- ファンタジー世界の山賊の不思議
- ふと思いついたので、徒然と述べてみる。
異世界転移物に多いやられ役として馬車を襲う山賊って凄く多い訳で、そういう場面に主人公が居合わせてその山賊を殺しちゃったりするわけですけど、考えてみると「それってどうなのよ?」って思った訳です。
大抵殺しちゃっても「山賊とかは死罪だから気に病む事はない」なんて居合わせた人間が主人公に言っちゃったりしますが、いくらファンタジー世界でもそれはないよなぁと思ったり。
まず、例え古代でも盗み程度で済ませていれば腕を切られると言う事はあっても(まぁ医療技術が未熟な時代で腕切られたら死ぬかもですが)、死罪ではないわけです。
そして、ファンタジー小説の一番の問題は警察司法等の公権力でもない主人公、もしくは一般人が勝手に相手を殺すという手段で裁いている事です。
目には目を方式で、山賊盗賊が全員人殺しの集団だとしたら、公権力でもない一般人でも殺して良いのでしょうか?
そんな事がまかり通るなら、気に入らない奴を殺して「そいつは山賊だから殺しました」と言った物勝ちになります。
警察司法という公権力だけが人を裁けるようにしているのは、そう言った無法にしないためです。公権力が人を裁くのは犯人が犯人である事をその時代なりに立証するからです。公権力でもない人間が勝手に人を裁いて、何処に正当性があるのでしょう? そんな事をしたら冤罪だらけで結局、力あるものだけが幅をきかす無法地帯と変わりません。
まぁギルドによって指名手配されている山賊というならまだギリギリOKかも知れませんが、そもそも山賊の全員をどうやって把握しているのでしょう?そもそも割と簡単に山賊討伐の依頼なんかがあるわけですが、その審査はどうなっているのでしょう?
変な言いかたすれば、人間に対する討伐依頼って、殺人依頼ですよね? たまに子供が親の敵を討つためになけなしのお小遣いで依頼するも報酬が少なすぎて誰も依頼を受けてくれず、それを主人公がこなすなんて話もありますけど、ガキの戯言で殺人依頼が通る世界ってどうなんでしょう?
まぁ審査は実は公権力でしっかりとした審査の後に指名手配されているとしても、依頼を受けたのちに大抵首領一人の首だけ検分して他は「其処に居た」と言うだけで一味扱いされて適当に殺されちゃっていたりします。もしかしたらその中には助けるべき人だって居るかも知れないし、逆に助けた人が攫われた人になりすました一味かも知れないのです。主人公達って本当にもの凄くあっさり人殺しますよね。
その他にもお話によっては指名手配されている事すらも確認せず、たまたま居合わせてサクッと殺しちゃってあとから指名手配だったから安心よ!と言ったり。
何処ぞの軍隊が要人暗殺の為に身なりを山賊風にして襲ってくるなんて話も良くありますが、この場合は確実に「指名手配は無い」わけですよ。
まぁ襲ってくるのですから正当防衛で良いじゃないかという考えもありなのですが「死人に口なし」状態で本当に殺された人間が襲ってきたのかは第三者には全く解らないわけです。
ぶっちゃけて言えば、気に入らない奴を山道に呼出して、そいつを殺し、適当に自分を自傷させれば「襲ってきたから殺した」で通じる世界と言っているようなものです。
捕縛ならまだ良いです。後で事情聴取できますから。でも公権力でもない人間がいきなり「殺し」とかただの証拠隠滅以外にないでしょう。
まぁRPGな敵キャラには「山賊」とかはモンスターと同じでぶっ殺す対象でしかないので、感覚がそれで染まってしまっているのでしょうけど、なんかちゃうんじゃないかなぁと思ったり。
「ファンタジー=一般人も人を殺して良い世界」って思っている人多すぎるんじゃないかなぁと……
中世だって一般人が人殺して良いのは戦争の時ぐらいです。じゃないと法律という物が在って無いのと同じになっちゃいます。
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2012年 03月02日 (金) 05時53分
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