表皮、いわゆるギン(グレイン)を落とす作業、グレイニングが終了したら、次はメンブレインと呼ばれる、脂肪や皮膚をくっつけている薄い膜(医学用語で結合組織と呼ばれるもの)を落とす作業だ。
結果、ハンターの人から生皮をもらって、それをバックスキンに仕立てる場合、削ぎ落とさないといけないものは、 1、肉片や脂肪。血液のシミ。 2、毛。 3、表皮。 4、結合組織。 図で見るとこういうこと。 左の図、GRAIN LEATHERとあるのは、ギン(普通皆さんが一般的によくご存知の革の、表面のツルツルした部分)つき革の事。 脳漿鞣し(ブレインタン)では、ギンがあると、最もおいしい特性(フワフワのスボンジの様な手触り)が活かせなくなるのと、脳漿が浸透しにくくなるので、ギン付き革には仕立てない事が多い。 作業としては、現在3まで終了したわけだ。次は結合組織を剥ぎ取る(スクレイプする)作業。 ウェット技法(スクレイプ)の場合、その作業に入る前に、いったん革をカラカラに乾かした方が良いらしい。そして、もう一度濡らして生皮に戻して削いだ方がメンブレイン(結合組織)が落ちやすいそうだ。 どれだけ作業のしやすさが変わるのかを確認しておきたかったので、1/4ほどはグレイニングが終わった段階、乾かしに入る前にやっておいた。結果、まあ力もいるし、根気もいるけど、やってやれないことはないという印象。これがどれだけやりやすくなるのか、ちょっと楽しみだ。 さて、乾燥させるわけだが、この際、注意事項として一冊の参考書に「鉄の棒にかけて乾かさない方が良い。今の時点でついた鉄のステインは二度と落ちない」と書かれていた。その本の著者は洗濯ロープを薦めていた。 僕の使っている物干竿はステンレスをビニールコーティングしてあるもの。まあ、問題ないだろうと思って、それと木の棒を使って間に空気が入って早く乾く様に吊っておいた。 ちなみに、干す前にはスクレイパーで水分を充分にこそぎ落としておいた。 ドライ開始(4月2日3時47分) 庭でのドライ終了(同日5時36分) この後は、家の駐車場(非常に乾燥している)で干した。 朝には完全に乾いていた。臭いももうまったく無かったので、工房に持って入った。 完全にローハイドになった。 完全乾燥させたら、次のステージにすぐにうつらなくても、2年半ぐらいはこのまま保存しておくことも可能らしい。でも、早く次ぎがやりたくて仕方ないので、急ぎの仕事等が片付いたらすぐまた復帰したい。 とりあえず保存。 やはり手塩にかけた皮は可愛い。 ちなみにビニールコーティングの洗濯竿、やはりちょっとまずいです。貼り付いてしまって、取るの結構怖かったです。生乾きの状態だったから良かったけど、完全に乾いていたらまずかったと思う。 これはなんでかというと、結局皮の素材がコラーゲンだからなんですね。このコラーゲンが前に書いた様にボンドになるんだから、やはり密度の細かいビニールはまずかったんだと思います。
「これだけの薄さの革で、使える中心部をほぼ破いていないのは、奇跡に等しい」と、師匠、サンティー・スー族のディキシー先生からお褒めの言葉を頂いた。
と、いうことでちょっとは威張って良いのである。 これからどれだけ破けるか分からないので偉そうな事は言えないのだけど、まあ、マシな方ではないだろうか。 作業にかかる前に吊るしてジックリ観察して、状態を脳に叩き込んでおかないと、本当にあっさり破れる。分かっていても、血圧が上がって来てゴリ押ししてしまうと、本当にあっけなく穴が開く。 こういうのを、皮の声に耳を傾ける、っていうのだろうか? 数日、天気等のせいもあり、漬け込んでいたお陰で、基本的なグレインは浮いてくれていたので、だいたいのグレイニングが終了した。 あとはもう一度漬け込んで、残存グレインを確認して(生乾きだとグレインが分からなくなる)それを落としていく。首回りにまだちょっと残っている様だが、これはちょっとスクレイプでは取りきれないかもしれない。その場合は次のステージ前に乾燥させる場所があるので、そこでナイフとドライスクレーパー、そして軽石を使って落とそうと思う。 これだけ薄いのに、水温が低いととこれだけソーキング(漬け込み)に時間がかかるとは。 でも、毎日状態の変化を見ながらスクレイプしていたので、臭い、色、水の濁り方等、どのぐらいになったらスクレイプが出来るのか、貴重なデーターを自分で手に入れる事が出来た。 まあ、何にしても、やっと峠を越せた。 今日は自分自身におつかれさま。
グレイニング・・・何日目?
