クロマグロは日本近海でもよく獲れたが、近年は乱獲などで個体数が激減。太平洋産だけでは国内消費分をまかなえず、大西洋産のクロマグロも日本に空輸されるという。さらに、ここ数年は新興国の経済成長などでクロマグロの消費量が急増しており、世界的に価格が高騰している。
10年ぶりの漁獲枠拡大でも高根の花
こうした中、11月にモロッコで開かれた大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)年次総会で、地中海、東大西洋のクロマグロの年間漁獲枠を10年ぶりに拡大し、来年は500トン増の1万3400トンにすると決められた。
このうち日本に割りあれられた漁獲枠は42・5トン増の約1140トン。輸入も含め国内に出回るクロマグロの量は年間約4万トンといわれるだけに、大阪市中央卸売市場で水産物卸を手がけるうおいち(大阪市)の担当者は「漁獲枠が広がったからといって、ただちに取引価格が下がる状況ではない」と話す。
近大の担当者は「近大水産研究所では年間4万匹を育てており、このうち成魚となった4千匹の一部を料理店に供給する。今回の店舗1軒分なら品不足の心配はない」としている。