青森のニュース

航路存続、道南に活路 大間−函館間新船「大函丸」就航

尻屋崎を視察する旅行代理店の関係者ら

 青森県大間町と北海道函館市を結ぶフェリー航路の新船「大函(だいかん)丸」が18日、就航した。初便は午前7時、多くの町民が見守る中、約260人を乗せて大間港を出発した。新船投入を機に、同県下北地域は道南との交流に熱い視線を注ぐ。函館などの観光地との周遊化を進め、生活の足でもある航路の存続に向けた利用拡大につなげたい考えだ。

 就航前日の17日夜、青森県むつ市内のホテルで「下北地域観光懇談会」が開かれた。運航する津軽海峡フェリー(函館市)が初めて企画。北海道、仙台、大阪などの旅行代理店関係者を招き、地元の観光業界や行政の関係者と情報交換した。
 18日には、寒立馬(かんだちめ)で有名な青森県東通村の尻屋崎などを巡るツアーも実施し、下北の観光資源をPRした。参加した東京の旅行代理店関係者は「北海道新幹線の開業も控え、道南と下北が一つのエリアになると考えていい。興味がある」と話した。
 青森側が観光客の掘り起こしに期待する背景には、航路の利用客の伸び悩みがある。昨年も含め、ここ数年は車両台数が年間2万1000台前後で推移し、赤字での厳しい運航が続いている。
 採算ラインに乗せるためには「5000台前後の上積みが必要」(フェリー社)という。石丸周象社長は懇親会で「2万5000台を何としても超えたい。支援をお願いしたい」と強く訴えた。
 同航路は2008年に撤退問題が浮上。道南への通勤、通院での利用者を多く抱える大間町が、県などの財政支援を受け、約26億円を投じて新船を建造することで存続した。今後も同じ利用状況が続けば、問題が再燃する事態を招きかねない。
 地元観光関係者は危機感をにじませながら、「フェリーは下北の重要な基盤という認識が必要だ。官民問わず、地域全体で守る、盛り上げるとの姿勢が欠かせない」と市町村を越えた連携の必要性を強調する。
 新船就航が利用客回復の呼び水となるか。大間町の金沢満春町長は「誘客の動きが地域に広がっていくことが大切。トップセールスにも積極的に取り組みたい」と意欲を示した。


2013年04月19日金曜日


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