◇KKT杯バンテリンレディス<最終日>
KKT杯バンテリンレディースオープン最終日 18番、バーディーフィニッシュで優勝を決めた佐伯三貴。通算4アンダーで今季初優勝、ツアー通算6勝目を飾った=熊本空港CC
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▽21日、熊本県・熊本空港CC(6455ヤード、パー72)▽晴れ、気温14度、風速3・4メートル▽賞金総額6000万円、優勝1080万円▽54選手(うちアマ1人)▽観衆1万12人
首位でスタートした佐伯三貴(28)=日立アプライアンス=が前半で逆転を許しながらも後半4バーディー、1ボギーと巻き返して71、通算4アンダーで今季初優勝を飾った。昨年11月の大王製紙エリエールレディス以来のツアー通算6勝目。生涯獲得賞金は4億円を突破した。1打差の3アンダー2位に笠りつ子(25)=京セラドキュメントソリューションズ=が入った。前日まで2位の横峯さくら(27)=エプソン=は77と乱れ17位に終わった。
涙の理由はV会見の席に座るまで隠していた。「昨年12月に頸椎(けいつい)のヘルニアの手術をした。もうゴルフができないかもなって思ったこともあったから。こんなに早くカムバックできるなんて」と、感激を再びかみしめるように打ち明けた。「勝つまでは(言い訳にして)自分の逃げ道をつくるのがいやだったので」。
1打差単独首位で迎えた最終日。8番まで2バーディー、4ボギーと苦しみ、一時は6位まで順位を落とした。だが11、12番で起死回生の連続バーディー。15番で3パットボギーをはさんだが、圧巻は17番。フェアウエー左のバンカーから残り148ヤードを8番アイアンでピン右3メートルにつけてバーディーを奪った。「あれが優勝につながったんじゃないかと思います」と自ら振り返るウイニングショットに。18番パー5でも第3打をピン手前1メートルにピタリと止め、連続バーディーでかっこよく今季初Vを決めた。
ホールアウトの瞬間、右手を高く突き上げ何度もジャンプ。直後には通称・マダムの頬を涙がつたった。昨年11月、最終戦のツアー選手権リコー杯を終えた翌日に首に激痛が走った。尋常じゃない痛みで、痛み止めを飲んでも効かなかったという。頸椎ヘルニアと診断され内視鏡手術に踏み切った。そして、ゴルフをあきらめることまで考えた日々。「今年は全試合予選落ちじゃないかと思った」という開幕戦。脳裏にフラッシュバックした数カ月間に終止符を打つように、佐伯は両手を胸の前で握りしめた。
「きょうはボギーが多すぎたけど、最後はいい勝ち方ができた。次は4日間大会で勝ちたい」と、すでに目標は次へ。また一人、日本人の精鋭が今季賞金女王争いに名乗りを上げた。 (月橋文美)
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