クローズアップ2013:福島、子供の甲状腺検査 高まる県民の不信
毎日新聞 2013年04月22日 東京朝刊
県立医大が開いている住民説明会では、確認されたがん患者の居住地や、被ばく線量の推計値の説明を求める声が上がった。だが、鈴木教授は「個人情報だ」として明かさず、「被ばく線量は低い」「見つかったがん患者と被ばくの因果関係は考えにくい」と繰り返した。
こうした姿勢に、参加者からは「『被ばくの影響なし』という結論ありきだ」との批判も出ている。会津若松市で3月に開かれた説明会では、ある母親が立ち上がり、「『親の不安を解消する』と言うが、私たちは不安を解消してほしいのではなく事実を知りたい。私たち自身が判断する」と訴えた。
今回開示された「自治体別データ」は、今年1月の開示に合わせて市町村に伝達されたが、それも自らの自治体分だけで「比較できない」と不満も出ていた。そんな中、自治体や市民団体が独自に検査に乗り出す動きも広がる。既に本宮市、浪江町などが開始。NPO法人「いわき放射能市民測定室たらちね」は3月17日、最新機器の寄付を受けて検査を始め、印刷した画像もその場で手渡している。
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■ことば
◇福島県の甲状腺検査
原発事故当時18歳以下の約36万人が対象で、2年半で一回りし、20歳までは2年ごと、以後5年ごとに受ける。1次検査は超音波でしこりなどの有無と大きさを検査し、A1〜Cに分類。B、Cは2次検査の対象。2011年度にB判定となり、2次検査を受けた子供から、3人のがん患者と7人の疑い例が見つかった。