先生の都合など、滋賀県は考える必要はないのです。
あなたの内容が 少々言葉足らずでしたか? よくわかりません。病院ごとに事情が異なるからと解釈しましょう。
ただ 少なくとも全国の医師が今後滋賀県で勤務したいとは思わないでしょう。少なくとも労働基準法をまっとうに考えていないとすれば、結果はどうなるでしょうね。
>のじぎくの墓様の
>そんな時間があれば患者さんのために診療したいです。それが私の選択でした。
それも同感です。医師たるもの ここぞという瞬間なら夜間の診療も厭いませんが、メリハリもつかずダラダラと夜間救急に呼ばれるのは緊張が続かずつらいものです。
自分が能動的に時間外をやるぶんには平気ですが、他人から そんなの当り前だろうと言われると別なんですよ。すくなくとも医師のそんな気持ちがいいように利用されるだけだったと思います。
そういった医師にドクターストップなり休暇のアドバイスを与えうるのは やはり職場の産業医(出来れば先輩か上司)かなと先ほど思ったまでです。
涅槃の境地に陥ったら自覚症状はないデスマーチで 家族からの訴えであれば私事と一蹴されかねませんからね。
門外漢
>誰も相手にしていない端にいる「門外漢」が勝手に失望したり賞賛したりした
>ご感想を無意味に臆面もなくここで披露することのほうが余程笑えるけどな。
滋賀の医師に対して「勝手に失望したり賞賛したご感想を無意味に臆面もなく
ここで披露している事」が笑えると言う事をご理解頂いたようで何よりです
書き込んだ甲斐がありました
門外漢
>象徴的な出来事
勝手に「象徴的な出来事」にしているだけだと思います。
他の地区の方々はそれぞれの地区できちんと労働協定を締結すれば
済む話ではないでしょうか。
「滋賀がきちんと条件を勝ち取っていれば、俺たちが苦労せずに済んだのに」
と言う思いが見え隠れするのが気になるのですね。
>少なくとも全国の医師が今後滋賀県で勤務したいとは思わないでしょう。
>少なくとも労働基準法をまっとうに考えていないとすれば、結果はどうなるでしょうね
労働協定をまともに結んでいない地区の方が、労働協定をきちんと締結した滋賀より、
「労働基準法をまっとうに考えている」というご意見なのですね。理解しました。
元もと保健所長
勤務医 2009/04/12 19:21 さま
>>10年以上にわたり「出先の長」として自ら団体交渉に臨んできた者
>やはり、そんな感じがしておりました。間違っておりましたら申し訳御座いません。
30台から断続的に出先の長をやってきたため、団体交渉では吊し上げられる側に座り、しばしば怒号を浴びせられてきました。
その経験から言わせていただければ、労働運動は事業所別・企業別・産別のみならず労働者(少なくとも正規雇用の労働者)全体の利益のために戦略的に行われるものだということです。
したがって、今回の滋賀の「労働者の代表者」さんには、医療労働全体への影響をもっと真剣に考えて欲しかったと思っています。
>では、今後の「出先」の役割とはなんなのでしょうか。・・
行政の「出先」機関の役割については熱く語ることができます。
しかし、出先の「行政」機関における「労使」交渉の役割については、一連の公務員叩きでスト(もちろん違法なのですが・・)が打てなくなって以来、形だけになることが多いと聞きます。
でも、現業職場(公立病院は「現業」です」)では、今でもガリガリやっているところもあるらしいですよ。
門外漢
>医療労働全体への影響をもっと真剣に考えて欲しかったと思っています
「医療労働全体への影響を真剣に考えた結果、今回の協定妥結に至った」のであれば、
全く問題ないと言う事になりますね
Bugsy
>門外漢様
よろしいですよ。まずは昨日からのエントリーをもういちどご覧ください。
労働協定を結んで医師当人が承諾されてるのなら誰もとめません。本人の勝手、他人は後ずさり。
滋賀の協定を拝見して オイラなんぞ怖気をふるっただけです。無論そんな内容の協定を今の病院でも結ぶいわれもなければ、断るのもオイラの勝手ではあります。
元外科医さまと同様に蹴飛ばすか 立ち去ります。
>他の地区の方々はそれぞれの地区できちんと労働協定を締結すれば
済む話ではないでしょうか。
はい。「きちんと」した内容の労働協定をかわさない病院に勤務する義務はもうないわけです。この滋賀の病院もきちんとしていると思えばこそ勤務されてるんでしょ?それぞれの地区の事情を踏まえた協定という趣旨は理解できますが、まずは限度があります。
辞める時は「一身上の都合」で簡単です。
>労働協定をまともに結んでいない地区の方が、労働協定をきちんと締結した滋賀より、
「労働基準法をまっとうに考えている」というご意見なのですね。
勿論ありますよ、そういった病院は。なあなあの勤務で絶滅危惧種です。存じ上げています。
だけど しーっ!黙っていましょうね。ウルトラマグネットホスピタルになります。ただ協定といっても内容によりけり。
結ばないほうが まだましだという協定もありますね。
門外漢
>労働協定を結んで医師当人が承諾されてるのなら誰もとめません。
>本人の勝手、他人は後ずさり。
滋賀の協定には問題点、批判点がない事が、共通理解されたと言うことですね
何よりです
勤務医
門外漢さまは医療事情をあまりご存じ無いのと思います。
身近に医者とかいますでしょうか。本当にびっくりしますよ。
>>全国の医師の先生の都合など、滋賀県は考える必要はないのです
さすがに違うと思います。
それは行政が今後各事業所単位で別ルールを適応するかで決まると思いますし、何処の業界も横への波及は必死でありそれを無視した意見かと思います。
また組合など反抗する武器を持っておれば一般社会と比べられるかも知れませんが、情けない事に長年武器を取り上げられて看守にけつの穴を差し出してきた、そして自決しか逃れる方法が無い勤務医の現状を無視しています。
僅かに問が開こうとして、戦陣を切る医者が(その医者に期待するのは情けない限りですが)、シャバではなじめないと問を閉ざして戻ってくるようでは、多くの解放を待つ医者の不満を勝って当然かと。じゃあ、おれに代われ、武器をくれと。
Bugsy
門外漢様
>滋賀の協定には問題点、批判点がない事が、共通理解されたと言うことですね
何よりです。
いえいえ問題点、批判点を論じるのは我々ですが、協定に問題がないわけじゃありません。
共通理解なぞ ありえません。
もういちど コメントをゆっくりご覧ください。
>ここで「滋賀は良くやった」と誉めたら、それこそ医者はほんとのアホじゃないですか。
そこまで 皆さんは読み込んでいますよ。
てくてく
中坊みたいな人いますね・・・。プロ野球の試合で何かのプレーで抗議があったとき、せっかく審判が「ルールブックどおりに公平に判断します。」といっているのに、自ら「あっちの言うとおりでいいです。」とおれてしまった監督がいたとしますね。それを批判するのはファンの自由でしょ、どう考えても。「当事者じゃないものは黙れ。」と中の人や門外漢が言うのはみっともないというか、子供っぽいというか・・・、見苦しいです。
Med_Law
特別条項が使えるのは、年6回までです。
http://www.rengo.or.jp/03-rodo/koyo-ho/36kyutei0402.htm
一回カードを切ると、月の最大許可時間を使い切ったことになります。
特別条項で、月300時間と言っても、月45時間を超えた月が半年続けば、残りは月45時間になります。
詳細は情報公開されるのを待つしかありませんが、半年で爆発する時限爆弾であるのに、時限爆弾であることを労使とも自覚していないとすると、滋賀県の病院管理者は、再び、訴追される危険性が高まります。
既に告訴されて問題となっているのですから、二度目は実刑を喰らっても不思議ではありません。
法律は良く読まないといけません。
滋賀県が最初の生贄になるのかどうかは、滋賀県の懸命の努力に掛かっていると言えるでしょう。
京都の小児科医
>医療現場と労基法の両立は現実的に不可能とする勤務医は多い。ある医師は「我々は労基法を守る前に、医師法または医師の倫理に従って仕事をせざるを得ない」と強調
この部分ですが、これは中日新聞社の記者の想像(推測)でなければ(とくに現実的に不可能とする勤務医は多いとか。。)
労基法と医師法の整合性に対する疑問は法律の専門家にまかせるとしても
私は医師の倫理に労基法を守ることに矛盾はないと思います。
医の倫理については、医師のこころの中の話ではなく医の倫理としてまず、誰にでも
公開されていることが前提になります。
日本の代表的な医の倫理は
医の倫理綱領・医の倫理綱領注釈
平成12年2月2日
http://www.med.or.jp/nichinews/n120320u.html
医学および医療は,病める人の治療はもとより,人びとの健康の維持もしくは増進を図るもので,医師は責任の重大性を認識し,人類愛を基にすべての人に奉仕するものである.
1.医師は生涯学習の精神を保ち,つねに医学の知識と技術の習得に努めるとともに,その進歩・発展に尽くす.
2.医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し,教養を深め,人格を高めるように心掛ける.
3.医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し,やさしい心で接するとともに,医療内容についてよく説明し,信頼を得るように努める.
4.医師は互いに尊敬し,医療関係者と協力して医療に尽くす.
5.医師は医療の公共性を重んじ,医療を通じて社会の発展に尽くすとともに,法規範の遵守および法秩序の形成に努める.
6.医師は医業にあたって営利を目的としない.
このある医師のご発言は、日本医師会の医の倫理綱領の5にそぐわない発言です。
繰り返しますが、労基法を守ることが医の倫理です。
ある医師は医の倫理に反しています。
Med_Law
>「ある医師」の「我々は労基法を守る前に、医師法または医師の倫理に従って仕事をせざるを得ない」と強調
に私も、別の意味で違和感を感じます。
労基法は、使用者を直接的に縛るものであって、労働者を直接的に縛るものはないと言っても過言ではないからです。
「労基法」
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html
を、ザクっと一瞥してわかるように、ほとんどの文章は、「使用者は・・・・・」というものです。
労基法上の強行規定(労使の合意関係なく条文が適用)は、一方的に使用者に対してのものです。
「勤務の労基法遵守」のような主旨は法律が考えているものではなく、医療においては、労基法は病院経営者の責任を問うものです。
この点では、京都の小児科医さんの論点も少しズレてます。
病院長は医師ですから、「我々医師が・・・」という人が多いのですが、使用者たる責任を放棄して、労働者である勤務医に「医師法」と「倫理」で転嫁するのは、詭弁としか言いようがありません。
「ある医師」が勤務医であるなら、使用者であるかのような発言は誇大妄想だし、他の勤務医の基本的人権を放棄させられる権限などあるはずもありません。
医師法という前に、雇用契約が正当でなければ、病院の責務を個人の勤務医が負う義務はありません。
義務がないのに倫理を問われるのもアリエナイことです。
問題は、マスコミが「ある医師」と同じ誤解と妄想で凝り固まっている可能性が高いということです。
特別条項で違法状態から逃れられると考える病院管理者がいるとしたら、それは甘い甘い幻想であることを、そのうち思い知ることになるでしょう。
それが滋賀になるか、京都になるか、東京になるか、沖縄かは???
京都の小児科医
>「勤務の労基法遵守」のような主旨は法律が考えているものではなく、医療においては、労基法は病院経営者の責任を問うものです。
この点では、京都の小児科医さんの論点も少しズレてます。
なるほど、ありがとうございます。 この部分の理解はまだまだです。法律の話をするのは
常に専門家に相談してとの自覚はありますが。。。
京都の小児科医
>医療現場と労基法の両立は現実的に不可能とする勤務医は多い。ある医師は「我々は労基法を守る前に、医師法または医師の倫理に従って仕事をせざるを得ない」と強調
Med_Law様の解説がありましたが。。。。私の問題提起をそのまま出します。
医師の倫理=【職業倫理綱領(平成18年10月)】と私は考えます。
滋賀県立成人病センターの公開されている
【職業倫理綱領(平成18年10月)】
は下記でした。 失礼しました。
http://www.pref.shiga.jp/e/seijin/center/syokugyorinri.html
私たち滋賀県立成人病センターで働く職員は、人の健康を増進するという責務の重大性を認識し、当院基本方針に基づき、職業倫理綱領を定めます。
1) 基本的責務
医療知識・技術の習得に努め、生涯教育を実践します。
品性を高め、保持するように努めます。
2) 患者さんに対する責務
患者さんの人格を尊重し、個々の病状に応じた最善の医療を提供します。
医療内容については十分に説明し、同意を得た上で治療を開始します。
患者さんのプライバシーを尊重し、守秘義務を遵守します。
3) 職員相互間の責務
職員は互いに尊敬し合い、連携して治療につくします。
4) 社会に対する責務
医療を通じて社会の発展につくすとともに、法規範を遵守します。
Bugsy
京都の小児科医様が提示された
滋賀県立成人病センター【職業倫理綱領(平成18年10月)】ですが、Akagama先生のおっしゃってる
「ほめごろし」とは言い得て妙ですね。
綺麗ごとをぶち上げて褒め抜いて ちょっとでも逸脱したらぶっ殺すぞという意味と解釈した次第です。
罰則はないけど 逆らったら社会的に指弾したるぞ、内部で圧力をかけたるぞという気迫がありありと伝わってまいりました。
>4) 社会に対する責務
医療を通じて社会の発展につくすとともに、法規範を遵守します。
ああ 法規範を遵守するつもりだけは あるそうです。びっくりしました。解釈の違いと突っぱねるアンタの面の皮は厚い。
世の中綺麗ごとしか言わん奴ほど避けたほうが良いというのは 真実ですねえ。
声高に綺麗ごとを言いやがる院長がいる病院もですね。昔は俺はこんなに頑張ったというのは ほとんど記憶障害です。昔の事を忘れた人間はなんでも云えます。
しけた中年オヤジでも部下の前では「昔は徹夜で飛び回って じゃんじゃん契約を取ったもんだよ」って居酒屋で説教してませんか?
シーザー曰く「人間は見たい現実しか見ようとしない。」ある人曰く「都合の悪い過去の現実は忘れたほうがよい。」「百回いえば嘘も真実になる。」
いつのまにか真実性を帯びてくるんでしょう。
>「我々は労基法を守る前に、医師法または医師の倫理に従って仕事をせざるを得ない」
変態新聞でこれが活字になったら褒め殺しで 労基法を守ろうとする医師が非難されるんじゃないかと危惧しています。
勤務医
Med-Lowさんの仰るとおり最終的に滋賀の功罪の評価に関しては東京(全国)への波及や半年後の断固たる対応の有無にかかっており、滋賀先例論派や滋賀(個別)尊重派どちらの意見が正しいかはそのうち分かる。
Med-Lowさんは後者でしょうね。
東京で特別80時間(今回80を示したとある)以上を労基が最初に示したら、それは滋賀の先例としての罪・労基が各事業所の労働者を尊重していないことが分かるわけで、杞憂じゃなく憂いは本当であり。
半年後一年後に違反が明らかになったときに、自治労が妥協案を再度示したら、自治労の本音が見えて(結局誰を守っているか)、そのときに労基や医者が雇用主に断固たる対応が出来るのかが重要で、今回が妥協なのか「執行」猶予なのかが分かるって事かと思います。
さて、両方ともよからぬ予想を抱くのですが…。
おそらく中の先生はこうご期待と仰っていましたが。
120時間を満たせぬ医者を切り捨てるか見ものです。
10年ドロッポ
moto-tclinic先生、
>「辞めるのが一番効果的な闘争方法である」
そこを敢えて「踏み止まって職場の労働環境改善の為に戦う」とゆー困難な選択をされたワケですから当然に相応の高邁な理想なり戦略なりがあるものだと思うじゃないですかふつーは。コレでは単に、「辞めるという選択肢は思い浮かばなかった」としか思えずダイナマイトしょんぼりっす。
Med-Low先生、
半年の執行猶予をくれて、労働者側に何のメリットはあるのかが今一判りません。
卵の名無し
>法律は良く読まないといけません。
良くも悪くも読めますね。法律作るほうは次々と木に竹を接いで来ますしw
そんな現状ではこんなところかと↓
産科医絶滅史70巻(サブタイ候補)〜よくよく読めば産労苦協定〜
現サブタイはお生憎さまなことに、産科医絶滅史70巻〜お愛育さま労基法違反ですから〜、ですが。
2009-04-10 先例は作られた
平成十年十二月二十八日付労働省告示第百五十四号「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」より、
第三条
労使当事者は、時間外労働協定において一定期間についての延長時間を定めるに当たっては、当該一定期間についての延長時間は、別表第一の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。ただし、あらかじめ、限度時間以内の時間の一定期間についての延長時間を定め、かつ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情(臨時的なものに限る。)が生じたときに限り、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定める場合は、この限りでない。
別表第一を示します。
期間 | 限度時間 |
一週間 | 十五時間 |
二週間 | 二十七時間 |
四週間 | 四十三時間 |
一箇月 | 四十五時間 |
二箇月 | 八十一時間 |
三箇月 | 百二十時間 |
一年間 | 三百六十時間 |
備考 一定期間が次のいずれかに該当する場合は、限度時間は、当該一定期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に一時間未満の端数があるときは、これを一時間に切り上げる。)とする。
|
この限度時間は
-
限度時間を超えないものとしなければならない
告示は通達より重いものであり、「ならない」の表現は非常に強い表現です。「特別の事情」とは36協定の特別条項に該当し、平成15年10月22日基発第1022003号により通達されています。これは平成十年十二月二十八日付労働省告示第百五十四号「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」の時間外労働の限度時間の抜け道になりうるものですが、それだけに厳しく定められています。趣旨は、
使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)は、時間外労働協定において一日を超える一定期間(以下「一定期間」という。)についての延長することができる時間(以下「一定期間についての延長時間」という。)を定めるに当たっては、限度基準別表第一の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならないとされているところであるが、限度時間以内の時間を一定期間についての延長時間の原則(以下「原則となる延長時間」という。)として定めた上で、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに限り、一定期間として協定されている期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間(以下「特別延長時間」という。)まで労働時間を延長することができる旨を協定すれば(この場合における協定を「特別条項付き協定」という。以下同じ。)、当該一定期間についての延長時間は限度時間を超える時間とすることができることとされているところである。
平成15年10月22日基発第1022003号は平成11年1月29日基発第45号では特別条項が36協定の抜け道として使われている事を踏まえ、
平成14年12月26日の労働政策審議会建議において、「働き過ぎの防止の観点から、この「特別の事情」とは臨時的なものに限ることを明確にすることが必要である。
こういう趣旨で「特別の事情」の定義を厳格にしています。改正の内容は、
- 「特別の事情」は、臨時的なものに限ることとすること。この場合、「臨時的なもの」とは、一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要があるものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものであって、具体的な事由を挙げず、単に「業務の都合上必要なとき」又は「業務上やむを得ないとき」と定める等恒常的な長時間労働を招くおそれがあるもの等については、「臨時的なもの」に該当しないものであること。
- 「特別の事情」は「臨時的なもの」に限ることを徹底する趣旨から、特別条項付き協定には、1日を超え3箇月以内の一定期間について、原則となる延長時間を超え、特別延長時間まで労働時間を延長することができる回数を協定するものと取り扱うこととし、当該回数については、特定の労働者についての特別条項付き協定の適用が1年のうち半分を超えないものとすること。
- 「特別の事情」については、できる限り詳細に協定を行い、届け出るよう指導すること。
- 提出された協定に回数の定めがない場合は、「特別の事情」が「臨時的なもの」であることが協定上明らかである場合を除き、限度基準に適合しないものとして必要な助言及び指導の対象となるものであること。
特別条項が結べる条件は「臨時的なもの」であり、実務上は具体的な理由を指し示して届ける必要があるとされています。さらに適応できるのは1年の半分を超えないことと明記されています。勤務医のの時間外労働は「特別の事情」に該当しないとされる「業務の都合上必要なとき」又は「業務上やむを得ないとき」だと私は考えますが、これを解釈で強引にねじ伏せても半年の縛りは変わりません。
ここは1ヶ月の話にしますが、36協定で結べる時間外労働の上限時間は、
運用上の抜け穴の話は専門的になりますが、法治国家ですから建前上の辻褄は絶対にあわせなければなりません。もう一つ平成14年2月12日付基発第0212001号「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」から引用します。
過重労働による健康障害防止のための窓口指導等
(1) 36協定における時間外労働の限度時間に係る指導の徹底
- 労働基準法第36条に基づく協定(以下「36協定」という。)の届出に際しては、労働基準監督署の窓口において、「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平成10年労働省告示第154号)(以下「限度基準」という。)を超える36協定を事業者が届け出た場合については、限度基準を遵守するよう指導する。
また、36協定において、限度基準第3条ただし書に定める「特別の事情」が生じた場合に限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定めたものについては、過重労働による健康障害を防止する観点から、当該時間をできる限り最小限のものとするよう指導する。- 36協定において、月45時間を超える時間外労働(1週間当たり40時間を超えて行わせる労働をいう。以下同じ。)を行わせることが可能である場合であっても、実際の時間外労働については月45時間以下とするよう指導する。
(2) 労働者の健康管理に係る周知指導
(1)の月45時間を超える時間外労働を行わせることが可能である36協定を受け付ける場合及び裁量労働制に係る届出を受け付ける場合については、リーフレット等を活用して別添の内容を周知指導する。
この通達に明記されているように、
-
「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平成10年労働省告示第154号)(以下「限度基準」という。)を超える36協定を事業者が届け出た場合については、限度基準を遵守するよう指導する。
この基準は「しなければならない」の告示に基づいていますから、通常の感覚では1ヶ月45時間を超える36協定は労基署は受付けないと解釈できます。さらに
過重労働による健康障害防止のための監督指導等
(1) 月45時間を超える時間外労働が行われているおそれがあると考えられる事業場に対しては監督指導、集団指導等を実施する。
(2) 監督指導においては、次のとおり指導する。
- 月45時間を超える時間外労働が認められた場合については、別添の4の(2)のアの措置を講ずるよう指導する。併せて、過重労働による健康障害防止の観点から、時間外労働の削減等について指導を行う。
- 月100時間を超える時間外労働が認められた場合又は2か月間ないし6か月間の1か月平均の時間外労働が80時間を超えると認められた場合については、上記アの指導に加え、別添の4の(2)のイの措置を速やかに講ずるよう指導する。
- 限度基準に適合していない36協定がある場合であって、労働者代表からも事情を聴取した結果、限度基準等に適合していないことに関する労使当事者間の検討が十分尽くされていないと認められたとき等については、協定締結当事者に対しても必要な指導を行う。
(3) 事業者が上記(2)のイによる別添の4の(2)のイの措置に係る指導に従わない場合については、当該措置の対象となる労働者に関する作業環境、労働時間、深夜業の回数及び時間数、過去の健康診断の結果等を提出させ、これらに基づき労働衛生指導医の意見を聴くこととし、その意見に基づき、労働安全衛生法第66条第4項に基づく臨時の健康診断の実施を指示することを含め、厳正な指導を行う。
まず月45時間を超える時間外労働があったときには、
月45時間を超える時間外労働をさせた場合については、事業者は、当該労働をした労働者に関する作業環境、労働時間、深夜業の回数及び時間数、過去の健康診断の結果等に関する情報を、産業医(産業医を選任する義務のない事業場にあっては、地域産業保健センター事業により登録されている医師等の産業医として選任される要件を備えた医師。)(以下「産業医等」という。)に提供し、事業場における健康管理について産業医等による助言指導を受けるものとする。
さらに月100時間を超える時間外労働が認められた場合又は2か月間ないし6か月間の1か月平均の時間外労働が80時間を超えると認められた場合には、
月100時間を超える時間外労働を行わせた場合又は2か月間ないし6月間の1か月平均の時間外労働を80時間を超えて行わせた場合については、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いと判断されることから、事業者は、上記アの措置に加えて、作業環境、労働時間、深夜業の回数及び時間数、過去の健康診断の結果等の当該労働をした労働者に関する情報を産業医等に提供し、当該労働を行った労働者に産業医等の面接による保健指導を受けさせるものとする。また、産業医等が必要と認める場合にあっては産業医等が必要と認める項目について健康診断を受診させ、その結果に基づき、当該産業医等の意見を聴き、必要な事後措置を行うものとする。
労基法関係の時間外勤務の告示・通達は、私が知る限り主なものはおおよそ以上の通りですが、これはどうやら反故となったようです。滋賀県立成人病センター事件は何度か当ブログでも扱ったので経緯は省略しますが、ここでも新たに36協定が結ばれたのですが、4/9付中日新聞より、
勤務医の労働改善に高い壁 時間外勤務の上限“過労死ライン”超
成人病センター(守山市)など県立3病院の医師らの時間外勤務で労働基準法違反があった問題で、県病院事業庁などは先月末までに労使間の協定を結び、大津労働基準監督署に届け出た。協定内容は現場の実態を考慮して、厚生労働省が示す過労死の認定基準を超える時間外勤務を労使ともに認めるしかなかった。人員不足の解消など、勤務医の労働環境の改善が急務となっている。 (林勝)
「(3病院で6割にあたる)過半数の勤務医が労組に加入すること自体が全国的にも画期的なこと。労働の適正化を求める意識が医療現場で高まっている」。病院側との労使間協議に臨んだ県自治労幹部はこう話す。
1日8時間の法定労働時間を超えて勤務させる場合、勤務時間の上限を定める労使協定を結び労基署に届け出なければならない。県立3病院は従来、この労基法の規定を守らず、勤務医らの裁量に頼った運営をしてきた。
この結果、脳神経外科や産婦人科などの診療科目によって違法な長時間勤務が常態化。昨春、内部告発を機に労基署がセンターを立ち入り調査して是正勧告を行った。同庁は自治労など職員団体と協議を開始。3病院の医師の労組加入も相次いで、熱心な議論が続けられた。
しかし、医療現場と労基法の両立は現実的に不可能とする勤務医は多い。ある医師は「我々は労基法を守る前に、医師法または医師の倫理に従って仕事をせざるを得ない」と強調。医療従事者の長時間労働の上に日本の医療が成り立っている現実を指摘する。こうした状況に慢性的な人員不足が拍車を掛け、勤務医の負担は増える一方になっている。
今回の労使間協議では現実を踏まえ、時間外勤務の上限を決め、当直を見直した。病院側は厚労省が定める過労死認定ラインを下回るように、勤務医の時間外勤務を月80時間以内とする案を提示した。しかし「最初から破られることが分かっている協定を結ぶべきでない」とする現場の意見があり、成人病センターでは月120時間を上限とすることで決着。これに沿って労働改善に取り組んでいくとした。
成人病センターの医師は「労基法と診療に対する責任を両立させるため、互いが譲り合った現実的な協定だと思う」と評価する。ただ、協定を継続して守るためには勤務医の負担軽減策が急務だ。病院事業庁は「欠員となっている診療科の医師確保に努め、事務作業などで医師の業務をサポートする方法も考えていく」と話している。
ポイントはただ一つ、
-
成人病センターでは月120時間を上限とすることで決着
記事だけでは特別条項が適用されたかどうかは不明ですが、おそらく特別条項なしの普通の36協定で月120時間の時間外勤務の協定が結ばれたようです。この協定で注目すべき点は、滋賀県立成人病センターが労基署の是正勧告下にある事です。労基署が是正勧告まで出して労働改善を監視している状態で、平成十年十二月二十八日付労働省告示第百五十四号「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」を遥かに踏み破り、平成14年2月12日付基発第0212001号「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」でも重視している月100時間の時間外労働を余裕で超える労使協定を容認しています。
こういう事は先例になるかと考えます。まず病院における医師の36協定は月120時間まではOKになると解釈しても良いと考えます。また医師だけを特別視するわけにも行きませんから、こういう36協定は医師以外の職種にも当然適用されていくと思います。まさに経営側に取って画期的な先例になるかと思われます。
それにしても労基法は伸縮自在の弾力運用がなされるとは聞いていましたが、ここまで伸びるものとは専門家で無い者に取っては新たな驚きです。ゴムどころではない驚異の新素材が現場で次々に弾力運用されるものと改めて感心しました。愛育病院の時に東京都や厚労省の担当者が行なったアドバイスは実に的確であったわけです。時間外労働の限度時間など必要なだけ弾力運用されると言う事です。
もっとも1ヶ月は720時間ぐらいしかありませんから、500時間程度で物理的な限度が訪れますから勤務医の皆様御安心ください。これで愛育も日赤も時間外労働時間の問題は一挙に解消しますし、全国の他の病院でも同じです。いや全国のすべての事業所も同じでしょうから労働者の皆様御安心ください。
もっとも滋賀では医師側が自ら進んで提案し受け入れた経緯があるようで、これも画期的な先例になりそうです。今後に36協定を結ぶ病院で、120時間とか200時間とか300時間の36協定を病院側が提示し、これを医師側が渋ったら「滋賀では医師が自ら受け入れたのに拒否した」としてマスコミにリークし「患者のことを考えない、冷血でワガママな医者たち」のバッシング・キャンペインをいつでも行なう事が出来ます。
滋賀の医師たちは「患者のため」という大義もあってこの協定を自ら提案し結んだと考えていますし、内情的には現実を踏まえた条件闘争としての妥結案であったかもしれません。誠に医師としての「善意」に溢れたもので、一般的には称賛されるかもしれません。一方で先例として残されるのは勤務医には時間外勤務の限度時間の適用は存在しないと言う事実です。青天井まで行かなくても120時間の実績は確実に残りますし、これが労基署の是正勧告下で結ばれた事実も残ります。
滋賀の36協定は間違い無く医師の「善意」で結ばれたものでしょうが、この善意の先例の向う先は、
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どんなに悪い事例とされていることでも、それがはじめられたそもそもの動機は、善意によったものであった。 (ユリウス・カエサル)
地獄への道は善意で舗装されている(イギリス、ドイツの諺。カール・マルクス説もあり)
私はそう感じます。
元もと保健所長
Yosyan先生
>こういう36協定は医師以外の職種にも当然適用されていくと思います。まさに経営側に取って画期的な先例になるかと思われます。
もちろん、病院以外の業種にも拡大します。
この大不況の中で、首切りが怖い「正職員」が経営者に尻尾を振っていく光景が日本のあちこちで見られるようになるでしょう。
そのうち、小林多喜二もびっくりの、日本全国総蟹工船化が起こります。
滋賀の裏切り者どもの行状は、それほどに罪深いものです。
おそらく中の人
>おそらく特別条項なしの普通の36協定で月120時間の時間外勤務の協定が結ばれたようです。
特別協定付きだと思います。
別に36協定は、労働側に結ぶ義務はありませんので、「名ばかり宿直」という時間外労働の中身がおかしければ、蹴り飛ばして構いませんし、蹴り飛ばすべきです。
青天井ではありません。
墨東病院の36協定+特別協定と同じレベルです。
ちなみに、この協定と並行して、当直体制の見直しが行われて、当直前後には、代休を取ることになりました。
報道からは伝わってこないかもしれませんが、格段に労働環境は改善しています。
恐らく、36協定を締結した代表医師の「マシンガン攻撃」が効いているものと思われます(?!)
おそらく中の人
「ど真ん中の人」に確認しました。
特別協定 120時間x6か月
36協定 45時間x6か月
の年間、720時間+270時間=990時間の年間協定です。
つまり、120時間の6か月以内に、45時間に持っていくことをしないと、ミサイル(笑)が飛んでくる可能性が高いということです。
これまでの平均残業時間が、医師についてはおよそ50時間ですので、ノンビリしていると、再びミサイルが炸裂することになるでしょう
ザル法と言われた政治資金規正法ですら、厳格に運用すれば逮捕者が出ます。
滋賀を含め、全国の病院事務が安穏としておれるかどうかは大いに疑問です
ssd666
そうかあ。月に744時間以上の労働はできないのか・・・。
いや、病院全体を限りなく光速度まで近づけて・・・て、それじゃ逆かorz。
元外科医
月に744時間労働ってw 5月はともかく4月には不可能ですけどw
720時間しかありませんよ
また、ここまでコケにされても逃散しない医師ってww
それともコソーリ院内でサボっているのでしょうか
勤務医
特別協定 120時間x6か月
36協定 45時間x6か月
「特別条項を結んでも年間6ヶ月以内しか限度時間を超えることはできない」が本当に守られるかが 要するに問題な訳ですね。
いっぱいいっぱいで持ち越しですか。
まあ、全国の勤務医の先駆でありますからその期待と言いますか、責任を感じて頂きたい。安易な妥協は後で全国の不幸を呼びます。
何れにしても当直が時間外勤務として給料計算されると言うことなのですね。
法務業の末席
滋賀県の三六協定については、未だ詳細な情報を得ていませんが、昨日報道等で知った範囲で少々解説を試みます。
以前も別エントリで解説しましたが、三六協定そのものは時間外労働に対する法律上の絶対的な許可要件ではなく、労基法32条での週40時間&1日8時間の法定労働時間を超えて労働させた場合に、労基法119条の罰則(6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が免除される「免罰規定」に過ぎません。ですので労働大臣告示の時間外労働の上限基準時間は、直ちに労基法13条の『この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする』の対象となる「強行規定」ではない、とするのが労基法の一般的解釈になります。
ただし、この「三六協定=免罰規定」の法律論は、平成10年の改正で労基法36条に現行の2項以下が付加される以前の解釈論であり、改正により大臣告示が法的な裏付けを得たからには「大臣告示の上限時間=強行規定」とする意見も含め、三六協定=免罰規定は誤りだとする解釈論も従前よりあります。しかし現時点の労働基準行政当局(厚労省労基局〜都道府県労働局〜労基署)では「三六協定=免罰規定」であり、大臣告示を超える時間数の協定内容も直ちに無効とは言えない、とする立場です。
なお、法律学者でも労働基準行政当局でも共通していることは、三六協定だけでは個々の労働者に時間外労働を義務付けることは出来ず、個々の労働者に時間外労働義務を発生させるには、個別の労働契約または就業規則或いは労働協約によって、三六協定の内容に従って使用者が時間外労働を命じうる旨が明確に定めれている必要があります。これは平成3年の最高裁判例(日立製作所事件)で示された司法判断で、個別の労時契約という私法上の権利義務と、免罰規定としての協定との整合性を説く部分と言われます。
ただ今回の滋賀県立病院の労働組合(自治労の分会)の場合では、上限時間の枠内の三六協定を結ぶことにより病院の診療体制を縮小せざるを得なくなることを避けて、上限基準を超える時間外労働(100時間程度?)の三六協定締結を組合が自発的に決断したのは事実であるようです。労働契約の私法としての任意合意の原則から見れば、これはこれで滋賀県立病院の勤務医(労働者)の任意自発的な判断であり、軽々しく論評することは差し控えるべきと思います。ただ滋賀県の勤務医でどうしても組合の協定締結に納得できない人が居るならば、それは司法の場(裁判所)での判断を仰ぐしかありません。
先の日立事件での最高裁判例は、平成10年の労基法36条の改正と同年の労働大臣告示の前に示された判例であり、平成10年の改正と大臣告示の上限時間についての確定した判例ではありません。故に、大臣告示の上限時間を超えた時間数での三六協定の有効性を争点とした裁判が新たに提起された場合、先の最高裁判例と異なる司法判断が示される可能性もあります。滋賀県立病院の勤務医でも、東京は墨東病院の勤務医でも、誰かが「上限を超えた三六協定は違法無効!」と裁判を起こす以外に、Yosyan先生が本日のエントリで提起されている「上限時間とは一体何のだ?」という疑問点への明確な回答は得られないと思います。
以上、法律解釈論について少々専門的な解説を試みましたが、この「三六協定=免罰規定」という部分は、労基法を勉強する上でも一番理解しにくい部分です。また平成10年の労基法改正後の明確な司法判断も出されていない、大変ファジーかつグレーな部分であることは事実です。
Yosyan
法務業の末席様を相手に労基法の解釈論争をしても歯が立たないのですが、36協定の特別条項の適用はこんな基準が緩いのに驚かされました。このエントリーを書くに当たって社労士のHPを幾つか読んだのですが、特別条項の適用による時間外労働の極端な例に、
>月100時間、年間800時間の協定を結ぶと・・・・
こういうのが幾つかありました。こういう例に対し法解釈上は締結が不可能ではないが、実務上で安全管理の問題であるとか、年6回の規定の管理の難しさをあげられ、慎重な対応を勧めていました。特別条項の濫用は時間外労働の上限の骨抜きになるだけでなく、過労死問題の再燃につながるからだと考えています。
それでも
>特別条項月120時間、年間990時間
こういうのが実際に公式に認められるのを読むと眩暈がする思いです。特別条項を適用すると適用期間の時間外労働は解釈上青天井も可能とありましたが、労基法の精神からするとそれでも一定の歯止めがあって然るべしだと考えますし、それを判断するのが労基署かと考えています。それでも現実には容認された点にただ驚いています。
これも文句を言っても始まらないのですが、特別条項の「臨時的なもの」に医師のいわゆる当直業務が含まれると解釈できそうです。いや解釈したから労基署が許可した事になります。これもまた驚かされる先例と感じています。
元外科医
いわゆる徹夜当直、36時間労働は非合法にしてもらわないとね
こんなのが合法化されてはたまりませんよ
法務業の末席
>おそらく中の人 2009/04/10 08:55 様
>特別協定 120時間x6か月
>36協定 45時間x6か月
>の年間、720時間+270時間=990時間の年間協定です。
ナルホド、三六協定の基本としては月45時間の上限以。その上で特別協定の枠(1年の半分を超えない期間=6ヵ月)で月120時間ですか。
上手く考えてありますね。
>つまり、120時間の6か月以内に、45時間に持っていくことをしないと、ミサイル(笑)が飛んでくる可能性が高いということです。
この部分の解釈には勘違いがあります。
特別条項での6ヵ月は、原則の三六協定の期間である1年間のいずれであっても構いません。また特別条項の期間が全ての労働者に、同じ時期に適用される必要もありません。あくまでも1年間の協定期間の内で通算6ヵ月以内なのであって、協定開始日から6ヶ月間が特別扱いという意味にはなりません。
ですので、全労働者の半数には三六協定の前半の半年間で特別条項を適用させ、残り半数には後半の半年間を特別条項の適用期間とする方法はOKなんです。また半数ずつ1ヵ月交替で基本の月45時間と特別条項の月120時間を繰り返す方法でもOKです。こうした半数ずつ交互に勤務シフト(時間外休日労働の当番表)を組んで、全員が年間最大の990時間に収まれば三六協定の免罰規定としては適法となります。
卵の名無し
厚労省の打つ手は筋悪の極致で駄目ばかり詰めて目もアテられない、絵に描いたようなへぼ碁打ちぶりですな。まあ思ってたとおりの末期症状だけどこちらの花見劫だから急がずまた〜り打つがよろし。
社保庁解体の次は厚労省解体がそろそろ見えてきたかな。
rijin
疑問点としては、自治体がほんとうにこんなに医者に時間外払う気があるとは思えないのが一つと、時間外もらったからと言って、こんな労働条件で長く働き続けられる若手医師はもうあまりいないだろうというのがひとつ。
過労死、過労自殺が出始めてからでは、使い捨てにされた医者の補充はもうないでしょう。
経営母体を変えることを真剣に考えた方が良さそうに思います。
sasimininja
今まで、時間外手当が青天井に支払われていたか?
