兵庫県森林動物研究センター シンポジウム
ーりぶ・らぶ・あにまるず シンポジウム2007ー 「シカとイノシシの有効活用」 (長いタイトルやなあ・・・)に行って来た。 かなりカジュアルに考えていたのだけど、実際に行くと200人ぐらいは入る会場が満席で、開会の挨拶が兵庫県知事という、すごい会だった。 普段、あまり人の多い所には行かないのだけど、今回参加したのは、(株)丹波姫もみじの方と直接お会いしたかったからと、今後の自分と鞣しとの関わり方を模索すること。 姫もみじの柳川瀬社長は「丹波の資源としてのシカ肉有効活用」と題した事例報告をされる。 会場は僕の実家から歩いて5分の場所。最高やな。 他に、 「シカ肉の栄養学」 「シカ肉の利用に必要な衛生対策について」 「これからの野生動物とのつきあい方」 「資源活用と地域振興 ーおおち山くじら(イノシシ肉)の取り組みー」 等。 まあ、栄養学等は門外漢なもんで、あまり言いませんが、つくづく思ったのは、タツさんは本当に良く勉強してはるんだなあ、という事。彼はきっと伝説のハンターになるであろうことを確信した。 柳川瀬社長は嘘の無い、本当に良い人で、ちょっと父に似ているかもしれない。 父といえば、会場で父がお世話になった朝日稔先生に会った。 「岡居卓の息子の、宏顕です。いま、鞣しをしていて、その線から有効活用のお役に立てればと思い参加しました」と挨拶しに行ったら驚いておられた。僕はやはり父の影響を受けて歩んでいるんだろうなあとしみじみと感じた。 姫もみじさんの計らいで、シンポジウムの後の懇親会に参加させて頂いた。そこで沢山の方と名刺交換させて頂いた。 これまで、有効活用に関する取り組みで中心となって来たのは肉。革に関してはどうやら僕が始めての存在の様で、貴重がられると同時に、もう後には引けない責任の様なものも感じた。 実際の鞣しに関しては、民家ということもあり、コントロール出来る数しか回せないけど、今までの人脈と経験をフル活用して、革屋や販路等に関してまでも、繋ぐ助けが出来たら良いなと思った。 柳川瀬社長に「いや〜、岡居さん、ようほんま電話してきてくれた思って感謝してる。完全に暗中模索やったからなあ」と言って頂いた。 しかし、こちらからしても使わせて頂いて、OGLALAの次を開く鍵となるかもしれない。姫もみじの方のお一人にも言われたのだけど、ボランティアとかでは続かない。継続的な物事を考えると、利益をお互いに得る事が大切だし、それを第一義に考え、決して無理せずに自分なりの活動が出来ればと思う。 そういった、自分の立ち位置を確認出来たことが、今回の一番の収穫だったと思う。 もう一つ。懇親会の際等に、僕が鞣した水上の鹿を、他のアメリカの鹿なんかと一緒に、沢山の人に見てもらったんだけど、全部の人が僕が鞣した鹿を、僕が鞣したと言っていないのに、一番気に入ってくれた。 やっぱりこれは嬉しかったですね。革を知らない方にも気に入って頂けるとは。 みなさんがおっしゃってくれたのは、手触り、柔らかさ、温かさ。 そのうちの数人から聞いたのですが、鹿革は介護にも良いそうです。床ずれが起きないのだとか。老犬の介護にも良いそうです。 なんだか革が好評で、もうすでに予約が10枚を突破しそうな勢いです。年間20枚程度の販売を予定していたのだけど。それだけ味のあるジャジャ馬革を求めていた人は多かったのかもしれない。 理想は、一年のうち、二ヶ月程ビーズを休んで(出来ればその間、拠点さえも変えて)、鞣しをしたりワークショップ等を開催することだったんだけど、安定した需要があれば、それも可能かもしれない。 何にしても、本格的にやるなら、場所を考える必要がありますね。今の鞣し場所は、問題ないと言えば無いし、あると言えばある。。。要は場所:数のバランス。数をこなすなら、場所を考えないと。 今日の鹿皮 hyogo060607 Soaking中 hyogo062907 臭いがキツくなったので、臭いの元(毛)だけスクレイプした。