もう確認するのが面倒くさい(笑) 前回グレイニングをしてから丸2日、漬け込み(ソーキング)をしていた。 しつこく残っていた毛の一部が浮いて来ていたが、強く引っ張ってもまだ抜けない部分もあったので、まだグレイニングの続きをするつもりは無かったのだけど、あまりに天気がよかったので、少し試してみた。 相変わらず毛は抜けるけど、グレインは一緒に剥がれて来ない。 今日で毛は9割方抜けた。完全に毛が抜けた状態で本格的にグレイニングにとりかかって、それでも剥がれなければ、革を乾かしてドライスクレイパーで削ってやろうかと思う。 師匠に「一向にグレインが浮いて来ない」とぼやいたら、「私がウェットスクレイプが嫌いなのは、そこなのよ!ヒロ、あなたはただ、ひたすら待たなきゃいけないの。」と言っていた。 ああ、やっぱりここでイライラするの、俺だけじゃないんだ(笑)
グレイニング5日目。
さすがに大分臭いが出て来た。それと同時に、水から出しただけでボロっと毛が抜け落ちてくる様になった。 しかしそれでも中途半端なのか、まだ両手足回りと首回りから背骨界隈の毛は頑固にこびりついている。また、それ以外の場所の毛はスルっと抜けるものの、困った事にグレインは硬くこびりついている。これは相当厄介だ。 本なんかを見ていると、もう完全に毛が抜け落ちてからグレイニングにかかっているようなので、本来のグレイニングの状態では無いのだろう。今回はどれだけ漬けたらどんな感じになるという状況を自分で確認したかったので、ほぼ毎日グレイニングをしたわけだが、次回からは皆と同じく、徹底的に毛が抜けてから一気にやってしまおうと思う。 残り1/6位といったところか。しかし、結構残存グレインがあるので、なかなかグレイニングは終わりそうに無い。今回の皮は非常に薄かったので仕方ないが、やはり作業が大変でも、地道に少しづつ削いで行くドライスクレイプが自分には向いている様に思う。 今日は非常に暖かかったので、臭いにつられてか、ハエがうるさかった。大分卵を生まれただろう。 ウジの発生を防げるか。 まあ、無理だろうな。 正直、僕は覚悟決めてるから平気だけど、これが嫌で鞣しには手を出さないって言う人も多いだろうね。 あと、冷凍で全部死んでるけど、真っ赤っかになった巨大なダニ、凄い数居ますよ。毛皮の中にはね。 ラコタでもね、日本でもちょっと前まで田舎行くと、そんな風にして自分たちで鞣していたんだよね。 ともかく住宅地なので、臭いとかに関しては、回りに迷惑をかけないよう、充分対策をしてやっています。 それと「臭い」は革として仕上がったら消えます。
グレイニング4回目。
昨日初めてお湯に漬けたのだが、早速効果が出た様だ。円形脱毛気味に、両肩の辺りから毛が抜け出した。 その界隈はグレイン自体も柔らかくなっていて、今までの8倍は速くスクレイプ出来た。 柔らかくなっている場所は本当に所々なので、そんなに進まなかったけど、次回やる時はどうすれば良いか、グレイニングを始めるタイミング等、色々と勉強になった。やはり水温が低いと恐らく一ヶ月経っても脱毛は始まらないのではないだろうか。 今日で全体の2/3程度終了。明日は法事等で一日外出しているので、お湯に漬けておいて、明後日一気に終わらせてしまう事が出来れば嬉しいのだけど。 結構穴だらけになった。 これは充分にグレインが浮くまでソーキング(漬け込み)をすれば少しは防げた場所もあるかもしれないのだけど、それ以前に防ぎ様もなく必然的に破れてしまうケースが多かった。 皮の厚いオジロジカでも、通常1歳のもののバックスキンはプロでも難しく、こんな風になるのが普通らしく、 ニホンジカであることを考えると、なおの事、この程度の破れで済んでいるのは、威張ってよいかもしれない。
3回目のグレイニング。漬け込みを開始してから、もう一週間ほどか。