それとも、月**時間の縛りでカットされていたか?
いずれかによって、随分と話が違ってくるような気がします。
「時間外**時間まで」という協定は、しばしば「**時間以上の時間外は存在しえない。よって手当は**時間分を上限とする」という使われ方をしますから。
おはつ
結局ガッカリ。
前例前例っか。
「年間990時間のライン」。
しかも何処まで支払うかは別だしなあ。
しかし夜間当直を真剣に時間外で払うなんてあり得るのかな。
>>当直前後には、代休を取ることになりました
も非常に怪しい。今までも事故簿を書けば代休の権利は有った。
・・・。時間外で扱ってさらに代休??なにか裏があるのでは?
都の言った寝ている時間は勤務じゃないって、もしかして救急車を対応している時間だけストップwatchで測るとか・・・。
法務業の末席
>Yosyan 2009/04/10 10:36 様
>特別条項の「臨時的なもの」に医師のいわゆる当直業務が含まれると解釈できそうです。
>いや解釈したから労基署が許可した事になります。
これは、そのように解釈して労基署が三六協定届出を受理しないと、滋賀県の医療体制が崩壊してしまうから、やむを得ず受理したと善意に解釈してあげて下さい。
労働基準行政の現場では「厳格な労基法適用を強制した結果、事業の倒産や閉鎖あるいは人員削減などで、労働者の働く機会が失われては元も子も無い」というジレンマに常にさらされています。労基法は労働条件の改善を図って労働者の福祉向上を目的とする法律であって、労働者福祉の最大の敵は「失業」なんです。常に労働者福祉と労働条件とのバランスに苦慮するのが、労基署なり我々労務士などの職務の特性です。
今回の滋賀県の事件では、労働者福祉と労働条件とのバランス取りと同じように、医療崩壊と労働環境のバランス取りに悩んだ結果の苦渋の三六協定であることを、使用者(滋賀県当局)も、労働者(病院職員や勤務医)も、また指導監督の責に任ずる大津労基署も、三者が均しく肝に銘じるべきでしょう。
今回の協定締結で未来永劫に滋賀県立病院は年間990時間でもOKなんだと思って欲しくない。来年は10時間でも良いから協定の時間を短くできるよう、労使は努力する義務があると思います。毎年少しずつでも時間短縮を積み重ねる継続的努力に期待して、見守っていきたいものです。
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なお、三六協定が届出受理されたからと言っても、労働契約上の安全配慮義務などは免責になりません。
ですので、過重労働に起因する労災事故が発生した場合、月に120時間での時間外労働であれば、使用者の安全配慮義務違反での民事賠償責任を発生する余地があります。
また100時間を超える過重な時間外労働が連続していることを放置した場合は、使用者の労務管理の義務遂行が不十分であるとして、刑事責任(業務上過失致死傷罪)が問われる可能性も無きにしも非ずと思います。
勤務医
結局公平を装った仕組まれた前例作りじゃないの?
だいたい厚生省と労働省はぐるなんだろうし。
マッチポンプで引き出したのが医者の善意って、またその手ですか。
前例に大きな字で但し書きでも書いてないのだろうか。
今後横並びに990時間が厚労省のもくろみなら、現場は何も変わらない可能性あり。
しかし、医者の勤務が120時間-45時間と月ごとに変えられるはずもなく・・・。
まてよ。当直が馬鹿に多い月と少ない月が出来るのだろうか。120時間の月が怖い。
相手は色々専門家に相談が出来るわけで、勤務医も専門の人頼んでいるのかなあ。
>>労働契約上の安全配慮義務などは免責になりません
そんな甘い世界ではないのですが。
勝ち得たら勝ちなんですよ相手は。
そんな良識があればこんな事になっていませんよ。
元ライダー
>当直が馬鹿に多い月と少ない月が出来るのだろうか。120時間の月が怖い。
過労死ラインを超える仕事量でようやく維持している病院ですよ。シフト制を採用したら総労働力は減少しますから業務が回らなくなるんじゃないでしょうか。つまり毎月120時間でなければ業務がこなせない(だから120時間にした)と考えられるのでは。そうすると執行猶予6月ですが。
法務業の末席
医師の皆様からしたら、年間合計で990時間の三六協定は不満でしょう。
でも、この三六協定を締結したということは、滋賀県当局が勤務医の当直など時間外労働の事実を認め、必ず時間外労働割増賃金を支払うことを約束したということでもあります。三六協定&就業規則等で時間外労働を命じておきながら、時間外手当の割増賃金を支払わない場合は労基署は容赦しませんし、検察の起訴判断も非常に厳しくなります。
すなわち次は一発で送検&刑事訴追ですよしっかり協定を守って下さいね、と労基署が一札を取った形です。取り敢えず第1ラウンドではノックアウトは出来なかったが、エイトカウントのダウンを奪って労働者側優勢と考えて良いと思います。
時間数の制限では今一つ甘い結果ですが、時間外手当や賃金の面では大きな前進と理解して下さい。
あと注意すべきは、この990時間を本当に超えないのか、また万一990時間を超えた場合でもチャンと時間外手当をし払うのか、これを監視すべきでしょう。労基法上は時間外労働が協定を超えた時間数となった場合でも、時間外割増賃金の支払義務は免れません。
京都の小児科医
>おそらく中の人 2009/04/10 08:55 様
>特別協定 120時間x6か月
>36協定 45時間x6か月
>の年間、720時間+270時間=990時間の年間協定です。
上記は事実と思いますが、今回のタイトルは先例は作られたですから
こういった情報は公開されるのでしょうか
勤務医
法務業の末席さま
貴方のような熱意の有る労基であることを祈るばかりです。
どんなに悔しい思いをしてきたことか。
いや、今辞めて行く医者も女医達も普通に働くなら継続可能な人が殆どと思います。
私が一番この件でおかしいと思うのは、臨時で過労をお願いする病院が、医者を募集もしていないと言う現実なのです。募集もせず過労前提は無いでしょう。
「欠員となっている診療科の医師確保に努め」早速公募をしないと逮捕ですよ。
墨東も愛育もしかりです。
ssd666
極めて下世話ですが、いったい、どれだけの時間外手当が貰えるんでしょうね>990時間
なんか、前の記事だと、時間外が多いから、給料下げるようなこと言ってたけど>県庁役人
Yosyan
ssd様
こういう時の対応は前に議論がありましたが、経営側は出費を抑えるために本給を下げて調整するのは常套手段だそうです。つまり本当に990時間の時間外手当を支払ったら、990時間分の時間外手当と本給を合わせて、それ以前の給与とほぼ同じにする寸法です。一度に下げるとさすがに紛糾するでしょうから、徐々にになるとは思います。とりあえず前に話題になった調整手当の支給を廃止するんじゃないですか。
引用
詳細な情報を入手しておりませんが、報道通りなら重大で致命的な判断ミスです。スト破りに近い協定ですから。解決の方向性が、労働安全、医療安全と逆方向になっています。
この戦略で、基本給を下げられるようなことにでもなれば、最悪中の最悪の判断と言うことになります。単純に、【サービス残業になるよりも、残業代を正当に出してもらう方がまだましだ。】という労働衛生に疎い勤務医個人に追従した労組の方針でしょう。しかし、この労組の方針は、明らかに間違っています。何故なら、体力のない者までが、この協定に縛られ、月120時間までの残業命令を拒否した際には、業務命令違反になるからです。(理論的には)。
勿論、毎月120時間上限と言うことは、ありえませんが、過労死認定基準というのは、医師が脳血管循環器イベント(疾患のリスク)を考慮して設定した条項で、【厚労省(労働基準局労災補償部補償課)が過労死の労災認定新基準として定めた、『発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること』とした基準】なのです。ですから、労組としての残業時間の上限は、80時間とすることが重要でしょう。 過労死認定基準は法律以上に意味のある医学的に策定された基準です。
卵の名無し
過労死から身を守るにはこまめに精神科を受診して自己チェックしておくのがおすすめかも。
10年ドロッポ
奴隷ドモが踏ん張れば踏ん張るほどオレ様の終わらない夏休みライフは延期されるワケで本来は喜ばしいニュースなワケですが、なんだろーなこのどす黒い気分は。
>労働基準行政の現場では「厳格な労基法適用を強制した結果、事業の倒産や閉鎖あるいは人員削減などで、労働者の働く機会が失われては元も子も無い」というジレンマに常にさらされています。労基法は労働条件の改善を図って労働者の福祉向上を目的とする法律であって、労働者福祉の最大の敵は「失業」なんです。常に労働者福祉と労働条件とのバランスに苦慮するのが、労基署なり我々労務士などの職務の特性です。
理屈は非常によく理解出来るのですが、労働者の働く機会とやらを人質に労働搾取を継続するシステムはいい加減ご破算にするべきです。今回のは絶好の機会でした。医師は、こんな糞事業所が潰れても痛くも痒くもないんですからあくまでも先鞭をつけるべきでした。
元外科医
「医師は、こんな糞事業所が潰れても痛くも痒くもないんですから」
痛いのは政治家ぐらいですか(大笑)
全く同感です。蟹工船事業所の労働者のためにも悪い事業所は潰すべきと考えます。
元ライダー
滋賀県の医師は自治労に加入するしか選択肢は無かったんでしょうか。
自治労と医師、他職種病院職員と医師では、この問題で利益相反すると思われ。
自治労は医師に付くより県側についたほうが自治労組合員多数の利益になるような気がします。
派遣(医師)を組合に入れて派遣の待遇改善を謳ったら、会社(病院)の業務が立ち行かなくなり正社員(コメ・ジム)が割を食う状況のような。そんなときに気合を入れて派遣の面倒を見るかなあ。
元外科医
他業種と違って派遣が居ないと本業が成り立ちませんからね(激笑)
おそらく中の人
法務業の末席さま
>特別条項での6ヵ月は、原則の三六協定の期間である1年間のいずれであっても構いません。
もちろん了解です。
恐らく脳外科等の一部の科は、「早々の6ヵ月間で特別協定枠を超えてしまうことでしょう。」ということです。
時短に関しては、労働側も、使用者側も、よっぽど頑張らないと達成できません。
達成できない科がある場合は、管理者に責任を取ってもらうか、管理者が責任を取るのが嫌なら、その科に対して協定枠に適合するよう、業務の整理、縮小、補助を指導するしか道はないということです。
もちろんサービス残業とか、未払いなんてことが許される訳はありません。
労働ダンピングこそ、仲間への最大の裏切りと言っても過言ではありません。
しっかり働いたら、働いた分を請求すべきだし、ダラダラ残業している者は、泥棒扱いとして病院から駆逐しないといけません。
>次は一発で送検&刑事訴追ですよしっかり協定を守って下さいね、と労基署が一札を取った形です。取り敢えず第1ラウンドではノックアウトは出来なかったが、エイトカウントのダウンを奪って労働者側優勢と考えて良いと思います。
真意はここにあるのでしょう。
元ライダーさん
>自治労と医師、他職種病院職員と医師では、この問題で利益相反すると思われ。
視野が狭すぎます。自治労に医師が入っているのだから、自治労は医師の利益代表であって、背反行為はできません。むしろ加入していなかった時代の方が、医師の権利は侵害されていたといえます。
医師の利益代表なら、他の職種の利益と反するというのも、偏狭な考えです。
医師も他職種も権利を持っていますから、調整は必要ですが、必ずしも背反する訳じゃありません。
人件費を固定して考えているような気がします。発想が貧困です。
自治労という労働組合が、県側という使用者側に付くという発想自体が、労働組合の意味が分かってない証拠ですので、もう少し、お勉強された方が宜しいかと・・・・
医師(派遣)がどうのこうの・・・というのも、例えが間違っています。
医師も正社員、コメディカルも正社員であり、間違った仮定を使った結論は、イミナシ、無価値です。
議論する気にすらなれないほど、低レベルの発想です。
同意している元外科医さんも同レベルです。反省をお願いしたいと思います。
卵の名無し
>ダラダラ残業している者は、泥棒扱いとして病院から駆逐しないといけません。
ごりっぱなことで。駆逐したら代わりはいくらでもいるということなのでしょう。
ssd666
話は変わりますが、誰か滋賀県立病院の産業医を引き受けたいって先生いますかね。
今まではウヤムヤだったけど、今後は責任を問われるでしょう。
http://www.hiroshima-sanpo.jp/zenkokusanpo/pdf2007-3/tsubota-QA.pdf
いままではどうしてたんだろう。
もう、うかうかとは引き受けられませんね・・・。
法務業の末席
>おそらく中の人 2009/04/10 18:26 様
>もちろん了解です。
>恐らく脳外科等の一部の科は、「早々の6ヵ月間で特別協定枠を超えてしまうことでしょう。」ということです。
ナルホド、そっちの心配ですか。月に8回、16時間の夜勤当直すれば、合計で月128時間ですからねぇ。年間の990時間の枠取りも、ヘタすると3ヵ月で食いつぶすかも・・・
>10年ドロッポ 2009/04/10 15:40 様
>元外科医 2009/04/10 16:24 様
>医師は、こんな糞事業所が潰れても痛くも痒くもないんですから
病院で働いているのは医者だけじゃないのですが・・・。
500床オーバーの大規模病院が潰れたら、給食調理や掃除のオバチャン、駐車場や営繕のオッチャン、出入りのクリーニング屋の工場で働く障害者など、みんな仕事を失います。
こうしたガイチューさんと人間じゃないような呼び名の、請負業者に雇用されている人達は、医者はもちろん、ナースやコメディカル、事務などの「職員」と違って転職や再就職が困難な、労働弱者が多いのです。
こうした人達のことも考えて欲しい。安直に「医者は困らないから潰せ」と言われると、失業者の面倒も見なければいけない職業にある者として、哀しい気持ちになります。
元外科医
医師逃散、そういったことで潰れた銚子の病院もありましたね。失業者が大変なのは理解しますが医師の奴隷労働で支えるのは問題が違います。過労死を促進する協定など馬鹿が作ったとしか言えません。はっきり言いますと業務を縮小すべきです(笑)
nyamaju
勝手にまとめさせて貰うと、
医者:働いた分だけ給料が出るようになった。過労状態ではあるが、それは今も一緒。
滋賀県:当面の医療崩壊は阻止できた。が、しばらく巨額の赤字タレ流し。遠からず医療が破綻するが、ブラック企業ぶりが有名になりすぎて打つ手無し。
住民:医療難民化をちょっと先延ばし。将来的には巨額の財政負担。
日本中の労働者を敵に回す悪しき前例を作ったことを除けば、
交渉としては悪くないんじゃないですか?
勤務医
>>法務業の末席さま
要するにここの医者達が言いたいことは、この一例はこの病院の為だけに有るのではなく、全国で繰り返されている1000も10000もの違法病院の先例と言う重要性なのです。
東京も参考にするのでしょう。
「こうした人達のことも考えて」>>すでに医者の犠牲・良心なしでは成り立たない業界です。十分頑張って来ましたよ。身内の戦没をどれだけ見てきたか。その上での事であり、そこをご理解いただきたい。
多分考えて居られるより悲惨な違法が全国でまかり通っている世界なのです。
「良い前例」を作ってもらわねば。
改善すれば失業を食い止める・雇用を創出するとでも言えましょうか。
40時間なら女医もOKでしょう。そんなの雇う病院が有るか知りませんが。
>>おそらく中の人
そう言うことですので、全国の疲弊した勤務医に、これからの学生さんに、今まで散っていった女医や勤務医に、沢山の亡霊が琵琶湖のよしずの傍らからあなた達を見守っております。
是非健闘下さい。
元ライダー
おそらく中の人さま
何故そんなに噛み付いてくるんでしょうか?琴線に触れましたかね?
そういえば何日か前にも労働組合のことわかってないってレスされたなあ(他の人だったかな)。
医師は常識が無いと認識されているらしいから、斜めからの反応でもそうとは捉えられずに不勉強ゆえと思われるんだろうなあ。医師の斜めからの反応に不慣れな方はssd's Diaryで慣れてください。
マジレスすると
滋賀の成人病センターが潰れる影響はおっしゃるとおりですが、ローカルな話。
逆に医師の過重労働を黙認したかのような話は全国的に影響し、全国の勤務医のモチベーションを損なうことでしょう。
労基法に頼れない、労基法で過重労働は解消されないと考えた勤務医達は、もっと破壊的な行動を取らざるを得なくなります、ゆっくりとですが。もしかしたらこの失望は労基法に対する誤解に基づくのかもしれません。でも、今回全国の医師が見ていたのは業務縮小をいとわず過重労働が解決されるか否か。少なくともそうならなかった事実は全国に広まりました。労基法を見る医師の目に影響を与えたのは事実でしょう。
麻酔科医
>沢山の亡霊が琵琶湖のよしずの傍らからあなた達を見守っております。
なんか、近江大津宮(おうみのおおつのみや)みたいですね。
元ライダー
滋賀の成人病センターが潰れる影響を語っていたのは法務業の末席さまでした。失礼。
反省をお願いしたいとまで言われているので追加。
1.医師の過剰勤務を解消
2.赤字拡大(扱える患者が減るので当然)
3.廃院(銚子に先例)または民間譲渡
4.地元職員の失業または待遇悪化
5.しかし医師は難なく転勤(事務もね)
こういう事態は自治労にとって都合悪くないですかね?(とくに4.)
県にとっても都合が悪いでしょうけど。
おそらく中の人
2−5など、勤務医にとっては、どうでも良い話です。
何をご主張したいのか、さっぱり分かりません。何を追加したというのでしょう?
反省が足りないと見えます。謝罪を要求しても良いような気にすらなってます(笑)
意味不明の言い掛かりでは、論点が定まりませんので、反論する気は失せてしまいます。
ひとつ言えることは、自治労も職場を守るためなら、勤務医を特別に守らないといけないということを理解し始めました。もはや勤務医は自治労の大事な大事な構成員であって、「ど真ん中の人」です。
病院を運営する県にも、自治労に対しても、勤務医こそがキャスティングボードを握っていると主張している声が聞こえませんか???
同じ医師である人達が、愚かな主張を繰り返すのは、痛過ぎて見てられません。
だからナメられるのです。
戦いにおいては、強力な敵より、愚かな味方の方が、大きな敗北の原因に繋がります。
もうちょっと、しっかりしてもらいたいです。
みんな、もっと勉強しよう! 自分たちの価値を見直しましょう!
moto-tclinic
病院っていうのは、一度辞めてみると、ほんと落ち着いて世の中が見渡せますよ。
医者になってから、まだ一度も自分の意思で辞めたことのないひと、ぜひお勧めです。
せっかく、医局という縛りが薄くなって、自由な一職人として解放されたのに、なんで切れた鎖のまま、柵の中に居続けるんだろう?
扉の開いた檻の中で、飯がまずいと看守に訴えてるみたいに見えてしかたがない。嫌味や皮肉じゃなく、心から素直にそう見えます。私の目には。
「医者に労基法がそぐわない」と誰かが言ってましたが、同じくらいサラリーマンっていうか、一病院に勤務し続けるっていうのは、医者という職業に「そぐわない」と思いませんか?
一年とかせめて数年、っていう契約勤務の形態にすべきです。プロ野球選手みたいに。医者が自治労加入??何考えてんだか・・ってのは結果論ですが、要は、
自 治 労 は 勤 務 医 の 敵
ということがこれではっきりしたということです。そりゃそうでしょう。
元外科医
>「医者に労基法がそぐわない」と誰かが
たしかそれを言っていたのは医者ではありませんでしたかw
違法を促進する医者、仲間を後から撃つ医者でしょう
医者はパート、派遣労働者や期間労働者も多いです。永年勤続の労働組合員とは話が合わないことも多いのです。(我が社の場合w)
moto-tclinic
>ある医師は「我々は労基法を守る前に、医師法または医師の倫理に従って仕事をせざるを得ない」
>「最初から破られることが分かっている協定を結ぶべきでない」とする現場の意見
ふーん、へーえ。
どんな医者がこんなこと言うんだろう。年取ってて、いまさら他の病院移りたくない、居座り爺さん医師とかかなあ?
すごく嘘臭いですね。
みんなさあ、とくに若い人。あなたたち、たとえば、二年くらい働いて、次の一年は海外でぶらぶらして、また日本に戻ってきて働く、なんてことだって、今の時代なら可能なんだよ。私たちの頃には、医局の縛りがあって、出来難かったけど。
力はつけなきゃね。勉強は怠っちゃいけない。知識技術のupdate。卒後10年もするとめんどくさくなってくるんだけどな、これ。
労使交渉なんてめんどくさいものに巻き込まれないように。せいぜい今回みたいに自治労のダシにされるのが落ちです。そんなことに労力費やすくらいなら、ほんとに「売れる」技術や能力磨いて、より働き甲斐のある病院勤務を目指しましょう。
moto-tclinic
いま、東京に来ています。フォーシーズン椿山荘に2泊。桜がまだ残ってて奇麗だ。
国立病院に勤め続けてたら、こんなホテルとても泊まれやしなかったさ・・。
明日あさっては、JATECのインストラクターデビューです。若い、本当にやる気のある人たちに混ぜてもらうってのは、本当に楽しい。みんな、こういうJATECとか進んで受けに来るような、真面目でまっとうな若い先生たちには、本当に楽しく充実した人生を送ってほしい。用意してあげたい。見本となって胸を張ってあげたい。
過労で燃え尽きたり、家庭崩壊したり、使い捨てのようにボロボロになっていって欲しくない。
患者よりも何よりも、自分を大切にして人生を楽しんで欲しい。(でないと、私みたいに、15年間国立病院勤務したあげくに、鬱で退職したりします・・。)
医療関係じゃないですが
>>おそらく中の人様
あまりにもあまりになので、部外者ですが書かせてもらいます。
>みんな、もっと勉強しよう! 自分たちの価値を見直しましょう!
自分たちの価値を見直すなら、6ヶ月とはいえ時間外勤務が120時間などという安売りをせずに業務縮小をさせるべきだと思います。
>2−5など、勤務医にとっては、どうでも良い話です。
自治労にとってはそうではないため、勤務時間を減らしたいという勤務医の利害と反しますよという話だと思います。
少なくとも私は、120時間も時間外で働くような医者には見てもらいたくありません。
医療事故が怖いですからね。
おそらく中の人
moto-tclinic さん
公立病院への恨みもあるのでしょうが、理性が欠けては議論もできません。
〉自 治 労 は 勤 務 医 の 敵
そんなことはありません。誤解に基づいて一般化するのは、よろしくありません。
但し、勤務医が一人も労働組合に加入しない限り、労働組合にとって勤務医の権利を顧慮する理由は殆どありません。他の組合員の利益が最優先です。当然のことです。
今回、自治労に勤務医が加入しました。勤務医を敵に回す理由が何もありません。
むしろ交渉においての最強の切り札であることを、理解したと思います。
まあ、外から見たら、「勤務時間を減らし、当直を廃止して3交代にしたい」医師と、「勤務時間を他からそやかく言われたくない」医師が居ることは見えないでしょう。
外からの少ない情報で判断することの限界です。
次々と論破されているのに、次々と不思議な疑問符が湧いてきているのに驚きます。
期待の裏返しなのでしょうが、そのうち、期待に応えることが出てくるでしょう。
乞うご期待です
皆さんには、更なるお勉強を期待します。
自分たちの労働環境を洗いなおしてください。きっと良くなるはずです。
Bugsy
>少なくとも私は、120時間も時間外で働くような医者には見てもらいたくありません。
医療事故が怖いですからね。
いや勤務医は皆そうですって。
>ある医師は「我々は労基法を守る前に、医師法または医師の倫理に従って仕事をせざるを得ない」
あの 自分が働かず 手元に奴隷がいると確信しているからこそ綺麗ごとを言うのですって。
滋賀の公務員
みなさま、滋賀県の事例をいろいろ議論していただきありがとうございます。
今回の36協定に関してですが、はっきり言って時間なんて医師はどうでもいいんです。
今までも青天井に時間外は払われてましたし、今回の時間設定に関しても
時間を超えた時間外がちゃんと払われることだけ皆気にしてました。
ではなぜ労働組合に医師が半数以上が入ったのか。
これはもう一つの組合の影響があります。
病院としても過半数を超えた一つの組合とだけ交渉したかった経緯があると思います。
特別協定の時間設定はなぜ120時間なのか。
80時間と当局は最初打診したみたいです。
しかし労働者(医者)側が、80時間ではすぐに違反になるから120時間にしたら?ということで決まったようです。病院を思ってなのでしょうか・・・
いずれにしても今までの時間外も何事もなく以前と同じように支払われますし、
大部分の医師は協定の意味も分かってないようです。
これらの交渉は31日ぎりぎりまで行われたようで、一部のもののコントロールによるものです。
勤務医
情けない。
先例である自覚も無いのか…。
自治労に関しても敵対する必要は無いが、パイを増やしていかなければ、パイを争う競合である事に違いは無く。
医者・病院が倒れられても困るわけで、今回の妥協は当然じゃないかと思う。
今回は病院も医者も救って、でつまるところ多数職員の利益確保が順当なお仕事でもあるわけで。
やはり自前で弁護士を代理に立てるべきだったのでは?
?じゃあ、半年後か一年後に違反があったとして断固たる対応が可能なのでしょうか。
ここは自治労としてもまた妥協を促して職員の待遇維持を探るのが当然じゃないでしょうか。
事業縮小や医者の業務がパラメディカルに転化するとでも言うのだろうか。それを自治労が追うでしょうか。
医者が入ればそれも加入者として組織が守るとありますが、絶対数の桁が違うとき、どちらを守るのが組織として正しい選択なのだろうか。
?全国で990時間が広まってゆくとして感想はどうなのか。
卵の名無し
みないったんクールダウンが必要でしょう。セルフチェックと精神科医によるデプレッションレベルの客観的評価をコーヒータイムを兼ねて聞きにいくとよいかも。これを習慣化すれば過労死レベルの環境から自分を守る術を身につけることも不可能ではないでしょう。気は長く心は丸く腹立てず。
risyu
なんだかんだいっても。
今後医師に残って、あるいは選んでもらえる環境を整えられた病院が生き残っていくのでしょうし、すでにその気配は医局からの強制派遣が減ってから着実に増えてきている(病院が労働環境改善をアピールしはじめている)と感じます。
滋賀は、あしき先例という考え方もあるでしょうけど、うちの病院はこんだけ劣悪な環境で働くんですよ、とアナウンスしてるようなもんでしょう。
他の病院が労働環境改善をアピールしている流れに逆行して、病院自らが終わりの始まりに引き金を引いた、と思えるのは私だけでしょうか。
それとも根っからの奴隷は、足かせの重りが少し軽くなると、喜々として奴隷を続けるのでしょうか。
はるかに良い労働条件で働いている私にとっては、福島・奈良に並んで滋賀県におぞましさを感じるだけです。
10年ドロッポ
法務業の末席様、多くの的を得たコメントが出揃っており、蛇足もいいところですが…、
>病院で働いているのは医者だけじゃないのですが・・・。
500床オーバーの大規模病院が潰れたら、給食調理や掃除のオバチャン、駐車場や営繕のオッチャン、出入りのクリーニング屋の工場で働く障害者など、みんな仕事を失います。
>こうしたガイチューさんと人間じゃないような呼び名の、請負業者に雇用されている人達は、医者はもちろん、ナースやコメディカル、事務などの「職員」と違って転職や再就職が困難な、労働弱者が多いのです。
>こうした人達のことも考えて欲しい。安直に「医者は困らないから潰せ」と言われると、失業者の面倒も見なければいけない職業にある者として、哀しい気持ちになります。
そんな事はそもそも一労働者たる医師の知った事ではないのですがそれはともかく、まず大前提として、個々の医師にとってはこんなブラック事業所はがっぽり未払い残業代かっぱいだ上で眼一杯有給取ってやめてしまうのがベストなわけです。そこをわざわざ留まって労働闘争する以上、相応の意義があってしかるべきと私は思います。その意義とは、ずばり!労働搾取を前提としたシステムの破壊と再構築です。後顧の憂いなく労基法遵守を貫けるほぼ唯一の労働者である医師にならそれが可能でした。もちろんここは潰れるでしょう。他もあちこちが潰れます。しかしその廃墟のあとには必ず労基法遵守の上でも廻る新しいシステムが再構築される筈でした。その絶好の機会を滋賀の裏切り者どものは後々の可能性も含めて潰してしまったのです。奴隷どもが踏ん張る事で当面はこのブラック事業所は維持され、労働弱者達の雇用は確保されるかもしれません。が、永続は不可能です。奴隷ドモが過労死すればそれで終了。やっぱり労働弱者の雇用の場はなくなるわけです。どちらがより多くの労働弱者を最終的に救えたか、言うまでもないでしょう。
おそらく中の人様、
>自分たちの価値を見直しましょう!
その言葉、そっくりそのまま…とりあえずmoto-tclinic先生の珠玉のコメントを熟読する事をお勧めしときます。
>「勤務時間を他からそやかく言われたくない」医師
皆さんもおっしゃってますがそういう資本家の手先のオフェラ豚はメイワクなんですよ。全国の労働者にとって。
uchitama
以前から思っていたのですが、
厚労省、総務省が採算の合わない地方公立病院を潰そうとしている(病院の集約化?)→潰れそうな会社から(有能な?)社員がいなくなる(医師の逃散)
という単純な構図なのです。
医療崩壊の原因が医師不足という言葉に振り回されているだけです。
赤字の会社(病院)は潰す、それを決めるのは社長であり、公定価格である医療の場合は、厚労省が決めるというだけのこと。(赤字の病院は潰すべき、医師は逃げるべきです。)
本末転倒で労基法が捻じ曲げていると言った印象です。
同様のことを医療訴訟の鑑定医などでも感じるのですが、採算を度外視の赤字公立病院の医師が鑑定医になることにも矛盾を感じます。
ばあば
皆さんの議論を拝読して思ったこと。
歴史の大きな流れの中で皆が向いている方向は同じであるけれど、
川岸は緩やかに流れ、川の中心の流れは急流になっている…
河口に向かう過程においては、どの流れも一定の速度であることは ない…
そして、この流れはもはや、方向を変えることが不可能になってきている…
2009-04-09 日医発表「医師確保策 ‐15カ国における産科医調査-」
日医自ら医師「確保」策とするあたりにいきなり違和感を感じますが、定例記者会見には15カ国における産科医確保に関する調査結果についてとして掲載されています。まず背景と目的として、
- わが国の周産期医療を取り巻く環境は極めて厳しく、産科医不足や偏在に対する解決策が急務となっている。さまざまな対応が始められつつあるが、長期的な視点からの検討が必要とされている。
- 産科医の確保の問題が諸外国でも生じているのか、安定的な確保のためにどのような対応を行っているかは必ずしも知られていない。医療保険制度や提供体制、分娩に関わる文化や歴史的背景などの違いはあるものの、産科医の需給の現況や確保のための方策を調べ、日本の実情にふさわしい確保策を検討するための資料とする。
諸外国の事情は私も知りたいところですから、参考にしたいと思います。なお諸外国の事情は私も殆んど知りませんので、あくまでも日医の資料に基づいてのもであることをお断りしておきます。それで「調査の概要」ですが、
調査の概要
【対象】
世界医師会加盟国17カ国に日本医師会(国際課)より配布した。うち14カ国(フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、カナダ、韓国、台湾、シンガポール、タイ、フィンランド、デンマーク、ニュージーランド、イスラエル、アイスランド)から回答を得た。日本を含めた15カ国で集計を実施した。
【調査時期】
2008年1〜8月
この15ヶ国が選ばれた理由はわかりませんが、こういう国々での調査が行われ、データとしては昨年のものである事がわかります。それにしても日医も大がかりな調査をしたもんだと感心していたら、
本調査は平成20年度厚生労働省・子ども家庭総合研究事業「分娩拠点病院の創設と産科2次医療圏の設定による産科医師の集中化モデル事業」の一環として実施した。
厚労省の研究事業の分析のようです。「調査結果」のまとめとして、
- 15ヵ国中11ヵ国が「産科医の不足や偏在がある」と回答し、産科医の不足や偏在は諸外国でも課題となっていた。女性医師の増加、訴訟の増加、若い医師の勤務意識の変化などは共通の現象であった。
- 確保策として、研修医数の管理、地方勤務のための財政支援、産科医の総数管理、外国人医師の採用が用いられていた。外国人医師の活用ができない日本においては、医師確保はより切迫した問題である。
- フランスでは、関連機関の代表者による委員会で地域別の研修医数を検討していた。ただし、研修終了後の地方における医師定着の問題を抱えていた。
- 調査の対象国のなかで、日本は平均勤務時間が74時間(週)と最長であった。
この4点について資料とともにまとめられているのですが、順番に解説資料を見てみます。
■1. 15ヵ国中11ヵ国が「産科医の不足や偏在がある」と回答し、産科医の不足や偏在は諸外国でも課題となっていた。女性医師の増加、訴訟の増加、若い医師の勤務意識の変化などは共通の現象であった。
ここは
- 諸外国でも産科医不足が起こっている
- 産科医が不足する現象の理由は共通である
これの裏付け資料が掲載されています。「産科医の需給」として、
15カ国中11カ国が「現在の産科医数に不足あるいは偏在がある」と回答した。将来に不足や偏在が起きると予測している国も13カ国中10カ国にのぼった。
こうされ、図表として、
てな感じです。アメリカと韓国が将来の見通しについての回答が無かったようですが、現在「足りている」としている4カ国のうちドイツも将来は足りなくだろうとの報告となっています。また「産科医の需給」も、
諸外国においても、女性医師の割合の増加や、訴訟の増加、勤務意識の変化など、産科医の不足・偏在の事情は、日本と似通っている。
主な理由をまとめたものとして、
「自由記述の抜粋」と言うところが気にはなりますが次に進みます。
■2. 確保策として、研修医数の管理、地方勤務のための財政支援、産科医の総数管理、外国人医師の採用が用いられていた。外国人医師の活用ができない日本においては、医師確保はより切迫した問題である。
この諸外国の「確保」策をまとめたものとして、
ここも検討課題としてまとめられた時から妙に目に付くのですが、
- 研修医数の管理
- 産科医の総数管理
足りないところを補充するために「数の管理」を強調しているように見えますが、足りないところに回すには医師の進路として産科以外の道を狭くして、産科医にさせる対策になります。つまり産科への志向が無くとも、産科「しか」できない状況を作るという事になります。この項目の注釈として「各国の産科医確保のための政策・手段」としてまとめられている書き方は、
最も多い対応策は、「研修医の定員数の管理」(7カ国)。「地方部や過疎地での勤務のための補助金などの財政援助」は6カ国、「国内の総産科医数の管理・制限」は5カ国で行われている。
気にはなりますが次に進みます。
■3. フランスでは、関連機関の代表者による委員会で地域別の研修医数を検討していた。ただし、研修終了後の地方における医師定着の問題を抱えていた。
理由はよく分かりませんが、フランスモデルを日医は注目したようです。資料ではアメリカモデルも注目したようですが、検討課題にしているのはフランスモデルと考えて良さそうです。両方のモデルの聞き取り調査の結果が掲載されています。
【フランス】
- 地域に設置されている委員会(保健省と文部省の出先機関、大学医学部長、医師会などがメンバー)からの報告と全国席次試験に基づいて研修医数を地域別診療科別に振り分ける枠を定めている。
- 産科は2007年に150ポストから5ポスト増員。
- 研修後、国は強制的な地理的・専門科の配分や配置を行うことはできない。現在、研修後の定着のための方策を検討している。
【アメリカ】
- 民間ベースで全国組織の研修医評価委員会(RRC:Residency Review Committee)が卒後研修プログラムに参加する研修医数を決定。産婦人科医領域の研修プログラム数は全国に245あり、定員は総数1,150名。
- RRCと各病院の受け入れ可能度によって研修医数が決定されるが、最終的な勤務地の選択は個人の自由であるため、訴訟の多い州や過疎地での産科医の不足が課題となっている。
フランスモデルは研修医の振り分け地域、診療科別研修医数を決定して、研修医の入口で「数の管理」を行なう政策のようです。
■4. 調査の対象国のなかで、日本は平均勤務時間が74時間(週)と最長であった
まとめた表ですが、
日本の74時間の次がアメリカの65時間、ドイツとシンガポールの60時間になります。日本での週の法定労働時間は40時間ですから、1週間で34時間の時間外労働が必要になり、月にすると140〜150時間の時間外労働を行なっている事になります。またこの74時間ですが、帳簿の上では「寝ている」になっている労基法41条3項の当直時間が含まれているかどうかは不明です。
こういう検討を行なった末に「検討課題」として、
- フランスと同様、日本においても、地域の医師数を検討する委員会の強化によって研修医の地方部への誘導を促進できるであろう。そのうえで、研修後の勤務地定着を図るため、人数枠、地方部の勤務環境の整備、医師のキャリア上の優遇措置など多面的な対応が今後の検討課題のひとつである。
- 調査からは産科医の勤務環境がよいと回答した国では、学生間で産科の人気が高い傾向がみられた。日本の医師の体制や医療スタッフの体制の再検討による勤務環境の改善が問題解決のポイントと思われる。
研修病院の定員数を減らして強制的に地方に前期研修医を勤務させる政策が行われるのは、今年からでしたっけ。日医は以前からこれに大乗り気でしたが、絶賛に近い評価をしているように思います。とくに医学生や研修医にはあまり評判が良くなかったとは思うのですが、昨日触れた「医師の団結云々」では、学生や研修医にも日医への理解を深める施策が書いてありましたから、なかなかのものです。
フランスで問題になっているとされる研修終了後の、地域定着については、お題目のように産科医の勤務環境の改善をあげていますが、これも恒例の通り「どうするか」は一切触れていません。穿って考えれば総合医育成の前期研修で地域割りを強制した後、後期研修も制度化してフランス式の診療科の強制の導入を唱えているようにも見えます。
それと地域医療の充実手法として、地域医療を整備充実することによって魅力を高め医師を呼び集める方法と、たとえ研修医であってもとにかく頭数をそろえる事を最優先させる手法がありますが、どうも日医は強制的でも頭数をそろえる事を主張しているように私は読めます。どう読んでも強制配置策は具体的ですし、整備充実策は空想的にしか読めないからです。
それと補足資料で興味深いものを2つばかり、まず「産科医の現状」として、
産科医のうち女性医師が占める割合が3割未満の国は日本、韓国、台湾の3ヵ国で、欧米諸国では女性医師の割合が高い傾向がみられた。フィンランドでは女性産科医数が男性産科医数を上回っていた。
これをまとめたグラフが、
これは女性医師の問題を指摘したものと思われますが、これについて何を語ろうとしていたのでしょうか。もう一つ、「産科医の現状」として、
男性産科医の平均年齢が50代前半、女性産科医の平均年齢が40代半ばの国が多い。対象国のなかでは日本の産科医の年齢は特に高齢であるという結果ではなかった。
これについてのグラフが、
こちらはより意味深長な指摘です。
最後にこの報告の末尾にあったものです。
本調査は平成20年度厚生労働省・子ども家庭総合研究事業「分娩拠点病院の創設と産科2次医療圏の設定による産科医師の集中化モデル事業」(主任研究者岡村州博東北大学教授)の分担研究「産科医を恒常的に確保するための各国の施策についての調査」(日本医師会(木下勝之常任理事)・日医総研)に基づき、日医総研ワーキングペーパーNo.185「医師確保策−15ヵ国における産科医調査」にまとめたものである。
この分担研究「産科医を恒常的に確保するための各国の施策についての調査」の担当は、木下勝之常任理事であった事が確認できます。
テキサン
他国の事情を参考にするのは常套手段でしょう。
問題はそれを解決する主体がどこか、ということだと思います。
フランスは歴代の厚生大臣が医師です(医師の90%以上が公務員)。ドイツの医師会はほぼ医師全員が加入し、世間は行政よりも信頼するプロ集団と認めています。
現在の産科医の「絶対数不足」と「地域偏在」問題を今まで放置してきた責任は我々医療界にもおおいにあるわけで、その解決は医療界自体が行うべきだと思います。(日本の医師はすぐにお上や行政の責任にしますね)。
残念ながら、過去の医療界(医学部、医師会、学会など)がプロ集団としてまともな自己補正機能をもっていたとは思えません。それによって今のような行政が介入するという事態になった面もあると思います。
そういう観点からは、遅ればせながらも日本医師会が提言を始めていることは評価できるでしょう。
これに呼応して他の医療界も「痛みを伴うであろう」自浄作用機能を発揮すべきです。
卵の名無し
>これに呼応して他の医療界も「痛みを伴うであろう」自浄作用機能を発揮すべきです。
小泉改革のガセ「三方一両損」キャッチ政治をもろに思い出した。官僚だけが無傷の嘘っぱちだったヤツね。
なっく
痛みですか。もうすでに瀕死の状態なのですがw
まあ、医療界が一枚板になって行動してこなかったツケといえばそうですが。
テキサンさまは具体的にどういう痛みを味わえと?