ほぼ全ての毛と、7割方のGrainが取れた。060607より水の濁りが強い。薬品を使用していない分、バクテリアの繁殖が盛んなのか。 皮を鞣していると、切れ端が少しだけど出る。最後にはトリミングもする。 そういった「クズ皮」、実はちっともクズではなくて、ニカワ(接着剤)を作るために、大事に取っている。 ニカワ作りにはもう取りかかっても良いのだけど、結構長い時間煮ないといけないので、冬の楽しみにとっておいている。 というのも、去シーズンは、不完全燃焼が度々おきて、どうも今ひとつ様子がおかしかったアラジンの石油ストーブを、夏の間にオーバーホールして、芯も替えて冬に使うつもりなのだが、その際にストーブの上で、鍋にこのクズ皮を入れて煮て、ニカワを抽出する予定なのだ。 このニカワ用に乾燥させたローハイドを、うちの白い犬、コロが狙っている。 市販の犬用ローハイドもあれば、アメリカから輸入して使っているバッファローのローハイドもあるのだけど、コロが最も気に入っているのが、鞣し途中の鹿のローハイド。 鞣しをしていて思ったのだけど、僕は薬品を使わずに(今回は水酸化ナトリウムを使用したが、懲りた)革を作るし、要所要所で洗浄しているけど、ローハイドは、、、、正直なところ、(多分)、衛生管理とか、薬品の洗浄とか、きちんとされているのだろうか。特にこういうのは某国産のが多い。 ということで、ある意味、うちのクズ皮は安心なんだけど、コロ、あんまり食べると、ニカワ用が無くなってしまうよ〜 ちなみにニカワの成分はコラーゲン。なので、皮はコラーゲンの固まりなのです。
今度の鞣しの手順を紹介しておきます。
鞣し技法:脳漿鞣し 種別:ドライ・スクレイプ技法応用 参考技術書: Blue Mountain Buckskin - A Working Manual(Jim Riggs) Buckskin - The Ancient Art of Braintanning(Steven Edholm & Tamara Wilder) The Complete Book of Tanning Skins and Furs(James Churchill) 使用鞣し剤:アメリカ産豚の脳みそ1個 予定作業期間:約一週間 到着時の原皮の状態:冷凍 皮の種別:ニホンジカ亜種ホンシュウジカ 皮のサイズ:不明(小型) 1、冷凍で送られて来た皮を水に漬けて解凍する。その際、血や汚れが出るので、充分にすすいで奇麗にする。途中台所用洗剤を使う。 2、軽く水分を抜き、直径25センチのPVC水道管の上で、ウェットスクレイパー(剪刀の様なもので、刃の両方に持ち手がついている。刃自体はかなり緩い角度のもの)を使って脂肪等をこそぎ落とす。 3、生乾き状態でフレームに固定し、毛と表皮部分をドライスクレイパー(かなり急な角度の刃。鉋刃に似ているが、円を描いている)を用いて削ぎ落とす。 4、肉面に残っている脂肪、肉、結合組織のメンブレンをドライスクレイパーを使って削ぎ落とす。落としにくい部分は、乾いてから軽石で落とす。 5、フレームから外し、あけてしまった穴等を補修する。 6、水に漬けて充分に浸透させる。 7、水から出して、捻り、鉢巻き状に輪にしたところに、二本の棒を入れて捻り上げて脱水する。 8、脳みそをジューサーにかけ、ジューサー一杯に熱湯を入れ、よく溶かす。それを皮が充分漬かる位のぬるま湯に入れ、かきまぜる。 9、皮を8で作った脳みそ液に浸し、よく揉み込む。30分程漬け込んで、一旦取り出して、もう一度捻り上げて脱水する。 10、皮の硬い部分等、脳漿水がうまく浸透しないところを、先を少し丸くした杭等でよく擦り、繊維を馴染ませる。 11、もう一度脳漿水に漬け込む。場合によっては一晩置く。 12、捻り上げ脱水をする。 13、広げて干す。手で揉んだりして、充分に皮の縮み等をほぐす。生乾き状態になったら、再びフレームに張る。 