深夜の自由さで疾走〜YOUは何しに日本へ？ 「伝説のノープラン自転車旅スペシャル」

ギャラクシー賞月間賞:YOUは何しに日本へ？
「伝説のノープラン自転車旅スペシャル」

2月13日放送 23:58〜24：45
テレビ東京、ジッピー・プロダクション

現在、日本を訪れる外国人の数は年間およそ800万人にもなるという。彼らはいったい何を目的に日本にやって来るのか。観光？仕事？それとも留学？この番組は、成田空港に到着したばかりの外国人たちに「Youは何しに日本へ？」と突撃インタビューを敢行し、面白そうなYouを見つけてそのまま密着取材してしまうという、いかにも深夜のテレビ東京らしい一点突破なバラエティである。しかし、これが当たると面白い。

今回取り上げるのは、ドイツ人マーティンの自転車旅に密着した「ノープラン自転車の旅・完全版」。2012年10月の特番で放送され反響を呼んだYouの続編である。何と言っても、このマーティンのノープランぶりがすごい。「青山で自転車を買って、日本海に沈む夕日を見に行きたい」と日本にやって来たマーティン。自転車の旅初日の朝、撮影スタッフが待ち合わせ場所の渋谷ハチ公前に行ってみると、マーティンが「青山」と「青森」を勘違いしていたことが明らかに。というわけで、いきなり青森へ。

青森での自転車探しも奇跡的だ。偶然立ち寄ったバイク屋の店先で、愛車となる「ダブルフロントライト」のビンテージものの（40年くらい前に流行った）自転車を発見し大喜びするマーティン。バイク屋の主人とのやりとりも微笑ましい。その後もこんな調子で、番組はマーティンの自由気ままな自転車旅に同行していく。津軽海峡を望む竜飛崎で海に沈む夕日を眺めるシーンでは、マーティンの人生が一編のドラマのようにさえ見えてしまう。

毎回、国境を越えてさまざまな人間ドラマが生まれるこの番組。一種の比較文化論としても楽しめる。とりわけ今回は、ノープランの主人公が放つ自由奔放な魅力を、ノープランの密着取材によって最大限に引き出した。バナナマンのMCや、ボビー・オロゴンのナレーションも楽しい。2013年4月からゴールデンに進出することになったが、このままの自由さで走り続けてほしい。（丹羽美之）

★ギャラクシー賞月間賞とは？＝NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。