考えてみれば水温は恐らく1桁台。天然の冷蔵庫に入れている様なものだ。いつまでたってもグレインがふやけないのも仕方ないか。 今日もウェットスクレイプで一気に剥がすというより、ドライスクレイパーでガリガリ削っている様な印象だった。 今日で全体の半分は終わった様に思うが、これから最難関の首回りと、非常に皮の薄い端等がある。このままウェットスクレイパーとはいえ、力を入れてガリガリ削っていく様なら、端で相当破れてしまうと思う(実際に今日も端が数カ所破れた)し、首と手の辺りは刃が立たないだろう。 ということで、ついにしびれを切らせて、2時間程スクレイプした後、今度はお湯に漬けた。初温度摂氏48だったので、実際に漬け込む時は42度位か。それに皮が入って40度前後。 果たしてこれが何時間で再び常温になるか分からないが(おそらく4時間ぐらいか)、これを一日2〜3回。これで大分バクテリアの繁殖を促進出来るだろう。 「ああ、疲れた。ちょっと寝かせて」 「おつかれしゃん。僕も一緒に寝たるわ」
昨日再び水に漬け込んで、二回目のグレイニングにかかった。
昨日と比べて、一日漬け込む時間が長かったからといって、格段にやりやすくなったということは無かった。しかし、下半身で一番グレインが固いといわれる背骨沿いを昨日ほど力ずくでなくクリアすることが出来たので、やはり少しは違ったのかもしれない。 コツも大分掴めて来たのか、脂肪玉があっても刃をひっかけずに、皮を切らないで越える事が出来る様になった。しかし、端の方で2カ所、非常にもろい場所で刃をひっかけてしまい、小さな穴をあけてしまった。 やはり一日余分に水に漬けた効果が出たのか、分かりやすくグレインが剥ける様になった(柔らかい端の部分のみ)。 今日のグレイニングは1時間半程。全体の1/3ぐらいが出来たか。明後日一気にグレイニングの仕上げにあてることが出来ればと思う。
少しづつだけど、毛を引っ張った時に抵抗が少なく抜ける様になってきた。皮が緩んだ時に出る様な臭いはあまり感じないからまだまだっぽいけど、試し程度に少しグレイニングをしてみた。
例によってPVC水道管に載せて、今度は毛の面を上に向けて、剪刀で削いでいく。 グレイニングの難し場所は背骨沿いと首、両手足界隈。開始したのは背骨の右側側面からだったのだけど、確かに削ぎにくかった。そしてそこから一歩それると、結構ずるっと剥けてくれて楽だ。 グレイン(表皮、ギン面)層は黄色っぽいと聞いていたが、若干黄色がかったところを一生懸命落とそうと刃をすべらせたのだが、全然落ちて来ない。どうも皮の中でも黄色く見えるところと白く見えるところがあるようだ。色で判断するよりは、ボロボロしたチーズの様な部分というか膜を削いで行くと考えた方が良かった。 それにしても皮は、前の熊に比べても、普段購入している鹿革に比べても、本当に驚くべき薄さだった。恐らく1ミリ程度だろう。そして弱い。熊の皮はドライスクレイパーをどれだけ叩き付けてもまったく破れなかったが、鹿はほんの少し皮膚に脂肪玉なんかがあったり乳頭があるだけでザックリ穴が開いた。そしてPVCビームにひっかけた場所を強く押してしまうと、それだけでビームの形がついてしまった。 ニホンジカがバックスキンに向かないと言われている理由、納得である。この鹿は若くて皮が奇麗だからそんなに沢山破れないで済むかもしれないが、脂肪玉が沢山あれば、その度に破れる事になってしまう。 もしかしたら、逆に若いから余計に皮が薄いというのもあるかもしれない。 また、鞣し液を浸透させて、革に仕上げたらもしかしたらもう少し分厚く感じる様になるかもしれない。熊の場合もそうだったので、最終的に2ミリほどの厚さに仕上がる事を期待しているのだが、果たしてどうだろうか。 バックスキンにニホンジカが向いていないと言っても、実際には1300年以上も前から、脳漿によるニホンジカのバックスキンが作られてきたのも事実である。そうやって出来ていたものなんだから、要はやってやれない事はないわけだ。 つまり言い訳は出来ないよって事。 よ〜し、燃えてった! 漬け込みはやはりまだ少し足りていない様だ。漬け込み時間を長くすれば、グレイニングの際に必要な力と一カ所に刃を当てるストローク回数も少なくて済むということだから、破れるリスクも低くなると思う。 今日は試しだし、皮がまだ緩んでいなかったので相当力を入れてやった。それでも破れたのは脂肪玉一カ所、乳頭一カ所だったので、まあ上出来だろう。小一時間程度で全体の1/8程度をグレイニングした。漬け込みが充分だったら、4倍ぐらいのスピードでの作業が可能の様に思う。 明日また一時間ほどグレイニングに充てる予定だが、本格的なグレイニングは月曜日を予定している。 やはり水温が低くて、グレイニングに必要なバクテリアの繁殖が大分停滞しているのだろう。
