韓国だけでは北の核攻撃を防衛できない不都合な真実

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 バーウェル・ベル元在韓米軍司令官は21日、自らの考えを公表し、その中で「北朝鮮が核を保有することで、韓国は戦争や交渉で絶対的な劣勢に立たされる」という現実を改めて訴えた。核兵器を持たない国の戦力が、核兵器を持つ国の戦力と比較にならないのは当然で、この状況は「非対称戦力」という言葉で説明されることもある。しかし韓国政府はこれまでこの現実について明言してこなかった。金寛鎮(キム・グァンジン)国防長官は今年2月に国会国防委員会で「核兵器は絶対兵器であり、核兵器が実際に投下された場合の被害は想像を超える。そのため事前に破壊することが最善の策だ」と証言したが、これもごく一般的で原則的な内容にとどまっていた。

 金長官が国会で明言したように、核兵器は一種の「絶対兵器」であるため、専門家も「韓国は完全に不利な立場に立たされる。これは非常に深刻な問題だ」「ベル氏の発言には説得力がある」などと指摘している。現在、戦車、戦闘機、艦艇などいわゆる在来兵器では、韓国は北朝鮮に対して質的な面で圧倒的に優位な立場にある。しかし韓国には核兵器がないため、北朝鮮が核兵器を保有する限り、韓国は劣勢に立たされる以外にない。

 誠信女子大学のキム・ヨルス教授は「核兵器を持つ国と持たない国との戦争は、最初からゲームそのものが成立しない」「北朝鮮が核兵器を持つようになれば、韓国は核兵器を頭に載せられ、北朝鮮の恐喝に振り回される以外にないだろう」と述べた。政府機関のある専門家も「北朝鮮に核兵器があれば、韓国軍が北朝鮮の挑発行為の拠点はもちろん、敵の司令部を攻撃するのも口で言うほど簡単ではないだろう」と予想している。

 ベル元司令官が指摘したように、交渉の分野で北朝鮮の脅迫はすでに目に見える形で表れている。北朝鮮は昨年12月に長距離ロケットの発射に成功したのに続き、今年2月には3回目の核実験に成功。これに伴って韓米両国に対する脅迫の度合いも高め続けている。先月6日付の労働新聞では「米帝が核兵器を振りかざしてくれば、多種化されたわれわれの正確な核打撃の手段によりソウルはもちろん、ワシントンまで火の海にするだろう」と脅迫した。また朝鮮中央通信は先月21日「恩讐(おんしゅう=敵)が核で脅迫してくれば、それ以上の核攻撃で対抗するというわれわれの宣言は、決して言葉だけではない」とやはり過激な言葉を並べ立てた。

 このように外国に対して核をちらつかせた脅迫を公然と行うのは、世界的に見ても前例がないほど極めて異例の事態だ。ある韓国政府高官は「長距離ミサイルの発射や核実験に成功した自信に裏付けられたものだろう」とコメントした。

 問題はこれら一連の脅迫的言動に対し、韓米両国が取り得る対応に限界があるという点だ。米国は北朝鮮の核攻撃を念頭に「拡張抑止」を掲げているが、これは米国が核兵器で報復するという「核の傘」に加え、北朝鮮のミサイルを迎撃する「ミサイル防衛」や、在来式の精密誘導兵器によるピンポイント攻撃などからなっている。しかし米国が東アジアでの戦争を覚悟してまで核兵器による報復攻撃を行うかは疑問で、また核を持つ北朝鮮に正確な先制攻撃を行うのも簡単ではない。しかもミサイル防衛体制は米本土の防衛を念頭に置いたものだ。

 韓米両国は北朝鮮が4-5年以内に核弾頭を持つミサイル開発に成功することに備え、移動式のミサイル発射台(発射用車両)などを30分以内に発見し、攻撃もできる「キルチェーン」を2015年までに完成させる計画を進めているが、これも不十分といわれている。ベル元司令官が主張するように戦時作戦統制権の移管を無期限延期し、北朝鮮の核の脅威を実際に抑え込むには、韓国軍による戦略の見直しや戦力の補強などを並行して進めるべきとの指摘も相次いでいる。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者
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