14、90パーセント程度乾いたら、剥離棒やバット等を使って、皮を押して伸ばしていく。その際、もしメンブレンや表皮が残っていて充分に伸びるのを妨げたり、脳漿水が充分に馴染んでいないようであれば、ドライスクレイパーや軽石を使って取り除く。脳漿水の浸透が不十分であれば、フレームを寝かせて、脳漿水を塗り、上にタオルをかけてその上にビニールシートをかけて一晩置く。 15、14の手順をくりかえし、問題なくなったら、皮が乾燥するまで皮を押したりこすったりして伸ばしていく。 16、乾いたらフレームから外し、木等に取り付けたワイヤーロープで擦って、さらに柔らかさを出す。 17、皮を燻製にする。 18、もう一度軽くワイヤーロープで擦り完成。 上記手順は、上記参考書のうち、Jim Riggs氏の手順をベースに、他の参考書の手順や、アメリカの友人・知人達の優れた手順、また、前回熊を鞣した際の反省点等を考慮に入れて、自分なりに練り上げた手順です。従って、上記参考書では「邪道」とされているテクニックを必要と判断し、入れている場面もあります。 また、実際に作業を進めて行く上で、臨機応変に対応しようと考えておりますので、必ずしもこの通りの手順にならない可能性もあります。 さらに、今回の鹿は後ろ足部分に裂け目があるそうなので、そこから先を切り取って、その部分だけ脳漿鞣しで毛皮を鞣す実験をしてみようと考えています。切り取りの具合によっては、ドライ技法が難しくなる可能性も考えられるので、その際はウェット技法で進めて行く可能性もあります。
今手がけている仕事が終わったら、鹿の脳漿鞣し(ブレインタン)にとりかかります。
脳漿鞣しは、文字通り、動物の脳みそを利用して革を鞣すテクニックです。もっとも古来からのテクニックの一つで、日本では6〜7世紀頃には大陸より伝わっていました。そこから数々のテクニックが生み出されてきましたが、諸般の事情により、現在ではほとんど脳漿鞣しをする職人が居ません。 アメリカ・インディアンにおいても同様で、かつては各家庭の女性達が各自で脳漿により鞣していましたが、現在、脳漿鞣しに取り組むインディアンは居ないと言っても良い程、超少数派になりました。 僕は、こういった原始技術に関心があって脳漿鞣しに興味を持ったのではありません。鞣しに興味があったわけでもありません。ほんの最近まで、使っている革に無頓着で、ともかく世間が認める良い品質の革を使っている様な感じでした。 実際、日本で販売されている、スモーク(燻製)された、ケミカル鞣しの革は、ビーズ細工に非常に具合が良く、もしこれからビーズを始める方が革に悩んでらっしゃる様であれば、一番におすすめします。 僕が脳漿鞣しに興味を持ったのは、テクニック云々とかの裏事情ではなく、昔、ラコタで買って帰った革が、扱いは難しいものの、非常に面白く、果たしてこの革はなんなんだろう?出来れば商品を全部この革で作りたいものだ、と考えて調べたところから始まりました。 それが脳漿鞣しだったのです。 脳漿鞣しというものにたどりついたものの、アメリカでも今ではロスト・アートとなっているこの革。なかなか入手は困難でした。最初はラコタの友人に頼んで、アイダホ州の小さな個人商店を紹介してもらい、順調に取引が出来ていたものの、あるとき、カナダに発送するのにトラブルがあったらしく、以来海外向け発送を嫌がる様になってしまいました。 そこでジェトロや電話帳、インターネットの情報掲示板等で調べ、アメリカの革屋で脳漿鞣しを取り扱っていそうな場所に徹底的に連絡をとっていき、ようやく数名、日本との取引に応じる脳漿鞣し作家と出会う事が出来ました。 脳漿鞣しというのは、実は「これ」という確定的なテクニックが無く、部族によって、または家族によって、さらには母と娘でも用いるテクニックが違う、という事があります。各テクニックによって、仕上がりには若干の差があり、各自が革で何をするかによって、やり方が全然違っていたりします。 