なっく
あ、偉いさんが権力を失うという痛みなら問題なしですが
テキサン
卵の名無し樣、
おっしゃっている意味がよく理解できず、申し訳ありません。小泉がかつて「痛みを伴う・・」という発言をした事でしょうか?昔からよくある言い回しだ、と小生も思いました。 それはともかく、
小生の言いたい事は、例えば「僻地へ医師を配置するのも、我々医療界が自ら制度を作って実践すべきだ」ということです。 官僚は関係ありません。
そのためのインセンティブおよび逆インセンティブも医療界で設定する、
そうすると、既得権などを失う医師もいるだろうが、それも医療界内部で解決補填すべきだ、
決して厚労省の役人に指図されないという気概を持つべき、
ということです。
決して書生気質で言ってるのではありません。他国のプロフェッショナル集団を見習うべきだ、と思います。
タカ派の麻酔科医
テキサン様のおっしゃることは、医師の自律という意味なのでしょうし、配置まで官僚に指図されるのはいかんということなのですね。
しかし、医療費の抑制によって僻地医療が成立しえない状況では、地域的偏在を医師の自律のみで解決することは困難でしょう。科の偏在についても、成績による振り分けなどは、けっしてするべきではないと思いますが、学生実習の際などや、在学中の試験の成績などから、本人の適性を勘案して、キミは何科に向いていると思うが、やってみてはどうかという提案はするべきでしょう。そして、最終的には、希望に合わせるべきです。つらくても、自分の選んだことであれば、責任は自分にあるのです。それを、他人様の思惑や都合で、つらい状況に追い込まれたら、最後まで責任感を維持することを期待されても困ると思います。
痛みを背負うというのなら、誰がこれまで楽をしてきたのか、甘い汁を吸ってきたのかを、まずはっきりさせてからでないと、すべて、若い世代にしわ寄せするだけになります。
京都の小児科医
恐縮ですが、木下勝之常任理事ということで色々と妄想してしまいました。
さて基本的な疑問なのですが、この日医の定例記者会見とはどんなものなのでしょうか
たとえば、石原都知事の記者会見のように
http://www.metro.tokyo.jp/GOVERNOR/KAIKEN/kako21.htm
録画映像とテキストが公開されているのならわかるのですが
日医では何か一方的にものをしゃべっているだけのように感じるのですが
日医HP上では資料公開だけですし。。。(見落としがあったらすいません)
日医記者クラブ?でもいいですから記者会見ですから記者の質問を含んだ
録画映像とテキストが公開されるべきでは。。。
正直いって、日医の定例記者会見って何かよくわかりません。
卵の名無し
テキサン様
>他国のプロフェッショナル集団を見習うべきだ
との意図でおっしゃっておられたことは最初から理解しております。ただ今の厚労省はとても政策のプロフェッショナルとは呼べずまた日本医師会も武見時代と違って医師のプロフェッショナリズムを自ら貶めてばかりいる現状で
>日本医師会が提言を始めていることは評価できる
とおっしゃれば私が書いたような反発が生じることは当然予想されてしかるべきと思いご注意喚起のため書き込みました。
プロフェッショナルに徹するべきであるというご主旨にはまったく異存ありません。三方(ここでは厚労省、日本医師会、医療現場医師)ともにプロとして万機公論に決すべし、と。
Yosyan
京都の小児科医様
>木下勝之常任理事ということで色々と妄想してしまいました
私も同じで、いろんな意図が含まれているのではないかと妄想しています。もちろん木下理事個人もそうですし、日医執行部の考え方と言うか思惑も含まれてのもののように感じています。高名な方ですからね。
元ライダー
我県医師会幹部のお話から見えてくる日医の基本戦略は以下
1.何か新しい制度ができそうになったら日医が制度設計当初から積極的に参画しなければ官僚の良いように制度設計されてしまう
2.最後まで制度に反対したら制度設計にも加われないし、新制度運用でも蚊帳の外の置かれる。
3.医師がコントロールできない医療にかかわる制度が作られたら最悪。そうなるよりは最善の制度でないものでも全面反対しないで可能な限り関与するほうがbetter
4.新制度誕生の流れになったら、積極的に協力し、運用時にできるだけ主導権を握る。
日医は既にテキサンさまのおっしゃる路線です。研修医に関して言えば「強制は位置が避けられないなら官僚に配置させるよりも自らが関与したほうが医師のとっても良いだろう」という路線。過去にも介護保険の制度設計、健康保険査定委員の審査姿勢、事故調、研修医制度etc.を思い浮かべれば、上記の姿勢で一貫してるんじゃないでしょうか。こーゆー戦略を採用する限り、政府との全面対決は無いでしょうなあ。常に条件闘争ですね。
で、ズルズルと・・・
自律って言葉の響きは美しいですが、その前に特定の問題解決が真に自分の為すべきことなのかを十二分に吟味しないと、負わなくてもよい義務や責任を背負い込まされます。自律はプロ集団に無理難題を押し付け、できなかった結果として権利を剥奪する為政者にとって都合のよいツールでもあります。特に外部が自律を言い始めたら細心の注意を。
京都の小児科医
元ライダー様
他の事例も思い浮かびましたが非常に色々と考えさせられるご発言で、まさにいわれるとうりと思い状況納得しました。
私は、さらに中曽根元総理が風見鶏と呼ばれた事例が浮かびました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1213559687
日医が日本の医遼風土で、権威(力)・影響力をもつのは確かにこの方法しかないかも知れませんね。
ただ、日医の最終目標がよくわかりません。中曽根元総理は総理大臣になって権力をもつということでわかりやすいのですが。。。
日医に最終目標がなく、組織としてただ生き延びるためのみの戦略なら日医は長い目でみてジリ貧のように感じるのですが。。。
京都の小児科医
>日医に最終目標がなく、組織としてただ生き延びるためのみの戦略なら日医は長い目でみてジリ貧のように感じるのですが。。。
上記、自分の発言ですが、武見太郎の時代ならともかくこの時代にただ生き延びるということだけでもたいへんなことであるとも思いました。
nyamaju
>テキサン氏
>プロ
全く同感ですね。
できる事、出来ない事、責任の範囲やら報酬やら
全てを曖昧にしてきたから今の救いようのない状況があるわけで、
日本の医師に絶対に必要でなりながら欠落した重要な要素ですね。
滋賀は微妙な状況で小休止のようです。
ttp://www.chunichi.co.jp/article/shiga/20090409/CK2009040902000011.html?ref=rank
Bugsy
諸外国といってもオイラが見聞したのはアメリカ、カナダのみです。
ただ産科医の数の比較も必要ではありますが、大切なポイントが抜け落ちています。
診療科を通じて共通するのは、コメディカルスタッフの数がひと桁違うということです。
医師が診察せずにプラクティショナルナースが対応したり、分娩室にはクラークが搬送、もちろん夜間の採血もしかり、果てはカルテの記入はボイスレコーダーに録音して、秘書がタイプを打って医師はサインするだけ。
一見医師が少人数なのに よくやっていけるなあと思いきや、相対的コメディカルスタッフが多いからそう見えたのでしょう。
日本の場合は、皆様ご存じのように、若手医師が血糖の日内変化を見るために夜中に採血したり、オペ室に患者を搬送、時間内に処方箋やらオーダー書きに奔走しています。朝一番にレントゲンに患者を連れて行かされたことも少なくありません。
結局これはナースが悪いんじゃなくて医療を支えるスタッフが日本じゃ極端に少ないせいだと思います。
結局 同じ数の産婦人科医が配置できたとしても医師の負担は格段に重く、専門医を取得しても医業収入が上がりもしないのです。本来の医師のなすべき仕事に専念できない構造的な欠陥だと思います。
元外科医
「医療を支えるスタッフが日本じゃ極端に少ない」
これは医療費が極端に少ないせいだからです。国の特別会計から闇社会に流れているカネをゼロにして、今の倍の国庫負担を医療費に入れれば医療問題の6−7割はたちどころに解決しますw
暇人28号
>「医療を支えるスタッフが日本じゃ極端に少ない」
色々な医療訴訟の判決を見ても、「コストとマンパワーを増やせば大体解決する問題じゃないの?」というものが数多くあります。
医療被害を訴えるプロ市民の皆さまはなぜこのことを声高に言わないのでしょうか?
「日本の医師のレベルが低い」ばっかり言わないで、正確な道筋をつけましょうよ。
おはつ
管理管理って管理を擁護する為に作られたみたいだし、結論として「産科医師の集中化モデル事業」の為の管理擁護でしょうかねえ。日医様も拠点病院が引き取ってくれなければお産も出来ないわけですし。
少なくとも私の見たアメリカじゃ、全国で羊追いの様に僻地に追い込むたぐいの管理は無いですよ。そんな事したら羊になる人も居なくなります。厚労省の言うインセンティブを働かせる形でした長続きしません。
とある巨大病院で産婦人科急募のホームページを見ました。条件悪くて笑いました。
それが前任辞めた所の条件なの?普通前任辞めたら改善策を立てて募集する。まあ、改善無いから辞めるわけで。地域の開業医さんの悲鳴が見えます。
おはつ
Table 1. Total compensation of Physicians by Specialty; 2002
Anesthesiology $306,964
Surgery, general $255,438
Obstetrics/Gynecology $233,061
Internal medicine $155,530
Pediatrics/Adolescent medicine $152,690
Psychiatry $163,144
Family Practice $150,267
アメリカは数と言い給料と言い、コメディカルと言い、違法勤務もほぼ無いし、それでも訴訟額の高騰で人気なしです。
管理を同じレベルで口にするのが恥ずかしい。
また日本みたいに卒後延々非常勤(見えないチープサラリー)っておかしなシステムも有りません。3時で帰る事を想定しているのでしょうかねえ。
やはり一日8時間(常勤雇用)は働いてもらわないと。
tadano-ry
どんな質問をしたのかも分からない、誰が回答したのかも分からない、
どんなデータ処理をしたのかも分からない。自由記述も全部載せない。
こんなものを公表しても意味がありません。
とりあえず一次資料を探しますとありました。
http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=397
取りあえず産科医不足の原因を列挙しますと
フランス
・医師が民間部門でなく、公的病院での勤務を好む
・産科医を希望する医師が少ない
・産科医の高齢化:若い医師による交代がない
ドイツ
・将来(予想される不足・偏在)については東西ドイツ分離の歴史的・地理的事情が影響している
イギリス
・中央政府の予算制限で、産科医を専門医とする認定を柔軟に行うことができない状態である。
アメリカ
・訴訟の増加によって、小規模病院では分娩を中止するところがある。また、VBACのような医療行為に制限を設けるところもある。
・早期退職をしたり、リスクが低い手術や出産のみ診療を行う医師が多いことも、医師不足の要因の1つである。
・政府による制限はないが、産婦人科学会の承認機関がガイドラインを設けて、研修医を容易に増やすことや、将来的な不足の防止につなげている。
・産婦人科の研修医の75%は女性であるが、女性医師は男性と比べて労働時間が短い・産科をやらない・退職が早いなどの傾向がある。また男性医師同様、ライフスタイルへの関心が高く、長時間労働を好まない。
・政府による勤務時間制限は行われていないが議論は行われている。
カナダ
・広大な国土に3,800万人の人口が点在し、産婦人科医は約1,300人しかいないこと(需要と供給のミスマッチ)。
・より多くの女性医師が卒業して いる。
・若い世代の医師の労働時間が上の世代の医師より減少している。また オンコールを行う医師が減少している。
ニュージーランド
・原因のひとつは医学部の定員規制による。毎年2つのメディカルスクールの卒業生数は約315人である。
韓国
・産婦人科医は総数では過剰であるが、分娩を扱う産科医は、低報酬、高い訴訟リスク、スタッフ確保が困難であるため減少している。
・分娩を扱う産婦人科医は4分の1に過ぎず、将来的には出産に関わる産科医数は不足するであろう。
台湾
・年間の分娩数が減少している。
・国民健康保険からの出産に関わる支払いが低く、産科医の労力と釣り合っていない。
タイ
・医師の配置が偏在しており、それに対する法的処置がなされていないこと。そのため地方部などでは産科医の不足が生じているところもある。
イスラエル
・予算不足による産科医ポストの不足
フィンランド
・フィンランドには純粋な意味での産科医はいない。現在産婦人科医不足は起きていないが、いくつかの地域では確保が困難になっている。これは、小規模病院で医師の雇用が困難であることに起因している。これらの病院ではオンコールの負荷が増大し問題を深刻化させている。
・多くの若手産婦人科医は開業志向が強く、出産の取扱いや病院勤務を行わなくなった。
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以上でも明確だと思いますが、医学部の定員、予算不足、保険報酬の少なさといった政策の不作為に関わる理由はことごとくカットされています。あと病院の方針といった理由もカットされ、全体として医師個人の志向を強調するような抜粋になっています。とにかくこんな要約は意味がありません。
元外科医
やはり金で片が付くことは多いですねw
マスコミはスルーですが
規制
日本に於ける管理って強制的なイメージがあります。
ルールも法もなし崩し。
このままじゃ「産科やりますかそれとも医者辞めますか」状態になりかねない。
一種の兵役ですね。
看護師に薬剤師・理学療法士もどんどん勤務地を規制すると良い。
医者自身でこんな状況を自立で改善なんて言う意見もあるようですが、所詮医者は意志のない金です。
中央銀行(厚労省)が政策金利を決め、地銀(大学)が地域の企業に貸し付けていた。
地銀の隆盛をねたみ、造幣禁止。事実上貸し付け困難。
地域の企業が貸しはがしで困っているさなか。
さあ、「お金さんよ苦しむ地域企業に循環して」なんて無理です。
金は信頼の無い所・無利子では動きません。低金利でも信頼の有る場所なら動きます。
無理矢理信頼の無い所に無担保で貸し付けたらどうなるか、東京都は既に経験があるはずです。
金を増発したって、金が循環なんて甘い。経済基盤の方が問題。
社会主義の破綻ってこんな感じじゃないでしょうか。
これを突き進めば何処かの国の様に闇市が形成されるだけです。
銀行で言えば消費者金融みたいな需要が出来ます。
存在には理由が有ります。
暇人28号
先日三宅久之氏が
「首相は国の安全保障をしっかりしてもらいたい。あとの国内問題はほとんどがお金で解決するこのだが、安全保障はそうはいかないから」
とおっしゃっていました。
内政問題は結局はお金なんですね。
元もと保健所長
敵サンさん
>・・それも医療界内部で解決補填すべきだ、
大学医局などの「医療界内部」でやってきたことが崩壊したのが今の現実です。
奴隷上がりに奴隷商人をやらせるアンシャンレジームを復活させてはなりません。
2009-04-08 公立病院再生のためのファンド
ファンドとは辞書では、
- 資本。基金。
- 「投資信託」に同じ。
- 「投資ファンド」に同じ。
日本語の意味はやや多様ですが、単純に金貸しの元手みたいなものと理解します。ここでステトスコープ・チェロ・電鍵様の医療を食い物にする官僚に引用されている記事を引用します。
公立病院の再生へ「基金」を設立 舛添厚労相、追加経済対策で
09/04/06
記事:Japan Medicine
提供:じほう舛添要一厚生労働相は2日の参院厚生労働委員会で、政府・与党が検討している追加経済対策に地域医療の再生に向けた考えを示した。石井準一氏(自民)の質問に答えた。
石井氏は「公立病院の崩壊や民間譲渡をめぐり、全国各地で市長と住民の間で政治問題に発展する例が相次いでいる」と報告。このような事態が生じる背景として「医師不足による患者減、収入減に陥った病院に、自治体がリストラの矛先を向けざるを得ない状況がある」と説明した。
これに対し舛添厚労相は「(追加経済対策で)大きなファンドを組むための折衝をやりたい」と述べた上で、公立病院の存続に向けて「総務省とも連携を取らなければいけない」とした。
自民党の日本経済再生戦略会議(会長=町村信孝前官房長官)は3月30日、追加経済対策の基礎となる「日本経済再生への戦略プログラム」(中間報告)をまとめ、地域医療の再生に向けた「基金」の設置を盛り込んだ。基金の活用によって施設整備や医師派遣システムを強化するなど、医師不足対策を支援する方針を示している。
公明党も「新・経済対策案」の中間報告で、救急医療体制の整備などを推進する「地域医療再生基金」(仮称)の設置を提言している。
また舛添厚労相は、南野知恵子氏(自民)の質問に対し「すでにわが省の担当部局に具体的な施策の取りまとめを指示している」と述べ、2009年度補正予算案の編成に向け省内で具体案を練っているとした。
厚労関係予算について舛添厚労相は「国民の生活、命を守りそれを基礎にして日本経済を復活させる大変、大事な政策。とにかく皆さんがよくそこまで(財務省から)取ってきたと言ってくださるよう努力する」と述べた。
与党議員からの質問なので基本的に出来レースなのが前提です。まず質問です。
石井氏は「公立病院の崩壊や民間譲渡をめぐり、全国各地で市長と住民の間で政治問題に発展する例が相次いでいる」と報告。このような事態が生じる背景として「医師不足による患者減、収入減に陥った病院に、自治体がリストラの矛先を向けざるを得ない状況がある」と説明した。
地方公立病院の存廃問題を質問したと考えます。具体的にはリコール騒動でもめている銚子市民病院でも念頭においているとしてよいかと思います。地方公立病院の存廃問題は、地方政治の重要課題になりやすい性質があり、市町村レベルなら首長リコールまで発展する可燃性の高い政治テーマになります。県立病院でも知事が議会で土下座しているところもありました。
与党としては、住民すなわち有権者とくに投票率の高い高齢者の不満が地方自治体の首長レベルに向かっている内は無問題なんでしょうが、これが医療の元締めである国に向うのを一番怖れていると考えます。地方公立病院を危機に陥らせたのは国の政策であり、それを推進しているのは与党だという流れです。総選挙は確実に年内にありますからね。そういう地方公立病院の存廃問題に対し厚労省はどう対応しているかの質問と考えれば良いかと思います。
もちろん出来レースの質問ですから、厚労相も具体的な返答を行ないます。
舛添厚労相は「(追加経済対策で)大きなファンドを組むための折衝をやりたい」と述べた上で、公立病院の存続に向けて「総務省とも連携を取らなければいけない」とした。
ポイントは2つで、
- ファンドを作る
- 総務省の公立病院なんたらガイドラインとの整合性を折衝する
総務省とは「折衝」としていますので、これから相談する、ないしは相談中、もうちょっと言えば与党質問への答弁ですから「難しい」かもしれません。その辺は世論の医療問題への関心を見極めてから考えるぐらいのニュアンスで良いかと思います。ただファンドのほうは、
「すでにわが省の担当部局に具体的な施策の取りまとめを指示している」と述べ、2009年度補正予算案の編成に向け省内で具体案を練っているとした。
これは折衝中より段階の進んだ構想と考えて良いかと思います。そのファンドの中身なんですが、どうも国会答弁とは別に、
自民党の日本経済再生戦略会議(会長=町村信孝前官房長官)は3月30日、追加経済対策の基礎となる「日本経済再生への戦略プログラム」(中間報告)をまとめ、地域医療の再生に向けた「基金」の設置を盛り込んだ。基金の活用によって施設整備や医師派遣システムを強化するなど、医師不足対策を支援する方針を示している。
日本経済再生戦略会議なんてものがまた増えているんですね。どんなものか調べるのは面倒なので今日は軽く流して、ファンドの目的が語られています。
- 施設整備
- 医師派遣システムを強化
この2つのためにファンドが活用されるとしています。この日本経済再生戦略会議がまとめた案と言うのは3/30に出されたようです。どんな内容かをもう少し知りたいのですが、自民党のHPにあるので引用すると。
■ 今後3年の経済再生シナリオ示す中間報告 日本経済再生戦略会議
日本経済の進路と成長戦略を検討してきた日本経済再生戦略会議は30日、中間報告にあたる「日本経済再生への戦略プログラム」をまとめた。金融・経済危機に直面した現状にあっては短期の景気対策に止まらない、思い切った中期的な戦略プログラムが必要不可欠との認識でまとめられた同報告は、新たな成長ステージに立つ将来の日本の姿として、(1)太陽光発電などの新産業群を形成した「グリーン経済社会システム」(2)「21世紀型のインフラやシステム」の整備による誰もがどこでも成長のチャンスを掴むことができる社会(3)健康長寿と子育てを支える「質の高い生活コミュニティー」の3つを示し、そのうえでこれら将来像を実現するための施策10項目と達成目標を具体化。これらの対策によって、「2010年中には主要な経済指標をマイナスからプラスに転じ、今後3年で概ね200万人の雇用を確保・創出する。同時に、内需を中心としたプラス成長、中長期的に3%程度の成長を目指した経済基盤を構築する」とした。一方、同報告は厳しい経済状況をとらえた緊急対策として、とくに雇用対策と中小企業・金融対策、そして21年度予算の過去最大級の前倒し執行の3つをとりあげ、雇用では職業訓練中の生活支援や地方の緊急雇用創出事業の拡大、中小企業の資金繰りでは信用保証枠の拡大などの必要を指摘した。
どうもここには
(3)健康長寿と子育てを支える「質の高い生活コミュニティー」
これぐらいしか医療に関係しそうなものはないのですが、「将来像を実現するための施策10項目と達成目標を具体化」の中に医療ファンドの話が含まれているのかもしれません。もう一つ日本経済再生戦略会議に出席した高鳥修一衆議院議員のブログも引用してみます。
本日午後4時から党本部901にて我が派の町村会長が会長を務める「日本経済再生戦略会議」が開かれ中間取りまとめが発表された。これに基づいて参加議員から意見交換が行われた。
もちろん私も出席し、発言してきましたが正直ちょっと「う〜ん」と言う印象。というのは・・・
- 各省庁から出てきたものを一冊にまとめた感じで総花的。
- 景気対策なのだからあまり中長期の話では(もちろん将来に対する投資や研究開発、教育の問題など大切だが)焦点がぼやけてしまう。今一番やらなければならない地方の中小企業に対する対策に特化すべき。
- 総額がOO兆円となっており額が入っていない。もちろん各事業の数字も全く入っていない。ここが一番大事では?
どうもなんですが、日本経済再生戦略会議で決まったのはプログラムの総額だけで、これから各省庁の分捕り合戦が行なわれると考えたほうが良さそうです。そういう競争の余地を残す事が政治といえば政治ですからね。たぶんその辺のニュアンスがじほう社の記事にある、
厚労関係予算について舛添厚労相は「国民の生活、命を守りそれを基礎にして日本経済を復活させる大変、大事な政策。とにかく皆さんがよくそこまで(財務省から)取ってきたと言ってくださるよう努力する」と述べた。
こういうコメントにつながっていると考えます。まだ厚労省のファンドにどれほど予算がつくかは不明と考えて良さそうです。そうなると自民党のHPにある日本経済再生戦略会議の重点を置く施策が気になります。
同報告は厳しい経済状況をとらえた緊急対策として、とくに雇用対策と中小企業・金融対策
当然とまでは言いたくないですが、国家の緊急課題としては景気対策が重視されるとは思います。さらに雇用で重視される点の一つに、
地方の緊急雇用創出事業の拡大
もちろん悪いという気はありません。ただ町村発言の医療へのファンドの目的は「施設整備」と「医師派遣システムを強化」です。この2点で「地方の緊急雇用創出事業の拡大」につながる方が重視されるのは自然な流れかと思います。「医師派遣システムを強化」では雇用拡大には効果が乏しいですし、重要な景気対策につながりません。簡単に言えば「施設整備」の方が予算を分捕りやすいとしても良いかと思います。
ここまで考えると厚労省と総務省の公立病院なんたらガイドラインの「折衝」が気になってきます。あれの再編・ネットワーク構想のモデル図を再掲します。
なんか新たな公共事業のタネになりそうな気がしませんか。とくにパターン1なんてでっかい新病院が新たに建設されますから、「地方の緊急雇用創出事業」にピッタリのような気がしてきます。小さくなるところも老朽病院を新たに建て直すみたいな話が十分湧いてきそうです。どこの地方自治体も政治的な意味もありますが、そもそも新たな病院を建設する予算にさえ事欠いていますから、ここにファンドを作って新たに地方自治体の借金の原資を作れば景気対策になります。
あくまでも推測ですが、総務省の折衝の中に、新病院建設のための借金は総務省の進める地方自治体の財政健全化とは別の借金にしてくれが含まれている様な気がします。気のせいでしょうか。こういうのも経済対策にはなるのでしょうが、ファンドからの資金は借金ですし、借金はやはり返却する必要があります。返すのはやはり公立病院でしょうから、結果として残るのは
-
公立病院の(ハコモノの)再生(ファンドからの負債付き)
こう思えてしまいます。
もう一つの「医師派遣システムを強化」はセットにしておかないと、さすがに「医師が集まるのか」の疑問が生じますから打ち出されるでしょうから、ある程度の予算が投じられると考えます。そうですね、現在も数十億円の予算が投じられて会議を時々やっておられる「地域支援中央会議」の機構の充実に投じられると予想します。東京に本部ビルと都道府県に支部ビルを作れば、公共工事の効果と、そこに勤める職員の「緊急雇用創出事業」に連動するからです。そのうちこの機構は「医師強制配置局」にも転用できますから有用な投資かもしれません。
公立病院と限らなくとも病院の再生のために必要なのは、経営基盤の確立です。経営基盤の確立のためには黒字経営が必要です。黒字になってこそ設備投資もされますし、勤務医の待遇改善もなされます。現在の赤字の原因は医療単価の安さが大きな原因となっており、医療単価は国の政策で決定されます。国策で赤字なるような医療費を設定されて、赤字にさせられて設備投資も医師の募集もままならなくなった時の対策として「お金を貸してやろう」とは涙が出るほど嬉しい対策です。
世界不況で経営が苦しくなったから運転資金を借りれるのとは意味が違います。医療は政策的に赤字にさせられて、作られた赤字に対して「お金を貸す」が再生のための政策とは素晴らしい発想です。なにか昔話に聞く因業金貸しの手法と似ていると私は感じます。返すあてもない借金がまた雪ダルマ式に増えると思うのは私だけでしょうか。
もっとも公立病院が政策によって赤字になっても「3年で黒字にせよ」とガイドラインを作り、机上の改善策を出させる政府ですから、そもそも期待するのが間違っているのかもしれません。発想の根本は「お金が無いのなら貸してやろう」言う「善意」ですから、
-
どんなに悪い事例とされていることでも、それがはじめられたそもそもの動機は、善意によったものであった。 (ユリウス・カエサル)
こう解釈するべきなんでしょう。
通りすがり
「基金で対応」という事は診療報酬の大幅アップなどの抜本的解決策は
やらないよ…という宣言に読めますね。
新病院を設立しても医師不足が消えてなくなるわけじゃなし、舛添さんは
的外れですね。
暇人28号
以前より、
「日本の病院のベッド数は過剰。現在の100万床から40−50万床に削減させるべき」
「公立病院は効率が悪い」
とマスコミを煽って削減に躍起になっていたお国の言葉とは思えませんね。
つい1年前でさえ、厚労省のお役人は講演会などで同じような言葉を発しておられたようですが、それと今回の方針の整合性はどうなのでしょうか。
基本方針のぶれた政策ほど問題を混乱させるものはありません。数年前からの発言を貫いて医療崩壊に邁進するのか、それとも、きちんと前言撤回するのか、きちんとしてほしいものです。
(あるいは、「医療を立て直します」、という国民向けのポーズだけして、あとは嵐が過ぎ去るのを待っているだけなのかもしれませんけどね)
暇人28号
もうひとつ。
医師不足ももちろん大きな要因ですが、診療報酬単価が極端に安く設定されている、ということも忘れてもらっては困ります。
それとも、国民の目を欺くために医師不足だけに責任を負わせるつもりなんでしょうかねえ。
一人養成するのに1億円かかるんですけどねえ、そんな医師を大量に養成することができるんですか?(笑)1万人増やせば1兆円かかるんですよ〜
Yosyan
>舛添さんは的外れですね。
積極的に擁護するつもりではないのですが、おそらく日本経済再生戦略会議で分捕り予算枠が先に設定されて、舛添大臣は厚労省の予算として分捕り合戦に参戦しているだけの様な気がします。取れる予算なら取らねばならないは官僚の性質ですからね。それと分捕って具体的にどう使うかは「これから考える」のような気もします。
元外科医
「地方の緊急雇用創出事業」ワロタ
いずれにしても、医療費を上げないで建設費を計上するだけなのですね
医療崩壊加速要因でしかありません
ま それが政策なのでしょうけど
Yosyan
元外科医様
どうもなんですが、日本経済再生戦略会議で決められたのはあくまでも現在の不況対策であると考えたほうが良さそうです。これは現在最大の政治テーマですからおかしくもなにもありません。景気対策の基本路線は財政出動であるのもとりあえずヨシとします。財政出動の効果評価は経済理論の話になりますから、ここはヨシとします。
景気対策に大型の予算が組まれたときに、厚労省的に便乗する分野を考えたのがファンドかと考えます。元は景気対策ですから、景気対策として厚労省が便乗できると言う視点で考えれば、設備投資になるかと思います。あくまでも医療対策ではなく、根本は景気対策ですからね。
ただ厚労省がアピールする看板としては「医療再生」にしておくほうが、厚労省的にも与党的にもメリットがあります。景気対策のために設備投資に使うための予算と本音を言ってしまえば身も蓋もありません。なんとなくファンドで医療が再生するイメージ戦略を展開しているだけだと考えれば話が分かりやすくなります。
もっとも予算の考え方としてかなりドンブリな印象がありますから、これを逆手にとって本当に医療再生のために使ったら舛添大臣も大物なんですが、そこまでは期待しすぎかと思います。
元外科医
医療、介護などの社会保障インフラそのものに、もっとお金をつぎ込んだほうが内需拡大と雇用創出につながると思うんです。その方が土建屋さんの介護事業への転換とか、建設労働者の雇用減少をカバーする介護事業の増大が見込めるでしょう。でも、政治力が弱い業界ではいかんともしがたいですね。
通りすがり
<「これから考える」
なるほど舛添大臣始め厚労省官僚の考えてそうな事ですね。行き当たりばったり。
元外科医さま
土建業は手持ちの重機の処理や塩漬けになってる重機置き場にしてるような
山林などの負債で業態転換し難い業界なのです。介護業に乗り出すにしても
そこまでの行程で難渋しそうです。
卵の名無し
絵に描いたような「地頭は倒れる処に土を掴む」にわろた。
ちなみにこの地頭は室町期の貪欲地頭のことであり、決して地肌がむき出しの頭という意味ではないのでくれぐれも誤解なきよう。
risyu
>総務省の折衝の中に、新病院建設のための借金は総務省の進める地方自治体の財政健全化とは別の借金にしてくれが含まれている様な気がします。
虫がよすぎます。総務省は自分達が立てたプランだけは表面上上手く行ったように見せかけるために邪魔しないでくれ、が本音なんでしょうけど、厚労省管轄下からの新たな借金だろうなんだろうが、借金してる自治体は総務省の管轄下です。度量の小ささに驚きます、総務官僚。
Bugsy
かつて医療金融公庫というものが存在していました。
あくまで私立の病院、診療所等を対象として必要な長期かつ低利の資金であって、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的としていたようですが、1985年1月1日、社会福祉・医療事業団法により解散したそうです。
結局公立病院まで範囲を拡げた医療金融公庫の焼き直し版かなとも思います。
一方では 中小企業に対する資金の貸し出しとして、経済産業省の機関である日本政策金融公庫 もあるわけで、そこが貸し付けてもいいじゃないかと言いたいところですが、病院関連の貸し出しは厚生労働省の管轄だと言いたいのでしょう。
どのみち借金は借金であって 財務体質が強化されるわけではないとオイラは思います。
医業収入を増やす方向にもっていかないと 日本全国借金だらけの病院になりつつあります。
会社なら借金の担保として現金や不動産をあてます。
しかし公立病院の場合、差し押さえるにせよ何を充てるんでしょう。
借金の返済のため 土地を売っぱらったり、病棟を閉鎖したってどうにもならんだろうと感じますね。
それでまた 市長がリコールですか?
外国と通貨のスワップをして一見外貨が増えたから黒字になったといって喜んで騒いでいるどっかの国みたい....結局借金は借金です。
暇人28号
そういえば、先日の北海道新聞の社会面に出ていました。リコールされた某千葉県の自治体の後日談が。
リコールを主導した市民団体から市長選に立候補することに決まったそうです。ただ、その市民団体は、病院再編案について財源の問題や医師数「確保」の問題から自治体立としての存続は難しく、民間委託にせざるをえないと発言しているそうです。
有識者からは「それならば前市長と同じ解決策だ。何のためのリコールだったのか?」と批判が出ているそうです。
市民団体の擁立候補の方。市長に当選されてた場合、もしも自治体立として病院が再建できなければ当然市長職を辞するのですよねwww
ys
>医療金融公庫の焼き直し版
もちろんすでに作ってあります。
独立行政法人福祉医療機構
http://www.wam.go.jp/wam/gyoumu/iryokashitsuke/index.html
元外科医
>その市民団体は、病院再編案について財源の問題や医師数「確保」の問題から自治体立としての存続は難しく、民間委託にせざるをえないと発言しているそうです。
語るに落ちたとはこのことです。もともと再建不能なのですw
Bugsy
なるほど「独立行政法人福祉医療機構」を失念しておりました。
ここも手広くやっていますねえ。
医療、福祉、子育て 果ては承継年金住宅融資等債権管理回収業務まで。
今回話題になった「(3)健康長寿と子育てを支える「質の高い生活コミュニティー」」とありますが、
追加経済対策としての位置づけですからねえ。
ただし気になるのは昨今の労働基準監督署が医師の勤務時間の把握をきっちりしろよという方向になっています。時間外手当もそうですが、それも法令通り行うのであれば、結局現在の医師の医療業務を縮小せざるをえないと考えます。
一方で医療における雇用の促進というのも たとえばクラークを雇うにしろ、介護士を増やすのも大賛成ですが、もっと給与水準をあげなきゃ、雇用機会をふやしたとしても雇用に応じる人間がいなきゃ意味ないです。したがって 独立行政法人福祉医療機構よりももっと広い業務と予算をぶちこんで欲しいもんです。
中華
千葉の市長がリコールされたのは、政策が不適切だったからではありません。
公約違反が理由です。
市民団体は政策ではなく公約違反をとがめたのだから、政策が前市長と同じであるかどうかは本質ではない。
公約違反をしないことこそが本質。
リコールの意味は「けじめ」です>有識者
政治家の公約違反は許さないという強い意思表示です。
暇人28号
公約違反といっても、意図的に病院をつぶしたのならリコールも理解できますが、前市長は存続のために色々努力したにもかかわらず、大きな流れに逆らえなかった、という状況ですから。
これを公約違反でリコールというのならすべての政治家が途中で辞職しなくてはいけないと思います。選挙公約をすべて達成した政治家なんて古今東西いますか?
