東京を出てあと数分で名古屋に到着する東海道新幹線の車窓から、間近に迫る工事現場が飛び込んでくる。国道1号をまたぐ新幹線の軌道（線路）の上空に、名古屋高速道路4号東海線の高架橋を建設する工事だ。
2013年3月12日未明に撮影した下の写真は、既に新幹線軌道の上空に送り出して到達側まで架け渡した鋼製の桁を、発進側を中心にしてコンパスのように回転させている状況を写したもの。回転角度は7度25分で、桁端部の直線移動距離は約13.8m。回転させた桁の重量は、仮設材を含めて1335tに及んだ。
地上を走る国道1号と東海道新幹線のローゼ橋の上部をまたぐ高速道路の桁を回転させているところ（写真：勝田尚哉、以下同じ）
回転中心の作業場側から回転作業を見る。写真下方は、新幹線の軌道が載るローゼ橋
■東海道新幹線の軌道上空で初の桁回転
長さ93mの鋼製の箱桁2組を、新幹線軌道にあるローゼ橋（アーチ型の橋の一種）をまたぐように送り出して架設する。名古屋高速道路4号東海線の高架橋と、新幹線のローゼ橋の頂部との距離は、完成時には1.8mになる。その眼下には、自動車がひっきりなしに通る国道1号と名古屋市道の六番一丁目交差点が控える。施工は清水建設・ジェイアール東海建設JVが担当している。
高速道路の桁を回転させる工事現場。取材当日の様子
発進側の既存桁の下。この上で送り出し桁や手延べ機などを組み立てたので、既存桁もベント（支柱）で補強されている
到達側ベント。桁回転するこの日は、その後ろにある本設の橋脚に支点荷重がかかっている
建設する高速道路部は、カーブ区間だ。そのため、桁を真っすぐ送り出した後に回転させて、端部の位置を合わせなければならない。その作業が取材日当夜に行われた。東海道新幹線の軌道上空で、橋の桁を送り出して回転させる工事は初めてだ。
東海道新幹線、名古屋高速道路、ローゼ橋、清水建設・ジェイアール東海建設JV
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