注:今日の記事の写真はちょっとグロテスクなものばかりです。無数のダニ等も出て来ますので、潔癖性の方、その他、そういった写真が嫌いな方はご覧にならないで下さい。
鹿が到着。 荷姿がすごく小さい。やはりタツさんが言う様に、里の鹿は小さいのか? 今回は短期決戦でいくことに決め、ともかく水に漬けて強制解凍。 一時間程で解凍が完了。 拡げてみて驚いた。腹を切らずに、筒状に剥いている。 あと、もの凄い数のダニが喰いついている。10センチ四方で30匹ぐらいはいるか。 特に下腹部と首回りが酷い。冷凍していたので全部死んでいるけど、この鹿、生前はさぞ難儀しただろう。 ところで野生動物にも、ダニによって仲介されるカイセン症があって、近年どうも非常に流行しているようだが、この鹿、どうもやられてるんじゃないかな?最初、下腹部の赤い点はダニに喰いつかれていた跡だろうと思ったのだけど、カイセンの初期の症状に似ている様に思う。 皮膚自体はまだボロボロではなく、奇麗なものなので、微妙なのだけど。 さて、今回の鹿は雄。睾丸がそのままぶら下がっていた。 鹿の睾丸は何かの薬になるって聞いた様に思うので、シッポと睾丸は冷凍。 ともかく筒のままでは鞣しにくいので、腹を開く。 そしてビームに載せてFleshingにかかる。今回は配偶者も少し挑戦してみた。 感想は「私、小さいのでいい」。 今回の鹿は結構固く肉がこびりついていて、Fleshing所要時間は一時間程だった。 Fleshingの最中、やたらと脱毛するので驚いた。前回の鹿は、脱毛させるのに二週間を要したのに、もう脱毛している。一瞬やはりカイセンかとも思ったのだが、Grainまで一緒に取れてくるので、多分そういうわけではなさそうだ。 最初にカイセンを疑ったのは、この皮膚の一部が赤くなっているところ。 Graining終了後、Lye(水酸化ナトリウム)溶液へ。 この感じなら、明日にはGrainningが可能かもしれない。 コロはいつでも僕の傍に居るのだけど、カイセンは犬によくうつるので、ちょっと気をつけた方が良いかもしれない(ダニが全部死んでいるので、今回は大丈夫だけど)。 皮自体は前回の鹿ぐらいの厚さの様に思うが、もしかしたら少し粘りが無いかもしれない。注意しておかないと、すぐに破れるかも。 データ 3.785L=gal 10gal=37.8L : 112g (lye) 10gal:4oz
今回は、「臭いを出さない」というのと、「効率」というのが最優先課題。
これらを解決しないと、色々と無理が出て、今後鞣しは難しくなると思う。 臭いの出るステージは、グレイニングとブレイニング。 そのうち、ブレイニングは鞣し液を24時間以上使わない事で解決出来る。 問題はグレイニング。 水に漬け込んでおいて、バクテリアを繁殖させてグレインと皮本体とを分離させるわけで、要は若干腐らせるので、臭う。 そこで昨日書いた通り、漬け込み(ソーキング)に使う水に石灰(消石灰)を混ぜようと考えていたのだけど、どうも灰汁(水酸化ナトリウム)の方が良いらしい。 水酸化ナトリウムは劇薬で、購入にハンコがいるらしいんだけど、漬け込み日数が劇的に減るそうだ。 しかもグレイニングもブレイニングも何かの作用で、かなり簡単になるとのこと。 今回の最重要課題が一石二鳥。 今回はやらないけど、脳漿液のかわりに、石鹸を使う鞣しもある様だ。詳しく書かれたテキストを読む時間が無くて、おおざっぱにしか理解していないけど、出来上がりはブレインタンと同じ、ただ、若干石鹸の臭いがする革に仕上がるのだそう。 僕は脳と煙が混ざった臭いが、ラコタを思いだすので好きなんだけど、日本で商品に使うには、これか、無香料石鹸でやるのが良いかもしれない。
前回の鞣しでは、臭いがキツかったのと、グレイニングのタイミングが分からなかった事、そしてブレイニングの際のプリ・ワーク(繊維を開かせるため、簡単なソフトニングの様な事をする)の重要性が分かっていなかったのが反省点だと思う。次回の鹿まで一週間程しかないが、それらの解決法を一つ一つ探っていっている。
前回は本当に基本的な方法で鞣したので、今回はちょっとオプションを加えて鞣してみようと考えている。そのオプションによって前回の反省点のいくつかはクリア出来そうだ。 実は前回は正道から逃げたく無かったので、オプションについては見ない様にしていたのだけど、鞣し上がってから各書籍や掲示板のオプション的な部分を見ると、やはり皆が同じ部分でひっかかっていると見えて、結構色々な解決策が紹介されていた。 その中の一つの手法を採用して、今回はソーキングの際にLime(石灰)を混ぜる予定だ。混合比率は、水1ガロン:石灰1/6ポンド。ソーキング終了後、グレイニングが完了したら、洗い流しの際に酢漬けをして中和する。これによってソーキング時間の短縮、グレイニングとブレイニングがかなり楽になるそうだ。問題点に関してはまだ探っていないが。 また、今回は脳漿を使用せず、成分が同じといわれる卵の黄身を使用する。もし一日でブレイニング(もはやヨーキングと呼ぶべきかー笑)が完了しない場合は、新しい黄身溶液を用意する。 