しかも、今回の件では市民団体も結局同じ結論なわけです。もしも、このまま当選したとき、自治体立病院として再生できなかったらどうするつもりなのですか?
さらに、市長がリコールされたために病院の再建のタイムスケジュールが半年以上遅れたそうです。
市民にとって、市長憎しという感情と病院再建とどちらが大事なのでしょうか?本当に病院が大事なら、病院の再建の見通しが立った段階でリコールすべきじゃなかったのではないでしょうか。結果的には今回のリコールは病院再建の邪魔をしたことになるのですから。
Med_Law
Fund = 利益を出すために資金を運用するもの
だと思ってます。医療で利益が出せるでしょうか?
本来は、国や自治体が供出しなければならない費用を、返済義務を付けたというのが実際でしょう。
赤字病院を簡単には再生などできないし、自治体の連結決算によって赤字を垂れ流し続けることもできない。
ファンドは打ち出の小槌ではありません。
民間なら、利益を出す能力が最初から欠けているファンドは詐欺です。
四の五の言わずに、診療報酬を上げろ!
それで、自治体病院の赤字問題の多くが解決できることでしょう。
おはつ
病院機能の2分化はすでに歴然としていますし、救急も麻痺寸前、地方行政も放さずに居られなくなっていますから、基幹病院を重点的に選定、拡張・補充してその広域地域の負担を軽減するべく整備じゃないでしょうか。それなら地方の政治家さんも大賛成でしょう。当直勤務の件も時間外補償の件ももう時間の問題である事は当然念頭にあり、しぼむ病院は本当に管理当直になってゆけますし。ということは基幹病院では広域自治体や国からの補助を集約して勤務当直を於いたり、研修指定を通じて医師配置、で、一番権力が行使しやす大学や都市型巨大病院がその上になると考えましたが。また基幹病院に対して複数の自治体が出資することも可能ですから、借金が出来ても各自治体の借金として残るだけです。しかも今より負担は少なくなるのでしょう。
とするとフリーアクセスが邪魔になるのですが。1-3時救急がなおざりになっていますし、再整備でしょうか。
あと、皆保険はすでに無理であることは分かっていますので、次の段階に向けたステップと読みます。整備しなおしてから混合への道は明らかで、基幹病院に新たなパイが向かうようになると思います。その上で如何に自由にさせずコントロールが効くか、それは行政の息のかかった巨大病院を頭に置く市場を構築することでしょう。シナリオどおりです。
おはつ
>>四の五の言わずに、診療報酬を上げろ!それで、自治体病院の赤字問題の多くが解決できることでしょう。
税金では無理ですし、へたっている公的病院を維持するつもりは無い(無理・たれながし)はずです。
ある程度壊滅して、混合診療へのコンセンサスが得られるまで行くことと(すでにありますが…)、そうすると整備もしやすく、整備しなおしてからパイを開放しないと受け口が多すぎてアメリカのようになってしまいます。戦後復興とでも言いましょうか。
それでも良いのですが、開放する前に、儲かる市場でなくしておくシステム作り、一人歩きして行政のコントロールひいては天下りが無くなるシステムだけは回避です。
それでも自由な部分が開放になれば社会主義と資本主義の矛盾は勃発するのでしょうが。
先20年は食えるのでしょう。やはり医療業界に対する支配思考が立ちはだかっていると思います。。
アメリカも逆に如何に社会主義を医療に取り入れるか現在真剣に検討中ですから、日本は逆の方向から、アメリカも逆の方向からベクトルが似ているのでは?しかし、アメリカは日本のような違法状態は作らないと思いますし、労働者の意識が対応できるはずがありません。
moto-tclinic
国、厚労省は自治体病院をつぶしたがっているように思ってるひと多いと思いますが、わたしはそうじゃないと思う。
自治体病院がつぶれると、その周辺の自治体病院へ患者が難民となって押し寄せたり、医療安定上好ましくない(厚労省の仕事が増える)。
いちばんいいのは、診療報酬を増やさずに自治体病院もつぶれないこと。すなわち、自治体病院が地方税でもって、まかなわれ続けることです。自治体の赤字は、ほかの施策(市職員のリストラとか)でなんとかしろ、病院は潰させないぞ、ってこと。
だからファンド設立して病院に金貸すんだと思います。自治体が病院潰すという選択肢選ぶのを諦めさせるために。
ファンドから金借りて新たにハコモノ作ろうってお気楽な自治体が出てくるかどうかわかりませんが、借金は返さなければなりませんから、将来の地方税→国税に吸い上げられる罠って気がします。
moto-tclinic
最終的には、自治体病院は潰されずに、極端な合理化の結果、可能な限り職員はパート、医者はその地域の開業医が駆り出されて、政策によって地方研修を余儀なくされた2年目研修医あたりとなんとか初期診療こなして、老人はお看取り、お金持ちや若い人はヘリで都市部マグネットホスピタルへと搬送する仕事の場となるんでしょう。
おはつ
>>診療報酬を増やさずに自治体病院もつぶれないこと
>>自治体病院が地方税でもって、まかなわれ続ける
私はつぶすなんて言ってませんよ。赤字縮小しなければ閉鎖になるだけですから、各自治体の力に応じて病院が縮小しても肩代わりできる基幹病院の拡充が必要なのです。
労働問題もすでに時限爆弾と迫っています。
赤字の病院に対して自治体も国も泥沼に向かってお金を投げ込むなんていくらなんでも出来ません。
上記すべて満たすために、広域の自治体群により基幹病院を集約経営・出資するのです(そういうモデルもあります)。再建モデルに出ている通りです。
各自治体は体力に応じて縮小できます。ベッドをなくす自治体もあるでしょう
夜間は救急指定をはずして本当の管理当直・看護師の配置も無用になります。
赤字を減らすのに一番良い方法は閉鎖であり次に縮小です。
体力があれば慢性期の病棟だけは残すことも出来ます。
負担が減った分、共同で基幹病院に出資する。
もちろん自分の地域の市民が利用するわけですから当然です。
どうしても広域地域だけで負担しきれなければ(人口により財政状況も違う)、国が地方に回せます。
おはつ
>>自治体病院は潰されずに、極端な合理化の結果、可能な限り職員はパート、医者はその地域の開業医が駆り出されて、政策によって地方研修を余儀なくされた2年目研修医あたりとなんとか初期診療こなして
ちょと笑ってしまいました。失礼・失礼・・・。
えーっと、それは予想というよりすでにもう行われていて、それでも維持不能で閉鎖に追い込まれていると承知しています。ソフトが悪化すると現場も危なくて危なくて。
予想とすると正解です。
で、その上で次のステップを考える必要があります。
moto-tclinic
いや、わたしはおはつ様のコメントにコメントしたのじゃなくて、エントリーの「なぜファンドが作られるのか?」について考えてみたこと書いただけですので悪しからず。
「広域の自治体群により基幹病院を集約経営・出資する」ってのは、無いんじゃないかなあ。奈良の患者が大阪に搬送されても、大阪が奈良に負担求める具体的な方法無いでしょう?
基幹病院におけるフリーアクセスが制限されていくでしょうね。基幹病院じゃ、一般診療やER的救急しなくてよくなる。
そうすれば、若い医者も、基幹病院勤務目指して僻地で頑張るかもしれないし。
基幹病院の経営考えたら、自治体からの出資より、民間でしょう。混合診療解禁は基幹病院の高度医療(限定)からでしょうね。
おはつ
moto-tclinic さま失礼いたしました。
複数の自治体が共通の広域にまたがる基幹病院を維持するのは非常に理にかなっています。
夜間を放棄すれば事実上そうなっている地域もあります。
赤字放棄を隣町に送るのは卑怯ですから今後は財政負担を課すのも理にかなっています。
再建パターンを見る限り負担が一自治体に絞られることはまずなさそうです。
ただ、地域の中央がパンクした場合はより高次の病院や隣の基幹病院に依頼することになり、そこまでの負担は現在も未来も無理と思います。一番大事なのは地域で解決できるシステムを構築することです。2分化はすでに始まっています。
いま労働に関しても非常にもめています。なら、救急には日勤のごとくハードに働いてもらうべく勤務配置せざるを得ない日がやがて来ます。逆に患者はそこに地域基幹病院に集中していただく必要があります。
フリーアクセスの問題と混合前の高度医療の限定はまったく同意です。。
民間への委託も今後そうなのでしょう(少なくとも期待値が黒字後)。
その前に、研修医制度の時もありましたが、そこに行政指導の資本を僅かでも投入しておくことで勝手なことをさせないように出来ると言うことかと思います。混合診療で民間が乗り出してきても、価格操作や人的配置に如何に行政権力を維持できるか、仕込みの段階かと。
卵の名無し
>基幹病院の経営考えたら、自治体からの出資より、民間でしょう。混合診療解禁は基幹病院の高度医療(限定)からでしょうね。
上手の手から水が漏れているように思う。保険医療制度下では医療費の出資者は国民であり、出資者の本当のニーズというものを見誤らぬようにしないと、無闇な混合診療解禁は医師が自らの首を絞める結果を招きかねない。そのようなドラスティックな外科手術的制度変革は医療に本来求められている本能的ニーズに反するように思う。
突然死する危険の大きい劇的変化を避けて内科的愛護的に修復してゆくには、急産児領域バイト解禁と介護保険制度解体再構築くらいしか現実的に打てる手はないと思うけど。
おはつ
>>保険医療制度下では医療費の出資者は国民であり>>出資者の本当のニーズというものを見誤らぬよう
何か引っかかりますね。
「国民は皆保険の出資者であり、皆保険事業は出資者のニーズを見誤らぬように最大のコストパフォーマンスを得るよう努力すべき」であり、病院には自由診療・保険診療が認められているが、最大のお得意・皆保険団体様には出来る限りの医療を提供する。かと思います。
「本能的ニーズ」があっても購買力が無い保険なんです。
自由診療なら病院はどこまでも対応可能で。ニーズに対応できないのは…国民の財布か皆保険事業かと。
今後自由診療でのみ販売可能な高額医療が出来てきたとして、皆保険団体様に売らなくて良いとでも仰るのでしょうか。
現実的な話として例えば今後再生医療なんて皆保険様にはとてもお高いかと思います。
一部の人が自費で購入するのも良し、一部保険負担(混合)でお売りするのも良し。
匿名
コテハンが…
>急産児領域バイト解禁
やりたい人いるかね?”私は願い下げです”という人のが多そうだが。卵の名無し クンが頑張ってくれる?
2009-04-07 NPO法人によるADR
医療紛争、裁判外で 千葉、医師や弁護士会が共同機関
裁判によらない医療紛争の解決を目指そうと、千葉県で医療関係者と弁護士、法学研究者が共同の解決機関を立ち上げ、4月から業務を始める。医師会や弁護士会といった単独の業界がADR(裁判外紛争解決手続き)に取り組む例はあるが、共同での取り組みは全国初という。医療紛争での医師の負担を軽くすることで、深刻化する医療崩壊を食い止める狙いもある。
千葉大医学部や法経学部の教官、医師や弁護士が03年7月に設立した医事紛争研究会(会長、植木哲・千葉大教授)が、医療分野でのADR設置に向けて研究を進め、千葉市中央区で「医療紛争相談センター」を始める。
植木教授によると、これまで医療行為をめぐるトラブルの解決手段は裁判が一般的だった。しかし、時間や金銭面で当事者の負担は大きい。ADRでは非公開で中立的な第三者が助言や和解案を提示し、患者と医療側双方に円満で迅速な解決を目指す。
相談は、患者側、医療機関側の、いずれからもでき、あっせんや調停が適切だと判断すれば、申し立てを受ける。医療側が応諾すれば、専門分野の医師、弁護士、学識経験者の3人で委員会が設置される。紛争の原因や因果関係を検証して損害賠償額を決め、3カ月から半年をめどに和解案を示す。
調停に入る際、申立料として、患者側2万1千円、医療機関側4万2千円を支払う。解決時には、損害賠償額の1割程度を成功報酬としてセンターが受け取る。(及川綾子)
中間管理職様が■「医療紛争、裁判外で 千葉、医師や弁護士会が共同機関」 「医療紛争相談センター」という名のぼったくりバーとして酷評されていましたが、感想としては私も同じです。ただそんな単純な「ぼったくりバー」を作るのかどうかに興味があり、いくつか情報を集めてみましたが「どうなんだろう」と言うのが本音のところです。
この「ぼったくりバー」じゃなかった医事紛争研究会の設立主体はNPO法人です。NPO法人としてわずかにある情報では、
法人認証年月日 | 2007年6月1日 |
---|---|
所轄庁 | 千葉県 |
主たる事務所 | 〒263-0022 千葉県千葉市稲毛区弥生町1丁目33番 千葉大学法経学部法学科 植木哲研究室内 |
目的 | この法人は、医事に関する紛争(以下「医事紛争」という。)の当事者双方に対して、裁判外紛争解決手続としての和解の仲介に関する事業を行い、医事紛争の公正かつ迅速な解決を促進するとともに、健全な医療文化の確立に寄与することを目的とする |
記事にある「医療紛争相談センター」がNPO法人として収益事業なのか目的事業なのかの疑問がありましたが、どうやら目的事業のように感じます。そうなるとNPO法人設立の要件である、
営利を目的としないこと
これを満たす必要はあります。それならば安心かといえば、この「営利を目的としないこと」の定義は日本全国 NPO法人の設立・運営・助成金専門事務所によると次の通りとなっています。
非営利団体であるので当然なのですが、ここでいう営利とは、 「最後に残った利益を社員である株主に分配しない」という意味となります。よって、NPO自体が何らかの収益活動をすることは認められており、主たる目的遂行のためならば、基本的にはお金を稼ぐことは特段おかしいことではないということになります。
社員である株主にさえ分配しなければ稼いでもまったく問題ない事になります。
-
ここで注釈ですが、法人における社員、正会員、役員、株主の定義を少しだけ解説しておきます。法人とは法律上で人格を持った団体なんですが、法人の意思決定を行なう人間が必要です。すごく簡単に言えば経営者なんですが、法人の形態によりますが、基本的には出資者になります。出資の形態が資金であれば社員とか正会員となり、株形式であれば株主になります。
それと法人を語る上で「社員」とは一般の会社員とは異なります。一般の会社員は従業員で被雇用者になりますが、法人の社員は経営者の一員になります。それと役員ですが、小さな法人では「社員 = 理事」みたいなところも多いですが、認められてより多くの出資金を払える社員を役員にするとも考えてよいかもしれません。大きな法人ではヒラの社員と役員に分かれますが、小さな法人ではすべて役員なんて珍しくもありません。
NPO法人と営利法人と異なるところは、役員報酬を受けられる役員の制限があり、役員数の1/3以下にするとなっています。10人の出資者がいて10人の理事がいたとすると、3人は役員報酬(上限なし)の理事で、7人は普通報酬(変な言い方でゴメンなさい)の理事になります。「最後に残った利益を社員である株主に分配しない」とは、営利法人なら儲かれば利益を社員で分配してもまったく問題ないのですが、NPO法人では年度の事業計画で決められた金額以上は受け取れないと言うことのようです。
すごい縛りに一見思えますが、営利法人でも通常は利益が上がっても「山分け」はあまりしません。内部留保に回したり、新たな事業計画に投資したりするのが一般的です。役員報酬に回すにしても、昨年度の事業実績から翌年度に反映するのが一般的と考えますから、事業規模、形態、目的で変わるか部分はあるでしょうが、「非営利」の縛りはそれほど強いとは私は思えません。
それでも何か決まりはあるだろうと思ってみていたら、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律と言うのがあり、第6条15号に、
申請者(手続実施者を含む。)が支払を受ける報酬又は費用がある場合には、その額又は算定方法、支払方法その他必要な事項を定めており、これが著しく不当なものでないこと。
「著しく不当」が
損害賠償額の1割程度を成功報酬
これに該当しないから「医療紛争相談センター」が活動できると認証されたのではないかとも考えます。ただこういう解釈もあるそうで、環境NPO法人設立NAVIに、
あくまでも、特定非営利活動は、不特定多数の利益の増進に寄与することが目的ですので、その対価があまりに高い場合には、特定非営利活動とはみなされない場合もあります。
医療がらみの損害賠償になると数千万円も珍しくありません。その1割となると数百万円となり、10件も手がければ数千万円になります。件数はともかく、対価が時に数百万円になる可能性があるのはNPO法人の目的事業として「非営利活動」になるかどうかの疑問は生じます。準備期間は置いていますし、代表は千葉大学法経学部法学科のたぶん教授か何かでしょうから、クリアしているのかもしれません。
「損害賠償額の1割程度を成功報酬」が妥当であっても、株主(会員)に分配しないのであれば、そんなに「ぼったくりバー」にならないのではないかとも考えましたが國分行政書士事務所によると、
- NPO法人は「特定非営利活動法人」ですが、「非営利活動」とは、「ボランティア(無料奉仕)」や「非収益」を意味するのではなく、事業収入から経費を差し引いて「利益が出ても団体の構成員に分配しない」ということです。
- 非営利活動といっても、資金がなければ活動はできません。組織を維持し継続的に活動を行うための資金を得ることは、もちろん許されています。従業員は労働に見合った給料をもらうことはできますし、企業と同じようにボーナスももらうことができます。
- 利益が出た場合、その利益はどうなるのか?それは、来年度の予算に使われることになります。設備投資などに使ってもいいですし、さらに次年度の会計に利益を繰り越ししても構いません。
会計事務所や行政書士事務所ののNPO法人の設立のすすめを幾つか読んでみましたが、NPO法人設立と会社設立のメリット、デメリットを比較しているところが目に付きました。一般的なイメージと異なるのですが、NPO法人と会社は月とスッポンほどかけ離れた存在ではなく、事業によっては重なり合うというか、案外近い関係にもあるようです。
収益の考え方も、NPO法人にはある程度の縛りこそあるものの、非営利の意味合いは、株主(正会員)に利益分配しないだけで、給与やボーナスと言う仕組みで分配できるようです。正確な理解と知識に欠ける面があるのは御容赦頂きたいのですが、会社なら年度事業計画を上回る収益があった場合に「山分け」する選択が自由にありますが、NPO法人なら年度事業計画の範囲内でしか給与や報酬で分配できないのが「非営利」である定義のようです。
その年度の分配はNPO法人には許されていませんが、収益金は翌年度に繰り越せます。当然ですが繰り込んだ翌年度の事業計画で給与や役員報酬に反映することは可能と解釈しても良さそうです。実務上の縛りはいろいろあるでしょうが、収益が安定確保されれば、その年度は無理でも「そのうち」様々な会計手法で分配は可能と考えても良さそうです。
う〜ん、よく分かりませんが、どう考えても医事紛争研究会なるNPO法人のこれから期待される収入源は会員からの会費とか、ADRの申立料とは思えません。そんな収入では医師や弁護士の報酬はとても賄えませんし、調査費用も出てこないと思えません。あくまでも、
-
損害賠償額の1割程度を成功報酬
ここから捻出するのが狙いとしか思えません。そうなるとこのNPO法人がこれから華々しく活躍するためには、資金が必要ですし、資金を1円でも多く確保するには損害賠償を1円でも高くする必要があります。医療機関に賠償責任無しなんて事にすれば
申立料として、患者側2万1千円、医療機関側4万2千円を支払う
患者側と医療機関側の合わせて6万3000円では足が出てしまいます。まさか6万3000円でペイする事が可能なADRを構想しているとは思えません。医師の意見も全診療科にわたるでしょうし、時には複数の診療科の専門家の意見を聞く必要があります。ADRと言っても良く知りませんが、こういう時の意見書や鑑定書は無料であるより有料のほうが信用性が高まるでしょうし、それなりの専門家が無料でホイホイと引き受けてくれないかとも思います。
NPO法人の経営とか事業性と言う面から見れば、
- 引き受ける医事紛争は多いほど良い
- 事業の収益は損害賠償の多寡に大きく左右される
- 患者側が不利の仲介では収益があがらないどころか赤字事業でになる
ADRの費用が申し立て料のみであれば、患者側は2万1000円で弁護士を雇えるのと同じになります。これに対して医療機関側は4万2000円で患者側弁護士を雇うと言っても良いかもしれません。ADRを行なうNPO法人の経営が損害賠償額の多寡に命運がかかっている以上そうなります。損害賠償額を高くするのが患者側だけではなく、ADRを行なうNPO法人にとって共通の利益になりますから、医療機関側から見れば「ぼったくりバー」にしか見えなくなります。つまりNPO法人であるADRの中立性はどうみても確保されていない気がします。
ただなんですが、最終的に判断がつかない部分もあるのですが、これが目的事業でなく収益事業であるなら話は少し変わります。収益事業は目的事業に較べて収益性は厳しく問われないようです。その代わりFASTWAYによると、
その他の事業の支出額は総支出額の2分の1以下であることが必要
これもよく分からない表現なのですが、たぶんNPO法人の収入の半分以下に近い意味と解釈しています。そうであれば損害賠償収入が仮に1000万あればNPO全体の収入は2000万円以上必要になります。ごく簡単には損害賠償収入と同じぐらいの収入を常に確保する必要性が生じます。これならば損害賠償の価格設定に歯止めが自然にかかるとかの効果は期待できますが、やっぱり目的事業でしょうね〜。
峰村健司
何が驚いたかって、委員会が3人構成で、そのうち医師がたった一人、あとは弁護士と学識経験者、というところですね。本来なら無くてもおかしくないような期待権侵害の慰謝料などを、この構成メンバーで連発されて、既製事実にされたらたまったものではありません。
学識経験者だってどんな輩が入って来るかわかったものではありませんし。
卵の名無し
>学識経験者だってどんな輩が入って来るか
群盲象を撫でる国の「学識」「経験?」者ですから推して知るべしw
Yosyan
情報が限定的なので判断が難しいところですが、医事紛争に限らず民事紛争の仲介なり仲裁する機関は「中立性」が求められます。中立性の必要条件とは、
1.システムの中立性
2.仲介者の中立性
完全に中立である事は難しくとも、建前上の中立性は必要かと考えます。今回のADR事業はマスコミ情報に偏りますが、システムの中立性に欠けると、どうしても感じます。それでも作るからには成算があるはずなんですが、やはり事故調の下請けのADRを狙っているのでしょうか。
事故調の下請け公認機関とかに潜り込めば、調査は不要で、賠償金額の決定だけで事業が遂行できます。持ち込まれる案件は「医療側に責任あり」とされるもののはずですから、確実に損害賠償が発生し、そこから収益が獲得できるシステムです。今のうちに作って、なんとか数件でも実績を作っておけば「老舗」として公認される算段じゃないかと思うんですがどうでしょうか。
rijin
>学識経験者だってどんな輩が入って来るか
たとえば、ここ。
特定非営利活動法人 日本医学歯学情報機構
医療事故被害者救済および医療事故予防促進プロジェクト
http://www.jmdn.org/kyusai.htm
役員
http://www.jmdn.org/yakuin.htm
部外者
これは単純に考えて利益相反がありますね。
医療機関側がこの報酬の算定方法を飲む理由がよくわかりません。
裁判に行ったときの訴訟費用とか、ネガティブなレピュテーションを避けられれば、
あるいは手間を取られなくて済むなら、安いと考えているのかもしれませんが。
賠償額をモニタリングする仕組みはあるのでしょうか?
医療機関がADRに応じなくなるというのが縛りになるのかもしれないけれども、
その縛りが強すぎると実行力がないですし。
個々の委員が自らの裁いた事件から成功報酬を受け取らないとか、NPOの役員が裁かない
とか、そういう仕組みで賠償額のインフレのインセンティブを失わせるのですかね。
医療は専門ではありませんが、面白い問題ですね。ウォッチしておきます。
DrPooh
記事を読む限り裁判準拠型ADRのようですが(違っていたらご指摘下さい),だとすればここで行われるのは単に簡略化された裁判であって,これまで民事訴訟で患者側・医療側のニーズが満たされなかったことが解決するわけではないと思います。いきなり訴訟というパターンを抑制する効果はあるかも知れませんが,ADRで不調なら結局裁判に持ち込まれるんではないでしょうか。
Seisan
このADR制度には支払額の決定に伴う法的強制性はあるのでしょうか。
というのは、医賠責とのからみで、この制度で決定された賠償額(和解額)を医賠責が支払ってくれる根拠になりうるのかどうかが心配です。
医賠責が法的根拠の薄いこの組織の決定した支払額を素直に飲んで支払ってくれるとは思えないんですが。
Bugsy
まさかこのADR制度が千葉県のみに適応なんて考えられません。
全国展開し、各都道府県に一つずつは必要になるでしょう。その時点で 必要なスタッフや経費は膨大なものになるでしょう。とても善意だけでは参加できません。
逆の言い方をすれば 千葉県に始まったこの組織が全国展開するのは資金調達は必須であり、申し立て量の徴収だけで賄えますかねえ?Seisan様のおっしゃるのも無理からぬことで法的な裏付けも不明瞭なまま、次々と「損害賠償額の1割程度を成功報酬」が入ってこないかぎり組織の存続も困難かと思います。
NPO法人も人の時間を拘束し、業務を割り振る以上お金はかかります。
言い換えれば 今回のこの組織が続く限り、永遠に成功報酬を得るために医療訴訟を発掘するしかないでしょう。
YUNYUN
私は正直、現行制度の下では、ADRには期待しません。
問題はね、原告患者側が、こういう制度を、訴訟よりも良いものと考えて、利用しようと思うかどうか。手続選択権は原告側にあり、患者側の訴訟選好は非常に強いからです。
患者にとって「良い」というのは、最低限、訴訟と同等、できればそれ以上の条件を、費用と時間をかけずに手に入れられることです。
いくら早い解決でも、安く値切られるのでは好まれません。
真面目に運営しなければ、医療機関有利な解決を押しつけるというような噂が広まったら、誰も来ないでしょう。
また、ADRの最大のライバルは裁判所の民事調停ですが、あちらも最近では医師の調停委員を配置したりして、努力しています。
手数料の面では、国家予算のバックアップがあるとことに比べて、民間は太刀打ちできないのでは(一般の民事調停で、弁護士会の紛争解決センターは太刀打ちできていないことからすれば)。
そういう意味で、ADR商売で大もうけ、というのは非現実的だと思います。
-----
峰村健司 2009/04/07 08:59 さま
> 何が驚いたかって、委員会が3人構成で、そのうち医師がたった一人、あとは弁護士と学識経験者、というところですね。
民営ADRなら、その程度で普通ではないでしょうか。
裁判官だって3人で判断するんだし。
裁判官のうちに常時、医学的知識のある人が入ってくれるようなものだから、医学のシロウト3人でやるより、適正な和解案を提示してもらえるという期待があります。
そして、あくまで当事者の合意に基づいた紛争解決なのですから、納得がいかなければADRは断って、訴訟提起する/される ことにすればよいだけです。
--------
Yosyan 2009/04/07 09:56 さま
> 事故調の下請けのADRを狙っているのでしょうか
「下請け」というのとは違いますが、事故調査が前提の制度になると思います。
現状で、医事紛争の和解的解決が困難な理由の一つは、双方当事者が、事実関係、特に医学的な問題について、共通の認識を持てないということにあります。
医学的な見解が争われたら、裁判所の鑑定で白黒つけるしかありません。
しかし、事故調査で医学的な疑問が解明されれば(そして両当事者が委員会の結論に納得すれば)、
あとは損害額の評価をして、いくらで決着するかというだけなので、ADRでも和解しやすくなると思われます。
------
部外者 2009/04/07 11:26 さま
> 単純に考えて利益相反がありますね
誰と誰の?
いくら何でも、具体的な事件処理に当たる委員は、患者関係者でも病院関係者でもない人を充てるでしょう。
もし委員のメンツに不満なら、ADRの解決に同意しなければよいので。
なお、「仲裁」といって、両当事者はADRの判断に従う(仲裁合意)という合意ををあらかじめしておけば、ADRの判断に強制力を持たせることができます。
こうした仲裁判断は渉外取引などで契約しておくことがありますが、日本国内の紛争解決手段としては、あまり流行っていません。
普通に考えて、裁判所でもない、いち民間機関の判断に、全てを委ねるという気はせんでしょうね。
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DrPooh 2009/04/07 11:40さま
> いきなり訴訟というパターンを抑制する効果はあるかも知れませんが,ADRで不調なら結局裁判に持ち込まれるんではないでしょうか
その通り。
また、上に述べたように、法的には訴訟にADRを前置することは強制されていませんので、原告の好みによってはイキナリ訴訟というケースも。
よって、実際にどの程度、訴訟抑制効があるかは疑問です。
------
Seisan 2009/04/07 11:49 さま
> 支払額の決定に伴う法的強制性はあるのでしょうか
ADRにおける合意のみでは強制執行力はありません。
将来の支払い約束は、公正証書などにする必要があります。
普通は病院側は一括払いしてくれるでしょうから、あまり不履行はないと思います。
保険会社や議会(公立病院の場合)が、ADRによる紛争解決を認めてくれなければ、
病院としてはそもそも合意はできないことになり、不調で終わるしかないでしょう。
暇人28号
YUNYUN様に禿同です。
本気でADRをしたいのなら、窓口を一本に絞らないとどこかの箱モノと同じ運命を辿りそうです。
ただ、そんなことをしたら、どこかの市民団体が
「被害者遺族の権利を制限するのはけしからん。」
と言って批判するし、その批判の矢面に立ってでも制度を作ろうとするような根性の据わった政治家が多いとも思えないし。。。。
もっと医療崩壊の惨状が国民の目に見える事態にならないと話は進まないでしょう。
ということで、未だに「医療崩壊を阻止するためにがんばろう」などと仰っている方がいる限り何も解決しないというわけです。
暇人28号
連投です。
新年度になって1週間が過ぎましたが、皆様の予想通り日本の医療情勢は悪化していますね。
当地でも今年度になり救急を担う病院が軒並み戦力ダウン、一部の病院は病院自体が壊滅する事態となっています。噂ではさらにいくつかの病院が破たんするという噂が立っており、今後どうなる事か心配しています。
当地の医療崩壊は、以前は内科の一診療科だけの問題でしたが、今では内科全体に広がっており、とうとう日中の受け入れ体制が破たんしかけています。昨日もそれで一悶着ありました。
卵の名無し
>保険会社や議会(公立病院の場合)が、ADRによる紛争解決を認めてくれなければ、
>病院としてはそもそも合意はできないことになり、不調で終わるしかないでしょう。
ということは、医師、弁護士にくわわるべき第三の参加者は学識経験者などではなく、保険会社または議会(公立病院の場合)の利益代表とするのが落とし所になるかな。
YUNYUN
> 本気でADRをしたいのなら、窓口を一本に絞らないと
厚労省の医療安全調査委員会案では、「医療訴訟のためにADRを活用する」と言いますが、
具体的な方法は示されていません。掛け声だけの生ぬるいことでは、ぜんぜんADRは流行らないでしょう。
そこで、元検ブログのほうでは2年前から出ているアイディアですが、
民事訴訟法を改正して、調停前置を強制にすればよいと思います。
調停前置主義とは、調停をやったけど不調で終わりました、という証明書を付けなければ、裁判所は訴訟を受け付けないシステムのこと。離婚訴訟や不動産賃料増減請求などは、今もその方式でやっています。
もっとも、調停機関を独占させるのは問題があるので、裁判所の民事調停でも、民間ADRでも(法務省認定は必要か)、好きな機関を選んで頼めるようにする。
調停は両当事者の合意によって成立するのだから、イヤなら断ればよい。
最終的に出訴の権利は確保されているので、憲法38条(裁判を受ける権利)を侵害しません。
が、調停をやらせれば、何割かはそこで解決する結果になるのは確かです。
特に、事故調査制度を強制はしないまでもデフォにして、医学的な見解を取れば、合意が成立する率は高まると思います。トンデモ協力医を排除する効果も期待。
-----
> 医師、弁護士にくわわるべき第三の参加者は学識経験者などではなく、保険会社または議会(公立病院の場合)の利益代表とするのが落とし所になるかな
そこまで行けるかなあ。
運営の理事者には入れて、協力を取り付けたほうがよいですが・・
現状では、その意味でも、民間ADRより裁判所の民事調停が優位です。
調停合意には強制執行力があり、保険会社も逆らいません。
moto-tclinic
NPO法人を作るメリットっていうのは、色々ありますが、この場合は、大学の先生がやってるし、謝礼の処理とか、公務員の兼業禁止とか、そういうのをはっきり整理しとこう、ってことじゃないですかね?