毛と表皮を取り去る作業をグレイニングといい、ウェットスクレイプというテクニックは、革を水に漬けてふやかして、削ぐというよりかは剥がすという作業なのだということは前に書いたのだけど、その水に漬けておく時間は主に温度と革の厚さと大きさによって変わる。
真夏なんかだと、数時間で作業が出来る様になるみたいなんだけど、真冬だと数日かかるそうだ。 今は真冬でもないし、水温も測ってはいないが(熊の時は薬品を使ったので、水温と気温にものすごく神経質だった)、だいぶ温んでいる様に思う。でも、今で丸2日漬けているんだけど、まだ皮が緩んで来る気配が無い。一応基準としては、毛穴が緩んで軽く触っただけで毛が抜けて来る状態になるまで漬けようと考えているのだが、アメリカの本によると、それが通常2〜3日との事なのでちょっと不安だ。 本当は明日の朝をグレイニングにあてていたのだけど、明後日に延期になるのはほぼ確実だろう。 それにしても、フレッシングを終えた鹿革は軽いためか、水に沈まない。最初はブロックを上に載せたりしたんだけど、それをも浮かしてしまうほどの浮力だ。中の泡を抜いても、なにをしても駄目。水の比重を下げる事が出来れば可能かもしれないんだけど、そんなこと、出来るのかな? でも調べたら、それほど全てを沈める事が必要ではないそうで、そのかわりに毛の面を必ず上に向けることで乾燥を防ぐのが良いらしい。 やはりテキストや資料は沢山揃えるに限る。それを読む根性さえあれば、どんなことでも出来るんじゃないかな? 腐らない様に、水は最低一日二回変える。そこで脱水システムを作った。「・・・システムって、単なる灯油ポンプとフィルターでしょ?」・・・ま、そうとも言う。 今日は母が家に遊びに来るというので、準備をしながらボンヤリとまどろんでいたら、タツさんから電話がかかってきて、「岡居さん、テン(貂)の皮、いる?道で死んでるの見つけたんだけど!」とのこと。。。 猟期も終わったし、今期はこの鹿で最後だな。。。ともうノーマークだったので、ものすごく驚いた。 貂って確かものすごく貴重な皮だよなあ。そんなん俺がやってええんかなあ。。。と結構逡巡したのだけど、何を言ったところでやりたいのには変わりなく(笑)、口から出た言葉は、「タツさんが使わないんなら、下さい!」だった。あ〜厚かましい(恥) てことで、鹿の次は貂!テンですよ!すごいですね!最高です! ラコタの宗教儀式の道具をそれで作ろうかと思ったんですが、「襟巻きにいいってタツさんが言ってたよ」って配偶者に言ったら、「私、巻く!」って、もう配偶者、もらった気で居ます。。。 ところで今回、「解体も岡居さん、する?」ってタツさんに言ってもらったんですが、残念ながら解体しても、うちの回りでは、上手く弔ってあげれないんですよね。。。このあたりのこと、また日をあらためて詳しく書きますね。ともかく水上の土にかえしてあげたかったので、解体は今回もタツさん任せです!タツさん、すいません!でも、実際、こういうこともあるので、僕も水上住みたいですね。
昨日の夜は、タツさんが送って下さったばかりのタンドリーチキンならぬタンドリーシシ(猪)とビールで乾杯した。夜中まで仕事することが多かったので、ビールをちゃんと飲むの自体が久々だった。今週末、友人Sの結婚式なので、たっぷり呑んで来ようと思う。今からウコンを飲んで、肝臓を浄化中だ。
さて、タンドリーシシ。カレーということと、ブロックということで、焼くのは難しかったけど、歯ごたえと同時に沁み出して来る肉汁がたまらなかった。固いっていうのとは違って、歯ごたえ。気がつくと全部食べてしまっていた。コロもご相伴にほんの少しあずかった。 解凍コンテナをあけて様子を見る。案外水は出ていなかった。というか、まったく水は出ていなかった。実は配送の際にタツさんに、「鹿は奇麗だから洗っていないから、多分溶けても水は出ないと思う」って言われていたんだけど、まさにその通りだった。 解凍状態は意外に進んでいて、1/4〜1/3までは行っている様だった。このまま行くと、明日には自然に完全解凍出来ているかもしれない。 