また、ソーキング完了時点で皮が臭う様であれば、近場で人に迷惑をかけない場所でグレイニングをする。 こんな感じでいこうと考えている。 掲示板にちょっと嫌な情報が。 You know, the last few years have been good for me. This elk farmer has given me about 25 hides for the last two years and most were summer killed. They are like no other elk hides I have done. Very thin, like a whitetail, but large like an elk. Just wonderful hides. I started out wanting to make a hide lodge, but the hides were just too thin and nice for a lodge. 要は「夏のエルクは、分厚さはホワイトテイル並みに薄いわ!」って事。やっぱりな。てことは、話を僕の今度の皮に置き換えると、 Very thin, like a one year Japanese deer, but large like the biggest....... ってことになるのか。。。。それとも、前回の鹿よりも薄いのか??? ポーチに使える分厚さであってくれ〜!頼む! ビーズ細工も独学だったのに、最初に一番厄介なモノから入ったんだけど、鞣しも同じですね(笑)。まあ、最初に難しいのから入った方がね。。。後々楽かな。
少し前の新聞で、兵庫県で有害駆除された鹿を食肉として加工する工場が出来たという記事を読んだ(神戸新聞2007年5月9日朝刊)。記事によると、兵庫県で駆除される鹿は年間15000頭。そのほとんどは焼却処分されるそうだ。その背景には、「食肉としての流通量が少ない事が挙げられる」(同記事より)そうだ。
これを読んで思ったのは、肉はまだ食べる人がいるだろうけど、皮はほぼ捨てるんだろうな・・・ということだった。 そこで実際にこの工場、「株式会社 丹波姫もみじ」さんに連絡をとってみた。 すると、確かに今までは全て焼却処分されておられたそうだが、これからは出来れば地場の鞣し工場で鞣してもらって、何か商品化させることが出来れば・・・と考えておられるそうだが、まだ具体的なプランが何も無いのが実情だそうだ。 そこで、お願いして、とりあえず原皮を一枚分けてもらう事にした。それを鞣してみて脳漿鞣し(ブレイン・タン)のバックスキンの適応性を見て、良いようであれば、最初の内、僕自身が技術をつけるまではOGLALA商品の革として鞣し、その後は革の販売、そして行政等を巻き込んで講習会等の開催などに持って行けないかと考えている旨お伝えしてその日は電話を置いた。 それが昨日、お電話を頂いて、「昨日、相当大きな鹿が入って来たのですが、要りますか?」との事。実はほぼすべての鹿は塩漬けにしておられるそうで、それを6月に工場にうかがって分けて頂く予定だったのだが、「可能であれば冷凍が良い」と僕が伝えていたのを覚えていて下さっていて、偶然入って来たものを回して下さる事にしたようだ。 お互い無理が出ると良く無いので、勿論有償での引き取りを希望していたし、大体の金額も提示していたのだが、今回はサンプルとしてまず使って欲しいので、無償で結構です、とのこと。 だからというわけでは決してなく(笑)、この工場を主催されている柳川瀬正夫社長の姿勢には本当に共感出来るものがあります。もともと、丹波市の職員として鹿の駆除に関わっておられ、廃棄処分される鹿に心を痛めておられ、早期退職してこの会社を起こされたのだそうだ(参考ウェブサイトーーー朝日放送NEWSゆう「シカ肉を高級食材に」作戦開始!ーーー)。 また、行政からの補助金等に一切頼ってらっしゃらないそうで(参考ウェブサイトーーーたかしま21ニュース鹿肉加工 (株)丹波姫もみじーーー)、まさに自費を投げ打ってのご活動。 頭が下がる。是非成功してもらいたいものだ・・・なんて偉そうな事言う前に、自分が成功しないといけませんね(笑) でも、柳川瀬社長、本当に良い方で、電話を受けた配偶者までが「この人の為に、何か私もしたい!」と言い出すぐらい。 タツさん(群馬の猟師、阿部達也さん)といい、柳川瀬さんといい、日本もまだまだ捨てたものじゃないですね。 この鹿、6月に鞣します。見学希望の方、ご連絡下さい。また、自分でも鞣してみたい方、脳漿鞣しのバックスキンを使ってみたい方、いらっしゃいましたらOGLALAまでご連絡下さい(右のリンク欄からメールを送れます)。 今、日本で手に入る北米エルクのスモーク革は非常に優秀で文句のつけどころの無い革で、それに比べるとブレインタンは欠点だらけで扱いの難しいジャジャ馬なのですが、でもこれにしかない味がありますよ。 < 前のページ次のページ >
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