これが事業として成り立つとはとても思えません。法学としての研究の一環なんでしょう。「研究のために事情を聞かせてくれ」と言ったって、ひとは相談に来てくれませんからね。大学の医学部が治療より研究が念頭にあるのと同じことですよ。
ビジネスってほどじゃないけど、その気になって助成金あちらこちらに申請すれば、NPO法人格があれば、助成受けやすいでしょうね。そうすると、それで研究室の雑用兼務してくれる女の子一人雇えます(^^)。
moto-tclinic
あ、そうだ、これやってると言うと、法学部の先生としては、医療系の弁護士のひととかには顔がきいて気分いいんじゃないかなあ。
moto-tclinic
そうだ、ついでにゼミの人気も出て、学生の就職先の幅もひろがるかも。
大学の先生が考えることなんて、そんな程度じゃないかなあ。医学部だってそうでしょ(^^;。
Yosyan
>法学としての研究の一環なんでしょう
そういう見方も成立します。ただソースは示し難いのですが、当事者はかなり大真面目みたいです。医師会も一枚どこかに噛んでいるような情報もあり、委員の人選もかなり本格的なものとの情報もあります。事業としての目論みまでは何ともいえませんが、日本初の本格的ADRにするような意気込みが関係者にはあるようです。
もっとも事業として軌道に乗らなくても「試みた」だけで研究室のアピールになると言われれば、それまでですけどね。考えようによっては「色んな団体」の関心を引いてメリットが出てくる可能性もありますし。
tadano-ry
このNPOの最大の問題はやはり成功報酬制でしょう。ADRが普及するには患者側、医療側
双方にメリットがなければならないでしょう。そのためには例えば1ケース100万(経費別)
というような料金体系にして、結果に関わらず終結時に双方が折半する形にすれば良いの
です。100万の根拠は適当ですが、件数が増えてくれば値下がりするでしょう。
民事調停に対抗するのはなかなか大変ですが、基本的には合意の成立率を上げ
ること、合意期間を短縮すること、あとは場所を自由にすることや手続きの簡略化
くらいですかね。確かに事業として成立させるのは困難ですが…。
tadano-ry
以下は何の関係もないネタですwww
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http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090407AT1G0603E06042009.html
ネット社会での新聞の意義語る 「新聞をヨム日」でイベント
日本新聞協会は「新聞をヨム日」の6日、トークライブ「時代を笑え」を東京都内で開いた。新聞に連載を持つ人気漫画家3人がインターネット社会での新聞のあり方について話した。
3人は新聞記事から漫画のネタを探す話などを披露。しりあがり寿さんは「ネットも見るが、どのニュースが大切かは新聞で確認しないと不安になるので手放せない」。やくみつるさんは「新聞はどのニュースが重大か記事の大きさで分かる。紙をめくれば色々なページにすぐ飛べる新聞はネットより便利」と強調した。
西原理恵子さんは若者の新聞離れについて「ネットのせいではない」と指摘。「新聞は形を長い間変えていない。もっとおもしろいことを分かりやすい言葉で伝えられるはず」と話した。(07:02)
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西原さんスルドイ。次、スポーツ新聞ですがwww
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20090407-479939.html
APがネットの記事掲載監視、法的措置も
AP通信は6日、配信契約をしていないウェブサイト運営者によるインターネット上でのニュース掲載について、法的措置を取るなど厳しく対処する方針を発表した。合法的な利用かどうかを判断するために、掲載内容を追跡するシステムの開発も急ぐという。
契約しているメディアが載せたAPの速報などを、非契約のサイトに勝手に転載するケースが後を絶たず、AP加盟の新聞社などの収益悪化につながっていると指摘。「もはや傍観できない」(AP)と強調している。
APは6日、米カリフォルニア州サンディエゴで年次総会を開いた。(共同)
[2009年4月7日10時53分]
Med_Law
ADRを誤解されている人が多いのが残念ですが、最初から敵対関係とならずに、和解金+予防対策+謝罪・・・等々で、金銭以外の解決が図れる可能性があるのが、ADRによる調停の一つの役割だろうと思います。
院内ADRで、対話促進型が早稲田型(和田先生)のADR、千葉は、裁定型ですが、どちらにせよ、裁判に行く以外の方法があることで、いろんな要素が出てくるのは間違いないと思います。
医療訴訟でも裁判に行った6割が何の容認もなく、請求棄却となっていますから、ADRにも山のように言い掛かり案件が持ち込まれてくることでしょう。
患者側 2万円(+消費税)+病院側 4万円(+消費税)で、患者の説得をアウトソースできるなら、病院にとってもメリットは大きいだろうと思います。
実は、その5倍位の値段でのADRの設立ができないか(但し、患者側と病院側の負担は同一)を考えていましたが、そのうちに忙しくなって、未だに実現できてません。
成功報酬も認められているとは、逆に驚きました。非弁行為にはならないんですねぇ。。。。
患者側の説得にも経験値が物を言ってくると思いますし、裁判外での一つの交渉としては、避ける理由は余りないと思います。
本当に嫌なら、拒否しても、訴訟に持ち込んでもOKなのですから。
>このADR制度には支払額の決定に伴う法的強制性はあるのでしょうか
という質問がありましたが、契約の締結があれば、履行義務が発生するのは当然のことなので、もし不履行で本裁判になったら、咎められることになるでしょう。
ADRについては、いつでも必要に応じて、弁護士の援助を受けることは、ADR法で定められています。
卵の名無し
>いつでも必要に応じて、弁護士の援助を受けることは、ADR法で定められています。
医師、(患者側)弁護士、保険会社または議会(公立病院の場合)の医療費支払い側代表の三者協議のなかで、三者のうちの誰がどういう援助をいかなる必要に応じて別の弁護士から受けるのかがわからない。
また請われて援助をする弁護士は誰から相談料・援助料を受け取ることにADR法で定められているのかもわからない。
SC
貧乏なNPOを運営しています。
目的事業か収益事業かの区別を気にしていらっしゃるようですが、目的事業として定款で明記してあれば、一見、収益事業に見えても目的事業となります。「そりゃ変だろ」という違和感を持つ方もいらっしゃるかも知れませんが、同種のことは、いろいろあります。
たとえば「医療知識を普及させること」を目的事業として設立したNPOが、タバコと癌についての本を作成し、これを販売することは、一般的には、収益事業であると思われるかも知れません。しかし、NPO法上は、目的事業(=非営利事業)となります。よって、認証を受けている県なりに、年次報告書を出す際は、非営利事業活動として報告します。しかし一方で、財務面から見た場合、この本の販売収益は、物販であり、税法上は収益事業となります。そして、そのような財務報告を所轄の税務署にする必要があります。
簡単にいえば、年度末に作る書類は「県に報告する書類」と「税務署に出す書類」で、本の販売、という同じ行為をしていても、扱いが異なるのです。そして、県に出す報告書のほうでは「販売」という言葉を嫌い、「頒布」という表現が好まれます。まあ、お役人の言葉狩りの一種ですね。
あと、NPOというと助成金という話がすぐ出てきますが、そもそもNPOを設立申請する時に、事業計画書を提出します。ですから、運営の厳しさとか、ドネーションの少なさとかを声高に言うところが多々あるのですが、端から話が逆立ちしてんじゃないの? と思います。通常の会社と同じような、事業経営感覚が当初から必要なのですから。
また、NPOは猫も杓子も893から大学先生まで、まあ、雨後の竹の子を超える勢いで出来ています。その多くは、地元行政から、どうやって助成金を取るか? ということに血眼になっているケースが多いです。私のやっているNPOは専門性が高いので、とあるトンデモNPOから、助成金取得詐欺被害を受けたことがあります。(協力を同意していないのに、それがあるかのように、地元県に助成申請して、助成金を搾取)。
ADRが普及するかはわかりませんが、医療紛争の増加を見て、NPOを作る人がいても、不思議ではないと思います。大学の先生だと、助成金も取りやすいですし。あと、NPOは書類さえ整っていれば、認証されます。政府や行政機関の「認可」とはまったく異なりますので、NPO=胡散臭い可能性、という認識がまずは必要だと思います。
2009-04-06 都立府中病院の不思議な当直
東京都立府中病院は医療法定床821床、予算定床761床の大きな病院です。予算定床とは聞きなれない言葉ですが、実働病床の事のようです。ここの労基法41条3項に基づく「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」の情報をMed_Law様から御提供頂きました。
東京都立府中病院の「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」
医師数:61人
一回の宿直員数:7人
勤務の態様:入院患者及び救急患者の診察(但し、簡易な診察受付をなし、他診療行為は宿直医以外の医師が診察する。)
昭和48年4月1日
都立府中病院長 ◎◎ ◎◎ (東京都立府中病院長印)
立川労働基準監督署殿
(昭和48年5月25日 立川労働基準監督署 届け出済み印)
許可を受けたのが昭和48年と言いますから、1973年の事になり実に36年前の許可になります。古いから悪いと言うわけではありませんが、実に不思議な内容です。書式から考えるとこれは医師当直の宿日直許可証かと考えられますが、これだけでは良く分からないので江原朗様の小児科医と労働基準を確認してみると、都立府中病院の宿日直許可証として掲載されています。これを読むと経過は少々複雑で、私の理解するところでまとめると、
Date | 宿日直許可状況 |
1970.9.1 | 内科1名、外科2名、産婦人科1名、結核病棟1名、汽缶作業1名の計6名の当直申請 |
1970.9.25 | 薬剤師1名の当直許可 |
1973.5.29 | 上記7名の当直許可 |
1978.2.7 | 放射線科技師の1名当直許可 |
1978.4.21 | 臨床検査技師の1名の当直許可 |
この理解で正しいかどうか、いささか自信が無いのですが、あくまでも私の理解するところでは都立府中病院の当直体制は、
- 医師5名(内科1名、外科2名、産婦人科1名、結核病棟1名)
- 医師以外4名(汽缶作業1名、薬剤師1名、放射線技師1名、臨床検査技師1名)
この9名体制と考えられそうです。医師の当直許可の勤務の態様は1970.9.1申請時点では
入院患者及び救急患者の診察
これだけでどうやら承認されていたようですが、1973.5.29の時点ではこれに加えて、
-
但し、簡易な診察受付をなし、他診療行為は宿直医以外の医師が診察する。
この但し書きは「入院患者」も「救急患者」の診察にも適用されると考えられます。当直医が「簡易な診察受付」だけしか従事しないのは労基法41条3号に基づく宿日直許可の趣旨からして正しいのですが、診療行為を行う「宿直医以外の医師」とは誰だという事になります。考えられるのは、
- 当直医以外に交代制の勤務体制の医師が存在する
- オンコール等で診療行為に必要な医師が呼び出される
この2つが考えられますが、交代性を敷いているのであればわざわざ5人もの「簡易な診察受付」しかしない当直医を置く理由が不明となります。そうなるとオンコール等により必要な医師が呼び出される体制である可能性が高くなります。伝統ある病院には不思議な慣習が時としてありますが、こういう体制でも救急患者が滅多に来ない病院ならありうるかもしれません。しかし都立府中病院は東京ERの一翼を担う病院です。都立府中病院のHPに平成19年度の患者統計がありますので、ちょっと見てみます。時間外の年間実績は、
-
入院:3684件(うち救急車1801件)
外来:25679件(うち救急車4590件)
また休日分の実績は、
-
入院:1307件(うち救急車633件)
外来:13110件(うち救急車1616件)
年間休日は概算で125日ぐらいですから、
* | 外来平均 | 入院平均 | ||
総数 | (救急車) | 総数 | (救急車) | |
平日 | 52.4 | 12.4 | 9.9 | 4.9 |
休日 | 104.9 | 12.9 | 10.5 | 5.1 |
平日でも50人、休日になると100人を超す救急患者があり、救急車も毎日10台以上が搬送され、緊急入院も連日10人を超えます。かなり忙しい時間外診察である事がわかります。宿日直許可証の勤務の態様を額面通りに受け取ると、
-
平日50人、休日100人の救急患者 → 5名の当直医が「簡易な診察受付」 → オンコール医が診療行為
当直医は「簡易な診察受付」だけでも平日で単純平均10人以上を行なう必要がありますから、それなりに大変そうですが、本当にそれだけなら負担は十分な睡眠が必ずしも取れないことを除けばラクな当直です。一方で当直医以外のオンコール医は地獄を見る様な気がします。平日で50人、休日で100人も来る救急外来ですから、どの診療科の患者が来るなんて予想は仕切れません。つうか、一晩にオンコール診療科の救急患者が1人も来ないのはラッキーとも考えられます。
つまり労基法41条3項の宿日直許可条件を遵守する姿勢としては問題は少ないかもしれませんが、その代わりに当直医以外に大きな負担がかかる当直体制とも考えられます。そんな不思議な当直勤務を5名体制で本当に行なっているのでしょうか。個人的には都立府中病院の実態は、5名の当直医で「名ばかり当直」の実質夜勤を行なっているんじゃないかと考えます。
都立府中病院と言えばいつかのコメント(どこだったか忘れてしまいました)で、勤務体制についての抗議運動が先駆的に行われ押し潰された病院であると聞いていますので、そういう病院がこんな不思議な当直体制を行なっているとは考え難いからです。もっともですが、労基法41条3項に基づく宿日直許可が却下されたにも関らず、まるで宿日直許可があるかのような違法体制で「これで問題なし」と胸を張っている日赤医療センターより、「目くそ、鼻くそ」程度はマシとはまだ言えるのですけどね。
卵の名無し
都立府中といえばその昔石原都知事がERとは何かも知らないで「東京ER構想」をぶちあげたアドバルーン爆弾の最初の犠牲者(病院)のひとつだったような記憶がある。医師サイドの反発轟々だったがなぜかマスゴミには病院側の反発をとりあげて報道する記事がまったく無かったのも特に興味がそそられた点だった。
numachinomajo
ちなみに実際は20人くらい当直してるみたいですけどね。
秋は夕暮れ
たしか、去年のシンポジウムで府中病院の産婦人科部長が、産婦人科医の院内滞在時間を調べたら、平均、150時間の超過勤務であったといってました
元外科医
150時間超勤手当を規定通り払ったらたいそうな金額でしょうねw
Yosyan
都立府中病院の産婦人科医はHP上に10人おられます。残業150時間とすれば10人で1500時間になります。一方で4月モデルの残業可能時間は552時間ですから、単純計算で常に3人弱の産婦人科医が病院に存在する事になります。ここで「院内滞在時間」に当直を含んでいなければ4人弱になり、本当に「簡易な診察受付」だけをしている可能性も出てはきます。そんな事はないでしょうけどね。
numachinomajo
そんなことは無いようです。
相当ややこしい症例にも対応しているとの噂も。
Med_Law
府中の申請の成り行きは、申請書の変遷を見ても分かります。
昭和45年の申請は労基署から、相手にされずに却下されたことが分かります。
本来ならば、実態を法令に合わせて改善すべきなのに、都立府中の取った方法は、法令に基づく手続きを実態を無視して、架空の申告をすることでした。
違法であることを知りながら、違法に権利を得るため、あるいは義務を免れるために公文書を得ることを、公正証書原本不実記載という犯罪に相当すると思われます。
この違法な宿直許可書を実際に行使して犯罪を重ねることは、別条で、公正証書原本不実記載行使の罪です
恐らく、宿直時間を時間外労働に算入せずに、36協定違反を免れようとしていることでしょうから、これは有印私文書偽造に価する犯罪だろうと思います。
どこまで都立病院は犯罪を重ね、勤務医からピンはねすれば気が済むのでしょう。
必ず、鉄槌を下さないといけません。
2009-04-04 日赤医療センター 労基署への挑戦
愛育病院と相前後して労基署の是正勧告が出された日赤医療センターの対応の蛇足解説編です。モトネタは4/2付医療維新で、昨日のエントリーにも引用しています。
問題にした発言は日赤医療センター管理局長の竹下修氏のものです。
病院が職員を宿日直業務に従事させる場合には、「断続的な宿直又は日直許可申請書」を労基署に提出しなければならない。日赤医療センターの場合は未提出だ。「申請書を提出しようとしたが、労基署は宿直等ではなく、通常業務の延長であるとされ、受け取ってもらえなかった」(竹下氏)。
これがどういう意味を持つかです。まず「断続的な宿直又は日直許可申請書」とは労働基準法41条3項に基づくもので、条文を引用すると、
第41条
この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
- 別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
- 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
- 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
この41条3項による「断続的な宿直又は日直許可申請書」の許可を受けるとどういうメリットがあるかといえば、
- 宿日直として正規の労働時間にカウントされない、つまり時間外労働ではない
- 時間外労働ではないため法定割増賃金は発生せず、時間給の1/3を払えばOKとなる
時間外労働にもならず、賃金は1/3で医師を当直業務に就かせる事が出来ます。ところが日赤がこの「断続的な宿直又は日直許可申請書」を労基署に提出したところ労基署から、
-
宿直等ではなく、通常業務の延長である
こういう理由で許可が下りませんでした。当直業務は正規の労働時間にカウントされず、賃金も安くなるために許可の条件があります。とくに医師の場合は平成14年3月19日付基発第0319007号「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」および平成14年3月19日付基発第0319007号の2「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について(要請)」にも明記され、「勤務の態様」として
常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみを認めるものであり、病室の定時巡回、少数の要注意患者の検脈、検温等の特殊な措置を要しない軽度の、又は短時間の業務を行うことを目的とするものに限ること。したがって、原則として、通常の労働の継続は認められないが、救急医療等を行うことが稀にあっても、一般的にみて睡眠が充分とりうるものであれば差し支えないこと。 なお、救急医療等の通常の労働を行った場合、下記3.のとおり、法第37条に基づく割増賃金を支払う必要があること。
さらにこれはもっと具体的に通達されており、
- 通常の勤務時間の拘束から完全に開放された後のものであること。即ち通常の勤務時間終了後もなお、通常の勤務態様が継続している間は、勤務から開放されたとはいえないから、その間は時間外労働として取り扱わなければならないこと。
- 夜間に従事する業務は、一般の宿直業務以外には、病室の定時巡回、異常患者の医師への報告あるいは少数の要注意患者の定時検脈、検温等特殊の措置を要しない軽度の、又は短時間の業務に限ること。従って下記(5)に掲げるような昼間と同態様の業務は含まれないこと。
- 夜間に充分睡眠がとりうること。
- 上記以外に一般の宿直の許可の際の条件を充たしていること。
- 上記によって宿直の許可が与えられた場合、宿直中に、突発的な事故による応急患者の診療又は入院、急患の死亡、出産等があり、あるいは医師が看護師等に予め命じた処置を行わしめる等昼間と同態様の労働に従事することが稀にあっても、一般的にみて睡眠が充分にとりうるものである限り宿直の許可を取り消すことなく、その時間について法第33条又は36条第一項による時間外労働の手続きをとらしめ、法第37条の割増賃金を支払わしめる取扱いをすること。従って、宿直のために泊り込む医師、看護師等の数を宿直する際に担当する患者数との関係あるいは当該病院等に夜間来院する急病患者の発生率との関係等からみて、上記の如き昼間と同態様の労働に従事することが常態であるようなものについては、宿直の許可を与える限りではない。例えば大病院等において行われる二交代制、三交代制等による夜間勤務者の如きは少人数を以て上記勤務のすべてを受け持つものであるから宿直の許可を与えることはできないものである。
- 小規模の病院、診療所等においては、医師、看護師等、そこに住み込んでいる場合があるが、この場合にはこれを宿直として取り扱う必要はないこと。但し、この場合であっても上記(5)に掲げるような業務に従事するときは、法第33条又は法第36条第一項による時間外労働の手続が必要であり、従って第37条の割増賃金を支払わなければならないことはいうまでもない。
- 病院における医師、看護師のように、賃金額が著しい差のある職種の者が、それぞれ責任度又は職務内容に異にする宿日直を行う場合においては、1回の宿日直手当の最低額は宿日直につくことの予定されているすべての医師ごと又は看護師ごとにそれぞれ計算した一人一日平均額の3分の1とすること。
こういう風に通達されています。ながい文章ですがあえて短くまとめと、
-
特殊の措置を要しない軽度の、又は短時間の業務に限ること。
「断続的な宿直又は日直許可申請書」の許可を受けるためにはこの通達の条件を満たす必要があると言う事です。日赤は条件を満たしていないので許可できないと労基署は返答したことになります。労基署の判断は非常に常識的なものと感じます。24時間365日体制の総合周産期センターであるだけではなく、東京都指定の「スーパー周産期」でもある当直の業務が「特殊の措置を要しない軽度の、又は短時間の業務に限ること。」であるはずがないからです。ここでなんですが、日赤医療センターの「当直」の勤務体制ですが、4/2付医療維新より、
日赤医療センターの場合、医師の場合、宿直料は1回2万円、日直料は1回4万円。それに加えて、救急患者への対応などの業務を行った場合には、その時間分の時間外労働に対する法定割増賃金を支払っている。
この勤務体制は、
- 労基法41条3項に基づく当直として「宿直料は1回2万円、日直料は1回4万円」を支払っている
- 通達にあるように当直以外の通常業務(時間外勤務)が発生したときに法定割増賃金を支払っている
これはあくまでも労基法41条3号に基づく「断続的な宿直又は日直許可申請書」を労基署から許可を受けた時に可能な賃金体系です。しかし許可を受けていないのは日赤医療センター管理局長の竹下修氏が明言している通りです。
労基法41条3号に基づく「断続的な宿直又は日直許可申請書」の許可が無い状態の勤務はすべからく通常勤務になります。これについて裁量の余地はありません。病院には宿日直(当直)を置かなければならないのは医療法の規定ですが、この当直は医師が院内に存在すれば良いだけで、医療法に基づいての当直であるからと言って、労基法の当直とイコールでないと言う事です。
つまり日赤医療センターは労基署から労基法41条3号に基づく「断続的な宿直又は日直許可申請書」の許可を受けていないにも関らず、勤務する医師に対して宿日直業務の勤務条件で働かせている事になります。これは明白すぎるほどの違法行為です。日本中の病院で行なわれている「名ばかり当直」とは意味するところは根本的に違う違法行為です。
労基署が日赤の労基法41条3号に基づく「断続的な宿直又は日直許可申請書」を許可しなかった意味合いも明瞭で、平成14年3月19日付基発第0319007号「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」に照らし合わせても宿日直業務と見なす事ができないので、通常勤務として扱って勤務体系を組みなさいという事です。こういう場合の対処方法もまた明記してあり、
宿日直勤務中に通常の労働が頻繁に行われる場合労働実態が労働法に抵触することから、宿日直勤務で対応することはできません。 宿日直勤務の許可を取り消されることになりますので、交代制を導入するなど業務執行体制を見直す必要があります。
たとえそれまでに労基法41条3号に基づく「断続的な宿直又は日直許可申請書」を受けていてもこれを取り消し、
-
交代制を導入するなど業務執行体制を見直す必要があります
日赤の場合は「どうやら」これまでも許可を受けていなかったようですから、「即こうせよ」の勧告と同様かと考えます。日赤が労基署から受けた是正勧告は、
- 「36協定」を結んでない
- 労働時間が8時間を超えた場合に、1時間の休憩時間を与えていない
- 研修医(1人)の時間外労働に法定割増賃金を支払っていない日が1日あった
これらについては「対応している」と日赤側はしています。ここで36協定を結べば当直問題が解消するかと言えば、そうは言い切れません。36協定は簡単に言うと法定労働時間を超えて時間外勤務を行なう協定の事で、これを結んでも労基法41条3号の宿日直許可とは基本的に関係ありません。あえて言えば仮に労基法41条3号に基づく「断続的な宿直又は日直許可申請書」が労基署から許可されている状態で、当直勤務者を通常業務(時間外勤務)に就かせる事が可能になるだけの事です。
36協定を結んでいない時期の日赤は、労基法上で医師に時間外勤務さえさせる事が出来ない状態であったのです。36協定を結んで初めて、
日赤医療センターの場合、医師の場合、宿直料は1回2万円、日直料は1回4万円。それに加えて、救急患者への対応などの業務を行った場合には、その時間分の時間外労働に対する法定割増賃金を支払っている。
この当直勤務体制のうち
-
その時間分の時間外労働に対する法定割増賃金を支払っている
この部分がやっと合法的になるだけの事です。36協定を結んでいなかった日赤は、そもそも時間外勤務をさせること自体が労基法違反であり、たとえ法定外割増賃金を支払っても違法状態です。それを3月に結んだとされる36協定でやっと合法的になります。36協定を結ぶ以前の時間外勤務は法定外割増賃金を支払おうが支払まいがすべて労基法違反に該当します。
交代勤務制を導入するには変形労働時間の許可が必要であり、その上で36協定で結んだ時間外労働時間の上限を考慮しながら勤務シフトを組まなければなりません。当然のように夜勤勤務者が増えれば日勤勤務者の減少が起こります。聞くところによると日赤は「3人当直体制」であるとのことですから、時間外勤務を考慮に入れても、従来の勤務体制とは大きく変わってくるはずです。日赤の産婦人科医数は僻地の産科医様の情報によると、
確かに「産科医は研修医を含めて24人」ですが、問題はその内容です。
昨年度(昨日まで)の状況は以下の通り。
1年目研修医 2人(産科当直したことなし、産科志望というだけ)
2年目研修医 2人(産科研修中のみ当直。2年で半年くらい研修)
3年目研修医 5人(一人は他県の日赤に長期出張中)
4年目研修医 3人(他科を研修したりで、普通勤務は2人)
6年目くらい 2人(来年度専門医取得予定)
7−9年目 2人
10年目以上 8人
当直できたのは、結局18人くらいしかいませんでした。
今年度に入って、動きがあって、
7−9年目専門医が2人退職。
6年目も一人退職。
2年目は一人は転科。
そして、代わりに就職される方々が、
20年目の大ベテラン、 3年目一人、
6年目くらいの産休明け2人(週3日の日勤のみ)
1年目2人(当直せず)。
私もこのソース元を知っていますが、非常に信頼できる情報です。労基法41条3号に基づく「断続的な宿直又は日直許可申請書」の許可の有無はこれだけ深刻な影響を及ぼします。だからこそ同じように許可を得られなかった愛育病院があれだけ大騒ぎしたとも言えます。
手短に条文と通達の説明を簡略にしようと試みましたが、見事に大失敗で、解説だけでいつものような長文になってしまいした。日赤と愛育はほぼ同じ時期に労基署の監査が入り、同じような是正勧告が行なわれています。日赤は「ウチは軽い」と主張していますが、私の見るところでは表に出てこない是正勧告のポイントは、
-
労基法41条3項に基づく宿日直許可を与えない
愛育も日赤も驚くべき事に36協定も労基法41条3項に基づく宿日直許可も取っていなかったですが、36協定は労使で結べば取得可能です。ところが労基法41条3項に基づく宿日直許可は労基署の判断が入り、日赤も愛育も許可が下りませんでした。どちらの病院への労基署の判断は「通常業務である」で、今回の是正勧告の特徴となっているかと考えます。これは担当労基署の判断がたまたま同じだったと考えるより、労基署の上級庁の労働局、さらに上級の厚生「労働省」の意志が働いていると考えられます。
ここで愛育に対して東京都及び厚労省の対応を思い出して欲しいのですが、
- 都は25日、「労基署の勧告について誤解があるのではないか。当直中の睡眠時間などは時間外勤務に入れる必要はないはず。勧告の解釈を再検討すれば産科当直2人は可能」と病院に再考を求めた。
- 厚生労働省の担当者からは25日、労働基準法に関する告示で時間外勤務時間の上限と定められた年360時間について、「労使協定に特別条項を作れば、基準を超えて勤務させることができる」と説明されたという。
この愛育に行なわれた指導は日赤にも行なわれたと考えるのが妥当です。とくに東京都の見解と言うか対応法は、労基法41条3項による宿日直許可がない状態での、
宿直料は1回2万円、日直料は1回4万円。それに加えて、救急患者への対応などの業務を行った場合には、その時間分の時間外労働に対する法定割増賃金を支払っている。
こういう違法勤務体制の勧めであったと考えます。厚労省の見解と対応の趣旨は、是正勧告下ですから時間外労働のカウントが厳格になり、そのため36協定の告示による上限時間をオーバーする可能性が非常に高く、そうなった時の予防策の伝授と見る事ができます。つまり2つはセットで「アドバイス」されたと考えます。
厚労省のアドバイスは36協定下の時間外労働時間の上限の融通方法のアドバイスですが、東京都の方法は労基法41条3項の宿日直許可がない状態では完全に違法になります。別に社労士でなくとも「無理筋どころでない」と考えても不思議ありません。是正勧告下でこういう違法を行なえばさらに厳しい指導が入ることは容易に予想され、愛育院長の
「“担当部長の意向”だけでは、今後人事移動などにより判断が変わる可能性もある。周産期医療協議会で検討を行った上、文書で回答をいただきたい」としている。
違法状態のお墨付を求めた展開になったと考えられます。その後の愛育への根回しはどうなったかの確報はありませんが、交代勤務制を充足させる医師がいない以上、東京都は文書提出なしでの愛育説得が続けられていると考えられます。ここで愛育はまだ難色を示しましたが、日赤は一切の難色を示していません。おそらく東京都及び厚労省のアドバイスをそのまま受け入れたと思われます。
問題になると考えられるのは2点で、
- 愛育が当初、東京都及び厚労省の「アドバイス」に難色を示し、違法裏技アドバイスの内容が広まってしまった
- 日赤が平然と裏技アドバイスを行なっている事を公言した
おそらく日赤は愛育と違い、違法裏技アドバイスを東京都及び厚労省のお墨付と受け取ったかと考えます。愛育も日赤も黙って受け入れていれば、どんな裏技が行われ、どんな決着になったかは「誰も知らない」でウヤムヤになるところだったのでしょうが、愛育が違法裏技アドバイスの内容を暴露しただけではなく、日赤が違法裏技アドバイスの実行を口にしてしまった事です。
労基署と言うか厚生「労働省」の今回の真の意向はどこであったかは不明です。ただ首都東京でこれだけの事を断行したのですから、それなりの目的はあったはずです。労基法41条3項による宿日直許可も黙って与えれば、違法裏技アドバイスにしなくとも普通の指導になるからです。わざわざ違法裏技アドバイスになる状態を病院側に強いるのは不自然だからです。
もっともこういう事も考えられます。指導に回った厚労省サイドの足並みの乱れです。二つの意向が厚生「労働省」と「厚生」労働省から出た可能性です。
- 厚生「労働省」側から医療現場の労務管理適正化の意向
- 「厚生」労働省側から労務管理適正化を骨抜きにする意向
ここは1.が打ち出されて2.の対応が行なわれたと考えることもできます。内情はもっと混乱したものであったかもしれませんが、とにかく労基署の決定した労基法41条3項の宿日直不許可状態を覆す事は難しいですから、不許可状態のまま許可があるかのような状態での宿日直体制の黙認による現状の維持です。こういう対応に対する厚労省内の根回しがどうなっているかは藪の中です。
もし厚労省内の厚生「労働省」と「厚生」労働省の意向が相反していた場合、いやそれなりに手打ちが行なわれていたとしても、日赤の違法状態が公言されたら厚生「労働省」の立場は微妙な物になります。手打ちがあってもおそらく厚生「労働省」側は「知らなかった」の立場でいたいはずですから、騒ぎが大きくなれば看過できなくなります。言っても労基法の元締めですから、指導しておいて違法を黙認したとなれば責任問題が生じます。日赤内部から誰か訴訟を起そうものなら絶対に勝てません。
「厚生」労働省の綱渡り的対応の優等生であったはずの日赤ですが、m3の取材への対応は大きなミスであったと見ます。せっかく表沙汰になっていなかった宿日直許可問題を表面化させ、さらに違法裏技アドバイスの実行を明言してしまったのです。日赤医療センター管理局長の竹下修氏すれば東京都及び「厚生」労働省のお墨付の方法ですから、どこに出しても、誰に話しても「何の問題もない」との考えかもしれませんが、やはり表に出れば困る問題です。
厚生「労働省」の労基法に対する態度は表と裏がありますが、裏で黙認している事も表に返れば問題になります。日赤の姿勢は労基署への挑戦と受け取られる可能性が十分出てきます。根回しがあっても、表に出たものを黙認すれば労働行政として極めて不都合な事態になり、官僚の忌み嫌う責任問題に発展します。こういう黙認は愛育・日赤の問題だけではなく労働行政全般に波及してしまうからです。
第2幕は果たしてあるかになります。第2幕は、
- 労基署が自ら開く
- 労基法違反訴訟が起され引きずられる
日赤の内部情報として、医師の大勢はこの問題に無関心だそうですが、その中の一人でも立ち上がれば司法の場では黙認問題は通用しません。今頃、息を呑んで問題の展開を見守っているかもしれません。
お弟子
弁護側のインタビュアーへのリップサービスを考えても「労基法を蹂躙(じゅうりん)している」とまで言わしめた病院業界の労働環境です。行政・司法の手が"まともに"入ってこなかったことが残念ながらその環境改善につながらなかったという、その自主的改善力のなさを示しております(こと労働環境に関して言えばどの業界も第三者の眼が入らないと改善しない傾向にあるようですが)。厚生行政指導ならいざ知らず、労働行政指導自体も病院業界(経営側)では相当軽く見られてますからねぇ。
改善しようと努力しているのか、問題点を把握する努力をしているのか、あたりからして問われている中で、このような態度を見せられれば、責任を持つべき人の責任を追及しようという流れになってもおかしくないでしょう。さて実際にそこまで行くのかはwktk。ちなみに私はそういうやり方が好きです(^^)
Med_Law
厚労省であれ、都であれ、法律の前には下僕でしかありません。
公務員である限り、法律に逆らって業務をすることは許されません。
下僕の立場であるのに、法律に逆らったらどうなるかというと厳しいペナルティーが待ってます。
労働省側の擁護というか、手法を少し説明すると、「是正勧告」というのは文書で行いますが、指導の全てではありません。口頭指導もあります。
”宿直許可は出さないよ”というのも口頭指導であって、指導に従わない場合は、重大な不利益・刑罰を受ける可能性があるよということです。
黙認のように見えることがありますが、黙認ではありません。単に期限を定めない執行猶予を与えただけです。
執行猶予というのは、次に犯罪を犯したら、いきなり刑罰にジャンプアップするということです。
今必要なのは、見守りではなく、日赤医療センターと労基署に引導を渡してあげることです。
穏便に、正々堂々と司法手続きに移すことによって、粛々と労働問題が改善していくことでしょう。
Med_Law
そうそう、日赤医療センターでは、「月45時間を超える超過勤務は、ほとんど認められなかった」としていますから、当直時間を超過勤務時間に算入していないのは明らかです。
算入するべき時間を算入せずに、違法事実を逃れようとする・・・・・
労基法違反以外の刑法罰については、警察または検察に捜査を要請あるいは、告訴・告発することになります。
(参考)
私文書偽造行使等の罪
刑法159条3項
権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処せられる(刑法159条3項)。
偽造私文書等行使罪
刑法159条(私文書偽造行使等)と160条(虚偽診断書等作成)の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処せられる(刑法161条1項)。未遂も罰せられる(刑法161条2項)
Med_Law
宿直許可を得るためには、労基署に申請書を出さないといけません。
「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」というものです。
資料の一つを提示します(東京都に対する情報公開請求で得られたもの)
*********************************************
東京都立府中病院の「断続的な宿直又は日直勤務許可申請書」
医師数:61人
一回の宿直員数:7人
勤務の態様:入院患者及び救急患者の診察(但し、簡易な診察受付をなし、他診療行為は宿直医以外の医師が診察する。)
昭和41年4月1日
都立府中病院長 ◎◎ ◎◎ (東京都立府中病院長印)
立川労働基準監督署殿
(昭和48年5月25日 立川労働基準監督署 届け出済み印)
*********************************************
都立府中病院と言えば、東京ERの中核です。
簡易な診察受付業務に7人の医師。さて、誰が診察を行っているのでしょう?????
都立府中病院の当直医は単なる電話番なのでしょうか?????
さて、都立府中病院の宿直許可書は有効でしょうか?罪に相当しないのでしょうか?
私の乏しい能力では判定不能です。
誰か教えてください。
Yosyan
今回の件で見え難いところは、宿日直許可を与えないという英断(本来当たり前の状態なんですが)を行ないながらも、マスコミ報道では厚労省の担当者なる人物が妙なアドバイスを与えている事です。この厚労省の担当者が誰であろうかと言うことです。宿日直許可の件は与えてしまえば今回の問題は小さくなります。にも関らず、不許可にしたため問題を小さく収められない原因となっています。
これが厚労省全体の意図として行なわれているとすれば、宿日直許可のない状態で、あたかも許可があるかのような労働状況を黙認させ前例を作る事になり、何ゆえにそんな回りくどい、危なっかしい事をやらなければならないかの謎が残ります。それであれば、そもそも触れなければ良いことになります。
日赤の姿勢は東京都及び厚労省の担当官の意向を受けたものである事は確実みたいですが、少しでも労基法問題に詳しい人物がおれば、行なっている事は支離滅裂である事は明らかです。社労士でなければ判別できない微妙な問題とは異なると考えます。にも関らず自信満々で取材に応じています。この自信はどこから来るのかの謎も残ります。
愛育日赤事件にそもそもシナリオはあったのでしょうか。またあったとしても予定通りに進んでいるのでしょうか。個人的にはもしシナリオがあったとしても、厚生側と労働側の齟齬からポロポロとアラが零れている状態に見えて仕方ありません。ひょっとして、労働側の厚生側に対する何らかの意図だけがあり、厚生側がfollowに走り回っているとも考えられます。
日赤が明らかにした宿日直問題の解決法は、表に出ると危ういどころのものではありません。労基署の面子がかかる問題であり、火種としては小さくありません。素人目からは弾力運用のナアナアで済む問題とは思えないのですが、裏舞台はどう動いているのか興味津々です。
法務業の末席
愛育病院に対して「東京都及び厚労省の対応」ですが、下記2の説明アドバイスを行った「厚生労働省の担当者」とは、一体厚労省の何処の部署の誰のことなのでしょうか?
>1.都は25日、「労基署の勧告について誤解があるのではないか。当直中の睡眠時間などは時間外勤務に入れる必要はないはず。
> 勧告の解釈を再検討すれば産科当直2人は可能」と病院に再考を求めた。
>2. 厚生労働省の担当者からは25日、労働基準法に関する告示で時間外勤務時間の上限と定められた年360時間について、
> 「労使協定に特別条項を作れば、基準を超えて勤務させることができる」と説明されたという。
周産期センターの指定返上に絡んでの東京都の担当者と相談したのは3月25日のことです。このときに愛育病院が相談したのは東京都福祉保健局医療政策部であって、東京都労働局(三田労働基準監督署の上級庁)や厚生労働省労働基準局(東京都労働局の上級庁、所謂「本省の局」)と相談したとの報道は確認できません。ですので上記の2つの見解やアドバイスは、指定返上の相談を受けた東京都福祉保健局医療政策部が、慌てふためいて周産期センター全般を所管する厚生労働省の雇用均等女子家庭局、或いは病院や医療を所管する医政局に問い合わせた結果、その両部局の厚生労働省の担当者が説明した2の解説アドバイスであると推測されます。
ご承知のこととは思いますが、労働基準法を所管しているのは厚生労働省ですが、労働基準局が所管であって、雇用均等女子家庭局や医政局は労働基準法や労働基準行政について、何ら公式に発言したり法律解釈を行う権限がありません。また、36協定での時間外労働の上限時間である年360時間等の限度基準の設定は、平成10年労働省154号の労働大臣の告示であって、特別条項での上限超過についても法的な根源はこの大臣通達と、平成11年4月改正で追加された労基法36条2項「労働大臣は、・・・・・・基準を定めることが出来る」という労基法条文になります。ですので36協定で延長できる上限時間の基準を見直す場合は、単なる官僚の通達(局長通達)ではダメで、改めて厚生労働大臣(現時点では舛添大臣)の名において、平成10年の労働大臣告示を改正する新たな大臣告示が必要になります。所管の労働基準局であっても、課長や課長補佐クラスが電話口で東京都福祉保健局医療政策部に対して安請け合い出来る事項では無い筈です。
すなわち、36協定での上限時間数や特別条項での上限時間を弾力的に解釈に言及することや、労基法や36協定に関する労働基準行政の運用の弾力化ついては、雇用均等女子家庭局や医政局が勝手に発言することは出来ません。もし仮に、雇用均等女子家庭局や医政局所管が管轄外の労基法解釈について、労働基準局との打合せや承認が無いまま解説アドバイスすることは重大な越権行為であって、そうした権限外の労基法解釈アドバイスの有効性は認められないのが霞ヶ関のルールです。
こうした理由から、先の愛育病院に対する「厚生労働省の担当者からは・・・特別条項を作れば・・・できると説明された」という報道は、労働基準局の担当者からの公式の説明ではなく、雇用均等女子家庭局や医政局の医療系官僚が、個人的な「思い」として東京都福祉保健局医療政策部の担当者宛てに口にしたコメントが、医療系のマスコミ関係者や病院関係者の間で、いつのまにか労基法を所管する「厚生労働省の担当者」が、という形に膨らんでしまったのではないかと推測されます。
この「厚生労働省の担当者」が一体どの部局の誰なのか私自身も明確な情報を得ていませんが、印象としては労基法を所管する労働基準局の担当者の解説アドバイスとは到底思えません。今後の報道で明かになるであろう事実経過や、厚生労働省から出される公式の情報などを注視するべきと思います。
Med_Law
訂正:
× 昭和41年4月1日 ⇒ ◎ 昭和48年4月1日
ちなみに東京ER制度は、
『平成13年11月28日午後5時より「東京ER・墨東」を開設した』
http://bokutoh-hp.metro.tokyo.jp/introduce/er-ex.html
が最初だそうです。
都立墨東病院の医師では、麻酔科医一人しか宿直許可が下りていないのは、このブログに集う人なら常識的知識の部類に入るのではないでしょうか?
http://pediatrics.news.coocan.jp/bokuto_metro.pdf
都立駒込病院には、そもそも宿直許可がありません。これも既出でしたね。
http://pediatrics.news.coocan.jp/komagome.pdf
東京都の労働問題に関するコンプライアンス対策費用は、おそらく新銀行東京か、オリンピック誘致に消えてしまったのでしょう。
石原都政、万歳!