そこで、取引に応じてくれる作家のものを全部取り寄せて試用してみたところ、幸いに、一番コミュニケーションが円滑だった方のものが、僕の細工には一番あっていたので、以来それを使用しています。 この作家のものは非常に良く、ほぼ満足なのですが、非常に細かい部分で「ここがこうだったら」という場所もあり、いつか自分でやってみたいものだと考えていたところ、幸運な出会いに恵まれ、諸般の事情により脳漿鞣しはあきらめたものの、薬品によって熊の鞣しをすることが、前回出来ました(これに関してはブログにまとめております。本ブログの「革鞣し関連」カテゴリーと、前ブログの当該カテゴリーでご覧下さい)。 そして今度はいよいよ、満を持して、脳漿による鹿の鞣しをすることになりました。 これから数回に分けて、鹿や、鞣しの手順、そして実際の作業の報告等を動きがあればお伝えして行こうと思います。 お楽しみに。
画像の整理をしていて、鞣す前の熊の顔の写真を見ました。
ショックでした(笑) ごっつい格好いいでは無いですか!いかつい!なめした後の写真、一緒に載せるの嫌なので、一昨日の日記で見て下さいね。 これね、なんでこうなったかというと、僕がフレームに張るテンションと要領を分かっていなかったからなんですよ。テンションが強すぎて歪んでしまったんですね。あと、張る位置が適当でなかったんですよ。 なめしあがったの、笑顔になってますもんね(笑) まあ、僕らしくていいけど。 森の熊さんみたい。 口も下あごの処理がうまくいかなくて、泣く泣く切り落としたのですが、上あごも最初教科書に書いてある通りにトリミングしてしまって、「あ〜、失敗したなあ」と思って縫い合わせたんですよ。で、そこにまったく分からない位、高度な(?)植毛をしてたんだけど、植毛材料がコロの好物だったようで、なんか舐めてるなあ、と思ってたら全部食べられていました。。。 くやしいなあ! ごめんな! 熊! ごっつい顔変わっちまったなあ。 でも、一生大切に、大切に飾らせてもらうからな! 毎週、毛皮をブラシしてやるからな! ============================ サウスダコタの友人マイコーから、英語版ブログを見た感想メールが来た。 彼はラコタの材料屋さんの人で、12年の付き合い。 今では公私ともに仲良くしてもらってます。 すごい勉強家で、毎月すごく役に立つレポートを書いて配信してくれています。 その彼曰く、 「アイヌ民族の間では熊に関する伝承とかがあると聞きましたが、日本ではアイヌってどのようにとらえられているのですか?アメリカでのインディアンみたいなもの?ともかく、あたってみたら、どうかしらん??」 あ、そうか!その手があったか!そうそう、ネットでは一切ヒットしなかったけど、北海道の自然公園のひとつで、アイヌの人によるヒグマの鞣しの体験会が毎年催されるって言ってたなあ。確かミョウバンを使って鞣すって聞いたぞ。 脳漿を含め、そういう原始鞣しの知恵を後世に残す為の書籍、本当、日本には今、無いんですよね。試しにアマゾンで「なめし」って入れてみて下さい。原始なめし技術どころか、なめし関連の本自体が、とうに絶版になったものばかりなんです。発行年が1950年とか、それ以前とか。 日本には日本独特の様々な原始鞣しの技術があったんですよね。聞いた話では、ヌカミソを使った鞣しなんてのもあったそうです。これなんか、糠は脂を吸うから、熊にはもってこいなのではないのかな?と思います。 そういった知識が今、途絶えようとしています。もしくは、もう途絶えてしまったのか? 日本での「皮なめし」には非差別部落問題やアイヌ差別問題等、色々なしがらみがあってネガティブに考えられていて、忌まれていて表面に出て来てくれないんですよね。 興味ある人はいっぱい居ると思うんですが。 < 前のページ次のページ >
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