今日は晴れていたし、昨日頑張った分少し時間に余裕があったので、スクレイプ始めようかと思ったのだが、前回、水で強制解凍させると、脂肪と肉とが皮にへばりついてしまうように思ったので、明日にしよう・・・・・と思ったんだけど、我慢出来ずに始めてしまいました。 まずは解凍。たらいに水を張り、中で揉んだりしているうちに、完全に解凍されてきて、水が血や汚れで濁って来た。4回ほど水を入れ替えて、ようやく水が濁らなくなった(途中洗剤で洗浄した)ので、30分ほどかけて洗濯竿で自然脱水。 脱水が出来たらフレッシング。皮の裏についている肉や脂肪を皮から削ぎ落とす作業だ。 口径20超のPVC水道管の上に、肉面を上にして皮を置き、削刀で肉面を削いでいく。 この作業は、前の熊の時には削刀ではまったく歯が立たず、結局皮を乾かしてから、カミソリの様に鋭いドライスクレイパーで削いだ。 削刀というのは、別名ウェットスクレイパーと呼ばれるもので、ドライスクレイパーの様に刃物で削り出すというよりは、なまくら刀でブルトーザーのように剥いでいくといったほうが合っている。 正直熊の時の事があるので役に立つのか不安だったが、熊に比べると、笑いが出てしまう位簡単にフレッシングが終了した。 通常、削刀は皮を傷つけない為になまくら刀であることが多い。しかし、上級者はフレッシングの際に、肉や脂肪だけでなく、それらと皮とをくっつけている両面テープの様な薄い膜のメンブレン(結合組織)も一緒に削ぎ落とせる様に、かなり鋭い刀を使う。メンブレンは通常、2つ後のステージ「メンブレイング」で削ぎ落とすのが一般的だ。 フレッシング途中の皮。上の方がメンブレンも含めて削ぎ終わった部分。肉と皮との間にくっついている薄い膜みたいなのがメンブレン(画像はメンブレンを浮き立たせる為にコントラストを強く修正しました。実際はもう少し分かりづらいです)。 僕の刀はアメリカのエキスパートの友達にもらったものなので、かなり鋭い。初心者には使いこなすのが難しいそうなのだが、熊で散々てこずったのが勉強になったみたいで、一度も皮を切ってしまったり穴を開ける事もなく、大体のメンブレンも奇麗に落とす事が出来た。 洗いで一時間。フレッシングで2時間。皮の大きさを考えると、相当早い方だと思う。前の熊はフレッシングだけで3日かかったのだが(笑) 熊に比べると、作業途中に笑顔が出るほど楽だった。 皮の大きさだが、伸ばしたら200ds(デシ。革の大きさの単位で、1デシは10X10cm)ぐらいはありそうだ。エルクで200後半だから、相当大きな鹿の様に思うのだが、タツさんからしたら、ほんの小さな鹿らしい。おそるべしニホンジカ! 次の作業はグレイニング。2〜3日の間、水に漬けておいて(その間、一日2回は水を交換する)、グレイン(表皮。いわゆる表革のギンの部分)を毛と一緒に削ぎ落とす作業だ。水に長時間漬ける事で、グレインとファイバーネットワーク(皮本体)との結合が緩むので、それで一気に削ぎ落としてしまう。 グレイニングは初体験なので不安だ。フレッシングが終わった感じ、結構皮は薄い様なので、グレイニングを失敗すると、おそらく皮に穴をあけてしまうことになるだろう。 ちなみに、仕留める時についたモモの部分の穴は、思ったほど大きな損傷では無く、そのまま作業が出来そうなくらいのものだった。ソフトニングのステージで広がらない様に、グレイニングの次、メンブレイングが終わったら縫って補修しようと思う。 フレッシングの終了した皮。 |
LINK
以前の記事
2013年 04月
2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 09月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 カテゴリ
全体
仕事関連 写真関連 革なめし関連 鞣し関連(熊) 鞣し関連(鹿・Gunma031207) 鞣し関連(鹿・hyogo060607) 鞣し関連(鹿・hyogo062907以) 060607&062907 鞣し関連(テン) 素材関連 姫路白なめし革 狩猟関連 2007年・水上(群馬)初猟 師匠との初猟 研究関連 お知らせ関連 プライベート関連 フィギュア関連 ムカデ及び害虫 月光 未分類 ライフログ
ブログパーツ
ブログジャンル
画像一覧
| |||||