Yosyan
法務業の末席様
>印象としては労基法を所管する労働基準局の担当者の解説アドバイスとは到底思えません。
私もそうなんです。簡単に経緯をまとめると、
3/13:日赤に是正勧告
3/17:愛育に是正勧告
3/25:東京都と「厚労省の担当官」のアドバイス
3/26:マスコミ報道
ここでそもそもなんですが、東京都の担当者が愛育の総合周産期返上の動きに対して愛育に相談をしても何の不思議もないのですが、ここで厚労省(本省)の官僚がシャシャリ出てくるのは誠に不思議です。シャシャリ出た上に労基法軽視のアドバイスをするなんてのは、官僚秩序からあり得るかの素直な疑問です。労基署の決定を骨抜きにするような方針のアドバイスを、是正勧告後1週間で行なうのは責任問題と言う観点からリスクが高すぎます。
政治的に動く事はありうるかもしれませんが、それならそれで責任回避のために絶対に表に出ない隠密行動でなければならないはずです。隠密行動を起すにしても時期として早すぎるかとも感じます。隠密行動のためには省内の根回しが絶対必要ですから、1週間で動くには監査の時点から行動する必要が生じます。それなら監査自体をやらなければ良いの理屈になります。もっと言えば監査の時点で是正勧告内容に細工をした方が問題対処が容易になります。
そうなると3/25に愛育と相談したのは、法務業の末席様が指摘されたように、東京都の担当者だけで、東京都の担当者が内々に「厚生」労働省の官僚に相談しただけだった可能性が高くなります。ここで是正勧告に震え上がっている愛育サイドを説得するために、東京都の担当者が「厚労省の担当者」の話をお墨付として多用したのがもっともあり得ます。
一つだけ不思議なのは、マスコミ報道の「厚労省の担当者」の話の内容は、厚生「労働省」サイドからすると、おもしろくないと言うか看過できるものではないと感じます。それに対するリアクションが今のところ乏しい事です。この辺りをどう考え、判断するかの続報が待たれるところです。
法務業の末席
>厚生「労働省」サイドからすると、おもしろくないと言うか看過できるものではないと感じます。
>それに対するリアクションが今のところ乏しい事です。
私が想像するに、「厚生労働省の担当者の話」は東京都担当者或いはマスコミ関係者の、脳内メイキングであることを、霞ヶ関の本省労働系部局では当初から承知しているから、省内でのリアクションが出ていないのではなかろうか。また東京都に対して厚労省の労働系部局から、医政系部局を経由しないで直接イチャモン付けたり、ネジ込むことも官僚のルール違反ですから、表面化していないのではないかと想像するのですが・・・。
ただ表だってイチャモン付けなくても、心の内では「このヤロォー」と労働系官僚や労基署が憤慨し、その怒りの感情が「病院や都がそんな小細工するなら、今に見ておれぇ〜」となって、医療現場にしっぺ返しと言うかリアクションが来ることを、私個人としては非常に危惧します。
10年ドロッポ
>私個人としては非常に危惧します。
眼が笑ってますけどw?
`
>自信満々で取材に応じています。この自信はどこから来るのかの謎も残ります。
官僚の基本は無事に任期を勤め上げることで、そのための最も安全確実な道は前例の通りにすること。それが本末転倒すると、前任者のやった通りにしているのだから間違いない、という自信につながる??
Yosyan
>その怒りの感情が「病院や都がそんな小細工するなら、今に見ておれぇ〜」
不思議ですけどなぜか「朗らかな気分♪」が・・・
Med_Law
>その怒りの感情が「病院や都がそんな小細工するなら、今に見ておれぇ〜」
それでは、私は燃料注入係に・・・・・笑
shin-nai
そもそも、厚生省と労働省を一緒にしたところからトラブルの
火種が蒔かれてしまったのではないか、と感じます。
あと
東京都としては今までも同様な問題に対して、このように指導してすり抜けてきた…というのはないですかね?
社保庁で保険料の不正免除指南が行われたごとく、企業や自治体施設とかに同様な指導を繰り返していた、という
邪推をしてしまいます。
で、愛育の院長はあとあと面倒になりそうだと気づいて、部下のためか自分の保身のためなのか、違法状態の
許可文書を要求したところが想定外だった、と。
ひんべえ
こうなってくると、検察への告発を労基署はするべきでしょうね。
もし、労基署が告発をしない場合は、刑事訴訟法239条2を無視していることになり、職務怠慢であるということになりますね。。。。
学説によっては、これは義務規定ではなく、訓示規定と解釈する向きもあるようですが。
しかし、こう書いてある以上は告発しない職員は明らかに 不作為 を行っているわけで
日赤の職員が労基署の職員個人を訴える、ということも出来得るわけですよね。
医療訴訟ではないが、寒い時代ですね。でもそれくらいしないと、なあなあで法律を無視してきた
現状は変わらないでしょうね。
法務業の末席
>検察への告発を労基署はするべきでしょうね。
>労基署が告発をしない場合は、刑事訴訟法239条2を無視していることになり
労基署の労働基準監督官は特別司法警察員ですので、検察への告発ではなく、捜査の結果を検察に送って起訴の判断を委ねなければなりません。これを「送検」と呼び、告発とは刑事訴訟法上全くの別物です。
また、労基署の是正勧告は「行政指導」の段階であって、違法状態の「捜査」ではありませんので、勧告に対して是正が不十分であったときに初めて「捜査」に移るかどうか、特別司法警察員である労働基準監督官が判断します。
>こう書いてある以上は告発しない職員は明らかに 不作為 を行っているわけで
>日赤の職員が労基署の職員個人を訴える、ということも出来得るわけですよね。
上記は法律的には全くの誤解です。
Med_aw
補足しますと、労基署が片っぱしから違法行為を送検していたら、検察も持ちませんが、病院はじめ経営者が持ちません。
労基署の基本は、労使の協調を促しながら穏便に、法的レベルまで労働者の人権を擁護することであって、「悪を罰する」ことではないということです。「悪」の定義も難しいですし、職場が潰れたら労働者も路頭に迷うことも多いから、更に問題は複雑になります。
伝家の宝刀を抜きまくりでは、労基署から自主的に資料の提出を求めても出してこないことになるでしょうし、出してきた資料を捜査に使っては不意打ちに近い裏切り行為に映ることでしょう。
まずは是正勧告を含む行政指導、次に行政指導、その次に行政指導。
仏の顔も三度まで・・・・というところなのでしょう。
日赤の職員が指導を求めて不十分であれば労基署を訴える(行政裁判)を起こすことは可能です。
実際、大島の看護師さんが労基署に宿直許可の取り消しを求めて、その是正が遅れたことを理由に損害賠償請求100万円をして、50万円を勝ち取っています。
http://www.zenkiren.com/jinji/hannrei/shoshi/08123.html
1人50万円ですから、都立病院の医師数千人が合同で労基署へ違法な宿直許可の取り消しを求めると素晴らしいと常々思ってます。
ひんべえ
>日赤の職員が指導を求めて不十分であれば労基署を訴える(行政裁判)を起こすことは可能です。
>実際、大島の看護師さんが労基署に宿直許可の取り消しを求めて、その是正が遅れたことを理由に損害賠>償請求100万円をして、50万円を勝ち取っています。
そういう意味です。言葉足らずで済みません。
血液製剤・エイズ事件で厚労省の当時の役人が不作為で訴えられるような時代ですから
(確かこれは刑事でしたよね)、その気になれば労基署の指導が甘い、として労基署自体が損害賠償
請求の対象になることはあるでしょうね、という意味です。
すでに、そのような裁判もあるのですね。知りませんでした。
法務業の末席
>ひんべえ様
小職が午前中にコメントしたときに時間が無く、切って棄てるような表現になったことをお詫びします。
Med_aw 様(正しくはMed_Law様ですよネ)が解説して下さったとおり、労基法&労基署の目的は「労働者の労働条件の向上」であって、使用者の刑事罰はその「向上」を実現する為に必要最小限に留めるのが、労基法の基本の考え方となっています。
ですので法令に定める最低基準も満たせない使用者(病院当局)に、刑事罰を加えることを第一の目的として労基法や労基署を利用して欲しくない。労基署に期待するのは粘り強く使用者(病院当局)を指導して、その事業所で働く労働者(勤務医や職員)の労働条件が改善されることを第一に考えて欲しいのです。
ケシカラン雇い主はビシバシ処罰しろ!と言いたい方も多いでしょうが、報復的処罰感情と不信感と反感が満ち溢れる職場や業界は、決して働きやすい職場とはなりません。
医師の皆さんに限らず、労基署に相談や指導助言を求める際には、憎らしい雇い主に報復すしたい気持ちは抑えて、気持ち良く働きやすい職場作りを心掛けて頂きたく、皆様にお願いいたします。
元外科医
>非常に信頼できる情報です。
信頼しますw
ETC1000円の恩恵を受けて今朝行ってきた、北の丸公園の満開の桜が綺麗でした。
「朗らかな気分♪」がより一層wktkです。
tadano-ry
元コンサルタントとして色々な業界を見てきましたが、残念ながらほとんどの業界で
労基法が守られているとはとても言えません。経営的に言えばどんどん働かせて給料を
絞れば利益は上がりますが、それに伴う労働者の士気の低下は避けられませんし、何より
職場の雰囲気が荒れてしまって再建どころではなくなります。
それよりも大きな問題は、そうした違法状態の労務管理に依存しすぎると、今回の
ように何らかの形で労基署の指導が入ったときに経営が一気に悪化する可能性が
高まることです。ですからまともなコンサルタントは経営者に労基法を遵守するように
勧めます(ただし強制はできません)。
ただ私の見る限り、病院、特に公立病院の医師に対する労務管理は最悪です。こんなに
ひどい業態は私の知る限り他にありません。それでも赤字が出ると言うことは、価格の
設定が既におかしいのです。
私は経営学というベースがあり基本的には自由経済の信奉者ですので、診療報酬
制度と国民皆保険制度にはフェイルセーフとしての価値は認めますが、基本的には懐疑的
です。今は国家による管理経済という呪縛から医療を開放することが医療再生の近道と
考えています。価格の自由化によって医療費は跳ね上がりますが、それが意味のない
投薬、処置や受診の抑止力になれば医師の労務環境は結果的に改善されるでしょう。
ただしそこに致るまでは死屍累々の状態になることは明白です。それが受け入れられ
ないなら民間保険はアメリカの例を見れば論外、結局税による負担しか道はないと
思っています。
元外科医
>結局税による負担しか道はない
日本医療の完全崩壊を抑制するにはそれしかないと思います。その代わりと言ってはおかしいのですが医師に対する法的、行政的な抑圧が強化される悪寒があります。免許の更新制度とか保険医の定年制とか、役人が医師を縛ろうとすれば何でも出来ます。まあ、医師不足の今では実行が無理なモノしかありませんが、将来、医師養成が軌道に乗れば、十分にそうなる危険がありますね。
uchitama
>その代わりと言ってはおかしいのですが医師に対する法的、行政的な抑圧が強化される悪寒があります。免許の更新制度とか保険医の定年制とか、役人が医師を縛ろうとすれば何でも出来ます。
そうだとすると、少し論理が飛躍するかもしれませんが、医師が真に自由を望むなら、国民皆保険制度の崩壊(保険医の返上)しかないのでしょうか?
保険医登録さえなければ、臨床研修制度も、後期高齢者制度も、、、厚生省すら??、全てが無用のものになります。逆に医局制度や専門医制度の重要性が復活するかもしれません。
元外科医
確かに保険診療だけでは縛りが緩いとなるかも知れません。しかし、役所が本気になれば医師免許更新制度を作って、更新の条件に10年のうち2年間の僻地勤務義務づけとか、ネタのような制度を考えそうです。免許がなければ医療は出来ません。小生は50過ぎなので、更新制度が出来てもおそらく関係ありませんが、役人なら10年計画で教員のように免許の更新制度作るかも知れません。医師数が少なければ対抗可能ですが今後、実質医師過剰時代が来ればやりかねません。
2009-04-03 日赤医療センターの続報記事の凄く気になる点
4/2付医療維新より、
日赤医療センターは労基署の是正勧告にどう対応したか/3点の勧告に書類上は対応、「1時間の休憩取得」など実態が伴わない面あり
「労働基準監督署の指導は受けたが、うちは特別問題があるわけではない」。こう話すのは、日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)産科部長の杉本充弘氏。
この3月、都内で総合周産期母子医療センターを持つ病院が、相次いで労働基準監督署による是正勧告を受けた。日赤医療センターと愛育病院だ。昨年秋、都内で母体搬送が問題になり、総合周産期母子医療センターに勤務する医師の厳しい勤務実態がクローズアップされたのがきっかけだ。
「周産期部門を中心に医師や看護師などについて、昨年10月以降の出勤簿や時間外手当の支払い状況などが調べられた。ちょうど3月25日から“スーパー周産期”が開始するところであり、その関連も踏まえた調査だと受け止めた」(日赤医療センター管理局長の竹下修氏)。渋谷労基署の立ち入り調査が行われたのが1月28日、是正勧告を受けたのが3月13日だ。
日赤医療センターの職員は約1300人に上る。愛育病院では全医師の勤務実態などが調査されたが、日赤医療センターでは職員数が多いことから、全数調査ではなかった。周産期部門を中心に複数科の職員について、2008年10月以降の出勤簿や時間外労働に対する手当の支払状況などが調べられた。
労基署の是正勧告の内容は、(1)「36協定」を結んでない、(2)労働時間が8時間を超えた場合に、1時間の休憩時間を与えていない、(3)研修医(1人)の時間外労働に法定割増賃金を支払っていない日が1日あった、の3点。(1)と(2)は愛育病院と同様だが、(3)は異なる(愛育病院の是正勧告内容については、『「法令違反」と言われては現場のモチベーションは維持できず』を参照)。
追加の法定割増賃金の支払いは研修医1人
まず今回の3点の是正勧告の内容とその対応策を見る。
(1)36協定について
竹下氏は、「36協定」(労働基準法36条が規定する時間外・休日労働に関する協定)を締結していなかった理由について、「約1300人の三交代制の職場で、職員の選挙で決めることが難しかった。約1300人のうち実際に投票に来るのは800人程度。職員の過半数の支持を得るには、800人のうち650人の票は取らなければいけないことになる。二人の立候補者が出れば票が割れるなど、代表者の選出が容易ではなかった」ことを上げる。「36協定」は、病院側と、労働組合または全職員の過半数の職員の代表者との間で締結する必要がある。この代表者の選出が困難だったわけだ。
今回は2人の立候補者がいたが、「選挙」では決定しない可能性があることから、まず一人の候補者について「信任投票」を行った。この候補者について、「職員の過半数超」の信任が得られたことから、この人を代表者として決めた。「36協定」を労使間で結び、3月30日に労基署への届け出をし、受理されている。
(2)1時間の休憩時間について
是正勧告内容は、「労働時間が8時間を超えた場合に、少なくても1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えること」。
日赤医療センターの勤務時間は8時30分から17時10分。休憩時間は12時から45分間(1週間の勤務時間は39時間30分)。「17時10分を超えたときには15分間の休憩を取ってから、時間外労働をさせなければならないと指導されたので、これを徹底する」(竹下氏)。なお、この4月から勤務時間をさらに10分短縮して、17時までとしている。
(3)研修医への法定割増賃金の支払いについて
対象となったのは1年目の研修医1人で、2008年11月19日の1日のみ。「当直業務のときに通常業務を行っていた時間があったが、法定割増賃金を支払っていなかった」(竹下氏)。ローテーションしていたのは、周産期医療以外の診療科だ。4月分の給与で支払うという。
なお、日赤医療センターの場合、医師の場合、宿直料は1回2万円、日直料は1回4万円。それに加えて、救急患者への対応などの業務を行った場合には、その時間分の時間外労働に対する法定割増賃金を支払っている。
日赤医療センターの出勤簿は手書きで、時間外労働については勤務時間やその内容を診療部長などの所属長に提出、所属長が「時間外労働」であると認めた部分については法定割増賃金を支払う仕組みになっている。
例えば、産婦人科の場合、常勤医は22人(うち後期研修医は10人)で、総合周産期母子医療センター(MFICU6 床、分娩室6室、一般病床100床)のほか、婦人科診療を担当する。分娩数は年々増えており、年間2500件を超し、都内ではトップクラス。うち帝王切開手術は約20%。35歳以上の妊婦が4割強。母体搬送件数は2007年度の場合、185件。
総合周産期母子医療センターの場合、夜間は複数医師体制を組むことが求められる。日赤医療センターの場合は3人体制で、宿直回数は週1回だという。分娩件数も多く、相当の業務量に上るものの、「宿直の翌日は、午前中、もしくは午後は休ませよるようにしている。1カ月の時間外労働は30−40時間程度だ」(杉本氏)。
労務問題は全国の多数の病院に共通の課題
日赤医療センターでは今回、是正勧告を受けた事項そのものについては、書類上は対応を終えた。しかし、休憩を確実に取っているかなど実態はどうか、さらには是正勧告を受けた以外に勤務実態上、労基法上で問題がないかどうかは別問題だ。
また今回のような労務問題は、日赤医療センターに限らず、全国の多くの病院に当てはまる問題でもあり、決して他人事ではない。
医師をはじめ、職員が外来診療の途中、手術中などに12時から45分間、休憩が取れるわけはない。また多少遅れた時間からであっても、45分間を昼食に充てることができる病院はどの程度、あるのだろうか。
さらに、宿日直業務の問題もある。病院が職員を宿日直業務に従事させる場合には、「断続的な宿直又は日直許可申請書」を労基署に提出しなければならない。日赤医療センターの場合は未提出だ。「申請書を提出しようとしたが、労基署は宿直等ではなく、通常業務の延長であるとされ、受け取ってもらえなかった」(竹下氏)。
この「断続的な宿直又は日直許可申請書」を提出している病院であっても、申請の内容と実態が見合っておらず、「宿直」ではなく、「通常業務」である病院は少なくないだろう。
「宿直という名の時間外労働」は、何も今に始まったことではないが、長年、改善されてこなかった。今回、母体搬送が問題になっている最中、総合周産期母子医療センターを持つ都内2病院への是正勧告だっただけに、関係者の注目が集まると同時に、問題意識も高まり、まさに“パンドラの箱”を開けた格好だ。現場の医師らがいかに問題視し、声を上げるか、一方で病院、行政がどうこの問題に対処していくか、今後の動向が注目される。
日赤が是正勧告をされたのは3点で、
- 「36協定」を結んでない
- 労働時間が8時間を超えた場合に、1時間の休憩時間を与えていない
- 研修医(1人)の時間外労働に法定割増賃金を支払っていない日が1日あった
これらについての改善内容はもう良いと思います。それより物凄く気になる点があります。日赤医療センター管理局長の竹下修氏も「さほど」の問題点と認識していないように思われますが、私としては、とっても、とっても気になる点です。現在の日赤の宿日直体制ですが、
日赤医療センターの場合、医師の場合、宿直料は1回2万円、日直料は1回4万円。それに加えて、救急患者への対応などの業務を行った場合には、その時間分の時間外労働に対する法定割増賃金を支払っている。
業務の頻度の問題も当然あるのですが、その辺は藪の中、表帳簿と裏帳簿の世界ですが、宿日直料を支払い、業務を行った時だけ法定割増賃金を払う体制は一見問題が無さそうに読めます。しかし日赤医療センター管理局長の竹下修氏は極めて重大な発言を行なっています。
「申請書を提出しようとしたが、労基署は宿直等ではなく、通常業務の延長であるとされ、受け取ってもらえなかった」(竹下氏)
つまりですが日赤医療センターは、
-
労基法41条3項に基づく宿日直許可がない
駄目押しのように労基署から
-
通常業務の延長である
日赤のやっている当直の処理は労基法41条3項に基づく宿日直許可があれば、「名ばかり当直」であっても帳簿上では合法的になりますが、無いとなれば「違法当直」になります。日赤の行なっている当直は医療法上では当直かもしれませんが、労基法上では単なる時間外労働になることになります。これがなんとか合法的であるためには、宿直料2万円が法定割増賃金(時間給)範囲内に収まる必要があります。
ここでなんですが法定割増賃金ですが、細かい解釈規定がいろいろあるのは飛ばして、
- 時間外労働
-
時間給の25%割増
- 法定休日(日曜祝日)
-
時間給の35%割増
- 深夜労働(午後10時〜午前5時)
-
時間給の50%割増(時間外割増25% + 深夜割増25%)
ここで平日にいわゆる当直をした場合、
-
午後5時〜午後10時(5時間):25%割増
午後10時〜午前5時(7時間):50%割増
午前5時〜午前9時(4時間):25%割増
深夜に1時間の休憩を行なうとして6時間、宵の口と朝は合計9時間ですが、当直の担当時間を午後5時30分〜午前8時30分までとしたら8時間です。つまりですが、
-
時間外割増25%増:8時間
時間外割増50%増:6時間
この14時間に時間外手当が発生し、平日当直の平均割増率は35.7%になります。ここで宿直料が2万円で、時間外勤務時間を14時間ですから時間給は1429円になります。そうなれば日赤医師の時間給は、
-
時間給:1049円
そうなれば日赤の中で当直を行なう医師の最高月給は、月の就業規則による総労働時間を160時間程度としたら、
-
約17万円弱
日赤の給料は安いので有名ですが、これに時間外手当の基礎計算に含まれない諸手当があるにしろ、驚きの安さになります。個人的には凄く気になったのですが、実態はどうなんでしょうか。日赤医療センター管理局長の竹下修氏は労基法41条3項に基づく当直許可が下りない事なんて屁とも思っていないようですし、労基署の指導も大甘みたいですが、私は気になります。これって舛添大臣の3/27付大臣記者会見にある、
例えば、弾力運用というようなことも考えてくれというのは、聞く耳を持たないわけではありません。
この発言の実用例でしょうか。日赤に行なわれた弾力運用とは、
-
労基法41条3項に基づく当直許可を認めなくとも、弾力運用により「許可がある状態」と見なし黙認する
厚生「労働省」の「聞く耳」の許容範囲に驚かされます。
卵の名無し
>厚生「労働省」の「聞く耳」の許容範囲
「聴診器の性能」の笑い話を思い出した。
ssd666
法令のプロに、
「オマエラの解釈は間違っているから受理できない」
と言われて、役所が間違っている!!という言い分は、極めて子供じみていますねえ。
そんな理屈が通ると思っているのだから、常識がないとか言われちゃうわけです。
日赤事務の二三人は首が飛んでもおかしくないレベルの日本社会の掟への挑戦ですね。
元外科医
労基署が刑罰の適用は見合わせるにしても、民事訴訟で時間外請求すると100%労働者側の勝利でしょう。増えすぎた弁護士の食い扶持にはちょうどいいかも。
Yosyan
この記事で判明した事は、日赤も労基法41条に基づく当直許可を得ていなかった事と、指摘されて申請したら、愛育同様に「通常業務」と労基署に判断されて、申請を却下された事です。報道上は愛育は労基法を深刻に受け止めて対応しようとし、日赤は鼻で笑いながら「弾力運用」で事が終わりとしている点と感じています。さ〜て、日赤に第2幕はあるのでしょうか。
Bugsy
宿直業務をさせる場合に労基署に届け出なければならない「宿直許可」を未提出 もしくは受理されなかったということは
一切の宿直業務を医師に課すことが出来ない
または これまでの「宿直」はすべて時間外労働として未払いの賃金を払わなくてはいけなくなった
ということなんですかねえ?
しかし「宿直」の割り振りを医師同士が決めていたので 病院側が業務命令として行ったものではないし、今までだとタイムカードで勤務時間を正確に把握してないので時間外勤務の給与は支払いませんとする病院が大多数でした。
労働基準監督署としてはこれからはそうはいかない と理解してよろしいでしょうか。
元外科医
これからあちこちで起こる時間外支払い請求裁判がワクワクです
Yosyan
Bugsy様
>労働基準監督署としてはこれからはそうはいかない と理解してよろしいでしょうか。
ここは微妙ですね。労基法41条3項に基づく当直許可が無いにも関らず、日赤医療センター管理局長の竹下修氏はあたかも存在するかのように
>医師の場合、宿直料は1回2万円、日直料は1回4万円。それに加えて、救急患者への対応などの業務を行った場合には、その時間分の時間外労働に対する法定割増賃金を支払っている。
これで「文句あるか」の姿勢を明らかにしています。この強弁が通るかどうかで、今後の動向に影響するかと思いますし、ここの「弾力運用」が非常に注目されます。
cobonzu
ごぶさたしとりますです。
>ここは微妙ですね。労基法41条3項に基づく当直許可が無いにも関らず、日赤医療センター管理局長の竹下修氏はあたかも存在するかのように
悪質だとみなされないかなー、ワクワク。
ssd666
しかし、この日赤事務の労基署を舐め腐った態度は、いくとことまでいくのではないでしょうか。つまりwktk。
rijin
自分の組織内での威勢が、その外ではどれぐらい認められるのかを見切ることは、やはり難しいことのようですね。
菊紋に傷でも付けたらどうするつもりなんでしょうね。
cobonzu
是正勧告対応専門サイト 労働基準監督署調査対応マニュアル
http://www.chousataiou.com/index.html
ってのがあるんですね、パッと見にはどっちの味方かようわからんですが。
労働基準監督官に聞く労働行政の最前線
http://www.news.janjan.jp/living/0903/0903229905/1.php
こんな記事も見つけました。
ググってみると、労働基準法違反による逮捕って、たまぁにはあるみたいですね。賃金の不払い(全部なのか一部なのかまで読み取れませんでした)例でした。
Bugsy
うちの事務方や都内有名病院(以前マグネットホスピタルと呼号していた)の事務にも知り合いが多いのですが、
結局病院のサバイバルという観点から医師を集めなきゃどうしようもありません。大学病院に頼んだところで 無い袖は振ってはもらえません。ならば せめて「労働基準法」を遵守してますよとアピールと裏付けをせねば集まらないわけです。
事実ある病院では、タイムカードを医師にも刻印させるようになって 徐々にではありますが研修医も中途採用も増えてきたそうです。中途採用とは他病院からの引き抜きもあるんですよ。
研修医の諸君もよく知っていますね。たしか面接のときにも派遣病院はどこにあるかとか 勤務時間の評価、当直回数の上限とか結構ズバズバ聞かれましたもん。
昨年までの事務方の空とぼけた対応を記憶しているオイラには むむむ なのですが、
事実医師がきちんと集めた実績のある病院の事務が小鼻を膨らませてるのをまのあたりにすると 次々とそれを聞いた事務のほうから新聞沙汰になるまえに対応しようとしてるようです。
財源もすぐ確保できるわけではありませんが、5年10年のスパンで考えれば やはり医師が勤務してくれなきゃどうにもこうにもならないというのを気づいたんでしょう。
早く気づいたほうが生き残るんだと 生ビールのジョッキをぐいっとあおりながら息巻いてましたねえ。
ま そうでしょう。今年になって急に雰囲気が変わってきました。
中華
逃散が散々話題ですが、逃散するからには逃散先があるわけです。
医師にまっとうな待遇を与える病院には、ちゃんと医師が集まる。
しかし、すべての病院が必要な医師を集めるには、医師の数が足りない。
つまり、いずれ物理的に医師を集められない瞬間が来ます。
その前に医師を招聘できた病院が勝ち組です。
早期に医師の待遇を改善した病院から順に生き残ります。
老婆
>「聴診器の性能」の笑い話を思い出した。
聴診器の性能に最も影響する部品は右のイヤピースと左のイヤピースの間に存在する、とかね。知らん人のために。最も敏感なのは指と指の間。どの指?
閑話休題。
日本ではおかみの命令なんてものは無視してもなんとも思わない組織が増えているんですかねぇ。プリンスホテルとか。
http://tod.cocolog-nifty.com/diary/2008/02/post_83cf.html
2009-04-02 日医の「医師の団結に向けた具体的方策」
日医が出した医師の団結に向けた具体的方策をちょっと読んでみます。全部で21ページもあるので、あくまでも私が気になったところをつまみ食いしますので、それは御了解ください。
まずまずこの答申が検討された経緯ですが、
医療界が直面している様々な問題を乗り越えていくためには、我が国のすべての医師が団結し、医療のあるべき姿に向かって協働していくことが必要であり、そのためには何をなすべきかを検討するために、日本医師会( 以下「日医」という。) に「医師の団結を目指す委員会」が設置された。
なんと言っても具体的方策ですから、どう「具体的」なのか関心がもたれます。答申の意気込みみたいなところを紹介すると、
医療現場からの、国民の視点に立った医療制度の確立を目指し、具体的政策を提示し、その実現を図るためには、単に数的な組織力の向上に終わるのではなく、小異を捨てて大同につき、他の医療関係団体、経済団体、あるいは保険者団体とも連携して、「国民医療を守る」というスタンスで行動するための方策が求められている。本委員会において、様々な立場の医師の意見が反映される体制作り、医学生や研修医との有機的関係の構築に向けた方策、さらに今後目指すべき医師会・医師会活動のあり方について検討を行ったのでここに報告する。
立派な事を書いてはありますが、
-
ほいじゃ、今まではどうだったのか?
こういう声の一つぐらいは出そうですが、「小異を捨てて大同につき」までの具体策となれば楽しみになります。とは言えかなり長い答申なので全部に解説を入れていたら、読める分量ではなくなりますから、「具体的方策」を行なうに当っての基本理念をまず見てみます。
- 医療崩壊を阻止して、国民の健康と生命を守り、国民の安心と安全を確保できる医療制度を確立すること( 医療難民、介護難民をつくらない)
- 国民の健康と生命を守るためには、安全で質の高い医療を提供すること
- 安全で良質な医療を提供するためには、医療提供側の自律機能の推進とともに労働環境の整備を行うこと
基本理念は総論的な部分になりますから、こういう辺りに落ち着くかとは思います。ただ今回の答申の目的は医師の団結のための「具体的方策」ですから、この基本理念を実現させる事が医師の団結に直結する必要があります。つまりこの基本理念を読んで、この基本理念を実現させるために日医の下で団結したいという気運を起さなければなりません。そういう観点から言うとインパクトに欠ける印象を抱きますが、次に進みます。
基本理念を実現させるためのもう少し具体的な方針も書かれています。表現として「当面の課題」とされていますが、まず取り組んで成果を見せようと言う部分と理解しても良いかもしれません。
- 勤務医の過重労働問題
- 女性医師の就労環境整備
- 医療安全調査委員会についての詳細な検討
- 医師臨床研修制度及び専門医制度、並びに卒前・卒後教育及び生涯教育の問題
これも無難と言うか当然の課題であって、大いに取り組んで欲しいところです。ここで寄り道になりますが、1ヶ所だけ指摘しておきます。事故調についてこの答申が触れた下りです。
大野病院事件が契機となり、医師法第21 条の改正や、医療安全調査委員会設置の議論が活発に行われてきた。昨年出された第三次試案に基づく大綱も提示されているが、現在の国会の審議状況では法案として成立することは困難である。また、多くの勤務医の日医批判も、第三次試案の内容とその検討過程に勤務医の意見が集約されなかった経緯への不満が大きいことにある。現状では、民主党案にも課題はあるが、勤務医の間では民主党案への賛意が高いことも認識しなければならない。現在の政治状況を踏まえると、まさに、今、多くの叡智と諸団体の見解を含めた再検討の場を設けて議論することが、医師の団結を目指すとするならば必要な対応ではないだろうか。多くの勤務医の不満を積み残したままの強行は、決して今後の医療界のためにはならないといえる。厚生労働省主導ではなく、勤務医の切実なる思いを十分に汲んだ取り組みが望まれている。
三次試案どころか二次試案にさえ医師会は積極的に賛同し、妙に有名になってしまった木下理事を先頭に、ゴリ押しとまで感じさせる強硬姿勢で三次試案の実現に取り組んだのは記憶に新しいところです。三次試案を阻止するためにネット医師も総力を挙げて努力し、ようやく成立を踏み止まらせた経緯については極めて軽く流しております。
それとこの下りをごく素直に読めば、勤務医が反対したから保留したのであって、勤務医が抵抗しなければ日医は賛成で成立したと読めます。なぜなら一言も三次試案及び大綱についての日医サイドからの批判はありません。取り様ですが、日医は今後も三次試案をベースにした事故調案の推進に変わりはないとも受け取れます。内部事情は色々あるのでしょうが、こういう姿勢で医師の団結を呼びかけるのは如何なものかと考えます。
いろいろ検討はしているようですが結論部分に6か条の具体的方策がまとめられています。
- 日医の活動をより透明化し、すべての国民に理解されるよう努力を継続すること
- 勤務医と開業医の接点をそれぞれの医師会のレベルで強化し、勤務医の医師会への参加を促す
- すべての医師、特に勤務医の労働環境改善に最善の努力を払うこと
- 医師の診療上の医療安全、医療事故への適切な対応が行われるよう、公平で公正な調査委員会の設置と医療安全を推進するシステム作りを、現場の医師の意見をより多く取り入れるオープンな形で行うこと
- 時宜にかなった課題について、広く意見を聴取し、それを生かすことができる執行部体制を構築し、必要な組織との連携を深め、共通の課題解決のために、協働して取り組めるようなフレキシブルな会務の運営に努めること
- 女性医師が働きやすい職場環境を構築し、医師不足や診療科間の偏在解決に努力するとともに、国民の医療への信頼を確保し、日本社会の再構築、労働環境改善のモデルとすること
この答申なんですが、パーツについてはそれなりに無難な事が書かれているのですが、全体に非常な違和感を抱かざるを得ません。全体に違和感が生じる原因は、医師の団結を呼びかける日医の姿勢と指摘できます。これについては
-
なぜ、団結できないのか
こう題した項目を中心に散見されます。ちょっとだけ詳しく分析してみます。基本認識は、
日医の活動が日医会員を含めたすべての医師に十分に認識、理解されているとは言い難い状況であり、ましてや国民には十分な理解が得られておらず、政治的な圧力団体という認識にとどまっているのが現状である。
ここは悪くありません。ただこれに続く日医の認識に無茶苦茶違和感を感じます。
日医が正当な評価をされず、日本の医師達と一丸となって活動できなくなっているのは過去における閉鎖性と情報公開が十分になされてこなかったためではないだろうか。
日医が正当に評価されないのはあくまでも、
-
過去における閉鎖性と情報公開
つまりロジックの展開が
-
過去に悪いところがあった → 現在は改善された → しかし残念ながら過去の遺産に苦しんでいる
現在の日医の体制には問題が無いというのが基本姿勢になっています。ここに大きな違和感が生じざるを得ません。次は医政活動の歴史的基本認識ですが、
日医設立当初から経済復興期の1960年頃までは、病院の数も少なく医療機関は開業医が中心であり、保険診療の内容も十分ではなく、日医の活動、医師会活動は条件闘争、生活闘争であり、診療報酬改善のためにまさに会員一丸となって活動せざるを得ない状況であった。
日医の歴史をどこから置くかは議論のあるところですが、wikipediaから歴代医師会長を参照すれば、
初代 | 北里柴三郎 | 1916年-1931年 | 北里研究所所長 |
2代 | 北島多一 | 1931年-1943年 | 北里研究所所長 |
3代 | 稲田龍吉 | 1943年-1946年 | 東京帝国大学教授 |
4代 | 中山寿彦 | 1946年-1948年 | 東京都医師会長 |
5代 | 高橋明 | 1948年-1950年 | 東京帝国大学医学部長 |
6代 | 田宮猛雄 | 1950年 | 東京帝国大学医学部長 |
7代 | 谷口弥三郎 | 1950年-1952年 | 熊本県医師会長 |
8代 | 田宮猛雄 | 1952年-1954年 | 東京帝国大学医学部長 |
9代 | 黒澤潤三 | 1954年-1955年 | 東京都医師会長 |
10代 | 小畑惟清 | 1955年-1957年 | 東京都医師会長 |
11代 | 武見太郎 | 1957年-1982年 | 日本医師会代議員 |
12代 | 花岡堅而 | 1982年-1984年 | 長野県医師会長 |
13代 | 羽田春兔 | 1984年-1992年 | 東京都医師会長 |
14代 | 村瀬敏郎 | 1992年-1996年 | 東京都医師会理事 |
15代 | 坪井栄孝 | 1996年-2004年 | 福島県医師会常任理事 |
16代 | 植松治雄 | 2004年-2006年 | 大阪府医師会長 |
17代 | 唐澤祥人 | 2006年- | 東京都医師会長 |
補足しておきますと中山寿彦氏の略歴は、
参議院議員(自民党)、日本医師会会長
昭和18年日本医師会副会長、勅撰貴族院議員、21年日本医師会長など歴任。22年以来参議院全国区に当選2回。自由党に属し、27年第3次吉田茂内閣の国務相。29年自由党総務、次いで顧問。また、国立公衆衛生院顧問、社会保障制度審議会副会長などを兼務した。
調べる限り医師としての経歴が不明なので開業医か勤務医はわかりません。次に谷口弥三郎氏の経歴は、
香川県三豊郡大野原町に生る。明治35年私立熊本医学校卒業。県立熊本病院産婦人科に勤務、陸軍三等軍医として日露戦争に従軍、戦後県立熊本病院に復職し、明治42年私立熊本医学専門学校助教授に転じた。ドイツ留学を経て、大正4年熊本医専教授に昇進し、医学博士。大正10年後身の県立熊本医専(現熊本大)教授。大正11年日本赤十字社熊本支部産院長となり、同年谷口病院を開設。実験医学研究所長、熊本市医師会長、熊本県医師会長、九州医師連合会長、日本医師会副会長を歴任。戦後昭和22年参議院議員に当選、以後15年議員として活躍。昭和28年久留米大学長。
この方は谷口病院を経営されていたようですから開業医のようです。その次は黒澤潤三氏ですが、これが医師としての経歴がほとんど判らなくて、医療法人一新会の初代理事長であるぐらいしか情報がありませんでした。もうお1人小畑惟清氏は、
熊本県宇土市出身。1908(M41)東京帝大医科大学卒業。同大学産婦人科に入局、翌年浜田病院に勤務、'10ドイツのギーセン大学とベルリン大学に留学。 1913(T2)浜田病院副院長となり、'17主論文『胎児骨盤の化骨核』により医学博士の学位を受けた。'19浜田病院院長に就任。 1948(S23)以降東京都特別区公安委員長、日本医科大学監事、東京都医師会会長を歴任し、'55〜'57まで日本医師会会長をつとめた。 '58藍授褒章受章。著書に自伝『喜寿一生の回顧』がある。
この方は勤務医と見なしてよいでしょう。ですから決して答申に書かれているような、
従って、医師会活動は必然的に開業医が中心
こういう状況で必ずしもなかったと言えます。答申にある
一斉休診や保険医総辞退など社会的にも大きく取り上げられた
これは武見元会長時代に行なわれたことであり、武見時代の遺産として勤務医排斥が徹底的に行なわれたのは周知の通りです。今も昔も日医は開業医中心で活動していたの主張は歴史の曲解でしょう。現体制の正統性にお墨付を与えたい趣旨と解釈しますが、チトやりすぎです。強引に神代の昔から開業医中心の医師会であったと言う強弁の前提を置いた上で、
医師会設立当初の開業医中心の活動から、その後の病院勤務医の増加という医療状況の変化に対応することなく、組織として永年にわたって開業医中心の執行部体制であったことが、現在の勤務医を中心とした多くの医師の日医に対する不満をもたらしていると考えるべきである。
日医の歴史解釈は、
-
日医は昔から開業医が主導権を握って活動してきた → 勤務医が増えてきたのでこれを取り込まなければならない
こういう歴史的必然性の下で、医師の団結を今になって呼びかけるのは時宜に適したものであるというロジックになっています。そこから導き出せされる結論は、
医師として個人レベルでは同じ立場にあることは間違いないが、その勤務形態により、いわゆる診療所の経営者である開業医、病院経営者、そして病院や診療所などに雇用される勤務医に区分されることが多い。そして、お互いが医師という共通の基盤があるにもかかわらず、その就労形態の違いからお互いが十分な理解をすることなく、今日に至っている。医師会の設立当初とは大きく変化した社会、経済や医療の状況を十分に考慮し、お互いの置かれている立場に配慮して情報交換し、その改善に取り組むことができなかったことが団結を阻害してきたといえる。
これも現在の状態だけを論じるのなら必ずしも間違ったものとは言えませんが、日医と勤務医の対立の図式のスタートと言うか歴史的経緯をかなり捻じ曲げている感じがします。次の部分も違和感アリアリで、
医師会自身も、郡市区等医師会、都道府県医師会、日医とそれぞれの段階での存在意義や活動が異なることを多くの医師に認識してもらうという努力をしてこなかった。先にも述べたように、医師会設立当初は、医師会活動が開業医中心となっていたが、最近の10年間は、漸く医師会も全国的に、勤務医にも配慮した活動に方針を転換し勤務医とともに活動していくことの大切さを認識して、我が国の医療のあり方という幅広い視点からの活動に変化してきているが、以前の医師会活動との「違い」「変化」を内外に十分アピールできていない。
ここでまず問題点としているのは三層構造になっている医師会です。三層構造になぜなったのかの歴史的経緯は残念ながら存じませんし、三層構造にもメリット、デメリットはあるはずですが、現在の医療情勢でも日医は三層構造自体は是認していますし、是認する事が大前提になっています。勤務医ではなく開業医である医師会員にも三層構造によるデメリットは指摘されています。
これは三層構造である事だけが必ずしも原因とはいえないかもしれませんが、医師会人事の基本は、、
-
郡市区等医師会 → 都道府県医師会 → (ブロック医師会) → 日医
この三層構造のステップを登りつめないとなりませんし、だいたい登りつめるのに20〜25年必要です。これもほぼ年功序列に基づいて登ることになり、スタートを40歳にしても、日医執行部に名を連ねるには60〜65歳にならないと無理になります。この人事体制を守る温床になっているんじゃないかと言う指摘があります。三層構造を守りながらの改革も可能ですが、三層構造は長年の経緯により医師会人事を硬直させるガードにもなっているとの見方です。三層構造でなくとも年功序列は出るでしょうが、あればなおさらみたいな感じといえば良いのでしょうか。
それともう一つの問題点と言うか、これまでの日医の姿勢の延長線上であるとしか言い様が無いのですが、
以前の医師会活動との「違い」「変化」を内外に十分アピールできていない
開業医の医師会員でさえまったく感じない「違い」「変化」が日医には起こっており、現在の日医の活動は全くもって「正しい活動」であるとの主張です。医師の団結に当たり、正しい行動をしている、日医サイドのほうでは問題ない活動を現在行なっていると強調している点かと思われます。
一方、大学や大病院では、それぞれの団体や組織において、そのあり方が議論されるようになり、それぞれの立場での対応が図られるようになってきたために、多くの共通課題があるにもかかわらず、対立軸として捉えられることが多くなっている。今必要なことは、組織としてどう取り組むかではなく、同じ医師としての立場から共通の課題に一致して取り組むことが求められている。
このような状況下において、日医としてはまず、過去の経緯について十分に反省し、立場の違いを対立軸にするのではなく、お互いが理解できるような議論の場を設けて継続的な対話を行うことが大切である。
ここだけ読めば無難な表現なんですが、日医の基本姿勢は上記した通り
-
日医は正しい、だから日医の下に結集せよ
これを踏まえたものであると考えると、現体制の日医の下に文句を言わずに集まってこいと解釈する事が可能です。これは「結論」部分にあるのですが、
一方で、医師会員の対応すべき問題は、年齢的なギャップが若い医師の医師会参入の大きな障壁であることを認識し、いい意味での年齢的ギャップを生かしたアプローチを検討し創意工夫することが大切である。かつての、医師会の努力不足が今日の勤務医と開業医の断絶の大きな要因であることを今後に生かすべきである。
年齢的ギャップとは「爺医」と揶揄される現在の日医の運用姿勢になります。これに対する日医自身の評価がここに書かれていると思います。すなわち、
-
いい意味での年齢的ギャップを生かしたアプローチを検討し創意工夫することが大切である
あくまでも現体制は「正しいもの」として変えないとの、非常に分かりやすい主張かと解釈します。つまり日医は変わらないし、変わる必要もない。そういう正しい日医の下に団結せよとの提案と考えるのがよろしいようです。さらに団結せよとは現在の日医の体制を認め、日医を信頼してその支持に従えと主張しているかと思われます。
どんな主張を日医が行っても別に構わないのですが、現体制と現在の路線にそんなに自信があるのなら、黙っていても日医は医師の求心力になるはずです。ところが選挙での候補者支持さえ、末端会員レベルは愚か、都道府県医師会レベルでも日医が求心力を失っているのは明らかです。開業医の日医会員でさえ求心力をなぜ失ったかの原因を日医はまず考えるべきではないでしょうか。
現会員に対してさえ求心力を失いつつあるのに、そこに勤務医を呼び込んで団結させようとするのは基本的に無理があります。机上の空論として揶揄されてもさして不思議ではありません。日医が求心力を失ったのは、日医の体制が時代の変化に適合していないからです。適合していない事に気が付いて、これを改めて現在の日医会員の求心力を回復し、さらに現在未加入の勤務医も加えて団結しようと言うのならともかく、現体制・現路線を容認した上で「なぜ集まらない」と検討する姿勢は笑えます。
おそらくですが答申を出された検討委員会にも、答申を出すにあたって「べからず集」とか「タブーリスト」があらかじめ設定されていた事は容易に想像がつきますが、この程度の代物であるなら、「出した方が逆効果」と私には思えます。
icbk
勤務医です。ちょっと本音を書きたいと思います。
わたしのまわりの勤務医は医師会に強い反感を持っている人ばかりで、制度が有れば入会しよう、なんて人はいないでしょう。
いままで「医師会」の「開業医のための」活動のために、勤務医がどれほど苦しめられているか、それでどれほどうらみを買っているか。
「医師会」はまるごと開業医のためのもので、「開業医の利益」のために勤務医を取り込もうとしているとしか感じられません。
研修医強制配置に賛成したことなど「開業医」のための「勤務医」という考えが透けて見えます。
「勤務医」は「開業医」のことも考えて、とか「医療のために一致協力して」なんて言われてもしらけるだけです。
卵の名無し
武見体制以後の方針として正しくは当時の有能な厚生省官僚トップの天下り先となるべきであった。実際には子飼いの議員を政界に送り込んで上から官僚を権柄ずくで支配しようとしたのがそもそもの思い上がりゆえの間違い。これがひとつめの反省総括。
元外科医
グローバル化の時代、3層構造のピラミッド型の組織は時代に即応できにくいため改組の必要性があると思います。少なくとも会長選挙は全会員の直接投票で決めなければ正当な代表とは認められません。
sasimininja
年会費二万円も払って、
B級会員と言われて、
代表者選挙権もなくて、
それでも自腹で医師会に入会する勤務医の先生って馬鹿なの?死ぬの?
