トップページ社会ニュース一覧尼崎死体遺棄事件 対応不適切で警察謝罪
ニュース詳細

尼崎死体遺棄事件 対応不適切で警察謝罪
4月19日 16時31分

尼崎死体遺棄事件 対応不適切で警察謝罪
K10040426111_1304191702_1304191703.mp4

兵庫県尼崎市の一連の殺人・死体遺棄事件で、香川県警察本部は、殺害された高松市出身の女性の家族への対応に不適切な点があったとする内部調査の結果をまとめ、公表しました。
香川県警は、女性の遺族などに調査結果を説明し、謝罪したということです。

一連の殺人・死体遺棄事件では、去年10月、高松市出身の仲島茉莉子さん(当時26)が尼崎市の住宅の床下から遺体で見つかり、自殺した角田美代子元被告の親族7人が殺人などの罪で起訴されています。
元被告らは平成15年、高松市の仲島さんの実家に居座って、多額の金を脅し取ったり家族の間で互いに暴行させるなどしていたことが分かっていて、香川県警察本部は、内部で当時の対応を調査して、19日に結果を公表しました。
それによりますと、平成15年から3年余りの間に、仲島さんの家族や親類、知人など17人から5つの警察署と警察本部に合わせて36回もの通報や相談が行われていました。
中には、仲島さんの父親が警察署を訪れて暴力の被害を訴えたのに対し、受け付けなかったこともあったということです。
また、地元の警察署には「庭に正座」や「木にゴムで両手を縛る」など、暴行や虐待をうかがわせる相談内容のメモが残されていたほか、別の警察署からも相談の記録が送られていましたが、家族の間のトラブルと認識して、積極的な対応を取らなかったということです。
香川県警は、多数の通報や相談を受けていたにもかかわらず、警察内部での情報共有や具体的な捜査指揮が不十分で対応に不適切な点があったとして、仲島さんの遺族などに調査結果を説明し、謝罪したということです。

市民の声への対応が課題に

市民から寄せられた相談への警察の対応を巡っては、どこまで踏み込んだ捜査をするのかが、たびたび問題になってきました。
平成11年に埼玉県桶川市で起きた女子大学生殺害事件では、被害者や家族が事件の前に警察に相談し、告訴状を出したのに警察の担当者が告訴を取り下げるよう求めたり、調書の内容を書き換えたりしていました。
これをきっかけに、警察庁は改革に乗り出し、民間の有識者からの提言を受けて、平成12年に「民事不介入」に対する誤った認識を改め、相談に的確に対応することなど市民からの相談を真摯(しんし)に受け止めるとする警察改革の取り組みをスタートさせました。
しかし、今回の一連の事件で、香川県警に最初に相談が寄せられたのはこの2年半後で、改革が徹底されていなかったことが浮き彫りになりました。
その後も、市民からの相談への不適切な対応は全国で繰り返され、おととし、長崎県西海市でストーカー被害を受けていた女性の母親と祖母が殺害された事件では、千葉県警の担当者らが、ほかの事件への対応を理由に被害届を受理せず、慰安旅行に行くなどしていたことが明らかになりました。
警察庁は、被害届は原則としてすぐに受理するなど、相談への対応を強化する取り組みを進めていますが、市民の声に警察がどのように対応するのかが改めて問われています。

          

専門家「警察は考え方改めるべき」

警察の捜査の現状に詳しい常磐大学大学院の諸澤英道教授は、香川県警の対応について、「30回以上の相談があったのに、動かなかったのは言い訳のしようがなく、警察は猛省するとともに深刻に受け止めてほしい。警察は被害届にこだわるが、告訴や被害届がなくても、事件性を見いだせば動けるものがほとんどで、考え方を改めないといけない」と厳しく批判しました。
また、組織的な対応や情報共有を徹底するなどとする今後の取り組みについても、「検証によって目の前に見えてきた問題に対処しているだけで、これで十分なんだろうかと感じる。あらかじめ事件を防ぐにはどうしていくのかという仕組みの部分が全くない」と指摘しました。
そのうえで、「警察はもっと積極的に訴えを受け止めて動くべきで、訴える側の立場に立って物事を考える感覚を身につけるべきだ。『このまま放っておいたら重大なことになるんじゃないか』という感覚を持つ組織にならければならない」と話していました。           

[関連ニュース]
k10014042611000.html

[関連ニュース]

  自動検索

尼崎事件 10回余の相談も一部捜査せず (4月22日 12時47分)

資産家死体遺棄の疑い 知人の男逮捕 (4月18日 20時46分)

このページの先頭へ