医賠責ですか?
個別に契約すれば83,000もしませんよ。会費の二万円を引いても、63,000ですね。かなり割高な保険だと思います。
申し遅れましたが、三次救急病院の科長をやってます。医師会には入っておりません。それでも医師会の「○○委員会」のメンバーに入れられて、医師会館で会合したりします。もはや会員になる意味が全く分かりません。
私は、医師会が2007年に以下のような駄文をばらまいたのを忘れていません。分断策に最初に乗った医師会が、どの口で「団結」と言うのか聞いてみたいものです。
日本医師会は10日、開業医の勤務時間や年収に関する調査結果を発表した。勤務時間について、開業医と病院勤務医を比較すると、40代以上では開業医の方が勤務時間が長かった。年収の比較では、多くの世代で開業医が勤務医を上回った。同日、調査結果を記者会見で発表した中川俊男常任理事は、「開業医が経営のリスクを抱えながら地域医療を守っていることを評価すべきだ」としている。
診療時間の調査は7月下旬に北海道札幌市と東京都板橋区、山口県、鹿児島県の診療所を対象に実施。調査票を3201施設に配り、1461カ所(有効回答率45.6%)から回答を得た。また年収(2006年分)の調査は、同地域の1528施設に配り537施設(同35.1%)から回答を得た。
勤務時間の調査では、開業医の勤務時間を厚生労働省の「医師の需給に関する検討会報告書」で示された勤務医の勤務時間と比べた。その結果、1週間の男性医師の勤務時間を比較すると、30代では開業医が51.1時間、勤務医が52.2時間と勤務医がやや多い。ただ40代では勤務医の49.6時間に対し、開業医が55.6時間と逆転。その後、70代に至るまで開業医の方が勤務時間が長く、その差も拡大する傾向にある。
中川常任理事は調査結果について、「開業医の勤務時間も病院勤務医と同じかそれ以上に長い」と強調し、勤務医の過重労働の負担を開業医に転嫁する動きをけん制した。
卵の名無し
医者が政治を恣にコントロールしようとしても医療はよくならない。さて武見会長以後その路線を自らの才覚で最も踏襲したのが徳洲会であろう。彼が武見会長の後を継いで日本医師会会長に就任していれば厚生省との関係において、実務的にも人間的にも医師業界と行政官僚が切磋琢磨しながら医療を良くするために同志として政治と対決してゆく関係が必要ということに気づいていたかもしれない。たられば話で総括とは無関係だけど。
Golaud
浜田病院の小畑先生は、都内で愛育病院と並び称された同病院を事実上乗っ取った戦歴の持ち主で、決して「勤務医」の範疇には入らないと思います。
法人の範疇であっても、個人経営の色の強い病院経営者はB会員勤務医とは基本的には利益背反でしょう。さらに公益色の強い赤い十字とか、賜った経緯の病院、公的病院の管理者になった先生方は、ご自分の劣悪な労働環境を自分の代で改善しようなどとは、これまたつゆとも思っていらっしゃらない場合が多いです。我が身を守るお役人になってしまいます。
勤務医の代弁者は、なかなか難しいと思います。
rijin
…春ですね〜。
ところで、明後日4月4日(土)午後に、福岡市で開催中の日本外科学会総会で日医からのプレゼンテーションがあります。以下に抄録全文を転記します。
***
SP-4 特別企画(4)「医療紛争の現状と事故を起こさない取り組み」
4 月4 日(土)13:00〜15:30 第3 会場(福岡国際会議場3 階メインホール)
司会: 順天堂大学練馬病院宮野武
長崎大学移植・消化器外科兼松隆之
SP-4-3 事故調査委員会について 日本医師会常任理事 木下勝之
平成18年2月に起った(ママ)、福島県立大野病院事件を契機に、今日まで、医師が安心して医療を行うために、新たな死因救命制度(ママ)を創設することに取り組んでいる日本医師会の目標は、?わが国の医療事故死に対する突出した刑事司法の介入の流れを正すこと?その端緒となっている医師法21条を改正すること?その為には、警察に変わる届け出機関として医療の専門家を中心とした第三者機関を創設すること、であった。
この課題を具体化するために、医療界が経験してきた医療事故死と刑事介入の実態、医療界に与える刑事訴追の弊害、さらに、医療事故死に対する医療界の考え方について、国民はもとより、厚労省、警察庁、法務省に正しく理解してもらうことを、まず、行った上で、総ての関係官庁と協議し折衝し、新たな死因究明制度の内容に関して、お互いに、了解し、合意することを目指してきた。その結果が、この医療安全調査委員会設置法案大綱として、結実したものである。大綱案の趣旨は、以下のとおりである。
(1)医療事故死については医療安全調査委員会に届け出ることとし、その場合は、警察に届出を要しないように医師法21条を改正するものである。言い換えれば、医療事故死については、事実上、従来の警察への医師法21条による届出義務を廃止するものである。
(2)医療関係者を中心とした委員会から捜査機関に通知を行う必要がある事故については、故意や標準的医療からの著しく逸脱した医療行為(重大な過失と同義)である事例その他悪質な事例に限定し、捜査当局は、委員会の判断を尊重し、委員会から通知された事例だけを刑事罰の対象とする。また、捜査機関は委員会からの通知の有・無を尊重して対応することになるから、通知されなかった事例に関しては刑事罰の対象としない。
(3)医療安全調査委員会設置の法制化は、医療の質の向上と安全に資するための、死因究明と再発防止を目的としたものであり、事故を起こした医師の責任に関して、刑事司法は、医療界の代表を中心とした委員会が自ら、専門的知見と職業的規律に基づき下す判断を、尊重する仕組みである。
***
まあ、こういう説明に終始している限り、結局は勤務医の気持ちなんて聞く気がないんだろうとしか自分には思えません。
一産科医
まあ、病院経営者と零細開業医と勤務医が団結するというのは、経団連と商工会議所と連合・自治労といった労組が一緒に活動する、というようなもんですから、そもそも無理があります。
大病院の経営者と中小開業医はそれでも経営者という共通基盤がありますからまだ団結可能かもしれませんが、経営者と労組が仲良くというのは本来ありえないでしょう。
日医の声明はたとえていうなら春闘で経団連が労組に対して
「未曾有の経済危機だから、派遣切りやリストラ、賞与カット、昇給停止や減給、配置転換やワークシェアリング、自宅待機もやむを得ない。労働者の皆さんも会社の存続のために、小異を捨てて大同について、我々の要求を受け入れてくれ。」
といっているようなものでしょう。言うのは勝手ですが、労働者がすんなり受けるかは別問題です。
どうしても利益が相反する部分がある開業医と勤務医を団結させようとすれば、これは明治維新における薩長連合みたいなものですが、さて、坂本龍馬となれる人材がいるでしょうか?少なくともこの声明には「小異を捨てて大同につく」ことを考えさせるようなビジョンは示されていませんね。どちらかというと、徳川幕府末期のような感じです。
タカ派の麻酔科医
日医がどんな意図であるにせよ、地区医師会の顔役の機嫌次第で、病院が医師会に入れたり入れなかったりというようなことがあれば、じゃ、勤務医という立場で、病院が入れない医師会に入ることができるのだろうか?
入会資格が、医師であることだけであり、そして、少なくとも地区の会長は、立候補の条件に開業医、勤務医を問わない直接選挙、日医の会長も直接選挙ぐらいにしてもらわないとどんな勝手なことをされるかわからないので、日医の下に集まるなんてできません。
うろうろドクター
勤務医に信用して欲しければ、
まずは、木下勝之常任理事をクビにしないとね。
以前、日医に直接メールしましたが、返事はありませんでした…
元外科医
むしろ医師連盟に開業医のセンセイもはいって団結しましょう
協同して政府に要求すべき事は多いですから
放置医
地方の基幹病院で医長となったときに費用は病院で持つからと日本医師会に入るように言われました。理由はおつきあいとかなんとか。好意的に解釈すると病診連携のひとつだったのかもしれませんが。
渋っていると事務の人がそっと「絶対に入りたくないからと言っている先生がXX科にいますよ。」と教えてくれ、私も入らないことにしました。10年ほど前の話です。
私は診療報酬の改定でとにかく開業医有利にことを運ぼうとする日本医師会の態度(当然と言えば当然ですが。)を知ったために勤務医として入会を渋ったのですが、XX科の先生が入りたくなかった理由は個人が特定できず聞きそびれてしまいました。
今でもたとえ無料でも日本医師会に入るつもりはありません。
卵の名無し
武見会長は保険医総辞退を盾に厚生官僚に対して優位に立ったが、その成功をもっぱら政治力があったからこそ保険医総辞退という荒業が使えたと誤解したふしがある。あの状況はちょうど今の勤務医と開業医の名前だけ入れ替えたに近い状況下であったから正当性が高く開業医の多くの支持が得られたものであって、決してひとりの政治力によって大義の無い私権を手に入れたというようなものではなかったのだが、成功体験が大きすぎて舞い上がったものであろう。息子を政治家にして官僚の頭越しに院政を執ろうとした。政治家ではなく官僚にして厚生行政官僚組織と共同歩調を取る体制を築けばよかった。頭越しに支配される危険を感じた官僚の徹底抗戦という内戦を招いたのである。
政治家の赴くところは利権であり、政治力に目がくらんだ日本医師会と厚生官僚とは利権をめぐって内輪もめを続ける関係となった。武見のあとに武見は結局なかった医師会と、武見のやり方から儲け方を覚えて政治力を身につけていった官僚組織との力関係はいつしか逆転し、今では官僚は敵である日本医師会をどう攻撃すればよいか弱点を覚えて今では日本医師会は官僚が思うがままに操れるほど力関係も逆転している。…春ですな〜。
buchi
開業医も勤務医も団結しようって、選挙が近いときによく聞きますよね。
ys(開業医)
勤務医の先生の反感もよくわかりますが、開業医と勤務医が結束することを一番恐れているのは官僚でしょう。彼らとしては開業医と勤務医の反目をあおるように政策を進めてきたわけで、ここのコメント欄を読む限り、彼らの目論見は成功しているようです。
日医の会長選は代議員にしか投票権はありませんが、市・郡医師会は(県も?)A・B問わず一般会員に会長選の投票権があり、しかも日医代議員は県医師会長が決めますので勤務医が本気になれば日本医師会で主導権を取ることは可能だと思います。
勤務医だけで新たな団体を作るよりも、日医を乗っ取る方がよほど効率的かつ現実的ではないでしょうか?
卵の名無し
ながなが書いてる時間も無くなったしw
とりあえず、政治の世界に入ってそのなかで生き残ろうとする者は必ずといっていいほど「利権」獲得へ動く。利権を得た者は力を得るが、その力を自制できる者は古来稀なり。
武見以後日本医師会は開業医への利益誘導を恣にしたが驕る平家は久しからず武見に屈服を強いられた厚労官僚が「医療費亡国論」を唱えて徐々に反撃に転じついに平家は都を追われた。医療政策立案の主導権を取り戻した官僚だったが政治的謀略を使いすぎて官僚の本分を見失い今度は自分が驕る平家そのものと化してしまった。日本医師会が医療費財源にあけた穴を塞ぐどころか、介護保険制度というさらに医療費財源をどぶに捨てる大穴が空いたままの保険制度を驕る勘違い厚労省自らの肝煎りで始めたのが驕る平家ならではの浅知恵で、厚労省にとって致命的失策となった。その後の打つ手打つ手が裏目ばかりで朝令暮改を繰り返しますます混迷の泥沼にはまり込んで介護崩壊かつ医療はそのせいで倒壊寸前の今に至っている。
医療崩壊を防ぐためには介護の建て直しが急務である。浅知恵の制度設計そのものを作り直さねば介護保険制度の再建は不可能。現行の介護保険制度には大穴が空いている。そこから医療費財源がドブに捨てられるがごとく漏れ出している。このたび厚労省は愚かにも大穴を放置したまま1兆円もの無駄金を投入するらしいが、もって瞑すべし。
そうではなく厚労省はその1兆円を使って介護ヘルパーに臨床研修制度を導入し、日本医師会は会員の病院をその1兆円から補助金を受けて介護研修施設として提供するとすれば、介護保険制度のいわば蛇口でのコントロールができることになり、大穴を塞いで介護保険制度全体を立ち上げ直すことができるのである。
春厨を演じるのも結構手間を取られて面倒なので、ここまでw
お弟子
誰の何のための行動か。何か主人公を間違えているのではないか。そしてそういった自覚がないどころか声の存在を想像すらできていない程度の情報収集能力しかないではないか。
医療崩壊における各種団体の声明とかでよく思うことです。
医療界がまとまることが大事だし、団結した医師のみが日本医療の行く先を正しく決定し……ハァ。ys(開業医)殿の発言でも「開業医と勤務医が結束することを一番恐れているのは官僚でしょう」とありますが。。
医療崩壊といわれることに対して交渉したいのは誰? 問題の認識し自覚した行動をしていくのは誰? その業界自体潰れてもイイヤとまで思っている構成員がいる業界なんですけど想像したことあるだろうか?
そんなに活動したいんだったら学術団体の名を捨てた上で、政策提言にとどめたらどうですか。
勝手にまとまらなきゃダメだと思いこみ、勝手に交渉団体としてシャシャリ出ている、その存在自体が害悪です >日本医師会
jun
A地区医師会から、勤務地が変更になりB地区医師会に異動した時、新しいB地区医師会に異動届を提出した。両者共、日本医師会の下部組織なので、当然旧A地区医師会の会費は免除、退会が自動的にされると思っていた。ところが、自分でA地区医師会に退会届を提出しないとそのまま半永久的にA地区医師会員になってしまう。
そんな今時、電話やFAX、ネットがある時代に動きの悪い寝ぼけた爺さんの集まりに力は、ないでしょう。
Yosyan
医療界が利害を調節できて結束したらパワーはあるでしょうが、現体制・現路線の日医体制の下に集約されたら厚労省は大喜びしそうな気がします。そうなれば厚労省の交渉相手は日医執行部だけになり、日医執行部の連中に甘い飴を舐めさせて懐柔すれば事は終わりです。現在の日医の状態はそういう状態かと認識しています。
厚労省が一番難儀しているのは、日医以外(日医を支持していないと言う意味です)の医師が事故調を始めとする厚労省政策に反対し、その運動がネットを中心に医師全体に少なからぬ影響を及ぼしている事です。事故調問題でも従来ならば日医が転んだ時点で終わりだったはずですが、そうはならなかった事が実情を如実に示しています。
現時点の日医以外の医師の活動は、厚労省を利しているというより、厚労省の走狗になりつつある日医への牽制勢力の意味合いの重要性が強くなっているんじゃないでしょうか。この状態が将来にわたっても理想的かどうかの問題はさておき、現時点で日医の下に結集する方策にメリットは少ないように感じています。
smania
>ys先生
全医連黒川代表が日本医師会主催の「医師の団結を目指す委員会」に参加した際に、日医の理事の、何かまとまった行動をとるためにも日医に集結してという意見がありましたが、ストだろうが保険医辞退だろうが、日医が医師の利益を代表する適切な行動であれば、非会員だってそれに従うでしょうし、日医の勤務医会員も激増すると思います。現在の医師会執行部は、医師会会員の開業医の先生方の支持も得ていないのではありませんか。(開業医の先生でも我々勤務医と全く同じことを言って怒っている方も少なくないですよね。Yosyan先生も開業医ですし)
医師会執行部では、代議員制によって守られている中、志の低い権力闘争が未だに繰り広げられているようです。(少し前の話ですが、代議員制は変更しないとさらっと表明していたのを読んで苦笑しました)あれを見れば、乗っ取るのが早いなどと言っていることは、誤りだということが分かると思います。
Goalud
カメ・レスになりますが。
私の所属する都会部地区医師会の勤務医部会での話です。
もう10年くらい前、勤務医B会員を増やそうキャンペーンがあり、急に人数が増え出したことがあったそうです。ところが、ご承知のように地区医師会レベルではB会員にも投票権がありますので、旧来の医師会の意向に沿わない理事、会長が選出される可能性が出てきて、キャンペーンを中止したことがあったそうです。
バカバカしいB会員資格ですが、勤務医の皆さんが一時目をつぶって例えばこの10月1日をもって全国で入会届けを一斉に出されてはいかがでしょう。入会審査ではねられたら、それはその時からその証拠を持って「反日医」で動けばいいと思います。
ys(開業医)
>smania 先生
>医師会執行部では、代議員制によって守られている中、志の低い権力闘争が未だに繰り広げられているようです。(少し前の話ですが、代議員制は変更しないとさらっと表明していたのを読んで苦笑しました)あれを見れば、乗っ取るのが早いなどと言っていることは、誤りだ
乗っ取るということは執行部が総入れ替えになるという意味なんですが・・
あとは勤務医の先生方に年間2万円(だっけ?)の会費を払う覚悟があるかどうかだけだと思います。今の日医にそんな金を払う価値がないのは確かです。でも、自分たちの思うような組織になったら金を払うといっても組織は動きません。組織を変えたければまずそのメンバーになることです。
多分、そんな金を払うくらいなら現状のままでよい、と言う方が多数派のように感じます。Goalud先生のいわれるとおり、勤務医がその気になれば十分乗っ取り可能だと思うんですがね。
政治への不満を声高に言う人が大勢いるのに、投票率がいっこうに上がらないのと同じで、まだまだ日本人も医師もそのうち誰かが何とかしてくれると思っているのでしょうか。
sasimininja
>ys(開業医)先生
>組織を変えたければまずそのメンバーになることです。
自分とは主義主張が根本から異なる団体のメンバーになって、内側から改革する、というのは、尋常ならざるストレスとコストを要するので現実的とは言えません。
「自民党(民主党)が気に入らないなら、まず党員になるべき!」
「公明党のやりかたに文句があるなら、まず創価学会に入りなさい!」と言われても困りますでしょ?
ys(開業医)
>sasimininja
>「自民党(民主党)が気に入らないなら、まず党員になるべき!」
>「公明党のやりかたに文句があるなら、まず創価学会に入りなさい!」と言われても困りますでしょ?
エッ、当然の話ではありませんか?
自民党が気に入らなくてそれを改めさせたいなら民主党員ではなく自民党員になるのが当然でしょう。もちろん自民党を見放して他の政党に投票するという選択肢はあります。
>自分とは主義主張が根本から異なる団体のメンバーになって、内側から改革する、というのは、尋常ならざるストレスとコストを要するので現実的とは言えません。
Yosyan先生の書かれた、
「開業医の日医会員でさえ求心力をなぜ失ったかの原因を日医はまず考えるべきではないでしょうか」
に対するコメントとして、日医を変えたいのであれば会員になるのが一番の近道だろうと思って書きました。もちろん日医には変革を期待しないので会員にならないという選択もあります。ただ、そうであればムキになって批難するより、外野から生暖かく見守る方がストレスも少なくて良いのではないでしょうか。
sasimininja
残念ながら、日本医師会そのものから勤務医がストレスを受けている状態です。目を背けて生暖かく見守るポーズを取ったところでストレスが減るものではありません。
多忙な勤務医に、医師会改革をするような余力はありません。どこかで見たような話ではありますが、ここでも「立ち去り+ネットでの情報発信」という形を取るしかないように思います。
Golaud
そうでしょうかねえ。
日医の現状は確かにひどい。対政府/官僚対してろくなことができない。勤務医との協調なんていって、「勤務医の広場」などとうのを日医ニュースの最終ページに作ってはいても、地をはうようにして働いている勤務医のことは分かろうとしたって分からない。
でもじゃあどうする、という時、依然として中医協での診療側は、病院協議会が入ったとはいえ、日医が実質的には当事者である。お金を配分するその場に勤務医の意向を入れるなら、中医協の仕組みを替え「勤務医代表」として組織化されたところからの代表を選出し、さらに中医協の場に入れるようにしなければならない。
そういう行程を考えたら、勤務医一斉B会員届け出というのは先の見える方法だと思いますが。それで、日医側が入会制限をするなら、そこを突破口にして勤務医中心に「新日医」を作ればよい。
と、思うのです。
日医が勤務医の意向を反映していない、なら反映させる数の力を持とうということを、どうして避けようとする人がいるのでしょう。一時的に会費のお金払うだけのことじゃないかと思うんですが。
sasimininja
「全国の勤務医が連帯して、一斉にB会員になる」
「地区ごとに、過半数を超える勤務医理事(←でいいんですか?)候補を立候補させる」
「新規B会員に、勤務医理事への投票を徹底させる」
……うーむ。これだけの手間暇をかけて、さらには予想される有形無形の妨害工作を受けて、それでも再生する価値があるのでしょうか>日本医師会
むしろ、これだけのムーブメントが起こせるなら、その力を勤務医会創設に注いだ方がマシな気がします。そもそも、第一線で勤務医をやっていると、医師会理事の仕事をするのは無理ですし。
二万円は一般的には大金です。それを払って医師会に入会すると、一般には医師会の趣旨に賛同したと見なされます。非医療者は、「日本医師会は勤務医に支持されている」と考えるでしょう。現状では、それはとても危険なことだと考えます。
むしろ、「勤務医は日本医師会とは袂を分かった」「日本医師会は医療機関経営者の代表に過ぎず、医師全体の代表としての当事者能力を持っていない」ということを鮮明に打ち出し、それを国民に理解してもらう方が容易であるように思います。
nyamaju
このままでは公益法人として認められないって話がありましたよね。
生き残りに必死ですな〜
ys(開業医)
どうしても「開業医 対 勤務医」という対立の構図を描かないと気が済まない方がおられるのですね。
モトケンさんの気持ちが少しわかったような気がします。
taieki
いや、対立を求めている訳では無いでしょう。
ただ、開業医主導の日医が、勤務医に「日医の軍門に下れ」と一方的に言っているのを飲めないと言っているだけで。
開業医の方々の方から歩み寄って、例えば全医連に協力や入会しても良いじゃないですか。
日医に固執する事こそ対立を固定化させ医師を分断させ、文系の思うままにされる行為でしょう。
Golaud
ちょっとこだわってみます。
私のイメージしているのは、トロイの木馬によるクーデターです。「日医の軍門」に下るという考えではありません。
勤務医自体が日医から日々の医療行為のなかで(つまりシステムとか、給与とかでなく)嫌がらせを受けているのでしょうか。私の勤務する地区が特殊なのかも知れませんが、あまりそういうことで強くストレスに感じたことはありません。
また、勤務医の代表としての地区理事、また先々の日医の評議員は、第一線の勤務医である必要性は低いと思います。今の病院の管理職の方にやっていただけばいいのです。ただ、その方の背後に圧倒的多数のB会員がいるゾ、ということでよろしいのではないでしょうか。
全医連を社会的に認知させ、行政に関わる力を持たせ、というのはあまりに遠い道のりのように思います。また、勤務医の方が、特に外科系の先生方がある年齢以上になった場合、将来開業医としてさらなる活躍をされる場合がままあるのですから、対立的関係を前提にすることはいずれは破綻すると思います。
smania
宣伝も兼ねて、私も拘らせてもらいます。
>ys先生
言い換えたところで誤りは誤りです。総入れ替えなんて夢のまた夢です。会長選(中央や、大阪、東京etc.)の舞台裏を知らないのですか?勉強された方がいいと思います。制度的にできても、現実的かどうかは普通に考えれば明らかでしょう。
既に医師会の中から改革しようとしている有志(開業医、勤務医共に)の方がたくさんいて、彼らから色々な話を聞いています。そして長年医師会で活動してきた彼らの共通の考えは一つ、中からでは変えられない。(私の医師会に関しての知識の多くは彼らから得たものです)
また、医師会の歴史を見れば、医師会は常に外圧によってのみ変わっています。
>Golaud先生
地方医師会は、面白いくらいいろいろな医師会があります。自分のところはみたいな話は意味がないです。地方の某所では、代議員が世襲利権化していますし。中央のドタバタ劇は、是非一度調べられたらと思います。きっと意見を変えられると思います。試すまでもないことと。
全医連は、勤務医主体ですが、まさに開業医の痛みは勤務医の痛み・勤務医の痛みは開業医の痛みと考え活動しています。構成比率は、人数こそ勤務医が多いですが、活動の割合で言えば、開業医の比率は決して小さくないです。勤務医が知らない情報をもたらしてくれたり、実際の活動の量に関しても、開業医の先生方の活動は勝るとも劣りません(リップサービスじゃないです)。医師会で精力的な活動をしている会員も、多数います。
Golaud
しょうがない、もう少しこだわってみます。
変革の目標は「日医を変える」ことではなく、日本の医療システムを変えることですよね。
全医連がけしからんとか無力だとかを主張したいのではありません。そこはご理解頂いている前提と考えます。
私も日医の都道府県レベル、全体の代議委員選、会長選のことは、少ないネットワークではありますが、「直接」情報には接しております。バカバカしいことが多々あります。でも、バカと何とかは使いようです。日医にかわる全国組織、医師の職能団体としての歴史を反故にするより、何とか利用しちゃった方がいいのではないかとそれでも思うのです。トロイの木馬という発想がそれほどおかしなことでしょうか。
B会員、かつ全医連所属でもかまわないし、そこを起点にしたっていいでしょう?今までなかなか変えられなかったのは、勤務医の数の力が全然及ばないからではありませんか。
財団法人の資格の件で日医の代議員積み重ねシステムに動揺があるのは否めません。そしてここは単純な多数決が力を持ち得るチャンスでもあります。
ここはあくまでYosyan先生のブログ・コメント欄なので、これ以上は立ち入りません。コメントも終わりにします。
smania
しかし結局代議員積み重ねシステムは温存すると宣言しているわけです。相当数いる勤務医の数も無視されてきましたし(数が足りなかったからなどということはないでしょう)、良心的な一般開業医の声すらも届いていません。財団法人資格の件は、切欠になる可能性はゼロではありませんが、単純な多数決がものをいうようになるというのは、楽観的すぎると思います。(というより、実情を知っていてそう判断するというのは考えられません)
トロイの木馬は、相手の無防備なところに武器を持って不意打ちをかけ戦うことであって、手のひらの上でおとなしくしていることではないでしょう。背後にいるだけでは、支配側の10倍いても意味がありません。それはトロイの木馬とは言いません。クーデターでもありません。
医療システムの変革であれば、結局日医は(今の体制であれば)力を発揮できていません。
医療裁判の動向を変えたのは誰?マスコミの論調を変えたのは誰?(足りてはいませんが)
いのげ先生であり、小松先生であり、Yosyan先生であり、その他大勢のネット等で活躍している医師の力が集まってのことでしょう。
(行政とのパイプはおいしい蜜ですが、システムをいいように変えるところには決して届きません。事故調の木下理事の例しかり。中医協にしたって、枠内で分配を決めるところと内田理事が公の場で発言もされています。結局、告訴告発したり、ストをするぞと押したり引いたりしなければ、システムは変わらないでしょう)
まとめます。
勤務医がたくさん入れば、医師会が変わる(医師会で意見を反映させられる)というのは、非現実的な楽観論だということです。そして変わらない医師会は医療システムをよくすることには役に立たないです。医師会を利用するためには、医師会を変えなくてはいけません。そしてその方法は、外圧しかなく、(繰り返しになりますが)実際過去の医師会の歴史を見てみれば、外圧によってのみ変わっているということです。
それから医師が一つにまとまるよりも、刑事の鬼役と仏役のように、違った方向から責めて、目標が一つというのがいいと思っています。その方が効果的だと思います。
団結に妙にこだわること、一つの団体にこだわることは、余程考えが浅いのか、本音を隠しているのかのどちらかだと思います。
卵の名無し
>医療裁判の動向を変えたのは誰?マスコミの論調を変えたのは誰?(足りてはいませんが)
この点だけ補足意見がある。
福島県立医大産婦人科の医局員チームの超人的な速記力を第一に挙げておきたい。あの公開された全傍聴記録こそ日本刑事裁判の謎の起訴有罪率99%の秘密の理由を暴露した第一級の歴史史料とされるにふさわしい。
2009-04-01 この記事は「誹謗中傷」ではなく単なる「感想」です
富士火災、最新医療事情を紹介する「みんけんブログ」モバイル版を開設
富士火災海上保険は2009年3月16日、最近の医療事情をわかりやすく解説する携帯電話向けブログ「『みんけんブログ』モバイル版」を開設した。医療分野を中心に活躍するジャーナリスト鳥集徹氏の連載を中心に、セカンドオピニオンやインフォームド・コンセント、先進医療などに関する医療情報を提供する。利用は無料。
みんけんブログは、医療事情に関する啓発と、医療保険商品の具体的な利点を消費者に知ってもらうことを目的に2006年5月に開設した。名称は同社の医療保険商品「みんなの健保(けんぽ)」に由来している。
今回、従来のパソコン版に加えて、携帯電話からの閲覧に対応した。同社が郵送している保険証券封筒に表示されているQRコードからアクセスして、ユーザー登録する。医療情報以外にも富士火災の医療保険やサービスについて掲載しており、サイト上で詳しい資料の請求もできるという。
登録後は、富士火災からブログの更新(月2回)ごとにお知らせメールが携帯電話に配信される。鳥集徹氏は、「週刊朝日」をはじめとする週刊誌・月刊誌に、医療や健康の記事を中心に執筆している。(田中 武臣=Infostand)
富士火災海上保険のHPを確認すると、モバイル版があるくらいですからPC版もありました。そこで何の理由も根拠も無く我が家の保険を確認したところ、富士火災海上保険と契約していない事が判明しました。その瞬間に、誹謗中傷の意図もなく、悪意も底意もなく、理由についてまったく説明不可能な、
朗らかな気分♪
これに包まれてしまいした。本当に誹謗中傷の意図もなく、悪意も底意もなく、理由についてまったく説明不可能なんですが不思議で仕方ありません。まさしく不思議な感情の動きに茫然としています。これは私だけが、誹謗中傷の意図もなく、悪意も底意もなく、理由についてまったく説明不可能であるのに感じたものでしょうか。
万が一、日経BP記事及び、富士火災海上保険のみんけんブログを読まれて、誹謗中傷の意図もなく、悪意も底意もなく、理由についてまったく説明不可能なのに「朗らかな気分♪」になられた方がおられたら、不思議な経験を共有しませんか。こんな不思議な、誹謗中傷の意図もなく、悪意も底意もなく、理由についてまったく説明不可能な「朗らかな気分♪」になられる方が私の他に見つかれば、誹謗中傷の意図もなく、悪意も底意もなく、理由についてまったく説明不可能ですが「もっと朗らかになる♪♪」漠然たる予感がします。
*上記文章に誹謗中傷の意図はありません。
Yosyan
今日は四月一日ですので、何を書いても四月一日に関連付けられますので、開き直って四月一日らしい小ネタにしています。その程度と言う事でよろしくお願いします。
jipo
我が家も契約なかったです.その瞬間に、誹謗中傷の意図もなく、悪意も底意もなく、理由についてまったく説明不可能な、朗らかな気分♪ になりました.
卵の名無し
>朗らかな気分♪
なんていいタイトル♪
朝一番に清清しい気分になれた素敵な色使い♪
四月一日の無邪気なカキコでした♪
numachinomajo
なんてすがすがしい。
元離島医
富士火災も、この人がどんな人かご存知の上で、起用されたのでしょうか?
知った上での人選でしたら、富士火災はちょっとアレだと思います。
知らずにこの人選でしたら、脇が甘いと思います。
ここまで、誹謗中傷の意図はありません。
ちなみに、我が家も契約なく、朗らかな気分になりました。
R・Y・U
当家は私が富国生命、嫁が日本生命でした。朗らかな気分♪ do。
zy
はじめまして。
ROM専なのですがあまりにも朗らかな気分♪になりましたので思わず書き込んでしまいました。
放置医
<以下引用>
さて、昨年6月から連載してきた「いい病院選びの基礎知識」ですが、次で最終回となります。これまでみなさんにご紹介してきたことを踏まえて、次回は「お医者さんと信頼関係を築くために大切なこと」について考えてみたいと思います。
<引用終わり>
・・・今日帰ったら、早速自宅・縁者の保険を調べてみます。富士火災があれば理由もちゃんと告げて契約をかえたいと思います。
元外科医
当地は薄ら寒く雨降りですが、すがすがしい気分になりました
大麻生太郎
アキラから気分ですね。わかります。
http://blog.m3.com/akagamablog/20090131/2
DrPooh
医療ジャーナリストの仕事にもいろいろあるんですね〜。
Seisan
ウチも残念ながら縁がないようで、とってもすがすがしく朗らかな気分で充実しました。
仕事はさみしいですが(涙)
一産科医
<元離島医先生
>富士火災も、この人がどんな人かご存知の上で、起用されたのでしょうか?
>知った上での人選でしたら、富士火災はちょっとアレだと思います。
富士火災が支払うかもしれない保険金を、医療事故は全部医師の責任として医師に支払わせる目的ならOKじゃないですか?
医師が書いた誹謗中傷「だけ」を取り上げる方ですから。
ええ、私はもちろん朗らかな気分です(笑)。
hama
私も、朗らかな気分♪ です.
これ、ちょっと流行りそう.
Bugsy
春ですねえ。水ぬるむ春。
脳味噌もぬるめです。
当たり障りもなく、毒にも薬にもならず。聞いたような事を言い。
これで日銭が稼げるなんざ オイラ本当にうらやましい。
朗らかな気分です。
卵の名無し
>医療ジャーナリストの仕事にもいろいろ
おんや、いまの日本マスゴミにジャーナリストなんかいてましたっけ?あ、今日だけは居てもヨカタですね四月一日。
あの美しく目に染み入る「朗らかな気分♪」が、目に入り込んだゴミもきれいさっぱり爽快に洗い流してくれましたw
ドロッポ小児科
私も、朗らかな気分になる出来事を。
日本病院会が、臨床研修指導医養成講習会を開くから申し込まないかって手紙を送ってきました。3日も時間をかけて、5万円を支払って、修了証書に厚生労働省医政局長の名前が載るんですって。
研修医を教えない方が時間も金も節約できるじゃないかって朗らかな気分になりました。
修了証書ってなんかの役に立つんですかね?
ドロッポ君
スレ違いで申し訳ありませんが実話を書きます。
2,3ヶ月前に息子( 高校生 )が仕事中の私にメールを送ってきました。
「さっき本屋で立ち読みしたんだけど、”○○○で暴走する**たち”って本はでたらめばかり書いてあるから買ったら損だよ。絶対買わないで。」とのこと。
○○○好きな**である私が興味を持ちそうな題名だと思って、警告を発してくれたのでした。
どの辺がでたらめだと思ったのかと後でたずねたところ、
「数ページ読んだだけだけど、引用している文章を曲解しているとしか思えない部分があったり、明らかに非常識なことが書かれていたりしていた。
あんまり出鱈目が多くムカついたので、鬱憤を晴らすためにメールした。
それにしてもあんなものでも、もし売れれば著者の利益になるんだし、世の中なんでもありだね。」とのことでした。
まっ未成年者の発言ですし、もしハラが立つ人がいても笑って許してください。
それから、私には誰かを誹謗中傷するつもりはまったくありません。
Yosyan
ドロッポ君様
今日は四月一日ですから、いろんな『実話』があると言う事で・・・
元外科医
○○○で暴走している**ですが。なにか。
春厨に戻った朗らかな気分♪
Bugsy
「みんけんブログ」を拝見してコピーー&テイストしたい!(笑)
ところでドロッポ小児科様
>日本病院会が、臨床研修指導医養成講習会を開くから
とのことですが、以前私は(財)医療研修推進財団開催の臨床研修指導医養成講習会に駆り出されました。参加費は病院持ちでした。
今は日本病院会でやっているのでしょうか、財団から委託されたものなのかはよくわかりません。
ただし修了証書には厚生労働省医政局長の名前がありました。
病院から耳をひっぱられるようにして出席した理由として この養成講習会を修了した研修指導医が一定数いないと研修指定病院として病院が認可されず、研修医が来ないからと言われたと 会場に参加していた皆さんが口々におっしゃっていました。
修了後 給料が上がったわけでもなく、定期的に院内の研修委員会へと呼び出されています。
寡聞にして研修指導医の数が足りないから研修指定病院の認可が取り消されたという病院も聞いたことがありません。
そういった規約があるというのも 厚生労働省や医療研修推進財団のホームページにも見当たりません。噂だったんですかねえ。
やっぱりエープリルフールみたいな話だったと思います。
ただし当時は有無を言わさずといった感じで、病院側は結構真剣でしたね。
ドロッポ小児科
Bugsy先生
コピー&テイストですか? 味わうんじゃなくてsoulで感じて下さい(w
ところでうちに今回来た書類は、日本病院会でしたねぇ。あこぎな、「病院評価機構」がからんでないかと思ったのですが、書類では何も明記されてませんでした。
お話を聞いていると、予想通り研修指定病院を維持するための、資格商売だったんですね。
まるでエイプリルフールのような、役に立たない研修です。
rijin
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/sidoui/index.html
…でした。
まあ、研修医の面倒見る余裕のないところは止めておいた方が無難と思います。…大学病院とか。
bamboo
多くの方と朗らかな気分を共有できて、とても嬉しい。
ひんべえ
私も富士火災とはつきあいが無く、とても朗らかな気分になれました。
Mm7
わたしも、なぜかホッとし、朗らかな気分になりました。
研修指導医ですが、これは、来年度から研修医を受け入れるすべての”科”に指導医がいる必要があるそうです。天の声の情報らしいです。
つまりは、指導医がいない科は、事実上研修医が受け入れられないと。
よくもまあ、次から次へと利権を考え付くもんだと感心します。
ちなみにうちでは、指導医クラスは全員指導医の資格を習得しました。もちろん、手当まで出る業務出張扱いです。
shin-nai
自分は車が件の保険会社ですorz
>病院から耳をひっぱられるようにして出席した理由として この養成講習会を修了した研修指導医が一定数いないと研修指定病院として病院が認可されず、
大学にいたとき、私もそう言われて講習会を受けさせられました、休日つぶして。
ええ、もちろん出張費はでませんでしたよ
Bugsy
Mm7様
>指導医がいない科は、事実上研修医が受け入れられないと
病院じゃなくて診療科ごとになりましたか。驚きました。
あの当時(5−6年前だったか)、
「今のうちは講習会に出れば指導医の資格が取得できるが、数年経って研修医指導歴の書類提出を前提とした筆記試験になると聞いた。」
「そろそろ全国的に気がついて来たみたいで、講習会への応募が混んできている。今回断ったら、先生に順番が来るのは数年先で その時点で講習会だけで取得できるとは限らない。」とは事務で言われました。こういった天の声の存在も仄めかされたように記憶しています。
「実は他の診療科では研修指導医の資格をとらなきゃと順番を焦ってるスタッフがいる。病院で指導医の人数枠が決まってるので うちも是非とらなきゃ 研修指導委員会に出席して発言が出来なくなる。」と これはうちのボスから。
オイラみたいな前時代の医師はアホですからね。
専門医か学会認定医みたいなもんかい、と 取れるもんは早めに取っておこうくらいしか感じませんでした。
講習会そのものは楽しかったですよ。開会の辞で、ご来臨あそばした厚生労働省の医官の「本当は医者の数が足りているのは知っておるわい、ボケ!」「大学でろくでもない研究をやってる臨床医を僻地に赴任させれば 医者不足は簡単に解決するんじゃい、アホ!」「足りぬ足りぬは 工夫が足りぬという言葉を 医者だけが知らぬらしい。」という生暖かい御発声と 聴衆の医師のなんとも言えない反発した空気が心地よかったです。
夜の懇親会で その発言を受けての反感ゆえに全員に妙な一体感が醸し出されました。これも普段の学会とは違って 本音で話せる楽しい会で、
「朗らかな気分でした♪」。
普段学会でも よその病院の専門が違う診療科の先生方と本音で話をする機会は案外ありません。
そういう意味からも楽しめばよろしいかと 思います。
麻酔科医
富士火災といえば、実家の車の保険と、たのまれて我が家のこどもの掛け捨て生命保険をかけています。私が払った保険金の使われた結果で、皆様に「朗らかな気分♪」を感じて頂けて、存外の喜びです。ええ、私も、楽しく拝見できました。とっても朗らかな気分♪です。(はあと)
tadano-ry
まあ明日になればサイトごと消えているかもwww
2週間かけた壮大な仕込みじゃないですか? 明日になっても残っていても単なる消し忘れですよ。ネットにはよくあることです。仮に明日新エントリが表示されても、それは来年4月1日に向けた仕込みに決まってます。ええ。
まあ生保会社にも、こういうユーモアがあると知って「朗らかな気分♪」
黄昏横浜
横浜のすみっこで絶滅危惧種の一人として働いています。我が家では、車と火災で関係していました。担当者が気弱な方で何となくずるずると入ったままでしたが、ちょっと考えた方がよいかも・・・・と。貴重な情報を有り難うございました。少しも朗らかな気分ではないです。
Med_Law
富士火災に加入して、穏やかな気分に浸っている親戚、知人を探さないとダメだなぁ・・・・
ちょっと、電話して応援したくなりそう(はぁと)
放置医
『かくかくしかじかで御社との契約を終了する』と連絡して、より朗らかな気分になりたかったのですが幸か不幸か何もありませんでした。実家にも確認しましたがありませんでした。
今後の保険加入については参考情報が得られたのでよしとしたいと思います。
Yosyan先生、貴重な情報をどうもありがとうございました。
終了だそうで
> 「いい病院選びの基礎知識」シリーズはこれで終わりです。
http://minken.blog.fujikasai.jp/blog/j/10004171.html
ゆっくりと英気を養ってください。
これだけ濃い内容の記事を日々発信しておられるのですから、お疲れも当然かと思います。 ゆっくり休んで下さい。 気長に待たせて頂きます。
少し前にもしばらくお休みを、ということをおっしゃってましたが、例の愛育病院問題が噴出したりして、お休みになっていませんでしたからね。
ゆっくりと英気を養って、またいろいろと教えてくださいませ。
連休明けにswine fluでてんやわんやになってないといいなぁ。
私的にいいと思うサイト集を作っています。ご参照下さい。
http://d.hatena.ne.jp/tadano-ry/20090430/1240893876
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豚インフルについて、研修医の皆さんへ
・まず、毎日の診療を大切にしてください。呼吸器症状の有無を確 認し、ないときに安易に「上気道炎」と診断せず、旅行歴、シックコンタクト、動物暴露歴など問診を充分に聴取してください。
・患者さんが言わない、ということはその事実がない、という意味ではありません。せきをしていますか?と聞かなければ、せきをしているとは言わないかも知れません。原因不明の発熱であれば、必ず血液培養を検討してください。バイタルサインを大切にしてください。バイタルサインの重要度は重要な順番に、血圧、脈拍、呼吸数、(第五のバイタル)酸素飽和度、そして、体温です。極端な低体温などはまずいですが、発熱患者で大切なのは体温「以外」のバイタルサインと意識状態であることは認識してください。発症のオンセット、潜伏期など、時間の感覚には鋭敏になってください。要するに、ブタインフルエンザ診療のポイントは普段の診療の延長線上にしかありません。ほとんど特別なものはないことを理解してください。上記の診療は診療所、大学病院、どこのセッティングでも可能です。大抵の感染症診療は、大抵のセッティングで可能なのです。
・自分の身を護ってください。とくに初診患者では外科用マスクの 着用をお奨めします。患者の診察前とあとで、ちゃんと手を洗っていますか。
・呼吸器検体を採取するなら採痰ブースが理想的ですが、 理想的な環境がないからといって嘆く必要は少しもありません。「うちには○○がない」と何百万遍となえても嘆いても、物事は一つも前に進みません。「うちには○○がないので、代わりに何が出来るだろう」と考えてください。考えても思いつかなかったら、そ こで思考停止に陥るのではなく、分かっていそうな上の先生に相談してください。いつだって相談することは大切なのです。
・診察室で痰を採取するなら、部屋の外に出て患者さんだけにしてあげるのもいいかもしれません。日常診療でも、とくに女性の患者は人前で痰なんて出せないものです。呼吸器検体を扱うとき、気管内挿管時などはゴーグル、マスク(できればN95)、ガウン、手袋が必要です。採血時やラインを取るときも手袋をしたほうがよいでしょう。こういうことは豚インフルに関わらず、ほとんどすべての患者さんに通用する策に過ぎません。繰り返しますが、日常診療をまっとうにやることが最強の豚インフル対策です。
・あなたが不安に思っているときは、それ以上に周りはもっと不安 かも知れません。自分の不安は5秒間だけ棚上げにして、まずは周りの不安に対応してあげてください。豚インフルのリスクは、 少なくとも僕たちが今知っている限り、かつて遭遇した感染症のリスクをむちゃくちゃに逸脱しているわけではありません。北京にい たときは、在住日本人がSARSのリスクにおののいてパニックに陥りましたが、実際にはそれよりもはるかに死亡者の多かった交通事故には全く無頓着でした。ぼくたちはリスクをまっとうに見つめる訓練を受けておらず、しばしばリスクを歪めて捕らえてしまいます。普段の診療をちゃんとやっているのなら、豚インフルのリスクに不安を感じるのはいいとしても、パニックになる必要はありません。
・今分かっていることでベストを尽くしてください。分からないことはたくさんあります。なぜメキシコ?なぜメキシコでは死亡率が 高いの?これからパンデミックになるの?分かりません。今、世界のどの専門家に訊いても分かりません。時間と気分に余裕のあるときにはこのような疑問に思考をめぐらせるのも楽しい知的遊戯ですが、現場でどがちゃかしているときは、時間の無駄以外の何者でもありません。知者と愚者を分けるのは、知識の多寡ではなく、自分が知らないこと、現時点ではわかり得ないこととそうでないものを 峻別できるか否かにかかっています。そして、分からないことには素直に「分かりません」というのが誠実でまっとうな回答なのです。
・情報は一所懸命収集してください。でも、情報には「中腰」で対峙しましょう。炭疽菌事件では、米国CDCが「過去のデータ」を 参照して郵便局員に「封をした郵便物から炭疽感染はない。いつもどおり仕事をしなさい」と言いました。それは間違いで、郵便局員 の患者・死者がでてしまいました。未曾有の出来事では、過去のデータは参考になりますが、すがりつくほどの価値はありません。 「最新の」情報の多くはガセネタです。ガセネタだったことにむかつくのではなく、こういうときはガセネタが出やすいものである、 と腹をくくってしまうのが一番です。他者を変えるのと、自分が変わるのでは、後者が圧倒的にらくちんです。
・自らの不安を否定する必要はありません。臆病なこともOKです。ぼくが北京で発熱患者を診療するとき、本当はこわくてこわく て嫌で嫌で仕方がありませんでした。危険に対してなんのためらいもなく飛び込んでいくのは、ノミが人を咬みに行くような蛮行で、 それを「勇気」とは呼びません。勇気とは恐怖を認識しつつ、その恐怖に震えおののきながら、それでも歯を食いしばってリスクと対 峙する態度を言います。従って勇気とは臆病者特有の属性で、リスクフリーの強者は、定義からして勇気を持ち得ません。
・チームを大切にしてください。チーム医療とは、ただ集団で仕事をすることではありません。今の自分がチームの中でどのような立 ち位置にあるのか考えてみてください。自分がチームに何が出来るか、考えてください。考えて分からなければ、チームリーダーに訊 くのが大切です。自分が自分が、ではなく、チームのために自分がどこまで役に立てるか考えてください。タミフルをだれにどのくらい処方するかは、その施設でちゃんと決めておきましょう。「俺だけに適用されるルール」を作らないことがチーム医療では大切で す。我を抑えて、チームのためにこころを尽くせば、チームのみんなもあなたのためにこころを尽くしてくれます。あなたに求められているのは、不眠不休でぶっ倒れるまで働き続ける勇者になることではなく、適度に休養を取って「ぶったおれない」ことなのです。 それをチームは望んでいるのです。
・ぼくは、大切な研修医の皆さんが安全に確実に着実に、この問題を乗り越えてくれることを、こころから祈っています。
tadano-ry さん、666aks さん、どうもありがとうございます。
なるべくたくさんのひとに読んでほしいですね。そして、自分自身の対策を読み取るだけでなく、お医者さんたちに協力し負荷を減らすためにどうすればいいのかも考えてもらえると、なおよいです。
そりゃ、なんと言っても、「こういう時期は、病医院受診はなるべく避けましょう」ってことに尽きると思います。ほんと、まじめな話。
空港と病院は一番感染リスクの高い場所ですからね。
人なか出歩かないのが一番の感染対策。あと、咳の1mマナーとかもあったっけ。
それでも受診せざるを得ない場合、マスクは自前でエチケットとしてね。
日本で患者でたら、救急以外、通常外来は休診ってことにしてもいいくらいの話だと個人的には思います。救急も感染防御対策いつに増してきっちりとしなければ。
本当に発生すると家に帰ることも出来ず、潜伏期間も含めると一ヶ月は病院に「潜伏」しなければいけません。この場合、医者の数の問題もあって、いろんな科(マイナーまで)が動因されます。
また、現状では厳格な運用は非常に困難です。多分、最初の数人ぐらいは手続きに沿って進めることは出来ますが、それ以上は普通のインフルエンザとしか扱うことになりますし、それでOKと思います。インフルエンザ開放病棟なんて作って。ベンチレーターも防御服もどうなるのでしょうか。防御服も簡易なものなら多くありますが、本当の防御服は少ないです。N95を使っている様ではだめ。一回かかってしまうと怖いものなしですが。一瞬にしてキャパを超えるのは見えています。またそんな病院にがん患者なんかとても無理ですし・・・一斉非難では。
また、現在アメリカでは自宅待機、主にリモート指導で観察をやっていますが、日本の場合、そんな自制が効くのか心配であります。日本では疑い例でそれをやったことがありますが。そういえばドライブするー型インフルエンザ外来なんて今もあるのでしょうか。
労働問題に絡めて言うならば、まさかの時に労災保障を受けない医者が対応する事だけは避けていただきたい。しかし、そこまで自分や家族の命のリスクを犯しても初診料2700円、定給なのでしょうか・・・。辞職も出るでしょう。看護師や助手なんてさらに・・・どう天秤にかけても・・・。
いますが、全体としては冷静ですね。ただWHOの対応が少し後手に回りつつありますね。早めの対応ならそろそろフェーズ5に移行してもいい頃合いなのですが、政治的な配慮で見送っているのが気になるところです。
すでに香港や韓国で感染疑いの患者が出ていますので日本でも時間の問題だと思います。おそらく今日明日にも、とは思っていますがどうでしょう。問題はどこまで情報をオープンにしてくれるかです。日本への影響を考えると中国や北朝鮮の動向も無視はできません。
でも日本のニュースでは「死者が出た」とはっきり言い切りましたね。またdoubtなのに。
http://latimesblogs.latimes.com/lanow/2009/04/coroner-doubts-2-men-died-of-swine-flu.html
ゆっくりお休みして英気を養ってください。
エントリを書いているだけなら「管理」と言う必要はないんですよね。
ブログの「管理」というのは、ほとんどコメント欄の管理になります。
コメント欄を公開していないブログは別ですが。
ブログ主の本意に沿わないコメント投稿があった場合に、常連さんがどのような対応をするのかによってブログ主の負担を相当違ってくると思います。
ちょっとうらやましいところもありますけどね。
「ちょっとうらやましいところもありますけどね。」というのは、私の旧館ブログの旧時代の終盤との比較です。
ま、ブログ主が医師か医師でないかの違いということだと思いますが。
ブログ主として先生がブログの管理運営にお疲れのなか、4月26日のエントリにて投じた私のコメントがトドメの一撃となったのであれば、先生並びにこのブログを育ててこられた常連の皆様にお詫びするばかりです。
先日のエントリにて『集う多数の医療者の方々の総意または多数意見』が何処に基準を置かれているのか、私の投稿への卵の名無しのコメントへの憤りと不愉快さを表明した上で、『新小児科医のつぶやきのスタンダード』を問うコメントを致しました。
この投稿の真意はYosyan先生のブログ運営の方針を非難する意図ではなく、あくまでもこのブログの常連コメンテーターの皆さんが、かの卵の名無しの投稿姿勢をどのように評価されるのかを知りたかったことにあります。法律職を揶揄する態度を明示された投稿に対し、そうした投稿を批判して窘めるのか、或いは常連の多くが卵の名無しの投稿に同意されるのか。その反応からこのブログの総意というかスタンダードを確認する意図が、コメント投稿の本心でした。
しかし私の投稿が、日々のブログ運営にご負担を感じておられたYosyan先生に更なる負担感と徒労感を与え、結果的に休養宣言に繋がったのであれば、先生には深くお詫びするばかりです。また私が退場することを惜しむ常連さんからのコメントも複数頂戴しながら、そうしたご評価にお礼の言葉すら返さなかったのもまた大変に失礼なことであり、常連の皆様にも併せてお詫び申し上げる次第です。
医療の職場における過重労働の問題は、私自身も社労士として仕事しながら非常に憂慮しており、無関心ではいけないという強い思いを持っております。また国民の一人として、この国の医療制度のお世話になる者として、現行の医療保険制度と医療提供体制の矛盾と行き詰まり、すなわち医療の崩壊という現象での混乱が少しでも軽くなるよう願っております。
私はいわゆる士業として医療の職に無い立場ですので、医療者の皆様とは視点や感じ方、或いは批判の対象が違っているとは思います。そうした余所者を排除して固っている印象を与える、いわゆるネット医師と呼ばれるような方々の、医師の医師による医師だけの議論に終始する世界には、私どものような非医療者は足を踏み入れる気にはなれません。ネットにはそうした仲間意識が強烈に感じられる場がある中、此処「新小児科医のつぶやき」は非医療者にも入りやすいブログとして評価しておりました。
そうした私の心の評価に件の卵の名無しの揶揄コメントが、一時的に疑問符を付けた格好となりましたが、Yosyan先生を筆頭に複数の常連の方より頂いたコメントで、私の疑心は緩んでいることを皆様にお伝えしなければ大変に失礼なことかと存じます。
またそうした皆様からの私に向けられた暖かい反応は本当に嬉しく、同時に頂いた望外の評価にお礼申し上げる次第です。加えて休養されて英気を養われたYosyan先生がまたこのブログの更新が再開され、活発な投稿と議論が投稿欄で飛び交うことを心より希望しております。そして労働問題など私自身の知識と解説が皆様のお役に立てるであろうエントリには、引き続き関わって行きたいと考えております。
先生並びに常連の皆様に先日のお詫びを申し上げつつ、再開を楽しみに待っていることを表明する次第です。
真摯なお言葉誠に痛み入ります。私は何しろ1200baudのモデム時代からのネット歴の長い人間ですが、昔から公開掲示板では「変なの」が入り込んでくるのはどうしても避けられない事で、それに伴う様々な衝突もまた、顔の見えない世界ではありきたりな事件でした。経験的に、対処には「煽りと荒らしは徹底スルー」しかないと考えております。このため私も、日頃御厚情をいただきながら先生に何も申し上げることをせず、結果ご不快を助長するような事になったかもしれません。セミ常連の一人としてお詫び申し上げます。
今回特にコメントをつけなかった人も含め、ここにいる殆どの者もおそらくそういう立場であったろうと思います。ご立腹はもっともですが、どうか声を出さなかった者達も先生のご教示に感謝しこそすれ、排他など考えもしていない事をお酌み取り頂ければ幸いです。
法務業の末席様からもご指摘がありましたが、ここのブログは末席様をはじめ、様々な職の方々が各々の立場からご発言されています。それが私のような読者には非常に勉強になりまた、議論に豊かさをもたらす源泉となっているのだと思っています。心より深謝申し上げます。今回のようなことでその貴重なご発言がなくなってしまっては残念でなりません。これからも変なのは沸いて出るかもしれませんが、お体に差し支えのない範囲で、引き続きご教示を頂ければ幸甚に存じます。
<新型インフル>発熱外来の設置 市民病院が拒否 埼玉 4月30日21時29分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090430-00000132-mai-soci
(web魚拓はhttp://s02.megalodon.jp/2009-0430-2244-39/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090430-00000132-mai-soci)
同省新型インフルエンザ対策推進室の高山義浩室長補佐は「発熱外来の病院数が少ない感染拡大期は患者が1日に何十人も押し寄せることはない。夜間救急はしていなくても、当直医師などで十分対応できるのではないか」と指摘している。
ふーん。
私自身はブログはやっていますが、このような多くの方々への情報発信はしていませんのでご苦労のほどはわかりませんが、エントリーを立てるに際しては、ブログ主さまはコメント欄をすべてチェックし、常に新しい情報を検索してエントリーを構築されているのだろうと思います。であれば、モトケンさまは謙遜して書いていらっしゃいますが、エントリーを立てるだけでもブログの管理と言ってよいのではないかと思いますし、相当のご苦労をなさっていると思います。いずれにしても、私たちは一方的にブログ主さまの好意に甘えているだけで、何のお手伝いもできませんが、せいいっぱい応援しているというメッセージは伝えておきたいと思います。
法務業の末席さまにも、いつもお世話になっています。医療者だけでああだこうだと言っていても視点がずれていることも多く、われわれの視点とはまた違った法務業の末席さまの目からウロコのコメントにはいつも感心し、大変勉強になります。私も医療者のはしくれですので、知人、親戚などからときどきメールで病気の相談を受けることがあります。返事を書くに際しては、自分の記憶にある知識のみに頼らず、ネットや文献できちんと調べてから書いています。法務業の末席さまも、コメントをサラッと書いているように見えますが、きっときちんと調べられてから書いておられるのだろうと思います。本当に貴重なお時間を割いて我々にわかりやすく書いていただいているのを拝見しまして、頭の下がる思いです。
どなたかが書いておられますが、アクセスの多いブログにはどうしても変なものは湧いてきます。荒らしはスルーが一番とわかっていても、根が真面目な方はつい正しい方向に導いてあげようとなさいますが、もとより荒らしは聞く耳を持っていません。雑音に耳を傾けず、建設的な意見交換ができる場であればいいなと思います。
長々と失礼いたしました。
それで、ホントのあらしちゃんは二の句がつげなくなってしまいましたし、誤解のあらしちゃんは、少し考えを改めていきました。
で、興味深いことは、今回のイベントでは、法務業の末席先生に対するはげましはあるのですが、氏を怒らせたご本人(卵のななし氏という名の固定HNの方も常連コメンテーターにはいらっしゃいますので、常連の方か、乱入してきたバカかはわかりませんが)への「お前いいすぎ、ちゃかしすぎ」みたいな忠告がないことなんですね。法務業の末席先生のコメ(4/26エントリかな)とか、かつてのモトケン先生ブログでの「失望感」ってそれなんですけれどもね。お医者さん同好会というか、なあなあ、みたいな雰囲気。
ただ、非医療者である私は、ここの常連さんにいらっしゃる、「同じ医師であっても、まずい医療をしたら批判する」「おかしいことはおかしいという」という方々と出会えてうれしかったのです。
で、ここまで長い前おき。
豚インフルエンザの資料は、非医療者も参考になります。別の掲示板で、発熱外来とかその後の治療は「有料」だと小耳にはさみました。感染症すべてではないにせよ、今回のようなケースは、無料にして積極的に医療をうけさせないと、ますます感染が広がるのではないか、とい心配があります。成田の飛行機で見つかった人はA香港だったそうですから、これは医療費を請求するにしても、横浜の高校生がもしクロだったら。。。。
数年前の大学生ハシカ事件のように、「学校やすみだからみんなでノミにいこ」「市販の風邪薬のんで、ちょっとおさまったら遊びにいこ」みたいなことを防ぐためにも、
健康な人は外に出歩かない、心配な人は早急に隔離して治療、ではないかと。
熱発者の「タライ回し」、「受け入れ拒否」の医療機関の名前の晒しあげと お馴染みのパターンが予想されます。タミフルやリレンザを非常事態に備えて病院で買っておくと「医者が金もうけのために買い占めた。」とくるんでしょうか。
日本の医療体制が実は手薄でもろいものだと国民全体が気が付くきっかけになるのでしょうか?
それとも相も変わらずマスコミが叩くだけでしょうか?
医者にかかれば全員が感染症に適切な治療ができると 思ってらっしゃいますか?
オイラは診断も治療も苦手です。術後感染ならばいざ知らず、ウイルス感染には実に疎いです。
自分の子供のリンゴ病もわからなかった。世間で期待されるほど 治療経験はありません。
自分の周りはこんな医者ばかりです。
医師は全員、感染症の最新で適切な知識をもっている、とも、
医師にかかれば、感染症の患者はみんな死なずにすむ、とも思っていません。
自分の手におえない症状の患者を、より適切な医療機関におくるのは「たらいまわし」ではないです。
でも、新型インフルにかかったとしても、医師に診てもらわずに、自宅で栄養とって寝てればいい、とも考えていません。
ひょっとして医師であっても何の手もうてないので「寝てればいい」のが正解なのでしょうか?
岩田先生がおっしゃていることは、営業であれ製造ラインであれ、管理部局であれ、一般の社会人の仕事にもあてはまります。「わからない」という勇気は必要ですし、「生半可の知識で突入する」のは蛮勇です。その真ん中があるわけです。
>>「うちには○○がない」と何百万遍となえても嘆いても、物事は一つも前に進みません。「うちには○○がないので、代わりに何が出来るだろう」と考えてください。
なんて、そのままコピーして「社訓」にしたいくらいです。
ボランティアって本当に都合のよい言葉ですねえ。
働くのはお前らの勝手。だから対価は払いません。へたすりゃ医師が感染しても患者も行政も知ったこっちゃありませんということです。
ボランティアだから自分の都合で取りやめましたというと烈火の如く怒るでしょう。
それってボランティアの意味とちがうじゃん。
うちの病院でも発熱外来をなんて言ってましたよ。
オイラはそれをきいて「あ〜ん?今何か言った?」「寝言は寝てからいってくれ。」といいました。
感染症外来というならともかく、熱発外来というのは熱が出てくりゃ何でも来てよ、すべての診療科が面倒見ちゃうよんとしか聞こえません。専属の外来スタッフが湧いて出てくるわけないです。
24時間救急をとって3次救急もやって、なんちゃら災害拠点病院もやって、産婦人科も頑張って 結局自宅で寝たきり老人の誤嚥性肺炎も褥そうの発熱も心配だから、熱発外来にくるなあ。
俺たちって千手観音だと思われてんだ、おがみもしないくせに。
呼気を排出する弁のついたN95マスクって無いのかなあ?
>氏を怒らせたご本人への「お前いいすぎ、ちゃかしすぎ」みたいな忠告がないことなんですね。
信仰告白様も忠告を行っていない一人ですし、sasimininja様が直後に忠告を行っているように見えました。
このブログってブログ主は医師の方ですがコメンテーターは
信仰告白様も含めた医療者の方と非医療者の方様々だとおもうのです。
私も非医療者として拝見していますが、医療者と非医療者で分けてしまうのではなく
有意義に参加させてもらえればと思います。
そりゃそうですよ。
よく考えたらインフルエンザの専門科って何処なんでしょうか。
感染症科があれば良いですが、一般病院の場合は耳鼻科か内科総合科になるのではないでしょうか。
全身感染症ですから臓器別も厳しそうです。
で、24時間対応するには全科挙げることになります。
勤務医としてはおれは診療科ではないと言い合うので、メディアに出るのは大抵、院長になります。
A:開業医
開業医がインフル診療に専門知識を有しているって事ではなくて、実際にインフル診療は今まで開業医が担ってきました。
今回は病院に"発熱外来"なんて騒いでいますが、季節性インフル(つまり、いつものインフル)程度の流行が起こったら発熱外来だけでは対処できないに決まってます。結局いつものインフル診療と同様、開業医で診療することになるんじゃないでしょうか。弱毒型らしいですし。
そういう目で見ている開業医の最大の関心はどのタイミングでインフル検査キットの発注をかけるかですね。検査キットは生ものですから賞味期限があります。賞味期限が6月までの検査キットはダブついているらしい(安く手に入る)ですが、発注しても流行しなかったら賞味期限が切れますし、流行が確実となってから発注したんじゃあ品切れでしょうね。なんだか相場みたいな感じですが。
我が国の故事にならって、弱毒なうちに豚インフル(あえて『新型』の呼称を拒否)を貰いに行くってのは、賢いです。多分。
行き先は、患者発生している地域ならどこでも良いんじゃないかな。名目は、『新型インフルエンザ最新対策の視察』。多発地域で患者収容先病院などを歴訪視察する。
防護服は我が国独特の隙間だらけのやつを持参すれば、なお良いでしょ。
まあ、確率的に無視できるレベルだったんでしょうね。
>防護服は我が国独特の隙間だらけのやつ
笑ってしまいまして
ワクチンより自然感染の方が免疫は強くなりそうですから、いい考えです。
>むかし、はしかなんか子供のうちに罹っておけ、なんて言われたモンです。ごくわずかですが脳炎の可能性もあるんですが、、、、
まあ、確率的に無視できるレベルだったんでしょうね。
麻疹は経過の症状が重くまた合併症は昔から重大視されていました。一般の人に誤解を与えるコメントはいけません。
経過が重篤で死亡例もあり、脳炎も後からじわっとくるSSPEもありますので。
みなさん、麻疹は軽く考えず、必ず予防接種を受けてください(免疫に異常があり、主治医から止められている子供以外は)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090503-00000057-mai-int
このウィルスはトリインフルエンザの遺伝子も持っていますが、もし鳥類にも感染するとすると非常に厄介なことになります。弱毒なだけに全世界に拡がり、ウィルスが交雑するためのベクターのような役割をしそうで怖いです。
私が50年前にはしかに罹ったときは、当時整形外科勤務医だった親父が「こいつらもこの機会に罹らせよう」と言って私の両隣に弟2人を並べて寝させたそうです。
注意:よい子は真似してはいけません!!
H5N1と交雑する可能性あり、か。。。
なんかますますまだ弱毒のいまのうちにワクチン代わりに罹っておきたくなったりしてw
(注意:よい子は真似してはいけません!?)
>発熱の診察拒否、全国調査へ 厚労省、悪質なら指導も
>http://s04.megalodon.jp/2009-0505-2003-11/www.47news.jp/CN/200905/CN2009050501000428.html
> 新型インフルエンザ発生国への渡航歴がないなど感染の恐れが少ないにもかかわらず、発
> 厚労省結核感染症課は「『感染の疑いがあれば発熱外来に誘導する』という国内発生後の対応を前倒ししているのか確認が必要」
>とする一方「現段階でのこうした対応は常識的に考えられない」と不快感を示している。
>常識的に考えられない」と不快感を示している。
>常識的に考えられない」と不快感
>常識的に考えられない」
今度のは前のなんか目じゃない超々特大の一発で、>常識的に考えられない」ほどでかそうw
恐らくこの冬に恐らく大流行する新型インフルエンザでの一時的な過負荷には到底耐えられそうにない。人数が減っているところにさらに士気が落ちている。全科全員で迎え撃つような病院はどれくらいあるのか。日本は医療に限らないですが、非常事態にどのように対応するか、考えられていない。弱毒なウィルスだけに患者側も「消費者」として振る舞い、この崩壊に拍車をかけるかと。
そして、このウィルスがH5N1と交雑し変異したときには。。。
舛添厚生労働相は6日、同省幹部の会議で、「(診察拒否について)
医師法違反になる」との見方を示し、適切な対応を取るよう指示した。
6日と言うことは休みの期間。当直時間。
さて、応召義務違反が問えるのでしょうか。
医師法第19条「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」
診療に従事する。従事…。ひっかかるなあ。勤務と具体的に書けないのかなあ。
医療に従事するなら医者一般を指すように思うし。
20080308貴ブログより
「応召義務に罰則はありません」
「宿直医は救急外来診療拒否しても罪には問われない。」
「宿直医の救急外来診療拒否の責任は救急輪番を引き受けた病院が負う。」
応召義務違反で医療側が敗訴した判例
● 神戸地裁 判決
平成4年6月30日 平元(ワ)1569号 神戸市立病院救急患者受入れ拒否訴訟判決
● 千葉地裁 判決
昭和61年7月25日 昭56(ワ)731号
どちらも医師個人ではなく、病院や設立母体である自治体に対する判決。
労基違反VS応召義務違反にがんじがらめの当直問題。
問題は厚労省に存在すると思うのですが。
医者は夜間に労働をするのか、しないのか、そこら辺ちゃんと法整備しないと。